JP4002855B2 - 原料材混合攪拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば育苗用培土の原料材、特に基材としての籾殻と結合剤としての芯鞘型繊維とを混合攪拌する原料材混合攪拌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水稲等の作物の苗を苗床によって育苗することが行われており、さらに、この苗床の床土としては一般的に土壌培土が用いられていた。ところが、このような土壌培土は、良質(均質)の床土が比較的高価で入手が困難であったり、重く運搬性等が悪かった。そこで、このような土壌培土に代わる床土(培土)が提案されている(一例として、特許文献1)。
【0003】
前記公報に示される培土は、植物質培土材(樹皮、パルプチップ、オガクズなどを堆肥化したバーク堆肥等)を、親水性ウレタンプレポリマーを結合剤として用いて固結させ乾燥した構成となっている。なお、結合剤としては、ポリビニルアルコールやデンプン類も用いられる場合がある。この種の培土は、樹皮やパルプチップ等の所謂産業廃棄物を培土材として有効利用することができ、またこの植物質培土材も比較的安価である。
【0004】
しかしながら、前述の如き従来の培土は、依然として以下の欠点があった。すなわち、培土材の結合(結合剤を用いた固結乾燥)に長い時間(例えば、1〜3時間程度)が掛かり、量産が困難で結果的にコスト高であった。また、完成した培土(すなわち,結合剤により固結され乾燥された培土材)は、硬質であるものの割れたり欠け易く、このため運搬中に形が崩れたりし、その取扱いが面倒で煩雑であった。また一方、実際の使用に際しては、前記従来の培土を育苗のために灌水すると、灌水前にも増して形が崩れ易くなる。このため、例えば自動田植機の苗台にセットして田植えを実施しようとしても、装置のフィンガー部分がうまく苗を掴み取ることができず、スムースな作業が困難となる場合もあった。また何より、前述の如き従来の培土では、培土材自体は比較的安価であるものの、親水性ウレタンプレポリマー等の結合剤が高価であり、結果的に全体としては依然として高価であった。
【0005】
そこで、割れたり崩れることがなく取扱いが容易な育苗用培土、及びこの育苗用培土を安価でかつ量産することができる培土製造装置を既に本出願人が提案している(一例として、特願平10−184893号)。
【0006】
前記提案した育苗用培土は、基材としての籾殻と結合剤としての芯鞘型繊維とを混合攪拌し、この混合攪拌した籾殻及び芯鞘型繊維を加熱圧縮成形して得られる。この育苗用培土は、屈曲性及び保水性に富んでおり、割れたり欠け難く、運搬中に形が崩れることがなく、その取扱いも容易になる。
【0007】
また、このような育苗用培土を製造するために前記提案した培土製造装置では、上下一対のベルトコンベヤを備えている。この培土製造装置によれば、籾殻と芯鞘型繊維とを攪拌混合した原料材が層状となり上下一対のベルトコンベヤによって挟持されながら搬送され、この搬送の途中において加熱圧縮成形されて所謂マット状の育苗用培土が得られる。したがって、一連の作業を順次連続して自動的に実施することができ、大幅に作業効率が向上し、前述の如き育苗用培土を安価でかつ量産することができる。
【0008】
ところで、前記培土製造装置は、前述の如く一連の作業を順次連続して自動的に実施して前述の如き育苗用培土を安価でかつ量産することができるが、この培土製造装置に供給する原料材は、培土製造装置に供給する時点で既に好適に(充分に)混合攪拌されていなければならず、また、その混合割合も設定された最適値(最適量)でなければならない。特に、籾殻と芯鞘型繊維とから成る原料材は、適切に(充分に)混合攪拌しなければ、芯鞘型繊維が複雑で細かい網状になって籾殻と絡み合った状態となり難く、また、その混合割合が最適値(最適量)でなければ良好な(良質な)籾殻成形物を得ることができない。
【0009】
しかも、このような混合攪拌された原料材は、培土製造装置の処理能力に対応した必要量(多量)を効率良く準備しなければならない。
【0010】
そこで、籾殻と芯鞘型繊維から成る原料材を適切かつ効率良く混合攪拌することができる原料材混合攪拌装置を既に本出願人が提案している(特許文献2)。
【0011】
しかしながら、前記提案した原料材混合攪拌装置は、以下の如き欠点があった。
【0012】
すなわち、原料材を収容するを収容するホッパが、本体とこの本体の上部開口を閉鎖可能な蓋体とによって構成されており、換言すれば、蓋体がホッパ本体に付設された構成となっており、しかもこの蓋体はホッパ本体の軸線方向に沿ってスライドすることでホッパ本体の開口を開閉するものであったため、構造が複雑化・大型化し、高価であった。
【0013】
また、原料材の攪拌終了後にはホッパ(本体及び蓋体)をその軸線と直交する方向の支軸周りに上下回転させて上部開口を下方へ向けて原料材を排出する構成であったため、このホッパの回転に大きな動力を要し、しかも、ホッパを回転させるのに大きなスペースが必要であった。
【0014】
さらに、攪拌中の原料材に肥料等の水溶液を噴霧する場合があるが、この水溶液を噴霧するためのノズルがホッパ本体に設けられた構成であったため、このノズルに連結された液チューブの絡み防止のため、ホッパは一方向に連続的に回転することができず、所定の範囲で往復回動せざるを得なかった。このため、正逆回転可能な高価な駆動用モータやこれを制御する制御機器を必要とした。またこのため、液チューブがホッパと共に大きく動き、損傷し易かった。
【0015】
【特許文献1】
特公昭56−18165号公報
【特許文献2】
特許第3349683号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解消するために成されたものであり、籾殻と芯鞘型繊維から成る原料材を、適切かつ効率良く混合攪拌することができ、しかも、構造が簡単かつ小型で安価な原料材混合攪拌装置を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の原料材混合攪拌装置は、籾殻と芯鞘型繊維とを混合攪拌する原料材混合攪拌装置であって、軸線方向両端部が閉鎖された円筒形に形成されると共に周囲壁一部が開口し、円筒軸線が略水平状態で設置されると共に、前記開口が上方を向く位置、前記開口が下方を向く位置、及び前記開口が所定の傾斜方向を向く位置へ前記軸線周りに回転可能とされ、前記開口から投入された前記原料材を収容する攪拌筒と、前記攪拌筒の内部に前記攪拌筒と同軸的でかつ独自に回転可能に設けられ、前記攪拌筒内に収容された前記原料材を回転することで攪拌する攪拌スクリューと、前記攪拌筒と独立して設けられ、前記攪拌筒の開口が前記所定の傾斜方向を向いた前記攪拌筒の回転位置において前記開口を外方から閉鎖可能な蓋体と、を備えたことを特徴としている。
【0018】
ここで、請求項1記載の原料材混合攪拌装置は、原料材として籾殻と芯鞘型繊維とを混合攪拌するものであり、さらに、この原料材を加熱圧縮成形することによって籾殻成形物(育苗用培土)が製造される。この育苗用培土は、スポンジのように腰が強くて屈曲性及び保水性に富んでおり、割れたり欠け難く、運搬中に形が崩れることがない。また、育苗のために灌水しても形が崩れることがなく、その取扱いも容易になる。
【0019】
そこで、このような育苗用培土を製造するために、請求項1記載の原料材混合攪拌装置では、攪拌筒と攪拌スクリューと蓋体とを備えている。この原料材混合攪拌装置によれば、攪拌筒の開口が上方を向く位置とされた状態で、籾殻と芯鞘型繊維とが当該開口から投入されて攪拌筒内に収容される。次いで、攪拌筒がその開口が所定の傾斜方向を向いた回転位置まで軸線周りに回転され、開口が蓋体と対向する状態となる。さらに、この状態で蓋体が攪拌筒の開口を外方から閉鎖する。
【0020】
さらにこの状態で、攪拌スクリューが駆動することにより、攪拌筒内に収容された前記各原料材が混合攪拌される。
【0021】
攪拌筒内に収容された前記各原料材が混合攪拌された後には、蓋体が攪拌筒の開口を開放すると共に、攪拌筒が軸線周りに回転され、その開口が下方へ向けられる。これにより、攪拌筒内の混合攪拌された後の前記原料材が外部に排出される。
【0022】
このように、請求項1記載の原料材混合攪拌装置では、攪拌筒の開口を閉鎖するための蓋体が攪拌筒と独立して設けられており、攪拌筒の所定の回転位置において外方から当該開口を閉鎖する構成であり、しかも、円筒形の攪拌筒はその軸線周りに回転移動して開口位置を変更する構成であるため、構造を簡素化・小型化することができ安価になる。またこのため、攪拌筒を回転移動させるための動力が小さくてすみ、しかも、回転させるための特別なスペースが不要であり(円筒形の攪拌筒がその軸線周りに回転移動するため、新たに必要となる回転スペースは実質的にゼロであり)、これによっても、構造を簡素化・小型化することができ安価になる。
【0023】
このように、請求項1記載の原料材混合攪拌装置では、籾殻と芯鞘型繊維から成る原料材を適切かつ効率良く混合攪拌することができ、しかも、構造が簡単かつ小型で安価になる。
【0024】
請求項2に係る発明の原料材混合攪拌装置は、請求項1記載の原料材混合攪拌装置において、前記蓋体に、前記攪拌筒内で混合攪拌されている前記原料材に添加材水溶液を噴霧するノズルを設けたことを特徴としている。
【0025】
請求項2記載の原料材混合攪拌装置では、攪拌筒内に収容され混合攪拌される原料材(籾殻と芯鞘型繊維)のみならず、蓋体に設けられたノズルから添加材水溶液(例えば、肥料等の水溶液)が噴霧され、前記原料材と共に混合攪拌される。
【0026】
ここで、粒状の添加材(例えば、粒状肥料等)では、芯鞘型繊維で結合した籾殻成形物(育苗用培土等)の中で偏在し、しかも、外部へ漏出する恐れがある。これに対し、添加材(例えば、肥料等)の水溶液は、混合攪拌中の原料材(籾殻及び芯鞘型繊維)に噴霧することにより、籾殻の隅々まで満遍なく付着し、しかも、外部へ漏出することもない。
【0027】
またさらに、添加材水溶液を噴霧するノズルが蓋体に設けられた構成であるため、ノズルに連結された液チューブが前述の如く攪拌筒が回転移動する際に攪拌筒と共に大きく動いたり不要に絡み付くことがない。このため、液チューブの劣化や損傷が防止される。
【0028】
さらに、前述の如くノズルに連結された液チューブが攪拌筒と共に動くことがないため、すなわち、ノズルに連結された液チューブとは無関係に攪拌筒のみを回転移動することができるため、この攪拌筒を所定の範囲で往復回動させる必要がなく、一方向に連続的に回転させることが可能になる。したがって、この攪拌筒の往復回動のための正逆回転可能な高価な駆動用モータやこれを制御する制御機器が不要になり、安価になる。
【0029】
なお、前述した請求項1における芯鞘型繊維としては、例えば、芯鞘型ポリエステル(ユニチカ製)やビオノーレ(昭和高分子(株)製)を用いることができる。また、籾殻は、圧縮粉砕した籾殻を用いることが好ましい。
【0030】
さらに、籾殻と芯鞘型繊維の混合割合としては、例えば、籾殻が600gの場合に芯鞘型繊維を15gとすると良いが、この混合割合は、適宜変更可能である。
【0031】
また、他の添加材として、育苗用肥料や吸水性を良くするための界面活性剤を併せて混合攪拌してもよい。
【0032】
なお、育苗用肥料としては、中期育成用肥料(例えば、商標:ロングM100)、良質土壌菌繁殖用剤(例えば、ゼオライト)、初期育成用肥料(例えば、硫加燐安)、健苗育成剤(例えば、商標:FTE)、PH調整剤兼用の発芽抑制物質除去剤(例えば、クエン酸)、等が含まれる。
【0033】
さらに、籾殻と芯鞘型繊維、及び各育苗用肥料の混合割合としては、例えば、籾殻が600gの場合に、芯鞘型繊維を15g、中期育成用肥料を60g、良質土壌菌繁殖用剤を6g、初期育成用肥料を7g、健苗育成剤を0.36g、発芽抑制物質除去剤を1.2gとすると良いが、この混合割合は適宜変更可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
図4には本発明の実施の形態に係る原料材混合攪拌装置20が適用されて製造された育苗用培土10の外観斜視図が示されている。
【0035】
この育苗用培土10は、培土基材としての籾殻12と、結合剤としての芯鞘型繊維14、及び他の添加材としての複数の育苗用肥料16を含んで構成されており、本実施の形態においては、例えば育苗箱に入るように、縦寸法28cm、横寸法58cm、厚さ寸法2cmのマット形状に成形されている。ここで、以下に育苗用培土10の各構成材の種類及び含有量の一例を示す。
【0036】
籾殻 :600g
芯鞘型繊維(芯鞘型ポリエステル:ユニチカ製) : 15g
中期育成用肥料(商標:ロングM100) : 60g
良質土壌菌繁殖用剤(ゼオライト) : 6g
初期育成用肥料(硫加燐安) : 7g
健苗育成剤(商標:FTE) : 0.36g
発芽抑制物質除去剤(クエン酸) : 1.2g
前記の芯鞘型繊維14として用いた芯鞘型ポリエステル(ユニチカ製)は、芯部14A及び鞘部14B(図5に概略的に図示)によって構成されており、鞘部14Bは110℃で軟化し、芯部14Aは250℃で軟化する。また、芯鞘型繊維14としては、例えば、ビオノーレ(昭和高分子(株)製)を用いることができる。この場合には、鞘部14Bは90℃で軟化し、芯部14Aは115℃で軟化する。実際に使用される芯鞘型繊維14は、短く裁断された状態のものであって、所定温度で加熱されることにより鞘部14B同士が溶着し合い、複雑で細かい網状になって籾殻12と絡み合うものである。
【0037】
なお、前記籾殻12や芯鞘型繊維14及び複数の育苗用肥料16の混合割合は、適宜変更可能である。
【0038】
次に、この育苗用培土10を製造するための本実施の形態に係る原料材混合攪拌装置20について説明する。
【0039】
図1には、原料材混合攪拌装置20の全体構成が一部破断した正面図にて示されており、図2には原料材混合攪拌装置20の全体構成が一部破断した平面図にて示されている。
【0040】
この原料材混合攪拌装置20は、攪拌筒22を備えている。攪拌筒22は、軸線方向両端部が閉鎖された円筒形に形成されており、機枠24に水平方向に支持された主軸26に軸受28を介して回転可能に支持されている。また、攪拌筒22の周囲壁一部には、開口30が形成されている。
【0041】
さらに、攪拌筒22の軸線方向一端部(軸受28による支持部分)には、スプロケット32が取り付けられている。このスプロケット32は、機枠24に固定された駆動モータ34のスプロケット36にチェーン38を介して連結されている。これにより、攪拌筒22は、駆動モータ34が作動することによって、主軸26周りに回転移動されるようになっている。なお、攪拌筒22は、その開口30が上方へ向く位置(図1においてA位置)、開口30が斜め上方へ向く位置(図1においてB位置)、開口30が下方へ向く位置(図1においてC位置)の3つの位置へ回転移動して停止されるように設定されている。
【0042】
攪拌筒22の直上には、原料ホッパ40が設けられている。原料ホッパ40は、前記各原料材の投入口とされており、前述の如く攪拌筒22が回転移動しその開口30が上方へ向く位置(図1においてA位置)となった状態において開口30に対向しており、投入された各原料材を開口30へと案内して攪拌筒22内に収容することができる構成である。
【0043】
また、攪拌筒22の内部には、攪拌スクリュー42が設けられている。この攪拌スクリュー42は、主軸26周りに攪拌羽根44が固着された構成となっている。この攪拌羽根44は、例えば、丸棒に平板を溶接することで形成されており、主軸26の周囲に螺旋状に配設され、しかも主軸26の両端部から中央部へ向かうように傾斜して設けられている。またさらに、この攪拌羽根44が固着された主軸26の他端部(前記スプロケット32と反対側端部)には、スプロケット46が取り付けられている。このスプロケット46は、機枠24に固定された駆動モータ48のスプロケット50にチェーン52を介して連結されている。これにより、攪拌スクリュー42(攪拌羽根44)は、駆動モータ48が作動することによって、主軸26が攪拌羽根44と共に回転され、攪拌筒22内に収容された前記各原料材を主軸の両端部(すなわち、攪拌筒22の軸線方向両端部)から中央部へ押し込むようにして対流させながら混合攪拌することができるようになっている。
【0044】
なお、この攪拌スクリュー42の攪拌羽根44の形状や個数あるいは配置位置は、攪拌筒22内に収容された前記各原料材の特性(素性)や量等に応じて適宜設定すればよい。
【0045】
一方、攪拌筒22の側方には、蓋体54が配置されている。この蓋体54は、攪拌筒22と独立して設けられており、一対のアーム56が固着されている。さらに、これらのアーム56は蓋軸58に固定されている。すなわち、蓋体54は、アーム56を介して蓋軸58に回転可能に支持された構成となっている。さらに、蓋軸58には作動杆60の一端が連結固定されており、作動杆60の他端はエアシリンダ62に連結されている。これにより、エアシリンダ62の作動によって蓋体54が蓋軸58周りに回動して攪拌筒22に接離できる構成である。しかもこの場合、この蓋体54は、攪拌筒22が回転移動しその開口30が斜め上方へ向く位置(図1においてB位置)となった状態において、攪拌筒22に接近移動することで、その開口30を外方から閉鎖することができる。
【0046】
さらに、蓋体54には、噴霧ノズル64が取り付けられている。この噴霧ノズル64は、可撓性の液チューブ66を介してポンプ68に接続されており、さらに、このポンプ68は、図示を省略した電磁弁、流量計等を介して水溶液タンク70に接続されている。水溶液タンク70は、添加材としての複数の育苗用肥料16の水溶液を収容している。これにより、水溶液タンク70内の所定量に計量された育苗用肥料16の水溶液を、噴霧ノズル64から攪拌筒22内に噴霧することができる。
【0047】
またさらに、攪拌筒22の開口30側の斜め下方には、ガイド板72が設けられている。このガイド板72は、攪拌筒22に対向し傾斜して設けられており、攪拌筒22に蓋体54が接近移動してその開口30を閉鎖した状態(図1においてB位置)から、攪拌筒22が回転移動しその開口30が下方へ向く位置(図1においてC位置)となる際に、攪拌筒22内に収容された原料材が開口30から溢れ出した場合にこれを受け止めて真下へ向けて案内するように構成されている。
【0048】
以上の構成の原料材混合攪拌装置20の直下には、機枠24とは無関係に(接触せず自立した状態で)、排出ベルトコンベヤ74が配置されている。この排出ベルトコンベヤ74は、前述の如く攪拌筒22が主軸26に回転移動して開口30が下方へ向いた状態となった際に、攪拌筒22内から落下する前記原料材を受け止めて、所定個所へ搬送することができるようになっている。
【0049】
一方、原料材混合攪拌装置20の側方には、図3に示す如く、籾殻供給手段を構成する籾殻タンク76が配置されている。籾殻タンク76は、前記培土基材としての籾殻12を収容している。さらに、この籾殻タンク76は、籾殻供給手段を構成するスクリューコンベヤ78によって、原料ホッパ40と接続されている。これにより、籾殻タンク76内の籾殻12を、スクリューコンベヤ78によって原料ホッパ40へ順次供給することができる。
【0050】
また、原料ホッパ40の直上には、繊維供給手段を構成する繊維タンク80が配置されている。繊維タンク80は、前記結合剤としての芯鞘型繊維14を短く裁断した状態で収容しており、下部開口にはベルトコンベヤ82を備えている。このベルトコンベヤ82は、計量秤84付きのベルトコンベヤ86を介して原料ホッパ40と接続されている。これにより、繊維タンク80内の芯鞘型繊維14を、所定量に計量して原料ホッパ40へ順次供給することができる。
【0051】
次に、本実施の形態の作用を前述した育苗用培土10の製造手順と共に説明する。
【0052】
前述の如き構成の原料材混合攪拌装置20によれば、原料材を混合攪拌する際には、先ず、蓋体54は攪拌筒22から離間しており、攪拌筒22はその開口30が上方へ向いた状態(図1においてA位置)、すなわち開口30が原料ホッパ40に対向した状態となっている。
【0053】
ここで、籾殻タンク76に収容された籾殻12がスクリューコンベヤ78によって原料ホッパ40へ順次供給される。また、繊維タンク80からは、収容された芯鞘型繊維14が、ベルトコンベヤ82及び計量秤84付きのベルトコンベヤ86を介して原料ホッパ40へ順次供給される。
【0054】
次いで、駆動モータ34が作動することによって、攪拌筒22が主軸26周りに回転移動され、開口30が斜め上方へ向く状態(図1においてB位置)となる。さらに、エアシリンダ62が作動して蓋体54が蓋軸58周りに回動されて攪拌筒22に接近移動し、攪拌筒22の開口30が外方から閉鎖される。
【0055】
さらにこの状態で、駆動モータ48が作動することによって攪拌スクリュー42が回転され、攪拌筒22内に収容された前記各原料材が混合攪拌される。
【0056】
その後、複数の育苗用肥料16の水溶液が水溶液タンク70からポンプ68を介して送り込まれ、噴霧ノズル64から攪拌筒22内へ供給され、混合攪拌されている原料材に噴霧される。
【0057】
これにより、芯部14Aと鞘部14Bから成る芯鞘型繊維14は、籾殻12及び各育苗用肥料16の水溶液と共に攪拌混合されることにより、複雑で細かい網状になって籾殻12と絡み合うと共に、育苗用肥料16の水溶液が籾殻12の隅々まで満遍なく付着する。
【0058】
次いで、攪拌筒22内に収容された前記各原料材が混合攪拌された後には、再びエアシリンダ62が作動して蓋体54が蓋軸58周りに回動されて攪拌筒22から離間移動され、攪拌筒22の開口30が開放される。
【0059】
さらに、駆動モータ34が再び作動されて攪拌筒22が主軸26周りに回転移動され、開口30が下方へ向く状態(図1においてC位置)となる。これにより、攪拌筒22内の混合攪拌された後の前記原料材が開口30から外部に排出される。なお、攪拌筒22が回転移動しその開口30が下方へ向く位置となる際に、攪拌筒22内に収容された原料材が開口30から溢れ出した場合には、これがガイド板72によって受け止められて真下へ向けて案内される。さらに、排出された原料材は、排出ベルトコンベヤ74によって受け止められて、所定個所へ搬送集積される。
【0060】
以上により混合攪拌された原料材(籾殻12と芯鞘型繊維14及び育苗用肥料16)は、圧縮成形装置によって、加熱されながら圧縮成形される。このようにして加熱圧縮成形することで、芯鞘型繊維14の鞘部14Bが軟化して溶着し合い、網状になって籾殻12と絡み合う。さらに、加熱圧縮成形された原料材(籾殻12と芯鞘型繊維14及び育苗用肥料16)は、直ちに冷却圧縮成形される。これにより、芯鞘型繊維14の鞘部14Bが網状になって籾殻12と絡み合った状態のままで固化され、所謂マット状の育苗用培土10が完成する。
【0061】
このようにして完成した育苗用培土10は、図5に模式的に示す如く、芯鞘型繊維14の鞘部14Bが軟化して溶着し合い、網状になって籾殻12と絡み合い結合された状態に成形され、これにより、所謂スポンジのような屈曲性及び保水性のある育苗用培土10が得られる。
【0062】
ここで、本実施の形態に係る原料材混合攪拌装置20では、攪拌筒22の開口30を閉鎖するための蓋体54が攪拌筒22と独立して設けられており、攪拌筒22の所定の回転位置において外方から当該開口30を閉鎖する構成であり、しかも、円筒形の攪拌筒22はその軸線(主軸26)周りに回転移動して開口30の位置を変更する構成であるため、構造を簡素化・小型化することができ安価になる。またこのため、攪拌筒22を回転移動させるための動力(駆動モータ34の駆動力)が小さくてすみ、しかも、回転させるための特別なスペースが不要であり(円筒形の攪拌筒22がその軸線周りに回転移動するため、新たに必要となる回転スペースは実質的にゼロであり)、これによっても、構造を簡素化・小型化することができ安価になる。
【0063】
またさらに、育苗用肥料16の水溶液を噴霧する噴霧ノズル64が蓋体54に設けられた構成であるため、噴霧ノズル64に連結された液チューブ66が前述の如く攪拌筒22が回転移動する際にこの攪拌筒22と共に大きく動いたり不要に絡み付くことがない。このため、液チューブ66の劣化や損傷が防止される。
【0064】
さらに、前述の如く噴霧ノズル64に連結された液チューブ66が攪拌筒22と共に動くことがないため、すなわち、噴霧ノズル64に連結された液チューブ66とは無関係に攪拌筒22のみを回転移動することができるため、この攪拌筒22を所定の範囲で往復回動させる必要がなく、一方向に連続的に回転させることが可能になる。したがって、この攪拌筒22の往復回動のための正逆回転可能な高価な駆動用モータやこれを制御する制御機器が不要になり、安価になる。
【0065】
このように、本実施の形態に係る原料材混合攪拌装置20では、籾殻12と芯鞘型繊維14及び他の育苗用肥料16の水溶液から成る原料材を、適切かつ効率良く混合攪拌することができ、しかも、構造が簡単かつ小型で安価になる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明に係る原料材混合攪拌装置装置は、籾殻と芯鞘型繊維及び他の添加材から成る原料材を、適切かつ効率良く混合攪拌することができ、しかも構造が簡単かつ小型で安価になるという優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る原料材混合攪拌装置の構成を示す一部破断した正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る原料材混合攪拌装置の構成を示す一部破断した平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る原料材混合攪拌装置の全体構成を示す概略的な正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る原料材混合攪拌装置が適用されて製造された育苗用培土の外観斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る原料材混合攪拌装置が適用されて製造された育苗用培土における圧縮成形された後の芯鞘型繊維の状態を示す一部簡略化した模式図である。
【符号の説明】
10 育苗用培土
12 籾殻
14 芯鞘型繊維
14A 芯部
14B 鞘部
16 育苗用肥料(添加材)
20 原料材供給装置
22 攪拌筒
26 主軸
30 開口
42 攪拌スクリュー
44 攪拌羽根
54 蓋体
62 エアシリンダ
64 噴霧ノズル
68 ポンプ
70 水溶液タンク
72 ガイド板
Claims (2)
- 籾殻と芯鞘型繊維とを混合攪拌する原料材混合攪拌装置であって、
軸線方向両端部が閉鎖された円筒形に形成されると共に周囲壁一部が開口し、円筒軸線が略水平状態で設置されると共に、前記開口が上方を向く位置、前記開口が下方を向く位置、及び前記開口が所定の傾斜方向を向く位置へ前記軸線周りに回転可能とされ、前記開口から投入された前記原料材を収容する攪拌筒と、
前記攪拌筒の内部に前記攪拌筒と同軸的でかつ独自に回転可能に設けられ、前記攪拌筒内に収容された前記原料材を回転することで攪拌する攪拌スクリューと、
前記攪拌筒と独立して設けられ、前記攪拌筒の開口が前記所定の傾斜方向を向いた前記攪拌筒の回転位置において前記開口を外方から閉鎖可能な蓋体と、
を備えたことを特徴とする原料材混合攪拌装置。 - 前記蓋体に、前記攪拌筒内で混合攪拌されている前記原料材に添加材水溶液を噴霧するノズルを設けたことを特徴とする請求項1記載の原料材混合攪拌装置。
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