JP4010082B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、特にトラック等の大型車両のメインブレーキであるフットブレーキを補助するために適用される渦電流式減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平4ー12659号公報に開示された渦電流式減速装置は、回転軸に連結された制動ドラムと、制動ドラムの内側に同軸に配設された環状のケースとを備えている。ケースは、制動ドラムの内周面に近接した、アルミニウム等の非磁性体からなる外周壁を備えている。ケース内には静止支持筒及び可動支持筒が軸方向に並列して配設されている。静止支持筒はケース内に固定され、可動支持筒はケースの内周壁に正逆回動可能に支持されている。支持筒の各々は鉄等の強磁性体から形成されている。支持筒の各々の外周部には、周方向に間隔をおいて複数の永久磁石が配設されている。支持筒の各々における磁石の各々は、半径方向両端に磁極面を有しかつ周方向に隣合う相互の磁極が互いに異極(N−S)となるよう配列されると共に支持筒の各々間で並列されるよう配設されている。ケースの外周壁には、複数の強磁性部材が、支持筒の各々間で並列される磁石の各々に対応してその一方から他方にわたって軸方向に延在するよう鋳込まれている。外周壁に鋳込まれた、鉄等の強磁性体からなる強磁性部材の各々は、支持筒の各々間で並列される磁石の各々の半径方向外側の磁極面及び制動ドラムの内周面にそれぞれ面するよう配置されている。ケースには、可動支持筒を正逆回動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータであるエアシリンダ機構が備えられている。エアシリンダ機構に備えられたエアシリンダ内はピストンによって二つの室に区画されている。各室に圧力エアが選択的に供給されることによりピストンが一定のストローク往復移動させられ、可動支持筒が正逆回動させられるよう構成されている。
【0003】
渦電流式減速装置の制動(補助制動)を作用させる場合には、エアシリンダ機構を作動させて可動支持筒を一方に回動させ、可動支持筒及びその磁石の各々を制動位置に位置付ける。可動支持筒の磁石の各々は、静止支持筒の磁石の各々に対し同極同士が並列されるよう位置付けられる。外周壁の強磁性部材の各々は、静止支持筒及び可動支持筒の各々間で同極同士が並列された磁石の各々の半径方向外側の磁極面に面するよう相対的に位置付けられる。その結果、可動支持筒の磁石の各々と制動ドラムとの間、及び、静止支持筒の磁石の各々と制動ドラムとの間に、それぞれ外周壁の強磁性部材の各々を介して磁気回路が形成されるので、それに対応して制動ドラムに渦電流が発生し、制動ドラムに対する制動が作動させられる。
【0004】
制動を解除させて非制動状態に切り換える場合には、エアシリンダ機構を作動させて可動支持筒を制動位置から他方に回動させ、可動支持筒及びその磁石の各々を非制動位置に位置付ける。可動支持筒の磁石の各々は、静止支持筒の磁石の各々に対し異極同士が並列されるよう位置付けられる。外周壁の強磁性部材の各々は、静止支持筒及び可動支持筒の各々間で異極同士が並列された磁石の各々の半径方向外側の磁極面に面するよう相対的に位置付けられる。その結果、可動支持筒及びその磁石の各々、静止支持筒及びその磁石の各々、及び外周壁の対応する強磁性部材との間に磁気回路が短絡して形成され、制動ドラムとの間は磁気的に遮断されるので、制動ドラムに対する制動は解除される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の渦電流式減速装置においては、先に述べたように、エアシリンダのピストンを一定のストローク、具体的にはフルストローク往復移動させることによって、可動支持筒を正逆回動させ、制動と非制動の切換作動が行なわれるよう構成されている。したがって制動時における制動出力は、制動ドラムの回転数の各々において常に最大となるようON−OFF制御される。その結果、上記従来の渦電流式減速装置がトラック等の車両に装着された場合には、次のような問題が存在する。
(1)フットブレーキの主制動出力に補助的に付加される渦電流式減速装置の制動が効き過ぎて、走行車両を過剰に減速させるおそれがある。渦電流式減速装置の制動が効き過ぎるということは、無駄な制動を行なうことであって、車両に必要以上の減速、したがって加速を繰り返させることになり、その結果、燃料消費量を増大させることになる。また、渦電流式減速装置のエアシリンダ機構を作動させるためのエアの消費量も増大することになる。
(2)渦電流式減速装置の制動が効き過ぎるということはまた、渦電流式減速装置の制動ドラムの温度を無駄に上昇させることになり、制動力を低下させることになる。
(3)制動と非制動の切換作動は、常に、エアシリンダのピストンのフルストローク往復移動により行なわれるので、制動時におけるフィーリングが良くない。
【0006】
以上の問題は、上記形態の渦電流式減速装置に限定されるものではなく、他の形態の渦電流式減速装置においても共通して存在するものである。他の形態の渦電流式減速装置としては、例えば、先の形態の渦電流式減速装置において、ケース内に可動支持筒のみを正逆回動可能に支持し、静止支持筒を排除した形態の渦電流式減速装置(制動と非制動の切換作動は、上記形態と同様に、エアシリンダ機構により可動支持筒を正逆回動させることにより行なわれる)、あるいは、ケース内に磁石を備えた可動支持筒を軸方向に往復移動自在に支持し、エアシリンダ機構により可動支持筒を軸方向に往復移動させることにより、制動と非制動の切換作動が行なわれるよう構成された渦電流式減速装置、を挙げることができる。
【0007】
本発明は上記事実に基づいてなされたものであり、その目的は、制動出力を連続可変に制御することができ、しかもその可変量を自動的に調整することができ、その結果、無駄な制動を防止して効率的な制動を可能にする、新規な渦電流式減速装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、制動時におけるフィーリングを向上させることができる、新規な渦電流式減速装置を提供することである。
【0009】
本発明のその他の目的及び特徴は、本発明に従って構成された渦電流式減速装置の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する後の記載から明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の一局面によれば、車両の回転軸に連結された制動ドラムの内側に配置されたケースと、ケース内に軸方向に並列して支持された静止支持筒及び可動支持筒と、支持筒の各々に周方向に間隔をおいて配設されかつ支持筒の各々間で並列される複数の磁石と、シリンダ内でピストンを往復移動させて可動支持筒を正逆回動させ制動と非制動との切換を行なう流体圧シリンダ機構とを備えた渦電流式減速装置において、
ピストンを移動させる制御弁手段と、制御弁手段を作動制御する制御手段とが備えられ、制御手段は、ある車速において、フットブレーキの現ペダルストロークにおける主制動出力と、車両の減速度を考慮した要求制動出力と、要求制動出力と主制動出力との差に相当する補助制動出力とを算出し、該補助制動出力が出力されるように制御弁手段を作動制御する、
ことを特徴とする渦電流式減速装置、が提供される。
【0011】
本発明の他の局面によれば、車両の回転軸に連結された制動ドラムの内側に配置されたケースと、ケース内に回動自在に支持されかつ周方向に間隔をおいて複数の磁石が配設された可動支持筒と、シリンダ内でピストンを往復移動させて可動支持筒を正逆回動させ制動と非制動との切換を行なう流体圧シリンダ機構とを備えた渦電流式減速装置において、
ピストンを移動させる制御弁手段と、制御弁手段を作動制御する制御手段とが備えられ、制御手段は、ある車速において、フットブレーキの現ペダルストロークにおける主制動出力と、車両の減速度を考慮した要求制動出力と、要求制動出力と主制動出力との差に相当する補助制動出力とを算出し、該補助制動出力が出力されるように制御弁手段を作動制御する、
ことを特徴とする渦電流式減速装置、が提供される。
【0012】
本発明の更に他の局面によれば、車両の回転軸に連結された制動ドラムの内側に配置されたケースと、ケース内に軸方向移動自在に支持されかつ周方向に間隔をおいて複数の磁石が配設された可動支持筒と、シリンダ内でピストンを往復移動させて可動支持筒を軸方向に往復移動させ制動と非制動との切換を行なう流体圧シリンダ機構とを備えた渦電流式減速装置において、
ピストンを移動させる制御弁手段と、制御弁手段を作動制御する制御手段とが備えられ、制御手段は、ある車速において、フットブレーキの現ペダルストロークにおける主制動出力と、車両の減速度を考慮した要求制動出力と、要求制動出力と主制動出力との差に相当する補助制動出力とを算出し、該補助制動出力が出力されるように制御弁手段を作動制御する、
ことを特徴とする渦電流式減速装置、が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による渦電流式減速装置の好適実施形態を添付図面を参照して更に詳細に説明する。なお、図1〜図17において実質上同一部分は同一符号で示されている。また、本明細書において、「渦電流式減速装置」を「リターダ」と称する場合がある。図1及び図2を参照して、図示しない車両、例えばトラックにおけるトランスミッションの出力軸(回転軸)2には、半径方向外方に延びるフランジ部4が取り付けられている。フランジ部4には、パーキングブレーキ用の制動ドラム6と、渦電流式減速装置用のロータである制動ドラム7とが複数のボルト8により共締めされている。以上の構成により制動ドラム7は出力軸2に連結される。制動ドラム7は鉄等の透磁率の大なる強磁性体から形成されている。制動ドラム7の半径方向外側及び軸方向の外側には複数の冷却フィン9が一体に設けられている。制動ドラム7の内側(環状空間の内側)には、中空円環状のケース10が同軸に配設されている。ケース10はそのほぼ全体が制動ドラム7の内側に配置されている。図示しないミッションケースに装着されたケース10は、全体がほぼ円筒形状をなす外周壁12と、外周壁12よりも小径の内周壁14と、外周壁12及び内周壁14の軸方向両端においてそれらを連結するように配設された円環状の端壁16及び18とから構成されている。外周壁12は図1に示すように制動ドラム7の内側に配置されかつ制動ドラム7の内周面に近接して配置されている。外周壁12と端壁16、内周壁14と端壁18は、それぞれ一体に形成され、これら二つの構成部材は複数のボルトにより結合されている。ケース10は、後述する強磁性部材28の各々を除き、全体が例えばアルミニウムなどの非磁性体から構成されている。ケース10の円環状の中空部は、図1に示すように縦断面がほぼ矩形状をなしている。
【0014】
ケース10の内周壁14には、それぞれ強磁性体からなる静止支持筒20と可動支持筒22とが軸方向に並列して支持されている。静止支持筒20は端壁18及び内周壁14に固定され、可動支持筒22は内周壁14に一対のベアリング24を介して正逆回動可能に支持されている。円筒形状をなす静止支持筒20及び可動支持筒22の各々の外周部には、周方向に等間隔をおいて複数の磁石26が配設されている。磁石26の各々は、ほぼ直方体形状をなす永久磁石から構成され、それぞれ半径方向両端に磁極面を有している。磁石26の各々は、周方向に隣合う相互の磁極が互いに異極(N−S)となるように配列されている。磁石26の各々は、静止支持筒20及び可動支持筒22間で並列しうるよう(隣接しうるよう)配設されている(換言すれば、互いに同じ形態で配列されている)。
【0015】
ケース10の外周壁12には、周方向に間隔をおいて複数の強磁性部材28が鋳込まれることにより一体に配設されている。強磁性部材28の各々は外周壁12の一部により周方向に仕切られている。強磁性部材28の各々は、静止支持筒20及び可動支持筒22間で並列される磁石26の各々に対応してその一方(静止支持筒20)から他方(可動支持筒22)にわたって軸方向に延在するよう外周壁12に配設されている。したがって、外周壁12の強磁性部材28の各々は、静止支持筒20及び可動支持筒22の各々間で並列される磁石26の各々の半径方向外側の磁極面と制動ドラム7の内周面にそれぞれ面するよう配置されている。強磁性部材28の各々の内周面は外周壁12の内周面と実質上同一面上に位置付けられ、また各々の外周面は外周壁12の外周面と実質上同一面上に位置付けられている。したがって、外周壁12の、強磁性部材28の各々が一体に配設された部分は、強磁性部材28の各々を含めて肉厚がその全周にわたって実質上一定に形成される。図示の実施形態においては、外周壁12における強磁性部材28の各々、強磁性部材28の各々を周方向に仕切る外周壁12の一部の各々、静止支持筒20及び可動支持筒22における磁石26の各々の周方向長さ、及び磁石26の各々の周方向間隔は、それぞれ実質上同一に規定されている。
【0016】
図1及び図2と共に図4を参照して、渦電流式減速装置には、後に詳述するように連続可変に制御することができる、制動ON−OFF装置が配設され、制動ON−OFF装置には、可動支持筒22を静止支持筒20に対して正逆回動させて制動と非制動との切換を行なうアクチュエータである流体圧シリンダ機構が含まれている。流体圧シリンダ機構は、図示の実施形態においてはエアシリンダ機構30からなる。エアシリンダ機構30は、ケース10に付設されたエアシリンダ(以下、単に「シリンダ」と略称する)32と、シリンダ32内に摺動自在に収容されたピストン34と、ピストン34に連結されたピストンロッド36と、ピストンロッド36と可動支持筒22とを図示しないユニバーサルジョイントを介して連結する連結アーム38とを備えている。シリンダ32内はピストン34により二つの室に区画される。連結アーム38は、ケース10の端壁16に、図1において表裏方向に延在するよう形成されたスリットを貫通して、ピストンロッド36の先端からケース10の中空部内に延びるよう配設されている。シリンダ32の軸線は、可動支持筒22の接線方向と一致するよう配置される。エアシリンダ機構30は、周方向に等間隔をおいて複数個、例えば2個配置されることが好ましい。
【0017】
制動ON−OFF装置にはまた、ピストン34を移動させる制御弁手段と、制御弁手段を作動制御する制御手段100とが備えられている。制御弁手段は、図4の実施形態においては、サーボバルブ40から構成されている。それ自体は周知の構成を利用することでよいサーボバルブ40と、シリンダ32内の二つの室とは、流体流路であるエア流路41及び42を介して接続され、サーボバルブ40と流体圧供給源であるエアタンクTとは、流体流路であるエア流路43を介して接続され、サーボバルブ40と大気とは、流体流路であるエア流路44を介して接続されている。エアタンクTは、エア流路45を介して流体圧発生源であるエアコンプレッサCに接続されている。
【0018】
制御手段100は、マイクロコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)、制御プログラムを格納するROM、演算結果等を格納する読み書き可能なRAM、タイマ、カウンタ、入力インターフェース及び出力インターフェース等を備えている。図示しない車両であるトラックには、クラッチスイッチSW1、アクセルスイッチSW2、ニュートラルスイッチSW3、リバーススイッチSW4、リターダスイッチSW5、フットブレーキのペダルストロークセンサS1、車速センサS2、上記シリンダ32におけるピストンストロークセンサS3が配設されている。上記制御手段100の入力インターフェースには、上記スイッチSW1〜SW5、センサS1〜S3等からの検出信号が入力され、出力インターフェースからサーボバルブ40に制御信号が出力される。サーボバルブ40は、ばね手段により通常は図示の中立位置に位置付けられる。サーボバルブ40が中立位置に位置付けられた状態では、エア流路41、42、43及び44は閉じられる。サーボバルブ40は、制御手段100から出力される制御信号に基づいてピストン34を所定のストローク位置に移動させ、ピストン34を該所定の位置に保持することができる。
【0019】
上記のように構成された渦電流式減速装置は、図示しないフットブレーキの作動に連動して補助制動が作動させられるよう(例えば、フットブレーキペダルが踏み込まれるとリターダスイッチSW5がONとなるよう)構成されている。また、上記制御手段100は、ある車速において、フットブレーキの現ペダルストロークにおける主制動出力と、車両の減速度を考慮した要求制動出力と、要求制動出力と主制動出力との差に相当する補助制動出力とを算出し、該補助制動出力が出力されるように制御弁手段(図4に示す実施形態においてはサーボバルブ40)を作動制御するよう構成されている。以下に、主として図5及び図4を参照して、制御手段100の作動手順について説明する。
【0020】
ステップN1において、制御手段100は、クラッチスイッチSW1がOFFであるか否かをチェックする。クラッチスイッチSW1がOFFでないと判断した場合(ONの場合)は待ち、OFFと判断した場合にはステップN2に進む。ステップN2において、制御手段100は、アクセルスイッチSW2がOFFであるか否かをチェックする。アクセルスイッチSW2がOFFでないと判断した場合はステップN1に戻り、以上の動作を繰り返す。ステップN2においてアクセルスイッチSW2がOFFと判断した場合には、ステップN3に進む。ステップN3において、制御手段100は、ニュートラルスイッチSW3がOFFであるか否かをチェックする。ニュートラルスイッチSW3がOFFでないと判断した場合はステップN1に戻り、以上の動作を繰り返す。ステップN3においてニュートラルスイッチSW3がOFFと判断した場合には、ステップN4に進む。制御手段100はステップN4において、リバーススイッチSW4がOFFであるか否かをチェックする。リバーススイッチSW4がOFFでないと判断した場合はステップN1に戻り、以上の動作を繰り返す。ステップN4においてリバーススイッチSW4がOFFと判断した場合にはステップN5に進む。ステップN5において、制御手段100は、リターダスイッチSW5がONであるか否かをチェックする。リターダスイッチSW5がONでないと判断した場合はステップN1に戻り、以上の動作を繰り返す。ステップN5においてリターダ作動スイッチSW5がONと判断した場合にはステップN6に進む。なお、本発明の実施形態においては、リターダスイッチSW5は、フットブレーキの作動に連動してONするよう構成されている。
【0021】
制御手段100はステップN6において、フットブレーキの現ペダルストロークを検出する。ペダルストロークの検出はペダルストロークセンサS1により行なわれる。なおペダルストロークの検出手段としては、可変抵抗を利用して直接検出する手段(例えばポテンショメータ)の他に、エア圧力センサ(エア−オイルブレーキにおけるエア圧力センサ)あるいは油圧センサ(ブレーキの作動油圧センサ)等が一般的である。制御手段100は、ステップN7に進んで車速を検出する。車速の検出は車速センサS2により行なわれる。制御手段100はステップN8において主制動出力を算出する。ここで主制動出力とはフットブレーキの、あるペダルストロークにおける制動出力を意味するものであって、次の式で表すことができる。
Wm=T・Rp/C1
上記式において、
Wm:主制動出力(フットブレーキの制動出力)〔kw〕
T:フットブレーキの制動トルク〔kg−m〕
Rp:ホイル回転数〔rpm〕
C1:出力換算係数=973.76
である。
フットブレーキの制動トルクTは、フットブレーキのペダルストロークを一定にすると、ホイルの回転数にかかわらず、図示しないブレーキシリンダにおけるピストンの押付け力が一定になると仮定して、一定の値に換算することができる。ここで横軸にホイル回転数Rp〔rpm〕をとり、縦軸に主制動出力(フットブレーキの制動出力)Wm〔kw〕をとると、上記式からWmとRpとの関係を一次式で表すことができる。図17における直線Wmは、このような一次式を典型的に示したものである。
【0022】
なお、図17において、線Rmは、リターダの全補助制動出力を典型的に示したものである。リターダの全補助制動出力とは、エアシリンダ機構30のピストン34がフルストローク移動したときのリターダの制動出力を意味するもので、先に述べた従来の渦電流式減速装置における制動出力は、常にこのような線Rmで示される全補助制動出力となる。リターダの全補助制動出力Rmは、ホイルの低回転域(車速に換算すると、例えば20km/h以下)に設けられたリターダの不作動領域を越えたホイルの、ある回転数において立ち上がり、そこからホイルの回転数の増加にしたがって緩やかなカーブを描きながら上昇するような特性線図として示すことができる。したがって、従来装置において、フットブレーキの作動時にリターダが作動すると、トータル制動出力は、常に、主制動出力Wmにリターダの全補助制動出力Rmが加えられた線図Wm+Rmとして示されるような制動出力となる。その結果、Wm+Rmが、その時点において車両に本来要求される制動出力、すなわち要求制動出力を上回る場合が生じ、その結果、効き過ぎとなる場合が生ずることになるのである。
【0023】
そこで、本発明においては、制御手段100が、先ずステップN9において車両の減速度を考慮した要求制動出力を算出する。要求制動出力は、後述するように計算式によって算出することが可能であるが、図18に示すようなグラフ(マップ)によって求めることも可能である。図18は、あるホイル回転数N(ホイル回転数N〔rpm〕は車速から算出することができる)におけるフットブレーキのペダルストローク〔mm〕を縦軸にとり、また車両の減速度〔α m/s2〕を横軸にとることにより両者の関係を典型的に表したもので、実用上、このようなマップは成立する。したがって、ステップN7において検出された車速から減速度を算出し、算出された減速度に対応するペダルストローク量を図18に示すマップから求め、このペダルストローク量に相当する制動出力〔kw〕を要求制動出力と規定して、上記式から算出することができる。図17において、ホイル回転数がNのとき、現ペダルストロークにおける主制動出力Wmは点Bで示され、トータル制動出力Wm+Rmは点Aで示され、要求制動出力の範囲は、点Aと点Bとの間のいずれか、例えば点Cに位置付けられる。
【0024】
ステップN9において、要求制動出力を算出した後、制御手段100はステップN10において、要求制動出力と現ペダルストロークにおける主制動出力Wmとの差に相当する補助制動出力を算出する。この補助制動出力は、渦電流式減速装置によって出力される制動出力〔kw〕を意味するものであって、図17における点Cで示される要求制動出力と点Bで示される現ペダルストロークにおける主制動出力との差(点C−点B)に相当する。あるホイル回転数における補助制動出力は、ピストン34の位置(ストローク位置)に換算することができる。なお、要求制動出力が点A以上の場合には点Aに位置付け、点B以下の場合には点Bに位置付けるようその値を補正する。次いで制御手段100はステップN11に進み、上記補助制動出力が出力されるようにサーボバルブ40に制御信号を出力して作動させる。すなわち上記補助制動出力に対応した位置までピストン34が移動させられるように、サーボバルブ40を作動させる。サーボバルブ40が作動させられることにより、ピストン34によって区画されたシリンダ32内の一方の室(図4において右側の室)には、エア流路43及び41を介してエアタンクTから圧力エアが供給され、シリンダ32内の他方の室(図4において左側の室)は、エア流路42及び44を介して大気に開放される。ピストン34は、ホームポジション(図4において右端位置)から所定の位置(ストローク位置)まで図4において左方に向かって移動させられる。ピストン34が所定の位置まで移動させられると、ピストンストロークセンサ(位置検出センサ)S3からの検出信号に基づいて、サーボバルブ40はエア流路41〜44を閉じ、ピストン34は所定の位置に停止させられる。
【0025】
上記説明から容易に理解されるように、実施形態におけるように、要求制動出力が渦電流式減速装置の全補助制動出力を要求しない場合には、ピストン34は、フルストローク移動させられることなく、フルストローク位置よりも短縮された所定の部分ストローク位置まで移動させられる。その結果、可動支持筒22及びその磁石26の各々は一体に一方向に、図1及び図2に示す非制動位置から磁石26の各々における1ピッチよりも短い距離、すなわち部分ピッチだけ回動させられる(図3参照)。可動支持筒22における磁石26の各々は、静止支持筒20の磁石26の各々の同極側と部分的に並列して位置付けられる(周方向位置が相互に所定量だけずれた形態で位置付けられる)。ケース10の外周壁12に配設された強磁性部材28の各々は、静止支持筒20における磁石26の各々の半径方向外側の磁極面に対しては実質上整合して面するよう相対的に位置付けられるが、可動支持筒22の磁石26の各々の半径方向外側の磁極面に対しては周方向の一部を除く他の部分だけが整合して面するよう相対的に位置付けられる。その結果、可動支持筒22及びその磁石26の各々と制動ドラム7との間、及び、静止支持筒20及びその磁石26の各々と制動ドラム7との間に、それぞれ外周壁12の対応する強磁性部材28を介して磁気回路が形成されるので、それに対応して制動ドラム7に渦電流が発生し、制動ドラム7に対する制動が作動させられる。しかしながら、可動支持筒22における磁石26の各々は外周壁12の対応する強磁性部材28に対し、上記したように周方向の全面が整合することなく、部分的に整合するよう相対的に位置付けられるので、可動支持筒22における磁石26の各々の磁力の一部は、外周壁12の対応する強磁性部材28に対し実質上その作用を及ぼさなくなる。渦電流式減速装置において得られる補助制動出力は、ピストン34のフルストローク時において得られる全補助制動出力よりも弱側に調整された補助制動出力(図17において、点C−点Bに相当する補助制動出力)となるのである。
【0026】
次に制御手段100は、ステップN12に進んでフットブレーキの現ペダルストロークを更に検出した後、ステップN13において、フットブレーキの現ペダルストロークに変化があるかないかを判断する。この判断は、ステップN12において検出された現ペダルストロークとステップN6において検出されたペダルストロークとを比較することにより行なわれる。現ペダルストロークに変化があると判断した場合には、制御手段100はステップN7に戻ってステップN7からステップN12までの動作を繰り返す。制御手段100は、現ペダルストロークに変化がないと判断した場合には、ステップN14に進んでピストン34の現位置を保持する。ピストン34の現位置の保持は、サーボバルブ40に新たな作動のための制御信号を出力しない限り継続される。なお上記ステップN7〜12までの繰り返し動作において、ピストン34を上記した移動位置から補助制動出力が減少(ダウン)する方向、すなわち図4において右方向に移動させるようサーボバルブ40が作動させられた場合には(要求制動出力が先の要求制動出力よりも少なくなるよう算出された場合には)、ピストン34によって区画されたシリンダ32内の他方の室(図4において左側の室)には、エア流路43及び42を介してエアタンクTから圧力エアが供給され、シリンダ32内の一方の室(図4において右側の室)は、エア流路41及び44を介して大気に開放される。ピストン34は、上記した移動位置から新たな所定の位置まで図4において右方に向かって移動させられることになる。
【0027】
本発明による上記渦電流式減速装置においては、ピストン34を移動させるサーボバルブ40(制御弁手段)と、サーボバルブ40を作動制御する制御手段100とが備えられ、制御手段100は、ある車速において、フットブレーキの現ペダルストロークにおける主制動出力と、車両の減速度を考慮した要求制動出力と、要求制動出力と主制動出力との差に相当する補助制動出力とを算出し、該補助制動出力が出力されるようにサーボバルブ40を作動制御するよう構成されているので、制動出力(補助制動出力)を連続可変に制御することができ、しかもその可変量を自動的に調整することができる。換言すれば、フットブレーキの主制動出力に補助制動出力を加えたトータル制動出力が、実質上、要求制動出力と一致しうるよう、補助制動出力を連続可変に制御することができる。すなわち、フットブレーキの主制動出力に補助的に付加される渦電流式減速装置の制動が効き過ぎて(主制動出力に補助制動出力を加えたトータル制動出力が要求制動出力を上回ってしまい)走行車両を過剰に減速させる、という不具合が解消されるので、無駄な制動が防止され、効率的な制動が可能となる。その結果、車両に必要以上の減速、したがって加速を繰り返させることもなくなり、燃料消費量を節減することができる。また、渦電流式減速装置のエアシリンダ機構を作動させるためのエアの消費量も節減することができる。更にはまた、渦電流式減速装置の制動ドラムの温度を無駄に上昇させることも防止され、制動力の低下をも防止できる。更にはまた、補助制動出力を連続可変に制御することができるので、制動時におけるフィーリングが向上する。図1〜図5に示す実施形態においては、制御弁手段として1個のサーボバルブ40を使用するだけの簡単なレイアウトにより、精度の高いピストンストローク制御を可能にするものである。なお、図示のサーボバルブ40は代表的な形態のものであって、サーボバルブそれ自体の実施形態はこれに限定される理由はない。
【0028】
図6には、渦電流式減速装置における制動ON−OFF装置の他の実施形態が示されている。この制動ON−OFF装置に備えられている制御弁手段は、それぞれ、それ自体は周知の構成を利用することでよい、ダブルソレノイド形の電磁比例制御弁、更に正確には、比例電磁式方向・流量制御弁(以下単に比例制御弁と略称する)50及び51から構成されている。シリンダ32内の一方の室は、エア流路41を介して比例制御弁50と接続され、比例制御弁50は、エア流路52を介してエアタンクTに接続されると共にエア流路53を介して大気に連通されている。シリンダ32内の他方の室は、エア流路42を介して、比例制御弁51に接続されている。比例制御弁51は、エア流路54を介してエアタンクTに接続されると共にエア流路55を介して大気に連通されている。
【0029】
比例制御弁50は、ソレノイドに通電されない状態(作動停止状態)では、ばね手段によって図示の閉路位置(中立位置)に位置付けられる。比例制御弁50が閉路位置に位置付けられると、エア流路41、52及び53が遮断され、シリンダ32内の一方の室とエアタンクT及び大気との連通が遮断される。比例制御弁50は、ソレノイドの一方に通電されると圧力エア供給位置に位置付けられる。比例制御弁50が圧力エア供給位置に位置付けられると、エア流路41と52とが連通されると共にエア流路53が遮断されて、シリンダ32内の一方の室とエアタンクTとが連通されると共に大気との連通が遮断される。比例制御弁50は、ソレノイドの他方に通電されると大気開放位置に位置付けられる。比例制御弁50が大気開放位置に位置付けられると、エア流路41と53とが連通されると共にエア流路52が遮断されて、シリンダ32内の一方の室と大気とが連通される共にエアタンクTとの連通が遮断される。
【0030】
他方、比例制御弁51は、ソレノイドに通電されない状態(作動停止状態)では、ばね手段によって図示の閉路位置(中立位置)に位置付けられる。比例制御弁51が閉路位置に位置付けられると、エア流路42、54及び55が遮断され、シリンダ32内の他方の室とエアタンクT及び大気との連通が遮断される。比例制御弁51は、ソレノイドの一方に通電されると圧力エア供給位置に位置付けられる。比例制御弁51が圧力エア供給位置に位置付けられると、エア流路42と54とが連通されると共にエア流路55が遮断されて、シリンダ32内の他方の室とエアタンクTとが連通されると共に大気との連通が遮断される。比例制御弁51は、ソレノイドの他方に通電されると大気開放位置に位置付けられる。比例制御弁51が大気開放位置に位置付けられると、エア流路42と55とが連通されると共にエア流路54が遮断されて、シリンダ32内の他方の室と大気とが連通されると共にエアタンクTとの連通が遮断される。
【0031】
以下、主として図6及び図7を参照して、制御弁手段が比例制御弁50及び51から構成された渦電流式減速装置の制御手段100の作動手順について説明する。ステップN1〜ステップN10までの作動手順及びその内容は、図5を参照して説明したものと実質上同じであり、更なる説明は省略する。制御手段100は、ステップN11において、シリンダ32内の一方の室に圧力エアが供給されるように比例制御弁50を作動させ、ステップN12において、シリンダ32内の他方の室が大気に連通されるように比例制御弁51を作動させる。ピストン34は先の実施形態と同じように所定の位置に向けて図6において左方に向かって移動を開始する。制御手段100はステップN13において、ピストン34が所定の位置に達したか否かをチェックする。制御手段100は、ピストンストロークセンサS3からの検出信号に基づいて、ピストン34が所定の位置に達していないと判断した場合には待ち、ピストン34が所定の位置に達したと判断した場合にはステップN14に進んで、比例制御弁50の上記作動を停止させ、シリンダ32内の一方の室と大気及びエアタンクTとの連通を遮断し、更にステップN15に進んで、比例制御弁51の上記作動を停止させ、シリンダ32内の他方の室と大気及びエアタンクTとの連通を遮断する。ピストン34は所定の位置に停止させられる。これにより渦電流式減速装置がステップN10において算出した補助制動出力を出力する位置まで、可動支持筒22が回動させられ、停止させられる。渦電流式減速装置は該補助制動出力を出力し、車両全体としては、フットブレーキの主制動出力と合わせた要求制動出力が出力されることになる。
【0032】
次に制御手段100はステップN16に進んでフットブレーキの現ペダルストロークを更に検出した後、ステップN17において、フットブレーキの現ペダルストロークに変化があるかないかを判断する。この判断は、ステップN16において検出された現ペダルストロークとステップN6において検出されたペダルストロークとを比較することにより行なわれる。制御手段100は、現ペダルストロークに変化がないと判断した場合には、ステップN18に進んでピストン34の現位置を保持する。ピストン34の現位置の保持は、比例制御弁50及び51に新たな作動のための制御信号を出力しない限り継続される。現ペダルストロークに変化があると判断した場合には、制御手段100はステップN19、ステップN20、ステップN21、ステップN22の順に作動を行なう。このステップN19〜ステップN22の作動内容は、先に詳述したステップN7〜ステップN10の作動内容と実質上同じであり、更なる説明は省略する。
【0033】
制御手段100はステップN23において、新たに算出された補助制動出力が先の補助制動出力よりも小さいか否か(ダウンしているか否か)を判断する。制御手段100は、補助制動出力が先の補助制動出力よりもダウンしていない、したがってアップしていると判断した場合には、ステップN11に戻ってそれ以降の手順に従って作動を行い、補助制動出力が先の補助制動出力よりもダウンしていると判断した場合には、ステップN24に進む。制御手段100はステップN24において、シリンダ32内の他方の室に圧力エアが供給されるように比例制御弁51を作動させ、ステップN25において、シリンダ32内の一方の室が大気に連通されるように比例制御弁50を作動させる。ピストン34は上記移動位置から新たな所定の位置に向かって、すなわち図6において右方に向かって移動を開始する。制御手段100はステップN26において、ピストン34が所定の位置に達したか否かをチェックする。制御手段100は、ピストン34が所定の位置に達していないと判断した場合には待ち、ピストン34が所定の位置に達したと判断した場合にはステップN27に進んで、比例制御弁51の上記作動を停止させ、シリンダ32内の他方の室と大気及びエアタンクTとの連通を遮断し、更にステップN28に進んで、比例制御弁50の上記作動を停止させ、シリンダ32内の一方の室と大気及びエアタンクTとの連通を遮断する。ピストン34は新たな所定の位置に停止させられる。これにより渦電流式減速装置がステップN22において算出した補助制動出力を出力する位置まで、可動支持筒22が上記とは逆方向に回動させられ、停止させられる。渦電流式減速装置は先の補助制動出力よりもダウンした該補助制動出力を出力することになる。次に制御手段100はステップN16に戻り、それ以降の手順に従って作動を行なう。
【0034】
図6及び図7に示す実施形態においては、制御弁手段として2個の比例制御弁50及び51を使用するよう構成されているので、エアの流量を適宜に制御することができる。したがって、ピストン34の移動速度を最適に設定することが容易に可能になり、また、エアタンクTにおいて設定されたエア圧に対応して最適なエア流量となるような制御が可能になり、異なった仕様を有するエアタンクTを備えた複数の種類の車両に対しても、共通の比例制御弁を使用することが可能になり、実用上有用である。またオールポートブロック(中立位置)の場合にはピストンの位置を保持する上で有利である。比例制御弁50又は51はシングルソレノイド形であってもよい。また、図6及び図7に示す実施形態において、比例制御弁50又は51を、比例制御弁ではなく、比例制御を除いては同様な圧力エア供給、大気開放及び閉路の機能を有する単なる電磁制御弁(例えば、図8を参照して後述する電磁制御弁60)に置き換える、他の実施形態もある。この実施形態においても、制御弁手段として2個の比例制御弁50及び51を使用する、先の実施形態に近い作用効果を得ることができる。更にはまた、図6及び図7に示す実施形態において、上記比例制御弁50及び51に代えて、それ自体は周知の構成を利用することでよい3方向比例制御弁(圧力エア供給及び大気開放の機能を有する比例制御弁であって上記比例制御弁50及び51のオールポートブロック機能を除去した形態の比例制御弁56及び57(図8参照)を使用し、ピストン34の位置を制御する他の実施形態もある。更にはまた、図8に示す比例制御弁56及び/又は57を、比例制御弁ではなく、比例制御を除いては同様な圧力エア供給及び大気開放の機能を有する単なる電磁制御弁に置き換える他の実施形態もある。これら図8に示す実施形態及びその上記変形例によれば、図6及び図7に示す実施形態よりも簡単な構成でかつより高速な制御が可能となる。更にはまた、図6及び図7に示す実施形態において、上記比例制御弁50及び51に代えて、又はその一方を、それ自体は周知の構成を利用することでよい図示しない高速オンオフ電磁弁(圧力エア供給及び大気開放の機能を有し、デジタル信号により制御される電磁弁)を使用し、ピストン34の位置を制御する他の実施形態もある。この実施形態によれば高速で精度の高い位置制御が可能になる。図6及び図7に示す実施形態を含む渦電流式減速装置は、図1〜図5を参照して説明した渦電流式減速装置と実質上同じ特徴ある基本構成を備えているので、実質上同一の作用効果が得られることはいうまでもない。このことは、後述する他の全ての実施形態について同じである。
【0035】
図9には渦電流式減速装置における制動ON−OFF装置の更に他の実施形態が示されている。この制動ON−OFF装置に備えられている制御弁手段は、それぞれ、それ自体は周知の構成を利用することでよい、ダブルソレノイド形の電磁式制御弁、更に正確には、電磁式方向制御弁(以下単に制御弁と略称する)60、電磁式開閉弁(以下単に開閉弁と略称する)61及び62から構成されている。シリンダ32内の一方の室は、エア流路41を介して制御弁60に接続され、制御弁60は、エア流路63を介してエアタンクTに接続されると共にエア流路64を介して大気に連通されている。シリンダ32内の他方の室は、エア流路42を介して開閉弁61及び62に接続されている。開閉弁61は、エア流路65及び63を介してエアタンクTに接続されると共にエア流路42を介して開閉弁62に接続されている。開閉弁62はエア流路66を介して大気に連通されている。
【0036】
制御弁60は、ソレノイドに通電されない状態(作動停止状態)では、ばね手段によって図示の閉路位置(中立位置)に位置付けられる。制御弁60が閉路位置に位置付けられると、エア流路41、63及び64が遮断され、シリンダ32内の一方の室とエアタンクT及び大気との連通が遮断される。制御弁60は、ソレノイドの一方に通電されると圧力エア供給位置に位置付けられる。制御弁60が圧力エア供給位置に位置付けられると、エア流路41と63とが連通されると共にエア流路64が遮断されて、シリンダ32内の一方の室とエアタンクTとが連通されると共に大気との連通が遮断される。制御弁60は、ソレノイドの他方に通電されると大気開放位置に位置付けられる。制御弁60が大気開放位置に位置付けられると、エア流路41と64とが連通されると共にエア流路63が遮断されて、シリンダ32内の一方の室と大気とが連通されると共にエアタンクTとの連通が遮断される。
【0037】
開閉弁61は、ソレノイドに通電されない状態では、ばね手段によって図示の閉路位置に位置付けられ、ソレノイドに通電されると開路位置に位置付けられる。開閉弁61が閉路位置に位置付けられると、エア流路42と65との連通は遮断されるので、シリンダ32内の他方の室とエアタンクTとの連通は遮断される。また開路位置に位置付けられると、エア流路42と65とは連通させられて、シリンダ32内の他方の室とエアタンクTとは連通させられる。他方、開閉弁62は、ソレノイドに通電されない状態では、ばね手段によって図示の閉路位置に位置付けられ、ソレノイドに通電されると開路位置に位置付けられる。開閉弁62が図示の閉路位置に位置付けられると、エア流路42と66との連通は遮断されるので、シリンダ32内の他方の室と大気との連通は遮断される。また開路位置に位置付けられると、エア流路42と66とは連通させられて、シリンダ32内の他方の室と大気とは連通させられる。
【0038】
以下、主として図9、図10及び図11を参照して、制御弁手段が制御弁60、開閉弁61及び62から構成された渦電流式減速装置の制御手段100の作動手順について説明する。ステップN1〜ステップN10までの作動手順及びその内容は、図5を参照して説明したものと実質上同じであり、更なる説明は省略する。制御手段100は、ステップN11において、シリンダ32内の一方の室に圧力エアが供給されるように制御弁60を作動させ、ステップN12において、シリンダ32内の他方の室が大気に連通されるように開閉弁62を作動させる。ピストン34は先の実施形態と同じように所定の位置に向けて図9において左方に向かって移動を開始する。制御手段100はステップN13において、ピストン34が所定の位置に達したか否かをチェックする。制御手段100は、ピストンストロークセンサS3からの検出信号に基づいて、ピストン34が所定の位置に達していないと判断した場合には待ち、ピストン34が所定の位置に達したと判断した場合にはステップN14に進んで、制御弁60の上記作動を停止させ、シリンダ32内の一方の室とエアタンクTとの連通を遮断し、更にステップN15に進んで、開閉弁62の上記作動を停止させ、シリンダ32内の他方の室と大気との連通を遮断する。ピストン34は所定の位置に停止させられる。これにより渦電流式減速装置がステップN10において算出した補助制動出力を出力する位置まで、可動支持筒22が回動させられ、停止させられる。渦電流式減速装置は該補助制動出力を出力し、車両全体としては、フットブレーキの主制動出力と合わせた要求制動出力が出力されることになる。
【0039】
次に制御手段100はステップN16に進んでフットブレーキの現ペダルストロークを更に検出した後、ステップN17において、フットブレーキの現ペダルストロークに変化があるかないかを判断する。この判断は、ステップN16において検出された現ペダルストロークとステップN6において検出されたペダルストロークとを比較することにより行なわれる。制御手段100は、現ペダルストロークに変化がないと判断した場合には、ステップN18に進んでピストン34の現位置を保持する。ピストン34の現位置の保持は、制御弁60、開閉弁61及び62に新たな作動のための制御信号を出力しない限り継続される。現ペダルストロークに変化があると判断した場合には、制御手段100はステップN19、ステップN20、ステップN21、ステップN22の順に作動を行なう。このステップN19〜ステップN22の作動内容は、先に詳述したステップN7〜ステップN10の作動内容と実質上同じであり、更なる説明は省略する。
【0040】
制御手段100はステップN23において、新たに算出された補助制動出力が先の補助制動出力よりも小さいか否か(ダウンしているか否か)を判断する。制御手段100は、補助制動出力が先の補助制動出力よりもダウンしていない、したがってアップしていると判断した場合には、ステップN11に戻ってそれ以降の手順に従って作動を行い、補助制動出力が先の補助制動出力よりもダウンしていると判断した場合には、ステップN24に進む。制御手段100はステップN24において、シリンダ32内の他方の室に圧力エアが供給されるように開閉弁61を作動させ、ステップN25において、シリンダ32内の一方の室が大気に連通されるように制御弁60を作動させる。ピストン34は上記移動位置から新たな所定の位置に向かって、すなわち図9において右方に向かって移動を開始する。制御手段100はステップN26において、ピストン34が所定の位置に達したか否かをチェックする。制御手段100は、ピストン34が所定の位置に達していないと判断した場合には待ち、ピストン34が所定の位置に達したと判断した場合にはステップN27に進んで、開閉弁61の上記作動を停止させ、シリンダ32内の他方の室とエアタンクTとの連通を遮断し、更にステップN28に進んで、制御弁60の上記作動を停止させ、シリンダ32内の一方の室と大気との連通を遮断する。ピストン34は新たな所定の位置に停止させられる。これにより渦電流式減速装置がステップN22において算出した補助制動出力を出力する位置まで、可動支持筒22が上記とは逆方向に回動させられ、停止させられる。渦電流式減速装置は先の補助制動出力よりもダウンした該補助制動出力を出力することになる。次に制御手段100はステップN16に戻り、それ以降の手順に従って作動を行なう。
【0041】
図9〜図11に示す実施形態においては、制御弁手段として制御弁60、開閉弁61及び62を使用するよう構成されているので、比較的簡単な構成により実用化が可能になり、特に開閉弁61及び62は弁自体の構成が簡単であるので、制御弁手段全体を比較的低コストで実用化することができる。なお、制御弁60はシングルソレノイド形であってもよい。また図9に示す実施形態において、制御弁60に代えて先に述べたような比例制御弁50又は51を使用する実施形態もある。あるいはまた、図9に示す実施形態において、開閉弁61及び62に代えて制御弁60を使用する実施形態もある。
【0042】
図12には渦電流式減速装置における制動ON−OFF装置の更に他の実施形態が示されている。この制動ON−OFF装置に備えられている制御弁手段は、それぞれ、それ自体は周知の構成を利用することでよい、4個の電磁式開閉弁(以下単に開閉弁と略称する)70、71、72及び73から構成されている。シリンダ32内の一方の室は、エア流路41を介して開閉弁70及び71に接続されている。開閉弁70は、エア流路74を介してエアタンクTに接続されると共にエア流路41を介して開閉弁71に接続されている。開閉弁71はエア流路75を介して大気に連通されている。シリンダ32内の他方の室は、エア流路42を介して、開閉弁72及び73に接続されている。開閉弁72は、エア流路76及び74を介してエアタンクTに接続されると共にエア流路42を介して開閉弁73に接続されている。開閉弁73は、エア流路77を介して大気に連通されている。
【0043】
開閉弁70は、ソレノイドに通電されない状態では、ばね手段によって図示の閉路位置に位置付けられ、ソレノイドに通電されると開路位置に位置付けられる。開閉弁70が閉路位置に位置付けられると、エア流路41と74との連通が遮断されるので、シリンダ32内の一方の室とエアタンクTとの連通は遮断される。また開位置に位置付けられると、エア流路41と74とは連通させられて、シリンダ32内の一方の室とエアタンクTとは連通させられる。開閉弁71は、ソレノイドに通電されない状態では、ばね手段によって図示の閉路位置に位置付けられ、ソレノイドに通電されると開路位置に位置付けられる。開閉弁71が図示の閉路位置に位置付けられると、エア流路41と75との連通は遮断されるので、シリンダ32内の一方の室と大気との連通は遮断される。また開路位置に位置付けられると、エア流路41と75とは連通させられて、シリンダ32内の一方の室と大気とは連通させられる。開閉弁72は、ソレノイドに通電されない状態では、ばね手段によって図示の閉路位置に位置付けられ、ソレノイドに通電されると開路位置に位置付けられる。開閉弁72が閉路位置に位置付けられると、エア流路42と76との連通は遮断されるので、シリンダ32内の他方の室とエアタンクTとの連通は遮断される。また開路位置に位置付けられると、エア流路42と76とは連通させられて、シリンダ32内の他方の室とエアタンクTとは連通させられる。他方、開閉弁73は、ソレノイドに通電されない状態では、ばね手段によって図示の閉路位置に位置付けられ、ソレノイドに通電されると開路位置に位置付けられる。開閉弁73が図示の閉路位置に位置付けられると、エア流路42と77との連通は遮断されるので、シリンダ32内の他方の室と大気との連通は遮断される。また開路位置に位置付けられると、エア流路42と77とは連通させられて、シリンダ32内の他方の室と大気とは連通させられる。
【0044】
以下、主として図12、図13及び図14を参照して、制御弁手段が開閉弁70、71、72及び73から構成された渦電流式減速装置の制御手段100の作動手順について説明する。ステップN1〜ステップN10までの作動手順及びその内容は、図5を参照して説明したものと実質上同じであり、更なる説明は省略する。制御手段100は、ステップN11において、シリンダ32内の一方の室に圧力エアが供給されるように開閉弁70を作動させ、ステップN12において、シリンダ32内の他方の室が大気に連通されるように開閉弁73を作動させる。ピストン34は先の実施形態と同じように所定の位置に向けて図12において左方に向かって移動を開始する。制御手段100はステップN13において、ピストンストロークセンサS3からの検出信号に基づいて、ピストン34が所定の位置に達したか否かをチェックする。制御手段100は、ピストン34が所定の位置に達していないと判断した場合には待ち、ピストン34が所定の位置に達したと判断した場合にはステップN14に進んで、開閉弁70の上記作動を停止させ、シリンダ32内の一方の室とエアタンクTとの連通を遮断し、更にステップN15に進んで、開閉弁73の上記作動を停止させ、シリンダ32内の他方の室と大気との連通を遮断する。ピストン34は所定の位置に停止させられる。これにより渦電流式減速装置がステップN10において算出した補助制動出力を出力する位置まで、可動支持筒22が回動させられ、停止させられる。渦電流式減速装置は該補助制動出力を出力し、車両全体としては、フットブレーキの主制動出力と合わせた要求制動出力が出力されることになる。
【0045】
次に制御手段100はステップN16に進んでフットブレーキの現ペダルストロークを更に検出した後、ステップN17において、フットブレーキの現ペダルストロークに変化があるかないかを判断する。この判断は、ステップN16において検出された現ペダルストロークとステップN6において検出されたペダルストロークとを比較することにより行なわれる。制御手段100は、現ペダルストロークに変化がないと判断した場合には、ステップN18に進んでピストン34の現位置を保持する。ピストン34の現位置の保持は、開閉弁70〜73に新たな作動のための制御信号を出力しない限り継続される。現ペダルストロークに変化があると判断した場合には、制御手段100はステップN19、ステップN20、ステップN21、ステップN22の順に作動を行なう。このステップN19〜ステップN22の作動内容は、先に詳述したステップN7〜ステップN10の作動内容と実質上同じであり、更なる説明は省略する。
【0046】
制御手段100はステップN23において、新たに算出された補助制動出力が先の補助制動出力よりも小さいか否か(ダウンしているか否か)を判断する。制御手段100は、補助制動出力が先の補助制動出力よりもダウンしていない、したがってアップしていると判断した場合には、ステップN11に戻ってそれ以降の手順に従って作動を行い、補助制動出力が先の補助制動出力よりもダウンしていると判断した場合には、ステップN24に進む。制御手段100はステップN24において、シリンダ32内の他方の室に圧力エアが供給されるように開閉弁72を作動させ、ステップN25において、シリンダ32内の一方の室が大気に連通されるように開閉弁71を作動させる。ピストン34は上記移動位置から新たな所定の位置に向かって、すなわち図12において右方に向かって移動を開始する。制御手段100はステップN26において、ピストン34が所定の位置に達したか否かをチェックする。制御手段100は、ピストン34が所定の位置に達していないと判断した場合には待ち、ピストン34が所定の位置に達したと判断した場合にはステップN27に進んで、開閉弁72の上記作動を停止させ、シリンダ32内の他方の室とエアタンクTとの連通を遮断し、更にステップN28に進んで、開閉弁71の上記作動を停止させ、シリンダ32内の一方の室と大気との連通を遮断する。ピストン34は新たな所定の位置に停止させられる。これにより渦電流式減速装置がステップN22において算出した補助制動出力を出力する位置まで、可動支持筒22が上記とは逆方向に回動させられ、停止させられる。渦電流式減速装置は先の補助制動出力よりもダウンした該補助制動出力を出力することになる。次に制御手段100はステップN16に戻り、それ以降の手順に従って作動を行なう。
【0047】
図12〜図14に示す実施形態においては、制御弁手段として4個の開閉弁70、71、72及び73を使用するよう構成されており、開閉弁70〜73は弁自体の構成が簡単であり、しかも共通部品から構成することができる。したがって、比較的簡単な構成により実用化が可能になり、制御弁手段全体を比較的低コストで実用化することができる。
【0048】
本発明は、上記形態の渦電流式減速装置に限定されるものではなく、他の形態の渦電流式減速装置にも適用可能である。例えば図1〜図14を参照して説明した実施形態において、ケース10内に可動支持筒22のみを正逆回動可能に支持し、静止支持筒20を排除した形態の渦電流式減速装置にも適用可能である。図15を参照して、ケース10内には、可動支持筒22のみが正逆回動自在に支持されている。可動支持筒22の外周部には周方向に間隔をおいて複数の永久磁石26が配設されている。ケース10の外周壁12には、周方向に間隔をおいて複数の強磁性部材28が鋳込まれることにより一体に配設されている。強磁性部材28の各々は、可動支持筒22に支持された磁石26の各々の半径方向外側の磁極面と制動ドラム7の内周面とにそれぞれ面するよう配置されている。可動支持筒22がエアシリンダ機構30によって正逆回動させられることにより、制動と非制動との切換えが行なわれる。非制動時には、可動支持筒22の磁石26の各々は、外周壁12の、強磁性部材28の各々を周方向に相互に仕切る部分に面する非制動位置に位置付けられる。上記ピストン34のフルストローク時には、可動支持筒22の磁石26の各々は、外周壁12の対応する強磁性部材28に対し、実質上完全に整合して面するよう位置付けられる。またピストン34がフルストローク未満のストローク位置まで移動させられた時には、可動支持筒22の磁石26の各々は、外周壁12の対応する強磁性部材28に対し、周方向の一部を除いた残りの部分が整合するように位置付けられる。以上の説明から明らかなように、それ自体は周知の構成を有する上記形態の渦電流式減速装置においても、先に述べたようなエアシリンダ機構30を含む制動ON−OFF装置を適用することができ、実質上、先に述べたと同じ作用効果を達成することができる。
【0049】
本発明はまた、ケース内に可動支持筒を軸方向に往復移動自在に支持した形態の渦電流式減速装置にも適用可能である。図16を参照して、ケース10内には、可動支持筒22が、周方向にではなく、軸方向に往復移動可能に支持されている。可動支持筒22の外周部には、周方向に間隔をおいて複数の磁石26が配設されている。ケース10の外周壁12には、周方向に間隔をおいて複数の強磁性部材28が鋳込まれることにより一体に配設されている。強磁性部材28の各々は、可動支持筒22に支持された磁石26の各々の半径方向外側の磁極面と制動ドラム7の内周面とにそれぞれ面するよう配置されている。可動支持筒22がエアシリンダ機構30によって軸方向に往復移動させられることにより、制動と非制動との切換えが行なわれる。非制動時には、可動支持筒22は磁石26の各々と共に軸方向に制動ドラム7の外側に退避した非制動位置に位置付けられる。上記ピストン34のフルストローク時には、可動支持筒22は磁石26の各々と共に軸方向に制動ドラム7の外側から内側に移動させられ、可動支持筒22の磁石26の各々が、外周壁12の対応する強磁性部材28に対し、実質上完全に整合して面するように位置付けられる。またピストン34がフルストローク未満のストローク位置まで移動させられた時には、可動支持筒22の磁石26の各々は、外周壁12の対応する強磁性部材28に対し、軸方向の一部を除いた残りの部分が整合するように位置付けられる。以上の説明から明らかなように、それ自体は周知の構成を有する上記形態の渦電流式減速装置においても、先に述べたようなエアシリンダ機構30を含む制動ON−OFF装置を適用することができ、実質上、先に述べたと同じ作用効果を達成することができる。なお図16に示す実施形態においては、制動ドラム7の内周面に近接した、ケース10の外周壁12を薄板により形成する実施形態もある。
【0050】
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の種々の変形あるいは修正が可能である。例えば、上記要求制動出力は、図18に示すようなマップによって求めることも可能であるが、計算により算出することももちろん可能である。具体的には、
要求制動出力(減速時における車両の制動出力)=(転がり抵抗+空気抵抗+登坂抵抗+加速抵抗)×車速
の計算式により計算することができる。なお本明細書において、「算出」とは、計算式からある数値を求める場合に限定されるものではなく、予め記憶されたマップから求める場合、あるいは両者から求める場合をも含め、広い意味で使用している。また制御手段100による制御弁手段の制御において、バルブの種類によっては(例えば、比例制御弁50、51、56及び57、制御弁60、開閉弁61、62、70、71、72及び73等のバルブ)、バルブの作動時間を算出し、該作動時間に従ってバルブを作動させる制御形態ももちろん考えられる。更にはまた、制御弁手段の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成することが可能であれば、どのようなバルブの組合せであってもよい。更にはまた、上記実施形態において、制動ON−OFF装置は圧力エアにより制御されるよう構成されているが、これに代えて油圧により制御する実施形態も、もちろん成立する。その場合、図示の実施形態における「大気開放」は、オイルタンクへの「リターン」となる。更にはまた、上記実施形態においては、可動支持筒22及び/又は静止支持筒20に配設された磁石26の各々は、半径方向両端に磁極面を有するよう構成(配置)されているが、これに代えて、磁石26の各々が周方向両端に磁極面を有するよう構成(配置)される実施形態もある。更にはまた、上記実施形態における渦電流式減速装置は、図示しないフットブレーキの作動に連動して補助制動が作動させられるよう構成されているが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、フットブレーキの作動と渦電流式減速装置の作動とが独立して行なわれる場合にも適用できる。
【0051】
【発明の効果】
本発明による渦電流式減速装置によれば、制動出力を連続可変に制御することができ、しかもその可変量を自動的に調整することができ、その結果、無駄な制動を防止して効率的な制動を可能にする。また、制動時におけるフィーリングを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による渦電流式減速装置の実施形態の要部を示す縦断面図であって非制動状態を示す縦断面図。
【図2】図1に示す渦電流式減速装置の要部を示す横断面図。
【図3】図1に示す渦電流式減速装置の制動状態を示す要部横断面図であって、図4に示す態様の制動ON−OFF装置により作動させられた制動状態を示す要部横断面図。
【図4】図1に示す渦電流式減速装置に備えられた制動ON−OFF装置の実施形態を示す構成概略図。
【図5】図4に示す制動ON−OFF装置における制御手段の作動手順の一部を概略的に示すフローチャート。
【図6】制動ON−OFF装置の他の実施形態を示す構成概略図。
【図7】図6に示す制動ON−OFF装置における制御手段の作動手順の一部を概略的に示すフローチャート。
【図8】制動ON−OFF装置の更に他の実施形態を示す構成概略図。
【図9】制動ON−OFF装置の更に他の実施形態を示す構成概略図。
【図10】図9に示す制動ON−OFF装置における制御手段の作動手順の一部を概略的に示すフローチャート。
【図11】図9に示す制動ON−OFF装置における制御手段の作動手順の一部を概略的に示すフローチャート。
【図12】制動ON−OFF装置の更に他の実施形態を示す構成概略図。
【図13】図12に示す制動ON−OFF装置における制御手段の作動手順の一部を概略的に示すフローチャート。
【図14】図12に示す制動ON−OFF装置における制御手段の作動手順の一部を概略的に示すフローチャート。
【図15】本発明による渦電流式減速装置の他の実施形態の要部を示す縦断面図。
【図16】本発明による渦電流式減速装置の更に他の実施形態の要部を示す縦断面図。
【図17】本発明を説明するための線図であって、あるブレーキペダルストロークにおける制動出力とホイルの回転数との関係等を典型的に示す線図。
【図18】本発明を説明するための他の線図であって、あるホイル回転数におけるブレーキペダルストロークと車両の減速度との関係を典型的に示す線図。
【符号の説明】
7 制動ドラム
10 ケース
12 外周壁
20 静止支持筒
22 可動支持筒
26 磁石
28 強磁性部材
30 エアシリンダ機構
32 エアシリンダ
34 ピストン
40 サーボバルブ
50、51、56、57 電磁比例制御弁
60 電磁制御弁
61、62、70、71、72、73、74 電磁開閉弁
100 制御手段
S1 ブレーキのペダルストロークセンサ
S2 車速センサ
S3 ピストンストロークセンサ

Claims (3)

  1. 車両の回転軸に連結された制動ドラムの内側に配置されたケースと、ケース内に軸方向に並列して支持された静止支持筒及び可動支持筒と、支持筒の各々に周方向に間隔をおいて配設されかつ支持筒の各々間で並列される複数の磁石と、シリンダ内でピストンを往復移動させて可動支持筒を正逆回動させ制動と非制動との切換を行なう流体圧シリンダ機構とを備えた渦電流式減速装置において、
    ピストンを移動させる制御弁手段と、制御弁手段を作動制御する制御手段とが備えられ、制御手段は、ある車速において、フットブレーキの現ペダルストロークにおける主制動出力と、車両の減速度を考慮した要求制動出力と、要求制動出力と主制動出力との差に相当する補助制動出力とを算出し、該補助制動出力が出力されるように制御弁手段を作動制御する、
    ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 車両の回転軸に連結された制動ドラムの内側に配置されたケースと、ケース内に回動自在に支持されかつ周方向に間隔をおいて複数の磁石が配設された可動支持筒と、シリンダ内でピストンを往復移動させて可動支持筒を正逆回動させ制動と非制動との切換を行なう流体圧シリンダ機構とを備えた渦電流式減速装置において、
    ピストンを移動させる制御弁手段と、制御弁手段を作動制御する制御手段とが備えられ、制御手段は、ある車速において、フットブレーキの現ペダルストロークにおける主制動出力と、車両の減速度を考慮した要求制動出力と、要求制動出力と主制動出力との差に相当する補助制動出力とを算出し、該補助制動出力が出力されるように制御弁手段を作動制御する、
    ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  3. 車両の回転軸に連結された制動ドラムの内側に配置されたケースと、ケース内に軸方向移動自在に支持されかつ周方向に間隔をおいて複数の磁石が配設された可動支持筒と、シリンダ内でピストンを往復移動させて可動支持筒を軸方向に往復移動させ制動と非制動との切換を行なう流体圧シリンダ機構とを備えた渦電流式減速装置において、
    ピストンを移動させる制御弁手段と、制御弁手段を作動制御する制御手段とが備えられ、制御手段は、ある車速において、フットブレーキの現ペダルストロークにおける主制動出力と、車両の減速度を考慮した要求制動出力と、要求制動出力と主制動出力との差に相当する補助制動出力とを算出し、該補助制動出力が出力されるように制御弁手段を作動制御する、
    ことを特徴とする渦電流式減速装置。
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