JP4006068B2 - 情報処理装置および情報処理方法およびコンピュータが読み出し可能なプログラムを格納した記憶媒体 - Google Patents

情報処理装置および情報処理方法およびコンピュータが読み出し可能なプログラムを格納した記憶媒体

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の出力制御情報を変換して出力情報を生成し、該生成した出力情報を外部装置に送信する情報処理装置および情報処理方法およびコンピュータが読み出し可能なプログラムを格納した記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりホスト・コンピュータからの印刷情報を受けて動作する印刷装置を含む情報処理システムに関するものであり、特にプリンタ言語(PDL(Printer Description Language))やプリンタ制御コマンドなどと呼ばれるプリンタ制御機能を持つ印刷装置および、その印刷装置のためにホスト・コンピュータ側で用意されるプリンタ・ドライバ、またはプリンタ・スプーラやプリントプロセッサなどと呼ばれるソフトウェアを含む印刷システムが種々提案されている。
【0003】
そして、従来の印刷システムにおいては、プリンタ・ドライバにおける処理は、それぞれの基本ソフトウェアであるオペレーティングシステム(Windows (米国Microsoft 社の登録商標)やUNIXなどで、以下OSと記す)やアプリケーションソフトウェアに依存する部分が多く、基本的にはシステムからの印刷情報を、目的とする印刷装置のPDLにコード変換することのみに注力している。
【0004】
例えば、キヤノン株式会社製のLBP−A404Fという印刷装置(レーザビームプリンタ)に対応したプリンタ・ドライバ(Windows3.1用)では、印刷装置側に装着された拡張メモリのサイズをユーザがプリンタ・ドライバのメニュー(GUI=Graphic User Interface)から設定することで、出力モードを標準モード(300dpiの解像度で処理)か高精細モード(600dpiの解像度で処理)のいずれかに切り替えることを可能とするようなプリンタドライバがあった。
【0005】
しかしながら、実際の切り替え作業はユーザの判断に委ねられおり、プリンタ・ドライバ自身が最適な設定を自動的に行ったり、印刷装置に装着されているメモリ量を印刷装置自身に問い合わせて、その情報を取得し、その取得結果に応じて印刷装置側の負荷を考慮した最適なPDLコードを送出するような印刷データ加工処理は行っていなかった。
【0006】
また、目的とする印刷装置のPDLに変換する際に、一旦変換し終ったものを再度見直し、得られる描画結果は同じで、印刷装置に送るコード量をより小さくしたり、より高速に印刷が完了するようなPDLコードに再度変換し直すような処理は行っていなかった。
【0007】
さらに、Windows NTやWindows 95(いずれも米国Microsoft 社の登録商標)には、プリンタ・スプーラやプリントプロセッサと呼ばれるプロセスが存在する。このプロセスでは、プリンタ・ドライバまたはシステム(GDI)が作成した印刷情報データを記憶手段に貯め込んだり、貯め込まれた印刷情報データをプリンタに送出したりする処理を専門に行う部分である。
【0008】
従来は、プリンタ・ドライバが作成したPDLコード列は、このプリンタ・スプーラやプリントプロセッサで情報が加工されることなく、そのままプリンタに送出されていた。また、ある印刷物を1ページから順序通りに印刷するか、後ろのページから印刷するかを指定できる場合があるが、このような場合は、基本的にはプリンタ・ドライバのレベルで印刷順序を制御する。
【0009】
しかし、逆順印刷が指定された場合でも、プリンタ・ドライバは通常印刷と同様に1ページから印刷データを作り、すべてのページの印刷データを一旦プリンタ・スプーラに貯め込み、プリントプロセッサがプリンタにデータを送出する際にページ単位でデータの送出順序を制御するような印刷データ処理もある。
【0010】
ただし、この場合は、ページ単位で異なるデータの送出順序の変更に過ぎず、プリンタ・ドライバが作成したPDLコード自体を加工したり変換したりするものではなかった。
【0011】
また、プリンタ・ドライバで行うPDLコードへの変換作業は、システムから渡される1対1で対応するような形で、規則的に変換作業が行われれる場合が多く、システムから渡されるデータをバッファリングして、その内容に応じて処理を切り替えたりすることはなかった。これにはプリンタ・ドライバというプロセスがファイルシステムを利用することを許していないといったシステム側の制限事項が起因している場合もあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の印刷システムにおいては、次のような問題があった。
【0013】
プリンタに送出されるプリンタ制御コードは、アプリケーションソフトがどのような描画手順を行っているかや、どのような描画処理を行っているかにより大きく異なり、結果的に単純な描画命令の繰り返し処理といった冗長なコード列を多く含んだり、印刷結果を得るまでのパフォーマンスを極端に低下させる場合があった。
【0014】
例えば、図11(a)で示すように、ある描画(この場合は矩形描画)を行うのに、非常に細かい単位でオブジェクトを分割する場合があるが、本来なら、これは図11(b)のように一つにまとめることが可能である。図11に記載したコード列は、キヤノン株式会社製のページ記述言語であるLIPSというPDLで記述されたものである。図11(a)は、プリンタ・ドライバが意図的に3つに細分化した矩形を描画しようとしているのではなく、アプリケーションソフトの印刷処理や描画プロセスの段階で細分化されているものである。
【0015】
また、プリンタ・ドライバ側の処理で、これら細分化されたものをまとめるためには、システム側から渡される印刷情報をある程度先読みする必要があり、プリンタ・ドライバという処理の中でそれを実現することはかなり難しく、場合によってはシステム側の制限などによって不可能なケースもある。
【0016】
プリンタ・ドライバは、一般的には基本ソフト(OS)側から渡されるシステム内で統一的な描画命令やページ制御命令を個々の印刷装置が持つPDLなどのプリンタ制御命令に変換する役割を担っている。また、基本ソフト(OS)側から渡されるシステム内で統一的な描画命令やページ制御命令は、基本ソフト上で動作する応用ソフト(アプリケーションソフト、例えばワープロや表計算のソフト)によって作成される。したがって、冗長なプリンタ制御命令が発生する場合、その多くは、応用ソフト側の描画処理または印刷処理に起因していることになる。
【0017】
しかしながら、アプリケーションソフト側からすれば、特定の印刷装置に的を絞って描画処理や印刷処理を特化することは技術的な要因以外でも様々な問題を抱えることになり難しいのが現状である。さらに、このようなアプリケーションソフトを開発するソフトメーカ側の対応も決して前向きではない場合も多く、出力結果に間違いがなければ良しとしてしまい、印刷結果を得るまでの処理時間や画質面での品位などといった質的な面での向上は後手後手になる傾向もある。
【0018】
一方、プリンタ・ドライバ側でも同様な問題を持ち、特定のアプリケーションに特化した処理を追加しても、アプリケーションソフトのバージョンアップが頻繁に行われるため、それが一時しのぎで終ってしまうという点が危惧される。
【0019】
また、システムによっては、プリンタ・ドライバ側で、どのアプリケーションソフトからデータを受けているかを特定できない場合や、その逆のケースで現在どの印刷装置が接続されているかを特定できない場合もあり、問題解決が困難となっている。
【0020】
さらに、ネットワーク環境における、プリンタサーバでは、複数のユーザが複数のホスト・コンピュータから、1台の印刷装置を共有するため、プリンタ・ドライバが存在する個々のホスト側で問題を解決するより、サーバ側で問題解決できる手段が望まれている。
【0021】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、本発明に係る第1の発明〜第30の発明の目的は、アプリケーションプログラム等からの出力制御情報を出力情報に変換した後、さらに外部装置のデータ処理負担を軽減できるように再変換して送信することにより、プリンタドライバから引き渡される印刷データをさらに印刷装置の出力環境状態に適応するように該印刷データを再加工して印刷装置に転送処理することにより、アプリケーションプログラム等から生成される出力制御情報から外部装置が解析可能な最適な出力情報を生成して送信することができる情報処理装置および情報処理方法およびコンピュータが読み出し可能なプログラムを格納した記憶媒体を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る情報処理装置は、
受け取った情報と印刷設定をもとに印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを生成するプリンタドライバと、
前記プリンタドライバにより生成された印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドに含まれる細分化されたイメージデータを一括化処理するプリントプロセッサと、
前記プリントプロセッサにより一括化処理されたイメージデータを印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを印刷装置に送出する送出手段とを有し、
前記一括化処理は、まとめられた細分化されたイメージデータの凹凸をNULLデータで埋め全体として細分化されたイメージデータを矩形のイメージデータにする処理を含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の情報処理方法は、
プリンタドライバが、受け取った情報と印刷設定をもとに印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを生成するステップと、
プリントプロセッサが、前記プリンタドライバにより生成された印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドに含まれる細分化されたイメージデータを一括化処理するステップと、
送出手段が、前記プリントプロセッサにより一括化処理されたイメージデータを含む印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを印刷装置に送出するステップとを有し、
前記一括化処理は、まとめられた細分化されたイメージデータの凹凸をNULLデータで埋め細分化されたイメージデータを全体として矩形のイメージデータにする処理を含むことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の記憶媒体は、
プリンタドライバが、受け取った情報と印刷設定をもとに印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを生成し、前記プリンタドライバにより生成された印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを印刷装置に送出するコンピュータで実行されるプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記プログラムは、前記プリンタドライバにより生成された印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドに含まれる細分化されたイメージデータを一括化処理するステップをコンピュータに実行させ、前記一括化処理は、まとめられた細分化されたイメージデータの凹凸をNULLデータで埋め細分化されたイメージデータを全体として矩形のイメージデータにする処理を含むことを特徴とする。
【0051】
【発明の実施の形態】
本実施形態の構成を説明する前に、本実施形態を適用する印刷システムの印刷を担うレーザビームプリンタ(以下、「LBP」と記述)の構成について図1を参照しながら説明する。
【0052】
図1は、本発明に係る情報処理装置と通信可能な印刷装置の構成を示す概略断面図であり、LBPの場合に対応する。
【0053】
図において、100はLBP本体であり、外部に接続されているホスト・コンピュータなどから供給されるプリントデータ(文字コード等)及び制御コードからなる印刷情報やマクロ命令等を入力して記憶するとともに、それらの情報に従って対応する文字パターンやフォームパターン等を作成し、記憶媒体である記録紙上に像を形成する。
【0054】
120は操作のためのスイッチおよびLED表示器等が配されているオペレーション・パネル、110はLBP本体100の制御およびホスト・コンピュータから供給される文字情報等を解析し印刷処理を行うフォーマッタ制御部である。このフォーマッタ制御部110において展開された印刷情報は、対応するパターンビデオ信号に変換されレーザドライバ131に出力される。レーザドライバ131は半導体レーザ141を駆動するための回路であり、入力されたビデオ信号に応じて半導体レーザ141から発射されるレーザ光142をオン・オフ切り替えする。レーザ光142は回転多面鏡143で左右方向に振らされて静電ドラム144上を走査露光する。これにより、静電ドラム144上には文字パターンの静電潜像が形成されることになる。この潜像は、静電ドラム144周囲に配設された現像ユニット145により現像された後、記録紙に転写される。
【0055】
この記録紙にはカットシートを用い、カットシート記録紙はLBP100に装着した給紙カセット146に収納され、給紙ローラ147及び搬送ローラ148と搬送ローラ149により、装置内に取り込まれて、静電ドラム144に供給され、記録紙に転写され、画像を形成する。また、LBP本体100には、図示しないカードスロットを少なくとも1個以上備え、内蔵フォントに加えてオプションフォントカード,言語体系(コマンド体系)の異なる制御カード(エミュレーションカード)を接続できるように構成されている。
【0056】
図2は、本発明の第1実施形態を示す情報処理装置を適用可能な印刷システムの構成を示すブロック図である。
【0057】
図2において、200はホスト・コンピュータであり、プリントデータ及び制御コードからなる印刷情報を印刷装置100に出力するものである。なお、本発明の機能が実行されるのであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであっても、LAN等のネットワークを介して処理が行われるシステムであっても本発明を適用できることはいうまでもない。
【0058】
印刷装置100は、機能的に大きく分けてフォーマッタ制御部110,オペレーションパネル部(オペレーション・パネル)120,出力制御部130,プリンタエンジン部140より構成されている。
【0059】
フォーマッタ制御部110は、ホスト・コンピュータ200との通信手段であるところのインタフェース(I/F)部111と、受信データ等を一時的に保持管理するための受信バッファ1121、受信データ等を一時的に保持管理するための送信バッファ1122、印刷制御処理を実行するにあたり、各種データを格納する記憶手段であるところのファイルシステム113、印刷データの解析を司るコマンド解析部114,印刷制御処理実行部115,描画処理実行部116,ページメモリ117等より構成されている。
【0060】
インタフェース(I/F)部111は、ホスト・コンピュータ200との印刷データの送受信および本発明を適用可能な印刷装置のカレント状態通知手段も兼ねる通信手段として機能する。このインタフェース部111を通して受信した印刷データは、そのデータを一時的に保持する記憶手段である受信バッファ1121に逐次蓄積され、必要に応じてコマンド解析部114によって読み出され処理される。
【0061】
コマンド解析部114は、各印刷制御コマンド体系(ページ記述言語)に準じた制御プログラム1141により構成されており、このコマンド解析部114で解析されたコマンドは、文字印字,図形,イメージ描画に関する印刷データの解析結果を描画処理実行部116においてより処理しやすい統一的な形式の中間コードの形に変換する。また、給紙選択やフォーム登録などの描画以外のコマンドは、印刷制御処理実行部115において処理される。
【0062】
描画処理実行部116では、この中間コードによって各描画コマンドを実行し、文字や図形,イメージの各オブジェクトをページメモリ117に逐次展開していく。なお、一般的に、フォーマッタ制御部110は、中央演算処理装置(CPU),リードオンリーメモリ(ROM),ランダムアクセスメモリ(RAM)などを用いたコンピュータ・システムによって構成されている。
【0063】
また、各部の処理は、マルチタスクモニタ(リアルタイムOS)のもとで、タイムシェアリングに処理される構成であってもよいし、各機能ごとに専用のコントローラ・ハードウェアを用意して独立して処理される構成であってもかまわない。
【0064】
オペレーション・パネル120は、印刷装置の各種状態を設定・表示するためのものである。
【0065】
出力制御部130は、ページメモリ117の内容をビデオ信号に変換処理し、プリンタエンジン部140へ画像転送を行う。プリンタエンジン部140は受け取ったビデオ信号を記録紙に永久可視画像形成するための印刷機構部であり、図1において前述したものである。給紙カセット146は着脱可能な用紙格納装置である。
【0066】
以上、印刷装置100について説明したが、次にホスト・コンピュータ200の構成について説明を加える。
【0067】
ホスト・コンピュータ200は、入力デバイスであるところのキーボード210やポインティングデバイスであるところのマウス211と、表示デバイスであるディスプレイ・モニタ220を合わせた一つのコンピュータシステムとして構成されている。ホスト・コンピュータ200は、MS−DOS,Windows 95などの基本OSのもとで動作しているものとする。
【0068】
本発明の印刷に関する部分にのみ注目し、基本OS上での機能を大きく分類すると、アプリケーション・ソフト(アプリケーション)201、基本OSの機能の一部であるGraphic Device Interface(以後、GDIと記す)202,プリンタ・ドライバ203、プリンタ・ドライバの生成したデータを一時的に格納処理するプリンタ・スプーラ204と分けて考えることができる。なお、本実施形態では、Windows 95やWindows NTに含まれるプリントプロセッサというソフトウェアの機能は、プリンタ・スプーラ204に包含されているものとする。
【0069】
なお、一般的に、これらのホスト・コンピュータ200は、中央演算処理装置(CPU),リードオンリーメモリ(ROM),ランダムアクセスメモリ(RAM)などのハードウェアのもとで、基本ソフトと呼ばれるソフトウェアがその制御を司り、その基本ソフトの下で、応用ソフトが動作するようになっている。プリンタ・ドライバ203やプリンタ・スプーラ204なども、この応用ソフトの一つと位置付けられるものである。
【0070】
アプリケーション・ソフト201は、例えば、ワープロや表計算のソフトウェアなどを指すものである。例えば、一般的なワープロソフトを例に取り説明する。
【0071】
アプリケーション・ソフト201では、図3に示すような画面構成を備え、テキストの編集作業を中心に行い、その文書を印刷する時には、マウス211などによって印刷メニューを選択して印刷を実行する。
【0072】
次に、アプリケーション・ソフト201は、基本OSの一部の機能である。GDI202をコールする。このGDI202は、ディスプレイ・モニタ220に対する画面表示や印刷出力などの表示デバイスや印刷デバイスを司る基本関数群であり、各種各様のアプリケーションソフトウェアは、この基本関数群を利用することで、機種(ハードウェア)に依存する部分を意識することなく、アプリケーションウェアを動作させることが可能である。
【0073】
次にGDI202では、それぞれの印刷装置の機種に依存する情報を管理するプリンタ・ドライバ203から印刷デバイスの持つ描画能力や印刷解像度などの情報を取り込み、アプリケーション・ソフト201からコールされたGDI関数を解析し、その情報を現在選択されているプリンタ・ドライバ203に渡す。
【0074】
プリンタ・ドライバ203は、GDI202より受け取った情報と、それ自身が持つグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)によって設定された印刷環境設定をもとに、対応する印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンド列およびデータ列を生成するものである。
【0075】
このように生成されたコマンド列およびデータ列は、一旦、プリンタ・スプーラ204と呼ばれるデータ格納手段によって蓄えられる。このプリンタ・スプーラ204は、アプリケーションソフトの印刷処理の解放を早める働きがある。つまり、直接、印刷装置に印刷データを送出すると、印刷装置の受信バッファ1121がいっぱいになったり、何らかの理由(例えば紙づまり(ジャム)等)によって通信手段がオフライン状態になると、ホストから印刷データが送れない状態になり、アプリケーションの印刷処理が中断してしまうが、一時的にデータを格納する手段があれば、まずその格納手段に対して印刷データをすべて吐き出してしまえば、アプリケーションソフトは印刷処理から解放されることになる。
【0076】
このようにして生成されたコマンド列およびデータ列は、一旦、プリンタ・スプーラ204と呼ばれるデータ格納手段によって蓄えた後、ホスト・コンピュータ200の通信手段であるところのI/F部230を通して、印刷装置100へ送出される。また、I/F部230は、印刷装置からの印刷情報を受信する機能も備え持つものでもある。
【0077】
以上、図2に基づいて本発明を構成する各要素について説明をしたが、次に、まず本発明の全体的な動作についてより具体的な実施形態を例に取り簡単に概要を説明する。
【0078】
〔本発明の実施形態の概要〕
プリンタ・ドライバより、スキャンラインごとに送られてくるイメージを、本発明によって一括化し、かつ、プリンタ側の用紙送り方向を見て適応的に回転処理をホスト側で行う。
【0079】
本来、ページプリンタでは、イメージデータは、ホスト・コンピュータ200からある程度まとまったデータ量の固まりとして送出するのが望ましいが、アプリケーション201によっては、そのような固まりとして送出してこないで、非常に細分化したイメージデータを送出するものがある。ここでいう細分化とは、ある矩形のイメージを1スキャンラインずつのデータに分けて取り扱うようなことをいう。このような細分化されたイメージデータを処理する際に、ホスト側で一括化ができれば、プリンタ側のイメージ描画処理にかかる負荷は軽減できる。さらに、ホスト側で作成したイメージデータの向きと、プリンタ側の用紙送り方向とが90度または270度違う場合は、通常プリンタ側において、回転処理が入るため、印刷結果を得るまでの時間が遅くなるという問題もあった。
【0080】
本発明では、このような問題を解決するために、細分化されたイメージデータをバッファリング処理で一旦貯め込み、さらに、プリンタ側の用紙送り方向によって回転処理が必要かどうかを適応的に判断し、回転処理が必要な場合はホスト側でその処理をした上で、プリンタにデータを送出するように処理するものである。
【0081】
また、バッファリング時にバッファリング後のイメージがその後の回転処理を考慮した矩形になるように補正することも特徴とする。
【0082】
図4は、図2に示したホスト・コンピュータ200側での印刷情報処理の流れおよびイメージデータの構造の概念を示す図であり、図1と同一のものには同一の符号を付してある。なお、以下では、本実施形態における本発明の処理を行うソフトウェアを“適応型プリントプロセッサ”と呼ぶことにする。
【0083】
図4の(a)において、206は適応型プリントプロセッサで、細分化されたイメージデータをバッファリング処理で一旦プリンタ・スプーラ204に貯め込み、さらに、プリンタ側の用紙送り方向によって回転処理が必要かどうかを適応的に判断し、回転処理が必要な場合はホスト側でその処理をした上で、プリンタ100にデータを送出するように処理するものである。
【0084】
図4の(b),(c)は、イメージデータの構造を示し、図4の(b)は従来系のデータ構造に対応し、イメージデータIMD1に印刷形態の指示に基づき回転が必要な場合でも、一定の展開手順に従って展開されたイメージデータIMD1をプリンタ100に転送する場合に対応し、該イメージデータIMD1はプリンタ100の回転資源により印刷形態に従って展開処理された後、プリンタエンジンから出力されることとなる。
【0085】
一方、図4の(c)は従来系のデータ構造に対応し、イメージデータIMD2に印刷形態の指示に基づき回転が必要な場合は、所定の加工処理手順に従って展開されて一括化されたイメージデータIMD2(図中の斜線部にはホスト・コンピュータ200側でNULLデータが付加される)をプリンタ100に転送する場合に対応し、該イメージデータIMD2は回転処理した後、あるいはプリンタ100に転送された後、プリンタ100の回転資源により印刷形態に従って展開処理された後、プリンタエンジンから出力されることとなる。なお、イメージデータIMD2は一括化されているため、従来のスキャン単位での回転処理に比べて格段に処理負担を軽減できる。
【0097】
これにより、プリンタ側に、現在のプリンタ側の状態(空きRAM容量やエンジンスピード,ファームウェアのバージョン,用紙送り方向等)をホスト側に通知するカレント状態通知手段、ホスト側に、前記プリンタ側のカレント状態を読出すプリンタカレント状態読み出し手段、プリンタ・ドライバ203から送出された印刷情報データを印刷装置に送出する前に一旦貯め込む記憶手段、その記憶手段から印刷情報データを読み出し、前記プリンタ側の状態読み出し手段によって得られた情報に応じて印刷情報データを加工するデータ加工手段、加工された印刷情報データを印刷装置100に送出する送出手段を持たせ、プリンタ・ドライバ203が作成したプリントデータ及び制御コードからなる印刷情報から、冗長な部分を取り除き、データを送出すべき印刷装置100にとって最適な印刷情報となるようにデータ加工を行うよう作用させることで、あるいは従来、データサイズが無用に大きかった印刷情報や、非効率的な繰り返し処理が含まれる印刷情報などによって、印刷結果を得るまでの時間的な問題やファイル化して保存しておく際のデータサイズの問題等を解決し、ホスト側とプリンタ側の双方を合わせた印刷システムとしてマクロ的な視野に立って、印刷処理の効率改善といった効果が得られる。
【0098】
言い替えれば、本発明は、プリンタ・ドライバ203が生成した冗長なPDLコードを含む生のPDLデータから、冗長な部分を取り除くフィルタであるが、単なるフィルタではなく、プリンタ100の状態(空きRAM容量やエンジンスピード,ファームウェアのバージョン,用紙送り方向等)に応じて、適応的に最適化したPDLコード列を生成するものである。
【0099】
また、本発明は、プリンティングシステムとしてトータルな環境でのスループット向上を目的とするためのものであり、例えば細分化されているイメージデータを一括化することにより、プリンタ側の処理を軽減したり、データ転送経路での無駄を少なくしパフォーマンスの向上をはかったり、プリンタ・ドライバ側のバグを吸収したり、プリンタ側のファームウェアのバージョンによって、そのバージョンが持つ固有のバグを吸収したりとさまざまな応用が考えられる。
【0100】
さらに、本発明は、基本的にはホスト・コンピュータ側で処理されるため、ホスト・コンピュータ側のハードウェア性能(処理能力)に応じて印刷結果を得るまでのトータルなスループットを飛躍的に向上することが可能なため、今後益々性能が向上することが明白なパーソナルコンピュータやネットワーク環境において、本発明の効果もそれらに比例して増大していくと期待できる。
【0101】
以下、図5,図6および図7を参照しながら本発明に係る情報処理装置の第1のデータ処理動作に付いて説明する。
【0102】
図5は、本発明に係る情報処理装置の第1のデータ処理手順の一例を示すフローチャートであり、「プリンタ・ドライバより、スキャンラインごとに送られてくるイメージを本発明によって一括化し、かつプリンタ側の用紙送り方向を見て適応的に回転処理をホスト側で行う」という実施形態における処理手順に対応する。なお、(1)〜(14)は各ステップを示す。
【0103】
また、本フローチャートでは、アプリケーションソフト(アプリケーション201)の印刷メニューより印刷が実行され、プリンタ・ドライバ203の処理が起動した時点からのものとする。
【0104】
まず、ステップ(1)において、プリンタ・ドライバ203の処理が完了したかどうかを判定する。この場合、プリンタ・ドライバ203の処理は、アプリケーション201からの一回の印刷操作に対して生成される“印刷ジョブ”と呼ばれる一連のデータブロック単位で行うものとする。
【0105】
また、プリンタ・ドライバ203は、生成したPDLコード列をプリント・スプーラ204と呼ばれる一時的な記憶手段に一旦格納する。このプリント・スプーラ204には、アプリケーションソフトの印刷処理とプリンタへの出力処理を切り離して別々に実行できるようにする効果があり、結果的にアプリケーションの印刷処理からの解放を速める働きがある。
【0106】
ステップ(2)では、これら一連の処理の完了を待った後、本発明の処理を行うソフトウェアである“適応型プリントプロセッサ206”を起動し、そのソフトウェアによって、プリント・スプーラ204からのデータを読み出す。
【0107】
ステップ(3)では、このプリント・スプーラ204のデータをすべて読み終えたかどうかをチェックする。すべて読み終えていたと判定した場合は処理を終了するが、そうでない場合はステップ(4)に進み、データの解析処理を行う。
【0108】
ステップ(4)では、プリンタ・ドライバ203が生成したPDLコード列より、「ラスタ・イメージ描画命令」という一連のコマンド及びデータ列を検索する。読み出したデータがこのコマンドでないと判定した場合は、ステップ(5)に進む。
【0109】
一方、「ラスタ・イメージ描画命令」だったと判定した場合は、ステップ(8)に進み、継続フラグのチェックを行う。本実施形態において、継続フラグとは、後述するバッファリング処理を継続的に行うかどうかを判別するための内部的なフラグである。この継続フラグがONの状態ならステップ(10)に進み、描画位置の計算を行う。
【0110】
バッファリングを行う際は、この描画位置を見て、一つ前のイメージ描画と、続くイメージ描画が連続的に描画されているかどうかを調べる。一つ前のイメージ描画の(Y方向の最大値+スキャンライン)が、続くイメージ描画の開始位置になっているかどうかを調べる。また、X方向については、バッファリング後のイメージが矩形になるように補正する必要があるため、この時点ではX方向の位置関係は無視するものとする。
【0111】
以上のことにより、ステップ(10)にて実際に行うチェックは、次の描画位置のY座標が入っている「NXT_Y」という変数と、現在処理中のラスタ・イメージ描画命令の描画開始位置のY座標を示す「CUR_Y」という変数を比較することで、描画データの連続性チェックを行う。このチェックにおいて、不連続が検出された時点で、バッファリング処理は打ち切り、それまで貯め込んだものを出力処理する(11)。このステップ(11)の出力処理の内容については、別に図6として図示したフローチャートを用いて後述する。再びステップ(8)以降の説明に戻る。
【0112】
一方、ステップ(8)において継続フラグがOFFであったと判定した場合は、ステップ(9)に進み継続フラグをONにセットし、ステップ(12)に進む。ステップ(12)では、現在処理している「ラスタ・イメージ描画命令」というPDL形式のデータを、後に行う矩形化処理のために都合が良いように、後述する図7に示すような内部的な中間データ(詳細は図8にて後述する)に変換する。
【0113】
ステップ(13)では、ステップ(12)で得られた中間データを図7に示すように一次バッファリングする。ここで、一次的に貯め込まれたデータは、後で再び読み出されて処理されることになる。
【0114】
ステップ(14)では、次に描画すべきイメージの描画位置のY座標が入っているNXT_Yという変数を更新する。この処理は、現在処理中のラスタ・イメージ描画命令の描画開始位置のY座標を示すCUR_Yという変数に、そのイメージデータの高さ(スキャンライン数)を加算することによって行われる。
【0115】
さて次に、ステップ(4)におけるコマンド解析処理において、ラスタ・イメージ描画命令以外のコマンドであった場合について述べる。
【0116】
まず、ステップ(5)において、継続フラグのチェックを行い、継続フラグがONであると判定した場合は、バッファリングされていたイメージデータが別の印刷命令によってターミネイトされたと解釈し、ここで一旦、後述する出力処理を実行する(6)。その後は、ステップ(7)で継続フラグをOFFにしておく。
【0117】
一方、ステップ(5)において、継続フラグがOFFであったと判定した場合は、バッファリング処理は行われていなかったと解釈し、ステップ(6),(7)の処理をスキップする。
【0118】
以上説明したステップ(4)からステップ(14)の一連の処理が完了すると、再びステップ(2)に戻り、次のデータを処理する。
【0119】
次に、図5に示したフローチャートのステップ(6)およびステップ(11)における出力処理について、さらに詳細に説明を行う。
【0120】
図6は、図5に示した出力処理ルーチンの詳細手順の一例を示すフローチャートである。なお、(1)〜(6)は各ステップを示す。
【0121】
図7は、図4に示した適応型プリントプロセッサ206によるデータ処理の流れを説明する図である。
【0122】
先ず、ステップ(1)において、一次バッファリングのデータがあるかどうかを調べる。データがないと判定した場合は、本処理は終了する。
【0123】
一方、ステップ(1)でデータがあったと判定した場合、ステップ(2)に進み、矩形化処理を行う。
【0124】
なお、本実施形態において、矩形化処理とは、図7に示すように細分化されたイメージデータにおいて、左右方向の凹凸をNULLデータ(=0ゼロ)で埋め、全体として矩形のイメージデータとすることである。このように矩形化することで、PDLのラスタイメージ描画命令が複数発行されていたものが、一つの命令にまとめられるため、重複する冗長なコマンドパラメータ(例えば解像度やX座標の指定など)が大幅に削減できる他、プリンタ側のコマンド解析に要する負荷やイメージ描画処理の負荷も軽減される。
【0125】
さらに、回転処理が伴う場合は、図7に示すように凹凸のあるものや、1スキャンラインごとに送られるイメージデータより、矩形のイメージデータを処理する場合の方が効率がよい。これは、回転処理が64×64または128×128の正方形単位で専用の回転処理ハードウェアを使った処理が可能なためで、数ラインのデータを逐次回転処理するよりは、パフォーマンスの向上にもつながる。
【0126】
実際の矩形化処理は、前述の図5に示したフローチャートの説明のステップ(12),(13)で作られた中間データを一次バッファから逐次読み出しで次のような処理を行う。
【0127】
まず、一度すべての中間データを走査し、各イメージデータの幅の最大値(Wmax)と、最左端のX座標(Xmin)を検索する。次にもう一度同じ中間データを初めから走査しながら、そのX座標と先に得られたXminとを比較し、差分を実データ(イメージデータの実体)の前にNULLデータとして埋める。さらに、データ全体の幅がWmaxと等しくなるように実データの後ろにNULLデータを補間する。このようなNULLデータの補間処理をすべての中間データに対して逐次行うことで矩形化を実現する。
【0128】
さて、再び図6に示すフローチャートの説明に戻る。
【0129】
矩形化処理が完了した後、ステップ(3)において、本発明におけるプリンタ側の現在の状態(空きRAM容量や用紙送り方向など)をホスト側に通知するカレント状態通知手段から、現在の用紙送り方向が縦送りか横送りかを問い合わせる。
【0130】
このカレント状態通知手段は、印刷装置100の印刷制御処理実行部115に一つのプログラム(ソフトウェア)として存在し、印刷装置100の各種状態をモニタし、その結果をある形式のデータ列に変換し、送信バッファ1122に送る。送信バッファ1122に送られたデータ列は、インタフェース部111を介してホスト側にカレント状態の通知を行う。
【0131】
この印刷装置100からの情報をホスト・コンピュータ200側で取得する。この際、ホスト・コンピュータ200と印刷装置100の通信は双方向通信手段を介して、情報の問い合わせ、それに応じてカレント情報の返送という形で行われる。
【0132】
このステップ(3)では、印刷装置100側に装着されている給紙カセットが横送り給紙か縦送り給紙かの情報を前記方法によって問い合わせる。
【0133】
ここで、用紙送り方向とは、例えば同じA4用紙であっても、長手方向を横方向に給紙する場合と縦方向に給紙する場合がある。横送りが可能な印刷装置では、縦送りに比べ用紙搬送時間が短いためスループットが出るというメリットがある。
【0134】
一方、電子写真の転写、定着のプロセスにおいて、A4用紙の長さ分の幅の感光ドラムが必要であり、縦送りの場合にくらべコストがかさむというデメリットもある。さらに、拡大・縮小などを行う場合に用紙が縦送りでないと行えない場合などもある。
【0135】
以上のような理由により、用紙送り方向は縦送り,横送りの2種類が存在する。一般的にPDLでは、この用紙送り方向には依存しない形で、ページ記述を行うが、実際の描画処理では、この用紙送り方向に依存し、処理が大きく異なる。
【0136】
つまり、ホスト側から送られるイメージデータの向きと印刷装置内での描画処理が90度または270度ずれる場合があり、この回転処理は通常、印刷装置内部で処理されているが、この回転処理が入る場合はスループットの低下が懸念される。
【0137】
本発明はこのような問題も解決するものであり、印刷装置100から得られた用紙送り情報をステップ(4)において判別し、用紙送りが横送りであった場合には、ステップ(5)においてホスト側で、事前に回転処理を行うように作用する。
【0138】
一方、ステップ(4)において用紙送り方向が縦送りであったと判定した場合は、プリンタ・ドライバ203側で作成したイメージデータの向きがそのまま活かせるので、回転処理は行わずステップ(6)へ進む。
【0139】
ステップ(5)における回転処理は、矩形化されたイメージデータの実体を128ピクセル×128ピクセルの正方形を基本単位として読み出し、用紙送り方向に適応するように回転処理を行う。このようにして、用紙送り方向を見て、プリンタ側での回転処理が不要な最適なイメージデータが完成したら、ステップ(6)で、そのデータを印刷装置側に送出し、すべての処理を完了することになる。
【0140】
以上説明したように本実施形態では、プリンタ側の現在の状態(空きRAM容量や用紙送り方向など)をホスト側に通知するカレント状態通知手段、ホスト側に、前記カレント状態を読み出す手段、プリンタ・ドライバ203から送出された印刷データを一時的に貯め込む記憶手段、その記憶手段から印刷データを読み出し、前記カレント状態に応じて印刷データを加工する手段、加工された印刷データを印刷装置100に送出する送出手段によって構成され、前記データ加工手段において、プリンタ側の負荷となる冗長部を取り除き、最適な印刷データに加工することを特徴とするものである。
【0141】
図8は、図2に示した印刷装置100の中間データの形式の一例を示す図である。
【0142】
本実施形態では、X座標(相対),データサイズ,イメージデータ等より構成されている。
【0143】
以下に、本実施形態におけるホスト・コンピュータ200のメモリ資源としてのハードディスクHDの内容を図9に基づいて説明する。
【0144】
図9は、図2に示したハードディスクHDのメモリマップを示す図である。
【0145】
図9において、ディレクトリ情報はそれぞれのプログラムを格納している物理的な位置情報を格納しているところであり、基本ソフトはアプリケーションの実行を管理したり、周辺装置とホスト・コンピュータ200とのデータのやり取りを仲介するところである。プリンタ・ドライバ203はフロッピーディスクなどの記憶媒体によってホスト側のハードディスクに供給される。本発明であるところの適応型プリントプロセッサ206やプリント・スプーラ204も同様な形態で供給するものである。その他に、このハードディスクには、実際にユーザが利用し作業を行うための応用ソフトなどが複数納められている。
【0167】
〔その他の実施形態〕
本実施形態は、細分化されているイメージデータを一括化し、プリンタの用紙搬送方向に適応し必要であれば回転処理をも行い、印刷データが持つ潜在的なプリンタ側の負荷を事前に軽減しパフォーマンス向上をはかるというものについて説明を行ったが、本発明は図11で示したように、イメージ以外の描画オブジェクト(図11では矩形描画)をはじめ、すべてのPDLコードに対して適応することも可能である。
【0168】
また、本実施形態では、プリンタ・ドライバの印刷ジョブの処理が終ったタイミングで本発明の処理(適応型プリントプロセッサ)を起動するようにしたが、プリンタ・ドライバの処理と並列に本発明の処理を実行することも可能である。このような並列処理は、基本ソフトであるOSの機能に依存する。例えば、Windows 95では、完全なマルチタスク処理が可能である。
【0169】
さらに、本実施形態では、印刷装置のカレント状態を検知するタイミングとして、印刷ジョブ単位で行ったが、これをページ単位でカレント状態を見るように変更することで、自動給紙状態でA4横用紙がなくなり、A4縦用紙が選択された場合でも、動的に対応可能とするように処理することも可能である。
【0170】
以下、図10に示すメモリマップを参照して本発明に係る情報処理装置を適用可能な印刷システムで読み出し可能なデータ処理プログラムの構成について説明する。
【0171】
図10は、本発明に係る情報処理装置を適用可能な印刷システムで読み出し可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【0172】
なお、特に図示しないが、記憶媒体に記憶されるプログラム群を管理する情報、例えばバージョン情報,作成者等も記憶され、かつ、プログラム読み出し側のOS等に依存する情報、例えばプログラムを識別表示するアイコン等も記憶される場合もある。
【0173】
さらに、各種プログラムに従属するデータも上記ディレクトリに管理されている。また、各種プログラムをコンピュータにインストールするためのプログラムや、インストールするプログラムが圧縮されている場合に、解凍するプログラム等も記憶される場合もある。
【0174】
本実施形態における図5,図6に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータにより遂行されていてもよい。そして、その場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
【0175】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0176】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0177】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピーディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,EEPROM等を用いることができる。
【0178】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0179】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0180】
上記各実施形態によれば、プリンタドライバと印刷装置の間のホストコンピュータ側に介在し、印刷装置側の出力環境状態に適応して、プリンタドライバが生成した印刷データが持つ潜在的な負荷を事前に軽減するため、印刷システムとして印刷にかかるトータルな時間を考えた場合、ユーザがホストコンピュータ等で印刷開始指示を与えてから印刷結果を得るまでの時間が大幅に速くなるという印刷処理パフォーマンスが格段に向上する。
【0181】
具体的には、冗長な印刷データの削除,印刷データのコンパクト化による印刷速度の向上,登録用メモリの節約が達成される。また、イメージデータのバッファリング処理による一括化により、回転処理の高速化が図られ、印刷処理速度が向上する。
【0182】
更に、アプリケーションソフトの描画手順に依存して、結果的に単純な描画命令の繰り返し処理といった冗長なコード列を減らすことができ、繰り返し処理の効率化を図ることができる。
【0183】
上記のような効率化は、単にデータ転送量を少なくするばかりか、内部処理の負担軽減に貢献でき、情報処理装置側のCPUの処理能力が高い程、トータルなスループットを大幅に向上できる。
【0184】
さらに、再加工手段は、プリンタドライバと印刷装置の間のホストコンピュータ側に介在するため、従来の印刷システムにはいっさい手を加えることなく利用することが可能となる。
【0185】
また、本発明の処理は、PDLコードを受けてPDLコードを吐き出す単なるフィルタプログラムとしても存在可能なため、ホストコンピュータ側の環境への機種依存性が極めて低く、様々な環境で動作可能となる。
【0186】
また、特に、ネットワーク環境においては、プリントサーバとなるコンピュータに、フィルタプログラムという形式で組み込むことにより、複数のユーザからの印刷要求を、さらに効率よく処理することができる。
【0207】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アプリケーションプログラム等から生成される出力制御情報から外部装置が解析可能な最適な出力情報を生成して送信することができる等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る情報処理装置と通信可能な印刷装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示す情報処理装置を適用可能な印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したアプリケーションに基づく編集画面の一例を示す図である。
【図4】図2に示したホスト・コンピュータ側での印刷情報処理の流れおよびイメージデータの構造の概念を示す図である。
【図5】本発明に係る情報処理装置の第1のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】図5に示した出力処理ルーチンの詳細手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】図4に示した適応型プリントプロセッサによるデータ処理の流れを説明する図である。
【図8】図2に示した印刷装置の中間データの形式の一例を示す図である。
【図9】図2に示したハードディスクHDのメモリマップを示す図である。
【図10】本発明に係る情報処理装置を適用可能な印刷システムで読み出し可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【図11】この種の印刷システムにおける矩形描画に対する描画オブジェクト例を示す図である。
【符号の説明】
201 アプリケーション
202 GDI
203 プリンタ・ドライバ
204 プリンタ・スプーラ
206 適応型プリントプロセッサ

Claims (6)

  1. 受け取った情報と印刷設定をもとに印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを生成するプリンタドライバと、
    前記プリンタドライバにより生成された印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドに含まれる細分化されたイメージデータを一括化処理するプリントプロセッサと、
    前記プリントプロセッサにより一括化処理されたイメージデータを印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを印刷装置に送出する送出手段とを有し、
    前記一括化処理は、まとめられた細分化されたイメージデータの凹凸をNULLデータで埋め細分化されたイメージデータを全体として矩形のイメージデータにする処理を含むことを特徴とする情報処理装置。
  2. 前記プリントプロセッサは、一括化処理されたイメージデータを印刷装置の用紙送り方向に適用するように回転処理することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
  3. プリンタドライバが、受け取った情報と印刷設定をもとに印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを生成するステップと、
    プリントプロセッサが、前記プリンタドライバにより生成された印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドに含まれる細分化されたイメージデータを一括化処理するステップと、
    送出手段が、前記プリントプロセッサにより一括化処理されたイメージデータを含む印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを印刷装置に送出するステップとを有し、
    前記一括化処理は、まとめられた細分化されたイメージデータの凹凸をNULLデータで埋め細分化されたイメージデータを全体として矩形のイメージデータにする処理を含むことを特徴とする情報処理方法。
  4. 前記プリントプロセッサは、一括化処理されたイメージデータを印刷装置の用紙送り方向に適用するように回転処理することを特徴とする請求項記載の情報処理方法。
  5. プリンタドライバが、受け取った情報と印刷設定をもとに印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを生成し、前記プリンタドライバにより生成された印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドを印刷装置に送出するコンピュータで実行されるプログラムを記憶した記憶媒体であって、
    前記プログラムは、前記プリンタドライバにより生成された印刷装置のコマンド体系に準拠したコマンドに含まれる細分化されたイメージデータを一括化処理するステップをコンピュータに実行させ、前記一括化処理は、まとめられた細分化されたイメージデータの凹凸をNULLデータで埋め細分化されたイメージデータを全体として矩形のイメージデータにする処理を含むことを特徴とするコンピュータが読み出し可能な記憶媒体。
  6. 前記一括化処理されたイメージデータを印刷装置の用紙送り方向に適用するように回転処理することを特徴とする請求項記載のコンピュータが読み出し可能な記憶媒体。
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