JP4009321B2 - ヴェルナー症候群に関する遺伝子および遺伝子産物 - Google Patents

ヴェルナー症候群に関する遺伝子および遺伝子産物 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は一般的に、ヴェルナー症候群に関し、そしてより具体的には、ヴェルナー症候群の診断および治療における使用に適切な方法および組成物に関する。
発明の背景
ヴェルナー症候群(WS)は、複合表現型を有する常染色体劣性障害である。この障害は、それ自身年齢関連疾患の早期発生、および正常な年齢のいくつかの身体的特徴の老化の早期出現において現れる。症状の始まりは、通常、青年期後に起こる。障害は、生涯を通じて進行し、そして代表的には、患者は、47歳での死の短くなった生命の平均余命(shorted life expectancy with a model age of death)を有する。ヴェルナー症候群の罹患率は、1,000個体あたり1〜5異種接合体、および1,000,000個体あたり1〜22の同種接合体であると評価されている。
ヴェルナー症候群の臨床的症状は、年齢関連疾患の罹患率および身体的特徴の老化の両方を含む。このような疾患は、動脈硬化症および心臓疾患、良性と悪性の両腫瘍(通常肉腫)、糖尿病、骨粗鬆症、および眼の白内障を含む。WS症候群の身体的外観は、しばしば、身長の低さ、早期の髪の毛の白髪化または脱毛、性機能低下症、変化した皮膚の色素沈着、過角化症、皮膚の角質化(tight skin)、鳥様顔(bird-like face)、皮膚アトピー、皮膚脚潰瘍(cutaneous leg ulcer)、および毛細血管拡張症として現れる。これらの疾患および特徴のほとんどは、WS患者の40〜90%に存在する。WSの診断は主に、一定の数のこれらの疾患および特徴の出現に頼っている。ある生化学的試験(尿のヒアルロン酸の過剰排泄)もまた、診断を手助けするために用いられ得る。
注目された老化のサインおよび徴候に加えて、ヴェルナー症候群は、WS被験体から単離された線維芽細胞の複製能力によって示されるような通常の老化を模倣する。これらの患者では、線維芽細胞の複製能力が、年齢適合コントロールから単離された線維芽細胞と比較して減少し、そして高齢の被験体から得られた線維芽細胞の複製能力に匹敵する。さらに、増加した変異率が、WS患者において説明されている。このような異常性は、染色体不安定性(例えば、逆位、相互転座、欠失、および偽二倍性)、およびヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子での増加した変異率として現れる。
ヴェルナー症候群は、常染色体劣性障害として認識されてきた。Gotoら(Gotoら、Nature 355:735-738,1992)は、21の罹患した日本人の家族を用いて、WS遺伝子を第8染色体の短腕にマップした。遺伝子は、マーカーD8S87とアンキリン(ANK1)との間に置かれる。より最近では、より精密なマッピングは、D8S131とマーカーD8S87との間の領域に、8.3cM間隔で、WS遺伝子を正確に置く。遺伝子および遺伝子産物の同定は、ヴェルナー症候群の基礎を理解するために相当に加えるべきであり、それにより生物学的および遺伝的アプローチを診断および治療に対して可能にする。
本発明は、新規な、以前には同定されていないヴェルナー症候群の遺伝子ならびにWSの診断および治療のための組成物を提供し、そして他の関連する利点をさらに提供する。
発明の要旨
簡単に述べれば、本発明はWRN遺伝子をコードする単離された核酸分子、ならびにその一部分、図に提供される代表的なものを提供する。WRN遺伝子によってコードされるタンパク質を、明細書では以後、「WRNタンパク質」という。他の実施態様において、(統計学的に有意な様式において)ヴェルナー症候群の確率を増加させる変異体WRN遺伝子産物をコードする核酸分子が提供される。このような変異体の代表的な例は、実施例3に提供される。
本発明の他の局面において、(a)図に示される単離された核酸分子、またはその相補配列、(b)高ストリンジェンシーな条件下で(a)の核酸分子に特異的にハイブリダイズする単離された核酸分子、およびWRN遺伝子産物(WRNタンパク質)をコードする単離された核酸からなる群より選択される、単離された核酸分子が提供される。本明細書中で利用されるように、このような配列を検出可能にハイブリダイズする場合、核酸分子は「特異的に」WRN遺伝子(または関連する配列)にハイブリダイズするが、ブルーム症候群遺伝子には顕著にまたは検出可能にハイブリダイズしないことが理解されるべきである(Ellisら、Cell 83:655-666,1995)。
他の局面において、発現ベクターが提供され、このベクターは上記の核酸分子の一つに作動可能に連結するプロモーターを含む。適切なプロモーターの代表例は、組織特異的プロモーター、ならびにCMV I-Eプロモーター、SV40初期プロモーター、およびMuLVLTRのようなプロモーターを含む。関連する局面において、上記の核酸分子の発現を指向し得るウイルスベクターが提供される。このようなウイルスベクターの代表例は、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびレトロウイルスベクターを含む。上記のベクターを有する宿主細胞(例えば、ヒト、イヌ、サル、ラット、またはマウス細胞)もまた、提供される。
本発明の他の局面において、単離されたタンパク質またはポリペプチドが提供され、それらは、WRN遺伝子産物、ならびに12、13、または20アミノ酸より大きいペプチドを含む。別の実施態様において、タンパク質はヴェルナー症候群の罹患率を増加させる変異体WRN遺伝子産物である。
本発明のさらなる別の局面において、ヴェルナー症候群(ならびに、以下により詳細に議論されている関連疾患)を処置するかまたは予防する方法が提供され、その方法は、上記の核酸分子を含むかまたは発現するベクターを患者に投与する工程を包含し、それによって患者におけるヴェルナー症候群(または関連疾患)の可能性を減少させるかまたは発症を遅らせる。関連する局面において、ヴェルナー症候群(または関連した疾患)を処置するかまたは防ぐ方法が提供され、その方法は、上記のタンパク質を患者に投与する工程を包含し、それによって患者におけるヴェルナー症候群(または関連疾患)の可能性を減少するかまたは発症を遅らせる。特定の実施態様において、上記の方法は、インビボでの投与によって達成され得る。
また、本発明によって、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤とともに、上記の核酸分子、ベクター、宿主細胞、タンパク質、または抗体を含む薬学的組
成物が提供される。
本発明の他の局面において、WRNタンパク質またはそれに由来する独特のペプチドに特異的に結合する抗体が提供される。本明細書中で利用されるように、抗体は、10-7Mまたはそれ以下(例えば、10-8M、10-9Mなど)のkdを有して検出可能に結合する場合、WRNタンパク質(またはペプチド)に特異的であるが、無関係のヘリカーゼには検出可能には(または、10-7M以上(例えば、10-6M、10-5Mの親和性を有して)結合しない(例えば、ブルーム症候群遺伝子、前出)。また、このような抗体を産生し得るハイブリドーマも提供される。
本発明の他の局面において、高ストリンジェンシーな条件下で、WRN遺伝子に特異的にハイブリダイズし得る(以下に示すように)核酸プローブが提供される。一つの関連する局面において、このようなプローブは、図に示されるヌクレオチド配列の少なくとも一部分、またはその相補配列を含み、そのプローブは、高ストリンジェンシーな条件下で、変異体WRN遺伝子に特異的にハイブリダイズし得る。本発明の代表的なプローブは、一般に、少なくとも12ヌクレオチド塩基対の長さであるが14、16、18、またはそれ以上の長さであり得る。また、本明細書中に開示されるいずれかの核酸分子の、全体または一部分を特異的に増幅させ得るプライマー対も提供される。
本発明の他の局面において、ヴェルナー症候群(または、関連する疾患)を罹患するための増加した可能性を有する患者を診断するための方法が提供され、その方法は、(a)核酸を含む生物学的試料を患者から得る工程、(b)核酸をハイブリダイゼーションを生じさせるのに適切な条件下および時間で、変異体WRN遺伝子に特異的にハイブリダイズし得るプローブを有する核酸をインキュベートする工程、および(c)ハイブリダイズしたプローブの存在を検出し、そしてそれによって、この患者がヴェルナー症候群(または関連する疾患)を罹患するための増加した可能性を有することを決定する工程を含む。別の局面において、(a)核酸を含む生物学的試料を患者から得る工程、(b)変異体WRN遺伝子に関連する選択された核酸配列を増幅する工程、および(c)増幅した核酸配列の存在を検出し、そしてそれによって、この患者がヴェルナー症候群(または関連する疾患)を罹患するための増加した可能性を有することを決定する工程を包含する方法が提供される。適切な生物学的試料は、末梢血、口腔スワブ(swab)、または脳組織から得られる有核細胞を含む。
別の局面において、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と組み合わせた、変異を含む変異体WRN遺伝子産物の一部分を含むペプチドワクチンが提供される。
さらに別の局面において、生殖細胞および体細胞が、遺伝子の発現に効果的なプロモーターに作動可能に連結するWRN遺伝子(または欠失したそれ自身、すなわち「ノックアウト」)を含み、その遺伝子が、動物、または動物の祖先に導入されるトランスジェニック動物が提供される。一つの局面において、動物は、マウス、ラット、またはイヌである。他の局面において、WRN遺伝子は、上記のベクターから発現される。さらに別の局面において、WRN遺伝子は、変異体WRN遺伝子産物をコードする。
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付した図面との参照の際明白になる。さらに、より詳細な一定の手順および組成物(例えば、プラスミドなど)を記載する種々の参考文献が本明細書中に示され、それゆえにその全体を参考として援用する。
図面および配列表の簡単な説明
図1は、WRN領域の遺伝子地図および物理地図である。この領域の遺伝子地図(A)は、cMで示される距離で性差はない。使用する多形座(B)は、ジヌクレオチドおよびトリヌクレオチド繰り返しSTRP座である。示される物理地図(C)は、重複非キメラYACの大きさから、ならびに重複P1クローン2233、2253、3833、2236、および3101からのゲノムDNA配列から測定されたおよその距離を有する。マーカー順序は、YAC、P1クローン、およびコスミドクローンの配列タグ部位(STS)内容、ならびにP1クローン由来のゲノムDNA配列から決定した。示されるYAC(D)は、最少のタイリング(tiling)を表し、そしてcDNA選択実験に使用するYACである。最少のタイリングの方針のために必要なP1およびコスミドクローンを示す(E)。示されるクローンは、8C11(コスミドクローン)を除くP1クローンである。クローン順序をSTS内容によって確立した。
図2Aおよび2Bは、DNA(配列番号70)およびWRN遺伝子転写産物の推定アミノ酸
(配列番号71)配列である。図2Bでは、一文字アミノ酸コードを使用する。
図3A〜3Cは、DNAおよび選択的WRN遺伝子転写産物の推定アミノ酸配列である(配列番号72および73)。
図4A〜4Gは、S.pombe、E.coli、ヒト由来の公知のヘリカーゼ(各配列番号76、配列番号75、配列番号77)およびブルーム症候群遺伝子「BLM」(配列番号78)とのWRN遺伝子産物(配列番号74)のアラインメントである。
図5A〜5Uは、WRN遺伝子を含む領域のゲノムDNA配列である(配列番号79)。
図6は、マウスWRN遺伝子のcDNA配列(配列番号205)および該cDNA配列にコードされると推定されるアミノ酸配列(配列番号206)を示す
図7は、マウスWRN遺伝子のゲノムDNA配列である(配列番号207〜同209)。
図8は、変異の位置を伴うWRN遺伝子産物の図である。A、WRN cDNA。上部の番号は、GeneBank L76937に番号づけられたcDNA配列をいう。B、推定WRN遺伝子産物。ヘリカーゼドメインを、「HD」と命名し、I〜VIのモチーフを示す。C、変異の位置。下部の番号は、変異を示す。*:ナンセンス変異。^:一塩基欠失によって生じるフレームシフト変異。灰色線:エキソンの欠失を生じるフレームシフト変異。D、推定タンパク質。線は、WRN遺伝子での変異から産生される異なった推定短縮タンパク質を示す。
図9A、9B、および9Cは、蛍光抗体染色(パネルA)よるWRN遺伝子産物の位置、核(パネルB)、およびWRN遺伝子を発現する細胞(パネルC)の大きさを示す顕微鏡写真である。
図10は、マウスWRN遺伝子産物およびヒトWRN遺伝子産物のアラインメントを示す。
発明の詳細な説明
定義
本発明を詳細に説明する前に、特定の用語の定義を記載し、そして以下に使用する略語を掲載しそして定義することは、その理解にとって有益であり得る。
遺伝子マーカー」は、リンクしたDNA配列、遺伝子、および/または他のマーカーの遺伝についての情報を提供するするための、ゲノムにおいて区別可能に特有で、かつ個体群において多形性である染色体の任意のセグメントである。
「ベクター」は、WRN遺伝子ならびに目的の任意のさらなる配列または遺伝子の発現を指向し得る集合をいう。ベクターは、目的の遺伝子と作動可能に連結される転写プロモータエレメントを含むべきである。ベクターは、デオキシリボ核酸(「DNA」)、リボ核酸(「RNA」)、または2つの組合せ(例えば、DNA-RNAキメラの)のいずれかから構成され得る。必要に応じて、ベクターは、ポリアデニル化配列、1以上の制限部位、ならびに一つ以上の選択マーカー(例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼまたはハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)を含み得る。さらに、選ぶ宿主細胞および用いるベクターに依存して、他の遺伝子エレメント(例えば、複製起点、さらなる核酸制限部位、エンハンサー、転写の誘導性を与える配列、および選択マーカーもまた、本明細書に記載されるベクターに取り込まれ得る。
略語:YAC、人工酵母染色体;EST、発現配列タグ;PCR、ポリメラーゼ連鎖反応;RT-PCR、第1の工程で、逆転写酵素(RT)を使用してRNAがまずDNAに転写されるPCRプロセス;cDNA、RNA配列をDNA形態にコピーすることによって作製される任意のDNA。
上記のように、本発明は、ウェルナー症候群ならびに関連する疾患の検出および治療のための方法および組成物を提供する。これらの方法および組成物は、ウェルナー症候群の発症に関係づけられているウェルナー症候群関連遺伝子のファミリーおよびそれによってコードされるタンパク質を含む。遺伝子マーカー、核酸配列、およびクローンを含むこれらの遺伝子およびタンパク質はまた、インビトロおよび動物モデルの作製ならびにウェルナー症候群の研究に有用なスクリーニング試験に有用である。これは、ウェルナー症候群に関係する他の遺伝子の可能な同定を含む。本発明はまた、ウェルナー症候群を罹患している可能性のある個体の同定のためのベクター構築物、遺伝子マーカー、核酸配列、クローン、診断試験、および組成物、ならびに方法を提供する。
ウェルナー症候群に関連する遺伝子および遺伝子産物
本発明は、WSの発症に関係する遺伝子の一部を含む単離された核酸分子を提供する。手短に言えば、図4に見られるように、この遺伝子は、いくつかの公知のATP依存性DNAヘリカーゼ(DNA二本鎖を巻き戻す酵素)に、アミノ酸配列において類似するタンパク質をコードする。それは、公知のRNA-DNAヘリカーゼとはあまり類似していない。ヘリカーゼは、DNAの複製に関与し、しばしば複製起点および/または複製複合体に結合する。さらに、組換えに関与する一本鎖DNAが、DNAヘリカーゼによって産生され得る。
WRN遺伝子(またはその一部)の種々の局面が図に示されるが、本発明の文脈において、これらの遺伝子の一つ以上への言及が、実質的にその遺伝子に類似する遺伝子の誘導体を含むことが理解されるはずである(そして適切な場合、その遺伝子およびその誘導体によってコードされるタンパク質(ペプチドおよびポリペプチドを含む))。本明細書中で使用されるように、ヌクレオチド配列は、以下の場合、「実質的に類似」すると考えられる。:(a)ヌクレオチド配列が、記載される遺伝子のコード領域に由来し、そして、例えば、上記の配列の部分または対立遺伝子改変を含むかあるいはヘリカーゼ様活性をコードする場合(Bjornsonら、Biochem. 3307:14306-14316, 1994);(b)ヌクレオチド配列が、高いまたは極めて高いストリンジェンシー下で(Sambrookら、Molecular Cloning: A Labolatory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, 1989を参照のこと)本発明のヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションし得る場合;または(c)核酸配列が、(a)または(b)で定義される核酸配列に遺伝子コードの結果として縮重する場合。さらに、本明細書中に開示される核酸分子は、配列が本明細書中に記載の基準を満たすならば、相補配列および非相補配列を含む。本発明の文脈において、高いストリンジェンシーは標準的なハイブリダイゼーション条件(例えば、65℃で5×SSPE、0.5%SDS、または等価な条件)を意味し、一方、極めて高いストリンジェンシーは、ヌクレオチド配列がWS関連遺伝子の1つの対立遺伝子に選択的にハイブリダイズし得るようなハイブリダイゼーションの条件を意味する。
WRN遺伝子は、ゲノムDNAまたはcDNAから単離され得る。染色体ベクター(例えば、YAC(人工酵母染色体)、バクテリオファージベクター(例えばλEMBL3、λgt10)、コスミド、またはプラスミド)で構築されたゲノムDNAライブラリーは、使用に適切である。バクテリオファージベクター、プラスミド、または他のベクターで構築されたcDNAライブラリーは、スクリーニングに適切である。このようなライブラリーは、当該分野で公知の方法および技術を使用して構築され得る(Sambrookら、Molecular Cloning: A Labolatory Manual, Cold Spring Harbor Press, 1989を参照のこと)または市販の供給源(例えば、Clontech, Polo Alto, CA)から購入され得る。一つの実施態様において、WRN遺伝子は、ゲノムDNA、cDNA、またはライブラリー由来のDNAで行ったPCRによって単離されるか、またはゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーのプローブハイブリダイゼーションによって単離される。PCRためのプライマーおよびハイブリダイゼーションスクリーニングのためのプローブは、本明細書中に示されるWRNのDNA配列に基づいて設計され得る。WRN遺伝子の一部および全コード配列のDNA配列は、図において示される。PCRためのプライマーは、全長cDNAを単離するためには5’および3’非翻訳領域中の配列に由来しなければならない。プライマーは、自己相補的な配列を有すべきでもなくまた3’末端に相補的な配列を有すべきでもない(プライマー二量体形成を防ぐために)。好ましくは、プライマーは、約50%のGC含有量を有し、かつ制限部位を含む。プライマーをcDNAにアニールし、そして充分なサイクルのPCRを行い、ゲル電気泳動および染色によって容易に可視化される産物を生じた。増幅したフラグメントを精製し、ベクター(例えば、λgt10またはpBS(M13+))中に挿入し、そして増幅させた。ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングするに適切なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブは、本明細書中おいて提供される配列に基づいて設計され得る。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、20〜30塩基長である。このようなオリゴヌクレオチドは、自動化合成によって合成され得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、放射性核種(例えば、32P)またはビオチンのようなリポーター分子で5’末端を、適宣、標識し得る。ライブラリーを、ベクターに依存して、コロニーまたはファージとしてプレートし、そして組換えDNAをナイロンメンブレンまたはニトロセルロースメンブレンに移す。変性、中和、そしてメンブレンへのDNAの固定後、メンブレンを標識プローブとハイブリダイズする。メンブレンを洗浄し、そしてリポーター分子を検出する。ハイブリダイズしているコロニーまたはファージを単離し、増殖させる。候補クローンまたはPCR増幅フラグメントは、任意の種々の手段によって、WRN DNAを含んでいることを確認させられ得る。例えば、候補クローンは、第2の非重複プローブとハイブリダイズされ得るか、またはDNA配列分析に供され得る。これらの方法で、本発明の使用において適切なWRN遺伝子を含むクローンが単離される。
本明細書中において記載される核酸分子によってコードされるタンパク質の構造は、例えば、P/C Gene, Lasergen System, DNA STAR, Madison, Wisconsinの疎水性プロット機能を使用するか、またはKyteおよびDoolittleによって記載される方法(J. Mol. Biol. 157:105-132, 1982)に従って、一次翻訳産物から推定され得る。
本発明のWRNタンパク質は、酸性の塩もしくは塩基性の塩の形態、または中性形態で調製され得る。さらに、個々のアミノ酸残基は、酸化または還元によって修飾され得る。さらに、種々の置換、欠失、または付加が、アミノ酸配列または核酸配列になされ得、その正味の効果は、変異体または野生型タンパク質の生物学的活性を維持するか、またはさらに増強もしくは減少させ得る。さらに、遺伝子コードの縮重のために、例えば同一のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列中でかなりの改変があり得る。
本明細書中で開示されるWRNタンパク質の他の誘導体は、他のタンパク質またはポリペプチドとのタンパク質の接合体を含む。これは、例えば、WRNタンパク質の精製または同定を容易にするために付加され得るN-末端またはC-末端融合タンパク質の合成によって達成され得る(米国特許第4,851,341号を参照のこと;Hoppら、Bio/Technology 6:1204, 1988もまた参照のこと)。あるいは、融合タンパク質(例えば、WRNタンパク質-β-ガラクトシダーゼまたはWRNタンパク質ルシフェラーゼ)は、WRNタンパク質の同定、発現、および分析を補助するために構築され得る。
本発明のWRNタンパク質は、本明細書に記載される広範囲な技術を使用して構築され得る。さらに、変異は、天然の配列のフラグメントへの連結を可能にする制限部位に隣接する、変異配列を含むオリゴヌクレオチドの合成によって特定の座へ導入され得る。連結後、得られる再構築配列は、所望のアミノ酸挿入、置換、または欠失を有する誘導体をコードする。
あるいは、オリゴヌクレオチド指向部位特異的(またはセグメント特異的)突然変異誘発手順は、必要な置換、欠失、または挿入に従って改変された特定のコドンを有する改変された遺伝子を提供するために用いられ得る。上記の改変を作製する例示的な方法は、Walderら、(Gene 42:133, 1986);Bauerら、(Gene 37:73, 1985);Craik(BioTechniques, January 1985, 12-19);Smithら、(Genetic Engineering: Principles and Methods. Plenum Press, 1981);およびSambrookら、(前出)によって記載される。WRNタンパク質の欠失または短縮誘導体(例えば、可溶性細胞外タンパク質)はまた、所望の欠失部位に隣接する都合の良い制限エンドヌクレアーゼ部位を利用することによって構築され得る。制限に続いて、突出部を充填し、そしてDNAを再連結する。上記の改変を作製する例示的な方法は、Sambrookら、(Molecular Cloning: A Laboratory Manual第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)によって記載される。
本発明の変異は、好ましくは、コード配列のリーディングフレームを保存する。さらに、好ましくは、変異は二次mRNA構造(例えば、mRNAの翻訳に悪影響を与えるループまたはヘアピン)を生成するようにハイブリダイズし得る相補的な領域を作製しない。変異部位は、予め決定され得るが、変異の性質が、それ自身で予め決定される必要なない。例えば、所定の部位での変異体の最適な特徴を選択するために、ランダム変異誘発が標的コドンで行われ得、そして発現された変異体は示される生物学的活性についてスクリーニングされ得る。あるいは、変異は、天然の配列のフラグメントへの連結を可能にする制限部位に隣接する変異配列を含むオリゴヌクレオチドの合成によって特定の座に導入され得る。連結に続いて、得られる再構築された配列は、所望のアミノ酸の挿入、置換、または欠失を有する誘導体をコードする。
WRNタンパク質はまた、PCR変異誘発、化学的変異誘発(DrinkwaterおよびKlinedinst、PNAS 83:3402-3406,1986)の技術を利用して、強制的なヌクレオチドの間違った取り込み(例えば、LiaoおよびWise Gene 88:107-111,1990)によって、またはランダムに変異誘発したオリゴヌクレオチドの使用(Horwitzら、Genome 3:112-117, 1989)によって、構築され得る。
タンパク質は、他の方法の中でとりわけ、本発明の組換え翻訳産物を産生するための適切な宿主の培養およびベクター系によって単離され得る。次いで、このような細胞株からの上清、またはタンパク質が上清に排出されない場合はタンパク質封入体または全細胞は、所望のタンパク質を単離するために種々の精製手順によって処理され得る。例えば、まず上清は、市販のタンパク質濃縮フィルター(例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon ultrafiltration unit)を使用して濃縮され得る。濃縮に続いて、濃縮液は、適切な精製マトリックス(例えば、適切な支持体に結合した抗タンパク質抗体)に適用され得る。あるいは、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂が、タンパク質を精製するために使用され得る。さらなる代替として、一つ以上の逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)工程が、タンパク質をさらに精製するために用いられ得る。本発明のタンパク質を単離する他の方法は当業者に周知である。
タンパク質は、他の(所望しない)タンパク質が、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析、続くクーマシーブルー染色に従って全く検出されなければ、本発明の文脈において「単離されている」と考えられる。他の実施態様において、所望のタンパク質が、他の(所望しない)タンパク質が、SDS-PAGE分析、続く銀染色によって検出されないように、単離され得る。
WRN遺伝子の発現
本発明はまた、上記遺伝子を発現し得るベクターを含む宿主細胞を培養することによる上記の遺伝子の操作および発現を提供する。このようなベクターまたはベクター構築物は、WRNタンパク質をコードする合成核酸分子またはcDNA由来の核酸分子のいずれかを含み、それは、適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可能連結されている。適切な調節エレメントは、種々の供給源(細菌、真菌、ウイルス、哺乳動物、昆虫、または植物の遺伝子を含む)から得られ得る。適切な調節エレメントの選択は、選ばれる宿主細胞に依存し、そして当業者によって容易に達成され得る。調節エレメントの例としては、:転写プロモーターおよびエンハンサー、またはRNAポリメラーゼ結合配列、転写ターミネーター、およびリボソーム結合配列(翻訳開始シグナルを含む)が挙げられる。
任意の上記のWRNタンパク質をコードする核酸分子は、広範囲な原核生物宿主細胞および真核生物宿主細胞(細菌、哺乳動物、酵母、または他の真菌、ウイルス、昆虫、または植物の細胞を含む)によって容易に発現され得る。外来DNAを発現するために、このような細胞を形質転換するかまたはトランスフェクトする方法は、当該分野で周知である(例えば、Itakuraら、米国特許第4,704,362号;Hinnenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1929-1933, 1978 ; Murrayら、米国特許第4,801,542号;Upshallら、米国特許第4,935,349号;Hagenら、米国特許第4,784,950号;Axelら、米国特許第4,399,216号;Goeddelら、米国特許第4,766,075号;およびSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照のこと;植物細胞については、CzakoおよびMarton, P1ant Physiol. 104:1067-1071, 1994;およびPaszkowskiら、Biotech. 24:387-392,1992を参照のこと)。
本発明を行うに適切な細菌宿主細胞は、E. coli、B. subtilis、Salmonella typhimurium、およびPseudomonas、Streptomyces、およびStaphylococcus属内の種々の種、ならびに当業者に周知である多くの他の細菌種を含む。細菌宿主細胞の代表的な例は、DH5α(Stratagene, LaJolla, California)を含む。
好ましくは、細菌発現ベクターは、宿主細胞で機能するプロモーター、一つ以上の選択可能な表現型マーカー、および細菌の複製起点を含む。代表的なプロモーターとしては、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系(Changら、Nature 275:615, 1978を参照のこと)、T7 RNAポリメラーゼプロモーター(Studierら、Meth. Enzymol. 185:60-89, 1990)、λプロモーター(Elvinら、Gene 87:123-126, 1990)、trpプロモーター(NicholsおよびYanofsky, Meth. in Enzymology 101:155, 1983)、およびtacプロモーター(Russellら、Gene 20:231, 1982)が挙げられる。代表的な選択マーカーは、種々の抗生物質耐性マーカー(例えば、カナマイシンまたはアンピシリン耐性遺伝子)を含む。宿主細胞を形質転換するに適切な多くのプラスミドは、当該分野で周知である。これは、とりわけ、pBR322(Bolivarら、Gene 2:95, 1977を参照のこと)、pUCプラスミドpUC18、pUC19、pUC118、pUC119(Messing, Meth. in Enzymology 101:20-77, 1983およびVieiraおよびMessing, Gene 19:259-268, 1982)およびpNH8A、pNH16a、pNH18a、ならびにBluescript M13(Stratagene, La Jolla, Calif.)を含む。
本発明を行うに適切な酵母宿主細胞および真菌宿主細胞としては、とりわけ、Saccharomyces pombe、Saccharomyces cerevisiae、PichiaまたはKluyveromyces属および種々のAspergillus種(Mcknightら、米国特許第4,935,349号)が挙げられる。酵母および真菌に適切な発現ベクターとしては、とりわけ、酵母についてはYCp50(ATTC受託番号37419)、およびamdSクローニングベクターpV3(Turnbull, Bio/Technology 7:169, 1989)、YRp7(Struhlら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76: 1035-1039, 1978)、YEp13(Broachら、Gene 8: 121-133, 1979)、pJDB249およびpJDB219(Beggs, Nature 275:104-108, 1978)ならびにその誘導体が挙げられる。
酵母での使用に好ましいプロモーターとしては、酵母の解糖遺伝子(glycolytic gene)(Hitzemanら、J. Biol. Chem. 255:12073-12080, 1980; AlberおよびKawasaki, J. Mol. Appl. Genet. 1:419-434, 1982)またはアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(Youngら、Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals. Hollaenderら(編)、355頁,P1enum,New York, 1982;Ammerer, Meth. Enzymol. 101:192-201, 1983)が挙げられる。真菌ベクターに有用なプロモーターの例として、Aspergillus nidulansの解糖遺伝子(例えば、adh3プロモーター(McKnightら、EMBO J. 4:2093-2099, 1985)由来のプロモーターが挙げられる。発現ユニットはまた、転写ターミネーターを含む。適切なターミネーターの例は、adh3ターミネーターである(McKnightら、同節、1985)。
細菌のベクターでそうであるように、酵母のベクターは、一般に選択マーカーを含み、それは、優性表現型(それについての表現型アッセイが、形質転換体が選択されるのを可能にするように存在する)を示す任意の数の遺伝子の一つであり得る。好ましい選択マーカーは、宿主細胞の栄養要求性を補うか、抗生物質耐性を提供するか、または細胞が特定の炭素源を利用することが出来るようにする選択マーカーであり、そしてこれらにはleu2(Broachら、同章)、ura3(Botsteinら、Gene 8:17, 1979)、またはhis3(Struhlら、同章)が挙げられる。別の適切な選択マーカーは、cat遺伝子であり、それは酵母細胞にクロラムフェニコール耐性を与える。
真菌を形質転換する技術は、文献において周知であり、例えば、Beggs(同章)、Hinnenら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1929-1933, 1978)、Yeltonら、(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:1740-1747, 1984)、およびRussell(Nature 301:167-169, 1983)によって記載されている。宿主細胞の遺伝子型は、発現ベクターに存在する選択マーカーによって補われる遺伝的欠損を含み得る。特定の宿主および選択マーカーの選択は、当業者の十分にレベル内にある。
酵母の形質転換のためのプロトコルもまた、当業者に周知である。例えば、形質転換は、酵母のDNAとのスフェロブラストの調製(Hinnenら、PNAS USA 75:1929, 1978を参照のこと)によるかまたはLiClのようなアルカリ塩での処理(Itohら、J. Bacteriology 153:163, 1983を参照のこと)によるかのいずれかによって容易に達成され得る。真菌の形質転換もまた、Cullenら(Bio/Technology 5:369, 1987)によって記載されるように、ポリエチレングリコールを使用して行われ得る。
ウイルスベクターは、上記のようにWRNタンパク質をコードする単離された核酸分子の発現を指向するプロモーターを含むベクターを含む。広範なプロモーターが本発明の文脈内において利用され得、これには、例えば、以下のようなプロモーターが挙げられる(例えば、MoMLV LTR、RSV LTR、Friend MuLV LTR、アデノウイルスプロモーター(Ohnoら、Science 265:781-784. 1994)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼプロモーター/エンハンサー、後期パルボウイルスプロモーター(Koeringら、Hum. Gene Therap. 5:457-463, 1994)、ヘルペスTKプロモーター、SV40プロモーター、メタロチオネインIIa遺伝子エンハンサー/プロモーター、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター、およびサイトメガロウイルス即時後期プロモーター。本発明の特定の好ましい実施態様において、プロモーターは、組織特異的プロモーター(例えば、WO 91/02805 ; EP 0,415,731;およびWO 90/07936を参照のこと)である。適切な組織特異的プロモーターの代表的な例としては、神経特異的エノラーゼプロモーター、血小板由来増殖因子βプロモーター、骨形態形成タンパク質プロモーター、ヒトα-キマエリンプロモーター、シナプシンIプロモーター、およびシナプシンIIプロモーターが挙げられる。上記プロモーターに加えて、他のウイルス特異的プロモーター(例えば、レトロウイルスプロモーター(上記のプロモーターならびにHIVプロモーターのような他のプロモーターを含む)、肝炎、ヘルペス(例えば、EBV)および細菌、真菌、または寄生虫(例えば、マラリア)特異的プロモーターが、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫と共に感染する特定の細胞を標的化するために利用され得る。
従って、本発明のWRNタンパク質は、広範なウイルスベクターから発現され得る。これには、例えば、以下が挙げられる。ヘルペスウイルスベクター(例えば、米国特許第5,288,641号)、アデノウイルスベクター(例えば、WO/94/26914、WO/93/9191 ; Kollsら、PNAS 91(1):215-219, 1994 ; Kass-Eislerら、PNAS 90(24):11498-502,1993 ; Guzmanら、Circulation 88(6):2838-48, 1993 ; Guzmanら、Cir. Res. 73(6):1202-1207, 1993 ; Zabnerら、Ce11 75(2):207-216, 1993 ; Liら、Hum Gene Ther. 4(4):403-409,1993 ; Caillaudら、Eur. J, Neurosci. 5(10):1287-1291, 1993 ; Vincentら、Nat. Genet. 5(2)130-134, 1993 ; Jaffeら、Nat. Genet. 1(5):372-378, 1992;およびLevreroら、Gene 101(2):195-202, 1991)、アデノ随伴ウイルスベクター(WO 95/13365:Flotteら、PNAS 90(22):10613-10617, 1993)、バキュロウイルスベクター、パルボウイルスベクター(Koeringら、Hum. Gene Therap. 5:457-463, 1994)、ポックスウイルスベクター(PanicaliおよびPaoletti、PNAS 79:4927-4931, 1982;およびOzakiら、Biochem. Biophys. Res. Comm. 193(2):653-660, 1993)、およびレトロウイルス(例えば、EP 0,415,731 ; WO 90/07936 ; WO 91/0285、WO 94/03622 ; WO 93/25698 ; WO 93/25234 ; 米国特許第5,219,740号;WO 93/11230 ; WO 93/10218)。異なったウイルスまたは非ウイルス供給源由来の異なったエレメント(例えば、プロモーター、エンベロープ配列など)の混合物を含むウイルスベクターが、同様に構築され得る。種々の実施態様において、ウイルスベクターそれ自身またはウイルスベクターを含むウイルス粒子のいずれかが、下記の方法および組成物において利用され得る。
本発明を行うに適切な哺乳動物細胞としては、とりわけ、以下が挙げられる:PC12(ATCC受託番号CRL1721)、NIE-15神経芽細胞腫、SK-N-BE(2)C神経芽細胞腫、SHSY5アドレナリン作動性神経芽細胞腫、NS20YおよびNG108-15マウスコリン作動性神経芽細胞腫またはラットF2背根神経節株、COS(例えば、ATCC受託番号CRL1650または同1651)、BHK(例えば、ATCC受託番号CRL 6281 ; BHK 570細胞株(受託番号CRL 10314の下にアメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託される)、CHO(ATCC受託番号CCL 61)、HeLa(例えば、ATCC受託番号CCL 2)、293(ATCC受託番号1573 ; Grahamら、J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)およびNS-1細胞が挙げられる。他の哺乳動物細胞株が、本発明において使用され得る。これには、ラットHepI(ATCC受託番号CRL 1600)、ラットHepII(ATCC受託番号CRL 1548)、TCMK(ATCC受託番号CCL 139)、ヒト肺(ATCC受託番号CCL 75.1)、ヒト肝癌(ATCC受託番号HTB-52)、Hep G2(ATCC受託番号HB 8065)、マウス肝臓(ATCC受託番号CCL 29.1)、NCTC 1469(ATCC受託番号CCL 9.1)、SP2/0-Ag14(ATCC受託番号1581)、HIT-T15(ATCC受託番号CRL 1777)、およびRINm 5AHT2B(OrskovおよびNielson, FEBS 229(1):175-178, 1988)が挙げられる。
本発明の実施における使用のための哺乳動物発現ベクターは、クローン化された遺伝子またはcDNAの転写を指向し得るプロモーターを含む。好ましいプロモーターは、ウイルスプロモーターおよび細胞性プロモーターを含む。ウイルスプロモーターとしては、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター(Boshartら、Cell 41:521-530, 1985)、サイトメガロウイルス即時後期プロモーター、SV40プロモーター(Subramaniら、Mol. Cell. Biol. 1:854-864, 1981)、MMTV LTR、RSV LTR、メタロチオネイン-1、アデノウイルスElaを含む。細胞性プロモーターは、マウスメタロチオネイン-1プロモーター(Palmiterら、米国特許第4,579,821号)、マウスVkプロモーター(Bergmanら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:7041-7045, 1983 ; Grantら、Nucl. Acids Res. 15:5496, 1987)、およびマウスVHプロモーター(Lohら、Cell 33:85-93, 1983)が挙げられる。プロモーターの選択は、少なくとも部分的には、所望される発現レベルまたは移入されるレシピエント細胞株に依存する。
このような発現ベクターはまた、プロモーターの下流および目的のペプチドまたはタンパク質をコードするDNA配列の上流に位置する1組のRNAスプライス部位を含み得る。好ましいRNAスプライス部位は、アデノウイルスおよび/または免疫グロブリン遺伝子から得られ得る。発現ベクターには、目的のコード配列の下流に位置するポリアデニル化シグナルもまた含まれ得る。適切なポリアデニル化シグナルとしては、SV40(KaufmanおよびSharp、同章)由来の初期または後期ポリアデニル化シグナル、5型アデノウイルスE1B領域由来のポリアデニル化シグナル、およびヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーター(DeNotoら、Nuc. Acids Res. 9:3719-3730, 1981)が挙げられる。発現ベクターは、プロモーターとRNAスプライス部位の間に位置する非コードウイルスリーダー配列(例えば、2型アデノウイルス3分節系リーダー)を含み得る。好ましいベクターはまた、エンハンサー配列(例えば、SV40エンハンサー)を含み得る。発現ベクターはまた、アデノウイルスVA RNAをコードする配列を含み得る。適切な発現ベクターは、市販の供給源(例えば、Stratagene, La Jolla, Calif.)から購入され得る。
クローン化されたDNA配列を含むベクター構築物は、例えば、リン酸カルシウム媒介トラスフェクション(Wiglerら、Cell 14:725, 1978 ; CorsaroおよびPearson, Somatic Cell Genetics 7:603, 1981 ; GrahamおよびVan der Eb, Virology 52:456, 1973)、エレクトロポレーション(Neumannら、EMBO J. 1:841-845, 1982)またはDEAE-デキストラン媒介トランスフェクション(Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc., NY, 1987)によって培養哺乳動物細胞に導入され得る。クローン化されたDNAが安定に組み込まれた細胞を同定するために、選択マーカーが、一般に、遺伝子またはcDNAと共に細胞に導入される。培養哺乳動物細胞における使用のための好ましい選択マーカーとしては、薬物(例えば、ネオマイシン、ハイグロマイシン、およびメトトレキセート(methotrexate))への耐性を与える遺伝子を含む。選択マーカーは、増殖可能な選択マーカーであり得る。好ましい増殖可能な選択マーカーは、DHFR遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子である。選択マーカーは、Thillyによって総説される(Mammalian Cell Technogy, Butterworth Publishers, Stoneham, MA,これは、本明細書中で参考として援用される)。
適切なベクターを含む哺乳動物細胞を、ある期間(代表的には、1〜2日間)増殖させ、目的のDNA配列を発現させ始める。次いで、薬物選択を、適切な様式で選択マーカーを発現する細胞の増殖を選択するために適用する。増幅可能な、選択可能マーカーをトランスフェクトされた細胞については、コピー数が増加したクローン化された配列を選択するために、薬物濃度は、段階的な様式で増加させ得る(それによって、発現レベルを増加させる)。導入した配列を発現する細胞を選択し、そして所望の形態でまたは所望のレベルでの目的のタンパク質の産生についてスクリーニングする。次いで、これらの基準を満たす細胞は、クローン化され得、そして産生のために拡大培養され得る。
哺乳動物細胞のトランスフェクションのためのプロトコルは、当業者に周知である。代表的な方法としては、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、レトロウイルス、アデノウイルス、およびプロトプラスト融合媒介トランスフェクション(Sambrookら、前出を参照のこと)が挙げられる。裸のベクター構築物はまた、哺乳動物(または他の動物)の筋肉に注入した後、筋肉細胞または他の適切な細胞によって取り込まれ得る。
当該分野で公知の多くの昆虫細胞もまた、本明細書に照らして、本発明において有用であり得る。例えば、昆虫細胞において異種DNA配列を発現するためのベクターとしてバキュロウイルスの使用は、Atkinsonら(Pestic. Sci. 28:215-224,1990)によって総説されている。
当該分野で公知の多くの植物細胞もまた、本明細書に照らして、本発明において有用であり得る。例えば、植物細胞において遺伝子を発現するためのベクターとしてAgrobacterium rhizogenesの使用は、Sinkarら(J. Biosci.(Bangalore)11:47-58, 1987)によって総説されている。
WRNタンパク質は、組換えWRNタンパク質を発現させるために、上記の宿主/ベクター系を増殖させることによって(代表的には、培養することによって)調製され得る。組換え産生されたWRNタンパク質は、以下により詳細に記載するように、さらに精製され得る。
本発明の関連する局面において、WRNタンパク質は、生殖細胞および体細胞が遺伝子の発現に効果的なプロモーターに作動可能に連結されているWRN遺伝子を含むトランスジェニック動物において発現され得る。あるいは、同様な様式で、WRN遺伝子を欠くトランスジェニック動物(例えば、「ノックアウト」マウス)が、調製され得る。このようなトランスジーンは、ヒトでない多様な動物(マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、イヌ、ヤギ、およびブタを含む)において調製され得る(Hammerら、Nature 315:680-683, 1985, Palmiterら、Science 222:809-814, 1983. Brinsterら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:4438-4442, 1985, PalmiterおよびBrinster、 Cel1 41:343-345, 1985および米国特許第5,175,383号、同5,087,571号、同4,736,866号、同5,387,742号、同5,347,075号、同5,221,778号、および同5,175,384号を参照のこと)。
手短に言えば、適切に位置取られた発現制御配列と共に発現されるべき核酸分子を含む発現ベクターは、例えばマイクロインジェクションによって、受精卵の前核に導入される。注入したDNAの組込みを、組織サンプル由来のDNAのブロット分析によって検出する。導入したDNAは、それがその動物の子孫に伝えられるように、その動物の生殖細胞に取り込まれることが好ましい。組織特異的発現は、組織特異的プロモーターの使用を介してまたは誘導プロモーター(例えば、メタロチオネイン遺伝子プロモーター(Palmiterら、1983、同章)(それらは、トランスジーンの発現の調節を可能にする)の使用を介して達成され得る。
本発明のベクターは、一つのまたはいくつかの別々のプロモーターからのいずれかから、上記のようにWRNタンパク質の代わりにまたはこれに加えて、広範囲のさらなる核酸分子を含み得るかまたは発現し得る。例えば、ウイルスベクターは、リンホカインまたはリンホカインレセプター、アンチセンスまたはリボザイム配列、または毒素を、発現し得る。リンホカインの代表的な例としては、以下が挙げられる。IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、GM-CSF、G-CSF、M-CSF、α-インターフェロン、β-インターフェロン、γ-インターフェロン、および腫瘍壊死因子、ならびにそれらのそれぞれのレセプターを含む。アンチセンス配列の代表的な例としては、WRNタンパク質変異体の発現をブロックするアンチセンス配列が挙げられる。毒素の代表的な例としては、:リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、サポリン、ゲロニン(gelonin)、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、トリチン(tritin)、Shigella毒素、およびPseudomonas外毒素A。
本発明の他の局面において、変異WRN核酸配列の発現を特異的に阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド分子が提供される(Hirashimaら、Molecular Biology of RNA: New Perspectives(M. InouyeおよびB.S.Dudock編,1987 Academic Press, San Diego, 401頁);Oligonucleotides: Antisense Inhibitors of Gene Epression(J. S. Cohen編1989 MacMillan Press, London);SteinおよびCheng, Science 261:1004-1012(1993);WO 95/10607;米国特許第5,359,051 ; WO 92/06693;およびEP-A2-612844を一般に参照のこと)。手短に言えば、このような分子は、それらがWRN変異を含む転写されたWRN変異mRNA配列のある領域と相補的でありかつこれとそしてワトソン−クリック塩基対を形成し得るように、構築される。得られた二本鎖核酸は、後に起こるmRNAのプロセシングに干渉し、それによってタンパク質合成を妨げる。
本発明の他の関連する局面において、リボザイム分子が提供され、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、変異体WRN遺伝子から転写されたmRNA分子を特異的に切断し得るリボザイムに取り込まれる(Kimら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 84:8788(1987);Haseloffら、Nature 234:585(1988), Cech, JAMA 260:3030(1988);Jeffriesら、Nucleic Acids Res. 17:1371(1989);米国特許第5,093,246号、米国特許第5,354,855号;米国特許第5,144,019号;米国特許第5,272,262号;米国特許第5,254,678号;および米国特許第4,987,071号を一般に参照のこと)。本発明のこの局面に従えば、リボザイムに取り込まれるアンチセンス配列は、WRN変異を含む転写されたWRN変異mRNA配列のある領域と相補的でありかつこれとワトソン−クリック塩基対を形成し得る配列を含む。従って、このような触媒活性がmRNAを切断して後に起こるWRNタンパク質への翻訳のためのプロセシングができないようにする場合、アンチセンス配列は、変異WRN mRNAへ触媒的リボザイム活性を特異的に送達するための標的薬剤になり得る。
宿主細胞
上記のように、本発明のWRNタンパク質をコードする核酸分子(あるいは、関連する変異体を含むおよび/または発現するベクター)は、容易に、広範な種々の宿主細胞中に導入され得る。このような宿主細胞の代表的な例は、植物細胞、真核生物細胞、および原核生物細胞を含む。好ましい実施態様において、核酸分子は、脊椎動物または温血動物由来の細胞(例えば、ヒト、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ラット、ハムスター、マウス、または魚類細胞)、あるいはそれらの任意のハイブリッド中に導入される。
本発明における使用のための好ましい原核生物宿主細胞は、E. coli、Salmonella、Bacillus、Shigella、Pseudomonas、Streptomyces、および他の属を含む。これらの宿主を形質転換するための技術および宿主中でクローニングされた外来DNA配列を発現させるための技術は、当該分野において周知である(例えば、Maniatisら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1982、これは本明細書中で参考として援用される;または、Sambrookら、前出を参照のこと)。細菌宿主中でクローニングされたDNA配列を発現させるために使用されるベクターは、一般に、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性のための遺伝子)および宿主細胞中で機能するプロモーターを含む。適切なプロモーターは、trp(NicholsおよびYanofsky、Meth. Enzymol. 101:155-164, 1983)、lac(Casadabanら、J. Bacteriol. 143:971-980, 1980)、およびλファージ(Queen、J. Mol. Appl. Genet. 2:1-10, 1983)プロモーター系を含む。細菌を形質転換するために有用なプラスミドは、pUCプラスミド(Messing、Meth. Enzymol. 101:20-78, 1983;VieiraおよびMessing、Gene 19:259-268, 1982)、pBR322(Bolivarら、Gene 2:95-113, 1977)、pCQV2(Queen、同書)、およびそれらの誘導体を含む。プラスミドは、ウイルス性エレメントおよび細菌性エレメントの両方を含み得る。
好ましい真核生物細胞は、培養された哺乳動物細胞株(例えば、げっ歯類またはヒト細胞株)および真菌細胞を含む。この真菌細胞は、酵母種(例えば、Saccharomyces種(特に、S. cerevisiae)、Schizosaccharomyces種、またはKluyveromyces種)または糸状菌(例えば、Aspergillus種、Neurospora種)を含む。酵母Saccharomyces cerevisiaeの株が、特に好ましい。種々の原核生物宿主細胞および真核生物宿主細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、一般に、当該分野において公知である(「Gene Expression Technology」,Methods in Enzymology,第185巻,Goeddel(編),Academic Press, San Diego, Calif., 1990を参照のこと;また、「Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology」,Methods in Enzymology, GuthrieおよびFink(編),Academic Press, San Diego, Calif., 1991を参照のこと)。一般に、宿主細胞は、目的のタンパク質を高レベルで産生するその能力、またはタンパク質の生物学的活性に必要である、少なくともいくつかのプロセッシング工程を行なうその能力に基づいて選択される。このようにして、宿主細胞中に導入されなければならないクローニングされたDNA配列の数は最小化され得、そして生物学的に活性なタンパク質の全収量は最大化され得る。
核酸分子(またはベクター)は、広範な種々のメカニズムにより宿主細胞中に導入され得る。このメカニズムは、例えば、リン酸カルシウム媒介性トランスフェクション(Wiglerら、Cell 14:725, 1978)、リポフェクション;遺伝子銃(CorsaroおよびPearson、Somatic Cell Gen. 7:603, 1981;GrahamおよびVan der Eb、Virology 52:456,1973)、エレクトロポレーション(Neumannら、EMBO J. 1:841-845, 1982)、レトロウイルス、アデノウイルス、プロトプラスト融合媒介性トランスフェクション、またはDEAEデキストラン媒介性トランスフェクション(Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons,Inc., NY, NY, 1987)を含む。
本発明のベクター構築物を含む宿主細胞は、次いで、培養されて上記のDNA分子を発現する。細胞は、標準的な方法に従って、選択された宿主細胞の増殖に必要とされる栄養素を含む培養培地中で培養される。種々の適切な培地が当該分野において公知であり、そして一般に、炭素供給源、窒素供給源、必須アミノ酸、ビタミン、およびミネラル、ならびに特定の宿主細胞に必要とされ得る他の成分(例えば、増殖因子または血清)を含む。増殖培地は、一般に、DNA構築物を含む細胞について、例えば、薬物選択または必須栄養素の欠乏により選択する。この薬物選択または必須栄養素の欠乏は、DNA構築物上の選択マーカーにより補足されるか、またはDNA構築物により同時トランスフェクトされる。
酵母細胞の適切な増殖条件は、例えば、化学的に規定された培地(窒素供給源(非アミノ酸窒素供給源またはイーストエキストラクトであり得る)、無機塩、ビタミン、および必須アミノ酸補足物を含む)において、4℃〜37℃の間の温度、特に好ましくは30℃で培養することを含む。培地のpHは、好ましくは2より高く8より低いpHで、より好ましくはpH5〜6で維持される。安定なpHを維持する方法は、緩衝化および定常pH制御を含む。pH制御のために好ましい薬剤は、水酸化ナトリウムを含む。好ましい緩衝化剤は、コハク酸およびBis-Tris(Sigma Chemical Co., St. Louis, Mo.)を含む。酵母宿主細胞の異種タンパク質を高グリコシル化(hyperglycosylate)する傾向のため、本発明の核酸分子を、アスパラギン結合グリコシル化に必要とされる遺伝子の欠損を有する酵母細胞中で発現させることが好まれ得る。このような細胞は、好ましくは、浸透圧安定剤を含む培地中で増殖される。好ましい浸透圧安定剤は、ソルビトールである。ソルビトールは、0.1M〜1.5Mの間の濃度で、好ましくは0.5Mまたは1.0Mの濃度で、培地中に補足される。
培養された哺乳動物細胞は、一般に、市販の血清含有培地または無血清培地で培養される。特定の細胞株に適切な培地および増殖条件の選択は、十分に当業者のレベルの範囲内である。
抗体
上記のWRNタンパク質に対する抗体は、本明細書中に提供される開示を考慮して容易に調製され得る。このような抗体は、特定の実施態様において、変異体WRNタンパク質よりも野生型WRNタンパク質を、野生型WRNタンパク質よりも変異体WRNタンパク質を特異的に認識するか、あるいは変異体および野生型の形態のWRNタンパク質の両方を等しく認識する。抗体は、タンパク質の単離のために使用され得、WRNタンパク質の細胞内局在を確立し、タンパク質の活性を阻害し(アンタゴニスト)、あるいはタンパク質の活性を増強する(アゴニスト)。WRN遺伝子産物の細胞内位置の知識は、WRN変異を有する患者において異常であり、従って迅速なスクリーニングアッセイの開発を可能にする。同様に、WRN遺伝子産物と相互作用する小分子についてのアッセイは、抗体の開発および局在性研究により容易にされる。
本発明の内容において、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、抗体フラグメント(例えば、FabおよびF(ab')2、Fv可変領域、または相補性決定領域)を含むと理解される。上記のように、抗体は、それが10-7M以上、好ましくは10-8M以上のKdで結合する場合、WRNタンパク質に対して特異的であると理解される。モノクローナル抗体または結合パートナーの親和性は、当業者により容易に決定され得る(Scatchard、Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660-672, 1949)。
簡潔には、ポリクローナル抗体は、当業者により、種々の温血動物(例えば、ウマ、ウシ、種々のニワトリ、ウサギ、マウス、またはラット)から容易に生成され得る。代表的には、WRNタンパク質または13〜20アミノ酸のその独特のペプチド(好ましくは、グルタルアルデヒドでの架橋によるキーホールリンペットヘモシアニンに結合体化されている)が利用されて、フロイントの完全または不完全アジュバントのようなアジュバントの腹腔内、筋肉内、眼内、または皮下注射により動物を免疫する。単に一例としては、WRNポリペプチド配列の残基1375〜1387に対応するペプチドが、ウサギポリクローナル抗血清を惹起するために使用される。数回の追加免疫後、血清サンプルが採集され、そしてWRNタンパク質またはペプチドとの反応性について試験される。特に好ましいポリクローナル抗血清は、バックグラウンドよりも少なくとも3倍高いシグナルをこれらのアッセイの1つにおいて生じる。一旦動物の力価がタンパク質に対するその反応性に関してプラトーに達すると、より多くの量の抗血清が、毎週の採血または動物の全採血のいずれかにより容易に得られ得る。
モノクローナル抗体もまた、従来の技術を使用して容易に生成され得る(米国再発行特許第32,011号、米国特許第4,902,614号、同第4,543,439号、および同第4,411,993号を参照のこと、これらは本明細書中で参考として援用される;また、Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, P1enum Press, Kennett,McKearn,およびBechtol(編),1980、ならびにAntibodies: A Laboratory Manual, HarlowおよびLane(編),Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988を参照のこと、これらは本明細書中で参考として援用される)。
簡潔には、1つの実施態様において、ラットまたはマウスのような検体動物が、上記のWRNタンパク質またはその部分で注射される。タンパク質は、生じる免疫応答を増大するために、フロイントの完全または不完全アジュバントのようなアジュバントとともに混合され得る。初回免疫後の1〜3週の間、動物は、別の追加免疫により再免疫され得、そして上記のアッセイを利用してタンパク質に対する反応性について試験される。一旦動物が注射されたタンパク質に対する反応性において平衡に達すると、それは屠殺され、脾臓およびリンパ節のような、数多くのB細胞を含む器官が採取される。
免疫された動物から得られる細胞は、エプスタインバーウイルス(EBV)のようなウイルスでのトランスフェクションにより不死化され得る(GlaskyおよびReading、Hybridoma 8(4):377-389, 1989を参照のこと)。あるいは、好ましい実施態様において、採取された脾臓および/またはリンパ節細胞懸濁液は、モノクローナル抗体を分泌する「ハイブリドーマ」を作製するために、適切なミエローマ細胞と融合される。適切なミエローマ株は、例えば、NS-1(ATCC番号TIB 18)およびP3X63-Ag8.653(ATCC番号CRL 1580)を包含する。
融合後、細胞は、適切な培地(例えば、RPMI 1640またはDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)(JRH Biosciences, Lenexa, Kansas))ならびに追加成分(例えば、ウシ胎児血清(FBS、すなわち、Hyclone, Logan, Utah,またはJRH Biosciences製))を含む培養プレートに置かれ得る。さらに、培地は、融合した脾臓およびミエローマ細胞を選択的に増殖させる薬剤(例えば、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン)(Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri))を含む。約7日後、得られる融合細胞またはハイブリドーマは、WRNタンパク質に対して反応性である抗体の存在を決定するためにスクリーニングされ得る。広範な種々のアッセイは、本発明のタンパク質に対して反応性である抗体の存在を決定するために利用され得る。このようなアッセイは、例えば、向流免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ、放射性免疫沈降、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ドットブロットアッセイ、ウエスタンブロット、免疫沈降、阻害または競合アッセイ、およびサンドイッチアッセイを含む(米国特許第4,376,110号および同第4,486,530号を参照のこと;また、Antibodies: A Laboratory Manual, HarlowおよびLane(編),Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988を参照のこと)。数回のクローン希釈および再アッセイの後、WRNタンパク質に対して反応性である抗体を産生するハイブリドーマが単離され得る。
他の技術もまた、モノクローナル抗体を構築するために利用され得る(William D. Huseら、「Generation of a Large Combinational Library of the Immunoglobulin Repertoire in Pharge Lambda」,Science 246:1275-1281, December 1989を参照のこと;また、L. Sastryら、「Cloning of the Immunological Repertoire in Escherichia coli for Generation of Monoclonal Catalytic Antibodies: Construction of a Heavy Chain Variable Region-Specific cDNA Library」,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5728-5732, August 1989を参照のこと;また、Michelle Alting-Messら、「Monoclonal Antibody Expression Libraries: A Rapid Alternative to Hybridomas」,Strategies in Molecular Biology 3:1-9, January 1990を参照のこと;これらの文献は、Stratacyte, La Jolla, Californiaから入手可能な市販のシステムを記載する。これらは、組換え技術による抗体の産生を可能にする)。簡潔には、mRNAがB細胞集団から単離され、λImmunoZap(H)およびλImmunoZap(L)ベクターにおいて重鎖および軽鎖免疫グロブリンcDNA発現ライブラリーを作製するために利用される。これらのベクターは、Fabフラグメントもしくは抗体を形成するために、個々にスクリーニングされ得るか、または同時発現され得る(Huseら、前出を参照のこと;また、Sastryら、前出を参照のこと)。陽性プラークが、次いで、非溶解性プラスミドに転換され得る。これは、E. coli由来のモノクローナル抗体フラグメントの高いレベルの発現を可能にする。
同様に、抗体の一部またはフラグメント(例えば、FabおよびFvフラグメント)はまた、従来の酵素消化または組換えDNA技術を利用して構築されて、特異結合抗体をコードする遺伝子の可変領域を組み込み得る。1つの実施態様において、目的のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマからの可変領域をコードする遺伝子が、可変領域についてのヌクレオチドプライマーを使用して増幅される。これらのプライマーは、当業者により合成され得るか、または市販供給源より購入され得る。Stratacyte(La Jolla, Calif.)は、マウスおよびヒト可変領域についてのプライマーを販売する。このプライマーは、特に、VHa、VHb、VHc、VHd、CHI、VL、およびCL領域についてのプライマーを含む。これらのプライマーは、重鎖または軽鎖の可変領域を増幅するために使用され得る。次いで、これらは、それぞれ、ImmunoZAPTMHまたはImmunoZAPTML(Stratacyte)のようなベクター中に挿入され得る。これらのベクターは、次いで、発現のためのE. coli、酵母、または哺乳動物ベースの系に導入され得る。これらの技術を利用して、VHおよびVLドメインの融合物を含む、大量の一本鎖タンパク質が産生され得る(Birdら、Science 242:423-426, 1988を参照のこと)。さらに、このような技術を利用して、抗体の結合特異性を変えることなく、「マウス」抗体を「ヒト」抗体に変化し得る。
一旦適切な抗体が得られると、それらは当業者に周知の多くの技術(Antibodies: A Laboratory Manual, HarlowおよびLane(編),Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988を参照のこと)により単離または精製され得る。適切な技術は、ペプチドまたはタンパク質アフィニティカラム、HPLCまたはRP-HPLC、プロテインAまたはプロテインGカラムでの精製、またはこれらの技術の任意の組み合わせを含む。
アッセイ
本発明の内容において有用なアッセイは、WRNタンパク質活性のアゴニストまたはアンタゴニストを検出するためのそれらのアッセイを含む。他のアッセイは、ペプチドまたは有機分子のライブラリーをスクリーニングするために有用である。なお他のアッセイは、本発明の核酸分子および/またはペプチドを同定および/または単離するため、WRNタンパク質と相互作用するかまたは結合するタンパク質を同定するため、ヴェルナー症候群を罹患している見込みが高い患者を診断するため、あるいはWRN関連疾患に感受性であるかまたはそれを示している患者を診断するために有用である。
核酸ベースの診断試験
簡潔には、本発明の別の局面は、WRN遺伝子および/またはその変異体を検出するためのプローブおよびプライマーを提供する。この局面の1つの実施態様において、WRN遺伝子のDNAまたはRNAに特異的にハイブリダイズし得るプローブが提供される。本発明の目的のためには、プローブは、それが高いかまたは中程度のストリンジェンシーの条件(Sambrookら、前出を参照のこと)下でWRN遺伝子にハイブリダイズするが、ブルーム症候群遺伝子(Ellisら、Cell 83:655-666, 1995)のような関連しないヘリカーゼ遺伝子には有意にまたは検出可能にハイブリダイズしない場合に、WRN遺伝子のDNAまたはRNAに「ハイブリダイズし得る」。好ましくは、プローブは、高いストリンジェンシー条件下で、適切なヌクレオチド配列にハイブリダイズする。このようなハイブリダイゼーションは、例えば、5×SSPE、1×デンハート溶液、0.1% SDS(65℃で)、および0.2×SSC、1×デンハート溶液、0.1% SDS(65℃で)の存在下でハイブリダイズしていないプローブを除去するための少なくとも1回の洗浄におけるハイブリダイゼーションである。本明細書中で特に提供されない限り、プローブ配列は、WRN遺伝子にハイブリダイズし得るが、他の遺伝子からのDNAまたはRNA配列にはハイブリダイズしないように設計される。例えば、プローブは、患者から単離された生物学的サンプル中に存在する核酸にハイブリダイズさせるために使用される。次いで、ハイブリダイズしたプローブは検出され、それにより所望の細胞性核酸の存在が示される。好ましくは、細胞性核酸は、ハイブリダイゼーションの前に、PCRのような増幅手順に供される。あるいは、WRN遺伝子は増幅され得、そして増幅産物はDNA配列決定に供され得る。WRNの変異体は、DNA配列分析または特定の対立遺伝子に、ハイブリダイズさせるに十分な条件下および時間での対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションにより検出され得る。代表的には、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄液は、テトラメチルアンモニウムクロリドなどを含有する(Sambrookら、前出を参照のこと)。
本発明の核酸プローブは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、核酸アナログ(例えば、ペプチド核酸)、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかから構成され得、そして約12ヌクレオチド長程度、通常、約14〜18ヌクレオチド長、および可能であれば、WRN遺伝子の全配列と同程度であり得る。プローブサイズの選択は、幾分、プローブの用途に依存し、そして当該分野の技術範囲内である。
適切なプローブが、当該分野に周知の技術を使用して、構築されそして標識され得る。例えば、12塩基のより短いプローブが合成的に生成され、そしてT4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して32Pで標識され得る。約75塩基から1.5Kb未満のより長いプローブは、好ましくは、例えば、PCR増幅により、標識前駆体(例えば、[α-32P]dCTP、ジゴキシゲニンdUTP、またはビオチン-dATP)の存在下で生成される。1.5kbを超えるプローブは、一般に、細胞を関連するプローブを含むプラスミドでトランスフェクトし、トランスフェクトした細胞を大量に増殖させ、そして関連する配列をトランスフェクトした細胞から精製することにより最も容易に増幅される(Sambrookら、前出を参照のこと)。
プローブは種々のマーカーにより標識され得る。マーカーは、例えば、放射性マーカー、蛍光マーカー、酵素マーカー、および色素発生マーカーを含む。32Pの使用が、特定のプローブをマークおよび標識するために特に好ましい。
プローブがサンプル内のWRN mRNAまたはDNAの存在を検出するために利用され得ることは、本発明のこの局面の特徴である。しかし、関連するサンプルが限られた数でのみ存在する場合、関連する配列を増幅することは有用であり得、その結果、それはより容易に検出されるかまたは得られ得る。
種々の方法が、選択された配列を増幅するために利用され得る。この方法は、例えば、RNA増幅(Lizardiら、Bio/Technology 6:l197-1202, 1988; Kramerら、Nature 339:401-402, 1989; Lomeliら、Clinical Chem. 35(9):1826-1831, 1989;米国特許第4,786,600号を参照のこと)、およびLCRまたはポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)を利用したDNA増幅(米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号を参照のこと)(また、米国特許第4,876,187号および同第5,011,769号を参照のこと、これらは、切れやすい結合の使用を含む別の検出/増幅系を記載する)、または当該分野の通常の技術レベルの十分範囲内である他の核酸増幅手順を含む。例えば、PCRについては、この方法は当該分野で公知のように改変され得る。PCRの転写増強は、主要なオリゴヌクレオチドの1つにバクテリオファージT7 RNAポリメラーゼプロモーター配列を組み込むことにより達成され得、そして増強されたエミッターからの産物の免疫酵素的検出は、抗RNA:DNA抗体を使用してなされ得る(Blais、Appl.Environ.Microbiol. 60:348-352, 1994)。PCRはまた、逆ドットブロットハイブリダイゼーションと組み合わせて使用され得る(Iidaら、FEMS Microbiol. Lett. 114:167-172, 1993)。PCR産物は、dUTPの組み込みにより定量的に分析され得
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そしてサンプルは、PCR遺伝子プローブ検出のためにフィルターサンプリングされ得る(Bejら、Appl. Environ. Microbiol. 57:3529-3534, 1991)。
特に好ましい実施態様において、PCR増幅は、WRN DNAを検出するために利用される。簡潔には、以下により詳細に説明するように、DNAサンプルは、一本鎖DNAを生成するために95℃で変性される。DNAサンプルは、RNAから生成されたcDNAであり得る。次いで、特定のプライマーは、37℃から70℃(プライマー中のAT/GCの割合に依存して)で、一本鎖DNAにアニーリングされる。プライマーは、テンプレートに対して反対の鎖を生成するために、72℃でTaq DNAポリメラーゼまたは他の熱安定性DNAポリメラーゼにより伸長される。これらの工程は1つのサイクルを構成し、これらは選択された配列を増幅するために繰り返され得る。より高い特異性のためには、ネステッドPCRが行われ得る。ネステッドPCRにおいては、第2の増幅が、第1の増幅産物内の配列に由来する第2のセットのプライマーを使用して行われる。WRNの全コード領域が3つのセットのプライマーを使用してcDNAから増幅されて、それらの配列を決定するに都合のよいサイズのフラグメント長を生じ得る。好ましい実施態様において、ネステッドPCRが行われる。
別の好ましい実施態様において、LCR増幅が増幅のために利用される。LCRプライマーは、上流プライマーの5'塩基が、所望の遺伝子中の独特の塩基対にハイブリダイズして、WRN遺伝子を特異的に検出し得るように合成される。
別の好ましい実施態様において、プローブは、自動化された非アイソトープ的なストラテジーにおいて使用される。ここでは、標的核酸配列は、PCRにより増幅される。次いで、所望の産物は、比色定量オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(Nickersonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:8923-8927, 1990)により決定される。
選択された配列の増幅のためのプライマーは、WRNに高度に特異的な(そして、例えば、ブルーム症候群遺伝子、前出、には特異的ではない)配列から選択され、そして標的配列と安定な二重鎖を形成する。プライマーはまた、非相補的(特に、3'末端で)であり、それ自身でまたは他のプライマーとダイマーを形成せず、そしてDNAの他の領域と二次構造または二重鎖を形成しない。一般に、約18〜20ヌクレオチドのプライマーが好ましく、そして当該分野で周知の技術を使用して容易に合成され得る。PCR産物(および他の核酸増幅産物)は、当該分野で公知の技術
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を使用して定量され得る。
本発明の1つの実施態様において、核酸診断薬が開発され得る。これは、ヴェルナー症候群の存在、またはヴェルナー症候群により引き起こされ得る種々の関連疾患の存在を検出し得る。簡潔には、WRN遺伝子の重篤な変異がヴェルナー症候群、ならびに多くの関連疾患をもたらし得る。関連疾患は、例えば、増大した頻度の良性および悪性新生物(特に、肉腫)、白内障、心臓血管疾患、骨粗鬆症、I型またはII型糖尿病、白内障、強皮症(sclerodoma)様皮膚変化、および高角化症を含む。遺伝子のさほど重篤でない変異は、同じセットの疾患の発症をもたらし得るが、より高齢においてである。さらに、多くの関連疾患は、WRN遺伝子における変異と関連し得る。例えば、糖尿病および骨粗鬆症は、しばしば、加齢と関連する。加齢集団およびこれら(または、他の)疾患を有する個体が、WRNの変異についてスクリーニングされる。本明細書中に記載の任意のアッセイが、使用され得る。RT-PCRが、DNA配列決定と関連して特に好ましい。変異または多型性と疾患とを関連づけるためには、一方の同胞が疾患を有しているような同胞対が好ましい検体である。一旦変異が同定されると、他の都合のよいスクリーニングアッセイが、特定のヌクレオチド変化をアッセイするために使用され得る。
ヴェルナー症候群を罹患していない個体由来の遺伝子の2コピーの配列は、これら患者の医療歴と相関されてこれらの対応を規定し得るので、これら対立遺伝子は、それゆえ、一旦その関係が規定されると、これら疾患の罹患性についての診断薬として使用され得る。例えば、ホモ接合状態またはヘテロ接合状態のいずれかにおける遺伝子の特定の非ヌル形態は、例えば、保有者がガンを進行させる傾向に有意に影響し得る。これらの傾向は、ガン患者の統計学的に有意なサンプルにおいて遺伝子(両コピー)の配列を試験することにより確認され得る。他の疾患(上記)は、特定の対立遺伝子との有意な相関性について同様に試験され得る。このような因果関係を検出するためには、χ2検定または他の統計学的検定を使用して、適切な遺伝子型と医療記録に記録される疾患状態との間の任意の相関性の有意性を、医療疫学の標準的な良好な規則を用いて試験し得る。各対立遺伝子を規定する配列は、それゆえ、疾患に対する増大した罹患性についての有用な診断指標である。従って、本明細書中で提供される核酸配列から、広範な種々のヴェルナー症候群関連疾患が容易に検出され得る。
ヴェルナー症候群患者由来の細胞の別の細胞性表現型は、これら細胞における欠失変異の増大した頻度である。明らかに、これら細胞中の欠損ヘリカーゼは、特定の変異誘発表現型をもたらす。しかし、DNAを損傷する種々の化学的または物理的変異原(例えば、電離放射線)に対して細胞を過敏にしない。疾患状態、すなわち上昇された欠失頻度に起因する感受性は、それゆえ、ヴェルナー遺伝子の変化により一部制御され得、そしていくつかの対立遺伝子は、それゆえ、このクラスの医療状態の診断薬であり得る。
アゴニストおよびアンタゴニストについてのアッセイ
本発明により、WRN遺伝子産物のアゴニストまたはアンタゴニストもまた提供される。これらアゴニストまたはアンタゴニストは、WRN遺伝子産物に結合するかまたはWRN遺伝子産物に結合するタンパク質と相互作用するタンパク質、ペプチド、化学薬品、またはペプチド模倣物を含む。そのため、アゴニストまたはアンタゴニストの結合は、WRN遺伝子産物の活性に影響を及ぼす。アゴニストは、WRN遺伝子産物を活性化するかまたはその活性を増大する。アンタゴニストは、WRN遺伝子産物を阻害するかまたはその活性を減少する。WRN遺伝子産物の活性は、WRN遺伝子産物の活性を測定するヘリカーゼアッセイまたは他のアッセイのようなアッセイで測定され得る。他のアッセイは、WRNと相互作用し、そしてその活性に必要なタンパク質の結合を測定する。
WRN遺伝子産物のアゴニストおよびアンタゴニストは、遺伝子産物の活性を増強するかまたはその活性を阻害するために使用され得る。このようなアゴニストおよびアンタゴニストは、種々の方法により同定され得る。例えば、WRNを結合しそして活性化するタンパク質は、酵母2-ハイブリッド検出システムを使用して同定され得る。このシステムでは、WRN遺伝子は、酵母遺伝子(例えば、GAL4)のDNA-結合ドメインまたは活性化ドメインのいずれかに融合される。cDNAライブラリーがベクター中に構築され、その結果、インサートがドメインの1つに融合される。ベクターは酵母中に同時トランスフェクトされ、そしてレポーター遺伝子の転写活性化について選択される(FieldsおよびSong, Nature 340: 245,1989)。WRNに結合するタンパク質は候補のアゴニストである。WRNに結合する3つの異なるタンパク質が、最初のスクリーニングにおいて、2-ハイブリッド系を使用して同定されている。
WRN遺伝子産物上の結合部位が決定される場合、WRNタンパク質を結合しそして活性化する分子が設計されそして評価され得る。例えば、結合部位のコンピュータモデリングが作成され、そして結合する模倣物が設計され得る。結合部位に対する抗体が生成され得、そして天然の結合タンパク質のアナログが同様に生成され得る。任意のこれらの分子が、アゴニストまたはアンタゴニスト活性について、WRN遺伝子産物の機能的アッセイにより試験される。例えば、アンタゴニスト活性について試験するために、酵母がWRNで同時トランスフェクトされ、そして結合タンパク質が、それぞれ、DNA結合ドメインまたは活性化ドメインに融合される。試験分子が投与され、そして活性化がモニターされる。アンタゴニストは、レポーター遺伝子の活性化を少なくとも50%まで阻害する。同様に、アゴニスト活性は、酵母2-ハイブリッド系におけるWRN活性を増強することによるか、または試験化合物をDNA結合または活性化ドメインに結合し、そしてレポーター遺伝子の活性をモニターすることによるかのいずれかにより測定され得る。
標識
WRNタンパク質、このようなタンパク質をコードする核酸分子、抗WRNタンパク質抗体、およびアゴニストまたはアンタゴニスト(上記および下記)は、種々の分子で標識され得る。この分子は、例えば、蛍光分子、毒素、および放射性核種を含む。蛍光分子の代表的な例は、フルオレセイン、Phycobiliタンパク質(例えば、フィコエリトリン)、ローダミン、テキサスレッド、およびルシフェラーゼを含む。毒素の代表的な例は、リシン、アブリン、破傷風毒素、コレラ毒素、ゲロニン、ヨウシュヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、トリチン(tritin)、Shigella毒素、およびPseudomonasエキソトキシンAを含む。放射性核種の代表的な例は、Cu-64、Ga-67、Ga-68、Zr-89、Ru-97、Tc-99m、Rh-105、Pd-109、In-111、I-123、I-125、I-131、Re-186、Re-188、Au-198、Au-199、Pb-203、At-211、Pb-212、およびBi-212を含む。さらに、上記の抗体はまた、リガンド結合対の一方のパートナーに標識されるかまたは結合体化され得る。代表的な例は、アビジン-ビオチン、およびリボフラビン-リボフラビン結合タンパク質を含む。
WRNタンパク質、このようなタンパク質をコードする核酸分子、抗WRNタンパク質抗体、およびアゴニストまたはアンタゴニスト(上記)を、上記の代表的な標識で結合体化するかまたは標識するための方法は、当業者により容易に達成され得る(Trichothecene Antibody Conjugate、米国特許第4,744,981号;Antibody Conjugate、米国特許第5,106,951号;Fluorogenic Materials and Labeling Techniques、米国特許第4,018,884号;Metal Radionuclide Labeled Proteins for Diagnosis and Therapy、米国特許第4,897,255号;およびMetal Radionuclide Chelating Compounds for Improved Chelation Kinetics、米国特許第4,988,496号を参照のこと;また、Inman、Methods In Enzymology,第34巻,Affinity Techniques, Enzyme Purification:B部,JakobyおよびWilchek(編),Academic Press, New York,第30頁,1974を参照のこと;また、WilchekおよびBayer、「The Avidin-Biotin Complex in Bioanalytical Applications」,Anal. Biochem. 171:1-32, 1988を参照のこと)。
薬学的組成物
上記のように、本発明はまた、上記のWRNタンパク質、核酸分子、ベクター、抗体、宿主細胞、アゴニスト、またはアンタゴニストの1つを、薬学的または生理学的に受容可能なキャリア、賦形剤、または希釈剤とともに含む、種々の薬学的組成物を提供する。一般に、このようなキャリアは、レシピエントに対して、用いる投与量および濃度において非毒性である。通常、このような組成物の調製は、治療薬剤と、緩衝液、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、炭化水素(グルコース、スクロース、またはデキストリンを含む)、キレート化剤(例えば、EDTA)、グルタチオン、ならびに他の安定化剤および賦形剤とを組み合わせる必要がある。中性緩衝化生理食塩水または非特異的血清アルブミンと混合した生理食塩水が、典型的な、適切な希釈剤である。
さらに、本発明の薬学的組成物は、種々の異なる経路による投与のために調製され得る。さらに、本発明の薬学的組成物は、このような薬学的組成物の使用についての指示書を提供する梱包物とともに容器内に入れられ得る。一般に、このような指示書は、薬剤濃度、ならびに特定の実施態様における、賦形剤成分または希釈剤(例えば、水、生理食塩水、またはPBS)(これは、薬学的組成物を再構成するために必要であり得る)の相対量を記載する具体的な記載を含む。
ヴェルナー症候群を処置または予防する方法
本発明はまた、ヴェルナー症候群(または、関連疾患)を処置または予防するための方法を提供する。この方法は、患者に、上記のベクター(例えば、発現ベクター、ウイルスベクター、またはベクターを含むウイルス粒子)または核酸分子単独を投与し、それにより、ヴェルナー症候群(または、関連疾患)の可能性を減少するか、またはその発症を遅延させる工程を包含する。
同様に、治療ペプチド、ペプチド模倣物、または小分子が、ヴェルナー症候群の発症を遅延するか、症状を緩和するか、または疾患の進行を停止するかまたは遅延させるために使用され得る。このような治療剤は、変異タンパク質、野生型および変異タンパク質を発現するトランスジェニック動物モデルにおいて、またはインビトロアッセイ系(例えば、Bjornsonら、Biochem. 3307:14306-14316, 1994に記載のようなヘリカーゼアッセイ)において試験され得る。
上記のように、本発明は、患者へ治療有効量のアンタゴニストまたは本明細書中に記載の薬学的組成物を投与することによるヴェルナー症候群を処置または予防するための方法を提供する。このような患者は、ヴェルナー症候群の従来の症状に基づく臨床診断により同定され得る。
当業者に明らかなように、投与の量および頻度は、もちろん、処置される徴候の性質および重度、所望の応答、患者の状態などのような要因に依存する。代表的には、組成物は、上記の種々の技術により投与され得る。
本発明の他の実施態様において、上記のWRNタンパク質をコードする核酸分子を含むかまたは発現するベクター、あるいは核酸分子それ自体でさえもが、種々の別の技術により投与され得る。この技術は、例えば、ポリ-L-リジンDNA複合体と結合体化したアシアロオボムコイド(asialoosomucoid)(ASOR)(Cristanoら、PNAS 92122-92126, 1993)の投与、死アデノウイルスに結合したDNA(Curielら、Hum. Gene Ther.3(2):147-154, 1992)、サイトフェクチン媒介性誘導(DMRIE-DOPE, Vical, Calif.)、直接DNA注入(Acsadiら、Nature 352:815-818,1991);DNAリガンド(Wuら、J. of Biol. Chem. 264:16985-16987, 1989);リポフェクション(Felgnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7417, 1989);リポソーム(Pickeringら、Circ. 89(1):13-21, 1994;およびWangら、PNAS 84:7851-7855, 1987);マイクロプロジェクタイルボンバードメント(Williamsら、PNAS 88:2726-2730, 1991);およびWRNタンパク質自体をコードする核酸の単独での(VileおよびHart、Cancer Res. 53:3860-3864, 1993)、またはPEG-核酸複合体を利用する直接送達を含む。
以下の実施例は、例示のために提供されるのであって、そして制限のために提供されるわけではない。
実施例
実施例1
第8染色体由来のWRN遺伝子のクローニング
最初に、WS遺伝子座(WRN)を、従来のマッピング法(Gotoら、Nature 355: 735-738, 1992)によって8p12に局所化し、そして減数分裂マッピングおよびホモ接合性マッピングの両方(Schellenbergら、1992; Nakuraら、Genomics 23: 600-608, 1994; Thomas, Genomics 16: 685-690, 1993)を用いて遺伝子の位置を規定した。多数のWS被験体が近親婚の子孫であるため(表1)、後者のアプローチが可能である。最初のマッピング作業(Nakuraら、Genomics 23: 600-608,1994; Oshimaら、Genomics 23: 100-113, 1994)は、8.3 cM間隔で、D8S137およびD-8S87に隣接させてWRN遺伝子座を置いた(図1)。D8S339(この間隔内のマーカー)は、試験した最も近い遺伝子座であった(q=0.001,Zmax=15.93)。マルチポイント分析は、D8S339の0.6cM内にWRNを置いたが、D8S87とFGFRとの間の領域を除外し得なかった。その後、グルタチオンレダクターゼ(GSR)およびD8S339での短いタンデム反復多形型(STRP)マーカーは、日本人のWS被験体のWSと結合非平衡で存在することが見出された(Yu, American Journal of Human Genetics 55: 356-364, 1994)。
WRN遺伝子をクローン化するために、人工酵母染色体(YAC)P1およびコスミドしコンティグ(contig)をGSR/D8S339領域での開始によって生成し、そして約3Mbをカバーするために、ウォーキング法によって伸長させた。YACコンティグ中のさらなる16 STRPマーカー(図1B)を、組換え体を規定しそして結合非平衡領域の境界を脱線状化するために同定した。マーカーの順序および遺伝子の同定のために、コスミドおよびP1クローンをまた単離し、そしてこの領域の小さなクローンの部分コンティグを構築するために使用した(図1E)。WRN領域を、このマーカーに対してテロメアな領域を除くC41C3S3での、およびこのマーカーに対して動原体領域を除くy896R9での偏性組換え体によって定義した。従って、C41C3S2からy896R9までの領域(これは、約1.2Mbである(図1))は、最小のWRN領域と考えられる。
WRN領域中の遺伝子を、以下を用いるエキソントラッピングによって同定した:ベクターpSL3(Bucklerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4005-4009, 1991; Churchら、Nat. Genet. 6: 98-105, 1994)、cDNAライブラリーの固定化YACへのハイブリダイゼーション(Parimooら、Proc.Natl. Acad. Sci. USA 87:3166-3169, 1991)、およびBLASTを用いたゲノム配列とDNA配列データベースとの比較(Altschulら、J. Mol. Bio. 215: 403-410, 1990)、およびエキソン発見プログラム(exon-finding program)GRAIL(UberbacherおよびMural, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 1261, 1991)。ゲノム配列を、P1クローン2233、2253、3833、2236、2237、2932、6738、および2934、ならびにコスミドクローン176 C6によって定義した領域について決定した。各方法は、発現した配列の短いセグメントを同定し、次いで、これを使用してより長いcDNAクローンを同定するためにアレイした線維芽細胞cDNAライブラリーをスクリーニングした。このライブラリーを選択した。なぜなら、WS線維芽細胞はインビトロで未熟な老化表現型を有しており、このことはWRN遺伝子がおそらくこの細胞型において発現されることを示しているからである。このプロセスによって同定された遺伝子を、逆転写酵素ポリメーラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いてWRN変異についてスクリーニングした。変異について7人の被験体を最初にスクリーニングした;5人のWRN被験体(2人のカフカス人および3人の日本人)および2人のコントロール被験体(1人のカフカス人および1人の日本人)。WRN遺伝子の同定の前に、その領域由来の以下の遺伝子を変異についてスクリーニングした;GSR、PP2AB、TFIIEB、および他の発現配列タグ化部位(EST)に対応する遺伝子。
ESTデータベースを調査するために、P1クローン2934のゲノム配列を用いることによって、最初に候補WRN遺伝子座遺伝子を検出した。推定イントロン配列によって分離されたゲノム配列の3つのセグメントに相同である、1本鎖で245bpのEST、R58879を検出した。R58879由来の配列を使用して正常線維芽細胞cDNAライブラリー由来のより長いcDNAクローンを同定した。その遺伝子の3’末端に対応する、EST R58879を含有する最初の2.1kbのcDNAクローンを、プライマーAおよびBを用いたPCR(以下を参照のこと)によるクローンのアレイをスクリーニングすることによって得た。プライマーAおよびBはR58879配列に由来し、そして増幅後に145bpのフラグメントを生じた。より長いクローンを、プライマー5EAおよび5EBを用いるPCRスクリーニングによって同定した。これらは、最初の2.1kbクローンに含まれる配列に対するP2934および5’に位置する予想されるエキソン内の配列に由来した。6つのさらなるクローンを同定した。さらなる8つのクローンを、プラークハイブリダイゼーションによって得た。最も長いクローンは、4.0kbの長さである。さらなる配列を、最初の鎖cDNA合成をプライムするためにプライマー5EAを用いるRAGE法によって得た。さらなる1.4kbの配列を含有する2.5kbの産物を得た。
ノーザンブロット分析によってR58879が発現された証拠を得たが、ここでは6.5kbおよび8kbの転写物が種々の組織(心臓、胎盤、筋肉、および膵臓を含む)中で検出された。また、転写物を、線維芽細胞およびリンパ芽球(lymphoblastoid)細胞株RNA由来のRT-PCR産物によって検出した。
実施例2
被験体由来のWRN遺伝子のクローニング
WRNを患者から単離し得、そして変異または多形型を配列分析によって決定し得る。末梢血細胞を、静脈穿刺および赤血球の低張性溶解によって得る。DNAまたはRNAを、これらの細胞および増幅によって単離したWRN遺伝子から単離する。遺伝子配列を、ゲノムDNA由来のエキソンの増幅によるかまたはRT-PCRによって、その後DNA配列の決定によって得ることができる。DNA配列を決定するためおよびRT-PCRを行うために適切なプライマーを以下に列挙する(プライマーA〜Rは、それぞれ配列番号1〜18であり、そしてプライマー5EA〜5EGは、それぞれ配列番号19〜25である)。2つのcDNAを同定し、そして図2および3に示す。図2の5’非転写領域中の数ベースの同一性に関してはいくらか不確かである。
2つのRT-PCR反応物を使用して、異なる組織由来の遺伝子を得る。第1のcDNA鎖の合成を標準的な手順(例えば、Stratagene製のStratascript Kit)に従って行う。cDNAを、第1にプライマーIおよびJ(配列番号9および10)を用い、その後プライマーKおよびL(配列番号11および12)を用い、そして第2にプライマー5EDおよびP(配列番号22および16)、その後プライマー5EEおよびB(配列番号23および2)を用いる、一対のネストしたPCR増幅に供する。これらのフラグメントを単離し、そして配列決定のために使用してその遺伝子配列またはスプライシングパターンにおける相違を同定する。プライマーA〜H(配列番号1〜8)およびK〜R(配列番号11〜18)を、最初のRT-PCRフラグメントを配列決定するために使用する。プライマーB、5EA、5EB、5EC、5EE、5EF、および5EG(それぞれ配列番号2、19、20、21、23、24、および25)を、第2のRT-PCR産物を配列決定するために使用する。製造者の指示に従って、Perkin-Elmer FS配列決定キットのApplied Biosystems Divisionを使用するABI373Aによって配列決定を行う。
Figure 0004009321
WRN遺伝子の3’末端のエキソンを、以下に列挙したプライマー(プライマーE1A〜E13Bは、それぞれ配列番号26〜57である)を使用してDNAサンプルから増幅し得る。同一のプライマーおよび製造者の指示に従って、Perkin Elmer FS配列決定キットのApplied Biosystems Divisionを使用するABI373A自動化シークエンサーを用いて、DNA配列を決定する。
Figure 0004009321
実施例3
変異対立遺伝子の同定
エキソン構造を同定するために、cDNA配列(図2)を、ゲノム配列に対して配列させ、そしてプライマーを各エキソンのPCR増幅のために合成した。全13エキソンのDNA配列を、5人の患者および2人の罹患していない個体について決定した。5人の患者のうち4人において、単一の塩基対の変化が、遺伝子のオープンリーディングフレームにおけるスプライシング欠損または停止コドンを導く。5人目の患者において、単一の塩基対の変化はシステインのアルギニンへのトランジションを生じ、これは遺伝子機能を崩壊し得る。各々のエキソンをまた、罹患していない96人のコントロール個体(48人のカフカス人および48人の日本人)において配列決定し、そしていずれのコントロール個体においても変異は見出されなかった。
第1の変異は、スプライスアクセプター部位での変異である。以下の配列において、GGTAGAAA配列は、ヌクレオチド2030で始まる(図2)。gのcへの変化は、95bpの欠損を生じる。
RT-PCR変異分析のためのDNAの調製により、1人の被験体について、増幅産物が他のWSおよびコントロール被験体由来の産物で観察されたものよりも短いことが明らかとなった。RT-PCR産物のDNA配列分析は、他のサンプルと比較して95bpが失われていることを明らかにした。失われた配列は、単一のエキソンに対応する。このエキソンおよび隣接するゲノムセグメントを、WS被験体およびコントロールから配列決定し、そしてスプライスドナー部位での単一の塩基変化(G→C)が検出された。この被験体は、最初のいとこ同士の結婚(cousin marriage)の子孫であり、そして予想されたように、この変異についてホモ接合性であった。同一の変異が、30人の日本人のWS被験体のうち全部で18人において見出され、従ってこれは最も普通の日本人のWS変異である。このエキソンの欠損は、予想されるオープンリーディングフレームおよび未熟な停止コドンにおける変化を生じる。この変異は、46人の日本人および46人のカフカス人のコントロールには観察されなかった。変異キャリアのうち、12/16はGSR2-STRPで141bpの対立遺伝子を有していた。
Figure 0004009321
第2の変異は、グルタミンを停止コドンに変化させる、ヌクレオチド2384でCをTへ変化させる(図2)。これは予想された短縮タンパク質を生じる。この変異は、一人の被験体において観察された。プライマーE11AおよびE11Bは、この配列に隣接し、そして360bpフラグメントを増幅する。
Figure 0004009321
第3の変異は、2804でCをTに変化させ(図2)、これはアルギニンコドンを停止コドンに変化させ、これにより予想された短縮タンパク質を生じる。4人の日本人のWS被験体および1人のカフカス人のW5被験体は、この変異を有していた。プライマーE8AおよびE8Bはこの配列に隣接し、そして267bp産物を増幅する。
Figure 0004009321
第4の変異は、スプライス接合部にまたがる4bpの欠失である。以下に示すエキソン配列は、ヌクレオチド2579で始まる(図2)。この変異を、シリア人のW5血族において同定した。プライマーE4AおよびE4Bはこの変異に隣接し、そして267bpのフラグメントを増幅する。
Figure 0004009321
第5の変異は、ミスセンス変異である。Tは、ヌクレオチド2113でGに変化され(図2)、これは野生型のpheコドンをleuコドンに変化する。この変化は、約0.5の頻度で存在する各対立遺伝子を有する多形型である。それは、WSと相関しないようである。
Figure 0004009321
第6の変異は、ヌクレオチド2990でTをCに変化させ(図2)、そしてcysコドンをargコドンに変化させるミスセンス変異である。
Figure 0004009321
野生型または変異ヌクレオチドのいずれかを最も多い3’塩基として含有するプライマーを用いたPCRによって、これらの点変異をまた同定し得る。これらのプライマーの1つおよび共通の第2のプライマーを用いて、2つの異なる反応を行う。増幅は、適合したプライマーを含む反応において検出可能である。
実施例4
WRN遺伝子および遺伝子産物の特徴づけ
2 kb WRN cDNAは、ノーザンブロットで、6.5kb RNAおよびより少ない8 kb RNAにハィブリダイズし、このことは、コードディング領域の全長が約5.2 kbであることを示唆する。2 kbまでの配列にわたる重複cDNAクローンが、単離されている。このクローンからのインサートを、cDNAの5'末端または全長配列を含む他のクローンを同定するために、cDNAブラリーをプローブするのに使用する。代替スプライシング事象を、完全分化細胞および幹細胞、および配列比較によって同定された全範囲の遺伝子転写物を含む、多数の異なる組織からの全cDNA配列を配列決定することによって、検出する。さらなるエキソンは、上記のように、さらなるゲノム配列決定およびGRAIL分析によって同定される。
推定アミノ酸配列を、図2Bおよび3に示す。図2は、WRN遺伝子のcDNAおよび推定アミノ酸配列を示す。図3は、WRN遺伝子のより少ない転写物のcDNAおよび推定アミノ酸配列を示す。最長のオープンリーディングフレームを、そのフレーム内の最初のメチオニンから示されている。推定WRNタンパク質は、3つの領域に分割される1,432アミノ酸からなる:N-末端領域、ヘリカーゼのDNAおよびRNAスーパーファミリーの特徴である7モチーフ(I、Ia、II、III、IV、VおよびVI)を含む中央領域(Gorbalenyaら、Nucleic Acid Res. 17:4713, 1989.)、および、C-末端領域(図8)。中央領域とは異なって、推定タンパク質のN-末端およびC-末端ドメインは、他のヘリカーゼまたは以前に記載された任意のタンパク質と同じアミノ酸を示さない。多数のヘリカーゼは、多タンパク質複合体部分として機能するので、N-末端およびまたはC-末端ドメインは、これらの他のタンパク質に対する相互作用部位を含み得るが、中央ヘリカーゼドメインは、DNAまたはRNA二本鎖の実際の酵素的巻き戻しで機能する。
ほぼコドン1〜539を取り囲むN-末端は酸性であり;19アミノ酸配列(コドン507-526)中の14酸性残基ストレッチを含む、109アスパラギン酸またはグルタミン酸残基が存在する。酸性残基のストレッチは、色素性乾皮症(XP)相補性グループBヘリカーゼ、ブルーム症候群ヘリカーゼ、およびX染色体連結αサラセミア遅鈍症候群ヘリカーゼ中に見出される。WRN遺伝子では、この領域はまた、各コピーが単一のエキソンでコードされる、27アミノ酸のタンデム重複を含有する。この重複は、ヌクレオチドレベルで正確であり、そして重複をコードする2つのエキソンに対する隣接イントロン配列もまた高度に類似するので、この重複は、比較的最近の事象の結果であることが推定される。重複領域はまた、27アミノ酸中の8グルタミン酸およびアスパラギン酸残基。および2塩基性アミノ酸(1つのヒスチジンおよび1つのリシン残基)のみを有し、高度に酸性である。
ほぼコドン540-963にわたる、WRN遺伝子の中央領域は、E.coli由来のReqQ遺伝子、S. cervisiae由来のSGS1遺伝子、C. elegans由来の推定ヘリカーゼ(F18C5C)、および数種のヒトヘリカーゼを含む、広範囲の生物由来の他のヘリカーゼに高度に相同性である。従って、配列類似性によって、WRN遺伝子は、DExH-box DNAおよびRNAヘリカーゼのスーパーファミリーのメンバーである。本質的に保存される配列は、他のヘリカーゼに見出される7モチーフからなる。これらのモチーフは、推定ヌクレオチド結合部位(モチーフI)およびMg2+結合部位(配列DEAH、モチーフII)を含有する。7モチーフのいくつかまたは全部が、DNA/RNA巻き戻しのための酵素活性部位を形成することが推定される。DEAH配列およびATP-結合モチーフの存在はさらに、WRN遺伝子産物が機能的ヘリカーゼであることを、示唆する。
WRNのC-末端(コドン964〜1432)は、他の遺伝子と限定された同一性を有する。同定された同一性のみが、E. coli ReqQ遺伝子およびC. elegans遺伝子F18C5.2との類似性に不正確である。
実施例5
WRN遺伝子における変異の同定および検出
WRNの変異または多形型は、配列決定分析(analysis)を包含する、種々の方法によって同定され得る。任意の細胞(赤血球以外)が、核酸を単離するために使用され得るが、末梢血単核細胞(PBMC)が好ましい。末梢血単核細胞を、静脈穿刺およびその後の赤血球の低浸透圧的溶解によって得る。RNAを単離し、第1のcDNA鎖合成を、Strata-script RT-PCRキットを使用し、製造者の指示に従って実施する(Stratagene, La Jolla,パートナンバー200347および200420)。3つのRT-PCRフラグメントを、1.5 mM Mg+2を含有する緩衝液を用いて、LA PCR KIt Ver. 2を使用して増幅する(TaKaRa Shuzo Co., Ltd., Japan,パートナンバーRR013A)。ネストしたPCRを実施する。この反応では、第2のPCRを、第1のPCR反応で増幅された配列内のプライマー対を使用して、実施する。各増幅のサイクル条件は、Perkin-Elmer 9600 PCR機での、95℃で10分間、60℃で1分間、72℃で1分間、および95℃で1分間、35サイクルその後72℃で7分間である。増幅されたフラグメントを、96ウエルプレートのスピンカラムを用いて精製する(Wangら、Anal. Biochem. 226:85-90, 1995)。DNA配列を、FS Dye-Terminator配列決定キット(Applied Biosystems Division of Perkin Elmer)、および下記に記載されている特異プライマーを使用して、決定する。自動化Applied Biosystems ABI373A DNAシークエンサーを、配列を使用して決定する。増幅されたフラグメントおよび適切なプライマーを表1に列挙し、そしてプライマー配列を表2に列挙する。
DNA配列を、プログラムシークエンサー(Gene Codes, Michigan)を使用して、被験体サンプルと参照配列間の任意の相違を同定するために、既知配列と整列させる(図2A)。
Figure 0004009321
Figure 0004009321
実施例6
ヴェルナー症候群遺伝子を含むゲノムDNAの単離
WRN遺伝子の変異分析を促進するために、イントロン-エキソン構造を決定する。WRN遺伝子を、P1クローン2934のゲノム配列中に位置づける。しかし、このクローンは、遺伝子の3'末端(エキソン21〜35)のみを有する。5'末端を含むゲノムクローンを、第8染色体特異コスミドライブラリーLA08NC01(Woodら、Cytogenet. Cell Genet. 59:243, 1992)から、P1クローン2934に隣接するクローンをスクリーニングすることによって得る。簡単に述べれば、このライブラリーを、Amemiyaら(Nucl. Acids Res. 20:2559, 1992)に記載されているように、PCRスクリーニング用にアレイする。WRN含有コスミドを、プライマーセット5E6/5EY、5ED/5E12、およびCD-A/CD-Bを使用して同定し(表3)、これはWRN cDNA配列由来である(図1;GenBank寄託番号第L76937号)。4工程でコスミド193B5、114D2、78D8、および194C3を得、これは残りのエキソンを含んでいた。WRN cDNA由来のプライマーを、コスミドクローンの最初の配列分析に使用した。得られた配列(図5)を、イントロン-エキソン境界を同定するためにcDNA配列と比較する。次いで、配列決定プライマーを、逆方向配列を得、そしてイントロン-エキソン接合を規定する第2の境界を得るために、イントロン配列から設計する。このストラテジーは、P1クローン2934に存在しないエキソンを規定するために使用する。
Figure 0004009321
全プライマーセットに対して、アニーリング温度は60℃であった。
表4は、ゲノムWRN遺伝子構造のまとめを示す。第1のカラムはエキソンを示し、第2のカラムは、エキソン由来のcDNAの塩基数を示し、第3のカラムは、エキソンのサイズをbpで示し、第4のカラムは、小文字でイントロン配列および大文字でエキソン配列を示す境界配列を示し、第5のカラムは、エキソンの重要な型を示す。
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上記に示されているように、WRNは、68 bp(エキソン14)から768 bp(エキソン35)のサイズの範囲の全35エキソンを含む。コード領域は、第2のエキソンから始まる(表2)。以前に示されたように、27アミノ酸長である、WRN cDNA配列に重複領域が存在する。この重複は、cDNA中にヌクレオチドレベルで厳密に保存される。ゲノムレベルでは、重複された配列は、2つのエキソン(エキソン10および11)として示され、各エキソンは、重複ヌクレオチドのみを有する。これらの2エキソンに隣接するイントロン配列もまた高度に保存され、このことは、比較的最近の重複がこれらの繰り返しエキソンの原因であることを、示唆する。さらに、周囲のイントロン配列は保存されたので、エキソン10および11を特異的に増幅し得るプライマーを設計することは不可能であった。
WRN遺伝子のヘリカーゼ領域は、エキソン14〜21に含有される。ヘリカーゼモチーフIは、エキソン14と15との間で分割され、一方、残りのモチーフは、個々のエキソンに存在する(表4)。コドン569〜859までのこの領域は、7つのサインのヘリカーゼモチーフと配列類似性を有する。さらに、モチーフ間の配列は保存されないが、間隔は、広範囲の種由来の遺伝子において、非常に類似する。例えば、E. coli RecQ遺伝子のヘリカーゼドメインは、WRN遺伝子に対する291アミノ酸に比較して、288アミノ酸の範囲で認められる。
実施例7
変異の同定
最初に、WRNのC-末端ドメインにおける4つの異なる変異を同定する。80%を超える日本人のWS被験体について報告されているこれらの変異を試験した。4つの全変異はWRNのC末端ドメイン領域に存在し、得られた推定タンパク質は、インタクトなヘリカーゼドメインを含んだ。さらなるWS被験体を、さらなる変異を同定するためにスクリーニングする。ゲノム構造情報を、各エキソンの増幅のためのPCRプライマーを設計するために使用し、次にこれをDNA配列分析に供する。5つのさらなるWRN変異を記載する;2つは、共通ヘリカーゼモチーフ中に位置し、他の2つは、ヘリカーゼドメインを有さない短縮型タンパク質を産生すると予測される。これらの変異は、少なくとも何人かのWS被験体で、酵素ヘリカーゼ活性は破壊されることを示唆し、そして、WRN遺伝子産物の完全な機能消失がヴェルナー症候群を引き起こすことを支持する。
DNAを単離するために任意の細胞が使用され得るが、PBMCが好ましい。上記のように、PBMCを、静脈穿刺およびその後の赤血球の低浸透圧的溶解によって得る。PBMCを、0.5% NP-40、0.5% Triron-X100、または0.5% SDSのような界面活性剤の添加によって溶解する。非イオン界面活性剤を使用する場合には、DNAのさらなる精製は必要でないが、プロテイナーゼK処理、その後の酵素の加熱失活(95℃で10分間)が必要とされる。ゲノムDNAを、表5に列挙されているプライマーを使用して、上記のPCR条件に従って増幅する。エキソン9および10は、重複されるDNA領域を含有した。エキソン9および10に対するプライマー対を、重複の外側の配列にアニールする。増幅産物を、DNA配列決定、対立遺伝子特異プローブとのハイブリダイゼーション、または他の変異検出法によって分析する。DNA配列が決定されるとき、増幅されたエキソン配列を、既知配列と整列させ(図2A)、被験体サンプルと参照配列間との間の任意の相違を同定する。
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全プライマーセットに対するアニーリング温度は、60℃であった。
変異は、ゲノムDNAからのWRNエキソンの増幅ならびに色素ターミネーターサイクル配列決定(Perkin Elmer)およびABI373自動化DNAシークエンサーによるPCR産物の直接サイク配列決定によって、検出される。配列決定前に、PCR増幅エキソンフラグメントを、QIAquick 8 PCR精製キット(Qiagen)を用いて精製した。得られた配列を、FASTA分析によって整列させる(GCG)。その後、WSとコントロールとの間のヌクレオチドの相違を、逆鎖を配列決定して確認する。
逆転写酵素PCR(RT-PCR)に基づく方法を使用して、いくつかの変異(変異1〜4および9、表6)を同定し、そしてスプライス接合変異の予測される結果を確認した。RT-PCR産物を、リンパ芽球様細胞株(Qiagen Oligotex. Qiagen)から単離されたmRNAから合成した。大きなゲノム欠損を、長い範囲のPCR(Expand Long Template PCR System, Boehringer Mannheim)を用いて、ゲノムDNA中に検出した。
診断基準:WS被験体は、ヴェルナー症候群被験体の国際登録者(International Registry of Werner's Syndrome Subjects)であった。診断基準は、以下の徴候および症状に基づく(Nakuraら、1994)。診断基準は:1)両眼白内障;2)特徴的な皮膚科的病変(皮膚の角質化、萎縮皮膚、色素変化、潰瘍形成、角化症、局部的皮膚萎縮)、および特徴的な顔貌(「鳥様」顔貌);3)低い身長;4)父系血族(3親等兄弟またはそれ以上)または罹患兄弟;5)早期の白髪および/または頭髪の減少;6)24時間尿中ヒアルロン酸テスト陽性(可能なとき)、である。さらなる基準は:1)糖尿病;2)性機能不全(二次性器発育不全、繁殖能低下、精巣または卵巣萎縮);3)骨粗鬆症;4)手指および/または足指の遠心指節の骨硬化症(X線診断);5)軟組織石灰化;6)早熟アテローム性動脈硬化症(例えば、心筋梗塞の病歴);7)間充織新生物、希な新生物、または多発性新生物;8)変声(高音、金切り声、またはかすれ声);9)偏平足。診断分類は以下のようである:「確実(Definite)」全ての主徴(可能なとき#6)および任意の他の2つ;「ほとんど確実(Probable)」最初の3主徴および任意の他の2つ;「可能性(Possible)」片眼白内障または皮膚科的変化および任意の他の4つ;「除外(Excluded)」思春期前の徴候および症状の発症(低い身長以外;なぜなら思春期前の成長パターンいついての現在までのデーターは不十分であるから)または尿中ヒアルロン酸テスト陰性。最終診断は、おそらく以前に使用されている(Nakuraら、1994; Goddardら、1996; Yuら、1996)。
WS被験体中における変異。WRN遺伝子の最初のスクリーニングは、遺伝子の3'末端のみ(エキソン23〜35)からの配列に基づく。従って、最初の4変異(表3において1〜4で示される)は、ヘリカーゼドメインの3'領域中に存在した。この変異スクリーニングでは、プライマーは、約80 bpの隣接イントロン配列をともなってエキソン2〜35を増幅する(表5)。最初に、9人のWS被験体(カフカス人被験体DJG、EKL、およびFES、ならびに日本人被験体IB、KO、OW、KUN、WKH、およびWSF)を、変異についてスクリーニングした。これらの被験体は、各被験体が異なる変異を有し得ることを示唆する、ハプロタイプ分析に基づいて選択した(Yuら、1994; Goddardら、1996)。30人の日本人被験体および36人のカフカス人被験体の全てを、適切なエキソンのDNA配列分析によって、各変異について最終的にスクリーニングした。
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5つの新たなWS変異を、WRN遺伝子中で検出した(5〜9で示す、表6)。変異の2つ(5および6)は、ナンセンスコドンをつくる1塩基置換であった。変異5は、Argを終止コドンへ変化するC→Tトランジョン変化をもたらす(表6、図6)。推定タンパク質を、ヘリカーゼ領域を除いて368アミノ酸で切断し、これはコドン569で開始する。3人の日本人被験体および3人のカフカス人被験体は、この変異に対して、ホモ接合性であり、1人の日本人および4人のカフカス人はヘテロ接合性であった(表7)。変異6もまた、Argをナンセンスコドンに変化するC→Tトランジション変化である。1人のカフカス人WS被験体は、この変異に対してホモ接合性であり、第2はヘテロ接合性化合物であった。推定タンパク質産物は、888アミノ酸である。第3の置換変異(変異7)は、スプライス-レセプター部位でのG→T変化であり、これはエキソン20を欠く短縮mRNA、およびアミノ酸760での早熟終止WRNタンパク質を生成する。1人の日本人WS被験体が、この変異に対してホモ接合性であった。
2つの欠損が観察された。1つ(変異8)は、フレームシフトおよび391アミノ酸長の推定短縮タンパク質をもたらすコドン389での1 bp欠損である。この変異は、ヘテロ接合体として1人のカフカス人被験体で見出された。第2(変異9)は、より大きな欠損である。この欠損は、2つの異なるRT-PCR産物が、DJG被験体から調製されたRNAから得られたときに、RT-PCR実験で最初に観察された。プライマー5EEおよびB(表5)によって調製されたRT-PCR産物は、2つの異なる産物を生じ、一方は推定の2009 bpのサイズを有し、そして2つ目は、約700 bp小さいより短い産物であった。より短い産物のDNA配列は、エキソン19から23を消失していることを示した。この変異の特性をより確立するために、この潜在的な大きな欠損(エキソン18および24)に隣接するエキソン由来のプライマー(エキソン18Aおよびエキソン24A、表5)を使用して、長い範囲PCRプロトコールを用いて、被験体DJGからのゲノムDNAを増幅した。単一の5 kbフラグメントを、より短いRT-PCR産物に対応して観察した。(>20 kbであると評価される、正常なフラグメントは観察されなかった。)この5 kbフラグメントの完全なDNA配列を決定し、これはそれぞれエキソン18および24の予想される3'および5'末端を含有したエキソン配列を、それぞれエキソン18および24の3'および5'末端に隣接するイントロン配列によって分離した。エキソン19〜23からの配列は、5 kbフラグメントにおいて見出されなかった。他の被験体およびコントロールでは、イントロン3'〜エキソン18のイントロン配列は、241 bp Alu反復エレメントが後続する、531 bpの固有配列を含有した。同様に、5'からエキソン24までに領域について、3,460 bpの固有配列によってエキソン24から分離された、エキソン24Alu反復エレメントが存在する。被験体DJGからの4938 bpフラグメントは、単一Aluエレメントによって分離された、これらの固有エキソン隣接イントロン配列を含有した。従って、この欠損は、WRN遺伝子内の2つの高度に相同なAluエレメントでの組換えエラーによって生じたと考えられる。プライマーセットGD-AおよびGD-D(表5)を、この結合ポイントを越えて、短いフラグメント(426 bp)を特異的に増幅するよう設計した。1人のさらなるカフカス人のWS被験体(SUG)は、このゲノム欠損を有することを示した。この欠損領域内のエキソンのさらなるPCR増幅は、DJGおよびSUGの両方が、この変異に対してヘテロ接合性であることを示した。
WRN変異の起源:複数の被験体が同じ変異を有し、そして同じ変異が異なる民族集団で観察されるので、少なくともある変異は、共通のファウンダー(創始者:fouders)に起因するようである。共通のファウンダーについての証拠を、WRN遺伝子内の2つの短いタンデム繰り返し多形型(STRP)を用いて、確認した。これらのSTRPであるD8S2162およびp2934AT1は、同じP1クローン(p2934)から単離され、互いの17.5 kb内である。D8S2162は、特に多形型(ヘテロ接合性 = 日本人中54%およびカフカス人中70%)ではなく、そしておもに2対立遺伝子系(140および142 bp対立遺伝子)であるが、p2934AT1は、高度に多形型である(ヘテロ接合性 = 日本人およびカフカス人両群中78%)。変異4については、日本人の被験体でのみ観察され、1人を除く全被験体が、140〜148のD8S2164/p2934AT1ハプロタイプを有していた(表8)。唯一の例外であるJO2は、変異4を有する他の被験体で観察された148 bp対立遺伝子と2 bp異なるp2934AT1対立遺伝子をともなって、ハプロタイプ140〜150を有していた。この2 bpの差は、ジヌクレオチド繰り返しSTRP座に共通して観察されるので(WeberおよびWong, 1993)、2 bp変異の結果であり得る。ハプロタイプデータは、共通の日本人ファウンダーに一致し、そしてWRN領域中の他のマーカーについて、同じ日本人被験体で観察された結合非平衡に一致する(Yuら、1994; Goddardら、1996)。変異2および5については、日本人において、入手可能な少数の被験体の896R18-p2934AT1ハプロタイプは、各変異について共通のファウンダーと一致する。しかし、変異2および5を有する非日本人被験体は、同じ変異を有する日本人被験体と比較して、不一致なp2934AT1遺伝子型を有した。これらの結果は、変異2および5を有する日本人および非日本人の被験体の両方に対する共通のファウンダーを支持しない。変異5について、非日本人被験体では、変異5を有する個々の被験体が、両方の場合にp2934AT1に対して不一致であるので、3つもの異なるファウンダーが存在し得る(例えば、AG00780をEKLと比較せよ)。共通がファウンダーが存在しない証拠は、必ずしも単一の起源の変異事象の可能性を排除しないことに、注目されるべきである。2 STRP座で新たな対立遺伝子をつくる遺伝子内組み換えおよび/または変異は、時がたてば、異なるWRN変異の起源を不明瞭にし得た。
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本明細書で同定された5つの変異は、WS変異が、遺伝子の3'末端に限定されず、WRNの他の領域にも認められることを実証する。さらに、変異5および7〜9はそれぞれ、ヘリカーゼ領域の部分または全体のいずれか(either)を分裂させる。従って、この変異に対してホモ接合性であるWS被験体は、WRNヘリカーゼドメインおよびタンパク質の3'末端を完全に欠如する。切断された368アミノ酸タンパク質が、なんらかの部分的残存機能を有する可能性は存在するが、変異5はおそらく、WRNタンパク質の全活性を完全に消失する。しかし、これらの被験体でのWS表現型は、本明細書に記載されてる他の変異によって生じたWS表現型とは評価可能なほどには異ならない。従って、WS遺伝子中の全変異が、機能変異の完全消失であり得る。
実施例8
マウスWRN遺伝子の同定
マウスWRN cDNAを、プローブとしてヒトWRN cDNAを用いて、低ストリンジェンシーでマウス脾細胞cDMAライブラリーをスクリーニングして、単離した。マウスcDNA配列を、図9に示す。ヒトとマウスWRN cDNA配列との間の相同性は、約80%である。アミノ酸レベルでは、ヒトおよびマウスのWRN遺伝子産物は、約90%相同性を示す。特に、ヒトWRN cDNA中の繰り返しエキソン(エキソン10および11)は、マウスWRN cDNA中では1回のみ存在する。
ゲノムマウスWRNクローンを、マウスゲノムBACライブラリーをスクリーニングするために、マウスWRN特異的プライマーを使用して単離した。ゲノムDNA配列を図6に示す。
ゲノムDNA配列を、図7および配列番号207〜209に示す。DNA配列を、図6および配列番号205および206に示す。
実施例9
WRN遺伝子産物の局在化
WRN遺伝子産物のペプチドに対して惹起されたウサギポリクローナル抗血清を、WRNタンパク質の細胞内局在化を決定するために、間接免疫蛍光アッセイに使用する。
ウサギポリクローナル抗血清は、標準的な方法(HarlowおよびLane, Antibodies, A Laboratory Manual, CSH Press, Cold Spring Harbor, 1989; Current Protocols in Immunology, Greene Publishing, 1995を参照のこと)によって、ペプチドPhe-Pro-Gly-Ser-Glu-Glu-Ile-Cys-Ser-Ser-Ser-Lys-Arg(FPGSEEICSSSKR)(配列番号204)に対して惹起する。ペプチドは、WRNポリペプチドの残基1375から1387に対応する。
上皮細胞のような細胞を、プラスティックまたはガラス表面上で増殖させ、3%パラホルムアルデヒドで固定し、0.5% Triton X-100、10 mM PIPES(pH 6.8)、50mM NaCl、300 mMスクロース、および3 mM MgCl2を含有する緩衝液で、2分間透過させる(例えば、Feyら、J. Biol. Chem. 98:1973, 1984を参照のこと)。次に、細胞を、抗ペプチド抗体の適切な希釈液(1:1500)によって20分間染色し、洗浄して、適切な二次抗体(例えば、FITC複合体化ヤギ抗ウサギ抗体)で染色し、洗浄し、蛍光(gluoresence)顕微鏡による可視化用にマウントする。コントロール染色は、DNAを染色するbis-ベンズイミジン(Sigma, St. Louis, MO)、およびフィラメント状アクチンを染色するファロイジン(Molecular Probes, OR, BODIPY 558/568ファロイジン)を含有する。
図9に見られるように、WRN遺伝子産物は、ほとんど全部の核に局在する。核染色は、パネルAの左下の上皮細胞に、容易に注目される。これらの細胞は、ヒト前立腺上皮細胞の拡大クローンの周辺近くに存在する。急速に分裂していない細胞(例えば、クローンの中央に近い細胞)は、例えば、パネルAの右上にみられ、細胞質および核の両方で染色される。これらの細胞の核の位置および大きさは、パネルBのインターカレーション色素bis-ベンズイミジン(Hoeschst33258)でDNAを染色することによって示される。細胞全体の大きさ、そしてある場合は主要な細胞骨格特性は、パネルCに示されてるように、F-アクチンに対する染色によって明らかにされる。
実施例10
WRN遺伝子産物へ結合するタンパク質の単離
酵母2-ハイブリッド相互作用スクリーニング(HollenbergらMol. Cell Biol. 13:3813, 1995)は、WRN遺伝子産物のカルボキシ末端443アミノ酸(残基990から1432)へ結合する細胞タンパク質を、同定および単離するために使用する。
刺激されたヒト末梢血単核細胞から単離されたRNAから生成された1.1 x 106個独立cDNAクローンのライブラリーは、pACT-2(Clontech, Palo Alto, CA)で生成され、それは、cDNA/GAL4活性化ドメイン融合体を作り、WRN遺伝子フラグメントと供にpLEXAを含有する酵母へ同時トランスフェクトされてWRN/LEXA DNA結合融合体を生成する。宿主酵母細胞であるL40を、ロイシン、トリプトファン、およびヒスチジンを欠き、そして4 mM 3AT、ヒスチジンに対する毒性異化代謝産物を含有する培地で増殖させる。67のコロニーをこの培地で増殖させた。これらのうちの60を、シクロヘキシミドを含有する培地で増殖させ、そして「粘着性の(sticky)」ラミニンおよびGAL4活性化ドメインの融合体を発現する酵母株と交配させて、pLEXAプラスミドを除いた。19のクローンは、粘着性タンパク質を活性化せず、そしてDNA配列分析に供した。これらのうちの6つは、BLASTサーチによるGenBank中のどの配列とも一致しない配列を含んでいた。他の2つのクローンは、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIおよびプロリル4-ヒドロキシラーゼBサブユニットをコードした。6つの個別のクローンは、U1 snRNP複合体の70K成分をコードした(GenBankアクセス番号M 22636)。さらに、6つ全ては、70Kタンパク質のRNA認識モチーフ領域から由来した。
前記の記載から、本発明の特定の実施態様が、例示目的のために本明細書に記載されてきたが、種々の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく実施され得ることは、明白である。従って、本発明は、添付の請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (19)

  1. 以下からなる群より選択される、単離された核酸分子:
    (a)配列番号70、72および205からなる群より選択されるヌクレオチド配列またはその相補配列を含む単離された核酸分子。
    (b)核酸コードの縮重により、(a)の核酸分子によりコードされるタンパク質をコードする、単離された核酸分子。
  2. 請求項1(a)に記載の核酸分子の少なくとも一部分またはその相補配列を含み、18ヌクレオチド以上であり、請求項1(a)に記載の核酸分子の全体または一部を特異的に増幅する、プライマー対。
  3. 請求項2に記載のプライマー対であって、前記プライマー対が、(a)配列番号9および配列番号10のヌクレオチド配列を有する核酸分子、(b)配列番号11および配列番号12のヌクレオチド配列を有する核酸分子、(c)配列番号22および配列番号16のヌクレオチド配列を有する核酸分子、(d)配列番号23および配列番号2のヌクレオチド配列を有する核酸分子、(e)配列番号21および配列番号10のヌクレオチド配列を有する核酸分子、(f)配列番号85および配列番号12のヌクレオチド配列を有する核酸分子、(g)配列番号88および配列番号82のヌクレオチド配列を有する核酸分子、(h)配列番号89および配列番号80のヌクレオチド配列を有する核酸分子、(i)配列番号164および配列番号165のヌクレオチド配列を有する核酸分子、(j)配列番号22および配列番号166のヌクレオチド配列を有する核酸分子、および(k)配列番号167および配列番号168のヌクレオチド配列を有する核酸分子、からなる群より選択される、プライマー対。
  4. 請求項2に記載のプライマー対であって、前記プライマー対がWRNの特定のエキソンを増幅し、そして該特定のエキソンが、表4に記載されたエキソン1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34および35からなる群より選択される、プライマー対。
  5. 請求項1に記載の核酸分子に作動可能に連結されたプロモーターを含む、発現ベクター。
  6. 請求項5に記載の発現ベクターであって、前記プロモーターが、CMV I-Eプロモーター、SV40初期プロモーター、およびMuLV LTRからなる群より選択される、発現ベクター。
  7. 請求項5に記載の発現ベクターであって、前記プロモーターが、組織特異的プロモーターである、発現ベクター。
  8. 請求項5に記載の発現ベクターであって、前記ベクターが、ウイルスベクターである、発現ベクター。
  9. 請求項8に記載のウイルスベクターであって、前記ウイルスベクターが、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびレトロウイルスベクターからなる群より選択される、ウイルスベクター。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載のベクターを有する、組換え宿主細胞。
  11. 請求項10に記載の組換え宿主細胞であって、前記細胞がヒト細胞、イヌ細胞、サル細胞、ラット細胞、およびマウス細胞からなる群より選択される、組換え宿主細胞。
  12. 請求項1に記載の核酸分子によりコードされるWRN遺伝子産物を含む、単離されたタンパク質。
  13. 請求項12に記載のタンパク質に特異的に結合する、抗体。
  14. 請求項13に記載の抗体であって、前記抗体がモノクローナル抗体である、抗体。
  15. 請求項13に記載の抗体であって、前記抗体が、Fabフラグメント、Fvフラグメント、および一本鎖抗体からなる群より選択される、抗体。
  16. 請求項14に記載の抗体を生産し得る、ハイブリドーマ。
  17. ヒトでないトランスジェニック動物の生殖細胞および体細胞がWRN遺伝子の発現に有効なプロモーターに作動可能に連結された請求項1に記載の核酸分子を含むWRN遺伝子を含有し、該遺伝子が、胚段階において、該ヒトでない動物、または該ヒトでない動物の祖先に導入されている、ヒトでないトランスジェニック動物。
  18. 請求項17に記載のヒトでないトランスジェニック動物であって、前記動物が、マウス、ラット、およびイヌからなる群より選択される、ヒトでないトランスジェニック動物。
  19. ヒトでないトランスジェニック動物の生殖細胞および体細胞がWRN遺伝子の発現に有効なプロモーターに作動可能に連結されたWRN遺伝子を含有し、該WRN遺伝子が、請求項5〜9のいずれかに記載のベクターを使用して、胚段階において、該ヒトでない動物、または該ヒトでない動物の祖先に導入されている、ヒトでないトランスジェニック動物。
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