JP4009008B2 - セラミックス放電ランプ、ランプ装置および照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光性セラミックスを用いて形成された気密容器を備えるセラミックス放電ランプ、これを用いたランプ装置および照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、金属ハロゲン化合物を放電媒体として気密封入する放電ランプ、例えばメタルハライドランプにおいては、気密容器であるバルブに透光性セラミックス(透光性アルミナ、YAG等)が用いられるようになってきている。透光性セラミックスは、バルブ材料として従来から広く用いられている石英ガラスに比べ、耐熱性・耐食性が高く、かつ、結晶構造を有するためにジスプロシウム(Dy)やナトリウム(Na)等の発光金属との反応によって生ずるバルブ黒化による失透現象に伴う光束低下が生じにくいという良好な特性を備える。このため、石英ガラス製のメタルハライドランプに比べて封入媒体中の発光金属の選択幅が広い等の理由から、高い発光効率と高演色性とを実現することが可能である。
【0003】
ここで、気密容器であるバルブに封入する放電媒体としては、Na(ナトリウム)、Tl(タリウム)、In(インジウム)、Dy(ジスプロシウム)等のハロゲン化物が用いられている。Naハロゲン化物は赤色、Tlハロゲン化物は緑色、Dyハロゲン化物は青色の発光をもたらす。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
演色性を向上させるには、各発光波長の相対エネルギーの値を太陽光に近似させるほど望ましい。このため、メタルハライドランプの発光色としては、Naハロゲン化物によりもたらされる赤色およびTlハロゲン化物によりもたらされる緑色の他に、青色の発光色が必要である。そこで、従来、青色の発光をもたらすハロゲン化物として、DyI3 (ジスプロシウムハロゲン化物)やScI3(スカンジウムハロゲン化物)等の希土類ハロゲン化物を放電媒体に含ませている。
【0005】
ところが、希土類ハロゲン化物は、発光によってバルブの内壁に付着し、バルブとの反応による失透現象によって光束維持率の低下をもたらすという課題がある。このため、例えば高圧ナトリウムランプに比べると光束維持率が著しく低下するため、寿命が数千時間程度と短く、これがセラミックス放電ランプのより広い普及を妨げる原因となっている。
【0006】
本発明の目的は、発光効率や演色性を犠牲にすることなく、光束維持率を向上させることができるセラミックス放電ランプを得ることである。
【0007】
本発明の別の目的は、上記目的を実現するセラミックス放電ランプを用いたランプ装置、照明装置を得ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のセラミックス放電ランプは、透光性セラミックスにより形成され、両端に一対の電極導入孔を有する気密容器と;気密容器の両端に固定されて気密容器に設けられた電極導入孔を気密に封止し、気密容器の内部に一対の電極を導く栓体と;気密容器内に封入され、0.5〜5.5mg/ccのNaハロゲン化物およびTlハロゲン化物を含有しNaハロゲン化物の重量をWNaとしてTlハロゲン化物の重量をWTlとするときにそれらの封入比(Wna/WTl)が
0.5≦(WNa/WTl)≦1.4
であり、さらに、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物以外の非希土類ハロゲン化物であって、その重量をWxとしたときに、
0≦Wx/(WNa+WTl)≦0.1
の封入比で封入され、さらにまた、希土類ハロゲン化物であって、その重量をWRとしたときに、
0≦WR/(WNa+WTl)≦0.1
の封入比で封入された金属封入物および希ガスを含む放電媒体と;気密容器内の最冷部温度を750〜950℃に維持する手段と;を備えている。
【0009】
ここで、「気密容器」としては、例えば透光性アルミナやYAGが用いられ、その形状としては円筒形状も球形発光部を有する形状も許容する。もっとも、その材料および形状は、それらに限定されるわけではない。「栓体」としては、フリツトガラスあるいは導電性サーメット、例えば、アルミナとタングステンの粉末を混ぜて焼結したものが一例として用いられるが、これに限定されるわけではない。「電極」としては、例えば、タングステンを主成分とするコイル状電極が用いられるが、これに限定されるわけではない。「放電媒体」中の希ガスとしては、例えば、Arが用いられるが、これに限定されるわけではない。
【0010】
このような請求項1記載のセラミックス放電ランプによれば、栓体によって気密容器の内部に導入された電極に給電すると、電極間で放電破壊が生じてセラミックス放電ランプが点灯する。この際、Naハロゲン化物によって赤色の発光色がもたらされ、Tlハロゲン化物によって緑色の発光色がもたらされる。そして、気密容器内の最冷部温度を750〜950℃に維持する手段によって実現される最冷部温度750〜950℃の温度領域においては、発光色のブロードニング現象、つまり、隣接波長領域の発光色が得られる現象が極めて顕著に生ずる。このため、Naハロゲン化物による赤色発光とTIハロゲン化物による緑色発光とのブロードニング現象によって青色発光が生じ、青色が補われる。よって、請求項1記載のセラミックス放電ランプにおいては、金属封入物として希土類ハロゲン化物を用いることなく青色発光が得られ、バルブとの反応による気密容器の失透現象が回避される。また、Naハロゲン化物の重量WNaとTlハロゲン化物の重量WTlとの封入比(Wna/WTl)が0.5≦(WNa/WTl)≦1.4の範囲内においては、各発光波長の相対エネルギーの値が太陽光の値に近似する。このようなことから、請求項1記載のセラミックス放電ランプは、その演色性が良好である。さらに、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物の量として、0.5〜5.5mg/ccの範囲において良好な発光効率が得られる。以上のことから、請求項1記載のセラミックス放電ランプによれば、発光効率や演色性が犠牲にされることなく、光束維持率が向上する。
【0013】
請求項2記載のランプ装置は、請求項1記載のセラミックス放電ランプと;一対の電極を交流電源に接続させる安定器と;を備える。
【0014】
請求項3記載の照明装置は、請求項2記載のランプ装置と;少なくともセラミックス放電ランプを収納保持するケーシングと;を備える。
【0015】
したがって、請求項2記載のランプ装置および請求項3記載の照明装置は、請求項1記載のセラミックス放電ランプが備える作用を奏するため、発光効率や演色性が犠牲にされることなく、光束維持率が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は、セラミックス放電ランプ、これを発光管として用いる高圧放電ランプ、この高圧放電ランプを用いるランプ装置、およびこのランプ装置を用いるポール照明装置である。そこで、それぞれについて順に説明する。
【0017】
〔セラミックス放電ランプ〕
セラミックス放電ランプを図1に基づいて説明する。図1はセラミックス放電ランプ全体の縦断正面図、図2は発光波長と相対エネルギーとの関係を示すグラフ、図3はNaハロゲン化物とTlハロゲン化物との封入比と平均演色評価数との関係を示すグラフ、図4はNaハロゲン化物およびTlハロゲン化物の封入量と発光効率との関係を示すグラフ、図5はNaハロゲン化物およびTlハロゲン化物以外の非希土類ハロゲン化物とNaハロゲン化物およびTlハロゲン化物との封入比と発光効率との関係を示すグラフ、図6は本実施の形態のセラミックス放電ランプと従来構成のセラミックス放電ランプと高圧ナトリウムランプとにおける点灯時間と発光効率との関係を示すグラフである。
【0018】
セラミックス放電ランプ1は、概略的には、気密容器2に形成された栓体としてのキャピラリー部4によって気密容器2の内部に一対の電極5を導き、気密容器2の内部に図示しない放電媒体を封入する。
【0019】
気密容器2は、透光性セラミックス、例えば、透光性アルミナやYAGにより形成された円筒状部材であり、両端に開口した電極導入孔6を備える。
【0020】
このようなキャピラリー部4は気密容器2の電極導入孔6に挿入された後、気密容器2に焼結固定されている。また、電極5は、キャピラリー部4に挿入されてフリット等により固定された棒状導電体である直径0.4mm程度のロッド7の先端部に5ターン巻きで巻かれたタングステンを主成分とする直径0.2mm程度の巻線である。このような電極5には、キャピラリー部4に挿入されてフリット等により固定されたリード線8より通電される。
【0021】
気密容器2に封入されている放電媒体は、約100torrのAr(アルゴン)等の希ガスと金属封入物とからなる。金属封入物としては、Na(ナトリウム)ハロゲン化物、Tl(タリウム)ハロゲン化物、および、NaおよびTlのハロゲン化物以外の非希土類ハロゲン化物、例えば、Hg(水銀)のハロゲン化物等が用いられている。そして、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物は0.5〜5.5mg/cc含まれ、Naハロゲン化物の重量をWNaとしてTlハロゲン化物の重量をWTlとするときにそれらの封入比(Wna/WTl)が0.5≦(WNa/WTl)≦1.4となるように設定されている。また、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物以外の非希土類ハロゲン化物は、その重量をWxとしたときに、0≦(Wx/WNa+WTl)≦0.1の封入比で封入されている。
【0022】
次いで、本実施の形態におけるセラミックス放電ランプ1においては、気密容器2の内部における最冷部温度が750〜950℃に維持される。例えば、最冷部温度は、ランプ電力150W時において950℃である。
【0023】
このような構成において、気密容器2の内部に導入された電極5に給電すると、電極5間で放電破壊が生じてセラミックス放電ランプ1が点灯する。この際、放電媒体中の金属封入物におけるNaハロゲン化物によって赤色の発光色がもたらされ、Tlハロゲン化物により緑色の発光色がもたらされる。発光波長と相対エネルギーとの関係を示す図2のグラフにおいて、波長535nmにはTlハロゲン化物の相対エネルギーである放射パワーが生じ、波長595nmにはNaハロゲン化物の相対エネルギーである放射パワーが生じている。そして、気密容器2内の最冷部温度が750〜950℃の温度領域においては発光色のブロードニング現象が顕著に生ずるため、本実施の形態のセラミックス放電ランプ1では、図2のグラフにも明確に現れているように、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物の発光により、その隣接波長領域の放射パワーか上昇している。このため、Naハロゲン化物による赤色発光とTIハロゲン化物による緑色発光とのブロードニング現象によって青色発光が生じ、青色が補われる。したがって、本実施の形態のセラミックス放電ランプ1においては、金属封入物として希土類ハロゲン化物を用いることなく青色発光が得られ、バルブとの反応による気密容器2の失透現象が回避される。
【0024】
また、Naハロゲン化物の重量WNaとTlハロゲン化物の重量WTlとの封入比(Wna/WTl)が0.5≦(WNa/WTl)≦1.4の範囲内においては、緑色波長(535nm)と赤色波長(595nm)との相対エネルギーである放射パワーの値が太陽光の値に近似する。このため、Naハロゲン化物とTlハロゲン化物との封入比と平均演色評価数との関係を示す図3のグラフからも明らかなように、平均演色評価数の値が良好になり、演色性が向上する。
【0025】
また、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物の封入量は、0.5〜5.5mg/ccの範囲内である。このため、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物の封入量と発光効率との関係を示す図4のグラフから明らかなように、発光効率(ランプ効率)は70lm/W以上という高い値を維持する。
【0026】
また、本実施の形態のセラミックス放電ランプ1では、放電媒体中の金属封入物として、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物以外の非希土類ハロゲン化物が封入されている。この場合、そのような非希土類ハロゲン化物は、その重量がWxとしたときに、0≦(Wx/WNa+WTl)≦0.1の封入比で封入されている。このため、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物以外の非希土類ハロゲン化物とNaハロゲン化物およびTlハロゲン化物との封入比と発光効率との関係を示す図5のグラフから明らかなように、発光効率(ランプ効率)は85lm/W以上という高い値を維持する。
【0027】
そして、本実施の形態のセラミックス放電ランプ1では、放電媒体中の金属封入物として、Naハロゲン化物とTlハロゲン化物と微量の非希土類ハロゲン化物とを含むのみなので、セラミックス放電ランプ1(▲1▼として示す)と、従来構成のセラミックス放電ランプ(▲2▼として示す)と、高圧ナトリウムランプ(▲3▼として示す)とにおける点灯時間と発光効率との関係を示す図6のグラフより明らかなように、光束維持率が極めて高い。ここで、図6のグラフ中、従来構成のセラミックス放電ランプとしては、DyI3 (ジスプロシウムハロゲン化物)やScI3(スカンジウムハロゲン化物)等の希土類ハロゲン化物からなる金属封入物が放電媒体中に含まれているランプの例を示す。このような従来構成のセラミックス放電ランプでは、希土類ハロゲン化物が気密容器内壁に付着し、バルブと反応し失透現象を引き起こすため、例えば点灯時間5000時間に至る前に発光効率が40lm/W以下にまで低下してしまう。これに対し、高圧ナトリウムランプでは、点灯時間5000時間経過後にも発光効率が80lm/W以上に維持されているため、光束維持率が高いといえる。そして、本実施の形態のセラミックス放電ランプ1では、点灯時間5000時間経過後の発光効率が100lm/W近い値を維持し、高圧ナトリウムランプよりも光束維持率がさらに良好である。以上のことから、本実施の形態のセラミックス放電ランプ1によれば、発光効率や演色性を犠牲にすることなく、光束維持率を向上させることができる。
【0028】
なお、本実施の形態のセラミックス放電ランプ1の変形例として、希土類ハロゲン化物であって、その重量をWRとしたときに、0≦(WR/WNa+WTl)≦0.1の封入比で封入された金属封入物を放電媒体に含ませてもよい。この場合、発光効率および光束維持率を損なうことなく演色性をより一層向上させることができる。
【0029】
〔高圧放電ランプおよびこれを用いたランプ装置〕
高圧放電ランプおよびこれを用いたランプ装置を図7および図8に基づいて説明する。図7は高圧放電ランプの正面図、図8はランプ装置の回路図である。
【0030】
高圧放電ランプ21は、概略的には、外管22の内部にセラミックス放電ランプ1を発光管として備え(以下、セラミックス放電ランプ1を発光管1という)、また、始動器23をも外管22の内部に備える構造のものである。そして、ランプ装置41は、高圧放電ランプ21と安定器42とによって構成されている。
【0031】
ここで、まず、回路構成について説明する。高圧放電ランプ21が内蔵する始動器23は、互いに近接配置されたバイメタルスイッチ24とタングステンフィラメントからなるヒータ25とが直列接続された回路構成となっており、交流電源43に対して発光管1と並列に接続されている。バイメタルスイッチ24は、常温時にはその接点を閉じていて高圧放電ランプ21の点灯回路を閉回路とし、ある温度以上に加熱されると接点を開く構造である。ヒータ25は、通電によって発熱する。
【0032】
このような回路構成の下、交流電源43より電力が供給されると、始動器23のヒータ25が発熱し、この発熱によってバイメタルスイッチ24の接点が開かれる。これにより、チョークコイル構成の安定器42のインダクタンスによって瞬間的なキック電圧が発生し、これが始動パルスとして発光管1の電極5に印加される。すると、発光管1の内部に放電破壊が生じ、発光管1が発光する。この時、この際、発光管1の外周に沿って設けられた近接導体26が発光管1の始動を補助する。バイメタルスイッチ24の接点が開かれると、ヒータ25への通電が遮断されてヒータ25の温度が低下する。これにより、バイメタルスイッチ24の接点が再び閉じ、同様のことが繰り返される。つまり、始動パルスの発生が繰り返され、一度の始動パルスの印加によって発光管1が始動しない場合にも数回の始動パルスの印加によって発光管1が始動する。そして、発光管1が始動し点灯すると、その発熱によってバイメタルスイッチ24の接点が開くため、始動器23への給電が途絶え、始動パルスの発生が停止される。
【0033】
次いで、高圧放電ランプ21の構造について説明する。高圧放電ランプ21は、硬質ガラスにより形成された外管22の開口部が口金27で封止され、その内部に発光管1とその始動器23とが密閉保持されて形成されている。この場合、外管22の内部は真空状態に維持されている。
【0034】
発光管1は、口金27内のステム28に固定された一対のサポートワイヤ29a,29bに一対のバルブホルダ30(一方のバルブホルダは図示せず)を介して保持されている。サポートワイヤ29a,29b及びバルブホルダ30は共に導体であり、サポートワイヤ29aは口金27のシェル27aに、サポートワイヤ29bは口金27のアイレット端子27bにそれぞれ独立して導通接続され、二つのバルブホルダ30はリード線8を介して発光管1の二つの電極5(図1参照)にそれぞれ独立して導通接続されている。したがって、発光管1の電極5は、サポートワイヤ29a,29b及びバルブホルダ30を介することにより、一方の電極5が口金27のシェル27aに、他方の電極5が口金27のアイレット端子27bにそれぞれ導通接続されている。
【0035】
発光管1の下端を保持する図示しない方のバルブホルダは、サポートワイヤ29aに非導通状態で取り付けられた絶縁性を有する支持体31に支持されている。支持体31は、サポートワイヤ29aに支持されるとともに、支持体31にネジ止めされた二つの金属製のネジ32a,32bがインシュレータ33を介してサポートワイヤ29bに固定されることによっても支持されている。そして、一方のネジ32bは、金属性の接続片34を介して一方のサポートワイヤ29bに接続されている。また、サポートワイヤ29bには、発光管1の長手方向に沿わせてワイヤ状の近接導体26が取り付けられている。近接導体26は、ニオビウムやタンタル等の耐熱性金属ワイヤによって構成されている。
【0036】
外管2の内部に密閉保持された始動器23、つまり、バイメタルスイッチ24およびヒータ25は支持体31に支持されている。バイメタルスイッチ24は、発光管1の発光による発熱の影響を受ける位置に配置され、発光管1の発光による熱の影響を受けて接点を開閉する。そして、このようなバイメタルスイッチ24は、一方のサポートワイヤ29aにリード線35を介して接続され、一方のネジ32aにリード線36を介して接続されている。また、ヒータ25は、そのネジ32aに一端を固定され、他端が他方のネジ32bに固定されている。
【0037】
したがって、高圧放電ランプ21においては、口金27のシェル27aに対してサポートワイヤ29aが接続され、口金27のアイレット端子27bに対してサポートワイヤ29bが接続され、二つのサポートワイヤ29a,29bには発光管1の電極5がリード線8を介して接続されている。また、サポートワイヤ29aにはリード線35を介してバイメタルスイッチ24の一方の接点が接続され、バイメタルスイッチ24の他方の接点はリード線36を介してヒータ25の一端に接続されている。そして、ヒータ25の他端は一方のネジ32bと接続片34とを介してサポートワイヤ29bに接続されている。これにより、始動器23が発光管1に並列接続された図8に示す回路構成がなされる。
【0038】
〔ポール照明装置〕
ポール照明装置を図9および図10に基づいて説明する。図9はポール照明装置の側面図、図10はランプ装置の部分を拡大して示す縦断側面図である。
【0039】
ポール照明装置51は、歩道52に立設されたポール53の上端にランプ装置41が装着されて構成されている。ポール53は、その上端が屈曲され、これによってランプ装置41の照明方向(図9中、一点鎖線で示す)が歩道52に隣接する道路54の方向に向けられている。
【0040】
ランプ装置41の構造は、図10に示すとおり、ポール53の先端部に固定されたケーシング55の内部に高圧放電ランプ21と安定器42とが取り付けられたものである。高圧放電ランプ21は、ケーシング55の一部に設けられたランプ収納室56においてランプホルダ57に保持されている。ランプ収納室56は、下面がアクリル製の透光カバー58により形成され、内部にリフレクタ59を備える。リフレクタ59は、高圧放電ランプ21より照射された光を透光カバー58の方向に反射するように取り付けられている。安定器42は、ケーシング55の一部に設けられた安定器収納室60に収納保持されている。そして、ケーシング55に収納された高圧放電ランプ21及び安定器42に対しては、ポール53の内部に配線された図示しない給電線を介して交流電源43(図8参照)が接続されている。
【0041】
このような構成において、高圧放電ランプ21が内蔵する発光管1(図1参照)が始動し点灯すると、その光は直接的にかつリフレクタ59を反射して透光カバー58を透過し、道路54を照らす。
【0042】
【発明の効果】
請求項1記載のセラミックス放電ランプは、気密容器内に封入する金属封入物としてNaハロゲン化物およびTlハロゲン化物を用い、気密容器内の最冷部温度を750〜950℃に設定したので、Naハロゲン化物による赤色発光およびTlハロゲン化物による緑色発光のブロードニング現象によって青色発光を補うことができ、これにより、青色発光を得るために金属封入物として希土類ハロゲン化物を用いた場合に生ずるバルブとの反応による気密容器の失透現象を回避して光束維持率を高めることができる。また、Naハロゲン化物の重量WNaおよびTlハロゲン化物の重量WTlの封入比を0.5≦(WNa/WTl)≦1.4に規定したので、各発光波長の相対エネルギーの値を太陽光の値に近似させることができ、したがって、演色性を向上させることができる。また、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物の量を0.5〜5.5mg/ccの範囲に規定したので、発光効率を向上させることができる。以上より、請求項1記載の発明によれば、発光効率および演色性を犠牲にすることなく、光束維持率を向上させることができ、演色性および光束維持率を損なうことなく発光効率をより一層向上させることができ、発光効率および光束維持率を損なうことなく演色性をより一層向上させることができる。
【0045】
請求項2記載のランプ装置および請求項3記載の照明装置は、請求項1記載のセラミックス放電ランプを備えるので、発光効率や演色性を犠牲にすることなく、光束維持率を向上させることができるという請求項1記載のセラミックス放電ランプの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミックス放電ランプの実施の一形態を示す全体の縦断正面図である。
【図2】発光波長と相対エネルギーとの関係を示すグラフである。
【図3】Naハロゲン化物とTlハロゲン化物との封入比と平均演色評価数との関係を示すグラフである。
【図4】Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物の封入量と発光効率との関係を示すグラフである。
【図5】Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物以外の非希土類ハロゲン化物とNaハロゲン化物およびTlハロゲン化物との封入比と発光効率との関係を示すグラフである。
【図6】本実施の形態のセラミックス放電ランプと従来構成のセラミックス放電ランプと高圧ナトリウムランプとにおける点灯時間と発光効率との関係を示すグラフである。
【図7】セラミックス放電ランプを発光管として備える高圧放電ランプの正面図である。
【図8】高圧放電ランプとその点灯回路とを示すランプ装置の回路図である。
【図9】図8のランプ装置を用いるポール照明装置を示す側面図である。
【図10】ランプ装置の部分を拡大して示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1: セラミックス放電ランプ
2: 気密容器
4: 栓体
5: 電極
6: 電極導入孔
21: ランプ装置
43: 交流電源
42: 安定器
55: ケーシング
Claims (3)
- 透光性セラミックスにより形成され、両端に一対の電極導入孔を有する気密容器と;
気密容器の両端に固定されて気密容器に設けられた電極導入孔を気密に封止し、気密容器の内部に一対の電極を導く栓体と;
気密容器内に封入され、0.5〜5.5mg/ccのNaハロゲン化物およびTlハロゲン化物を含有しNaハロゲン化物の重量をWNaとしてTlハロゲン化物の重量をWTlとするときにそれらの封入比(Wna/WTl)が
0.5≦(WNa/WTl)≦1.4
であり、さらに、Naハロゲン化物およびTlハロゲン化物以外の非希土類ハロゲン化物であって、その重量をWxとしたときに、
0≦Wx/(WNa+WTl)≦0.1
の封入比で封入され、さらにまた、希土類ハロゲン化物であって、その重量をWRとしたときに、
0≦WR/(WNa+WTl)≦0.1
の封入比で封入された金属封入物および希ガスを含む放電媒体と;
気密容器内の最冷部温度を750〜950℃に維持する手段と;
を備えているセラミックス放電ランプ。 - 請求項1記載のセラミックス放電ランプと;
一対の電極を交流電源に接続させる安定器と;
を備えることを特徴とするランプ装置。 - 請求項2記載のランプ装置と;
少なくともセラミックス放電ランプを収納保持するケーシングと;
を備えることを特徴とする照明装置。
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EP1673798A2 (en) * | 2003-10-10 | 2006-06-28 | Koninklijke Philips Electronics N.V. | High pressure discharge lamp |
-
1998
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