JP4003106B2 - 製造技術情報管理データベース構成方法及び製造技術情報管理システム並びに製造技術情報管理データベース構成方法のプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

製造技術情報管理データベース構成方法及び製造技術情報管理システム並びに製造技術情報管理データベース構成方法のプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品の構成情報及び製造技術情報を管理するためのデータベースの構成方法等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から製品又は部品の構成等を管理し、生産性向上等を図っている。そのような製造情報技術管理の1つの方法として、例えば最終的な製品となるまでの中間品及び部品を含め、製品構成を部品表としてデータベース化する方法がある。このデータベースは、成果品目(例えば製品、中間品等)を親とし、その構成情報である投入品目(例えば部品、中間品等)を子とする親子関係で表現するものである(この表現の具体例は図4に基づいて後述する)。また、データベース化された成果品目を製造するための個々の製造手順は、別に作成された製造手順表で表現している。そして、この部品表と製造手順表とを組み合わせることで、製造技術情報管理を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の製造技術情報管理は、成果品目を投入品目との親子関係で表現するデータベースと製造手順表で行っている。しかし、このようなデータベース構成では、成果品目別に投入品目を表現せざるを得ないので、成果品目を構成する投入品目が少し異なっただけでも、さらに別の成果品目を設定しなければならない。このため、成果品目の構成の違いが微細であるほど投入品目の重複が多くなる傾向がある。
【0004】
したがって、微細な違いに起因する成果品目が増加すると、成果品目の数が増加するだけではなく、それ以上にその構成情報(投入品目数)は爆発的に増加することになる。その結果、製品又は部品の開発等の仕様変更が発生すると、その製品又は部品を構成する投入品目、その部品を投入品目とする成果品目等に関係する影響が広範囲に及ぶため、その対応作業が煩雑となる。
【0005】
従来は、このような広範囲の影響を避けるために、仕様変更に関係する製品や部品を特注品として扱い、データベース(部品表)に登録しないこともあった。そのため、製品として検索しても該当せず、開発等をしているにもかかわらず、同一機能及び同一品質のものを重複して開発しているケースも少なくなかった。
【0006】
また、本来ならば、既に投入済みの製造技術を組合せるだけで製造できるような製品についても、従来のようなデータベースの構成では、各成果品目が独立して構成されているので類似製品の検索ができない。また、部品表と製造手順表とが別になっているので、製造方法の検索ができない。そのため、製造技術情報の重複開発及び再投入を余儀なくされている。その結果として、生産計画の編成に当たって、類似部品を集約して製品を生産することが困難であり、量産効果を出しにくい。また、負荷調整の結果を材料調達日程に反映できないので、生産性を向上させるどころか、逆に設備遊休につながるケースが多くなっている。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、データ量の削減を図ることができ、類似製品及び類似製造方法をより簡単に検索できるような製品技術情報管理データベース構成方法を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る製造技術情報管理データベース構成方法は、あらかじめ任意に定めた属性である用途属性の組を有する製品の集合を製品群とし、製品群中の製品の製造方法を、用途属性の値の組と、製品に用途属性の値を持たせるために行う加工機能とにより管理するため、制御手段が、製品群が有する用途属性と製品群中の製品の用途属性の値を持たせるために行う加工機能の集合である群加工機能との関係と、加工機能が用いる製品の中間品及び/又は部品を含む資源との関係を、用途属性の値の組により関係づけて記憶手段に記憶させることによって、製品群中の製品の用途属性の値を実現する際に用いる加工機能と製品の中間品及び/又は部品を含む資源とを、群加工機能による関係づけを介して、用途属性の値を用いて記憶手段から検索する処理を行うことにより、製品群中の製品の製造方法を導出するためのデータベースを構成する。そして、製品の中間品及び/又は部品の集合を新たな製品群として処理を再帰的に行うことで製品の製造に必要なすべての資源及び加工機能を導出できる。
本発明においては、大量生産並みの稼働率及び生産性を維持しながら、多様な個別の顧客注文も同時に満たせるような製品を作り続ける(マスカスタマイゼーション)ために、曖昧な製品(製品群)及び曖昧な製造方法(群加工機能)という概念を導入する。このとき、各製品は製品群の基本的な仕様に加え、1又は複数の用途属性の種類(用途属性種)について具体的な値(用途属性値)を定めることによって規定でき、同時に該製品の製造方法も規定できるものと捉える。そこで、構成部品の組で製品を表現するのではなく、製品を、製品群の各製品が有する用途属性の値の組として表現し、群加工機能及び加工機能との関係づけを行う。
【0009】
そして、製品の製造方法については、その製品が属する製品群について共通する加工機能の順番に対して、その製品の用途属性値を実現するための加工機能で修飾(追加、削除、置き換え又は選択)することであると捉えられる。そこで、製造方法を、その用途属性の具体的な値を実現するために施す加工機能をメンバとして、そのメンバを決まった順に並べた順序付き集合として導き出す。
【0010】
さらに、製品の製造方法に基づき、製品の製造工程に施される加工機能の際に用いられる部品を検索し、その部品を新たな製品とした場合、その製造方法を導き出す。これを繰り返すことにより、製品の構成部品、その構成部品の構成部品と再帰的に検索を繰り返すことにより、製品を構成するすべての部品についての構成部品情報を得る。
【0011】
また、本発明に係る製造技術情報管理データベース構成方法は、製品を構成し得る中間品とは別に、加工機能の際に生成される副産物を用途属性の値の組で表し、製品として管理する。
本発明においては、製造工程で加工機能を施す際に生成される副産物やリサイクル品の解体で生ずる副産物についても、資源を有効に管理、利用するために製品として管理する。
【0012】
本発明に係る製造技術情報管理システムは、あらかじめ任意に定めた属性である用途属性の値の組で表した製品群中の製品を記憶する用途属性値記憶手段と、用途属性の値と関係づけられた用途属性の値を実現するために施す加工機能と、その加工機能に要する時間的並びに要する中間品及び/又は部品に関する事項を含む物量的資源データを記憶する加工機能記憶手段と、用途属性値記憶手段と加工機能記憶手段とに記憶されたデータに基づき、制御手段が用途属性値記憶手段に記憶された、ある製品群中の製品と製品の用途属性の値を実現する加工に用いる中間品及び/又は部品となる製品群中の製品との関係を、ある製品群中の製品の用途属性の値と関係づけられた加工機能とその加工機能の物量的資源データに基づいて導出し、さらに加工機能に要する時間的又は物量的資源データから加工機能を実現する加工に用いる資源の導出を、製品の用途属性の値に対して再帰的に行うことで、各製品に係る製造方法、工程、中間品及び/又は部品を統合的に管理する製造技術情報管理手段とを備えたものである。
本発明においては、用途属性値記憶手段が、あらかじめ任意に定めた属性である用途属性の値と、その用途属性の値の組を有する製品の集合を記憶する。また加工機能記憶手段が用途属性の値を実現するために施す加工機能と、その加工機能に要する時間的及び物量的資源データを記憶する。製造技術情報管理手段は、加工機能記憶手段に記憶された加工機能に基づいて、製品の製造方法を管理し、また、加工機能に要する時間的又は物量的資源データに基づいて、製品の部品、部品調達、工程時間等を統合的に管理し、生産計画の作成効率を高め、生産活動の効率の向上を図る。
【0013】
本発明に係る記録媒体は、あらかじめ任意に定めた属性である用途属性の組を有する製品の集合を製品群とし、製品群中の製品の製造方法を、用途属性の値の組と、製品に用途属性の値を持たせるために行う加工機能とにより管理するため、制御手段が、製品群が有する用途属性と製品群中の製品の用途属性の値を実現する際に用いる加工機能の集合である群加工機能との関係と、加工機能が用いる製品の中間品及び/又は部品を含む資源との関係を、用途属性の値の組により関係づけて記憶手段に記憶させることによって、製品群中の製品の用途属性の値を実現する際に用いる加工機能と製品の中間品及び/又は部品を含む資源とを、群加工機能による関係づけを介して、用途属性の値を用いて記憶手段から検索する処理を行うことにより、製品群中の製品の製造方法を導出するためのデータベースを構成させることをコンピュータに行わせるプログラムを記録したものである。
本発明においては、製品を、製品群の各製品が有する用途属性の値の組として表現させ、管理させるよう、コンピュータを動作させる。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の第1の実施の形態に係る製造技術情報管理データベース構成方法を実現するためのデータベースの構成を表す概念インスタンスモデル図である。この概念モデルによる製造管理は、コンピュータ等の演算制御手段と以下に記載するような動作を演算制御手段に行わせるプログラムにより実現されるものである。このプログラム及びこの概念モデルを構築するために必要なデータは、例えばハードディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録されている。
【0015】
図1において、共通の仕様を有し、例えば形状等の用途属性の種類(以下、用途属性種という)の組で識別できる製品の集合である概念を製品群Pとする。本実施の形態では、製品群Pは、共通した仕様の他に、形状(用途属性1)、精密度(用途属性2)及び機能(用途属性3)の3つの用途属性種を有するものと仮定する。
【0016】
図2は、製品群と製品の概念の説明を表した図である。ここでは、製品群は3つの用途属性種を有しているとする。各用途属性種を次元とする座標系を考えると、本説明の製品群は、3次元空間上の点の集合で表される。したがって、この空間上に存在する各点が製品1つ1つに相当する。各用途属性種の具体的な属性を値として表し(例えば形状に関しても、その形状に何らかの値を割り当てる)、これを用途属性値とする。製品が異なるということは、少なくとも1つの用途属性種の用途属性値が異なっているということである(ここで、製品の構成部品が異なっている場合だけでなく、異なっていない場合でも用途属性値が異なることはあり得る)。
【0017】
新製品の開発は、こうした空間内の探索として捉えられている。実際には、製品群において、用途属性種の数は10〜20程度規定されることになる(例えば、用途属性種の数が20あれば20次元となる)。ということは、1つの用途属性種に2つの用途属性値しか有さないものとしても、約210〜220通りの製品の種類を扱う可能性があることになる。
【0018】
ここで、0個以上の用途属性種を実現する作業を製品群加工機能(以下、群加工機能という)とする。製品群に付随する群加工機能の順序(群製造方法)は、製造方法における加工機能の順序を規定する。そして、0個以上の用途属性値を実現する作業として加工機能を設定し、製品群、群加工機能及び加工機能を技術情報データベースに登録しておく。このとき、製品P(a,b,c)の製造方法は、用途属性値a,b,cを実現しうる加工機能を、製品群P(*,*,*)の群加工機能の順序に並べ替えた順序付き集合として表される。ここで、製品の用途属性値を一部未定としておくことも可能である。この場合は省略値を使って製造方法を導き出す。この方法は実現する用途属性種が順序の後の方で規定されるときに有効である。
【0019】
本実施の形態では、図1のように溶接、研磨及び組立という3つの群加工機能を有していると仮定する。溶接は溶接1及び溶接2という具体的な加工機能を有している。研磨は研磨1、研磨2及び研磨3という加工機能を有している。また、組立は組立e、組立s及び組立tという加工機能を有している。
【0020】
図3は本実施の形態における投入部品、製品及び製造方法の関係を表す図である。溶接、研磨及び組立という3つの群加工機能をこの工程で行うことを、製品群Pの製品群製造方法として表すことにする。溶接1では、例えば立方体の形状になるような加工が施される。また、溶接2では、例えば球の形状になるような加工が施される。この加工により用途属性1(形状)が実現される。部品a及び部品bは、溶接1又は溶接2の加工の際に共通部品として投入される。また、溶接1の加工の際には部品cがオプション部品としてさらに投入される。同様に、溶接2の加工の際には部品rがオプション部品としてさらに投入される。この結果、溶接1ではWrが仕掛品(中間品)として作成され、溶接2ではWcが仕掛品として作成される。本データベースのような構成方法においては、WcやWrは登録しておく必要はなく、自動的に合成される。
【0021】
また、溶接1及び溶接2の際、製品Pの仕掛品として作成されるWcやWrとは別に副産物としてScまたはSrが作成されるものとする。副産物とは、例えば切断という群加工機能があった場合に、そのインスタンスである、例えば切断1という加工機能により作成された仕掛品以外のもの(例えば、切り屑、発生熱により熱量を有した気体等)のことである。製品Pを製造するという観点からすると、このようなものは不要なものであるが、他の観点からすると重要な資源にもなり得るし、独立した製品にもなり得る。また、例えばある製品を解体する場合を考える。その時、解体という群加工機能のインスタンスである、例えば解体1という加工機能により解体されて生成された各解体品を新たな製品と捉え、扱うことができる。そこで、このようなものも副産物としてデータベースによる管理の対象とする。
【0022】
溶接1及び溶接2により作成された中間品Wr又はWcが、研磨1、研磨2又は研磨3の加工の際に投入される。この加工により用途属性2(精密度)が実現される。この結果、研磨1ではWr1又はWc1、研磨2ではWr2又はWc2、また研磨3ではWr3又はWc3が仕掛品として作成される。
【0023】
また、組立では、部品dが組立e、組立s又は組立tの加工の際に共通部品として投入される。ここで、組立eの加工の際には部品eがオプション部品としてさらに投入される。また、組立sの加工の際には部品sがオプション部品としてさらに投入され、組立tの加工の際には部品tがオプション部品としてさらに投入される。この加工により用途属性3(機能)が実現される。このようなオプション部品及び加工機能のバリエーションによって、部品の重複登録を削減しながら、類似製品の登録を行うことができる。本実施の形態では最大18(2×3×3)種類の製品が、最終的に製品の情報として保持される。
【0024】
図4は本実施の形態における投入部品と製品との関係を従来の記述方法で表したものである。前述したように、従来は成果品目を親とし、投入品目を子とする親子関係で表現する。したがって、基本的には成果品目(ここでは製品)は、投入品目(ここでは部品)の組合せのみで表され、製品の違いは部品の違いである。この例では4(a)〜4(f)の6通りの製品が、構成部品の違いで表される。
【0025】
しかし、ここで、研磨による精密度の差は、部品により起因する差ではないので、製品の違いを部品では表すことができない。もし、これを表現するとすれば、同一の投入品目(部品)を有する成果品目をそれぞれ3通りずつ作成し、それぞれに割り当てるしかない。これにより2×3×3=18通りの製品が表現できることになるが、部品の重複が非常に多く、冗長である。しかも、中間品に対する構成情報を作成しようとすると、さらに、中間品を親として構成を表現する必要がある。このような場合には、本実施例に記載のデータベースのような構成が都合がよい。
【0026】
図1において、製品群P(*,*,*)の群製造方法は、群加工機能である溶接、研磨、組立をこの順で行うと規定している。具体的な製品を、例えばP(c、1、e)で与える。ここで、c、1及びeは、溶接、研磨、組立で実現される用途属性種の用途属性値である。用途属性値cは、溶接1という加工機能で実現される。また、用途属性値1は、研磨1で実現され、用途属性値eは、組立eで実現される。したがって、P(c、1、e)を実現する一連の加工機能の順序付き集合である(溶接1,研磨1,組立e)が製造方法として導出される。このとき、P(c、1、e)の部品構成(投入品目)は、この製造方法全体に投入される部品の組となる。これは、(部品a、部品b、部品c、部品d、部品e)と表される。
【0027】
また、図1では示していないが、例えば部品aが別の下位工程で製造されるものとする。この場合、部品aを製品とした製品群Aが前もって設定されている(部品aは、製品群Pの製品からみると単なる構成部品であるが、製品群Aからみると製品である)。そして、製品群Aが有する用途属性種と対応する部品aの用途属性値の組から部品aに対応する加工機能や製造方法が導き出せる。これにより部品aを製造するのに必要な部品構成がさらに得られる。これは、他の部品やその下位部品にも行うことができる。
【0028】
ここで、ある製品Aの用途属性値を実現する加工機能を導き出すことを考える。通常、加工機能を導き出すには、その加工機能により実現される用途属性値が決まっていなければならない。しかし、加工機能によっては、後に規定を決定する等の理由で、すべての用途属性値が決まっていない場合がある。この場合、用途属性値の代わりに指定値という特別な値をとる。この加工機能を加工機能1とすると、加工機能1により実現される残りの用途属性値と製品Aが有する用途属性値とが対応するならば、この加工機能1の指定値を製品Aの用途属性値のうち、同じ用途属性種であるものとすげ替えた加工機能を加工機能1’とし、製品Aの用途属性値を実現する加工機能として導き出す。また、製品群の製品の中で、用途属性値が決まっていないものがある。この場合、用途属性値の代わりに欠損値という特別な値をとる。例えば、ある製品の用途属性値を実現する加工機能1で用いる部品aに欠損値が含まれているとする。この場合、加工機能1’の用途属性値のうち、同じ用途属性種であるものと欠損値とをおきかえ、部品aの用途属性値として加工機能や製造方法を導き出したり、部品構成を得たりする。
【0029】
このようにして、製品の部品展開は、上位から下位方向に段階的に部品の製造方法を導出し、そこに投入される下位部品の組に対して、再帰的に導出を繰り返すことにより行う。例えば、用途属性値及びそれを実現する加工機能から製品の製造方法を導き出して構成部品を得る。また、ある構成部品の用途属性値及びそれを実現する加工機能からある構成部品の製造方法を導き出して構成部品を得る。これを繰り返していくことにより、製品を製造するためのすべての構成部品のデータを得ることができる。
【0030】
図5は本実施の形態をUML(Unified Modeling Language )記法で表記した概念オブジェクトモデルである。図5のモデルでは、製品群、用途属性種、用途属性値、群製造方法、群加工機能、製造方法、加工機能、加工対象物、加工手段、加工資源、資源占有、副産物及び中間品を項目とし、それぞれの関係を表している。各項目はオブジェクトの型を表している。オブジェクトとは操作可能な概念である。この概念オブジェクトモデルは、上記で示したような部品等の物質を資源として捉えるだけでなく、さらに時間を資源として捉え、これらの関係を規定したものである。本実施の形態の図1のモデルは、このモデルを実現形としたインスタンスモデルである。
【0031】
ここで、製品群は、ある製品群というだけではなく、例えば前述した製品群Pや製品群Aのような様々な製品群が含まれる。また、*は多の関係(ただし、0、1も含む)であることを表している(例えば、図5において、加工資源と資源占有とは1対多の関係である)。0..1は、0又は1ということを表している。加工資源の部分集合が、加工対象物と加工手段である(つまり、加工対象物と加工手段とを総称したものが加工資源である)。また、加工対象物の部分集合が製品群と中間品である。ここで、加工手段は、設備や技能といったものを表す。資源占有は、ある加工機能で、どの資源(加工に用いる部品及びその量、加工時間等)をどれだけ占有するかを表す概念である。したがって、ある加工機能とその加工機能で用いられる部品との関係は資源占有で表現される。なお、資源占有で規定される量や時間はあらかじめ設定されたものである。
【0032】
製造方法及び中間品は導出オブジェクトとよばれるものである。導出オブジェクトとは、他のオブジェクトとの関係から導かれるオブジェクトである。図5では、ある製品の製造方法は、その製品の用途属性値を実現する加工機能を検索する。また、それぞれの用途属性値から、その型である用途属性種を検出し、その用途属性種と群加工機能との関係、群加工機能と群製造方法との間の順序関係に基づいて、検索した加工機能を並べ替えた順序付き集合が製造方法となる(図1は図5の実現形であって、用途属性種と群加工機能との関係、群加工機能と群製造方法との間の順序関係については詳述していない。)。ここで、本来、群製造方法と製造方法とは、用途属性種と用途属性値、群加工機能と加工機能のように、型とその実体であるインスタンスとの関係にある。ただ、ここでは群製造方法と製造方法と製品群とから、群製造方法と製造方法の関係が明確にできるし、直接関係とすると、冗長となり、また製品群との整合性を考える必要があることから、これらを直接関係としていない。
【0033】
また、製品の部品展開は次のように行う。製品の製造方法のメンバである加工機能と関連づけられた資源占有により、その製品を製造するために各加工機能で用いる部品のデータを得る。そして、そのデータに基づいて、加工資源、加工対象物をたどり、製品群の中からその部品に対応する製品を探し出す。そして、その製品の製造方法を、前述した方法で導き出す。これを再帰的に繰り返すことにより、製品を構成する部品をすべて検索することができる(この製品の部品展開も図1は図5のモデルの表現手段の違いによるものであり、図1と図5は同じ方法により、部品展開をしていると考えてよい)。
【0034】
以上のように、第1の実施の形態によれば、用途属性値で製品を表しているため、加工機能による違い等、部品に依らない製品の差異に対しても対応することができる。また、微細な違いに起因する類似製品に対しても、構成部品情報の冗長なデータ量を減らすことができ、保守作業を容易に行うことができるので、信頼性が増し、利用度を高めることができる。また、構成部品の情報と製造手順の情報とを統合して管理できるようにしたので、類似製品及び製造方法を検索することができ、再利用可能な製造技術情報を明らかにすることができ、新規開発の計画を容易にすることができる。したがって、少量多品種生産にも対応でき、また、市場の求めに応じた製品開発及び製造を行うことができるようになり、過剰な多様化を防ぐことができる。また、構成部品の情報と製造手順の情報とが統合されているので、構成部品という量で表される資源と加工手段という時間で表される資源との両面を総合的に加味した製品開発計画を容易に行うことができ、製品の生産性を向上させることができる。
【0035】
実施形態2.
なお、第1の実施の形態では、具体的な用途属性種、加工機能、製造方法等について述べたが、本発明はこれに限定されるものではない。また、この考え方は他の分野にも利用できるし、それぞれの利用分野に対応した項目をオブジェクトとすることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、製品群中の製品を、用途属性の値の組で表すようにしたので、構成部品に依らない製品の差異に対しても対応することができる。また、製品を構成部品で表現していないので、各製品の部品構成の冗長な記述を少なくして、データ量を減らすことができ、保守作業を容易に行うことができる。
【0037】
また、本発明によれば、用途属性の具体的な値を実現するために施す加工機能をメンバとして、そのメンバを決まった順に並べた順序付き集合として製造方法を導き出すようにしたこと、及び構成部品の情報と製造手順の情報とを統合して管理できるようにしたことによって、類似製品及び製造方法を検索することができ、再利用可能な製造技術情報を明らかにすることができ、新規開発の計画を容易にすることができる。したがって、少量多品種生産にも対応でき、また、市場の求めに応じた製品開発及び製造を行うことができるようになり、過剰な多様化、重複開発を防ぐことができる。また、製造技術情報のデータ量を圧縮し、維持管理を容易にすることができる。
【0038】
また、本発明によれば、製造方法を素朴に記述することで、検索を再帰的に行い、製品を構成する部品の情報を得ることができる。また、製品の構成部品と構成部品の構成部品との関連をもたせることができ、効率的に構成部品の情報を得ることができる。
【0039】
また、本発明によれば、製造工程で加工機能を施す際に生成される副産物を製品として管理するようにしたので、目的の製品だけでなく、リサイクル可能な資源を有効に管理、利用することができる。
【0040】
また、本発明によれば、用途属性値記憶手段が、あらかじめ任意に定めた属性である用途属性の値と、その用途属性の値の組を有する製品の集合を記憶する。また加工機能記憶手段が用途属性の値を実現するために施す加工機能と、その加工機能に要する時間的及び物量的資源データを記憶する。製造技術情報管理手段は、加工機能記憶手段に記憶された加工機能に基づいて、製品の製造方法を管理し、また、加工機能に要する時間的又は物量的資源データに基づいて、製品の部品又は工程(製造手順)を統合的に管理し、生産計画の効率を高め、生産性の向上を図ることができる。
【0041】
また、本発明によれば、製品を、製品群の各製品が有する用途属性の値の組として表現させ、管理させるようにコンピュータを動作させるプログラムを記録媒体に記録するようにし、製品を構成部品で表現していないので、部品構成の冗長な記述を少なくすることができ、データ量を減らすことができる。そのため、保守作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る製造技術情報管理データベース構成方法を実現するためのデータベースの構成を表す概念インスタンスモデル図である。
【図2】製品群と製品の概念の説明を表した図である。
【図3】本実施の形態における投入部品、製品及び製造方法の関係を表す図である。
【図4】本実施の形態における投入部品と製品との関係を従来の記述方法で表したものである。
【図5】本実施の形態をUML記法で表記した概念オブジェクトモデルである。

Claims (5)

  1. あらかじめ任意に定めた属性である用途属性の組を有する製品の集合を製品群とし、該製品群中の製品の製造方法を、前記用途属性の値の組と、前記製品に前記用途属性の値を持たせるために行う加工機能とにより管理するため、
    制御手段が、前記製品群が有する用途属性と該製品群中の製品の用途属性の値を持たせるために行う前記加工機能の集合である群加工機能との関係と、前記加工機能が用いる前記製品の中間品及び/又は部品を含む資源との関係を、前記用途属性の値の組により関係づけて記憶手段に記憶させることによって、
    前記製品群中の製品の用途属性の値を実現する際に用いる前記加工機能と前記製品の中間品及び/又は部品を含む資源とを、前記群加工機能による関係づけを介して、該用途属性の値を用いて前記記憶手段から検索する処理を行うことにより、前記製品群中の製品の製造方法を導出するためのデータベースを構成することを特徴とする製造技術情報管理データベース構成方法。
  2. 前記製品の中間品及び/又は部品を含む資源の各集合を新たな製品群として、前記制御手段が、前記製品群中の製品の製造方法の導出処理を再帰的に行って、該製品の製造に必要なすべての前記資源及び前記加工機能を導出しうることを特徴とする請求項1記載の製造技術管理データベース構成方法。
  3. 前記製品を構成し得る中間品とは別に、前記加工機能の際に生成される副産物を前記用途属性の値の組で表し、前記製品として管理することを特徴とする請求項1記載の製造技術情報管理データベース構成方法。
  4. あらかじめ任意に定めた属性である用途属性の値の組で表した製品群中の製品を記憶する用途属性値記憶手段と、
    前記用途属性の値と関係づけられた前記用途属性の値を実現するために施す加工機能と、その加工機能に要する時間的並びに要する中間品及び/又は部品に関する事項を含む物量的資源データを記憶する加工機能記憶手段と、
    前記用途属性値記憶手段と前記加工機能記憶手段とに記憶されたデータに基づき、前記用途属性値記憶手段に記憶された、ある製品群中の製品と該製品の用途属性の値を実現する加工に用いる中間品及び/又は部品となる製品群中の製品との関係を、前記ある製品群中の製品の前記用途属性の値と関係づけられた前記加工機能とその加工機能の物量的資源データに基づいて関連づけた導出と、さらに前記加工機能に要する時間的又は物量的資源データから前記加工機能を実現する加工に用いる資源の導出とを、前記製品の用途属性の値に対して再帰的に行うことで、各製品に係る製造方法、工程、中間品及び/又は部品を統合的に管理する製造技術情報管理手段と
    を備えたことを特徴とする製造技術情報管理システム。
  5. あらかじめ任意に定めた属性である用途属性の組を有する製品の集合を製品群とし、該製品群中の製品の製造方法を、前記用途属性の値の組と、前記製品に前記用途属性の値を持たせるために行う加工機能とにより管理するため、
    制御手段が、前記製品群が有する用途属性と該製品群中の製品の用途属性の値を実現する際に用いる前記加工機能の集合である群加工機能との関係と、
    前記加工機能が用いる前記製品の中間品及び/又は部品を含む資源との関係を、前記用途属性の値の組により関係づけて記憶手段に記憶させることによって、
    制御手段が、前記製品群中の製品の用途属性の値を実現する際に用いる前記加工機能と前記製品の中間品及び/又は部品を含む資源とを、前記群加工機能による関係づけを介して、該用途属性の値を用いて前記記憶手段から検索する処理を行うことにより、前記製品群中の製品の製造方法を導出するためのデータベースを構成させることをコンピュータに行わせる製造技術情報管理データベース構成方法のプログラムを記録した記録媒体。
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