JP4009385B2 - 金属物品の脱脂洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質を含有する水を原料として有隔膜電解することによって得られたアルカリ性の電解水を用いた金属物品の脱脂洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
脱脂洗浄には、フロン113や1,1,1−トリクロロエタンがその優れた脱脂性と不燃性の故に長年用いられてきた。近年に至り、オゾン層破壊問題が人類全体の重大事として顕在化し、1987年のモントリオール議定書によりオゾン破壊物質の生産及び消費を最終的に中止することが決定された。フロン113を含む特定フロンや1,1,1−トリクロロエタンの生産は1995年度末で禁止され、それらに代わるべき脱フロン洗浄技術の開発が進められてきたが、未だに決定的な代替法が見つかっていないのが現状である。
【0003】
代替洗浄剤は、水系、準水系、非水系に大別される。水系には、アルカリ系洗浄剤、中性洗浄剤、酸系洗浄剤があり、不燃性で人体への害も少ないが、水系であるため本質的に金属の腐食を引き起こしやすい。そのため、リンス工程、防錆工程、乾燥工程が必要となり、排水処理も省略できず、品質コストバランスにおいて劣る。
【0004】
準水系洗浄剤は、水と炭化水素やグリコールエーテル、メチルピロリドンなどの可燃性溶剤を組合せ、界面活性剤を添加したものである。脱脂力がやや弱く、可燃性溶剤を含むため潜在的に引火の危険性があり、かつ、リンス工程、乾燥工程が必要で排水処理も省略できない点は水系と同じである。
【0005】
非水系洗浄剤には、アルコール系、炭化水素系、シリコン溶剤系があるが、いずれも引火性であって消防法の規制を受け、防火・防爆対策が必要である。炭化水素系の場合は油性のミストや臭気が発生することがあり、排気対策が必要となる。
【0006】
一方、特開平9−137287号には、鉄加工品の洗浄を行うに当り、まず酸性電解水によって洗浄を行った後、アルカリ性の電解水で洗浄を行う方法が開示されている。この方法においては、酸性電解水とアルカリ性電解水での洗浄をこの順序で組合わせることが必須条件であって、2種類の洗浄水による最低2回の洗浄が必須であるために、装置が煩雑となり、特に経済性の点で難点がある。
【0007】
また、特開平10−192860号には、電解アルカリ性水による金属洗浄に当り、洗浄後の金属を発錆させないために、電解アルカリ性水中の残留塩素濃度を低位に抑える方法が開示されている。残留塩素は活性酸素の一形態であり、強力な酸化作用をその特徴とする物質ないしイオンであって、金属の発錆に有害な唯一絶対のイオンとはいえない。
【0008】
このように、従来の代替技術は、いずれも品質、経済性、安全性を総合的に満足するに至っていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、品質、経済性、安全性を総合的に満足する金属物品の脱脂洗浄方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/リットル以上、5ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃度が1ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄することを特徴とする金属物品の脱脂洗浄方法を提供するものである。
【0011】
上記第1の発明によれば、特定範囲のナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度及び塩素イオン濃度を有し、特定範囲のpHとされたアルカリ性の電解水を用いることにより、被洗浄物品の表面に付着した油分を効果的に剥離除去できると共に、被洗浄物品の表面性状の劣化を抑えることができる。
【0012】
また、本発明の第2は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、カルシウムイオン濃度が0.5ミリモル/リットル以上、10ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄することを特徴とする金属物品の脱脂洗浄方法を提供するものである。
【0013】
上記第2の発明によれば、被洗浄物品表面から剥離した油分が水中で乳化分散してW/O型のミセルを形成し、被洗浄物品表面に再付着することを防止して、油分の剥離除去効果を高めることができる。また、カルシウムイオンと油分との反応により形成された高分子化合物によって洗浄後の物品表面に薄い膜を形成することにより、大気中の水分の浸透を防止し、物品表面性状の劣化を防止することができる。
【0014】
更に、本発明の第3は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/リットル以上、5ミリモル/リットル以下、カルシウムイオン濃度が0.5ミリモル/リットル以上、10ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄することを特徴とする金属物品の脱脂洗浄方法を提供するものである。
【0015】
上記第3の発明によれば、微量ナトリウムイオンや微量カリウムイオンの油分剥離効果及びカルシウムイオンの油分捕捉・安定化効果、表面性状劣化防止効果を組合せて、より一層効果的に金属部品を脱脂洗浄することができる。
【0016】
更にまた、本発明の第4は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/リットル以上、5ミリモル/リットル以下、カルシウムイオン濃度が0.5ミリモル/リットル以上、10ミリモル/リットル以下、(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度)/(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度+カルシウムイオン濃度)がモル濃度比で0.2以上0.8以下、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄することを特徴とする金属物品の脱脂洗浄方法を提供するものである。
【0017】
上記第4の発明によれば、洗浄水中のナトリウムイオン+カリウムイオンとカルシウムイオンの濃度を前記発明と同様に特定すると共に、(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度)/(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度+カルシウムイオン濃度)のモル濃度比を0.2以上0.8以下としたことにより、上記第1から第3の発明において述べてきた、油分剥離効果及び油分捕捉・安定化効果、表面性状劣化防止効果が総合的に発揮される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の金属物品の脱脂洗浄方法に用いる電解水は、水道水又は純水に必要に応じて塩化ナトリウムや炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムなどのナトリウム塩、カリウム塩、更には塩化カルシウムなどのカルシウム塩を添加した水を、陽極と陰極との間にイオン透過性の隔膜を有する電解槽を用いて電解し、陰極室側に生成した水(アルカリ性の電解水)を採取・調製することにより得ることができる。この電解装置としては、例えば特開平9−137287号等に記載された装置を採用することができる。この場合、本発明では、電解に供する水に溶解している各塩の濃度や、電解条件等を適宜選択することにより、所定の種類のイオンを所定濃度で含有し、かつ、所定pHを有するアルカリ性の電解水を製造する。
【0019】
本発明の第1は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/リットル以上、5ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃度が1ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄する。
【0020】
本発明者等は鋭意研究の結果、アルカリ性の電解水を用いて脱脂洗浄を行うに当り、被洗浄物品の表面に付着した油分を剥離するには、微量のナトリウムイオンやカリウムイオンが有効であり、かつ両イオンは等価に作用することを見出した。この場合、油分剥離に有効に機能するナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度の下限値は0.2ミリモル/リットルである。
【0021】
一方、洗浄水中にナトリウムイオンやカリウムイオンが過度に含まれると洗浄後の物品の表面性状に悪影響を及ぼし、物品が金属であれば発錆を促進する。この悪影響を発現させないためのナトリウムイオン+カリウムイオンの上限値は5ミリモル/リットルである。
【0022】
また、塩素イオンの存在は物品の表面性状に著しい悪影響を与える。以上に述べてきたような条件を満足する場合でも、塩素イオン濃度が1ミリモル/リットルを超えると、脱脂洗浄後の表面性状劣化が起こりやすくなるため、塩素イオン濃度は1ミリモル/リットル以下に抑える必要がある。
【0023】
洗浄水のpHは、以上に述べた微量ナトリウムイオンやカリウムイオンの油分剥離効果を有効ならしめるための条件としてpH9以上、被洗浄物品の表面性状に悪影響を及ぼさないための条件としてpH12以下、が必要である。
【0024】
また、本発明の第2は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、カルシウムイオン濃度が0.5ミリモル/リットル以上、10ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄する。
【0025】
アルカリ性の電解水を用いて脱脂洗浄を行う場合に、被洗浄物品表面から剥離した油分は水中で乳化分散されるが、その過程においてO/W型のみならず、一部W/O型のミセルを形成する。このW/O型ミセルは付着力に富み、これが被洗浄物品表面に再付着するとその完全再脱離はきわめて困難である。
【0026】
本発明者等はこのW/O型ミセルの形成・再付着を防止すべく鋭意研究を重ねた結果、アルカリ性電解水中に0.5ミリモル/リットル以上のカルシウムイオンを含有せしめることにより、被洗浄物表面への付着力に富んだW/O型ミセルの形成を防止しうることを発見した。これは、カルシウムイオンと油分との反応によりカルシウム石鹸などの高分子の3次元ネットワーク構造が形成され、その中に油分が捕捉・安定化されることによる。
【0027】
また、カルシウムイオンにはナトリウムイオンに類似した油分剥離促進効果があり、この場合に有効に機能するカルシウムイオン濃度の下限値は0.5ミリモル/リットルである。
【0028】
一方、このカルシウムを含む高分子化合物ははっ水性に富み、洗浄後の物品表面に薄い膜を形成することにより、大気中の水分の浸透を防止し、よって洗浄後の物品表面性状の劣化を防止する。
【0029】
カルシウムイオンが10ミリモル/リットルを超える高濃度になると、この高分子ネットワークの形成が阻害され、油分捕捉及び表面性状劣化防止の効果を発揮しにくくなるため、カルシウムイオン濃度は10ミリモル/リットル以下に抑える必要がある。
【0030】
以上に述べてきたような条件を満足する場合でも、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットルを超えると、脱脂洗浄後の物品の表面性状劣化が起こりやすくなるため、塩素イオン濃度は2ミリモル/リットル以下に抑える必要がある。
【0031】
また、電解水のpHについては、以上に述べたカルシウムイオンの油分剥離及び捕捉・安定化効果を有効ならしめるための条件としてpH9以上、被洗浄物品の表面性状に悪影響を及ぼさないための条件としてpH12以下、が必要である。
【0032】
本発明の第3は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/リットル以上、5ミリモル/リットル以下、カルシウムイオン濃度が0.5ミリモル/リットル以上、10ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄する。
【0033】
第3の発明では、微量ナトリウムイオンや微量カリウムイオンの油分剥離効果及びカルシウムイオンの油分捕捉・安定化効果、表面性状劣化防止効果を組合せて、より優れた脱脂洗浄効果、洗浄後の表面性状劣化防止効果を得ることができる。
【0034】
上記第3の発明の効果を発揮するためには、第1及び第2の発明について述べたのと同じ理由によって、概洗浄水中のナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度、カルシウムイオン濃度及びpHの上下限、及び塩素イオン濃度の上限を前記指定の範囲に制御する必要がある。
【0035】
本発明の第4は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/リットル以上、5ミリモル/リットル以下、カルシウムイオン濃度が0.5ミリモル/リットル以上、10ミリモル/リットル以下、(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度)/(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度+カルシウムイオン濃度)がモル濃度比で0.2以上0.8以下、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄する。
【0036】
上記第4の発明による洗浄水では、(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度)/(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度+カルシウムイオン濃度)のモル濃度比を0.2以上0.8以下としたことにより、油分剥離効果及び油分捕捉・安定化効果、表面性状劣化防止効果が総合的に発揮される。
【0037】
第4の発明の効果を発揮するためには、本発明の第1、第2及び第3について述べたのと同じ理由で、該洗浄水中のナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度、カルシウムイオン濃度及びpHの上下限、及び塩素イオン濃度の上限、を前記指定の範囲に調節する必要がある。
【0038】
本発明の洗浄方法は特に限定されないが、例えば、被洗浄物品を脱脂洗浄水に浸漬して、超音波を付加して洗浄する方法や、被洗浄物品に向けて脱脂洗浄水をシャワー洗浄する方法などが採用される。
【0039】
【実施例】
実施例1
純水に塩化ナトリウムを0.15〜3.5mM(実施例 1-3の場合は更に塩化カリウム0.3mM程度)を添加した水を、特開平9−137287号に記載された陽極と陰極の間にイオンを透過する隔膜を有する電解装置により、電流密度0.3〜1A/dm2、電圧25〜60Vで電解し、陰極室側に生成したアルカリ性の電解水を採取することによって、表1に示すイオン濃度及びpHの各脱脂洗浄水を得た。
【0040】
得られた各洗浄水を用い、以下に述べるような方法で脱脂洗浄の試験を行った。被洗浄物は、電気亜鉛めっき鋼板(30×50×1 mm)であり、プレス加工油(大同化学工業製、ダイドローHBCC-1)に浸漬して表裏面に十分塗油した後、容量500mLのビーカー中で475mLの洗浄水に浸漬し、周波数27.5kHzの超音波を付加して1分間洗浄を行った。洗浄終了後、25%墨汁水溶液に浸漬し、1分間浸漬後引き上げて自然乾燥し、被洗浄物面が墨汁水溶液で覆われる状況を観察して、脱脂洗浄の度合を判定した。
【0041】
洗浄終了後、墨汁水溶液に浸漬することなく自然乾燥を行った試片を、温度50℃、湿度98%の雰囲気内に96時間保持する湿潤試験を行い、保持終了後の発錆状況を観察して、脱脂洗浄後の試片の防錆力を判定した。上記脱脂洗浄水の化学成分、洗浄試験及び湿潤試験の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
本発明の各請求項の洗浄水を用いる洗浄方法は、前述の材料や方法に限定されるものではなく、一般の被洗浄物品に対し、通常用いられるスプレー洗浄などの方法においても優れた効果を発揮する。
【0044】
実施例2
実施例1と同様な方法で、表2に示したイオン濃度及びpHの脱脂洗浄水を得た。但し、実施例2-2においては、純水に炭酸水素ナトリウム0.15mMを添加した水を電解した。こうして得られた実施例2-1、2-2の脱脂洗浄水を用い、実施例1と同様に塗油した電気亜鉛めっき鋼板に対して、吐出圧力1.5kgf/cm2Gのノズルを用いて30秒間のスプレー洗浄を行い、洗浄試験及び湿潤試験を行った。上記脱脂洗浄水の化学成分、洗浄試験及び湿潤試験の結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
また、実施例2-1及び2-2の洗浄水を用い、プラスチックの薄板に対して同様のスプレー洗浄を行った結果も良好であって、表面の脱脂が十分行われること、及び表面性状に悪影響のないことが確認された。
【0047】
更に、表2の実施例2-1、及び2-2の試料について洗浄後のイオン残査を測定したところ、0〜180mg/m2と従来の洗浄法に比べきわめて低位であることが確認された。
【0048】
このように、本発明の洗浄水は、従来の水系洗浄剤に比べて、含有するイオンの量がごく微量であるという特徴を有する。このことは、環境負荷のきわめて小さい洗浄水であると同時に、洗浄後の物品に残留するイオン残査の量が少ないことを意味する。
【0049】
実施例3
純水に塩化カルシウムを0.5〜6.5mM添加した水を、実施例1と同様な方法で電解し、陰極室側に生成したアルカリ性の電解水を採取することによって、表3に示すイオン濃度及びpHの脱脂洗浄水を得た。
【0050】
得られた洗浄水を用い、実施例1と同様に、金属の脱脂洗浄試験及び湿潤試験を行った。洗浄水の化学成分、洗浄試験及び湿潤試験の結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
実施例4
水道水又は純水に、塩化ナトリウム及び/又は塩化カルシウム(実施例4-3、比較例4-2、4-3の場合は更に塩化カリウム)を添加した水を、実施例1と同様な方法で電解し、陰極室側に生成したアルカリ性の電解水を採取・調製することにより、表4に示すイオン濃度及びpHの脱脂洗浄水を得た。
【0053】
得られた洗浄水を用い、実施例1と同様に、金属の脱脂洗浄試験及び湿潤試験を行った。洗浄水の化学成分、洗浄試験及び湿潤試験の結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
実施例5
水道水又は純水に、塩化ナトリウム及び/又は塩化カルシウム(実施例5-3、比較例5-2、5-3の場合は更に塩化カリウム)を添加した水を、実施例1と同様な方法で電解し、陰極室側に生成したアルカリ性の電解水を採取・調製することにより、表5に示すイオン濃度及びpHの脱脂洗浄水を得た。
【0056】
得られた洗浄水を用い、実施例1と同様に、金属の脱脂洗浄試験及び湿潤試験を行った。洗浄水の化学成分、洗浄試験及び湿潤試験の結果を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
なお、実施例5-1〜5-3については、洗浄時間を1分間ではなく、30秒間に短縮して洗浄試験を行っても、洗浄試験及び湿潤試験の結果に変化はなく、良好な結果が得られた。
【0059】
また、表1〜表5に示した脱脂洗浄試験はすべて常温で実施したが、試みに洗浄水の温度を60℃に上げると、同等の洗浄効果を得るのに必要な洗浄時間がほぼ半分ないしそれ以下に減少することが判明した。したがって、洗浄水の温度を上げることは本発明の効果をより一層促進するのに有効である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アルカリ性の電解水を用いて脱脂洗浄を行うに当り、該洗浄水中に微量アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンをバランス良く存在せしめ、かつ塩素イオン濃度を低く抑え、pHを必要な範囲に制御することによって、物品を効率良く脱脂できるばかりでなく、洗浄後の物品に対し優れた表面性状劣化防止効果を与えることができる。
【0061】
また、本発明においては、1種類の洗浄水で1回洗浄すれば十分であって、予備洗浄や後洗浄が不必要であり、経済性においてもきわめて優れた洗浄水を与えることができる。
【0062】
更に、該洗浄水は微量のイオンを含むのみであって、環境に対し有害な有機溶剤や無機塩類を含有せず、洗浄後の物品表面のイオン残査を低く抑えることが可能であるなど、環境面でもきわめて優れた洗浄水を与えることができる。
Claims (4)
- ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/リットル以上、5ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃度が1ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄することを特徴とする金属物品の脱脂洗浄方法。
- ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、カルシウムイオン濃度が0.5ミリモル/リットル以上、10ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄することを特徴とする金属物品の脱脂洗浄方法。
- ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/リットル以上、5ミリモル/リットル以下、カルシウムイオン濃度が0.5ミリモル/リットル以上、10ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄することを特徴とする金属物品の脱脂洗浄方法。
- ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩から選ばれた1種以上を添加した水を電気分解して得られた、ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/リットル以上、5ミリモル/リットル以下、カルシウムイオン濃度が0.5ミリモル/リットル以上、10ミリモル/リットル以下、(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度)/(ナトリウムイオン濃度+カリウムイオン濃度+カルシウムイオン濃度)がモル濃度比で0.2以上0.8以下、塩素イオン濃度が2ミリモル/リットル以下、pHが9以上12以下の電解水を用いて、油が付着した金属製被洗浄物を、予備洗浄を行うことなく洗浄することを特徴とする金属物品の脱脂洗浄方法。
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