JP4006367B2 - 二次軸封装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メカニカルシールやラビリンスシールなどのような、通常運転用の一次軸封装置のメンテナンスや、交換時、非常時などに、一次軸封装置に代って軸封するのに好適な二次軸封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、二次軸封装置は、たとえば図5に示すように、環状の密封流体通路1を介して回転軸2を取り囲むシールハウジング3の内周部に、回転軸2の外周に沿う環状の収容溝4が形成され、この収容溝4に、回転軸2の外径D2より大径の内径D1を有する弾性材製のシールリング5が回転軸2に非接触に遊嵌させた状態で収容され、シールハウジング3にシールリング5を加圧流体で押圧縮径変形させて回転軸2に圧接させる押圧手段6が配設された構造になっており、たとえば、メカニカルシールによってなる一次軸封装置7の近傍位置に設置される(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記弾性材製のシールリング5は、非圧縮製物質である合成ゴム(たとえば、NBR,BR,SBR,EPDN)もしくは天然ゴムなどエラストマ材によって中実に成形されており、押圧手段6は、シールハウジング3に形成されて収容溝4に連通する加圧流体供給通路6Aと、この加圧流体供給通路6Aに加圧流体を供給するたとえばエアーコンプレッサによってなる加圧流体供給源6Bとを備えている。
【0004】
前記構成の二次軸封装置Aによれば、一次軸封装置7のメンテナンスや交換などに際して、押圧手段6の加圧流体供給源6Bから加圧流体供給通路6Aを介して、環状の収容溝4に環状の密封流体通路1の密封流体Fの圧力よりも高い圧力の高圧空気を供給すると、この高圧空気がシールリング5の外周面に作用して、シールリング5を回転軸2の中心方向に押圧し、これにより、シールリング5は円周方向全長にわたって均一に縮径変形されて、シールリング5の内周部側の圧接面5Aが回転軸2の外周面全周にわたって圧接させられ、このシールリング5により回転軸2とシールハウジング3との間が密封シールされる。したがって、被軸封機器側の密封流体Fは、環状の密封流体通路1内におけるシールリング5の配設位置で封止され、一次軸封装置7側への流出は勿論のこと一次軸封装置7よりも外部への流出が完全に防止される。このため、密封流体Fの封止下において一次軸封装置7のメンテナンスや交換などを行うことができる。
【0005】
前記構成の二次軸封装置Aと一次軸封装置7を備えた軸封装置10の使用例として、たとえば、図6に示す大深度排水域に設置される高揚程ポンプPを挙げることができる。この大深度高揚程ポンプPは、ポンプケーシング8の内部に収容されてポンプ主軸(回転軸)2とともに回転する羽根車9を備え、この羽根車9はポンプケーシング8の吸込口8Aに臨んで配置されている。回転軸2は、軸封装置10における一次軸封装置7によって回転自在に軸封されるとともに、軸封装置10の上側位置に配設した軸受11Bを介して上側ケーシング11に回転自在かつ軸方向の移動を不能に支持されており、その上端部には図示されていない原動機が連結される。したがって、原動機を起動し、回転軸2および羽根車9を回転することで、大深度排水域12の貯水つまり密封流体Fは、ポンプケーシング8から吐出管(不図示)を通って外部に排水される。また、一次軸封装置7の軸封機能により、ポンプケーシング8内の揚水つまり密封流体Fがポンプケーシング8の上部に配置されている上側ケーシング11の空間11A内に漏出するのを防止する。
【0006】
ところで、軸封装置10における一次軸封装置7が経時的にシール破壊されて、大深度排水域12の貯水つまりポンプケーシング8側の密封流体Fが上側ケーシング11の空間11A内に漏出した場合には、まず、図5に示す軸封装置10における二次軸封装置Aのシールリング5を、前述の作用によって円周方向全長にわたって均一に縮径変形させることで軸封して、ポンプケーシング8側の密封流体Fが空間11A内に漏出するのを防止する。ついで、図6の空間11A内に漏出した水を別のポンプによって排水したのち、回転軸2から軸封装置10における一次軸封装置7を取外してメンテナスや交換に供される。
【0007】
回転軸2に対する一次軸封装置7の脱着は、回転軸2の上端部から図示されていない原動機を取り外して、これを別の場所に移動させたのちに、一次軸封装置7を回転軸2から引き抜いてメンテナスや交換に供し、メンテナスが完了した一次軸封装置7あるいは交換された新品の一次軸封装置7に回転軸2を挿通する煩雑かつ困難な作業によってなされる。このように、煩雑かつ困難な脱着作業を簡略化するためには、一次軸封装置7を円周方向でたとえば二分割して、これらを分解可能に結合した分割型に構成することが考えられる。
【0008】
一次軸封装置7が分割型に構成されることで、その脱着作業の簡略化が実現できることは、二次軸封装置Aにもいえる。つまり、二次軸封装置Aを円周方向でたとえば二分割して、これらを分解可能に結合した分割型に構成することが考えられる。このように、二次軸封装置Aと一次軸封装置7とを備えた軸封装置10が分割型に構成されると、脱着作業の簡略化が実現できるばかりか、たとえば、軸封装置10によって軸封される軸封部の外径のみがその他の部位の外径よりも小径に形成されている構造の回転軸2への脱着が可能になる。すなわち、非分割型(一体型)の軸封装置10では軸封不能な構造の回転軸2の軸封が可能になる。
【0009】
【特許文献1】
実開昭61−32863号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、大深度高揚程ポンプPでは、二次軸封装置Aにおけるシールハウジング3の内周面に高圧の密封流体圧が負荷される。このように、高圧の密封流体圧が負荷される大深度高揚程ポンプPにおける回転軸2の軸封に分割型に構成した軸封装置10を用いた場合、高圧の密封流体圧が二次軸封装置Aの分割合わせ面を拡開させるように作用して水漏れを生じさせる。分割型の二次軸封装置Aは、複数本の締結ボルトによって分割合わせ面を水密に圧接させた状態で分解可能に締結されているので、締結ボルトの締結力を増大することで、分割合わせ面の圧接水密状態を保持して、分割合わせ面の拡開による水漏れを阻止することができる。しかし、二次軸封装置Aの外寸法の拡大を抑えて、二次軸封装置Aの小型化を図るために、前記複数本の締結ボルトによる締結構造として、図7の締結構造が採用されている。
【0011】
図7において、シールハウジング3は、円周方向でたとえば二分割された半円形のシールハウジング単体3A,3Bが複数本の締結ボルト13A,13Bによって、分割合わせ面3Cを水密に圧接させた状態で分解可能に締結した構造になっている。そして、複数本の締結ボルト13A,13Bは、その軸線Cをシールハウジング3の接線C1に平行または略平行に設定して、シールハウジング単体3A,3Bの体内に埋め込んだ構造になっている。このような締結構造であれば、たとえば、図8に示すように、シールハウジング単体3A,3Bに径外方向に延出するフランジ14A,14Bを設け、これらフランジ14A,14Bを複数本の締結ボルト・ナット15A,15Bによって分解可能かつ液密に互いに締結した締結構造と比較して、二次軸封装置Aの外寸法の拡大を抑えて、二次軸封装置Aの小型化を図ることができる。
【0012】
ところが、図7の締結構造では、複数本の締結ボルト13A,13Bを埋め込み得るスペースがシールハウジング単体3A,3Bの肉厚および軸方向の長さ範囲内の小さいスペースに制限されることになる。このため、複数本の締結ボルト13A,13Bの軸径を大きくして締結強度を高める許容度、あるいは締結ボルト13A,13Bの使用数量を増やして締結強度を高める許容度が著しく制限されることになって、前記高圧の密封流体圧の負荷に抗して、分割合わせ面3Cの圧接水密状態を保持して、分割合わせ面3Cの拡開を阻止し得る締結強度を確保することが期待できない。
【0013】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、円周方向で分割型に構成することで小型化できる反面、高圧の密封流体圧の負荷に抗して、分割合わせ面の圧接水密(液密)状態を保持して、分割合わせ面の拡開を阻止し得る締結強度を確保することが期待できないものでありながら、小さい締結強度でも分割合わせ面の拡開による水漏れを確実に防止することができる二次軸封装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る二次軸封装置は、環状の密封流体通路を介して回転軸を取り囲むシールハウジングの内周部に、前記回転軸の外周に沿う環状の収容溝が形成され、この収容溝に、前記回転軸の外径より大径の内径を有する弾性材製のシールリングが該前記シールハウジングに前記シールリングを加圧流体で押圧縮径変形させて回転軸に圧接させる押圧手段が配設され、一次軸封装置に代って前記回転軸の軸封を行う二次軸封装置において、前記シールハウジングが周方向で分割され、分割されたシールハウジング単体同士が円周方向締結手段により分解可能かつ液密に互いに締結されてアウターケーシングに収容されているとともに、前記シールハウジングの外周面と前記アウターケーシングの内周面との間に前記環状の密封流体通路内の密封流体を導いて、その密封流体圧を前記シールハウジングの外周面に背圧として負荷させる背圧負荷手段が設けられていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項2に記載の発明に係る二次軸封装置は、前記シールリングが円周方向で分断した分断面を接着してリング状に形成してなるものである。
【0016】
さらに、請求項3に記載の発明に係る二次軸封装置は、前記シールハウジングを軸方向で分割し、分割しシールハウジング単体同士を軸方向締結手段により分解可能かつ液密に互いに締結したものである。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、円周方向締結手段に負荷される荷重が、シールハウジングの内周面に負荷される密封流体圧と、背圧負荷手段によってシールハウジングの外周面に負荷される背圧との差圧に低減されるので、円周方向締結手段の締結強度が小さくても、分割合わせ面の拡開を十分に阻止することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、円周方向で分断した分断面の接着は、回転軸の外周域で該回転軸を取り巻きながら行うことができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、環状の密封流体通路を介して回転軸を取り囲むシールハウジングの設置は、シールハウジング単体を軸方向で順番に配列させることによって得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す平面図、図2は図1のII−II線断面図である。なお、前記図5〜図8で説明した従来例と同一もしくは相当部分には、同一符号を付して重複する構造および作用の説明は省略する。
【0021】
図1および図2において、回転軸2の外周には軸スリーブ16が同時回転可能に外嵌され、この軸スリーブ16が環状の密封流体通路1を介して二次軸封装置Aのシールハウジング3に取り囲まれている。シールハウジング3は、円周方向でたとえば二分割された半円形のシールハウジング単体3A,3Bが複数本の締結ボルト13A,13Bからなる円周方向締結手段13によって、分割合わせ面3Cを水密に圧接させた状態で分解可能に締結されているとともに、軸方向では、下側シールハウジング単体3Dと、中間シールハウジング単体3Eおよび上側シールハウジング単体3Fに三分割されて、これらシールハウジング単体3D,3E,3Fは、複数本の締結ボルト17A,17Bからなる軸方向締結手段17によって、分割合わせ面3Gを水密に圧接させた状態で分解可能に締結されてアウターケーシング19に収容されている。なお、図2に示すように、シールハウジング単体3D,3E,3Fの分割合わせ面3Gに内外周に二重のOリング18A,18Bを介在させることによって、分割合わせ面3Gの水密(液密)を確保している。また、下側シールハウジング単体3Dと上側シールハウジング単体3Fは、2本の締結ボルト13Aと、2本の締結ボルト13Bとからなる円周方向締結手段13によって、分割合わせ面3Cを水密に圧接させた状態で分解可能に締結され、中間シールハウジング単体3Eは、図3に示すように、2本の締結ボルト13Aからなる円周方向締結手段13によって、分割合わせ面3Cを水密に圧接させた状態で分解可能に締結されている。
【0022】
回転軸2に外嵌した軸スリーブ16の外周に沿う環状の収容溝4は、下側シールハウジング単体3Dの内周部上面と、中間シールハウジング単体3Eの内周面および上側シールハウジング単体3Fの内周部下面に取り囲まれた状態で形成され、この収容溝4に、軸スリーブ16の外径D3より大径の内径D1を有する弾性材製のシールリング5が軸スリーブ16に非接触に遊嵌させた状態で収容されている。
【0023】
シールリング5は、図1および図3に示すように、円周方向で二つに分断され、分断した凹凸形の分断面5Bは、接着剤(図示省略)を介して互いに接着することでリング状に形成されている。また、押圧手段6は、図1に示すように、シールハウジング3における上側シールハウジング単体3Fに形成されて収容溝4に連通する加圧流体供給通路6Aと、この加圧流体供給通路6Aに連通してアウターケーシング19に貫通形成された加圧流体供給通路6Cおよび加圧流体供給通路6Cに加圧流体を供給するたとえばエアーコンプレッサによってなる加圧流体供給源6Bとを備えている。
【0024】
前記アウターケーシング19は、図1に示すように、円周方向でたとえば二分割された半円形のアウターケーシング単体19A,19Bによってなり、アウターケーシング単体19A,19Bには径外方向に延出するフランジ19a,19bが設けられていて、これらフランジ19a,19bを貫通する複数本の締結ボルト・ナット20A,20Bからなる径方向締結手段20によって、分割合わせ面19Cを水密に圧接させた状態で分解可能に締結した構造になっている。
【0025】
アウターケーシング19の内周面には、図2に示すように、径方向内側に僅かに突出する水平支持面21が設けられ、この水平支持面21によって下側シールハウジング単体3Dの外周縁部下面3dを支持し、水平支持面21と外周縁部下面3dとの間には、図4に示すように、櫛歯状の隙間22を設けてある。この櫛歯状の隙間22は、アウターケーシング19の内周面と、下側シールハウジング単体3Dおよび中間シールハウジング単体3Eの外周面との間に形成される隙間23に連通しており、櫛歯状の隙間22と隙間23とで背圧負荷手段24を構成している。なお、櫛歯状の隙間22に連通する隙間23は、アウターケーシング19の内周面と、上側シールハウジング単体3Fの外周面との間に介在させた0リング26によって封止されている。図中25は環状の押さえ板を示し、アウターケーシング19の上端面に着脱可能に取付けられ、複数のピン26(ただし、図2に1つのピン26のみが示されている)により位置決めされた状態で上側シールハウジング単体3Fの上端面を押圧している。
【0026】
前記構成の二次軸封装置Aを、たとえば、図7に示す大深度排水域に設置される高揚程ポンプPに使用すると、シールハウジング3の内周面に高圧の密封流体圧が負荷される。一方、櫛歯状の隙間22と隙間23とからなる背圧負荷手段24によって、シールハウジング3の外周面、詳しくは、下側シールハウジング単体3Dと中間シールハウジング単体3Eの外周面にも、前記高圧の密封流体圧が負荷されることになるので、複数本の締結ボルト17A,17Bからなる軸方向締結手段17に負荷される荷重は、シールハウジング3の内周面に負荷される密封流体圧と、背圧負荷手段24によってシールハウジング3の外周面に負荷される背圧との差圧に低減されるので、複数本の締結ボルト13A,13Bからなる円周方向締結手段13の締結強度が小さくても、分割合わせ面3Cの拡開を十分に阻止することができる。
【0027】
すなわち、複数本の締結ボルト13A,13Bは、その軸線Cをシールハウジング3の接線C1に平行または略平行に設定して、シールハウジング単体3A,3Bの体内に埋め込んで二次軸封装置Aの小型化を図れる構造になっていることにより、複数本の締結ボルト13A,13Bを埋め込み得るスペースがシールハウジング単体3A,3Bの肉厚および軸方向の長さ範囲内の小さいスペースに制限されて、複数本の締結ボルト13A,13Bの軸径を大きくして締結強度を高める許容度、あるいは締結ボルト13A,13Bの使用数量を増やして締結強度を高める許容度が著しく制限されても、複数本の締結ボルト13A,13Bによって、分割合わせ面3Cの拡開を十分に阻止して、分割合わせ面3Cの拡開による水漏れを確実に防止することができる。
【0028】
また、シールリング5は、円周方向で二つに分断され、分断した凹凸形の分断面5Bが接着剤を介して互いに接着することでリング状に形成されているので、分断面5Bの接着を回転軸2の外周域で該回転軸2を取り巻きながら行うことができる。したがって、二次軸封装置Aによって軸封される軸封部の外径のみがその他の部位の外径よりも小径に形成されている構造の回転軸2でも、シールリング5の取付けを容易に行うことができる。すなわち、エンドレス状に成形されたシールリング5では取付け困難な構造の回転軸2への取付けが可能になる。
【0029】
さらに、シールハウジング3を下側シールハウジング単体3Dと、中間シールハウジング単体3Eおよび上側シールハウジング単体3Fに軸方向で三分割しているので、環状の密封流体通路1を介して回転軸2を取り囲むシールハウジング3の設置は、一体構造のシールハウジング3よりも軽重量のシールハウジング単体3D,3E,3Fを軸方向で順番に配列させることによって得ることができる。このため、取り扱いが容易になって、シールハウジング3の設置作業性を向上させることができる。
【0030】
前記実施の形態では、円周方向で二つに分断した凹凸形の分断面5B、詳しくは、直線状の山形と谷形とからなる凹凸形の分断面5Bを、接着剤を介して互いに接着することでリング状に形成したシールリング5を使用しているが、分断面5Bの形状は、直線状の山形と谷形とからなる凹凸形のみに限定されるものではなく、円弧状の山形と谷形あるいは鋸歯状の山形と谷形とからなる凹凸形の分断面5Bであってもよい。また、シールリング5の軸線に直交する平坦な面やシールリング5の軸線に斜めに交差する平坦な面を分断面5Bとし、この平坦な面を、接着剤を介して互いに接着することでリング状に形成したシールリング5であってもよい。さらに、円周方向の分断数は、1つまたは3つ以上であってもよい。また、軸方向で二分割したシールリング5であってもよい。一方、シールハウジング3を円周方向で二分割しているが、三分割以上に分割した構造であってもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る二次軸封装置は構成されているので、以下のような格別の効果を奏する。
【0032】
請求項1に記載の発明によれば、円周方向で分割型に構成することで小型化できる反面、高圧の密封流体圧の負荷に抗して、分割合わせ面の圧接水密(液密)状態を保持して、分割合わせ面の拡開を阻止し得る締結強度を確保することが期待できないものでありながら、小さい締結強度でも分割合わせ面の拡開による水漏れを確実に防止することができる。
【0033】
請求項2に記載の発明によれば、二次軸封装置によって軸封される軸封部の外径のみがその他の部位の外径よりも小径に形成されていて、エンドレス状に成形されたシールリングでは取付けが困難な構造の回転軸であっても、回転軸の外周域で該回転軸を取り巻きながら容易にシールリングを取付けることができる。
【0034】
請求項3に記載の発明によれば、環状の密封流体通路を介して回転軸を取り囲むシールハウジングの設置は、一体構造のシールハウジングよりも軽重量のシールハウジング単体を軸方向で順番に配列させることによって得ることができるので、取り扱いが容易になって、シールハウジングの設置作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2III−III線断面図である。
【図4】隙間の一例を示す部分的に拡大して示す正面図である。
【図5】従来例の縦断面図である。
【図6】ポンプへの使用例を示す説明断面図である。
【図7】円周方向で二分割したシールハウジングの締結構造の一例を示す平面図である。
【図8】円周方向で二分割したシールハウジングの締結構造の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 環状の密封流体通路
2 回転軸
3 シールハウジング
3A シールハウジング単体
3B シールハウジング単体
3C 円周方向の分割合わせ面
3D 下側シールハウジング単体
3E 中間シールハウジング単体
3F 上側シールハウジング単体
3G 軸周方向の分割合わせ面
4 環状の収容溝
5 シールリング
5B シールリングの円周方向の分断面
6 押圧手段
7 一次軸封装置
13 円周方向締結手段
19 アウターケーシング
24 背圧負荷手段
A 二次軸封装置
D1 シールリングの内径
D2 回転軸の外径
F 密封流体
Claims (3)
- 環状の密封流体通路を介して回転軸を取り囲むシールハウジングの内周部に、前記回転軸の外周に沿う環状の収容溝が形成され、この収容溝に、前記回転軸の外径より大径の内径を有する弾性材製のシールリングが該回転軸に非接触に遊嵌させた状態で収容され、前記シールハウジングに前記シールリングを加圧流体で押圧縮径変形させて回転軸に圧接させる押圧手段が配設され、一次軸封装置に代って前記回転軸の軸封を行う二次軸封装置において、
前記シールハウジングが周方向で分割され、分割されたシールハウジング単体同士が円周方向締結手段により分解可能かつ液密に互いに締結されてアウターケーシングに収容されているとともに、前記シールハウジングの外周面と前記アウターケーシングの内周面との間に前記環状の密封流体通路内の密封流体を導いて、その密封流体圧を前記シールハウジングの外周面に背圧として負荷させる背圧負荷手段が設けられていることを特徴とする二次軸封装置。 - 前記シールリングが円周方向で分断した分断面を接着してリング状に形成してなる請求項1に記載の二次軸封装置。
- 前記シールハウジングが軸方向で分割され、分割されたシールハウジング単体同士が軸方向締結手段により分解可能かつ液密に互いに締結されている請求項1または請求項2のいずれかに記載の二次軸封装置。
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