JP4004962B2 - 磁気共鳴画像化装置に使用するカテーテル - Google Patents

磁気共鳴画像化装置に使用するカテーテル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴(MR)画像化装置による物体の検査の間に使用するためのカテーテルに関する。また、本発明はMR画像を形成すると共に検査されるべき物体内に導入されたカテーテルの位置を該MR画像内で視覚化する方法、及び斯様な方法を実施するMR画像化装置にも関する。
【0002】
【従来の技術】
知られているように、磁気共鳴画像化装置は、患者の検査のためのみならず治療のためにも使用される。そして、多くの場合、カテーテルが患者内に導入され、MR画像内で該カテーテルを突き止めることができなければならない。しかしながら、カテーテルは、通常、MR画像内では見ることができないような材料から形成されているので、特にカテーテルの先端が患者に影響を与えることなく信頼性を以って認識することができることを保証するような対策をとらなければならない。
【0003】
原理的に、この目的のためには受動的方法と能動的方法との間の区別がなされている。例えば国際特許出願公開第WO99/19739号から既知の受動的方法の場合、カテーテルの先端における1以上の小さな共振回路が、これら共振回路が直ぐ近傍におけるRF場(Bフィールド)の増加を生じさせ、かくして近傍の核スピンの磁化を増加させることにより、MR画像内で見えるようになる。上記RF場の増加は、上記共振回路のQに直に比例する。しかしながら、このQは、通常、非常に小さいので、上記共振回路は、その位置を(従って、カテーテル先端の位置を)減算法により判定することができるようにするためにスイッチオン及びオフされねばならない。この目的のために共振回路においてスイッチされる能動スイッチ(例えば、ダイオード)は、該共振回路のQを更に劣化させるので、磁化(核スピンのフリップ角)は、特に複雑な人体構造の場合、極小さな程度しか変化されない。更に、上記共振回路のQは小さな場の強度の場合には特に劣ったものとなる。何故なら、その場合にコイル損失が比例的に高くなるからである。
【0004】
ヨーロッパ特許第EP0531081号はカテーテルに送信コイルが設けられた能動システムを開示し、上記送信コイルはRF源に接続されると共に比較的小さな電力を供給され、従って該コイルは電磁双極子場を発生し、該場が外部の受信コイルにより拾われると共に、当該カテーテルの位置を決定又は追跡すべく評価される。しかしながら、この能動システムは、カテーテルに加えて、上記送信コイルにRF電力を供給するためにRF電圧を伝達するワイヤも患者内に導入しなければならないという点で欠点を有している。この構成は、上記ワイヤの近傍の組織の不所望な加熱を引き起こしかねないので、処理は比較的小さな電力でしか行うことができない。更に、上記RF電力の周波数が高いほど、損失が高くなるので、この原理は比較的低い周波数範囲内でのみしか使用することができない。しかしながら、低い周波数での小さな電力は、カテーテルの位置を突き止める可能性に著しく影響し得る。更に、適切な精度の位置を判定するのに要する計算作業の量は、比較的多い。最後に、上記ワイヤにより放出されるRF電力はMR画像に妨害を生じ得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、MR画像化装置による患者又は他の物体の検査の間に使用することを特に意図し、且つ、比較的少ない追加の手段を用いながらMR画像内で著しく良好に視覚化することが可能なカテーテルを提供することにある。
【0006】
更に、本発明の目的は、MR画像を形成すると共に、検査されるべき物体内に導入されたカテーテルの位置を該MR画像内で簡単且つ明瞭に視覚化する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、請求項1に記載したように、第1周波数のRF振動のパルスを、各々、発生し及び放出する送信ユニット及び送信アンテナを含むようなカテーテルであって、前記パルスが、前記送信アンテナの近範囲内の検査されるべき物体内の核磁化を、該磁化をMR画像化装置のRF受信コイルにより拾うことができ且つ前記カテーテルの位置を視覚化すべくMR画像内で再生することができるように、励起するようなカテーテルが提供される。
【0008】
この点において、上記近範囲とは前記送信アンテナにより囲まれる領域、及び該送信アンテナの外側の領域であって該アンテナのRFフィールドが本質的に集中されるような領域を意味するものと理解すべきである。
【0009】
更に、本発明の請求項7によれば、上記カテーテルを使用するための前述した型式の方法であって、第1動作モードと第2動作モードとの間で交互の態様で切り換えが行われ、前記第1動作モードにおいては前記MR画像化装置のRF送信コイルが動作して前記検査されるべき物体のMR画像を発生する一方、前記カテーテルの前記送信ユニットはスイッチオフされ、前記第2動作モードにおいては、前記RF送信コイルがスイッチオフされる一方、前記カテーテルの前記送信ユニットが動作して前記送信アンテナの近範囲内における核磁化を励起し、該核磁化は前記MR画像化装置により拾われると共に、前記第1動作モードにおいて形成された前記MR画像内で再生されて前記カテーテルの位置を視覚化することを特徴とするような方法が提供される。
【0010】
他の例として、請求項8は、カテーテルを使用する第2の方法であって、前記MR画像化装置のRF送信コイル及び前記カテーテルの前記送信ユニットが実質的に同時に動作し、これにより前記送信アンテナの近範囲内で増強された核磁化が励起され、該核磁化が前記MR画像化装置により拾われると共に前記形成されたRM画像内で再生されて、前記カテーテルの位置を視覚化することを特徴とするような方法を開示している。
【0011】
通常は第1の方法が好ましいが、所与の用途に対しては、前記RFコイル及びカテーテルの送信ユニットを第2の方法に従って同時に動作させ、例えば、(移動する)カテーテルの位置突き止めの間に特定の検査を実行することも有効である。
【0012】
上記解決策は、受動型及び能動型システムの利点を、これらシステムの本質的な欠点を許容することなく組み合わせている。一方においては、位置突き止めの精度は上述した受動型システムの場合におけるものと正に同様に高いが、局部的核磁化、従って得られるべきMR緩和信号も能動的励起により本質的に高い。他方においては、受信された信号を評価するために要する手段も前述した能動型システムにおけるよりも著しく少ない。何故なら、上記信号は、いずれにせよMR画像化装置には存在するRF受信コイルにより拾われ、該装置に存在するデバイスにより処理及び再生することができるからである。
【0013】
第1の方法の特別な利点は、交互の動作モードにより、一方における画像化及び他方におけるカテーテルの位置突き止めの相互の影響又は妨害が実質的に取り除かれる点に存在する。
【0014】
従属請求項は、本発明の他の有利な実施例に関するものである。
【0015】
請求項2及び請求項5に記載した実施例は、本発明によるカテーテルの製造の容易さの点で特別な利点を提供する。請求項3による実施例は、カテーテルを囲む患者の組織において測定を同時に実行することを可能にし、その測定値は、好ましくは請求項9に記載の方法により伝送される。請求項4及び請求項6に記載の実施例は複雑さのないカテーテルの使用の点で特に有利であり、請求項10に記載の方法はカテーテルを介しての電源リード線を不要にさえする。最後に、請求項11及び12は、本方法を実施するのに特に適した磁気共鳴画像化装置を記載している。
【0016】
本発明の更なる詳細、特徴及び利点は、図面を参照してなされる好ましい実施例の下記説明から明らかとなるであろう。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、検査ゾーン1における磁場の発生及び収集に関係するMR画像化装置の必須要素を示している。検査ゾーン1の上下には、各磁石システム2、3が設けられ、これらシステムは既知の方法で基本磁場(Bフィールド)及び勾配磁場を発生するように作用する。上記基本磁場は患者Pを該患者の長軸に対して実質的に直交する方向に(即ち、概ね垂直方向に)横切る。
【0018】
RF送信コイル及びRF受信コイル5の形態の平坦な、又は少なくとも平坦状のRF導体構造(フラット共振器)がRFパルス(Bフィールド)を発生するように作用し、これにより、検査されるべき組織内で、及び該組織内における後のMR緩和過程の検出のために、核スピンが励起される。上記RF送信及び受信コイルは磁石システム2及び3上に各々配置され、更に又は代わりに局部RF受信コイル6が、検査されるべき患者Pの一部を覆うことができる。
【0019】
この所謂垂直システムの代わりとして、本発明によるカテーテルは軸方向システムにおいても使用することができ、該軸方向システムにおいては、基本磁場は患者を実質的に該患者の長軸の方向に横切る。斯様なシステム自体は既知であり、患者が軸方向に導入されるような筒状の検査空間を有している。
【0020】
カテーテル10は、しばしば、患者Pに対して治療を実施するために又は組織サンプルを取るために使用され、該カテーテルは患者内に導入されると共に該カテーテルの位置は表示スクリーン上で視覚化される。
【0021】
この目的のため、スイッチングユニット41が設けられ、該スイッチングユニットは第1出力端Aによりカテーテル10に接続されると共に第2出力端BによりRF送信コイル4に接続される。カテーテル10及びRF送信コイル4は上記スイッチングユニットにより手動で又は自動的に、後に述べる様な態様で交互に又は実質的に同時に動作するように、制御される。
【0022】
交互モード(第1方法)においては、2つの動作モードの間での切り換えが生じる。第1動作モードにおいては、当該MR画像化装置のRF送信コイル4が既知の方法で動作されて、検査されるべき物体のMR画像を形成し、カテーテル10の送信ユニット11はスイッチオフされる。
【0023】
第2動作モードにおいては、一方ではRF送信コイル4がスイッチオフされる。他方では、当該カテーテルの先端に配置された活性化された送信ユニットが、第1周波数fのRFパルスの放出により局部的な核磁化(即ち、該カテーテルの送信アンテナの近範囲内における)を励起し、結果としてのMR緩和事象がRF受信コイル5、6により受信される。該受信された信号は、当該MR画像内で上記カテーテル先端の位置を再生するように作用する。
【0024】
同時動作モード(第2方法)においては、当該MR画像化装置のRF送信コイルと当該カテーテルの送信ユニットとが実質的に同時に活性化されるので、上記送信アンテナの近範囲内において、増強された核磁化が励起され、斯様な増強された核磁化がRF受信コイル5、6により検出されると共に、形成されたMR画像内で再生されて、該カテーテルの位置を視覚化する。
【0025】
上記送信ユニットは、周囲の組織の所与の特性を拾うためのセンサも含むことができる。その場合、これらセンサの測定値は第2周波数fの電磁波(又は音響波若しくは光学波)の変調及び放出により受信及び評価ユニット42(受信アンテナアレイ7x、8xを含む(図13及び14参照))に供給されて、既知の方法で更に処理され又は表示される。
【0026】
図2は、本発明によるカテーテル10の概念図である。該カテーテルの先端、又は該先端から僅かな距離に位置する箇所には、送信ユニットを含むマイクロチップ11(付加的に、拡大図で示す)が設けられている。該マイクロチップはRF電磁波を発生するのに要する全ての要素を含んでいる。該カテーテル10の他端、即ち当該患者の外側に位置する端部には、電源及び制御ユニット12が設けられ、該ユニットを介して、該カテーテルを経て案内される電源及び制御リード線がマイクロチップ11に接続される。
【0027】
図3は、マイクロチップ11のブロック図を示している。該マイクロチップはエネルギ変換器112を有し、該変換器は電源及び制御リード線111に接続されて、好ましくは電圧制御型のRF発振器(VCO)113に適切な電源電圧を供給する。RF発振器113は上記リード線111によって制御もされ、スイッチオフユニット113aを含んでいる。該RF発振器の出力端は、発生された第1周波数fの電磁波の放出のための少なくとも1つの送信アンテナ116に接続されている。第1周波数fは局部Bフィールドを発生するように作用し、これにより送信アンテナ16の近範囲における組織内で核磁化が励起される。
【0028】
マイクロチップ11上には、周囲の組織の温度、圧力、pH値又は他のパラメータを拾うための1以上のセンサ114も設けられている。該センサの出力信号は、RF発振器113により発生される第2周波数fの電磁波の周波数、振幅及び/又は位相を変調する変調器115に供給される。その結果、上記センサ信号は送信アンテナ116を介して無線態様で当該患者の外側に位置する受信及び評価ユニット42に送信することができ、診断目的で評価される。
【0029】
図4に示されるように、センサは共振回路114a又は例えば別のMR受信コイルのようなインダクタンスとすることもでき、これにより、第1周波数fによる励起に続く該センサの近範囲内におけるMR緩和過程又は複数の過程が拾われる。このセンサ114aは前置増幅器115aの入力端に接続され、該増幅器の出力端は発振器113に接続される。その結果、RF受信コイル5、6により拾われなくても、上記の励起されたMR緩和事象を、送信アンテナ116を介して第2周波数fの適切な変調の形態で放出することができる。この場合、当該カテーテルは異なる投影における受信方向の方向探知により場所を突き止められなければならず、その目的で好ましくは複数の適切に配置された受信アンテナが使用される。
【0030】
上記第1周波数と第2周波数とが互いに充分に近い場合は、これら2つの周波数に対して共通の送信アンテナ116を使用することができる。別個の送信アンテナが設けられる場合は、第1周波数用の送信アンテナは、上記MR緩和事象を拾うためのセンサ114aとしても作用するようにすることができる。
【0031】
前記発振器は、例えばコルピッツ発振器又はハートレー発振器として構成することができ、1以上の共振回路を含むと共に、検査されるべき物体内の核スピンを励起するためにRF送信コイル4がRFパルス(Bフィールドを発生する)を放出する場合における誘導現象を防止するために上記共振回路をスイッチオフするようなスイッチオフユニット113a(本質的にダイオード)を含む。
【0032】
送信アンテナ116は1以上のマイクロアンテナにより形成することができ、該マイクロアンテナは、図5に従って、短いロッドアンテナ(a)を形成するか、又は例えば発振器113に容量的に結合された並列共振回路(b)を形成するように接続されるかの何れかである。これらのコイルは、好ましくは当該カテーテルの先端の周囲に直に巻回される、即ちマイクロチップとは別体とされる(図8ないし11)。
【0033】
マイクロチップ11は、例えば、バイポーラ技術によるシリコンチップとして、又はガラス若しくはセラミック材料に基づいて形成される。約1〜4mm以下の表面面積しか占めないこの種のチップは、カテーテルの先端に直に集積化することができ、図6に平面図で概略的に示されている。
【0034】
該チップ上には、各電子機能ユニットを形成する種々のアセンブリが示されている。これらの機能ユニットは、エネルギ変換器112を介して電力を受ける発振器113、関連する測定データ変調器を備える1以上のセンサを含むセンサ及び変調器ユニット114、115、前置増幅器115a、並びに発振器113又は送信アンテナ116用のスイッチオフユニット113aを含んでいる。更に、発振器113の1以上の共振回路を構成する1以上のインダクタンス(平坦コイル)L及び容量Cも、チップ11上に適切な導体トラックとして印刷されている。
【0035】
マイクロチップ11の電源供給及び制御は電源及び制御リード線111を介して行われ、該リード線の種々の実施例が図7に示されている。
【0036】
最も単純な場合、このリード線は図7aに示されるように細いワイヤにより形成される。共振効果による温度上昇を防止するために、電源リード線111は、好ましくは、500オーム/mより高い抵抗値を持つ抵抗ワイヤ合金からなるものとする。他の例として、低周波の総抵抗を低減し且つ定在波を防止するために、上記電源リード線は短い銅ワイヤリード線と、その都度l≪λ/4(λは放出されるエネルギの波長)となるような長さlの抵抗ワイヤリード線との交互の系列として形成することもできる。更に、複数の非常に細い電源ワイヤの並列接続も可能である。殆どの場合、1つのみの導体(順方向導体)を設けると共に、患者の身体の容量を戻りの導体として使用することで充分である。
【0037】
図7bに示すように複数のダイオード111aを当該電源リード線に直列に接続して、該リード線が共振しようとするのを防止することができる。全ての場合において当該電源リード線を介しての過度の電流を防止するために、図7cに従って、複数の直列ヒューズ111bが設けられて、限界電流が超過された場合に当該リード線を切断する。RF電流を抑圧するために、図7dに従い、複数のインダクタンス111cを当該電源リード線に直列に接続することもできる。
【0038】
図7eは電源リード線111の他の実施例を示している。このリード線は同軸ケーブルを形成し、該同軸ケーブルは、シールドとして形成された外側導体111eにより覆われた内側導体111dを有している。更に、複数のλ/4リード線111fが該同軸ケーブルに沿って配置され、これらλ/4リード線の一端は外側導体111eに接続され、他端は開放されている。最後に、該同軸ケーブル及びλ/4リード線は、好ましくは、絶縁シース111gにより覆われる。該電源リード線を介してのRF電流の伝搬、従って共振の危険性は、この実施例でも防止される。
【0039】
最後に、図7fは図7bに示した電源リード線の他のバージョンを示している。該バージョンは同軸リード線であり、該同軸リード線の内側導体111dにおいては第1の複数のダイオード111hが第1電流方向に直列に接続される一方、外側導体111eには、第2の反対の電流方向に直列に接続された第2の複数のダイオード111kが挿入されている。第1ダイオード111h及び第2ダイオード111kは互いにずらされるように配置されている。
【0040】
電源リード線111は光ファイバとすることもできる。その場合、エネルギ変換器112は、光から必要な電源電圧を形成する光電変換器となる。
【0041】
上述した全ての場合において、電源リード線111は、エネルギの伝送のためのみならず、前記マイクロチップの制御、特に第1周波数と第2周波数との間で切り換えるための前記RF発振器(VCO)の制御のためにも適したものである。
【0042】
RF送信コイル4及び送信アンテナ16は、通常、交互の態様で動作するので、マイクロチップ11には必要な電力を誘導的に供給することもできる。この目的のため、例えば、RF送信コイル4の場を送信アンテナ116(又は他のインダクタンス)に電圧を誘起するために使用することができ、該電圧は容量的に蓄積されると共に上記マイクロチップを動作させるために使用される。その場合、電源リード線111はVCO113の制御ためのみに作用する。この場合、勿論、発振器113の送信電力は小さくなるが、少なくとも、検査されるべき患者の一部の周りに直に配置されるRF受信コイル6が利用される場合には一般的に充分である。
【0043】
以下、本カテーテルの先端の可能な実施例を、図8ないし11を参照して詳細に説明する。
【0044】
図8は、カテーテル10の前部及び該カテーテルの先端の概略断面図である。カテーテル内腔10bを囲むカテーテルスリーブ10aは、電源リード線111(点線により示す)を収容している。該リード線はマイクロチップ11において終端し、該マイクロチップもカテーテルスリーブ10a内に収容されている。最後に、このカテーテルの前端の領域においては、該カテーテルの周りにマイクロコイル(NMRコイル)が巻回され、該マイクロコイルは送信アンテナ16として作用すると共に、該マイクロコイルの巻線はカテーテルスリーブ10a内に位置されている。
【0045】
該カテーテルの先端は、図9に示されるように拡張カテーテル101として構成されてもよい。この場合、コイル116の巻線は該拡張カテーテルの壁101a内に設けられ、該拡張カテーテルは既知の方法でカテーテルスリーブ10aの外部へ滑り出され、次いで当該カテーテルを経て他端まで延びる引っ張りワイヤ102により拡張されるか又は自動的に拡張される。本例ではカテーテル内腔10bを経て延在する電源リード線111を介して電力を供給されると共に制御されるマイクロチップ11は、この図においても概念的に示されている。
【0046】
図10は当該カテーテルの先端の他の実施例を示し、該先端は2つの直交する拡張カテーテル101、101’により形成され、該拡張カテーテルの壁101a内にも1以上のマイクロコイル116の巻線が設けられている。拡張カテーテル101、101’も、カテーテルスリーブ10a外に滑り出された場合、引っ張りワイヤ102により又は自動的に拡張することができる。該拡張カテーテルは、引っ張りワイヤ102が引かれた場合に同時に長軸の廻りに回転され、かくして螺旋状を呈するように形成することもできる。このように、マイクロコイル116の効果を最適化することができる。最後に、マイクロチップ11、並びに当該カテーテルの内腔10bを経て延びる電源リード線111及び引っ張りワイヤ102が、この図でも概念的に示されている。
【0047】
図11は、この拡張カテーテル及び他の拡張カテーテルを再度別の視点で示す。図9に従う単純なループ101(図11a)及び図10に従う2つの直交するループ101、101’(図11b)に加えて、コイル状の拡張カテーテル(図11c)及び多重ループ拡張カテーテル(図11d)も使用することができる。拡張カテーテルの型式は、治療されるべき器官に依存するのみならず、個々のループにより形成されるマイクロコイル116の最適な効果、即ち最適な核磁化の達成度に鑑みても選択される。
【0048】
以下、本発明によるカテーテルの動作を、図12ないし14を参照して詳細に説明する。
【0049】
図12aはRF発振器113により生成される2つの周波数、即ちBフィールドを発生し、これにより送信アンテナ(又はマイクロコイル(複数のマイクロコイル))116の周りの近範囲で核磁化が励起されるようにするRFパルスの第1周波数f(NMR周波数)、及びセンサ114、114aにより拾われる測定値及びデータが周波数、振幅又は位相変調により受信及び評価ユニット42に送信されるようなRFキャリアの第2周波数f、の相対位置を示している。第1周波数fは、基本磁場の強度に依存し、0.2テスラと3テスラとの間の磁場強度の範囲に対しては、大凡、8MHzと128MHzとの間に位置する。
【0050】
第2周波数fは第1周波数fより高くすることもできる一方、各周波数は対応する送信アンテナ116に関連させると共に、そのように上記発振器の出力端に接続することもできる。
【0051】
更に、図12bは、発振器113が第1周波数fの電磁波を放出する典型的な短いバーストパルスを示している。上記RFパルスの位相、振幅及びオン/オフ時間、並びに該バーストパルスの帯域幅は、これらの変数の対応する調整により、核磁化を異なる程度に(例えば、当該カテーテルが患者内に位置する箇所に依存して)又は最適な態様で励起するように変化させることができる。
【0052】
本発明のカテーテルを用いたMR画像化装置による患者の検査の間において、2つの動作モードの間の切り換えは好ましくは交互の態様で行われる。
【0053】
第1の動作モードにおいては、当該MR画像化装置は検査されるべき領域のMR画像を既知の方法で形成するよう動作する。即ち、基本磁場(Bフィールド)により整列された核スピンはRF送信コイル4により発生されるRFパルス(Bフィールド)により所謂フリップ角だけ曲げられ(核磁化による励起)、続いての緩和事象がRF受信コイル5、6により検出されると共に、勾配磁場により位置を突き止められて画像化を行う。この場合、発振器113の共振回路L、C及び好ましくは送信アンテナ116が、スイッチオフユニット113により遮断されるか、又は上記発振器から分離され、その結果、これらには電流は誘起され得ない。更に、この第1動作モードにおいては、マイクロチップ11の送信アンテナ116(又は他のインダクタンス)に誘起された電圧を容量的に蓄積することができる。
【0054】
第2動作モードにおいては、患者内に導入されたカテーテル10は、位置が突き止められ当該MR画像内で再生される。この動作モードにおいて、RF送信コイル4は動作せず、VCO発振器113は、第1周波数fの(即ちバーストパルス(Bフィールド)の形態の)電磁波の放出が送信アンテナ116(例えば、マイクロコイル)の近範囲内で核磁化を励起するように、制御される。続くMR緩和事象が、RF受信コイル5、6により再び拾われ、勾配磁場により位置を突き止められ、第1動作モードにおいて形成されたMR画像内で再生される。視覚性を最適化するために、上記バーストパルスの振幅、周波数及び/又は位相は、好ましくは、調整可能なものとする。
【0055】
更に、この第2動作モードにおいては、第2周波数fは、センサ114、114aにより拾われた測定データを用いて測定データ変調器115により振幅変調、周波数変調及び/又は位相変調され、かくして送出される。第1周波数と第2周波数との間の切り換えは、好ましくは、電源リード線111を介しての(電圧制御型)RF発振器113の適切な制御により交互の態様で行われる。
【0056】
カテーテル10の送信ユニット11により第2周波数fで送出された上記測定データの受信のために、図13及び図14に示す垂直システムの場合には複数の局部受信アンテナ7x、8xが設けられ、これらアンテナの各々は第1の平らなRFシールド71及び第2の平らなRFシールド81の周部に配置され、かくして第1アンテナアレイ7及び第2アンテナアレイ8を構成する。RFシールド71、81は、検査空間1内の患者Pの上下に、即ち、実質的に、RF送信コイル4及び受信コイル5が配置されている領域に配置される。結果として、発振器113には僅かな送信電力しか必要とされないから、電源リード線111を経ての電流は小さくなり、従って第1動作モードの間に発生された上記RFパルスによる誘導電圧源で多分充分である。図13は、前述した軸方向システムの場合における筒状検査空間の縦断面図である。
【0057】
受信アンテナ7x、8xの各々はダイバーシティスイッチ9に接続され、これにより、その都度当該カテーテルに最も近い受信アンテナへの切り換えが行われる。受信された測定データの復調及び評価は、既知の方法を使用しながら受信及び評価ユニット42(図1)により行われる。
【0058】
他の例として、送信電力が充分に大きい場合には、全てのアンテナ信号7x、8xの振幅及び位相を評価すると共に、振幅差及び位相差に基づいて既知の方法により当該カテーテルの先端の(即ち、送信アンテナ116の)第1及び第2アンテナアレイ7、8に対する位置を計算することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、MR画像化装置の概念的側面図である。
【図2】 図2は、本発明によるカテーテルを示す。
【図3】 図3は、送信ユニットの第1のブロック図を示す。
【図4】 図4は、上記送信ユニットの一部の第2のブロック図を示す。
【図5a】 図5aは、上記送信ユニットのアンテナの等価図を示す。
【図5b】 図5bも、上記送信ユニットのアンテナの等価図を示す。
【図6】 図6は、送信ユニットを備えるマイクロチップの原理を図示する。
【図7a】 図7aは、上記カテーテルの或る実施例を示す。
【図7b】 図7bは、上記カテーテルの他の実施例を示す。
【図7c】 図7cは、上記カテーテルの他の実施例を示す。
【図7d】 図7dは、上記カテーテルの他の実施例を示す。
【図7e】 図7eは、上記カテーテルの他の実施例を示す。
【図7f】 図7fは、上記カテーテルの他の実施例を示す。
【図8】 図8は、上記カテーテルの好ましい実施例を示す。
【図9】 図9は、カテーテルの先端の第1実施例を示す。
【図10】 図10は、カテーテルの先端の第2実施例を示す。
【図11a】 図11aは、カテーテルの先端の他の代替実施例を示す。
【図11b】 図11bは、カテーテルの先端の他の代替実施例を示す。
【図11c】 図11cは、カテーテルの先端の他の代替実施例を示す。
【図11d】 図11dは、カテーテルの先端の他の代替実施例を示す。
【図12a】 図12aは、送信ユニットにより放出される信号の周波数スペクトルを示す。
【図12b】 図12bも、送信ユニットにより放出される信号の周波数スペクトルを示す。
【図13】 図13は、複数の受信アンテナを有するアレイの側面図である。
【図14】 図14は、受信アンテナの配置の三次元の図である。

Claims (11)

  1. RF送信コイル及びRF受信コイルを備えるMR画像化装置により物体を検査する間に使用するカテーテルにおいて、前記カテーテルには該カテーテルの先端部に、能動型送信ユニットにより発生される第1周波数のRF振動のパルスを放出するための送信アンテナが設けられ、前記能動型送信ユニットは当該カテーテルにおける前記送信アンテナの近傍に配置されると共にマイクロチップにより形成され、該マイクロチップは発振器を含むと共に当該カテーテル内に収容され、前記パルスは、前記送信アンテナの近範囲内の検査されるべき前記物体内の核磁化を、該磁化を前記RF受信コイルにより拾うことができ且つ前記カテーテルの位置を視覚化すべく前記MR画像化装置によるMR画像内で再生することができるように励起することを特徴とするカテーテル。
  2. 請求項に記載のカテーテルにおいて、前記マイクロチップは、
    前記検査されるべき物体の測定値を収集するための少なくとも1つのセンサと、
    前記発振器により発生された第2周波数のRF振動を前記センサの前記測定値により、該測定値を評価のために前記検査されるべき物体の外部に位置する受信及び評価ユニットに伝送することができるように、変調する変調器と、
    を含んでいることを特徴とするカテーテル。
  3. 請求項1に記載のカテーテルにおいて、前記能動型送信ユニットは、当該カテーテルを経て案内されるリード線を介して、前記検査されるべき物体の外部に位置する電源及び/又は制御ユニットに接続されることを特徴とするカテーテル。
  4. 請求項1に記載のカテーテルにおいて、前記送信アンテナは、当該カテーテルの廻りに巻回された少なくとも1つのマイクロコイルにより形成されることを特徴とするカテーテル。
  5. 請求項1に記載のカテーテルにおいて、当該カテーテルの先端は拡張カテーテルとして構成され、前記送信アンテナは該拡張カテーテルの壁内に延在する少なくとも1つのマイクロコイルの巻線により形成されることを特徴とするカテーテル。
  6. 請求項1に記載のカテーテルを備えるMR画像化装置の動作を制御する方法において、前記MR画像化装置の制御手段が、
    前記MR画像化装置の動作を、第1動作モードと第2動作モードとの間において交互の態様で切り換えるステップと、
    前記第1動作モードにおいて、前記MR画像化装置の前記RF送信コイルにMR画像化RFパルスを発生させる一方、前記カテーテルの前記能動型送信ユニットがスイッチオフされるようにするステップと、
    前記第2動作モードにおいて、前記RF送信コイルがスイッチオフされるようにする一方、前記カテーテルの前記能動型送信ユニットにRF振動のパルスを発生させるステップと、
    前記第2動作モードで励起された核磁化の信号を前記MR画像化装置の前記RF受信コイルにより拾うと共に、該信号を前記第1動作モードにおいて得られたMR画像内で再生して、前記カテーテルの位置を視覚化するステップと、
    実行することを特徴とする方法。
  7. 請求項1に記載のカテーテルを備えるMR画像化装置の動作を制御する方法において、前記MR画像化装置の制御手段が、
    実質的に同時に、前記MR画像化装置の前記RF送信コイルにMR画像化RFパルスを発生させると共に、前記カテーテルの前記能動型送信ユニットにRF振動のパルスを発生させるステップと、
    前記MR画像化RFパルス及び前記RF振動のパルスの両方により励起された核磁化の信号を前記MR画像化装置の前記RF受信コイルにより拾うと共に、該信号に基づいてMR画像を、前記カテーテルの位置が該MR画像内に視覚化されるように再生するステップと、
    実行することを特徴とする方法。
  8. 請求項又は請求項に記載の方法において、前記制御手段により、前記カテーテルの前記能動型送信ユニットの動作の間において第1周波数と第2周波数との間での切り替えが交互の態様で行われると共に前記第1周波数は前記送信アンテナの近範囲内における核磁化が励起されるように選択され、前記第2周波数は前記カテーテルのセンサにより拾われた前記検査されるべき物体の測定値を受信及び評価ユニットに伝送するように作用することを特徴とする方法。
  9. 請求項又は請求項に記載の方法において、前記RF送信コイルの動作の間において前記能動型送信ユニットのインダクタンスに電圧が誘起され、該電圧は容量を充電し、該容量が前記能動型送信ユニットの動作の間における該ユニット用の電圧源として作用することを特徴とする方法。
  10. 請求項又は請求項に記載の方法を実施するMR画像化装置において、該MR画像化装置が、前記RF送信コイル及び前記能動型送信ユニットの動作を、自動で交互に又は実質的に同時に活性化させるスイッチングユニットを含んでいることを特徴とするMR画像化装置。
  11. 請求項に記載の方法を実施するMR画像化装置において、該MR画像化装置が、前記能動型送信ユニットにより前記第2周波数を用いて放出された前記センサからの前記測定値を受信及び評価する受信アンテナアレイを備えた受信及び評価ユニットを含んでいることを特徴とするMR画像化装置。
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