JP4003724B2 - 電気光学装置及び電子機器 - Google Patents

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本発明は、液晶装置等の電気光学装置及び電子機器の技術分野に属する。また、本発明は電子ペーパ等の電気泳動装置やEL(エレクトロルミネッセンス)装置や電子放出素子を用いた装置(Field Emission Display 及び Surface-Conduction Electron-Emitter Display)等の技術分野にも属する。
従来、一対の基板間に液晶等の電気光学物質を挟持してなり、これらを貫くように光を透過させることで、画像の表示が可能とされた液晶装置等の電気光学装置が知られている。ここで「画像の表示」とは、例えば、画素毎に、電気光学物質の状態を変化させることで、光の透過率を変化させ、画素毎に階調の異なる光が視認可能とすることにより実現される。
このような電気光学装置としては、前記一対の基板の一方の上に、マトリクス状に配列された画素電極、該画素電極間を縫うように設けられた走査線及びデータ線、加えて、画素スイッチング用素子としてTFT(Thin Film Transistor)等を備えることによって、アクティブマトリクス駆動可能なものが提供されている。このアクティブマトリクス駆動可能な電気光学装置では、前記のTFTは、画素電極及びデータ線間に備えられ両者間の導通を制御する。また、該TFTは、走査線及びデータ線と電気的に接続されている。これによれば、走査線を通じてTFTのON・OFFを制御するとともに、該TFTがONである場合において、データ線を通じて供給されてきた画像信号を画素電極に印加すること、すなわち画素毎に光透過率を変化させることが可能となる。
以上のような電気光学装置では、上述のような各種構成が一方の基板上に作り込まれることになるが、これらを平面的に展開するとなると、大面積を要することとなり、画素開口率、すなわち、基板全面の領域に対する光が透過すべき領域の割合を低下せしめるおそれがある。したがって、従来においても、前述の各種要素を立体的に構成する手法、すなわち各種構成要素を層間絶縁膜を介することで積層させて構成する手法が採られていた。より具体的には、基板上に、まずTFT及び該TFTのゲート電極膜としての機能を有する走査線を形成し、その上にデータ線、更にその上に画素電極等というようである。このようにすれば、装置の小型化が達成されることに加え、各種要素の配置を適当に設定することにより、画素開口率の向上等を図ることもできる。例えば、特許文献1を参照。
特開2002−156652号公報
しかしながら、従来における電気光学装置では、次のような問題点があった。
すなわち、前述のような電気光学装置では、画素電極及びデータ線を、比較的狭い領域内で平面的に、あるいは立体的に、近接させて形成する場合も生じるが、このような場合、両者間に容量カップリングを生じさせるおそれがあった。つまり、いったん電圧が印加されれば、所定の期間中、本来一定であるべき画素電極の電位が、それに近接するデータ線に対する通電によって変化する可能性があるのである。これにより、画像上にはデータ線に沿うような帯状の表示ムラが生じるおそれがある。
また、TFTの寿命が比較的短期間であったことも問題であった。これは、TFTを構成する半導体層ないしゲート絶縁膜に対して水分が混入すると、水分子がゲート絶縁膜及び半導体層の界面に拡散することによって正電荷が発生し、比較的短期間でスレッショルド電圧Vthが上昇してしまうことによる。このような現象は、Pチャネル型TFTにおいて、より妥当する。このようにTFTが比較的短命であると、当然ながら電気光学装置全体にも影響が及び、画像品質の低下が比較的早期の段階から観察されることになり、やがては装置自体が動作しなくなるおそれすらある。
さらには、前記のような積層構造において、通常、画素電極はその最上層に形成される一方、TFTはその最下層に形成されることが一般的である。したがって、画素電極及びTFT間の電気的接続を図ろうとするためには、両者間には積層構造を構成する他の層やコンタクトホールが介されることとなる。しかしながら、この場合、例えば、画素電極を通常構成することとなるITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電性材料と、前記の他の層たるアルミニウムとを接触させようとすると、いわゆる電蝕が生じることによって、両者間の電気的な導通を阻害するおそれがあったのである。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、画素電極及びデータ線間に生じる容量カップリングの影響を極力排除するとともに、TFTの長期寿命化を図り、更には、積層構造を構成する各要素間の電気的接続を良好に実現することによって、より高品質な画像を表示することの可能な電気光学装置を提供することを課題とする。また、本発明は、そのような電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することをも課題とする。
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するため、基板上に、データ線と、該データ線と交差する走査線と、前記データ線及び前記走査線の交差領域に対応するように配置された画素電極及び薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタの上方であって前記データ線及び前記画素電極間に配置された遮光性のシールド層と、該シールド層の下方に配置された蓄積容量とが積層構造の一部をなして備えられた電気光学装置であって、前記シールド層は、固定電位が印加され、且つ、前記データ線及び前記走査線を覆うように格子状に形成されると共に前記薄膜トランジスタと前記画素電極とを電気的に接続するため中継層を形成する領域に切り欠き部を有し、前記シールド層及び前記中継層は、同一膜で形成されており、且つ、上層に第1の窒化チタン膜が形成されており、前記蓄積容量の一方の電極は、前記中継層を介して前記画素電極に電気的に接続されており、前記蓄積容量の他方の電極は、前記シールド層に電気的に接続されており、且つ、前記蓄積容量の一方の電極を覆うように形成されており、前記データ線及び前記蓄積容量の他方の電極は、同一膜で形成されており、且つ、上層に第2の窒化チタン膜が形成されており、前記切り欠き部が形成された領域において、前記蓄積容量の一方の電極は、前記蓄積容量の他方の電極の括れ部に対応して設けられたコンタクトホールを介して前記中継層と電気的に接続されており、前記蓄積容量の他方の電極は、前記シールド層と前記中継層との間を覆うように形成されていることを特徴とする。
また、前記蓄積容量の一方の電極は、ポリシリコン膜からなり、前記蓄積容量の他方の電極は、アルミニウム膜を含む。
また、前記蓄積容量の誘電体膜は、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層構造からなる。

本発明の電気光学装置によれば、まず、走査線及びデータ線並びに画素電極及び薄膜トランジスタが備えられていることにより、アクティブマトリクス駆動可能である。また、当該電気光学装置では、前記の各種構成要素が積層構造の一部をなしていることにより、装置全体の小型化等を達成することができ、また、各種構成要素の適当な配置を実現することにより、画素開口率の向上を図ることもできる。
そして、本発明では特に、上述の各種構成要素のほか、積層構造を構成するものとして、蓄積容量、シールド層及び層間絶縁膜が備えられている。
第一に、シールド層が、データ線及び画素電極間に備えられていることにより、両者間で容量カップリングが生じることを未然に防止することが可能となる。すなわち、データ線の通電によって、画素電極における電位変動等が生じる可能性を低減することが可能となり、より高品質な画像を表示することが可能となる。
しかも、本発明では、このシールド層に窒化膜が含まれており、該窒化膜は、水分の浸入ないし拡散をせき止める作用に優れていることから、薄膜トランジスタの半導体層に対する水分の浸入を極力防止することが可能となる。これにより、薄膜トランジスタのスレッショルド電圧が上昇するという不具合の発生を極力防止することが可能となり、電気光学装置の運用寿命を長期に保つことができる。
また、第二に、前記シールド層は、前記データ線に沿い、かつ、前記データ線よりも幅広に形成されている。
この態様によれば、シールド層が沿うように形成されたデータ線と画素電極との間について、容量カップリングの影響を排除することが可能となる。すなわち、少なくとも、当該データ線と画素電極との間については、背景技術の項で述べたような不具合が発生しないのである。したがって、本態様によれば、シールド層による透過率の低下を最小限に抑えつつ、上述したような作用効果を、効率的に享受することが可能となる。
この態様では特に、前記シールド層が沿って形成されるデータ線は、一時に画像信号の供給対象とされるデータ線の組のうち、当該組の両端に位置するデータ線を含むように構成するとよい。
このような構成によれば、データ線を幾つかのグループに分け、該グループ毎に同時に画像信号を供給する態様において、容量カップリングの影響が最も生じてほしくないデータ線についてシールド層が形成されていることになるから、より効果的に画像の品質向上を見込むことができる。換言すれば、上述のような場合、画像信号の供給を現に受けているグループ(以下、「供給グループ」という。)と、それに隣接するグループ(以下、「非供給グループ」という。)との間において、その端境に位置に延在するデータ線にほぼ沿った表示ムラの発生を抑制することができる。これは、前記供給グループと前記非供給グループとのちょうど端境に存在する画素電極においては、画像信号に正確に対応した電界が結果的に印加されない場合が多いことによる。より詳しくは、この場合、当該画素電極の一方の端には、画像信号が供給されるデータ線が存在し、他方の端には画像信号が供給されないデータ線が存在するということになるから、当該画素電極に対して、画像信号に対応した正確な電界を印加したとしても、当該画素電極と前記画像信号が供給されないデータ線との間における容量カップリングの影響で、その電位に変動が生じるのである。
なお、「一時に画像信号の供給対象とされるデータ線の組」(すなわち、1グループを構成するデータ線の組)とは、当該画像信号が幾つのパラレル信号からなるかに応じて決まる。例えば、この画像信号が、シリアル信号を6つのパラレル信号にシリアル-パラレル変換されたものと想定するならば、前記データ線の組とは、相隣接する6本のデータ線からなる組である、というような想定が可能である。そして、この場合、「当該組の両端に位置するデータ線」とは、最初の1本目と最後の6本目のデータ線が該当することになる。 また、本発明のでは、該蓄積容量を構成する誘電体膜が、相異なる材料を含む複数の層からなるとともに、そのうちの一の層は他の層に比べて高誘電率材料からなる層を含む積層体を構成するとよい。
この構成によれば、本発明に係る蓄積容量では、従来に比べて、電荷蓄積特性がより優れており、これにより画素電極における電位保持特性を更に向上させることができ、もってより高品質な画像を表示することが可能となる。なお、本発明にいう「高誘電率材料」としては、後述する窒化シリコンの他、TaOx(酸化タンタル)、BST(チタン酸ストロンチウムバリウム)、PZT(チタン酸ジルコン酸塩)、TiO2(酸化チタン)、ZiO2(酸化ジルコニウム)、HfO2(酸化ハフニウム)及びSiON(酸窒化シリコン)のうち少なくとも一つを含んでなる絶縁材料等を挙げることができる。特に、TaOx、BST、PZT、TiO2、ZiO2及びHfO2といった高誘電率材料を使用すれば、限られた基板上領域で容量値を増大できる。あるいは、SiO2(酸化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)及びSiNといったシリコンを含む材料を使用すれば、層間絶縁膜等におけるストレス発生を低減できる。
本発明の電気光学装置の一態様では、前記画素電極の下地として配置された層間絶縁膜の表面は平坦化処理が施されている。
この態様によれば、画素電極下に層間絶縁膜が備えられているとともに、該層間絶縁膜の表面は例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等の平坦化処理が施されていることにより、液晶等の電気光学物質の配向状態に乱れを生じさせる可能性を低減することができ、もってより高品質な画像を表示することが可能となる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記データ線は、前記蓄積容量を構成する一対の電極の一方と同一膜として形成されている。
この態様によれば、前記データ線と前記蓄積容量を構成する一対の電極の一方とは、同一膜として、換言すれば、同一層に、あるいは製造工程段階で同時に形成されている。これにより、例えば、両者を別々の層に形成し且つ両者間を層間絶縁膜で隔てるという手段をとる必要がなく、積層構造の高層化を防止することが可能となる。この点、本発明においては、積層構造中にデータ線及び画素電極間に前記シールド層が形成され、その分の高層化が予定されていることを鑑みると、非常に有益である。なぜなら、余りに多層化した積層構造では製造容易性や製造歩留まり率を害するからである。なお、本態様のように、データ線及び前記一対の電極のうちの一方を同時に形成したとしても、該膜に対して適当なパターニング処理を実施すれば、両者間の絶縁を図ることはでき、この点について特に問題となるようなことはない。
なお、本態様の記載から逆に明らかとなるように、本発明においては、データ線と蓄積容量を構成する一対の電極の一方とを同一膜として形成する必要は必ずしもない。すなわち、両者を別々の層として形成してよい。
この態様では特に、前記データ線は、アルミニウム膜及び導電性のポリシリコン膜の積層体を構成しているようにするとよい。
このような構成によれば、データ線と薄膜トランジスタとの電気的接続を、該データ線を構成する導電性のポリシリコン膜と、薄膜トランジスタを構成する半導体層との接触をもって実現することができ、両者間の電気的接続を良好にすることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記蓄積容量を構成する一対の電極の一方と前記画素電極を電気的に接続する中継層が前記積層構造の一部として更に備えられている。
この態様によれば、前記積層構造の一部をそれぞれ構成する、画素電極と蓄積容量の一対の電極の一方とは、同じく積層構造の一部を構成する中継層によって電気的に接続されることになる。具体的には、コンタクトホールの形成等によればよい。これにより、例えば、本態様に係る中継層を二層構造とするとともに、その上層は画素電極の材料として通常使用される透明導電性材料の一例たるITO(Indium Tin Oxide)と相性のよい材料で構成し、その下層は蓄積容量を構成する一対の電極の一方と相性のよい材料で構成する等の柔軟な構成を採ることが可能となり、画素電極に対する電圧の印加、あるいは該画素電極おける電位の保持をより好適に実現することができる。
この態様では特に、前記中継層は、アルミニウム膜及び窒化膜からなるようにするとよい。
このような構成によれば、例えば、画素電極がITOからなる場合において、これとアルミニウムとを直接に接触させると、両者間において電蝕が生じてしまい、アルミニウムの断線、あるいはアルミナの形成による絶縁等が発生するため、好ましくないことに鑑みるに、本態様では、ITOとアルミニウムとを直接に接触させるのではなく、ITOと、窒化膜、例えば窒化チタン膜とを接触させることにより、画素電極及び中継層、ひいては蓄積容量との電気的接続を実現することができる。このように、本構成は、上述にいう「相性のよい材料」の一例を提供している。
また、窒化物は、水分の浸入ないし拡散をせき止める作用に優れているから、薄膜トランジスタの半導体層に対する水分浸入を未然に防止することが可能となる。本態様では、中継層が窒化膜を含んでいることにより、上述の作用を得ることができ、これにより、薄膜トランジスタのスレッショルド電圧が上昇するという不具合の発生を極力防止することが可能となる。
また、中継層を備える態様では更に、前記シールド層は、前記中継層と同一膜として形成されているようにするとよい。
このような構成によれば、中継層と前記シールド層とが同一膜として形成されていることにより、両構成を同時に形成することが可能となり、その分の製造工程の簡略化、あるいは製造コストの低廉化等を図ることができる。
また、本態様に係る構成と、前述したデータ線及び蓄積容量を構成する一対の電極の一方を同一膜として形成する態様とを併せもつ態様では、データ線、蓄積容量、中継層及び画素電極の配置態様、とりわけ積層順序等が好適となり、上述の作用効果はより効果的に享受される。
さらに特に、本態様に係る構成と、上述の中継層が窒化膜を含む構成とを併せもつ態様によれば、シールド層もまた、窒化膜を含むこととなる。したがって、前述したような薄膜トランジスタの半導体層に対する水分浸入作用を、基板の面についてより広範に得ることが可能となる。したがって、薄膜トランジスタの長期運用という作用効果を、より効果的に享受することが可能となる。
なお、本態様の記載から逆に明らかとなるように、本発明においては、シールド層と中継層とを同一膜として形成する必要は必ずしもない。すなわち、両者を別々の層として形成してよい。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記データ線の表面上には、窒化膜が備えられている。
この態様によれば、前記データ線の表面上には窒化膜が備えられており、該窒化膜は水分の浸入乃至拡散をせき止める作用に優れていることから、薄膜トランジスタの半導体層に対する水分の浸入を極力防止することが可能となる。これにより、薄膜トランジスタのスレッショルド電圧が上昇するという不具合の発生を極力防止することが可能となり、電気光学装置の運用寿命を長期に保つことができる。
また、仮に、データ線の表面上にのみ窒化膜を形成するとすれば、例えば窒化膜を基板全面に関して形成する形態と比べると明らかなように、その内部に作用する応力を低減することが可能となる。したがって、窒化膜自身がその内部応力によって破壊するといった事態を未然に回避することが可能となり、また、当該内部応力が外部に作用することによって、窒化膜周囲に存在する他の構成、例えば、層間絶縁膜等に対してクラックを発生させるといった事態をも未然に防止することが可能となる。
さらに、本態様では、シールド層に窒化膜が含まれるとともに、データ線の表面上にも窒化膜が備えられる形態としてよいが、このような場合では、薄膜トランジスタの半導体層は、二層の窒化膜の下に位置することとなるから、水分浸入防止作用をより確実に享受することが可能となるものと思われる。
なお、本発明にいう「窒化膜」としては、シリコン窒化膜(SiN膜やSiON膜等)、あるいは窒化チタン膜(TiN膜)等が想定される。ただし、それ以外のものであってよいことは言うまでもない。
本発明の参考例に係る他の電気光学装置は、上記課題を解決するために、基板上に、第1方向に延在するデータ線及び該データ線に交差する第2方向に延在する走査線、並びに、前記データ線及び前記走査線の交差領域に対応するように配置された画素電極及び薄膜トランジスタが積層構造の一部をなして備えられた電気光学装置であって、前記基板上には更に、前記薄膜トランジスタ及び前記画素電極に電気的に接続された蓄積容量と、前記データ線及び前記画素電極間に配置されたシールド層とが、前記積層構造の一部をなして備えられてなり、前記データ線には、窒化膜が含まれている。
本発明の参考例に係る他の電気光学装置によれば、特に、データ線に窒化膜が含まれていることにより、該データ線の表面上に窒化膜が備えられている態様に関して既に述べたように、水分浸入防止作用、クラック等のない高信頼性の獲得等が可能となる。

データ線に関して窒化膜が備えられている態様では特に、前記走査線の上にもまた、窒化膜が備えられているようにするとよい。
このような構成によれば、第1方向及び第2方向いずれの方向にも延在する窒化膜が存在することにより、前述の水分浸入防止作用はより確実に発揮されることになる。また、この場合における窒化膜は、通常、格子状に形成されることになるから、画素電極上に窒化膜は存在せず、電気光学装置全体の透明性の維持、換言すれば、光透過率の維持を図ることができる。したがって、本態様によれば、窒化膜の存在により上述したような寿命長期化という作用効果を享受することが可能であるにもかかわらず、より明るい高品質な画像を提供することもできる。ちなみに、本願発明者の研究によると、窒化膜を全面に残したままであると、窒化膜を設けない場合に比べて、4%程度透過率が低下することが確認されている。
このデータ線に関して窒化膜が備えられている態様では更に、前記窒化膜は、前記画素電極、前記データ線及び前記走査線が形成される領域として規定される画像表示領域の周囲に形成されているようにするとよい。
このような構成によれば、画像表示領域の周囲においても、窒化膜が形成されることから、上述の水分浸入防止作用をより確実に発揮させることが可能となる。とりわけ、画像表示領域の周囲に、例えば、データ線及び走査線をそれぞれ駆動するデータ線駆動回路及び走査線駆動回路が設けられる場合であって、これら駆動回路が、基板上に内蔵回路として作り込まれる場合においては、該駆動回路内にも、スイッチング素子としての多数の薄膜トランジスタが備えられることが一般的であるあら、該画像表示領域の周囲に形成される窒化膜は、これら多数の薄膜トランジスタの長寿命化に資することとなる。
ちなみに、本願発明者の確認したところによれば、窒化膜を画像表示領域の周囲及びデータ線の表面上にのみ形成する形態であっても、薄膜トランジスタないし電気光学装置の運用寿命を従前の3倍程度まで延ばすことが可能である。したがって、本態様によれば、必要最小限の窒化膜を使用するのみでもって、TFTに対する水分浸入を、効果的に防止することが可能となる。
また、画像表示領域の周囲に窒化膜が形成されていれば、画像表示領域内及び画像表示領域外における表面凹凸状態をほぼ同じにすることが可能となり、例えば、基板上の積層構造物の表面に対する平坦化処理を行う場合等においては、均一な平坦化処理を行うことが可能となる。
このデータ線に関して窒化膜が形成される態様では更に、前記データ線上に形成される前記窒化膜の幅は、該データ線の幅よりも大きくされているようにするとよい。
このような構成によれば、当該電気光学装置の製造工程時に発生する可能性のある、データ線に対するダメージを低減することが可能となる。
すなわち例えば、本発明に係る窒化膜をデータ線上にのみ形成する場合を考えてみると、具体的には、まず、基板全面に窒化膜の原膜を成膜した後、所定パターン(この場合、「データ線のみを覆うパターン」ということになる。)を有するレジストを形成し、続いて、該レジスト及び前記原膜に対するエッチングを実施する、等といった、いわゆるフォトリソグラフィ法を利用した製造方法が典型的には想定される。しかしながら、この方法においては、上述したようにエッチング工程が介在し、また、前記レジストの剥離工程が含まれていることから、これらの工程中に、データ線に無用なダメージを与える可能性があるのである。
しかるに、本態様においては、窒化膜の幅は、データ線の幅よりも大きくされているのであるから、前記エッチング等によるダメージは、窒化膜の辺縁部が受け持つこととなって、データ線に対するダメージを最小限に抑制することが可能となるのである。
これにより、電気光学装置の安定した動作が保障されることをはじめ、高品質な画像の表示にとっても資することとなる。
この窒化膜の幅がデータ線の幅よりも大きくされている構成では、前記窒化膜の縁は、前記データ線の縁よりも、その両側につきそれぞれ0.1〜2.2μmだけ大きくされているようにするとよい。このような構成によれば、データ線の幅に対して、窒化膜の幅が好適にとられることを意味し、上述したデータ線に対するダメージ防止の作用効果が、より確実に奏されることとなる。
このデータ線に関して窒化膜が形成される態様では更に、前記窒化膜の厚さは、10〜100nmであるようにするとよい。
このような構成によれば、窒化膜の厚さが好適にとられることを意味し、上述した窒化膜内部における応力の影響を、より効果的に排除することが可能となる。
また、窒化膜の厚さを、上述のように比較的小さくとると次のような作用効果も得られる。すなわち、基板上に何らかの素子、配線等の構成要素を形成するとともに、該構成要素の形成領域及びそれ以外の領域の上に層間絶縁膜等を形成すると、該層間絶縁膜等の表面に、いわゆる段差を生じさせることがある。これは、各構成要素がそれぞれが固有の「高さ」を有することに起因する。このような段差が生じると、液晶表示装置等の電気光学装置では通常設けられることとなる配向膜の塗布が不均一となったり、該配向膜に対するラビング処理を好適に実施することができない等といった問題が生じることとなり、その結果、コントラストの低下等の画像品質の低下をもたらすことになる。
しかるに、本態様においては、窒化膜の厚さが、10〜100nm程度というように比較的小さく制約されることにより、上述の段差を低めに抑えることが可能となり、コントラストの低下等といった事態を招く可能性を低減することが可能となるのである。
このデータ線に関して窒化膜が形成される態様では更に、前記基板に電気光学物質を挟んで対向する他の基板と、該他の基板上に前記走査線及び前記データ線と位置的に対応するように形成された遮光膜を更に備え、前記窒化膜の幅は、前記遮光膜の幅よりも小さくされているようにするとよい。
このような構成によれば、前記窒化膜の幅は前記遮光膜の幅よりも小さくされている。すなわち、平面的にみると、本態様に係る窒化膜は、遮光膜に覆い隠されるような形態となる。ここで、遮光膜とは、画素間の光の混同を防止し、画像のコントラストを向上させること等を目的として、通常、光を透過させないように設けられているものであるから、このような遮光膜に覆い隠されるように窒化膜を形成することによれば、電気光学装置全体の光透過率を好適に維持することが可能となるのである。
なお、本態様において、遮光膜は、「他の基板」上に形成されているが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、本態様に係る遮光膜に代えて、前記基板(「他の基板」ではない。)上に設けられた他の遮光膜が、それに該当するような形態も考えることもできる。この場合更に、前記基板上には、既に述べたように、TFT、蓄積容量、走査線及びデータ線等とこれらを隔てる層間絶縁膜等が形成されるが、前記他の遮光膜は、これら各種の要素の一部を構成しているものと考えることができ、また、層間絶縁膜間に設けられることによって、いわゆる内蔵遮光膜を構成しているものと考えることができる。
また、他の基板上に設けられる遮光膜及び前記基板上に設けられる他の遮光膜を併せもつ電気光学装置においても、本態様は適用可能であることは言うまでもない。
この態様では特に、前記窒化膜の縁は、前記遮光膜の縁よりも、その両側につきそれぞれ1μm以内で小さく形成されているようにするとよい。このような構成によれば、遮光膜の幅に対して、窒化膜の幅が好適にとられることを意味し、上述した電気光学装置の透過率の維持という作用効果が、より確実に奏されることとなる。
このデータ線に関して窒化膜が形成される態様では更に、前記基板に電気光学物質を挟んで対向する他の基板と、該他の基板上に前記走査線及び前記データ線と位置的に対応するように形成された遮光膜を更に備え、前記窒化膜の幅は、前記遮光膜の幅よりも大きくされているようにするとよい。
このような構成によれば、画像上に現れるフリッカを減少させることが可能となる。その正確な理由は明らかではないが、窒化膜が固有に有する屈折率が、遮光膜の脇を通る入射光を屈折させるためであると考えられる。すなわち、窒化膜の比較的幅広の部分に入射した光は、該部分によって屈折してその進行経路を変え、本来であれば薄膜トランジスタに入射するはずであった光を、どこか別の箇所へと至らしめることとなると考えられるのである。したがって、本態様によれば、薄膜トランジスタに対する入射光を減少させることが可能となって、光リーク電流が減少し、これによりフリッカが減少されることとなると考えられるのである。
なお、上述のような観点のみから言えば、窒化膜の幅は大きければ大きいほどよいとも思われるが、余りに大きくしすぎると、窒化膜が光透過領域にかかることとなって、電気光学装置全体に関する光透過率を減少させ、画像品質の低下を招くおそれがある。したがって、窒化膜の幅が遮光膜の幅よりも大きいという場合におけるその程度は、いま述べた観点から制約され、より具体的には、遮光膜の一方の縁から見て窒化膜の一方の縁に至るまでの距離が、1.7μm程度であれば好ましいと考えられる。
また、本態様に係る作用効果は、上述した、窒化膜の幅をデータ線の幅よりも大きくとる態様においても、同様に奏されることとなるは言うまでもない。この場合においては、上述の説明において屈折を受ける光は、「データ線の脇を通る光」ということになる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記シールド層は、透明導電性材料からなるとともに、前記基板の全面に関してベタ状に形成されている。
この態様によれば、シールド層が基板の全面に関してベタ状に形成されていることにより、より確実に、データ線及び画素電極間に生じる容量カップリングの影響を排除することが可能となる。また、このようにシールド層をベタ状に形成したとしても、該シールド層は、例えばITOやIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電性材料からなるから、電気光学装置における光透過について特段に支障を生じさせるわけではない。
なお、本態様のように、シールド層をベタ状に形成する場合においては、前記画素電極及び前記薄膜トランジスタ等の間を電気的に接続するコンタクトホールの形成に対応すべく、前記シールド層には、前記コンタクトホールが形成される位置に応じた孔が形成されているようにするとよい。このようにすれば、コンタクトホールの形成を無理なく行うことができるから、本発明に係る電気光学装置を構成する、上述した各種構成間の電気的な接続を無理なく実現することができる。なお、ここにいう「孔」は、特に精度高く形成される必要はない。すなわち、当該孔は、前記コンタクトホールを貫通させるに足りるに十分な孔であればよく、製造上、特段の注意を要しないのである。ただし、本態様のように基板全面に関してベタ状にシールド層を形成する場合であっても、該シールド層と同一膜として形成される前述の「中継層」を併せもたせるようにしてよいから、この場合においては、コンタクトホールを貫通させるべき「孔」は必要ない。ただ、該シールド層(固定電位)と中継層(画素電極の電位)との間では電気的絶縁を図る必要があるから、「孔」を形成するためのパターニングは必要ないが、「中継層」を形成するためのパターニングは必要となる。本態様にいう「ベタ状」とは、このような場合を含む。
また、本態様のように、シールド層を全面に関してベタ状に形成される場合にあっては、該シールド層の厚さを、50〜500nm程度とすることが好ましい。このようにすれば、シールド層の厚さが、容量カップリングの影響を排除するに十分であって、かつ、電気光学装置全体の透明性の維持にとって、好適な範囲内に限定されることになるからである。
なお、上述の本発明の各種態様においては、一の態様と別の態様とを自由に組合せることが基本的に可能である。ただし、事柄の性質上、相容れない場合もありえる。例えば、シールド層が透明導電性材料からなる場合と、データ線が蓄積容量を構成する一対の電極の一方と同一巻くとして形成されている場合とを組み合わせること等である。むろん三つ以上の態様を併せもつ電気光学装置を構成することも可能である。
本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上述の本発明の電気光学装置を具備してなる。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるから、画素電極及びデータ線間に生じる容量カップリングの影響を極力排除するとともに、積層構造を構成する要素間の電気的接続を良好に実現すること等によって、より高品質な画像を表示することの可能な、投射型表示装置(液晶プロジェクタ)、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル等の各種電子機器を実現することができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態における電気光学装置の画素部における構成について、図1から図4を参照して説明する。ここに図1は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。図2は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図3は、図2のうち特にデータ線、シールド層及び画素電極の配置関係を示すためこれらの要素を抜き出して描いた平面図である。また、図4は、図2のA−A´断面図である。なお、図4においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
図1において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線3aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
以下では、上記データ線6a、走査線3a、TFT30等による、上述のような回路動作が実現される電気光学装置の、実際の構成について、図2ないし図4を参照して説明する。
まず、図2において、画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられており(点線部9a´により輪郭が示されている)、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。データ線6aは、後述するようにアルミニウム膜等を含む積層構造からなり、走査線3aは、例えば導電性のポリシリコン膜等からなる。また、走査線3aは、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a´に対向するように配置されており、該走査線3aはゲート電極として機能する。すなわち、走査線3aとデータ線6aとの交差する箇所にはそれぞれ、チャネル領域1a´に走査線3aの本線部がゲート電極として対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
次に、電気光学装置は、図2のA−A´線断面図たる図4に示すように、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなるTFTアレイ基板10と、これに対向配置される、例えばガラス基板や石英基板からなる対向基板20とを備えている。
TFTアレイ基板10の側には、図4に示すように、前記の画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。他方、対向基板20の側には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。このうち対向電極21は、上述の画素電極9aと同様に、例えばITO膜等の透明導電性膜からなり、前記の配向膜16及び22は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。このように対向配置されたTFTアレイ基板10及び対向基板20間には、後述のシール材(図16及び図17参照)により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した電気光学物質からなる。シール材は、TFT基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサが混入されている。
一方、TFTアレイ基板10上には、前記の画素電極9a及び配向膜16の他、これらを含む各種の構成が積層構造をなして備えられている。この積層構造は、図4に示すように、下から順に、下側遮光膜11aを含む第1層、TFT30及び走査線3a等を含む第2層、蓄積容量70及びデータ線6a等を含む第3層、シールド層400等を含む第4層、前記の画素電極9a及び配向膜16等を含む第5層(最上層)からなる。また、第1層及び第2層間には下地絶縁膜12が、第2層及び第3層間には第1層間絶縁膜41が、第3層及び第4層間には第2層間絶縁膜42が、第4層及び第5層間には第3層間絶縁膜43が、それぞれ設けられており、前述の各要素間が短絡することを防止している。また、これら各種の絶縁膜12、41、42及び43には、例えば、TFT30の半導体層1a中の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール等もまた設けられている。以下では、これらの各要素について、下から順に説明を行う。
まず、第1層には、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる下側遮光膜11aが設けられている。この下側遮光膜11aは、平面的にみて格子状にパターニングされており、これにより各画素の開口領域を規定している(図2参照)。下側遮光膜11aの走査線3aとデータ線6aが交差する領域では、画素電極9aの角を角取りするように突出した領域が形成されている。また、この下側遮光膜11aについては、その電位変動がTFT30に対して悪影響を及ぼすことを避けるために、画像表示領域からその周囲に延設して定電位源に接続するとよい。
次に、第2層として、TFT30及び走査線3aが設けられている。TFT30は、図4に示すように、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、その構成要素としては、上述したようにゲート電極として機能する走査線3a、例えばポリシリコン膜からなり走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a´、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aにおける低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
なお、TFT30は、好ましくは図4に示したようにLDD構造をもつが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物の打ち込みを行わないオフセット構造をもってよいし、走査線3aの一部からなるゲート電極をマスクとして高濃度で不純物を打ち込み、自己整合的に高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。また、本実施形態では、画素スイッチング用TFT30のゲート電極を、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1e間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。このようにデュアルゲート、あるいはトリプルゲート以上でTFTを構成すれば、チャネルとソース及びドレイン領域との接合部のリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。さらに、TFT30を構成する半導体層1aは非単結晶層でも単結晶層でも構わない。単結晶層の形成には、貼り合わせ法等の公知の方法を用いることができる。半導体層1aを単結晶層とすることで、特に周辺回路の高性能化を図ることができる。
以上説明した下側遮光膜11aの上、かつ、TFT30の下には、例えばシリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能のほか、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
そして、本実施形態においては特に、この下地絶縁膜12には、平面的にみて半導体層1aの両脇に、後述するデータ線6aに沿って延びる溝12cvが掘られており、この溝12cvに対応して、その上方に積層される走査線3aは下側に凹状に形成された部分を含んでいる(図2では、複雑化を避けるため不図示とした。)。また、この溝12cv全体を埋めるようにして、走査線3aが形成されていることにより、該走査線3aには、これと一体的に形成された水平的突出部3bが延設されるようになっている。これにより、TFT30の半導体層1aは、図2によく示されているように、平面的にみて側方から覆われるようになっており、少なくともこの部分からの光の入射が抑制されるようになっている。なお、水平的突出部3bは、半導体層1aの片側だけでもよい。
さて、前述の第2層に続けて第3層には、蓄積容量70及びデータ線6aが設けられている。蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに電気的に接続された画素電位側容量電極としての第1中継層71と、固定電位側容量電極としての容量電極300とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。この蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性を顕著に高めることが可能となる。また、本実施形態に係る蓄積容量70は、図2の平面図を見るとわかるように、画素電極9aの形成領域にほぼ対応する光透過領域には至らないように形成されているため、換言すれば、遮光領域内に収まるように形成されている。すなわち、蓄積容量70は、隣接するデータ線6a間の走査線3aに重なる領域と、走査線3aとデータ線6aが交差する角部で下側遮光膜11が画素電極9aの角を角取りする領域に形成されている。これにより、電気光学装置全体の画素開口率は比較的大きく維持され、より明るい画像を表示することが可能となる。
より詳細には、第1中継層71は、例えば導電性のポリシリコン膜からなり画素電位側容量電極として機能する。ただし、第1中継層71は、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。多層膜の場合は、下層を光吸収性の導電性のポリシリコン膜、上層を光反射性の金属又は合金にするとよい。また、この第1中継層71は、画素電位側容量電極としての機能のほか、コンタクトホール83、85及び89を介して、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能をもつ。この第1中継層71は、図2に示すように、後述する容量電極300の平面形状と略同一の形状を有するように形成されている。
容量電極300は、蓄積容量70の固定電位側容量電極として機能する。第1実施形態において、容量電極300を固定電位とするためには、固定電位とされたシールド層400とコンタクトホール87を介して電気的接続が図られることによりなされている。
ただし、後述するように、容量電極300とデータ線6aとを別々の層として形成する形態では、好ましくは例えば、該容量電極300を、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設し定電位源と電気的に接続する等という手段をとることにより、該容量電極300を固定電位に維持するようにしてもよい。ちなみに、ここに述べた「定電位源」としては、データ線駆動回路101に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位でも構わない。
そして、本実施形態では特に、この容量電極300と同一膜として、データ線6aが形成されている。ここに「同一膜」とは、同一層として、あるいは製造工程段階において同時に形成されていることを意味している。ただし、容量電極300及びデータ線6a間は平面形状的に連続して形成さているのではなく、両者間はパターニング上分断されている。
具体的には、図2に示すように、容量電極300は、走査線3aの形成領域に重なるように、すなわち図中X方向に沿って分断されつつ形成されており、データ線6aは、半導体層1aの長手方向に重なるように、すなわち図中Y方向に延在するように形成されている。より詳しくは、容量電極300は、走査線3aに沿って延びる本線部と、図2中、半導体層1aに隣接する領域において該半導体層1aに沿って図中上方に突出した突出部(図中略台形状のように見える部分)と、後述するコンタクトホール85に対応する個所が僅かに括れた括れ部とを備えている。このうち突出部は、蓄積容量70の形成領域の増大に貢献する。
他方、データ線6aは、図2中Y方向に沿って直線的に延びる本線部を有している。なお、半導体層1aの図2中上端にある高濃度ドレイン領域1eは、蓄積容量70の突出部の領域に重なるように、右方に90度直角に折り曲がるような形状を有しているが、これはデータ線6aを避けて、該半導体層1aと蓄積容量70との電気的接続を図るためである(図4参照)。
本実施形態では、以上のような形状が呈されるようにパターニング等が実施されて、容量電極300及びデータ線6aが同時に形成されることになる。
また、これら容量電極300及びデータ線6aは、図4に示すように、下層に導電性のポリシリコンからなる層、上層にアルミニウムからなる層の二層構造を有する膜として形成されている。このうちデータ線6aについては、後述する誘電体膜75の開口部を貫通するコンタクトホール81を介して、TFT30の半導体層1aと電気的に接続されることとなるが、該データ線6aが上述のような二層構造をとり、また前述の第1中継層71が導電性のポリシリコン膜からなることにより、該データ線6a及び半導体層1a間の電気的接続は、直接には、導電性のポリシリコン膜によって実現されることになる。すなわち、下から順に、第1中継層のポリシリコン膜、データ線6aの下層のポリシリコン膜及びその上層のアルミニウム膜ということになる。したがって、両者間の電気的接続を良好に保つことが可能となる。
また、容量電極300及びデータ線6aは、光反射性能に比較的優れたアルミニウムを含み、且つ、光吸収性能に比較的優れたポリシリコンを含むことから、遮光層として機能し得る。すなわち、これらによれば、TFT30の半導体層1aに対する入射光(図4参照)の進行を、その上側で遮ることが可能である。
誘電体膜75は、図4に示すように、例えば膜厚5〜200nm程度の比較的薄いHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等から構成される。蓄積容量70を増大させる観点からは、膜の信頼性が十分に得られる限りにおいて、誘電体膜75は薄いほどよい。そして、本実施形態においては特に、この誘電体膜75は、図4に示すように、下層に酸化シリコン膜75a、上層に窒化シリコン膜75bというように二層構造を有し、TFTアレイ基板10の全面に渡って形成されている。なお、誘電体膜75の他の例として、下層の酸化シリコン膜75aは、TFTアレイ基板10の全面に渡って形成し、上層の窒化シリコン膜75bは、遮光領域(非開口領域)内で収まるようにパターンニングして、着色性のある窒化シリコン膜の存在により透過率が低くなることを防止するように構成してもよい。これにより、比較的誘電率の大きい窒化シリコン膜75bが存在することにより、蓄積容量70の容量値を増大させることが可能となる他、それにもかかわらず、酸化シリコン膜75aが存在することにより、蓄積容量70の耐圧性を低下せしめることがない。このように、誘電体膜75を二層構造とすることにより、相反する二つの作用効果を享受することが可能となる。また、窒化シリコン膜75bが存在することにより、TFT30に対する水の浸入を未然に防止することが可能となっている。これにより、本実施形態では、TFT30におけるスレッショルド電圧の上昇という事態を将来することがなく、比較的長期の装置運用が可能となる。なお、本実施形態では、誘電体膜75は、二層構造を有するものとなっているが、場合によっては、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜等というような三層構造や、あるいはそれ以上の積層構造を有するように構成してもよい。
また、本実施形態では、データ線6a及び容量電極300は、二層構造としたが、下層より、ポリシリコン膜、アルミニウム膜、窒化チタン膜の三層構造にし、窒化チタン膜をコンタクトホール87の開口時のバリアメタルとして形成しても良い。
以上説明したTFT30ないし走査線3aの上、かつ、蓄積容量70ないしデータ線6aの下には、例えば、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第1層間絶縁膜41が形成されている。そして、この第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール81が開孔されている。また、第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと蓄積容量70を構成する第1中継層71とを電気的に接続するコンタクトホール83が開孔されている。
なお、これら二つのコンタクトホールのうち、コンタクトホール81の形成部分では、前述の誘電体膜75が形成されないように、換言すれば、該誘電体膜75に開口部が形成されるようになっている。これは、該コンタクトホール81においては、第1中継層71を介して、高濃度ソース領域1b及びデータ線6a間の電気的導通を図る必要があるためである。ちなみに、このような開口部が誘電体膜75に設けられていれば、TFT30の半導体層1aに対する水素化処理を行うような場合において、該処理に用いる水素を、該開口部を通じて半導体層1aにまで容易に到達させることが可能となるという作用効果を得ることも可能となる。
また、本実施形態では、第1層間絶縁膜41に対しては、約1000℃の焼成を行うことにより、半導体層1aや走査線3aを構成するポリシリコン膜に注入したイオンの活性化を図ってもよい。
さて、前述の第3層に続けて第4層には、遮光性のシールド層400が形成されている。このシールド層400は、平面的にみると、図2及び図3に示すように、図2中X方向及びY方向それぞれに延在するように格子状に形成されている。該シールド層400のうち図2中Y方向に延在する部分については特に、データ線6aを覆うように、且つ、該データ線6aよりも幅広に形成されている。また、図2中X方向に延在する部分については、後述の第3中継電極402を形成する領域を確保するために、各画素電極9aの一辺の中央付近に切り欠き部を有している。さらには、図2中XY方向それぞれに延在するシールド層400の交差部分の角部においては、前述の容量電極300の略台形状の突出部に対応するように、略三角形状の部分が設けられている。シールド層400は、下側遮光膜11aと同じ幅でもよいし、下側遮光膜11aより幅が広くても、あるいは幅が狭くてもよい。
このシールド層400は、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されることで、固定電位とされている。なお、ここに述べた「定電位源」としては、データ線駆動回路101に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位源でも構わない。
このように、データ線6aの全体を覆うように形成されているとともに(図3参照)、固定電位とされたシールド層400の存在によれば、該データ線6a及び画素電極9a間に生じる容量カップリングの影響を排除することが可能となる。すなわち、データ線6aへの通電に応じて、画素電極9aの電位が変動するという事態を未然に回避することが可能となり、画像上に該データ線6aに沿った表示ムラ等を発生させる可能性を低減することができる。本実施形態においてはまた、シールド層400は格子状に形成されているから、走査線3aが延在する部分についても無用な容量カップリングが生じないように、これを抑制することが可能となっている。また、シールド層400における上述の三角形状の部分は、容量電極300と画素電極9aとの間に生じる容量カップリングの影響を排除することが可能であり、これによっても、上述と略同様な作用効果が得られることになる。
また、第4層には、このようなシールド層400と同一膜として、本発明にいう「中継層」の一例たる第2中継層402が形成されている。この第2中継層402は、後述のコンタクトホール89を介して、蓄積容量70を構成する第1中継層71及び画素電極9a間の電気的接続を中継する機能を有する。なお、これらシールド層400及び第2中継層402間は、前述の容量電極300及びデータ線6aと同様に、平面形状的に連続して形成されているのではなく、両者間はパターニング上分断されるように形成されている。
他方、上述のシールド層400及び第2中継層402は、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層の二層構造を有している。これにより、まず、窒化チタンによる水分防止作用の発揮が期待される。また、第2中継層402において、下層のアルミニウムからなる層は、蓄積容量70を構成する第1中継層71と接続され、上層の窒化チタンからなる層は、ITO等からなる画素電極9aと接続されるようになっている。この場合、とりわけ後者の接続は良好に行われることになる。この点、仮に、アルミニウムとITOとを直接に接続してしまう形態をとると、両者間において電蝕が生じてしまい、アルミニウムの断線、あるいはアルミナの形成による絶縁等のため、好ましい電気的接続が実現されないこととは対照的である。また、窒化チタンは、コンタクトホール89の開口時の突きぬけ防止のためのバリアメタルとして機能する。このように、本実施形態では、第2中継層402と画素電極9aとの電気的接続を良好に実現することができることにより、該画素電極9aに対する電圧印加、あるいは該画素電極9aにおける電位保持特性を良好に維持することが可能となる。
さらには、シールド層400及び第2中継層402は、光反射性能に比較的優れたアルミニウムを含み、且つ、光吸収性能に比較的優れた窒化チタンを含むことから、遮光層として機能し得る。すなわち、これらによれば、TFT30の半導体層1aに対する入射光(図2参照)の進行を、その上側でさえぎることが可能である。なお、このようなことについては、既に述べたように、上述の容量電極300及びデータ線6aについても同様にいえる。本実施形態においては、これらシールド層400、第2中継層402、容量電極300及びデータ線6aが、TFTアレイ基板10上に構築される積層構造の一部をなしつつ、TFT30に対する上側からの光入射を遮る上側遮光膜(あるいは、「積層構造の一部」を構成しているという点に着目すれば「内蔵遮光膜」)として機能しうる。なお、この「上側遮光膜」ないし「内蔵遮光膜」なる概念によれば、上述の構成のほか、走査線3aや第1中継層71等もまた、それに含まれるものとして考えることができる。要は、最も広義に解する前提の下、TFTアレイ基板10上に構築される不透明な材料からなる構成であれば、「上側遮光膜」ないし「内蔵遮光膜」と呼びうる。
以上説明した前述のデータ線6aの上、かつ、シールド層400の下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第2層間絶縁膜42が形成されている。この第2層間絶縁膜42には、前記のシールド層400と容量電極300とを電気的に接続するためのコンタクトホール87、及び、第2中継層402と第1中継層71とを電気的に接続するためのコンタクトホール85がそれぞれ開孔されている。
なお、第2層間絶縁膜42に対しては、第1層間絶縁膜41に関して前述したような焼成を行わないことにより、容量電極300の界面付近に生じるストレスの緩和を図るようにしてもよい。
最後に、第5層には、上述したように画素電極9aがマトリクス状に形成され、該画素電極9a上に配向膜16が形成されている。この画素電極9aは、角部がカットされた形状でもよい。そして、この画素電極9a下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはBPSGからなる第3層間絶縁膜43が形成されている。この第3層間絶縁膜43には、画素電極9a及び前記の第2中継層402間を電気的に接続するためのコンタクトホール89が開孔されている。また、本実施形態では特に、第3層間絶縁膜43の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により平坦化されており、その下方に存在する各種配線や素子等による段差に起因する液晶層50の配向不良を低減する。ただし、このように第3層間絶縁膜43に平坦化処理を施すのに代えて、又は加えて、TFTアレイ基板10、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41及び第2層間絶縁膜42のうち少なくとも一つに溝を掘って、データ線6a等の配線やTFT30等を埋め込むことにより、平坦化処理を行ってもよい。
以上のような構成となる第1実施形態の電気光学装置では、大きく、次のような三つの作用効果が奏される。すなわち、第一に、TFTアレイ基板10上の積層構造中にシールド層400が形成されていることにより、画素電極9a及びデータ線6a間の容量カップリングの影響を排除することが可能である。すなわち、該シールド層400は、画像表示領域10a外に設けられた定電位源に接続等されて固定電位とされるとともに、データ線6aを覆うように形成されているため、データ線6aの通電により、画素電極9aの電位が変動するという事態を未然に回避することができる。したがって、第1実施形態によれば、データ線6aに沿った画像上の表示ムラ等を発生させることが殆どない。
第二に、シールド層400が窒化チタンを含んでいたことにより、TFT30の耐湿性を向上させることが可能となる。これは、該窒化チタンを含む窒化物は、一般に、その構造が稠密であり、水分の浸入ないし拡散をせき止める作用に優れていることによる。したがって、第1実施形態によれば、TFT30の高寿命化を図ることができ、また、電気光学装置全体の比較的長期の運用が可能となる。
第三に、画素電極9aとTFT30とを電気的に接続するための構成として、第1実施形態では、第2中継層402が形成されていたことにより、該画素電極9aを構成するITOによる電蝕発生の危険性を回避することができる。特に、この第2中継層402は、前記のシールド層400と同一膜として形成されていることから、該第2中継層402は、ITOとより電蝕の生じにくい窒化チタンを含んでいる。したがって、第1実施形態によれば、画素電極9a及びTFT30間の電気的接続が断絶されるという事態を未然に回避することが可能となり、該画素電極9aの良好な駆動を実現することができる。
そして、第1実施形態では更に、上述のシールド層400及び第2中継層402に関して、次のような付随的な作用効果が奏されることとなる。
すなわち、第1実施形態では、データ線6aは蓄積容量70を構成する容量電極300と同一膜として形成されていた。したがって、前述のような作用効果を発揮するシールド層400を画素電極9a及びデータ線6a間に配置する構成を採るに際し、第1実施形態では、該シールド層400のために別の層を新たに設ける必要がない。すなわち、積層構造の高層化を防止することが可能となる。これにより、製造容易性の確保や製造歩留まり率を高く維持することが可能となる。
また、同じ理由により、前述の第2中継層402の配置も無理なく行うことができる。すなわち、データ線6aが容量電極300と同一膜として形成されているのであれば、該容量電極300と画素電極9a間に第2中継層402を設けることは自然に行われ得るのである。
さらに、データ線6aがアルミニウム膜及び導電性ポリシリコン膜という二層構造をとることにより、既に述べたように、該データ線6a及びTFT30間の電気的接続を良好に図ることができる。
以上のように、第1実施形態によれば、画素電極9a及びデータ線6a間の容量カップリングの影響を排除するとともに、TFT30の長寿命化が図られ、画素電極9a及び第2中継層402、ひいてはTFT30間の電気的接続、あるいはデータ線6a及びTFT30間の電気的接続を良好に実現することができるから、従前にも増して、より高品質な画像を表示することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の電気光学装置について、図5から図8を参照しながら説明する。ここに図5は、図2と同趣旨の図であって、シールド層及びデータ線等の構成について異なる態様となるものを示すものであり、図6は、図4と同趣旨の図であって図5のA−A´断面図であり、データ線及びシールド層等の構成について異なる態様となるものを示すものである。また、図7は、データ線上に形成される窒化膜の態様を示す平面図であり、図8は、図5のB−B´断面図であり、図9は、図8の変形形態に係る図である。なお、第2実施形態の電気光学装置は、上記の第1実施形態の電気光学装置の画素部における構成と略同様な構成を備えている。したがって、以下では、第2実施形態において特徴的な部分のみについて主な説明を加えることとし、残余の部分については、その説明を適宜省略ないし簡略化することとする。
第2実施形態では、図6に示すように、図4と比べて、蓄積容量70を構成する上部電極たる容量電極300とデータ線6aとが同一膜として構成されていない点、また、それに伴って、層間絶縁膜が増加されている。すなわち、新たにもう一層、「第4層間絶縁膜44」が設けられている点、そしてゲート電極3aaと同一膜として中継電極719が形成されている点に大きな相違がある。これにより、TFTアレイ基板10上から順に、走査線を兼ねる下側遮光膜11aを含む第1層、ゲート電極3aaを有するTFT30を含む第2層、蓄積容量70を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、シールド層404が形成される第5層、前記の画素電極9a及び配向膜16等を含む第6層(最上層)からなる。また、第1層及び第2層間には下地絶縁膜12が、第2層及び第3層間には第1層間絶縁膜41が、第3層及び第4層間には第2層間絶縁膜42が、第4層及び第5層間には第3層間絶縁膜43が、第5層及び第6層間には第4層間絶縁膜44が、それぞれ設けられており、前述の各要素間が短絡することを防止している。本例では、第1実施形態における第2層には走査線3aが形成されていたのに代えて、第2実施形態では、走査線3aに代わるゲート電極3aaが形成されるとともに、これと同一膜として中継電極719が新たに形成されている。以下、各層における構成について、より詳しく説明する。
まず、第2層には、半導体層1aのチャネル領域1a´に対向するように、ゲート電極3aaが形成されている。このゲート電極3aaは、第1実施形態の走査線3aのように線状には形成されておらず、半導体層1aないしチャネル領域1a´がTFTアレイ基板10上に島状に形成されていることに応じて、島状に形成されている。また、第2実施形態では、これに応じて、コンタクトホール成す溝12cvの底が、第1層の下側遮光膜11aの表面に接する深さを有しているとともに、該下側遮光膜11aは図5中X方向に延在するストライプ状に形成されている。これにより、溝12cv上に形成されたゲート電極3aaは、該溝12cvを介して下側遮光膜11aと電気的に接続されることになる。すなわち、第2実施形態では、ゲート電極3aaには、下側遮光膜11aを通じて走査信号が供給されるようになっている。換言すれば、第2実施形態の下側遮光膜11aは、走査線としての機能を担うことになる。
なお、第2実施形態における下側遮光膜11aについては、図5に示すように、データ線6aが延在する方向に沿って突出部を有している。これにより、第2実施形態の下側遮光膜11aは、第1実施形態における格子状の下側遮光膜11aと遜色ない遮光機能をも発揮することになる。ただし、相隣接する下側遮光膜11aから延びる突出部は相互に接触することはなく、互いに電気的に絶縁されている。こうしないと、下側遮光膜11aを、走査線として機能させることができないからである。また、下側遮光膜11aは、データ線6aと交差する領域では、画素電極9aの角を角取りするように突出した領域が形成されている。そして、下側遮光膜11aは、TFT30、走査線3a、データ線6a、蓄積容量70、シールド用中継層6a1、第2中継層6a2、第3中継層406を、下側から見て覆うように形成されている。
そして、第2実施形態においては特に、上述のゲート電極3aaと同一膜として中継電極719が形成されている。中継電極719は、平面的に見て、図5に示すように、各画素電極9aの一辺の略中央に位置するように、島状に形成されている。中継電極719と、ゲート電極3aaとは同一膜として形成されているから、後者が例えば導電性ポリシリコン膜等からなる場合においては、前者もまた、導電性ポリシリコン膜等からなる。
次に、第3層には、蓄積容量70を構成する第1中継層71、誘電体膜75及び容量電極300が形成されている。このうち第1中継層71はポリシリコンで形成される。そして、容量電極300は、もはやデータ線6aと同時に形成されるわけではないので、第1実施形態のように、該データ線6a及びTFT30間の電気的接続に対する配慮を払う意味を込めて、アルミニウム膜及び導電性のポリシリコン膜という二層構造をとる必要は必ずしもない。したがって、該容量電極300は、例えば、下側遮光膜11aと同様に、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等の遮光性材料から構成するとよい。これによれば、容量電極300は、上述の「上側遮光膜」ないし「内蔵遮光膜」としての機能をよりよく発揮し得る。
また、同じ理由、すなわち容量電極300とデータ線6aとが別々の層に形成されることにより、本態様では、同一平面内における両者間の電気的絶縁を図る必要はない。したがって、容量電極300は、走査線3aの方向に延在する容量線の一部として形成することが可能である。
この蓄積容量70は、TFT30とデータ線6aとの間に形成されるので、図5に示すように、走査線3aの延設方向並びにデータ線6aの延設方向に十字形状に形成されている。これにより、蓄積容量を増大化でき、遮光性の容量電極300により、TFT30への遮光性を高めることができる。また、蓄積容量70は、下側遮光膜11やシールド層400が形成されている画素電極6aの角部に形成すると、より蓄積容量の増大化、遮光性を高めることができる。
以上述べた、ゲート電極3aa及び中継電極719の上、且つ、蓄積容量70の下には、第1層間絶縁膜41が形成されているが、該第1層間絶縁膜41は、上述と略同様に、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等で構成すればよい。また、この第1層間絶縁膜41には、第1中継層71の図6中下面に電気的接続点をもつように配置された、コンタクトホール881が開孔されている。これにより、第1中継層71及び中継電極719間の電気的接続が図られることになる。また、第1層間絶縁膜41には、後述する第2中継層6a2との電気的接続を図るため、後記第2層間絶縁膜42をも貫通するように開孔されたコンタクトホール882が開孔されている。
他方、第4層にはデータ線6aが形成されるが、該データ線6aもまた、前述の容量電極300と同様に、二層構造をとる必要は必ずしもない。例えば、該データ線6aは、アルミニウム単体、あるいはアルミニウム合金その他の金属又は合金等の導電性材料で構成すればよい。ただし、このデータ線6aは、TFT30の半導体層1aと電気的に接触しなければならないことは、上記第1実施形態と変わりないから、該半導体層1aと直接的に接触する部分については、導電性ポリシリコン膜が設けられていることが好ましい。図6においては、第1中継層71と同一膜として形成された膜が、コンタクトホール81内に形成されていることにより、上のような要請は満たされている。
そして、第2実施形態では特に、上述のようにアルミニウム等から構成されたデータ線6aの上に、かつ、該データ線6aに沿って、例えばSiN膜、SiON膜又はTiN膜等からなる窒化膜401を備えている。ただし、本実施形態に係る窒化膜401は、データ線6a上の他、マトリクス状に配列された画素電極9a並びにこれらの間隙を縫うように配置されたデータ線6a及び走査線3aが形成される領域として規定される画像表示領域10aの周囲にも、ロの字状に形成されている。なお、この窒化膜401の厚さは、例えば10〜100nm程度、より好ましくは10〜30nm程度に構成するとよい。
以上により、本実施形態に係る窒化膜401は、TFTアレイ基板10上において、全体的に図7に概略的に示すような形状で形成されていることになる。なお、図7中、画像表示領域10aの周囲に存在している窒化膜401は、後述するデータ線駆動回路101や走査線駆動回路104を構成するCMOS(Complementary MOS)型TFTに対する水分浸入防止に大きく貢献する(図16参照)。ただし、窒化物は、その他一般の材料に比べて、ドライエッチング等におけるエッチングレートが小さくなることが予測されるから、上述の画像表示領域10aの周囲の領域に窒化膜401を形成する場合であって、該領域内にコンタクトホール等を形成する必要がある場合においては、該窒化膜401内に、該コンタクトホールの位置に対応した孔を予め形成しておくとよい。これは、図7に示すようなパターニングを実施する際に併せて行っておけば、製造工程の簡略化に資する。
また、第4層には、データ線6aと同一膜として、シールド層用中継層6a1及び第2中継層6a2(ただし、第1実施形態における「第2中継層」とは少々意味合いが異なる。)が形成されている。このうち前者は、遮光性のシールド層404と容量電極300とを電気的に接続するための中継層であり、後者は、画素電極9aと第1中継層71とを電気的に接続するための中継層である。なお、これらは、データ線6aと同一材料により構成されることとなるのはいうまでもない。
以上述べた、蓄積容量70の上、且つ、データ線6a、シールド用中継層6a1及び第2中継層6a2の下には、第2層間絶縁膜42が形成されているが、該第2層間絶縁膜42は、上述と略同様に、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等で構成すればよい。
また、この第2層間絶縁膜42には、前述のシールド層用中継層6a1及び第2中継層6a2に対応するように、コンタクトホール801及び前記のコンタクトホール882が開孔されている。
次に、第5層には、遮光性のシールド層404が形成されている。これは例えば、上述のシールド層400と同様に、上層に窒化チタンからなる層、下層にアルミニウムからなる層という二層構造で構成してもよいし、また、場合により、ITOその他の導電性材料で構成してもよい。このシールド層404は、前述のシールド層用中継層6a1を介して、容量電極300と電気的に接続されている。これにより、シールド層404は固定電位とされており、上記第1実施形態と同様に、画素電極9a及びデータ線6a間に生じる容量カップリングの影響を排除する。遮光性のシールド層400は、下側遮光膜11aと同じ幅でもよいし、下側遮光膜11aより幅が広くても、あるいは幅が狭くてもよい。ただし、第3中継層406を除いて、TFT30、走査線3a、データ線6a、蓄積容量70を上側から見て覆うように形成されている。そして、シールド層400と下側遮光膜11とで、画素開口領域の角部、すなわち4つの角部、画素開口領域の各辺を規定することになる。
また、この第5層には、シールド層404と同一膜として、第3中継層406が形成されている。
以上述べた、データ線6aの上、且つ、シールド層404の下には、第3層間絶縁膜43が形成されている。この第3層間絶縁膜43を構成する材料等についても、上記の第2層間絶縁膜42と同様でよい。ただし、データ線6a等が、上述のようにアルミニウム等を含む場合においては、これを高温環境下に曝すことを避けるため、該第3層間絶縁膜43は、好ましくはプラズマCVD法等の低温成膜法を用いて形成することが好ましい。
また、この第3層間絶縁膜43には、シールド層404と前述のシールド層用中継層6a1とを電気的に接続するためのコンタクトホール803が形成されており、前述の第2中継層6a2へと通じており、第3中継層406に対応するコンタクトホール804が形成されている。
残る構成は、第6層には画素電極9a及び配向膜16が形成されるとともに、該第6層及び第5層間には第4層間絶縁膜44が形成されており、該第4層間絶縁膜44には、画素電極9aと第3中継層406とを電気的に接続するためのコンタクトホール89が開孔されている、というものになっている。
なお、上述の構成において、第3中継層406については、ITO等からなる画素電極9aと直接的に接触することとなるから、上述した電蝕に注意すべきである。したがって、これを考慮すれば、シールド層404及び第3中継層406は、第1実施形態と同様に、アルミニウム及び窒化チタンからなる二層構造とすることが好ましい。また、シールド層404及び第3中継層406をITOから構成するのであれば、該第3中継層406と画素電極9aとの電蝕発生について心配する必要はないが、シールド層404及びシールド層用中継層6a1間、あるいは第3中継層406及び第2中継層6a2間における電蝕発生について心配する必要がある。したがって、この場合においてはITO及びアルミニウムの直接的な接触を避けるべく、シールド層用中継層6a1、第2中継層6a2、ひいてはデータ線6aについて、適当な二層構造を採用することが好ましい。
あるいは、第2実施形態においては、上述のように、容量電極300は容量線の一部として構成可能であるから、該容量電極300を固定電位とするためには、該容量線を画像表示領域10a外まで延設して定電位源に接続するような形態とすればよい。この場合更に、容量電極300を含む容量線は、それ自体独自に定電位源に接続することが可能であり、シールド層404もまた、それ自体独自に定電位源に接続することが可能となるため、そのような構成を採用する場合においては、両者間を電気的に接続するコンタクトホール801及び803を設ける必要はなくなる。よって、この場合においては、シールド層404及び容量電極300を構成する材料選択や、シールド層用中継層6a1の材料選択を行う際に(そもそも当該シールド用中継層6a1はもはや不要である。)、「電蝕」の発生に配慮する必要はない。
以上のような構成となる第2実施形態の電気光学装置においては、まず、上述の第1実施形態におけるのと略同様な作用効果が奏されることが明白である。すなわち、第1実施形態と同様に、シールド層404の存在により画素電極9a及びデータ線6a間の容量カップリングの影響を排除することが可能であり、また、第3中継層406の存在により、画素電極9aを構成するITOによる電蝕発生の危険性を回避することが可能である。
そして、第2実施形態では特に、データ線6a上、かつ、画像表示領域10aの周囲の上に、窒化膜401が形成されていたことにより、TFT30の耐湿性を更に向上することが可能となる。すなわち、窒化膜ないし窒化物は、既に述べたように、水分の浸入ないし拡散をせき止める作用に優れているから、TFT30の半導体層1aに対する水分浸入を未然に防止することが可能となるのである。第2実施形態では、この他、シールド層404、第3中継層406等や蓄積容量70を構成する誘電体膜75において、窒化膜が用いられ得るが、これらすべての構成について、そのような窒化膜を備えれば、水分浸入防止作用はより効果的に発揮されることになる。ただし、すべてに「窒化膜」を設けない形態としてよいことは勿論である。
また、第2実施形態において、窒化膜401は、第4層において、画像表示領域10a外の領域をのぞいて、データ線6a上にのみ存在することから、大きな内部応力が集中するようなことがなく、窒化膜401自身がその内部応力によって破壊するに至ったり、また、その応力が外部に作用することによって、窒化膜401の周囲に存在する、例えば第3層間絶縁膜43等にクラックを生じさせるようなことがない。このようなことは、窒化膜がTFTアレイ基板10上の全面に設けられている場合を仮に想定するとより明白である。
さらには、第2実施形態における窒化膜401は、その厚さが10〜100nm程度、より好ましくは10〜30nm程度と比較的小さくされていることから、上述のような作用効果は更に効果的に享受され得ることになる。
更に加えて、第2実施形態では特に、中継電極719が設けられていたことにより、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、図4においては、TFT30及び画素電極9a間の電気的接続を図るためには、同図におけるコンタクトホール85のように、蓄積容量70を構成する、より下層の電極たる第1中継層71の図中「上面」において接触を図る必要があった。
しかしながら、このような形態では、容量電極300及び誘電体膜75の形成工程において、それらの前駆膜をエッチングする際には、その直下に位置する第1中継層71を健全に残存させながら、当該前駆膜のエッチングを実行するという非常に困難な製造工程を実施しなければならない。とりわけ本発明のように、誘電体膜75として高誘電率材料を使用する場合においては、一般にそのエッチングが困難であり、また、容量電極300におけるエッチングレートと該高誘電率材料におけるエッチングレートが不揃いになるなどの条件も重なるため、当該製造工程の困難性はより高まることになる。したがって、このような場合においては、第1中継層71において、いわゆる「突き抜け」等を生じさせてしまう可能性が大きい。こうなると、悪い場合には、蓄積容量70を構成する容量電極300及び第1中継層71間に短絡を生じさせるおそれ等も生じてくる。
しかるに、本形態のように、中継電極719を設けることで、第1中継層71の図中「下面」に電気的接続点をもたせることによって、TFT30及び画素電極9a間の電気的接続を実現するようにすれば、上述のような不具合は発生しないのである。なぜなら、図6からも明らかな通り、本形態では、容量電極300及び誘電体膜75の前駆膜をエッチングしつつ、第1中継層71を残存させなければならないという工程は必要ないからである。
尚、誘電体膜75は、図6に示すように、下層に酸化シリコン膜75a、上層に窒化シリコン膜75bというように二層構造を有し、TFTアレイ基板10の全面に渡って形成されている。また、誘電体膜75の他の例として、下層の酸化シリコン膜75aは、TFTアレイ基板10の全面に渡って形成し、上層の窒化シリコン膜75bは、遮光領域(非開口領域)内で収まるようにパターンニングして、着色性のある窒化シリコン膜の存在により透過率が低くなることを防止するように構成してもよい。
以上により、本形態によれば、上述のような困難なエッチング工程を経る必要がないから、第1中継層71及び画素電極9a間の電気的接続を良好に実現することができる。これは、中継電極719を介して両者間の電気的接続を実現しているからに他ならない。更にいえば、同じ理由から、本形態によれば、容量電極300及び第1中継層71間で短絡が生じるなどという可能性はきわめて小さい。すなわち、欠陥なき蓄積容量70を好適に形成することが可能なのである。
なお、第2実施形態では、上述した水分浸入防止に係る作用効果、あるいはその他の有用な作用効果を得るために、以下に述べる各種の変形形態をとることが可能である。
第一は、上述のデータ線6a及び該データ線6a上の窒化膜401の幅と、下側遮光膜11aの幅との関係を好適に設定することに関連する。まず、窒化膜401の幅をW1、データ線6aの幅をW2、下側遮光膜11aの幅をW3とすれば、W2<W1≦W3なる関係が満たされることが好ましい。この場合、当該構成は、図5のB−B´断面図たる図8に示すような構造を有していることになる。この図8において、既に述べたように、窒化膜401は、その幅W1が、データ線6aの幅W2よりも大きく、かつ、下側遮光膜11aの幅W3と同等ないしはそれよりも小さく形成されている。このことは、窒化膜401の縁が、光透過領域に至らないことを意味する。図8では、下側遮光膜11aの幅W3に対応する図中左右両側の位置に、光透過領域とそうでない領域とを画す一点鎖線が描かれているが、窒化膜401は、右側(又は左側)の一点鎖線を越えて更に右側(又は左側)には存在していない。つまり、窒化膜401の縁は、光透過領域には至っていないのである。したがって、このような形態によれば、電気光学装置全体の透過率を減少せしめるような事態を回避することができ、より明るい高品質な画像の表示が可能となる。なお、上述の場合において、窒化膜401は、データ線6aよりもその両側につきそれぞれ0.1〜0.5μmだけ大きく(つまり、(W1−W2)/2=0.1〜0.5μmである。)するようにすると好ましい。
なお、図8(及びすぐ後に参照する図9)においては、対向基板20側の構成も示されており、該対向基板20上には、対向電極21、配向膜22が形成されているほか、対向基板側遮光膜23が形成されていることが示されている。この対向基板側遮光膜23は、前記の下側遮光膜11aと同様に、例えばTi、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、あるいは樹脂ブラック等からなり、格子状にパターニングされた遮光膜である。また、本形態においては、図に示すように下側遮光膜11aの幅W3と同一の幅W3を有するものとして形成されている。
この対向基板側遮光膜23により、画素間の光の混合はより確実に防止されることとなり、また、TFT30に対する光遮蔽効果も相応に発揮されることが期待される。なお、上述では、下側遮光膜11aの幅と対向基板側遮光膜23の幅とは同一とされていたが、前者は後者よりも小さくしてもよい。このようにすれば、電気光学装置内部に斜めから進入した光が反射等することを未然に防止することができ、TFT30に対する遮光性能をより向上させることが可能となる。
次に、前記のW2<W1≦W3に代えて、W2<W1且つW3<W1なる関係が満たされるようにしても好ましい。この場合、当該構成は、図8と同趣旨の図である図9に示すような構造を有していることになる。この図9において、既に述べたように、窒化膜401´は、その幅W1が、データ線6aの幅W2よりも大きく、かつ、下側遮光膜11aの幅W3と比べても大きく形成されている。これにより、このような形態では、窒化膜401´が光透過領域にまで至るように形成されることになる。しかしながら、W3−W2の大きさが然程大きなものにさえならなければ、光透過率には実質的には影響を及ぼさない範囲が考えられることから、このような形態としても画像の明るさを必ずしも損なうわけではない。
そして、このような形態では特に、図10に示すように、画像上のフリッカを減少させることが可能となるのである。ここに図10は、突出値P=(W1−W2)/2の変化に応じて、完成した電気光学装置により表示された画像上に現れるフリッカの程度がどのように変化するかを示したグラフである。この図に示すように、従来例(図10中の左軸上)、すなわちデータ線6aに窒化膜が存在しない場合に比べて、本形態に係る窒化膜401が形成されている場合には、画像上のフリッカが低減されている様子がわかる。そして、その低減の度合いは、突出値Pの増加に応じて、より大きくなっていることもわかる。すなわち、突出値Pが大きくなる程フリッカは低減する。その正確な理由は明らかではないが、窒化膜401が固有に有する屈折率が、データ線6aの脇を通る入射光を屈折させるためであると考えられる。すなわち、窒化膜401の比較的幅広の部分に入射した光は、該部分によって屈折してその進行経路を変え、本来であればTFT30に入射するはずであった光を、どこか別の箇所へと至らしめることとなると考えられるのである。そうすると、TFT30に対する入射光は減少することとなるから、光リーク電流が減少し、これによりフリッカが減少したものと考えられる。
さらに、上述のいずれの場合においても、窒化膜401の幅W1は、データ線6aの幅W2よりも大きくされている。W1>W2、あるいは前記の突出値Pが0でない値をとることから、該窒化膜401の製造段階において、次のような作用効果も得られる。すなわち、該窒化膜401の製造段階においては、通常、その元となる膜を基板上の全面に形成した後、フォトリソグラフィ及びエッチング工程によってデータ線6a上のみ、あるいはこれに加えて画像表示領域10aの周囲を含むような形状の窒化膜401がパターニングで成形されることになるが、この際、エッチング工程が行われることにより、データ線6aに無用なダメージを与える可能性があるのである。しかるに、(窒化膜401の幅W1)>(データ線6aの幅W2)という関係が満たされていれば、上述のエッチングによって与えられるダメージは、当該窒化膜401の縁によって受け持たせることが可能となる。したがって、本実施形態によれば、データ線6aに関する侵食等を発生させることなく、好適に動作可能な電気光学装置を提供することができるのである。
図11は、このような事情を証左する実験結果である。ここに図11は、TFTアレイ基板10の全面に、窒化膜の原膜をいったん形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、形状の異なる種々のパターニングを実施した結果、電気光学装置の不良率の発生がどのようになったかを示すグラフである。なお、ここにいう「不良率」とは、電気光学装置を実地に試作した結果、その全体の中でデータ線6aに破断があって正常に動作しなかったものの割合を表している。また、「形状の異なる種々のパターニング」とは、ここでは具体的には、前記の突出値Pを、P=0.45μm、2.17μm及び10μmとした三種のパターニングを意味する。この図をみるとわかるように、周囲にロの字状の窒化膜を残すのみで、他の全面について窒化膜をエッチングするようにパターニングした結果(図11中最左方)では、不良率が20%近くにも達するのに比べ、データ線6a上に窒化膜401を残し、かつ、該データ線6aの幅W2よりも大きい幅W1をもたせて窒化膜401をパターニングした結果では、いずれについても不良率は極めて小さい。このように、W1>W2とすることで、正確な動作が期待できる電気光学装置を提供することができるのである。
なお、上述の第2実施形態では、窒化膜401は、データ線6aの上及び画像表示領域10aの周囲に形成されていたが、本発明においては、これに加えて、走査線3aに沿うように窒化膜を形成する形態としてもよい。これによれば、図12に示すように、窒化膜401は格子状に形成されることになり、その面積がより増大することになるから、水分浸入防止作用がより効果的に発揮されることになる。
また、上述の第2実施形態においては、シールド層404がデータ線6aに沿うように設けられていたが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、図13に示すように、TFTアレイ基板10の全面に関して、ITO、IZO等の透明導電性材料からなるシールド層404´を形成するような形態としてもよい。なお、図13においては、シールド層404´と容量電極300との間の電気的接続が図られているが、必ずしもその必要はない。そうだとしても、両要素とも個別に定電位源に接続することが可能だから、いずれも固定電位にすることが可能である。
このような形態によれば、データ線6aと画素電極9aとの間は、ほぼ完全に遮蔽されているということができ、より確実に、両者間に生じる容量カップリングの影響を排除し得る。また、このようにシールド層404´がベタ状に形成されているとしても、これはITO等からなるから、電気光学装置における光透過について特段の支障が生じるわけではない。
なお、このようなシールド層404´に関しては、以下のような処置が施されていると好ましい。すなわち、第一に、該シールド層400´と同一膜として、コンタクトホール804の形成箇所については、パターニング上分断された第3中継層406を形成しておく。これにより、固定電位たるシールド層404´と第3中継層406の絶縁が図られる。また、場合によっては、該コンタクトホール804の形成箇所に、基板全面に関して形成されたシールド層の下層として、第3中継層406を設け、該シールド層それ自体には、前記コンタクトホール803の形成箇所に適当な径となる孔を設けておく、といった形態をとってもよい(この形態に関しては不図示)。このようにすれば、コンタクトホール803等の形成を無理なく行うことができる。ちなみに、この「孔」は、コンタクトホールの貫通を実現すればよいだけだから、精度高く形成される必要はない(いわゆる「ばか孔」でよい。)。また、第二に、該シールド層404´の厚さは、50〜500nm程度とすることが好ましい。このようにすれば、容量カップリングの影響を排除するに十分であって、かつ、電気光学装置全体の透明性の維持にとって、該シールド層404´が障害になるという事態を極力回避することが可能となる。
また、本発明において、シールド層は、既に述べたように、データ線6aに沿うように、かつ、前記データ線6aを覆うようにこれよりも幅広に形成するとよいが、これに加えて、シールド層を形成すべきデータ線6aを好適に選択することができる。すなわち、図14に示すように、複数のデータ線の中から、一時に画像信号の供給対象とされるデータ線の組のうち、当該組の両端に位置するデータ線に対して、シールド層404´´を形成するという態様とすることができる。
このような構成によれば、データ線6aを幾つかのグループに分け、該グループ毎に同時に画像信号を供給する態様において、容量カップリングの影響が最も生じてほしくないデータ線についてシールド層404´´が形成されていることになるから、より効果的に画像の品質向上を見込むことができる。
すなわち、一般に、データ線6aに対する画像信号の供給は、複数本のデータ線6aの一まとまりに対して、同時に行われる場合がある。このような場合においては、画像信号の供給を現に受けているグループ(以下、「供給グループ」という。)601Gと、それに隣接するグループ(以下、「非供給グループ」という。)602Gとの間において、その端境に位置に延在するデータ線6a1及び6a2に沿って、画像上に表示ムラを発生させることがある。
これは、前記供給グループ601Gと前記非供給グループ602Gとのちょうど端境に存在する画素電極9aにおいては、画像信号に正確に対応した電界が結果的に印加されない場合があることによる。より詳しくは、この場合、図15に示すように、当該画素電極9a(図15における破線91内の画素電極9a参照)の一方の端には、画像信号が供給されるデータ線6a1及び6a2が存在し、他方の端には画像信号が供給されないデータ線6a(図15では、データ線6a1の左隣のデータ線6a又はデータ線6a2の右隣のデータ線6a)が存在するということになるから、当該画素電極9aに対して、画像信号に対応した正確な電界を印加したとしても、当該画素電極9aと前記画像信号が供給されないデータ線6aとの間における容量カップリングの影響で、その電位に変動が生じるのである。なお、図15においては、これを視覚的に表すため、当該画素電極9aと当該データ線との間に、白抜き両矢印を示した。
そこで、本態様では、このような供給グループ601Gの端境に位置するデータ線6aに対して、図14に示すように、シールド層400´´を設けることにより、当該位置に延在するデータ線6a1及び6a2にほぼ沿った表示ムラの発生を抑制することができるのである。
なお、供給グループ601Gを構成するデータ線の数は、上述の図14等では6本とされていたが、基本的には、当該画像信号が幾つのパラレル信号からなるかに応じて決まる。例えば、この画像信号が、シリアル信号を6つのパラレル信号にシリアル-パラレル変換されたものと想定するならば、前記データ線の組とは、相隣接する6本のデータ線からなる組である、ということになるのである。
(電気光学装置の全体構成)
以上のように構成された各実施形態における電気光学装置の全体構成を図16及び図17を参照して説明する。なお、図16は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板20の側からみた平面図であり、図17は図16のH−H´断面図である。
図16及び図17において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるため、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、紫外線、加熱等により硬化させられたものである。また、このシール材52中には、本実施形態における液晶装置がプロジェクタ用途のように小型で拡大表示を行う液晶装置であれば、両基板間の距離(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材(スペーサ)が散布されている。あるいは、当該液晶装置が液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う液晶装置であれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてよい。
シール材52の外側の領域には、データ線6aに画像信号を所定のタイミングで供給することにより該データ線6aを駆動するデータ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線3aに走査信号を所定のタイミングで供給することにより、走査線3aを駆動する走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する二辺に沿って設けられている。
なお、走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでもよいことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域10aの辺に沿って両側に配列してもよい。
TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。
また、対向基板20のコーナ部の少なくとも一箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的に導通をとるための導通材106が設けられている。
図17において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21のほか、最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマテッィク液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
なお、TFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、複数のデータ線6aに画像信号を所定のタイミングで印加するサンプリング回路、複数のデータ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに、図18は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
図18において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。電気光学装置としては、電気泳動装置やEL(エレクトロルミネッセンス)装置や電子放出素子を用いた装置(Field Emission Display 及び Surface-Conduction Electron-Emitter Display等に適用できる。
本発明の実施形態の電気光学装置における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路を示す回路図である。 本発明の実施形態の電気光学装置におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。 図2のうちデータ線、シールド層及び画素電極の配置関係を示すためこれらの要素を抜き出して描いた平面図である。 図2のA−A´断面図である。 本発明の第2実施形態に係り、図2と同趣旨の図であって、シールド層及びデータ線等の構成について異なる態様となるものを示すものである。 図5のA−A´断面図である。 第2実施形態に係る窒化膜の形成態様(データ線上及び画像表示領域外)を示す平面図である。 図5のB−B´断面図である。 図8の変形形態に係る図である。 窒化膜の幅W1からデータ線の幅W2を差し引き、これを2で除した数である突出値Pの変化に応じて、完成した電気光学装置により表示された画像上に現れるフリッカの程度がどのように変化するかを示したグラフである。 異なる形状となる種々のパターニング結果と、それに応じて試作した電気光学装置の不良率との関係を示すグラフである。 図7と同趣旨の図であって、該図とは窒化膜の形成態様が異なるもの(データ線上、画像表示領域外及び走査線上)を示す図である。 図6と同趣旨の図であって、シールド層の変形形態を示すものである。 複数のデータ線のうち、供給グループの端境に位置するデータ線にシールド層を設ける形態を示す要部斜視図である。 図14と同趣旨の図であって、供給グループの端境に位置するデータ線と画素電極との間で生じる容量カップリングの様子を概念的に示す図である。 本発明の実施形態の電気光学装置におけるTFTアレイ基板を、その上に形成された各構成要素とともに対向基板の側から見た平面図である。 図16のH−H´断面図である。 本発明の電子機器の実施形態である投射型カラー表示装置の一例たるカラー液晶プロジェクタを示す図式的断面図である。
符号の説明
1a…半導体層
1a´…チャネル領域
2…絶縁膜
3a…走査線
3b…水平的突出部(垂直的突出部を含む)
3c…包囲部(垂直的突出部を含む)
6a、6a1、6a2…データ線
9a…画素電極
10…TFTアレイ基板
10a…画像表示領域
16…配向膜
20…対向基板
21…対向電極
22…配向膜
30…TFT
43…第3層間絶縁膜
401、401´…窒化膜

Claims (5)

  1. 基板上に、データ線と、該データ線と交差する走査線と、前記データ線及び前記走査線の交差領域に対応するように配置された画素電極及び薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタの上方であって前記データ線及び前記画素電極間に配置された遮光性のシールド層と、該シールド層の下方に配置された蓄積容量とが積層構造の一部をなして備えられた電気光学装置であって、
    前記シールド層は、固定電位が印加され、且つ、前記データ線及び前記走査線を覆うように格子状に形成されると共に前記薄膜トランジスタと前記画素電極とを電気的に接続するため中継層を形成する領域に切り欠き部を有し、
    前記シールド層及び前記中継層は、同一膜で形成されており、且つ、上層に第1の窒化チタン膜が形成されており、
    前記蓄積容量の一方の電極は、前記中継層を介して前記画素電極に電気的に接続されており、前記蓄積容量の他方の電極は、前記シールド層に電気的に接続されており、且つ、前記蓄積容量の一方の電極を覆うように形成されており、
    前記データ線及び前記蓄積容量の他方の電極は、同一膜で形成されており、且つ、上層に第2の窒化チタン膜が形成されており、
    前記切り欠き部が形成された領域において、前記蓄積容量の一方の電極は、前記蓄積容量の他方の電極の括れ部に対応して設けられたコンタクトホールを介して前記中継層と電気的に接続されており、前記蓄積容量の他方の電極は、前記シールド層と前記中継層との間を覆うように形成されていることを特徴とする電気光学装置。
  2. 前記蓄積容量の一方の電極は、ポリシリコン膜からなり、前記蓄積容量の他方の電極は、アルミニウム膜を含むことを特徴とする請求項記載の電気光学装置。
  3. 前記蓄積容量の誘電体膜は、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層構造からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
  4. 前記画素電極の下地として配置された層間絶縁膜の表面は平坦化処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  5. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
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