JP4006726B2 - 誤り訂正機能を有する伝送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誤り訂正機能を有する伝送装置に関し、特に、ITU−T(Telecommunication standardization sector of International Telecommunication Union )により制定されたG.709Digital Wrapper などの勧告G.975に推奨されるリードソロモン符号RS(255,239)の誤り訂正能力より高い訂正機能(FEC:Forward Error Correction)を備えるようにした伝送装置に関する。
【0002】
ここで、「RS(255,239)」は、符号長255シンボル、情報長239シンボルのリードソロモン符号を表し、239個の情報シンボルの伝送帯域外に16個の誤り訂正シンボルを付加して符号長255シンボルの符号としたOut of band FEC方式の誤り訂正符号を表すものとする。
【0003】
【従来の技術】
現在、各種の長距離(光)伝送装置の開発が行われているが、該伝送装置は送信光源のチャーピング、位相雑音等、光伝送路の波長分散、非線形効果(自己位相変調、誘導ブリルアン散乱等)、或いは光増幅器の使用時におけるS/N比飽和等による符号誤り率のフロア(高速伝送時、光入力が大きくなっても誤り率が一定以下に減少しない現象)等の問題が生じている。これらの問題に対し、いろいろな解決策が考えられているが、伝送路信号に誤り訂正符号を用い、ディジタル電気信号処理部において誤り訂正処理を行うことにより符号誤り率を改善し、伝送品質の向上を図っている。
【0004】
図22はITU−T勧告G.709より抜粋した誤り訂正(FEC)機能を備える海底光伝送システムの伝送装置の機能ブロックを示す。該伝送装置の送信部22−10には、M個の同期転送モジュールSTM−16の光信号が入力され、それらを光受信機(Optical Receiver)22−11で受信して電気信号に変換し、誤り訂正符号化部(FEC encoder )22−12でリードソロモン符号RS(255,239)による誤り訂正符号を付加して符号化し、送信機(TRANSMIT TTE)22−13においてインタリーブ及び光信号への変換を行って光伝送路へ送信する。
【0005】
光伝送路の途中でノイズが重畳した光信号が、対向する伝送装置の受信部22−20で受信される。該光受信信号は受信機(RECEIVE TTE )22−21で電気信号に変換され、デインタリーブされた後、誤り検出訂正復号化部(FEC decoder)22−22でリードソロモン符号RS(255,239)の誤り検出訂正処理を行う。誤り訂正された受信信号は光送信機(Optical Transmitter )22−23で光信号に変換され、M個の同期転送モジュールSTM−16に出力される。
【0006】
図23は、ITU−T勧告G.709/G.975のリードソロモン符号RS(255,239)の誤り訂正用のフレームフォーマットを示す。該フレームフォーマットは、8ビット(=1バイト)を1つのシンボルとし、シンボル#1〜シンボル#239(ビット#1〜ビット#1912)の領域を情報シンボル用のインフォメーション領域とし、シンボル#240〜シンボル#255(ビット#1913〜ビット#2040)の領域を誤り訂正用のパリティチェック領域とし、この16個のパリティチェックシンボルにより任意の8個までの情報シンボルの誤りを訂正することが可能である。
【0007】
上記ITU−T勧告G.709/G.975のリードソロモン符号RS(255,239)の訂正能力より更に高い訂正能力を得るために、例えば、特開2001−168734号公報等に開示されているように、2種類の誤り訂正符号化を行い、インターリーブ回路により該2種類の誤り訂正符号間で情報の組替えを行う方式等が発案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の2種類の誤り訂正符号化を行う連接符号を採用した場合、ITU−T勧告G.709/G.975に規定された伝送路フォーマットと異なるフォーマットを採用しなければならなくなる。ここで「フォーマット」とはインフォメーション領域とパリティチェック領域(冗長領域)との配列形式である。
【0009】
また、上記従来の技術はパリティチェック領域(冗長領域)の増加によって伝送レートの上昇が起こり、より高速動作の回路設計やタイミング保証が必要となり、ITU−T勧告G.709/G.975のスペックを上回る光モジュールやPLL(Phase Locked Loop )回路などの高価な部品を導入しなければならなくなる。
【0010】
本発明は上記問題を解決するために、ITU−T勧告G.709/G.975の伝送路フォーマット及び伝送レートを保持したまま、リードソロモン符号RS(255,239)の誤り訂正能力より高い誤り訂正機能を備えた伝送装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
リードソロモン符号はバースト誤りに対して効力を発揮するシンボル誤り訂正符号であるが、実運用上の光伝送路で多発するランダム誤りに対しては、リードソロモン符号よりも訂正能力の高い誤り訂正符号が存在することを発見し、本発明は、ITU−T勧告によるリードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットにおけるパリティチェック領域の全部又は一部を、ランダム誤りに対してより訂正能力が高い他の誤り訂正符号のパリティチェック領域として活用することにより、ランダム誤りに対する訂正能力を向上させたものである。また、ITU−T勧告G.975にあるチェックビット演算挿入及び誤り位置検出訂正のインタリーブ数を調整することにより、バースト誤りに対しても訂正能力を向上させたものである。
【0012】
即ち、本発明の誤り訂正機能を有する伝送装置は、(1)リードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットにおけるパリティチェック領域の全部又は一部を用い、リードソロモン符号RS(255,239)を用いた場合と同一の伝送レートで、リードソロモン符号RS(255,239)よりランダム誤りに対して訂正能力の高い誤り検出訂正符号を適用するチェックビット演算挿入部を送信部に備え、該誤り検出訂正符号による受信信号に対して誤り位置検出及び誤り訂正を行う誤り位置検出訂正部を受信部に備えたものである。
【0013】
また、(2)複数種類の誤り検出訂正符号の中から1種類の誤り検出訂正符号のチェックビットが選択的に挿入された信号を受信し、該複数種類の誤り検出訂正符号の1つに対応する誤り位置検出及び誤り訂正を行う誤り位置検出訂正部を選択する手段を備えた受信部を有するものである。
【0014】
また、(3)所定長の情報ビットを離散的に複数含む入力信号について、該所定長の情報ビットを単位とする所定の演算により所定長の誤まり訂正ビットを算出し、該所定長の情報ビット間に該誤まり訂正ビットを挿入した信号からなる所定フォーマットの信号を出力する第1符号化手段と、該入力信号に含まれる複数の所定長の情報ビットを連続的に配置した信号に変換して出力する第1変換手段と、該変換後の連続的に配置された複数の所定長の情報ビットに対する所定の演算により所定長の誤まり訂正ビットを算出し、所定長の情報ビット間に該誤まり訂正ビットを挿入した信号を出力する第2符号化手段と、該第2符号化手段に含まれる複数の所定長の情報ビットを連続的に配置した信号を前記所定のフォーマットにおける情報ビット部分に分散配置し、該誤まり訂正ビットを前記所定のフォーマットにおける誤まり訂正ビット部分に分散配置する第2変換手段と、を備え、少なくとも該第1符号化手段又は該第2変換手段のいずれかの出力に基づく信号を送信するものである。
【0015】
また、(4)主信号のシリアル信号をnビット(nは2以上の整数)のパラレル信号に変換するシリアルパラレル変換手段と、該シリアルパラレル変換手段から順次出力される各パラレル信号をそれぞれ入力し、該入力信号に対して所定の演算により所定長の誤まり訂正ビットを算出し、所定長の入力信号間に該誤まり訂正ビットを挿入した信号を出力するn個のチェックビット演算挿入手段と、該n個のチェックビット演算挿入手段の出力信号をインタリーブして出力するインタリーバとを備え、インタリーブ数に対応した上記パラレル信号のビット数nを、外部から任意に与えられる制御信号又は伝送路品質に基づく制御信号により可変にした構成を有するものである。
【0016】
また、(5)異なる符号化方式に対応した演算を行う複数の演算部を備え、該演算部のいずれかにおいて符号化された信号を送信又は受信する伝送装置において、該複数の演算部がそれぞれ行う演算の過程で記録を要する演算パラメータを記憶する共通の記憶手段を備え、該複数の演算部は、自演算部が選択された場合に、演算過程で記録を要する演算パラメータを該記憶手段に記憶し、読出しを行って更なる演算に用いることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
【0018】
図1はBCH(2040)符号を適用した本発明の実施形態を示し、ITU−T勧告G.709/G.975にあるリードソロモン符号RS(255,239)の代わりに、符号長2040ビット、情報長1919ビット、符号の最小距離11ビットのBCH符号、即ちBCH(2040,1919,11)符号を適用して誤り訂正処理を行う伝送装置の機能ブロックを示す。
【0019】
同図に示すように、送信部1−10にBCH(2040,1919,11)符号のチェックビット演算挿入部1−11を搭載し、受信部1−20にBCH(2040,1919,11)符号の誤り位置検出訂正部1−23を搭載する。チェックビット演算挿入部1−11は、ITU−T勧告G.709/G.975で制定されたリードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットのパリティチェック領域を用いて誤り検出訂正用符号を付加し、リードソロモン符号RS(255,239)に対して伝送レートの上昇を抑え、より高いランダム誤り訂正能力を有する。
【0020】
送信部1−10では、チェックビット演算挿入部1−11で符号化された信号をスクランブラ1−12で並べ替え、該スクランブラ1−12から出力される電気信号を光送信回路1−13で光信号に変換して光伝送路に送出する。
【0021】
受信部1−20では、光伝送路から入力される光信号を光受信回路1−21で電気信号に変換し、該電気信号をデスクランブラ1−22で並び順を元の順序に戻し、デスクランブラ1−22から出力される受信符号に対して、誤り位置検出訂正部1−23により誤り検出訂正処理を行って主信号(インフォメーション)を出力する。
【0022】
図2はBCH(2040)符号を含む複数の符号を適用した本発明の実施形態を示し、リードソロモン符号RS(255,239)の代わりに、該符号と同一の伝送レートでよりランダム誤り訂正能力の高いBCH(2040)符号、BCH(4080)符号、その他の複数種類の誤り訂正符号によるチェックビットの演算,挿入を行うチェックビット演算挿入部2−11を送信部2−10に搭載し、それらの誤り訂正符号に対応する誤り位置検出,誤り訂正を行う誤り位置検出訂正部2−21を受信部2−20に搭載する。
【0023】
1つの伝送装置において、複数種類の誤り訂正符号方式による符号訂正機能を搭載し、その中から1つの種類の誤り訂正符号を選択する符号選択部2−12,2−22をそれぞれ送信部2−10及び受信部2−20に備えることにより、伝送路の性能状態や伝送装置に要求されるスペックに応じて最適な誤り訂正符号を選択することができる。
【0024】
図3はBCH(2040)符号とリードソロモン符号RS(255,239)とを選択可能にした本発明の実施形態を示し、ITU−T勧告G.709/G.975で制定されたリードソロモン符号RS(255,239)のチェックビット演算挿入部3−11と、BCH(2040,1919,11)符号のチェックビット演算挿入部1−11とを送信部3−10に備え、また、それらの符号に対応した誤り位置検出訂正部3−211−23を受信部3−20に備え、2種類の誤り訂正機能を搭載した伝送装置を示している。
【0025】
1つの伝送装置において、ITU−T勧告G.709/G.975にあるリードソロモン符号RS(255,239)と、該符号よりもランダム誤り訂正能力の高い符号の何れかを選択部3−12,3−22で選択可能としたことにより、ITU−T勧告準拠のリードソロモン符号RS(255,239)を採用した伝送装置と対向させて接続することが可能であると共に、対向装置が同一メーカーの伝送装置である場合は、リードソロモン符号RS(255,239)よりランダム誤り訂正能力の高い符号を選択することにより、伝送品質を向上させることができ、その分、伝送距離を延長することができる。
【0026】
図4はランダム誤り訂正能力の高い複数の符号とリードソロモン符号RS(255,239)とを選択可能にした本発明の実施形態を示し、ITU−T勧告G.709/G.975にあるリードソロモン符号RS(255,239)のチェックビット演算挿入部3−11と、リードソロモン符号RS(255,239)と同一伝送レートでよりランダム誤り訂正能力の高い複数種類の符号であるBCH(2040)符号、BCH(4080)符号、その他の誤り訂正符号によるチェックビット演算挿入部2−11とを送信部4−10に備え、それらの誤り訂正符号に対応した誤り位置検出訂正部3−21,2−21を受信部4−20に搭載した伝送装置を示している。
【0027】
1つの伝送装置において、ITU−T勧告G.709/G.975にあるリードソロモン符号RS(255,239)と、該リードソロモン符号RS(255,239)よりもランダム誤り訂正能力の高い複数種類の誤り訂正符号の中から何れか一つを選択部4−11,4−21で選択可能としたことにより、ITU−T勧告準拠のリードソロモン符号RS(255,239)を採用した伝送装置と対向可能であると共に、対向装置がより訂正能力の高い符号を使用可能な場合は、該訂正能力の高い誤り訂正符号を選択することにより伝送品質を向上させ、その分、伝送距離を延長することができる。
【0028】
リードソロモン符号RS(255,239)よりもランダム誤り訂正能力の高い誤り訂正符号を選択する選択部は、図5に示す選択部5−11,5−21のように、送信部及び受信部の外部からユーザが与える選択信号、又は伝送路品質(受信信号の品質,送信先の伝送装置での受信信号の品質)等を監視する他のブロック等からの選択信号により、品質劣化時にリードソロモン符号RS(255,239)からBCH符号へチェックビット演算挿入部を切替える構成とすることができる。
【0029】
また、誤り検出訂正用のチェックビット演算挿入部を、チェックビット演算部とチェックビット挿入部とに分け、図6に示すように、一つのチェックビット挿入部6−14を複数のチェックビット演算部6−11,6−12に対して共通に使用し、複数のチェックビット演算部6−11,6−12で演算したチェックビットを選択部6−13で選択し、該選択されたチェックビットをチェックビット挿入部6−14により主信号に挿入する構成とすることができる。
【0030】
更に、受信部においても誤り位置検出訂正部を誤り位置検出部と訂正部とに分け、図6に示すように複数の誤り位置検出部6−21,6−22に対して一つの訂正部6−24を共通に使用し、複数の誤り位置検出部6−21,6−22で検出した誤り位置を選択部6−23で選択し、該選択された誤り位置の主信号を訂正部6−24により訂正する構成とすることができる。なお、誤り位置検出に要する時間分、主信号を遅延させる遅延部6−25を設けている。
【0031】
上記構成において、選択部6−13,6−23には送信部及び受信部の外部からユーザが与える選択信号、又は伝送路品質等を監視する他のブロック等からの選択信号を与え、選択部6−13,6−23は該選択信号に従って選択する構成とすることができる。
【0032】
図7は伝送路品質を監視する他のブロックから上記選択部に選択信号を与える実施形態を示す。同図の実施形態において、A局送信部7−10AからB局受信部7−20Bへの伝送における使用符号の自動切り替えについて説明する。初期設定としては、誤り訂正能力が低いBCH2040チェックビット演算挿入部7−12A、BCH2040誤り位置検出訂正部7−21Bが選ばれているとする。
【0033】
B局受信部7−20Bにおいて、各誤り位置検出訂正部7−21B,7−22Bで検出された誤り検出情報をB局内の伝送路品質監視部7−30Bに入力し、該伝送路品質監視部7−30Bは、例えば、初期設定として選択されているBCH2040誤り位置検出訂正部7−21B側からの誤り検出情報を用いて誤り個数をカウントするなどにより伝送路の品質を監視し、その監視結果を使用符号判定部7−40Bに通知する。
【0034】
使用符号判定部7−40Bでは伝送路品質監視部7−30Bからの監視結果を基に、品質劣化が所定の基準を下回ると、より訂正能力の高いBCH8160符合を使用符号として選択し、B局受信部7−20B内の選択部7−23BとB局送信部7−10Bの切り替え情報挿入部7−11Bとに対して選択信号(選択する側の誤り位置検出訂正部を示す信号)を送出する。
【0035】
選択部7−23Bは、該選択信号により示される側の誤り位置検出訂正部の出力を選択して出力する。切り替え情報挿入部7−11Bは該選択信号に応じてA局送信部7−10Aの使用符号を切替えるための選択信号(上記の選択信号と同じでも良い。)を、主信号内の空きオーバーヘッド部やパリティチェックビットの空き領域に格納してA局に送信する。
【0036】
A局内の切り替え情報抽出部7−50Aは誤り訂正後の主信号から該選択信号を抽出し、A局送信部7−10Aの選択部7−14Aに対して該選択信号を送出する。選択部7−14Aは該選択信号に応じて、初期設定として選択されていたBCH2040チェックビット演算挿入部7−12Aから、より訂正能力の高いBCH8160チェックビット演算挿入部713Aへ切替える。この一連の処理フローによりA局送信部7−10AからB局受信部7−20Bへの伝送における使用符号の自動切り替えが行われる。
【0037】
チェックビット演算挿入部及び誤り位置検出訂正部等は、訂正能力の高い符号に対応する方が、回路規模がより大きいため、電力もより消費するため、伝送路の品質が良好な状態においては、消費電力の少ない低い訂正能力の符号を使用し、伝送路の品質が悪く、誤り個数が多くて現在使用している符号では訂正不可能になりそうな場合に、消費電力は多くなるが訂正能力のより高い符号を使用するように切替える。
【0038】
次に、本発明によるフォーマット変換を行う誤り訂正の実施形態について説明する。図8に示すように送信部8−10において、装置内フォーマットからFECフレームへのフォーマット変換を行う装置内フレーム/FECフレーム変換部8−11と、フォーマット変換後の主信号に対してBCH(8160)符号によるチェックビットの演算及び挿入を行うチェックビット演算挿入部8−12と、FECフレームから伝送路フレームへのフォーマット変換を行うFECフレーム/伝送路フレーム変換部8−13と、伝送路フレームの信号を電気信号から光信号に変換して送信する光送信回路8−14とを備える。
【0039】
また、受信部8−20において、光信号を電気信号に変換に変換する光受信回路8−21と、伝送路フレームからFECフレームへのフォーマット変換を行う伝送路フレーム/FECフレーム変換部8−22と、BCH(8160)符号による誤り位置の検出,訂正を行う誤り位置検出訂正部8−23と、FECフレームから装置内フォーマットへのフォーマット変換を行うFECフレーム/装置内フレーム変換部8−24とを備える。
【0040】
図8に各フレーム変換部の前後における主信号のフレームフォーマットの変化を示している。ここでは、ITU−T勧告G.709にあるDigital Wrapper と称されるフォーマットの信号が主信号として入力される例を示す。なお、主信号がSDHやATMなどの伝送形態である場合にも後述するフォーマット変換にならって同様に対応することができ、また、Digital Wrapper のインフォメーション領域内に収めてDigital Wrapper 化して処理することとしてもよい。
【0041】
図8に示すようにフォーマット変換を行うことにより、リードソロモン符号RS(255,239)よりも訂正能力の高い符号を用いた場合でも、伝送路上のインフォメーション領域はリードソロモン符号RS(255,239)を用いた場合のインフォメーション領域内に収まり、リードソロモン符号RS(255,239)と異なる符号を採用している伝送装置間においても、インフォメーション領域内のデータを受け渡すことが可能である。なお、ITU−T勧告G.709にはパリティチェックビット領域に全て‘0’を挿入し、誤り検出訂正を行わない伝送についても記されている。
【0042】
ここで、FECフレームフォーマットとは、リードソロモン符号RS(255,239)よりも訂正能力の高い符号方式によるチェックビット演算を容易に行えるように、ITU−T勧告のリードソロモン符号RS(255,239)によるフレームフォーマット内に散在しているパリティチェック領域を、ある単位で集めてひとまとめにしたフォーマットを意味する。
【0043】
また、ITU−T勧告G.709では、リードソロモン符号RS(255,239)による誤り検出訂正は、16バイトインタリーブによるものとされているが、ここでは説明を容易にするために、16バイトインタリーブではなく、インタリーブなしとして説明する。なお、リードソロモン符号RS(255,239)による16バイトインタリーブ採用時の場合の伝送路フレームフォーマットは、ITU−T勧告G.709に記述されている。
【0044】
図8において、フォーマット1は装置内フレームフォーマットであり、インフォメーション領域にユーザ情報が格納されている状態で、本来パリティチェックビットが格納される領域はチェックビット演算前であるため、“don’t care”として無視される。
【0045】
フォーマット2は、リードソロモン符号RS(255,239)よりも訂正能力の高い符号(ここでは例としてBCH(8160,7653,39)符号を用いるものとする。)によるチェックビット演算を行うために、インフォメーション領域と“don’t care”領域に対して並べ替えを行い、リードソロモン符号RS(255,239)のインフォメーション領域とパリティチェックビット領域とを4個(BCH8160符号を用いた場合)ずつまとめたフレームフォーマットである。
【0046】
このフレームフォーマットはインフォメーション領域を、BCH(8160,7653,39)符号の情報長7653ビット以下で、かつ装置内フレームのインフォメーション領域8×239の最大の倍数7648ビットとしている。7653ビットと7648ビットの差である5ビットには、例えばダミーデータを装置内フレーム/FECフレーム変換部8−11で挿入する。このようにフォーマット変換することにより、チェックビット演算を容易に行うことが可能となる。
【0047】
フォーマット3は、フォーマット2の“don’t care”領域にBCH8160符号によるチェックビット演算結果を格納した状態を示し、演算により得られたチェックビットの507ビットにダミービット5ビットを加えた512ビットが格納される。
【0048】
フォーマット4は、伝送路フレームフォーマットであり、フォーマット3におけるインフォメーション領域とパリティチェックビット領域とを、リードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットと同様の並びとなるように、フォーマット3のインフォメーション領域、パリティチェックビット領域をそれぞれ4等分して並べ替えを行った状態を示している。
【0049】
フォーマット5は、伝送路から受信したフレームフォーマットであり、インフォメーション領域とパリティチェックビット領域は、フォーマット4と同様である。フォーマット6は、リードソロモン符号RS(255,239)よりも訂正能力の高い符号(ここではBCH8160符号)による誤り位置検出及び誤り訂正のための演算を行うために、インフォメーション領域とパリティチェックビット領域に対して並べ替えを行い、RS(255.239)のインフォメーション領域とパリティチェックビット領域とを4個(BCH8160符号の場合)ずつまとめたフレームフォーマットである。このようにフォーマット変換することにより、誤り位置検出,訂正の演算を容易に行うことが可能となる。
【0050】
フォーマット7は、フォーマット6に対してBCH8160符号による誤り訂正を行った後のもので、データの並びはフォーマット6と変わらない。但し、インフォメーション領域は誤り訂正がなされた後であり、パリティチェックビット領域は、後段のブロックでは使用しないため、“don’t care”領域として無視される。
【0051】
フォーマット8は、装置内処理を実施するためにフォーマット7におけるインフォメーション領域と“don’t care”領域とを、リードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットと同様のデータの並びとなるように並べ替えを行った状態を示している。
【0052】
図9は、リードソロモン符号RS(255,239)とBCH8160符号の2種類の誤り検出訂正機能を備えた場合の送信部における各チェックビット演算挿入部前後のフレームフォーマットを示し、また、図10は、リードソロモン符号RS(255,239)とBCH8160符号の2種類の誤り検出訂正機能を備えた場合の受信部における各誤り検出訂正部前後のフレームフォーマットを示す。
【0053】
図9において、フォーマット9は図8のフォーマット1と同様のものである。フォーマット10は図8のフォーマット2と同様のものである。フォーマット11は図8のフォーマット3と同様のものである。フォーマット12は図8のフォーマット4と同様のものである。
【0054】
図10において、フォーマット13は図8のフォーマット5と同様のものである。フォーマット14は図8のフォーマット6と同様のものである。フォーマット15は図8のフォーマット7と同様のものである。フォーマット16は図8のフォーマット8と同様のものである。
【0055】
図9のフォーマット17は、フォーマット9の“don’t care”領域にリードソロモン符号RS(255,239)によるチェックビット演算結果を格納した状態を示している。フォーマット18は、伝送路フレームフォーマットであり、フォーマット12及びフォーマット17は、何れもリードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットと同様となっているため、どちらの符号方式を選択しても伝送路フレームフォーマットはリードソロモン符号RS(255,239)方式のフレームフォーマットとなる。
【0056】
図10において、フォーマット19はフォーマット13に対してリードソロモン符号RS(255,239)による誤り位置検出訂正を行ったもので、インフォメーション領域及びパリティチェックビット領域のデータの並びは、フォーマット13と変わらない。但し、パリティチェックビット領域は誤り訂正後であり、後段のブロックではこのパリティチェックビット領域は使用しないため、“don’t care”領域として無視される。
【0057】
フォーマット20は装置内処理を行うための装置内フレームフォーマットであり、フォーマット16及びフォーマット19は何れもリードソロモン符号RS(255,239)方式のフレームフォーマットとなっているため、どちらの符号方式を選択しても装置内フレームフォーマットはリードソロモン符号RS(255,239)方式のフレームフォーマットとなる。
【0058】
図11は、伝送路フォーマットからFECフォーマット(チェックビット演算及び誤り位置検出訂正を行いやすいフォーマット)への変換形態を示す。ITU−T勧告G.709/G.975にあるリードソロモン符号RS(255,239)方式のフォーマットに対して、訂正能力の高い他の符号方式を適用した場合、演算範囲内にパリティチェック領域が散在してしまうため、演算部の制御が複雑になってしまう。それを回避するための手段として、図の(a)に示すリードソロモン符号RS(255,239)方式のフォーマットを、図の(b)に示すようにフォーマット変換を行う。
【0059】
図12は、フォーマット変換部と主信号遅延部とを兼用した誤り位置検出訂正部の構成例を示す。同図は、受信部においてBCH8160符号の誤り位置検出訂正部内に、フォーマット変換機能と主信号遅延機能とを兼ねるフォーマット変換部兼主信号遅延部12−1を備え、該フォーマット変換部兼主信号遅延部12−1のメモリに伝送路フォーマットのままメモリに書き込み、読み出しアドレスを制御することにより該メモリからFECフレームのフォーマットでデータを読み出し、該FECフレームのデータを誤り位置検出部12−2に入力する。
【0060】
誤り位置検出部12−2は、FECフレームのデータに対して誤り位置を検出し、その検出結果を訂正部12−3に出力する。訂正部12−3は該検出結果を用いて符号の訂正を行う。誤り位置検出部12−2と訂正部12−3に入力される信号は、インフォメーション領域とパリティチェックビット領域のデータの並びがFECフレームフォーマットとなっている。
【0061】
フォーマット変換部兼主信号遅延部12−1は、誤り位置検出演算に要する時間分データを遅延させ、読み出しアドレスを制御することにより、FECフォーマットでデータを読み出して訂正部12−3に出力する。訂正部12−3は該読み出しデータに対して誤り訂正を行い、訂正後のデータを再びメモリに書き戻して、最後に装置内フレームフォーマットデータとして出力する。
【0062】
図12において、フォーマット21は図8のフォーマット5と同様であり、フォーマット22は図8のフォーマット6と同様である。フォーマット23は、フォーマット22と同様のものを、誤り位置検出演算時間分遅らせたものである。フォーマット24は図8のフォーマット8と同様である。
【0063】
図12に示した実施形態は、FECフレームフォーマットの全てのデータを読み出して訂正を行うのに対し、図13に示す実施形態は、メモリの読み書きイネーブル信号又は読み書きアドレスを制御することにより、訂正を行うべきデータのみを読み出してそのデータを反転して書き込むもので、訂正を終えたデータのみを再度書き込む構成としたものである。
【0064】
図13において、誤り位置検出部13−2は図12の誤り位置検出部12−2と同様である。フォーマット変換部兼主信号遅延部13−1は、誤り位置検出部13−2への読み出しデータ出力端Read data1と、訂正を行うべきデータの読み出しデータ出力端Read data2及びその書き込みデータ入力端Write data2を有し、かつ、訂正を行うべきデータの読み出し及び書き込みアドレスRead Address2/Write Address2の入力端を備える。
【0065】
誤り位置検出部13−2からの検出結果は、訂正を行うべきデータの読み出し及び書き込みアドレスを制御する読み出し/書き込みアドレス制御部(Read/Write Address2Control)13−3に入力され、読み出し/書き込みアドレス制御部13−3は、該誤り位置検出結果を基に訂正を行うべきデータの読み出し及び書き込みアドレスを出力する。
【0066】
その読み出しアドレスのデータは、読み出しデータ出力端Read data1から出力され、該出力データは信号反転回路13−4により反転され、該反転データが書き込みデータ入力端Write data2に入力され、訂正(反転)されたデータが書き込まれる。
【0067】
図13に示した構成において、読み出しデータ出力端Read data2及びその書き込みデータ入力端Write data2は、訂正を行う時のみ変化するため、図12の構成に対してメモリの動作率が低下し、消費電力を低減することができる。なお、フォーマット25は図12のフォーマット21と同様であり、フォーマット26は図12のフォーマット22と同様である。フォーマット27は図12のフォーマット24と同様である。
【0068】
図14は誤りの個数・ 状態を監視する機能を備えた実施形態を示す。この実施形態による伝送装置の受信部は、誤り位置検出を行うためのシンドローム演算を行うシンドローム算出部14−1と、その結果より誤り位置多項式を導出するユークリッド部14−2と、誤り位置多項式を用いて誤り位置探索を行うチェン探索部14−3と、演算に要する時間だけ主信号を遅延させる主信号遅延部14−4と、誤り位置検出の結果を用いて誤りの訂正を行う訂正部14−5と、シンドローム演算部14−1,ユークリッド部14−2,チェン探索部14−3における各種演算結果を監視することにより、誤り個数等のエラーの状態をモニタする誤り個数・状態監視部14−6とを搭載する。
【0069】
図15は、図8において送信側でのインタリーブ、受信側でのデインタリーブの処理単位を可変とするための構成を示す。送信側は、フォーマット1の主信号のシリアル信号をnビットずつのパラレル信号に変換する1:nシリアルパラレル変換部15−11と、m個の装置内フレーム/FECフレーム変換部8−11と、m個のチェックビット演算挿入部8−12と、該チェックビット演算挿入部8−12のm個の出力信号をインタリーブして出力するインタリーバ15−12とを備える。
【0070】
一方、受信側は、フォーマット6の受信信号のシリアル信号をデインタリーブするデインタリーバ15−21と、m個の誤り位置検出訂正部8−23と、m個のFECフレーム/装置内フレーム変換部8−24と、nビットのパラレル信号をシリアル信号に変換するn:1パラレルシリアル変換部15−22とを備える。
【0071】
送信側における1:nシリアルパラレル変換部15−11は、従来は、パラレル信号ビット数nが固定であった。しかし、この発明では外部又は他ブロックからの選択信号により、パラレル信号ビット数を1からm(mはシリアル/パラレル変換部の後段に設けられたチェックビット演算挿入回路の設置数)までのいずれかのビット数を指定して、入力信号に含まれる情報ビットをシリアルパラレル変換する。
【0072】
ここで、パラレル信号ビット数をL(Lは1以上m以下の数)と指定したとする。Lビットのパラレル信号への変換後の信号は、m系統の装置内フレーム/FECフレーム変換部8−11のうち、L系統の装置内フレーム/FECフレーム変換部8−11に入力され、それぞれの系統でFECフレームに変換される。
【0073】
即ち、L系統の各装置内フレーム/FECフレーム変換部8−11に順に入力された情報ビット(7648=8×239×4)にダミーピット5ビットを加えた7653ビットを情報ビットとし、該ダミービット5ビットとチェックビット507ビットを合わせた512ビットを“DON’T CARE”領域とするフォーマット2相当のFECフレームを出力する。
【0074】
各BCH8160チェックビット演算挿入部8−12は、7653ビットのインフォメーション領域についてチェックピットの演算を行い、演算により得られた507ビットのチェックピットを“DON’T CARE”領域に挿入し、フォーマット3相当の信号を出力する。
【0075】
インタリーバ15−12は、指定されたL個のBCH8160チェックビット演算挿入部8−12の出力信号を所定の順序でインタリーブして出力する。なお、インタリーブ数n=1,2,・・・ ,mのそれぞれについて、インタリーブのパターンをそれぞれメモリに記憶しておき、指定されたnの値に対応するインタリーブのパターンをメモリから読出してそのパターンに従って、インタリーブをすることが望ましい。
【0076】
なお、インタリーブとして例えば、各BCH8160チェックビット演算挿入部8−12から出力されたL個のFECフレーム(1フレーム分)を所定の順序(例えば、1番目のBCH、4番目のBCH、7番目のBCH、・・・ 、9番目のBCH)等の順に並べて、フォーマット3相当の信号として出力することが考えられる。
【0077】
インタリーブ数nは、外部からの制御信号によりユーザが任意に設定し、又は例えば伝送路品質等を監視する他のブロックからの制御により自動的に設定し、使用するインタリーブ数を調整することにより、バースト誤りに対する訂正能力を向上させることができる。
【0078】
図16は誤り訂正を抑制する機能を有する実施形態を示す。この実施形態による伝送装置の受信部は、BCH2040符号を用いた誤り位置検出部16−1と、誤り位置検出演算に要する時間だけ主信号を遅延させる主信号遅延部16−2と、ユーザにより外部から任意に与えられる選択信号又は例えば伝送路品質等を監視する他のブロックからの自動制御により与えられる選択信号に応じて、誤り位置検出部16−1の誤り訂正制御信号(この場合は“H”で誤りを訂正)を無効にする論理回路16−3と、誤り訂正制御信号を基に主信号の訂正を行う訂正部16−4とを搭載する。
【0079】
図17は各符号方式に共通に演算結果保持レジスタを備えた実施形態を示す。この実施形態の伝送装置の送信部又は受信部は、第1の符号方式(A)の演算回路論理部17−1と、第1の符号方式(A)とは異なる第2の符号方式(B)の演算回路論理部17−2と、第1及び第2の符号方式(A)(B)と異なる第3の符号方式(C)の演算回路論理部17−3と、それらの演算結果(例えば、演算途中で記憶すべきパラメータ等)を選択する選択部17−4と、選択された1つの演算結果を保持(演算回路論理部からの読み出しも可能とする。)する演算結果保持レジスタ部17−5とを備える。複数種類の符号方式の演算回路を全て搭載すると回路規模の増大を招くが、複数の符号方式の演算回路に1つの演算結果保持レジスタ部17−5を共用することにより、回路規模の削減を図ることができる。
【0080】
なお、第1〜第3の符号方式として、前述した符号方式のいずれかを採用することが考えられる。また、各演算回路論理部の例としては、図14のシンドローム算出部14−1、ユークリッド部14−2、チェン探索部14−3等の各部材が挙げられる。
【0081】
図18は各符号方式の演算回路に代えて演算結果を保持するメモリを用いた実施形態を示す。同図(a)の簡単な概念図に示すように、第1の符号方式(A)の演算回路と第2の符号方式(B)の演算回路に代えて、同図(b)に示すように、使用する符号方式の論理演算結果を、装置の立ち上げ時等に格納したメモリを用い、演算回路への入力信号を読み出しアドレスに対応させ、そのときの減算回路が出力すべき信号を、その読み出しアドレスに対応して記憶させた読み出しデータとすることで、使用する符号方式の演算結果を取得する。
【0082】
このように、各符号方式の処理機能におけるレジスタ部は1セットのみを用意し、各符号方式の演算回路部のみをメモリーにより構成し、使用する符号方式に応じてメモリーの内容を更新することにより、複数の符号方式から最適な符号方式を選択する構成とすることができる。
【0083】
図19はリードソロモン符号RS(255,239)のチェックビット領域に任意データを格納する実施形態を示す。チェックビットがITU−T勧告G.709/G.975にあるリードソロモン符号RS(255,239)のチェックビットの数よりも少ない符号方式を使用する場合に、その余ったビット位置に任意データを格納して伝送するものである。
【0084】
この実施形態による伝送装置は、送信部19−10において、リードソロモン符号RS(255,239)の場合の主信号と共に、チェックビット領域に格納するユーザの任意データを、フレームに挿入する挿入部19−11と、主信号及び任意データに対してBCH2040符号によるチェックビット演算挿入を行うチェックビット演算挿入部19−12と、スクランブラ19−13と、電気信号を光信号に変換する光送信回路19−14とを備える。
【0085】
また、受信部19−20において、光信号を電気信号に変換する光受信回路19−21と、デスクランブラ19−22と、BCH2040符号に対する誤り位置検出訂正を行う誤り位置検出訂正部19−23と、訂正後の主信号から、送信部19−10にてチェックビット領域に格納した任意データを抽出する抽出部19−24を搭載する。
【0086】
図20にITU−T勧告G.709/G.975にあるリードソロモン符号RS(255,239)とBCH2040符号のインフォメーション領域及びパリティチェック領域の関係を示す。同図(a)に示すように、リードソロモン符号RS(255,239)の符号長は2040ビット、インフォメーション領域は1912ビット、パリティチェック領域は128ビットである。
【0087】
他の誤り訂正符号を用いてITU−T勧告にある伝送レートと同一にするためには、符号領域長とインフォメーション領域の比をリードソロモン符号RS(255,239)に合わせる必要がある。BCH2040符号を採用した場合、パリティチェック領域は121ビットであるため、図20(b)に示すように、128−121=7ビットの空き領域が確保され、その領域を使用してユーザによる任意データの伝送が可能となる。
【0088】
本発明による誤り訂正能力の向上を説明するに当たり、ITU−T勧告G.709/G.975にあるリードソロモン符号RS(255,239)とBCH符号とによる訂正後の誤り率について説明する。今、入力ビットエラーレートをPとし、符号長をnビットとすると、
【数1】
と表すことができる。式1のi番目の項は、nビット中iビットが誤る確率である。
【0089】
ここで、kビット以内の誤りが訂正されるとすると、式1におけるkビット以内の誤りを無しにすることと誤り訂正を行った状態とが同じになる。但し、この場合、デコード誤り(誤訂正)は考慮していない。誤り訂正後のエラーレートqは次式となる。
【数2】
BCH符号による誤り訂正能力は上記式2を用いて求めれば良い。
【0090】
次にリードソロモン符号について、1バイト(シンボル)を8ビットとした場合のリードソロモン符号RS(255,239)について説明する。この場合、8バイトの誤りが訂正可能となる訂正能力を有するが、255×8=2040ビット中の任意のビットに対して64ビット分の訂正能力はなく、例えば、8個のバイトにそれぞれ1ビットずつ誤りが有った場合、8ビット分の訂正能力しかない。
【0091】
まず、入力ビットエラーレートpのとき、1バイト中の1ビット以上誤る確率(バイト誤り率)q´は、
【数3】
p<<の条件では
【数4】
とおける。
【0092】
リードソロモン符号RS(255,239)の訂正後のバイトエラーレートは、入力ビットエラーレートをpとして式4の変換を行った後、式2の変換を、n=255,k=8として行うことにより、バイトエラーレートが算出される。これらの数式に従って、リードソロモン符号RS(255,239),BCH(2040,1919,11)符号,BCH(4080,3828,21)符号及びBCH(8160,7653,39)符号の入力エラーレートと出力エラーレートの関係を図21に示す。
【0093】
図21に示すグラフよれば、ランダムエラーに対してリードソロモン符号RS(255,239)と同一伝送レートで適用可能なBCH2040符号、BCH4080符号及びBCH8160符号は、何れもリードソロモン符号RS(255,239)よりも高い訂正能力を有することが分かる。
【0094】
他のブロック符号・軟符号についても同様にITU−T勧告G.709/G.975に規定されたチェックビット領域を使用して誤り訂正符号を組むことにより、伝送レートを上げることなくランダム誤りの訂正能力を向上させることが可能となる。
【0095】
(付記1) リードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットにおけるパリティチェック領域の全部又は一部を用い、リードソロモン符号RS(255,239)を用いた場合と同一の伝送レートで、リードソロモン符号RS(255,239)よりランダム誤りに対して訂正能力の高い誤り検出訂正符号を適用するチェックビット演算挿入部を送信部に備え、該誤り検出訂正符号による受信信号に対して誤り位置検出及び誤り訂正を行う誤り位置検出訂正部を受信部に備えたことを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記2) 複数種類の誤り検出訂正符号の中から1種類の誤り検出訂正符号のチェックビットが選択的に挿入された信号を受信し、該複数種類の誤り検出訂正符号の1つに対応する誤り位置検出及び誤り訂正を行う誤り位置検出訂正部を選択する手段を備えた受信部を有することを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記3) 所定長の情報ビットを離散的に複数含む入力信号について、該所定長の情報ビットを単位とする所定の演算により所定長の誤まり訂正ビットを算出し、該所定長の情報ビット間に該誤まり訂正ビットを挿入した信号からなる所定フォーマットの信号を出力する第1符号化手段と、該入力信号に含まれる複数の所定長の情報ビットを連続的に配置した信号に変換して出力する第1変換手段と、該変換後の連続的に配置された複数の所定長の情報ビットに対する所定の演算により所定長の誤まり訂正ビットを算出し、所定長の情報ビット間に該誤まり訂正ビットを挿入した信号を出力する第2符号化手段と、該第2符号化手段に含まれる複数の所定長の情報ビットを連続的に配置した信号を前記所定のフォーマットにおける情報ビット部分に分散配置し、該誤まり訂正ビットを前記所定のフォーマットにおける誤まり訂正ビット部分に分散配置する第2変換手段と、を備え、少なくとも該第1符号化手段又は該第2変換手段のいずれかの出力に基づく信号を送信することを特徴とする伝送装置。
(付記4) 所定長の情報ビット間に該情報ビットの誤まり訂正ビットを挿入した信号からなる所定フォーマットの信号を入力し、該所定長の情報ビットに対してその誤まり訂正ビットを基に誤り位置検出及び誤り訂正をした信号を出力する第1の誤まり位置検出訂正手段と、
前記所定フォーマットの信号を入力し、その複数の所定長の情報ビットを連続的に配置した信号に変換するとともに、該連続的に配置した複数の所定長の情報ビット間に、前記誤まり訂正ビットを連続的に挿入したフォーマットに変換する第1の変換手段と、
該第1の変換手段で変換した後の信号の誤まり訂正ビットを基に、前記連続的に配置した複数の所定長の情報ビットに対して誤り位置検出及び誤り訂正をした信号を出力する第2の誤まり位置検出訂正手段と、
該第2の誤まり位置検出訂正手段から出力される連続的に配置した複数の所定長の情報ビットを、離散的に配置した所定長の情報ビットに変換して出力する第2の変換手段と、
を備え、少なくとも該第1の誤まり位置検出訂正手段又は該第2変換手段のいずれかの出力に基づく信号を受信することを特徴とする伝送装置。
(付記5) 主信号のシリアル信号をnビット(nは2以上の整数)のパラレル信号に変換するシリアルパラレル変換手段と、該シリアルパラレル変換手段から順次出力される各パラレル信号をそれぞれ入力し、該入力信号に対して所定の演算により所定長の誤まり訂正ビットを算出し、所定長の入力信号間に該誤まり訂正ビットを挿入した信号を出力するn個のチェックビット演算挿入手段と、該n個のチェックビット演算挿入手段の出力信号をインタリーブして出力するインタリーバとを備え、インタリーブ数に対応した上記パラレル信号のビット数nを、外部から任意に与えられる制御信号又は伝送路品質に基づく制御信号により可変にした構成を有することを特徴とする伝送装置。
(付記6) 異なる符号化方式に対応した演算を行う複数の演算部を備え、該演算部のいずれかにおいて符号化された信号を送信又は受信する伝送装置において、該複数の演算部がそれぞれ行う演算の過程で記録を要する演算パラメータを記憶する共通の記憶手段を備え、該複数の演算部は、自演算部が選択された場合に、演算過程で記録を要する演算パラメータを該記憶手段に記憶し、読出しを行って更なる演算に用いる、ことを特徴とする伝送装置。
(付記7) リードソロモン符号RS(255,239)よりランダム誤りに対して訂正能力の高い誤り検出訂正符号とリードソロモン符号RS(255,239)の中から1種類の誤り検出訂正符号のチェックビットが選択的に挿入された信号を受信し、前記訂正能力の高い誤り検出訂正符号とリードソロモン符号RS(255,239)の1つに対応する誤り位置検出及び誤り訂正を行う誤り位置検出訂正部を選択する手段を備えた受信部を有することを特徴とするを誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記8) 前記チェックビット演算挿入部を選択する手段は、前記リードソロモン符号RS(255,239)よりランダム誤りに対する訂正能力の高い複数種類の誤り検出訂正符号と前記リードソロモン符号RS(255,239)の中から、何れかの符号を選択する手段を備えたことを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記9) 前記チェックビット演算挿入部を選択する手段は、送信部の外部から任意に与えられる制御信号又は伝送路品質に基づく制御信号により、複数種類の符号の中から1つの種類の符号を選択することを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記10) 前記送信部及び受信部は、選択された符号のチェックビット演算挿入部及び誤り位置検出訂正部のみを動作させ、他の符号のチェックビット演算挿入部及び誤り位置検出訂正部を停止させることを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記11) 前記送信部及び受信部は、伝送路フレームフォーマット又は装置内フレームフォーマットを、1つの符号が1つのインフォメーション領域と1つのパリティチェック領域とに分かれた誤り検出訂正用フレームフォーマットに変換するフォーマット変換部を備え、該誤り検出訂正用フレームフォーマットに変換した符号をチェックビット演算挿入部又は誤り位置訂正検出部に入力することを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記12) 前記フォーマット変換部は、前記フォーマット変換を行うためのデータ遅延部を、チェックビット演算挿入又は誤り位置検出訂正を行うためのデータ遅延部と共用したことを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記13) 前記受信部は、受信データの誤りの個数又は誤り状態を監視する監視部を備え、該監視結果を、前記伝送路品質を示す信号として送信部に通知する手段を備えたことをたことを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記14) チェックビット演算挿入又は誤り位置検出訂正のインタリーブ数を、外部から任意に与えられる制御信号又は伝送路品質に基づく制御信号により設定する手段を備えたことを特徴とする伝送装置。
(付記15) 前記複数種類の各符号に対応した各チェックビット演算挿入部又は誤り位置検出訂正部における演算結果を格納するレジスタ部を1組のみ備え、演算回路部を各符号対応に複数備え、該レジスタ部を複数の演算回路部に対して切り替えて使用することを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記16) 前記複数種類の各符号に対応した各チェックビット演算挿入部又は誤り位置検出訂正部における演算結果を格納するレジスタ部を1組のみ備え、各符号に対応した演算結果を保持するメモリを備えたことを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
(付記17) リードソロモン符号RS(255,239)のチェックビット数よりも少ないチェックビット数の誤り検出訂正符号を用い、その余ったチェックビット領域に任意データを格納して伝送する手段を備えたことを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ITU−T勧告によるリードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットにおけるパリティチェック領域の全部又は一部を、ランダム誤りに対してより訂正能力が高い他の誤り訂正符号のパリティチェック領域として活用することにより、誤り検出訂正機能部を入れ替えるだけで、勧告に示される伝送レートでより高い誤り訂正能力を得ることができ、高スペックの光モジュールやPLLなどの高価な部品を導入することなく長距離伝送が可能となり、中継器数を削減することができ、伝送システムのコストの大幅な削減が可能となる。
【0097】
また、ITU−T勧告G.709/G.975にあるリードソロモン符号RS(255,239)と、該符号より訂正能力の高い符号とを切り替えて使用する手段を備えることにより、該勧告に従った符号方式のみの伝送装置と対向するための伝送装置と、訂正能力の高い符号を使用し得る伝送装置同士を対向させて中継距離を延長するための伝送装置とを別装置として製造する必要がないため、伝送装置の開発・製造におけるコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】BCH(2040)符号を適用した本発明の実施形態を示す図である。
【図2】BCH(2040)符号を含む複数の符号を適用した本発明の実施形態を示す図である。
【図3】BCH(2040)符号とリードソロモン符号RS(255,239)とを選択可能にした本発明の実施形態を示す図である。
【図4】ランダム誤り訂正能力の高い複数の符号とリードソロモン符号RS(255,239)とを選択可能にした本発明の実施形態を示す図である。
【図5】外部又は他のブロック等からの選択信号により符号を選択する本発明の実施形態を示す図である。
【図6】誤り検出訂正用のチェックビット演算挿入部をチェックビット演算部とチェックビット挿入部とに分けた本発明の実施形態を示す図である。
【図7】伝送路品質を監視する他のブロックから選択信号を与える本発明の実施形態を示す図である。
【図8】本発明によるフォーマット変換を行う誤り訂正の実施形態を示す図である。
【図9】リードソロモン符号RS(255,239)とBCH8160符号の誤り検出訂正機能を備えた送信部における各フレームフォーマットを示す図である。
【図10】リードソロモン符号RS(255,239)とBCH8160符号の誤り検出訂正機能を備えた受信部における各フレームフォーマットを示す図である。
【図11】本発明による伝送路フォーマットからFECフォーマットへの変換の実施形態を示す図である。
【図12】本発明によるフォーマット変換部と主信号遅延部とを兼用した誤り位置検出訂正部の実施形態を示す図である。
【図13】メモリの読み書き制御により、訂正すべきデータのみを反転して書き込む本発明の実施形態を示す図である。
【図14】誤りの個数・ 状態を監視する機能を備えた本発明の実施形態を示す図である。
【図15】誤り検出訂正のインタリーブ数を調整する機能を備えた本発明の実施形態を示す図である。
【図16】誤り訂正を抑制する機能を有する本発明の実施形態を示す図である。
【図17】各符号方式に共通に演算結果保持レジスタを備えた本発明の実施形態を示す図である。
【図18】各符号方式の演算回路に代えて演算結果を保持するメモリを用いた本発明の実施形態を示す図である。
【図19】リードソロモン符号RS(255,239)のチェックビット領域に任意データを格納する本発明の実施形態を示す図である。
【図20】リードソロモン符号RS(255,239)とBCH2040符号のインフォメーション領域及びパリティチェック領域の関係を示す図である。
【図21】リードソロモン符号RS(255,239)とランダム誤りに対して訂正能力の高い他の符号の入力エラーレートと出力エラーレートの関係を示す図である。
【図22】誤り訂正(FEC)機能を備える海底光伝送システムの伝送装置の機能ブロック図である。
【図23】ITU−T勧告G.709/G.975のリードソロモン符号RS(255,239)の誤り訂正用のフレームフォーマットを示す図である。
【符号の説明】
1−10 送信部
1−11 BCH(2040)符号のチェックビット演算挿入部
1−12 スクランブラ
1−13 光送信回路
1−20 受信部
1−21 光受信回路
1−22 デスクランブラ
1−23 BCH(2040)符号の誤り位置検出訂正部
Claims (2)
- フレーム内に第1の長さのインフォメーション領域と第2の長さのパリティチェック領域とが交互に複数個配置されたリードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットを、該第1長さのインフォメーション領域を複数個連続的に該フレーム内に配置して第3の長さのインフォメーション領域とし、且つ、該第3の長さのインフォメーション領域の間に、前記第2の長さのパリティチェック領域を複数個連続的に配置して第4の長さのパリティチェック領域として配置したフォーマットに変換する第1のフレーム変換手段と、
前記第1のフレーム変換手段から出力される前記第3の長さのインフォメーション領域の情報ビットに対して、リードソロモン符号RS(255,239)よりランダム誤りに対して訂正能力の高い誤り検出訂正符号を演算し、該誤り検出訂正符号をフレーム内の前記第4の長さのパリティチェック領域に挿入する第1のチェックビット演算挿入手段と、
前記第1のチェックビット演算挿入手段から出力される前記第3の長さのインフォメーション領域の情報ビットを、前記第1の長さの複数のインフォメーション領域に格納し、且つ、前記第4の長さのパリティチェック領域の誤り検出訂正符号を、前記第2の長さの複数のパリティチェック領域に格納し、前記リードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットに変換する第2のフレーム変換手段と、
主信号として入力されるリードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットのインフォメーション領域の情報ビットに対して、リードソロモン符号RS(255,239)の誤り検出訂正符号を演算し、該誤り検出訂正符号を該フレームフォーマットのパリティチェック領域に挿入する第2のチェックビット演算挿入手段と、
前記第2のフレーム変換手段から出力される出力信号と前記第2のチェックビット演算挿入手段から出力される出力信号の何れか1つを選択して出力する選択手段と、
を送信部に備えたことを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。 - フレーム内に第1の長さのインフォメーション領域と第2の長さのパリティチェック領域とが交互に複数個配置されたリードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットを、該第1長さのインフォメーション領域を複数個連続的に該フレーム内に配置して第3の長さのインフォメーション領域とし、且つ、該第3の長さのインフォメーション領域の間に、前記第2の長さのパリティチェック領域を複数個連続的に配置して第4の長さのパリティチェック領域として配置したフォーマットに変換する第1のフレーム変換手段と、
前記第1のフレーム変換手段から出力される前記第3の長さのインフォメーション領域の情報ビットに対して、前記第4の長さのパリティチェック領域の誤り訂正ビットを基に、誤り位置検出及び誤り訂正を施した情報ビットを出力する第1の誤り位置検出訂正手段と、
前記第1の誤り位置検出訂正手段から出力される前記第3の長さのインフォメーション領域の情報ビットを、前記第1の長さの複数のインフォメーション領域に格納し、前記リードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットに変換する第2のフレーム変換手段と、
主信号として入力されるリードソロモン符号RS(255,239)のフレームフォーマットのインフォメーション領域の情報ビットに対して、該フレームフォーマットのパリティチェック領域の誤り訂正ビットを基に、誤り位置検出及び誤り訂正を施した情報ビットを出力する第2の誤り位置検出訂正手段と、
前記第2のフレーム変換手段から出力される出力信号と前記第2の誤り位置検出訂正手段から出力される出力信号の何れか1つを選択して出力する選択手段と、
を受信部に備えたことを特徴とする誤り訂正機能を有する伝送装置。
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