JP4005545B2 - 磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタ - Google Patents

磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタ Download PDF

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Description

本発明は、磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタおよびそれを応用しためっきやエッチング等に関し、特に微細な液体通路であるのに壁による粘性抵抗が少なく、混合効果が大きいため反応効率が良いマイクロリアクタに関し、さらにそれを応用することにより、微細で複雑な形状の場所へのめっきや、微細で複雑なパターンのエッチング等を可能にしたものである。
近年、ミクロンリッター(μL)程度の極少量の試料で反応を行わせるマイクロリアクタと呼ばれる反応装置が注目されている。これらは、生化学反応のように貴重な試料で、反応条件を多数変更して最適化条件を探る必要がある場合に有利である。また、微量な試料でテストするということは、試料量に対して表面積が圧倒的に大きいことより、一定温度条件で反応が進むという利点もある。さらに、ラジカル反応のように反応の安全性に疑問があり、微量な試料でテストせざるをえない場合もある。これらの要請より、ファインケミカルズにおける今後の未来型反応装置として、マイクロリアクタが近年非常に重要視されるようになってきた(例えば、有機合成化学協会誌、vol57,p805、1999、特開平10−337173号、特許公表2001−524019号、特開2002−18271号)。
しかし、これらの従来のマイクロリアクタは、数ミクロンメータから数ミリメータといった微細な溝による液体通路に反応液を通過させて反応を行わせるタイプであり、反応液量に比較して表面積が大きいため、液体が通路壁との摩擦による粘性抵抗が大きく、溝内の微細な液体通路を安定して通過させることが困難であった。また、液が粘性液体である場合は、異種の反応液相互が層流で流れ、お互いに混合撹拌されないため、反応効率が悪いという問題点もあった。また、従来のマイクロリアクタにおいては、微細な溝中で反応させるため、反応によって生成したガスや水等は、除去されないため、連続して安定した反応の妨げになっていた。また、従来の溝加工のマイクロリアクタでは、反応で析出した固体や、元々の液体に含まれていた成分が溶解度の差で析出した場合は、微細な液体通路が詰まるなど、正常な流れの妨げとなっていた。さらに、従来のマイクロリアクタでは、流体の流れの制御を電磁バルブや通路壁に設置した電極による静電気力を用いて行う場合が多いが、液体の摩擦等で発生した静電気によるトラブルも多かった。
また、複雑な形状の場所への微細なめっきは、従来は、被めっき物の微細で複雑な形状を残し、他の部分をレジスト処理や撥水加工するなどの処置が取られていた。しかし、微細なパターンにこれらの処理や加工をするには、コストがかかるばかりでなく、複雑な形状で、しかも狭い場所では、事実上、それらの処理が困難な場合があった。
近年、エレクトロニクス分野における集積化進展には著しいものがあり、LSI内部の配線、LSIを組み合わせたパッケージ間の配線、さらにLSIやパッケージ間の配線を行うプリント基板において、それぞれの技術的要求に応じた微細配線技術の追求が行われている。最近のパッケージや基盤におけるこれらの配線技術は、主としてフォトリソグラフィーの組み合わせによっており、その中で、プリント配線基盤における微細配線技術として、従来のエッチングによる線幅の限界に挑戦すべく、フォトレジストによって形成したパターン上に施した無電解めっき層をガイドにして、その上に電気めっきによる積層を行うアディティブめっき法による回路形成技術の開発が行われている。
これらのLSI等における従来のめっき手段では、ますます配線の繊細化や、微細配線化における配線断面積を確保するための積層への要求が大きく、また、高アスペクト比をもつめっきが強く求められるようになってきている。また、上記従来のフォトリソグラフィー応用のめっき手段では、図11で詳述するように、オーバーエッチングやアンダーエッチングのような不規則な形状をもつ削り代が出てしまう問題点がある。さらにエッチングを使用しないアディティブめっき法では、これも図12で説明するように、配線を従来よりさらに繊細化することは可能であるが、積層にあたって、バリ等の不規則析出面が配線側面に生じ易いという問題が生じている(若林等、表面技術、vol52,p492、2000)。
一方、めっき・コーティングを含む表面処理業界をとり囲む環境規制の枠は年々狭まり、一層の改善努力が求められるようになってきている。特に廃液処理に関連して、使用薬剤には基本的に有害と認定された品目の使用が禁止される方向での規制が行われようとしている。このような状況から、工程に循環型の新しいプロセスの導入が強く求められてきている。
さらに、微細で複雑な形状の溝加工においては、ワイヤーカット放電加工機や、レーザや電子ビームを利用する方法があるが、ワイヤーカットは2次元形状における加工が主であり、3次元の複雑な形状をしている被加工物に対しては、加工不可能な場合がある。また、レーザや電子ビームを利用する方式は、レーザやビームを当てることができないような3次元の複雑な形状をしている部分へは、加工できない場合があった。
特開平10−337173号公報(第1−3頁、第1図)。 特許公表2001−524019号公報(第1−5頁、第5図)。 特開2002−18271号(第1−3頁、第1、2図)。 岡本秀穂、「マイクロリアクタは有機合成に役立つか」、有機合成化学協会誌、vol57,p805、1999。 若林信一、堀内道夫、栗原孝、「3次元実装技術と微細配線めっき技術の応用」、表面技術、vol52,p492、2001。
本発明は、上記従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、マイクロリアクタの微細な液体通路であるのに、壁による粘性抵抗が少ないようにすることにある。また、他の目的は、マイクロリアクタの液体通路で混合効率を大きくし、反応効率を良くすることにある。また他の目的は、従来の溝加工のマイクロリアクタでは不可能であった環境流体を反応系に持ち込み、環境流体により磁気効率を高め、更に微細な液体通路を流れる反応液と環境流体との間で物質移動を可能にし、また環境流体による温度制御や圧力制御等の反応条件の制御等を可能にすることで、マイクロリアクタの反応の適用範囲を大きく拡張することにある。また他の目的は、密閉空間ではないマイクロリアクタとすることで、反応生成ガスなどの除去を可能にすることにある。また他の目的は、反応などの操作系で析出した固体や、元々の液体に含まれていた成分が溶解度の差で析出した固体が存在する場合でも、流れに支障がないマイクロリアクタとすることにある。また他の目的は、マイクロリアクタの液体通路を並行流や分岐のある通路とすることを簡便に行えるようにし、複雑な反応や分析を可能とすることにある。また他の目的は、流体の流れの制御を電磁バルブや通路に設置した電極による静電気力で行う場合であっても、液体の摩擦等で発生した静電気によるトラブルの少ないマイクロリアクタとすることにある。また他の目的は、従来のマイクロリアクタが溝加工法であるため、反応液の漏れない密閉空間を精度の高い微細な機械加工で仕上げる必要があり、コストの面ばかりでなく装置をコンパクトにするための曲線の多い微細な液体通路に加工することは、最新の技術をもってしても実現困難である。本発明は、装置製作が容易で、しかもどんなに曲がりくねった微細な液体通路を有するマイクロリアクタを簡便に提供することにある。また他の目的は、マイクロリアクタの液体通路に置かれた固体物質にめっきを施し、従来のLSI等の回路形成に利用されていたサブトラクト法やアディティブ法などのめっき法より、より繊細な回路配線が形成でき、さらにめっき液の循環使用も可能にすることにある。さらに他の目的は、エッチング等の加工をも可能にし、3次元の複雑な形状をしている部分へも、微細な加工を施すことにあり,さらにそれらを応用して、新たなマイクロリアクタを製造することを可能にすることにある。
本発明は、液体の導入部、微小な液体通路、液体排出部を含み、その液体通路が帯状強磁性体による磁気障壁により形成されており、導入部より導入された磁性を有する液体を、その液体通路において化学反応、混合、抽出、吸収の内の少なくとも1種の操作を行わせるように構成されていることを特徴とするマイクロリアクタに関する。さらに本発明は、前記帯状強磁性体が外部磁場により印加されるかまたは自発的に磁力の維持がなされていることを特徴とするマイクロリアクタに関する。さらに本発明は、前記の磁気障壁により形成された液体通路の外部が環境流体で満たされていることを特徴とするマイクロリアクタに関する。さらに本発明は、前記の環境流体が、磁気障壁により形成された液体通路を流れる液体と反応、抽出、吸収の内の少なくとも1種の操作を行なわせるように構成されていることを特徴とするマイクロリアクタに関する。さらに本発明は、前記の液体排出部が末広がりに拡大または複数に分岐していることを特徴とするマイクロリアクタに関する。さらに本発明は、前記の微細な液体通路が複数並列して設置されており、それらの複数の通路間の液体で操作が行われるように構成されていることを特徴とするマイクロリアクタに関する。さらに本発明は、前記の微細な液体通路が分岐しており、この分岐枝から液体を導入または排出されるように構成されていることを特徴とするマイクロリアクタに関する。さらに本発明は、磁気障壁により形成された液体通路の外部が固体に接しており、液体通路を流れるめっき液でその固体に対して液体通路に沿ったパターンをめっきすることを特徴とするめっきされた物の製造方法に関する。さらに本発明は、前記磁気障壁によって形成された液体通路に無電解めっき液を流すことで、前記固体に無電解めっきを施し、さらに、その液体通路に電気めっき液を流すことにより、無電解めっきによって生じた無電解めっき層の上に電気めっきを施すことを特徴とするめっきされた物の製造方法に関する。さらに本発明は、前記の無電解めっきおよび電気めっきにおいて、めっき液の流れる場所の外側が環境液体で満たされていることを特徴とするめっきされた物の製造方法に関する。さらに本発明は、磁気障壁により形成された液体通路の外部が固体に接しており、液体通路を流れる液体の浸食作用や電解作用により、固体に対して液体通路に沿ったパターンをエッチングすることを特徴とするエッチングされた物の製造方法に関する。さらに本発明は、前記のめっき方法により帯状の強磁性体材料を形成させることを特徴とする、磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタの製造方法に関する。さらに本発明は、前記の帯状の強磁性体材料を、磁性材料を含む素材を基板に帯状に印刷することにより形成させることを特徴とする、磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタの製造方法に関する。
本発明は、従来のマイクロリアクタをさらに進歩発展させ、従来のマイクロリアクタの問題点を解決した、全く新しいタイプのマイクロリアクタに関する。マイクロリアクタとは、微小反応装置を意味し、数ミクロンメートルから数ミリメートルオーダの通路に反応液を流して、連続的に反応させる装置である。本発明のマイクロリアクタにおいては、この微細な液体通路へ反応等を行わせる液体を導く液体の導入部と、反応した液体を排出する液体排出部とが含まれる。反応等を行わせる液の導入部は、反応液が複数の液体からなる場合は、複数の導入部を有することが望ましいが、導入部が1個でも、微細な液体通路が高温であるとか特殊な反応条件(例えば、下記に説明する環境流体との相互作用など)で反応させる場合がある。なお、従来のマイクロリアクタでは、液体の導入部は、微細な液体通路を通る液体の摩擦抵抗にうち勝つために、圧力や電圧等の力を加える必要があるが、本発明では、通路を通る液体の摩擦柢抗が殆どないので、これらの圧力等も不要で、簡単なゲートのみでよく、導入部も非常に簡単な構造であることも特徴の一つである。
本発明の液体の流れは、上述のように圧力や、落差による自然対流で行うこともできるが、シリンジポンプ等によるポンプにより送り込まれることが好ましい場合もある。この場合、導入部だけにポンプがあり、排出部からはオーバフローさせてもよく、その場合は、次に述べる排出部に関する種々の発明が有効になる。また、排出部のみにポンプを置くことも出来、この場合は、導入部からは排出ポンプで排出された量だけが導入されるようになる。さらに、導入部と排出部の両方にポンプを設置することもでき、それぞれのポンプの能力のバランスや配管抵抗などを考慮して運転することとなる。
本発明においては、液体通路での摩擦抵抗が非常に少ないので、反応等が行われた液の排出部は、排出部での排出に抵抗が生じたり、流れが滞ることのないように、特に工夫を要する。その一つは、排出部での磁気障壁を無くすことであり、次の対策は、図面で詳述するように、複数の排出部を設けたり、幅の広い排出部を設けることなど排出に抵抗が少ないように配慮されていることが望ましい。
本発明の微細な液体通路は、帯状強磁性体による磁気障壁により形成されていることを特徴とする。「帯状」とは、一定の幅と、幅より大きい寸法の長さを有する連続体を意味し、線状、リボン状を含む。強磁性体とは、磁場内で磁化されやすい物質をいい、本発明では、好ましくは10T/m以上、さらに好ましくは40T/m以上であって、100T/m以上の磁力を有するように磁化されていることが最も望ましい。ここで磁力とは、磁束密度(B)と磁束密度勾配(dB/dx)の積により定まる量をいい、xは長さ(m)を示す。磁気障壁とは、強磁性体やそれと組み合わせて使用される場合のある反磁性体や常磁性体の作用による磁気作用で、磁性を有する液体の流れを妨げる一定の磁気の壁をいう。帯状強磁性体による磁気障壁の種々の態様については、図で詳述する。本発明における「磁気障壁により形成された液体通路」は、磁気障壁により磁性を有する液体が障壁のない方向へ流れを生ずる通路を形成することをいい、その形態は、必ずしも一様ではなく、形状(線状、面状)、大きさ、太さ、材質、方向(基板に対して、「平面上向き」ばかりでなく、「平面下向き」、「平面横向き」など)など、種々の形態をとることができる。
本発明の磁気障壁により形成されている液体通路は、1本の帯状を意味するばかりでなく、複数の帯状が並列して並び、並列している液間で抽出、吸収、反応等の操作を行わせることもできる。また、帯状の液体通路が複数に枝分かれし、それぞれの枝から反応液や検査液を供給し、多段階の反応や検査を行うこともでき、また枝分かれから一部の液を排出させ、その操作段階での対象液の検査や分析等を行うこともできる。従来の溝加工によるマイクロリアクタでは、並列や枝分かれなどの複雑な溝加工は、微細な加工であるだけに困難をともなうが、本発明の磁気障壁により形成された液体通路では、帯状の強磁性体を並列や枝分かれに配置するだけで、簡便に製作できる。
本発明の帯状の強磁性体は、通常、基板に設置され、基板もマイクロリアクタの一部となる。基板は、プラスチックや金属、無機材料等の板やフィルムからなる。基板に帯状の強磁性体を設置し、さらにその上をフッ素樹脂やシリコン樹脂およびアクリル樹脂等の不活性なフィルムで覆う構造とし、このフイルム上を磁気障壁により形成された液体通路とすることもできる。また、基板は特に設けず、強磁性体の板に帯状のエッチングを施し、帯状の磁気障壁を設けることもできる。
本発明の微細な液体通路が、外部磁場により印加されていることで、帯状強磁性体が作り出す磁気障壁で形成されていることは、強力な磁場が形成される点において好ましい。外部磁場とは、微細な液体通路の外部に設けた磁力発生装置により生じた磁場であり、本発明における外部磁場の磁束密度は、好ましくは0.01T(Tはテスラ)以上、0.1T以上であることがさらに好ましく、0.5T以上であることが最も好ましい。0.01Tに達しない場合は、本発明における粘性抵抗や撹拌効果等の効果が少ないからである。本発明の液体の微細な液体通路は、帯状の強磁性体により形成される。外部磁場は、このように帯状の強磁性体による磁気障壁の高さを定めるばかりでなく、反応等を行う液体の通路を通る速度や液体の混合の程度をコントロールし、反応等の制御機能も有することができる。外部磁場の形成は、永久磁石、常伝導磁石、超伝導磁石等により可能である。また、磁場の向きは上下方向、水平方向、斜め方向、さらに曲線状など複雑方向も可能である。また、必ずしも均一である必要はなく、不均一な磁場や時間変動磁場を用いることができる。強磁性体を磁場中に置くことにより、外部磁場に不均一性を与えたり、磁場を強めたりすることができる。
本発明のマイクロリアクタでは、反応液が微細な液体通路を通過する過程で、化学反応、混合、抽出、吸収等の操作により、物質の化学状態の変化や物質移動が行われる。これらの操作による化学状態の変化や物質移動を行わせることが、本発明のマイクロリアクタの目的だからである。操作とは、化学工学における単位操作を意味し、反応、混合、抽出、吸収を意味する。本発明における化学反応は、通常のファインケミカルや生化学的な反応に特に適し、また、従来のマイクロリアクタにはない、本発明における独特の効果として、磁場効果を利用した化学反応制御がある。また、従来の化学反応や抽出、吸収などにおいて、液体の粘度が高いなどの理由で、相互の液の混合が悪いために反応等の進み方が悪い場合は、本発明のマイクロリアクタでは、混合効果が良いので、反応等の進行がスムースとなる。
本発明において、微細な液体通路に導入される反応等を行う対象液は、磁性を有することを要件とする。帯状の強磁性体の磁性との相互作用により、一定の通路を形成することができるからである。対象液の磁性は、強磁性ばかりでなく、反磁性、常磁性であってもよく、磁気障壁の種々のタイプにより使い分けて使用される。対象液の磁性は、溶媒など対象液そのものの有する磁性もあり、また、対象液に磁性材料を加えて特定の磁性をもたすこともできる。液体は通常磁性を有するが、液体の成分により相互に打ち消して、殆ど磁性がない場合があり、本発明の磁気障壁により形成された通路の効果が殆どない場合がある。したがって、本発明では、微細な液体通路を通る液体の体積磁化率は、好ましくは±1×10−6以上、さらに好ましくは±5×10−6以上であって、±1×10−5以上が最も好ましい。なお、±としたのは、+は常磁性体、−(マイナス)は反磁性体を意味する。なお、「以上」としたのは、絶対値が以上であることを意味する。また、対象液の外部に環境流体がある場合の対象液の磁化率は、環境流体の磁化率を考慮した相対的磁化率で定められ、相対的磁化率が上記の環境流体の存在しない場合の体積磁化率の範囲であることが望ましい。液体に磁性を与える材料としては、金属塩、相互溶解可能な液状物質や気体など溶解するもの以外にも、気体や液体や固体の粒子など、通路を通過可能な物質全てに適用できる。これらの材料は、強磁性体、常磁性体、反磁性体、その他すべての磁性を有するものを必要に応じて用いることができる。なお、相対的磁化率は、特開2000−221251号による磁化率測定法を用いることができる。
なお、本発明における微細な液体通路に導入される液体(対象液)には、数%(重量パーセント)以下の気体や、固体(含有量は制限されない)が分散されて含まれていてもよく、いわゆる臨界状態にある液体や気体が渾然一体となっている場合も、本発明の対象液に含まれる。臨界状態で最も反応条件が適合する場合があるからである。また、気体や固体は、反応等の操作で必要な場合があり、特に固体は、従来の溝加工によるマイクロリアクタでは、流れに支障を来す場合が多く、積極的には利用しづらかったが、本発明による磁気障壁により形成された液体通路では、ほとんど支障になることがないので、有利に利用できる。
本発明のマイクロリアクタにおいては、液体通路の外部に環境流体で満たされているようにすることが出来ること特徴とする。液体通路はマイクロリアクタの基板の上に形成されるが、「液体通路の外部」とは、液体通路の基板に接していない部分をいう。従来の溝加工によって形成されたマイクロリアクタにおいては、このような環境流体を設けることはできないか、できても溝の上部の限られた空間のみである。本発明では、外部が密閉されている必要がないので、環境流体を設けることができ、しかも図5に示すように、基板には狭い領域しか接しておらず、表面積の殆どが環境流体に接するようにすることができる。環境流体には、環境液体(または環境液)と環境気体、および気体と液体の混合流体がある。環境気体は、通常空気が利用されるが、微細な液体通路を流れる対象液と積極的に反応させたい場合は、反応性気体が選ばれる。また、対象液が空気中の酸素と反応するのを嫌う場合は、窒素などの不活性の気体が選ばれる。
環境流体が液体の場合、通路を流れる液体の磁性と環境液の磁化率の差による磁性の相互作用で、本発明の磁気障壁により形成された液体通路の磁性効果を高める作用がある。また、対象液と環境液体との反応や物質移動を行うこともでき、本発明のマイクロリアクタの行う反応、混合、抽出、吸収等の操作を、さらに幅広く行うことを可能にした。また環境液体は、通路内での反応等を一定温度で行わせる、温度制御機能も有する。
本発明のマイクロリアクタを応用して、マイクロリアクタの微細な液体通路の外部に固体を設置し、液体通路を流れるめっき液でその固体に対して液体通路に沿っためっきを施すことができる。ここで、固体は、金属、プラスチック、無機材料、また木材等の天然素材も使用される。めっきとは、金属やプラスチック等の固体の表面に、溶液に溶解した金属イオンを還元して付着させることをいい、溶液が電解液で電気化学的に固体上に析出させる電気めっきと、金属相互の化学的な置換や還元反応等によって、固体表面に金属被膜を析出させる無電解めっきがあり、本発明では、そのどちらの手段も用いることができる。めっき液とは、その目的とする金属が溶解されている溶液をいう。めっきに使用される金属としては、金、銀、銅、錫、コバルト、アルミニュウム等の種々の金属が使用できる。また、フェライト等の金属酸化物などの磁性を有する物体をめっきすることにより、磁性をもった微細なパターンを作製することができる。
本発明のめっき技術を応用して、さらに本発明のマイクロリアクタの基板の帯状の強磁性体材料を形成させることができる。すなわち、めっきされる固体に本発明のマイクロリアクタの基板(加工用基板)と同じもの(被加工用基板)を使用し、加工用基板の微細な液体通路にフェライト等の金属酸化物やコバルトなどの磁性材料の塩を含む電解液を流すことにより、被加工用基板に帯状のパターンに磁性を有するめっきを施すことができ、そのめっきされた被加工用基板は、新しい本発明のマイクロリアクタの液体の微細な液体通路とすることができる。
本発明におけるめっき手段として、上述の磁気障壁を利用しためっき法をさらに発展させて、磁気障壁によって形成された液体通路に無電解めっき液を流すことで、固体に無電解めっきを施し、さらに、その液体通路に電気めっき液を流すことにより、無電解めっきによって生じた無電解めっき層の上に電気めっきを施すことをことができる(磁気障壁マスクによるアディティブめっき法)。本発明の磁気マスクによるアディティブ法においては、従来のアディティブめっき法の利点を活かした上で、従来のフォトレジストによって作り出される感光性樹脂マスクの替わりに、磁気的な障壁によってめっき液が通過する液体通路を確保すると同時に、磁気障壁部分は液体が通過しないマスクの役目を果たし(以下、磁気マスクという)、この磁気マスクを用いて無電解めっきと電気めっきを行わせることで、回路形成を行わせるものである。従来の感光性樹脂によるマスクは、感光性樹脂を貼り付ける工程、一定のパターンに露光する工程、それに感光性樹脂の溶剤を作用させて露光された部分の樹脂を溶出または露光されていない部分を溶出するなど、複雑な工程が必要になり、工程が複雑でコストアップになっていたばかりでなく、めっき液に感光性樹脂が溶出しているので、めっき液の再利用を妨げ、廃液処理を困難にしていたのに対して、本発明では、このような感光性樹脂マスクは使用しないので、これらの問題が全て解決した。
本発明の磁気障壁を利用したアディティブめっき法において、無電解めっきおよび電気めっきの両プロセスで、めっき液の流れる場所の外側が環境液体で満たされていることを特徴する。環境液については、これまで述べてきた磁気障壁を利用した操作における種々の機能や効果も、この磁気障壁を利用したアディティブめっき法においても有効に利用しうるが、特にめっきにおいては、めっき液が有毒であったり、環境汚染につながるものである場合が多いので、その役割は特に重要で、めっき液の飛散を防止し、生成ガスを吸収し、また電気めっきにおいては、めっき基盤と対極を直接接触する必要がないなどの作業性の面からも、特に有効な役割を果たす。
さらに、本発明のマイクロリアクタを応用して、マイクロリアクタの微細な液体通路の外部に固体を設置し、液体通路を流れる浸蝕液でその固体に対して液体通路に沿ったエッチングを施すことができる。この場合の固体も、めっきの場合と同様、金属、プラスチック、無機材料、また木材等の天然素材も使用される。ここで、浸蝕液とは、その加工される固体に作用し、溶解、腐食、酸化、還元等で固体を削り取る作用を有する液体をいう。例えば、被加工用固体がプラスチックである場合は、そのプラスチックを溶解する溶剤を使用し、また、その被加工用固体が金属の場合は、その金属を電解腐食させる電解液が使用される。この電解腐食には、通電による電解エッチングも含まれる。このような本発明のエッチングにより、微細な溝加工や、溝加工を主体としたパターン加工を可能とすることができた。
さらに、本発明の磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタの微細な液体通路を形成するに当たり、本発明のマイクロリアクタ(基板製作用マイクロリアクタ)の基板の上に、製作しようとするマイクロリアクタの基板(被製作用基板)を若干隙間を開けて設置し、基板製作用マイクロリアクタに磁性を有するめっき液を流すことで、被製作用基板に帯状の強磁性体材料を形成させ、磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタの微細な液体通路の製造を可能にした。
本発明の帯状の強磁性体材料を、磁性材料を含む素材を印刷することにより形成させることができる。印刷は、顔料に替えて、磁性材料の微粉末を基板に帯状に印刷するもので、転写等の通常の印刷手段ばかりでなく、スクリーン印刷、インクジェット法なども用いることもできる。本発明の「帯状に」印刷されることにより、簡便に本発明のマイクロリアクタの微細な液体通路を形成する磁気障壁を作成することができる。
従来の溝加工によるマイクロリアクタは、液体通路を微細にすればするほど、流れる液体の容量に対して表面積が大きくなり、微細な液体通路を流れる液体の粘性抵抗が大きくなる欠点を有していたが、本発明の磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタにより粘性抵抗を桁違いに低下させ、殆ど無視しうる程度まで下げることができた。そのことにより、マイクロリアクタ中の液体の流れがスムースになり、マイクロリアクタの機能を大幅にアップさせることができた。さらに、従来の溝加工によるマイクロリアクタは、微細な液体通路を流れる液体は、基本的には層流で、撹拌効果を有しないのに対して、本発明の磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタでは、通路内で極めて低い粘性抵抗であることにより、容易に撹拌効果が生じ、マイクロリアクタ中の対象液の反応効率を大幅にアップすることができた。
また、従来の溝加工のマイクロリアクタでは不可能であった環境液を、本発明では反応系に持ち込み、環境液により磁気効率を高め、更に微細な液体通路を流れる対象液と環境液との間で物質移動を可能とすることで、マイクロリアクタの反応の適用範囲を大きく拡張することができた。
さらに、従来の溝加工のマイクロリアクタでは、液体は固体壁の中を流れるので、対象液の化学反応により生ずる生成ガスを除去することができないが、本発明は固体壁に囲まれていないので、生成ガスが飛散し易い。また、環境液に囲まれている場合は、環境液が発生ガスを吸収し易い種類にすることで、生成ガスを吸収除去することもできた。また、反応などの操作系で析出した固体や、元々の液体に含まれていた成分が溶解度の差で析出した固体が存在する場合でも、本発明では、流れに支障がないマイクロリアクタとすることができた。
さらに、従来の溝加工のマイクロリアクタは、精密な機械加工で微細な溝加工を行う必要があるが、通路が微細になればなるほど加工は困難で、対象液の漏れない微細な液体通路の密閉空間を精度高く仕上げることは、コストの面ばかりでなく、事実上困難であった。また、マイクロリアクタをコンパクトにして長い反応通路を確保するためにする曲線の多い微細液体通路の加工は、最新の技術をもってしても実現困難であった。本発明では、基盤上に帯状磁性体を設置するだけであるので、製作が容易で、しかもどんなに曲がりくねった液体通路も簡便に提供することができた。さらに、分岐や平行流の液体通路にも、簡便に適応することができた。
さらに、微細で複雑な形状の場所へのめっきは、従来は、被めっき物の微細で複雑な形状を残し、他の部分をレジスト加工や撥水加工などの処置が取られていたが、微細なパターンを残して撥水処理等をするにはコストがかかるばかりでなく、狭い場所でしかも複雑な形状であるなどで、事実上、撥水処理等が困難な場合があった。本発明では、基板上のめっきしたい形状に帯状の磁性体を設置し、そこに本発明の磁気障壁により形成された液体通路を利用しためっき液を流すことでめっきを施し、基板に微細で複雑な形状のめっきを可能にした。
本発明の磁気障壁を利用したアディティブめっき法では、従来のエッチングを利用するサブトラクト法のような、オーバーエッチング部やアンダーエッチング部のような不規則な形状をもつ削り代が出てしまうことがなく、また従来のエッチングを含まないアディティブ法を用いる回路形成の手段のように積層にあたってバリ等の不規則な析出面が配線側面に生じることがないので、LSI等の配線を従来技術より、より繊細にすることができた。また、本発明では、めっき環境において環境液を利用できるので、電気めっきにおける対極を基盤と離して設置できるので、めっき作業が簡易かつ容易になった。また本発明のめっき法では、磁気障壁で形成された細い液体通路のみをめっき液が流れるので、めっき液が少量でよく、また、後述感光性樹脂が混入することもないので粘度が低く、常に扱いやすい液体として取り扱える。さらに本発明のめっき法では、磁気障壁がマスクの役目をするので、従来法のマスクである感光性樹脂を使用せず、感光性樹脂を塗布したり露光させて除去する工程が省略できることにより、工程が大幅に簡略化されたばかりでなく、めっき廃液に感光性樹脂が溶け込んでいないので、めっき液を循環使用でき、コスト的にも安くなり、環境面からも廃液処理を無くするという画期的な効果も生じた。
さらに、微細で複雑な形状の溝加工においては、ワイヤーカット放電加工機や、レーザや電子ビームを利用する方法があるが、ワイヤーカットは、2次元形状における加工が主であり、3次元の複雑な形状をしている被加工物に対しては、加工不可能な場合があった。また、レーザや電子ビームを利用する方式は、レーザやビームを当てることができないような3次元の複雑な形状をしている部分へは、加工できない場合があった。本発明では基板上の削り取り加工した形状に帯状の磁性体を設置し、そこに基板を削り取ることが可能な液体を流すことで、基板に対して微細で複雑な形状の溝加工やエッチング等の加工を可能にした。このように製作した溝加工製品を利用して、従来型のマイクロリアクタの微細な液体通路を製作することもできた。
さらに、本発明の磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタの微細な液体通路を形成するに当たり、本発明のマイクロリアクタ(基板製作用マイクロリアクタ)の基板の上に、製作しようとするマイクロリアクタの基板(被製作用基板)を若干隙間を開けて設置し、基板製作用マイクロリアクタに磁性を帯びさせることが可能なめっき液を流すことで、被製作用基板に帯状の強磁性体材料を形成させることにより、磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタの微細な液体通路の製造を可能にした。
本発明の実施の形態の例を図で説明する。
図1は、本発明のマイクロリアクタ1の構成の例を示す。対象液導入口2a、2bを通じて導入された対象液は、対象液導入通路3a、3bを通過した後、混合反応部4で混合・反応などの操作が行われるように構成されている。操作された対象液は、その後検査部5において、この例ではレーザ6から発された光を受け、そこから反射してきた光を検出器7で受け、反射光のスペクトルを検査することで、操作状態を知ることができるように構成されている。検査された対象液は、排出部8より排出される。これらの対象液導入部2、対象液導入通路3、混合反応部4、検査部5、排出部8は、基板9上にあってマイクロリアクタ1を構成する。本発明のマイクロリアクタにおいては、少なくともこの混合反応部4が、後述する磁気障壁を有する液体通路からなるように構成されている。この図では図示していないが、帯状強磁性体が基板9上に設置されているか、または基板9の内部に埋め込まれており、その帯状強磁性体に沿って磁気障壁が形成され、その磁気障壁によって形成された液体通路により、対象液導入通路3、混合反応部4が構成されている。
図2は、本発明のマイクロリアクタの1例として、試作マイクロリアクタ11の実際の写真を図2Aで示し、その構成のモデルを図2Bに示す。対象液導入口2a、2bを通じて導入された対象液は、内部の混合反応部12を通じて、二股の排出部13a、13bより排出される。混合反応部12は、内部の比較的広い通路(幅6mm、長さ10mm)2つが、狭い通路(幅1mm、長さ3mm)でつながっている構造であり、これらの通路は磁気障壁を有する通路から構成されている。図2Bの装置を利用した混合実験の例は、図6で説明する。
図3は、本発明の排出部の種々の形態の例を示す。排出部が二股の例については、図2で既に示した。図3Aは、試作マイクロリアクタ14の実モデル図で、排出部15において下に曲げられており、対象液の重力の作用で排出を楽にした例である。図3Bは試作マイクロリアクタ16の実物写真で、排出部17において末広がりに拡大しており、さらに下側に曲げられている効果の両方を有することにより、対象液の排出を楽にした例である。本発明では、このように排出部として種々の工夫が必要であるが、それは磁気障壁による液体通路では、排出部でも磁気障壁が生じ、それを克服する必要があるからである。図3Cは、その液体通路端末に生じる磁気障壁をモデル的に説明したもので、帯状強磁性体の端末部18で端末部における磁気障壁19が生じ、端末部における対象液20が、その障壁を乗り越える必要があることを示した。図3Dは、帯状強磁性体の端末部18を曲線に加工して傾斜をつけることで、端末部の対象液20が溜まらずに流れることを示す。
図4は、本発明により液体通路が形成される磁気障壁の原理を2例、模式的に示す。図4Aは、外部磁場21が磁束密度Bで矢印方向(帯状強磁性体22に対して直角方向)に働いていることによって帯状強磁性体22が磁化されており、帯状強磁性体22と対象液23(常磁性を有する)の磁性との相互作用で、磁気障壁24a、24bができ、対象液23に駆動力Fが矢印の方向に働く例を示した。磁気障壁24は、目で見える固体ではないが、対象液23に対して障壁となり、対象液23はFの方向へ流れる通路を形成する。図4Bは、外部磁場25が磁束密度Bで矢印方向(帯状強磁性体26a、26bに対して平行方向)に働いていることによって帯状強磁性体26a、26bが磁化されており、帯状強磁性体26と対象液27(反磁性を有する)の磁性との相互作用で、磁気障壁28a、28bができ、対象液27に駆動力Fが矢印の方向に働く例を示した。磁気障壁28は対象液27に対して障壁となり、対象液27はFの方向へ流れる通路を形成する。二つの帯状強磁性体26a、26bの間に挟まれたスペースには、帯状反磁性体29を設けることが望ましいが、積極的には磁性を有しないプラスチック等の単なる基板であってもよい。図2A、図2Bにおいては、外部磁場21、25を設けたが、帯状強磁性体22、26が充分な磁力(帯状強磁性体の磁力40T/m以上)を有すれば、外部磁場は必要としない場合もある。
図5は、図4Aにおける原理図を例に、磁気障壁中を流れている対象液23の状態を示した。図5Aは、対象液23の周囲が環境流体31で満たされている状態を示す。基板32上の帯状強磁性体22(または、帯状強磁性体の上にフィルム層がある場合は、そのフィルム)には、狭い領域しか接しておらず、表面積の殆どが環境流体31に接している。対象液23と帯状強磁性体22との位置関係は、対象液23は帯状強磁性体22の下部を通路としてもよいし(図5B)、帯状強磁性体22のサイドを通路としてもよい(図5C)。
図6は、本発明の磁気障壁を通過する対象液が行う種々の操作の内、図で示すことができる混合を例にとり、図2の装置を利用して、混合状態を写真で示す。図6Aは本発明の例で、導入口2aからは硫酸ニッケル水溶液(1.4mol/dm)に白絵具を混合した対象液41aが導入され、導入口2bからは硫酸ニッケル水溶液(1.4mol/dm)に黒絵具を混合した対象液41bがシリンジポンプより各0.1mL/minの流速で導入されている。両対象液41aと41bは、磁気障壁により形成された液体通路(帯状強磁性体の磁力40T/m)である混合反応部中で合流し、カルマン流が生じて相互に混合している。このように特に外的な混合作用は施していないのに、非常に効率よく混合されていることが観察される。一方、図6Bは、同一形状の通路を溝状に彫り込んだ装置で、固体壁のみで磁気障壁がない無磁場の状態(磁場を積極的にかけない状態)で、対象液41a、41bをシリンジポンプで、各0.1mL/min注入すると、このように複雑な液通路であるにもかかわらず、写真のように白対象液41a、黒対象液41bは混合されず、層流となって流れていることがわかる。
図7は、磁気障壁により形成された液体通路の種々の形態の例を写真で示す。図7Aは、通路断面積が一様ではない例を示し、別々の導入口から導入された白の対象液と黒の対象液が、狭い通路で合わせられ、次いで広い通路を通り、狭い通路を通り、さらに急に拡大した通路を通って排出部へと導かれる。このように通路の断面積が急激に拡大縮小することにより混合効果を大きくすることができ、写真においても非常によく混合されていることがわかる。図7Bは、蛇行した通路の例を示し、別々の導入口から導入された白の対象液と黒の対象液が、磁気障壁により形成された液体通路で合流し、その液体通路は写真のように蛇行して通過し、二股の排出部より排出される。図7Bの蛇行型にすることにより、コンパクトな装置でありながら長い液体通路を確保でき、しかも撹拌効果を大きくできる利点がある。図7Cは、スパイラル状の通路の例を示し、別々の導入口から導入された白の対象液と黒の対象液が、磁気障壁により形成された液体通路で合流し、その液体通路は写真のようにスパイラルを描き、排出部へと導かれる。図7Cのスパイラル型にすることにより、コンパクトな装置でありながら長い液体通路を確保でき、反応時間を長時間稼ぎたい場合などに有利である。図6や図7の例で示した種々のタイプの磁気障壁により形成された液体通路は、撹拌効果が大きく、また通路長も長くできるので、ファインケミカルや生化学等の反応における反応効率を良くする効果もある。
図8は、本発明の磁気障壁によって形成された液体通路を通過する対象液は、粘性抵抗が少ないことを示す実験結果を示す。この実験では、1.4mol/dmの硫酸ニッケル水溶液に澱粉糊を混入して、動粘度が1.21cSt(溶液1:図のグラフのラ印)または2.42cSt(溶液2:図のグラフの三角印)になるように対象液を調整した。また、対象液の流速を測定するために、極微量のカーボン微粉末も混入した。図3Bに示すマイクロリアクタ(帯状強磁性体は、幅1mmのスチール)を使用し、外部磁場の磁束密度を3Tとし、磁場中心より90mm上に液体通路がくるように配置した。この液体通路に0.05、0.1、0.2および0.4mL/minの4種類の速度で対象液を注入し、液体通路を流れる対象液の流速を測定した。具体的には、液体通路20mmの距離を、注目したカーボン微粉末が通過する時間を測定して流速を求め、図8に示した。横軸は注入速度V(mL/min)を、縦軸は対象液の流速(mm/sec)を示す。注入速度を増加させると、注入速度に比例して対象液の流速も増加するが、動粘度が異なる溶液1と溶液2の流速がほとんど同じである。すなわち、磁気障壁により形成された液体通路上の対象液の流速は、溶液の粘性に依存しないことを示している。
比較例として、図8の実験と同一液体通路(1mm幅で外側をアクリル樹脂の固体壁)を無磁場(積極的には磁場をかけない状態)の条件下で、シリンジポンプにより、1.4mol/dmの硫酸ニッケル水溶液(動粘度は、1.21cSt)を、0.4mL/minで圧入した。従来技術の固体壁マイクロリアクタでは、シリンジポンプで圧入する必要があり、その圧力次第で液体通路を流れる速度が異なるため、本発明の磁気通路と直接的な比較はできないが、今回の比較例では、液体通路での流れ速度は、2.9mm/secであり、上記実施例の場合の1/4の速度であった。比較例では、シリンジポンプで圧入のため、流入直後の液体通路では、液体は高さ2.5mmで、その後排出部に向かって高さが漸減していくのに対して、流入速度0.4mL/minの上記図8における実施例の液体通路では、0.6mmの一定高さで排出部まで流れた。
図9は、並列配置の磁気障壁により形成された液体通路間で抽出、反応が行われる例を示した図である。導入口2aからは、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)の0.05mol/dm水溶液を、導入口2bからは、硫酸ニッケルの0.1mol/dm水溶液をそれぞれ注入し、帯状強磁性体の2本を配置することによる液体通路51a、51bが、合流し並列して走行している。この2種類の対象液が接触して流れるようにした。使用した具体的リアクタは、図7のCに示す長い液体通路を有するタイプの並列走行型であるが、図9では、簡略化して示してある。硫酸ニッケル水溶液の濃度がEDTA水溶液濃度より高いため、硫酸ニッケル溶液がEDTA溶液側に拡散して行き、EDTAと反応してキレート化合物を生成する。EDTA水溶液は無色・透明である。硫酸ニッケル水溶液は、縁色であるが、EDTAと反応して生成したニッケル・キレート化合物は青色に変化する。2aにおけるEDTA水溶液は無色・透明、2bにおける硫酸ニッケル水溶液の色素成分は、赤色:15、縁色:138、青:107であった。並列配置の液体通路51a、51bで反応されて排出した排出部の対象液の色素成分は、赤色:16、緑色:108、青:183の値を示し、硫酸ニッケルがEDTA側に拡散していき、反応が起こったことを示している。なお、色差の測定法は、デジタルカメラ(カラー)で液体通路上の対象液の画像を取り込み、画像処理ソフト(Photoshop、Adobe社)を用いて、対象液の画像の色調を構成する3原色RGB(赤、縁、青)に分けて求めた。
図10は、磁気障壁により形成された液体通路を用いて、めっきを行う装置の図である図10のAは、装置の液体通路部のみを示し、アクリル樹脂からなる基板61上に、幅50μmのsteelからなる帯状強磁性体62を設置し、基板61上に0.5mmのスペーサ(図示していない)を置き、その上に0.1mmの白金板63を設置し、帯状強磁性体62と白金63間に液体通路を形成させる。図10のBに、めっきの操作を示した。環境液には水を用い、めっき液64には、硫酸銅の0.3mol/dm水溶液を用いた。外部磁場の磁束密度0.8Tとし、帯状強磁性体62と白金板63間に直流電圧1.5V、0.1Aをかけた。このような条件下でめっき液を130秒間流すことで、白金板63上に幅0.95mm、厚み110μmの微細な線状の銅めっきが形成された。なお、このめっき液64の代わりに、フェライト粉末含有液を用い、白金板63の代わりにアクリル板を使用することにより、本発明のマイクロリアクタ用の帯状強磁性体を製作することができた。また、このめっき液64の代わりに、浸蝕液として塩化第二鉄水溶液を用い、白金版の代わりに銅箔を貼った基板を用いることにより、微細な線状のエッチングを銅箔に貼った基板に施すことができ、溝加工によるマイクロリアクタに使用することができた。
図11に、従来のエッチングを利用するサブトラクト法による回路形成の手段を示す。銅箔71を貼り付けた基盤72上にフォトレジスト73と呼ばれる感光性樹脂を塗布した後で、フォトマスク74と呼ばれる回路パターンを描いたもう一枚のフィルムを置いて、その上から紫外線を照射することで、フォトレジスト73を感光させて、硬化密着させる。その後で、不要部分を溶剤で除去して、ポジ形レジスト75またはネガ形レジスト76とする。これらのポジ形レジスト75またはネガ形レジスト76をエッチング液に漬け、回路部分を残して他の部分を溶解除去することで、銅配線のポジ形回路77またはネガ形回路78を作りだす。このようなエッチングを利用するサブトラクト法では、出来た回路の一部を拡大して図eと図fに示すように、アンダーエッチング部79やオーバーエッチング部80のような不規則な形状をもつ削り代が出てしまうために、回路の配線の線幅を微細化する妨げとなる。
図12に、従来法めっきの他の例であって、エッチングを含まないアディティブ法を用いる回路形成の手段を示す。基盤72上にフォトレジスト73を塗布した後、フォトマスク74を積層し、紫外線に露光した後、不要部分を溶剤で除去して、ポジ形レジスト81またはネガ形レジスト82とする。このポジ形レジスト81またはネガ形レジスト82の基板の上に無電解めっきを施してポジ形導電性回路83またはネガ形導電性回路84を作り、その上に電気めっきによりさらに銅析出を行わせて積層し、ポジ形回路85またはネガ形回路86を作りだす。出来た回路の一部を拡大して図fに示すように、無電解めっき部87の上に電気めっき部88が乗った形で配線が形成されている。このアディティブ方式では、サブトラクト法よりは回路配線の線幅を小さくすることはできるが、積層にあたってバリ等の不規則な析出面が配線側面に生じ易いという問題がある。
図13に、本発明の磁気障壁を利用した磁気マスクを用いたアディティブ法を用いる回路配線の形成の例を示す。磁場Bに置かれた帯状強磁性体91または92によって生じた磁気障壁MBが磁気マスクとして働き、その磁気障壁により形成された液体通路に無電解めっき液Laを通すことにより、基板93上に無電解めっき層94が形成される。その液体通路にさらに電気めっき液Lbを流し、基盤93と対極95間に電流Aを流すことにより、無電解めっき層94上に電気めっき層96を形成させることができる。
図13では、無電解めっきにおける環境液について図示できなかったので、無電解めっきのプロセスのみを取り出して、図14で詳述する。図14のA図は、無電解めっきを行う場合の装置の断面図であり、図Bは、それぞれを構成部分がわかるように、斜視図で示してある。磁場B中に置かれた容器101が設置されている。その容器101中に置かれたパターン板102上に一定のパターンの帯状強磁性体91が配置されており、その帯状強磁性体91によって形成される磁気障壁によって形成される液体通路に、入口103または出口104のいずれか、または両方にポンプを設けて無電解めっき液Laを流入し、基盤93上に無電解めっき層を形成させる。無電解めっき液Laは、通常、触媒を付与する液体とめっき液で構成されている。その際、液体通路を流れる無電解液Laが流れている他の空間には、環境液Lcが充たされている。環境液Lcは、どのようなものでも使用できるが、無電解めっきにおいては、純水が多く用いられる。この無電解めっきの場合の環境液Lcは、基板の表面張力を小さくし、基板表面の液体の流れをスムースにすると同時に、磁気障壁の形状とめっき液の形状が一致しやすくなる役割を果たす。また、環境液Lcは、めっきが40℃から60℃と高温で行われる場合など、めっき液の酸化してしまう場合があるが、そのような場合においてもめっき液の酸化を防止し、さらに、めっき温度を一定にすることで、めっきの品質を高める役割も果たす。
図15は図14の無電解めっきに引き続き行われる電気めっきの例を示しており、A図は、電気めっき装置の断面図であり、図Bは、それぞれを構成部分がわかるように、斜視図で示してある。磁場B中に置かれた帯状強磁性体91によって形成される磁気障壁によって生ずる液体通路に、電気めっき液Lbを流し、上部の対極95と基盤93上に立てられた電極105間に電流を流すことで、基盤93上の無電解めっき層上に電気めっき層を形成させる。その際、容器101中の電解液Lbが流れている他の空間には、環境液Ldが充たされている。環境液Ldには、めっき液Lb中の支持塩(例えば硫酸など)が入れられていることにより、基盤93(およびその上に形成された無電解めっき層と電気めっき層)と離れて対極95を設置できるので、めっき作業が容易になる。この環境液Ldは、無電解めっきの場合の環境液Lcと同様、基板の表面張力を小さくし、基板表面の液体の流れをスムースにすると同時に、磁気障壁の形状とめっき液の形状が一致しやすくなる役割や、めっき液の酸化を防止し、めっき温度を一定にする役割も果たす。
図16に、本発明のめっき法を応用して作成しためっきパターンの写真を示す。白金板(4×4mm、厚み0.5mm)を基板として用い、その上に無電解めっきを行い、さらにその上に電気めっきによって銅めっきパターンを形成させた例である。磁気マスク用磁気パターンには、既に図7Aで示した磁気通路試験で用いたものを再度使用し、防水のために全体をプラスチックフィルムで包んで、基板下部に密着させた。使用した磁場は5T垂直磁場であった。第一段階の無電解めっきには、A液として2.5wt%硫酸銅5水和物+3.5wt%カ性ソーダ+12.1wt%ロッシェル塩を用い、B液として10wt%のホルマリンを用い、使用直前に混合した。無電解めっき液は、シリンジポンプにより0.1mL/分の速度でパターン上部より注入され、同一速度で、パターン下部より排出された。無電解めっき液の液温は40℃で、環境液体には純水を使用した。一方、第2段階の電気めっきにおいて、めっき液には、0.3mol/dm硫酸銅+1mol/dm硫酸酸性溶液が用いられ、環境液体には、1mol/dm硫酸酸性溶液が用いられ、室温でめっき作業を行った。シリンジポンプにより与えられるめっき液の流速は、無電解めっきの場合と同じである。電気めっき用の対極には、1mm間隔を開けて、基板に平行に置いた同一寸法からなる銅板を用いて、基板に、対極に対して−0.5Vの過電圧を印加して、10分間通電した。これらの操作により、図16に示す写真のようなめっきパターンを得ることができた。
本発明のマイクロリアクタの構成を示す概念図。 本発明の別のタイプのマイクロリアクタの外観を示す実物写真(図A)と、その混合反応部の形状を示す概念図(図B)。 本発明のマイクロリアクタの排出部の種々の形態の例であり、図Aは概念図、実物写真B、帯状強磁性体端末に生じる磁気障壁のモデル図Cと、端末の磁気障壁を少なくしたモデル図D。 本発明の磁気障壁により形成される液体通路が生じる原理図を2例示す(図Aと図B)。 磁気障壁により形成された液体通路中を流れる対象液の種々の状態を示す概念図(図A、B、C)。 マイクロリアクタ中での混合の例を示す観察写真で、本発明の実施例(写真A)と、従来タイプの溝方式の例(写真B)。 本発明のマイクロリアクタの種々の形態の液体通路の例を示す写真(写真A、写真B、写真C)。 本発明における対象液の粘度の相違による流速を示す実験結果。 本発明の並列液体通路による反応装置の概念図。 本発明の液体通路をめっきに応用した例で、装置の概要(図A)とその操作状況(図B)。 従来のめっき法であるサブトラクト法のプロセスの概略図。 従来のめっき法であるアディティブ法のプロセスの概略図。 本発明のめっき法である磁気障壁を用いたアディティブ法のプロセスの概略図。 図13の無電解めっきプロセスをさらに詳しく説明するための図であり、a図は、装置の断面図、b図は、装置の構成部品を斜視図。 図13の電気めっきプロセスをさらに詳しく説明するための図であり、a図は、装置の断面図、b図は、装置の構成部品を斜視図。 本発明のめっき法を応用しためっきパターンを示す写真。
符号の説明
1:マイクロリアクタ、 2a、2b:対象液導入口、 3a、3b:対象液導入通路、
4:混合反応部、 5:検査部、 6:レーザ、 7:検出部、 8:排出部、
9:基板。
11:マイクロリアクタ、 12:混合反応部、 13a、13b:二股の排出部。
14:マイクロリアクタ、 15:排出部、 16:マイクロリアクタ、
17:排出部、 18:帯状強磁性体の端末部、
19:端末部における磁気障壁、 20:端末部における対象液。
21:外部磁場、 22:帯状強磁性体、 23:対象液、
24a、24b:磁気障壁、 25:外部磁場、 26a、26b:帯状強磁性体、
27:対象液、 28a、28b:磁気障壁、 29:帯状反磁性体。
31:環境流体、 32:基板。
41a、41b:対象液。
51a、51b:液体通路。
61:基板、 62:帯状強磁性体、 63:白金板、 64:めっき液。
71:銅箔、 72:基板、 73:フォトレジスト、 74:マスク、
75:ポジレジスト、 76:ネガレジスト、 77:ポジ形回路、
78:ネガ形回路、 79:アンダーエッチング、 80:オーバーエッチング。
81:ポジ形レジスト、 82:ネガ形レジスト、
83:ポジ形導電性回路、 84:ネガ形導電性回路、 85:ポジ形回路、
86:ネガ形回路、 87:無電解めっき部、 88:電気めっき部。
91、92:帯状強磁性体、 93:基板、 94:無電解めっき層、
95:対極、 96:電気めっき層、 MB:磁気障壁、 La:無電解めっき液、
Lb:電気めっき液、 Lc:無電解めっきにおける環境液、
Ld:電気めっきにおける環境液、 A:電流。
101:容器、 102パターン板、 103:入口、 104:出口、
105:電極。

Claims (12)

  1. 液体の導入部及び微細な液体通路及び液体排出部を含み、その液体通路が帯状強磁性体による磁気障壁により形成されており、前記導入部より導入された磁性を有する液体を、その液体通路において操作を行わせるように構成されていることを特徴とするマイクロリアクタ。
  2. 前記帯状強磁性体が外部磁場により磁場が印加されるかまたは自発的に磁力の維持がなされていることを特徴とする請求項1記載のマイクロリアクタ。
  3. 前記磁気障壁により形成された液体通路の外部が環境流体で満たされていることを特徴とする請求項1記載のマイクロリアクタ。
  4. 前記環境流体が、磁気障壁により形成された液体通路を流れる液体と反応、抽出、吸収の内の少なくとも1種の操作をおこなわせるように構成されていることを特徴とする請求項3記載のマイクロリアクタ。
  5. 前記液体排出部が末広がりに拡大または複数に分岐していることを特徴とする請求項1記載のマイクロリアクタ。
  6. 前記微細な液体通路が複数並列して設置されており、それらの複数の通路を走行する液体間で操作が行われるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロリアクタ。
  7. 前記微細な液体通路が分岐しており、該分岐枝から液体を導入、または排出されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロリアクタ。
  8. 前記磁気障壁により形成された前記液体通路を流れるめっき液の表面が、固体に接しており、めっき液により該固体に対して液体通路に沿ったパターンをめっきすることを特徴とする請求項1のマイクロリアクタによるめっきされた物の製造方法。
  9. 前記磁気障壁によって形成された液体通路に無電解めっき液を流すことで、前記固体に無電解めっきを施し、さらに、該液体通路に電気めっき液を流すことにより、該無電解めっきによって生じた無電解めっき層の上に電気めっきを施すことを特徴とする請求項8記載のめっきされた物の製造方法。
  10. 前記無電解めっきおよび電気めっきにおいて、めっき液の流れる場所の外側が環境液体で満たされていることを特徴とする請求項8記載のめっきされた物の製造方法。
  11. 前記磁気障壁により形成された前記液体通路を流れる液体の表面が、固体に接しており、液体の浸食作用または電解作用により、該固体に対して液体通路に沿ったパターンをエッチングすることを特徴とする請求項1のマイクロリアクタによるエッチングされた物の製造方法。
  12. 請求項8のめっきされた物の製造方法により、帯状の強磁性体材料を形成させることを特徴とする、磁気障壁により形成された液体通路を有するマイクロリアクタの製造方法。
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