JP4002830B2 - 無線チャネル・シミュレーション方法及びチャネル・シミュレータ - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、無線チャネルのシミュレーションのための無線チャネル・シミュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
無線チャネルにおいて送信機から受信機に無線周波数信号を送信するとき、信号は1つ以上の経路に沿って伝搬し、その各々において、信号の位相及び振幅が変化して、長さ及び大きさが異なるサイズのフェードが信号に生ずる。加えて、無線接続は、ノイズや他の送信機からの干渉によっても妨害される。
無線チャネルは、実際の条件、又は実際の条件をシミュレートするシミュレータのいずれかでテスト(検査)することができる。実際の条件でのテストは困難である。何故なら、例えば、戸外で行われるテストは、例えば、常時変化する天候や季節による影響を受けるからである。加えて、ある1つの環境(都市A)において行われるテストを、そのまま第2の対応する環境(都市B)に適用することはできない。また、実際の条件では、可能な限り最悪の状況をテストすることは、場合によっては不可能である。
【0003】
しかしながら、無線チャネルをシミュレートする装置を用いれば、所望の形式の無線チャネルを非常に自由にシミュレートすることができる。ディジタル無線チャネル・シミュレータでは、チャネルはFIR(有限インパルス応答)フィルタによってモデル化され、チャネル・モデルと印加信号との間で畳み込みを形成し、異なる遅延だけ遅延された信号に、チャネル係数、即ち、タップ係数を重み付けし、重み付けした信号成分を合計する。チャネル係数を変更して、実際のチャネルの挙動を反映する。
【0004】
しかしながら、チャネル・シミュレータにおいてFIRフィルタを用いることには、問題が伴う。チャネル係数を乗算し、遅延信号を合計することによって生ずる計算動作は、FIRフィルタの遅延素子の数の関数として4倍(quadratically)に増大する。したがって、多数の遅延素子によって長い遅延期間をカバーすることは不可能である。何故なら、結局は計算を迅速に行うことが不可能となるからである。FIRフィルタでは、使用する遅延単位の倍数ではない遅延を実現することは難しい。このような遅延は、補間方法を用いれば得ることができるが、この遅延を形成するには、大量の計算容量が必要となる。異なる経路を伝搬する信号成分のチャネル係数の遅延は、直接畳み込みを採用するFIRフィルタでは、独立してフローティングさせることは容易ではない。また、チャネル・シミュレータは、多くの場合ドップラ・シフトもシミュレートしなければならない。ドップラ・シフトの広範な周波数シフトをFIRフィルタで行うのは特に難しい。
【0005】
【発明の概要】
したがって、本発明の目的は、改良した無線チャネル・シミュレーション方法及びこの方法を実施するチャネル・シミュレータを提供することである。この目的は、チャネル・シミュレーションを実行する方法によって達成され、この方法では、チャネル・シミュレーションはデジタル的に行われる。更に、この方法では、シミュレーションに供給される信号の少なくとも一部を、畳み込み(コンボリューション)変換によって時間空間から変換空間に変換し、時間空間から変換空間に変換されたチャネル・インパルス応答で変換信号に重み付けする。重み付けされた信号は時間空間に逆変換される。
【0006】
また、本発明は、チャネル・シミュレーションをデジタル的に行うように構成されたチャネル・シミュレータにも関する。更に、チャネル・シミュレータは、畳み込み変換によって、シミュレーションに供給される信号の少なくとも一部を時間空間から変換空間に変換する手段と、時間空間から変換空間に変換されたチャネル・インパルス応答で変換信号に重み付けする重み付け手段と、重み付けした信号を時間空間に逆変換する逆変換手段とを備えている。
【0007】
本発明の好適な実施形態は、従属項に開示されている。
本発明の基礎となるのは、変換空間において信号とチャネルとの間の重み付け動作として畳み込み動作を実行し、逆変換によって重み付けした信号を時間空間に戻すことである。
本発明の方法及びシステムは、数々の利点をもたらす。チャネル・シミュレーションに必要な計算量は、シミュレータの遅延素子数に応じて、FIRによる実行よりも少なくなる。これによって、多数の遅延のシミュレーションが可能となる。また、サンプリング期間の端数だけの部分的な遅延、ならびにドップラ・シフト及び異なる経路の遅延を独立して変更することも簡単である。
【0008】
【発明の実施の形態】
これより、好適な実施形態によって、そして添付図面を参照しながら、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の解決策は、特に、ハードウエアによる実施に適しているが、それに限定される訳ではない。ハードウエアは、例えば、所望のデータ処理装置内に埋め込んだシステムとして実現することができる。
【0009】
まず、無線チャネルをシミュレートするチャネル・シミュレータの従来技術の部分を検討する。無線チャネル・シミュレーションは、ディジタルFIRフィルタによって行われ、そのブロック図を図1に示す。FIRフィルタは、シフト・レジスタにおけるように配列された遅延素子100、重み係数ブロック102、及び加算器104を備えている。入力信号X(n)は、各遅延素子100において遅延され、それらの遅延の時間は等しくても異なっていてもよい。遅延信号は、重み係数ブロック102において所望の重み係数h(i)によって重み付けされる。ここで、i=[1, ..., N]である。重み係数h=[h(1), ...,h(N)]は、無線チャネルのチャネル推定値であり、FIRフィルタのタップ係数とも呼ばれる。重み係数は、実際の無線チャネルの特性が変化したと思われる毎に同様に変更される。大抵の場合、重み係数は短い時間範囲では概ね一定であるが、信号の変化速度と比較すると、ゆっくりと変化する。遅延され重み付けされた信号は、加算器104において加算される。
【0010】
概して言えば、重み係数は、実数又は複素数とすることができる。複素重み係数が必要となるのは、例えば、GSM(Global System for Mobile Communication)又はCDMA(符号分割多重アクセス)システムの無線チャネルが直交変調を用いているからであり、この場合信号は2つの部分に分割される。実信号部I(同相)に位相シフトのない搬送波を乗算し、虚信号部Q(直交)に位相シフトした搬送波を乗算する。全体の信号は、これらの部分の組み合わせとなる。位相シフトのない搬送波との乗算を行うには、例えば、cos(ωct)という形式の余弦搬送波を信号に乗算する。一方、位相シフトした搬送波との乗算を行うには、sin(ωct)という形式の正弦搬送波を信号に乗算する。これにより、搬送波の間にはπ/2の位相シフトができ、これを用いて信号を乗算する。信号の異なる部分が、π/2の位相シフトのために相互に直交しているので、信号は複素数で表すことができる。次に、信号XをX=I+jQとして表す。ここで、Iは実信号部、Qは虚信号部、jは虚数単位である。
【0011】
数学的形式では、FIRフィルタの出力信号y(n)は、畳み込み(コンボリューション)として表すことができる。これは、遅延信号及び重み係数の積の和である。
y(n)=x*h
=Σh(k)X(n-k) (1)
ここで、Σはk=1〜Nの加算を表し、*は畳み込み演算であり、nは信号要素である。信号x及びy、ならびにチャネル・インパルス応答hは、スカラー、ベクトル又はマトリクスとして、それ自体公知の方法で処理することができる。
【0012】
FIRフィルタにおける直接畳み込み(ダイレクト・コンボリューション)自体は可能であるが、長時間にわたるインパルス応答によって、遅延素子及び重み係数ブロックの数が著しく増大し、チャネル・シミュレーションには大きな計算容量が必要となる。先に提示した解決策では、計算容量の増大は、直接畳み込みにおけるよりも緩やかである。恐らく、約50個の遅延素子及び重み係数ブロックが限界であり、その後は、提示した解決策はFIRによる実施よりも少ない計算で済む。
【0013】
これより、図2を用いて、先に提示した解決策について検討する。提示した解決策では、シミュレーションに供給する信号206(x(n))の少なくとも一部を、変換手段200において畳み込み変換によって、変換空間に変換することによって、変換信号208(X)を生成する。変換信号208(X)は、重み付け手段202において、畳み込み変換によって変換されたチャネル応答Hで重み付けされ、これによって信号210(HX)を生成する。重み付けは、乗算演算によって行うことができる。計算を高速化するために、それ自体の乗算も、実際の乗算ではなく、1つ以上の数学的演算で行うこともできる。最後に、入力信号210(HX)を、逆変換手段204において時間空間に逆変換し、これによって出力信号212(y(n))を生成する。
【0014】
畳み込み変換は、ラプラス、Z、フーリエ変換などとすることができる。これらの数学的形式では、ラプラス、Z、及びフーリエ変換は次のように表すことができる。
【数1】
ここで、Lはラプラス変換、L−1は逆ラプラス変換、Fはフーリエ変換、F−1は逆フーリエ変換、ZはZ変換、Z−1は逆Z変換、tは時間空間変数、sはラプラス変換空間変数、ωはフーリエ変換空間周波数変数2πf、fは周波数、zはZ変換空間変数、nは時間空間におけるサンプル番号、及びCは閉鎖経路であり、これに沿って積分を行う。Z及び逆Z変換を除いて、式で表したその他の全ての変換は連続であるが、これらは、それ自体公知の方法で、信号処理プログラムにおいて離散的に計算することができる。
【0015】
先に提示した解決策では、高速離散フーリエ変換及び逆フーリエ変換を用いることが有利である。高速フーリエ変換、即ち、FFTでは、演算数を大幅に削減することができる。大抵の場合、フーリエ変換はW2演算を必要とするが、好ましくは、FFTはW*log2(W)演算(Danielson-Lanczos 定理)を用いて実行することができる。ここで、Wは変換における要素数を表す。チャネルの信号ベクトルx及びインパルス応答ベクトルhを変換空間に変換することによって、即ち、FFTを用いる場合には周波数空間に変換することによって、チャネルの変換信号ブロック及びインパルス応答ブロックの乗算及び逆変換は、あるインパルス応答長の後に対応する時間空間変数に対して直接畳み込みを計算するよりも速くなる。チャネルのインパルス応答ベクトルが長い程、利点は大きくなる。
【0016】
変換空間において畳み込み演算を行う際、変換する信号xを複数の部分に分割しなければならず、各部分は、演算に適した数のサンプルから成る。各部分の長さは、自由に選択することができるが、各部分のサンプル数Bは、2の累乗、即ち、B=2Kであることが好ましく、Kは正の整数である。ここで、図3A及び図3Bを用いて、信号を分割するときの、チャネル・シミュレータの動作を検討する。ブロック300において、信号は、所望数のサンプルから成る部分に分割される。各部分は、畳み込み変換され、変換されたチャネル・インパルス応答で乗算され、図2のブロック図に対応するブロック302において、逆変換される。最後に、ブロック304において、区分された信号は元に戻される。
【0017】
信号の各区分シーケンス(sectional sequence)は、例えば、1024サンプル長とすることができる。ブロック302において、例えば、図3Bに示すオーバーラップ・セーブ方法として知られるものによって、計算を実行することができる。FFTを用いる場合、計算 における信号の1024−サンプル部分...x(l-7,n) - x(l,n) ...が、512サンプル分重複する。チャネル・インパルス応答hの先頭部分では、512個の要素がチャネルをシミュレートし(典型的に非ゼロ)、終端部分は、0の値を有する512個の要素で満たされる。変換された信号 ...X(l-7,n) - (l,n) ...及び変換されたチャネル・インパルス応答Hが互いに乗算された後、512個の終端部分の要素(太線)のみが受け入れられる。512個の先頭部分の要素は排除される。何故なら、高速フーリエ変換は、その開始部分において、線形ではない循環畳み込み(circular convolution)に対応するからである。ブロック302の出力は、こうして、信号部分における要素数の半分、即ち、この例では、512要素を受ける。これは、古い要素の内の最後の512個と、512個の新しい要素が、次に行われる演算に用いられるからである。入力シーケンスは、逆変換され、ブロック304において、区分が元に戻される。
【0018】
変換に用いられる要素数をNとし、チャネル・インパルス応答における要素数lがN/2よりも大きい場合、チャネル・インパルス応答を、N/2個の部分から成る部分に分割することができる。等しく分割されない場合、最後の部分における要素、N−1個を0にセットする。この解決策については、図4A、図4B、図4C及び図4Dにおいて説明する。図3A及び図3Bにおけると同様、ブロック400において、入来する信号xを少なくとも2つの部分に分割する。分割された信号x(p,n)は、N/2個の要素を有し、ブロック402に供給される。ここで、n=1,...,Nである。ブロック402において、信号部分x(p,n)は、直前の部分x(p-1,n)と共に、畳み込み変換を受け、チャネルのインパルス応答412の1つの変換部分H1と乗算され、逆変換される。信号の第2部分x(p-1,n)が、遅延素子404に供給される。ここで、n=1,...,Nである。遅延素子404において、信号をN/2要素だけ遅延する(計算に用いられる区分信号、例えば、x(p,n)及びx(p-1,n)は、図3Bでは太字で示されている)。遅延された部分は、ブロック406に供給され、ここで、直前の部分と共に畳み込み変換を受け、チャネルのインパルス応答414の第2変換部分H2で乗算され、逆変換される。ブロック402及び406からの出力信号y1(p,n)及びy2(p,n)を加算器408において組み合わせて信号y(p,n)を得る。組み合わされたが区分されている信号は、ブロック410において再度組み立てられる。
【0019】
この提示した解決策によって、計算演算数を大幅に増やすことなく、サンプリング期間の端数の遅延を実施することも可能となる。時間空間において、サンプル期間未満の遅延を実施するには、複素フィルタリングが必要となり、この場合、元の状況と比較すると、重み係数の数の倍数が必要となる可能性がある。例えば、フーリエ変換の周波数空間では、時間空間遅延は、以下のように位相シフトに対応する。
x(t-t0) ←→ X(ω) e−jωt 0 (8)
ここで、x(t-t0)は、遅延された時間空間信号であり、X(ω)はフーリエ変換された信号である。フーリエ変換信号に係数e−jωt 0を乗算することが、単刀直入の演算である。係数e−jωt 0の乗算は、チャネル・インパルス応答の変換と組み合わせることができ、この場合所望の遅延が畳み込み計算を遅らせることはない。次いで、図2の重み付け手段202の出力Y(ω)はY(ω)=e−jωt 0X(ω)H(ω)となる。したがって、出力信号は時間t0の間浮遊していたことになり、つまり、時間空間出力信号はy(t-t0)となる。
【0020】
また、シミュレーションにドップラ・シフトを考慮に入れることも容易である。ドップラ・シフトを考慮に入れる必要があるのは、特に衛星チャネルをシミュレートするときである。時間空間では、FIRフィルタを用いてドップラ・シフトを実現することは非常に難しい。例えば、周波数空間においてフーリエ変換を用いる場合、その実施は、以下の等価式に基づいて行われる。
X(t)e−jωt 0 ←→ X(ω―ω0) (9)
【0021】
したがって、周波数空間において発生する周波数シフトは、時間空間において信号にejω 0 tを乗算することに対応するが、これは単純な演算である。このように、ドップラ・シフトは、シミュレータから出力される信号y(t)にejω 0 tを乗算することによって、又は変換信号Y(ω)のスペクトルを循環的に周波数ω0だけシフトすることによって、即ち、Y(ω)→Y(ω-ω0)として、実現することができる。ここで、ω0はドップラ・シフトの周波数である。計算上、最も速い方法は、恐らく周波数空間の原点をフーリエ変換の間循環的にシフトすることである。
【0022】
変換空間、特に周波数空間において行われるチャネル・シミュレーションでは、N個の要素から成る信号及び/又はチャネル・インパルス応答が複数の部分に分割され、少なくともN/2要素の遅延が生成される。信号及び/又はチャネル・インパルス応答を、異なる長さの部分に分割することによって、この遅延を短縮することができる。1つの可能性は、シミュレータに供給する信号の先頭部分及びチャネル・インパルス応答に対して畳み込みを実行することであり、この場合、チャネル・インパルス応答hの部分は、異なるサイズを有する。遅延を短縮するには、この例ではN個の要素を有する元のチャネル・インパルス応答hを、3つの部分に分割し、第1インパルス応答h1が元のインパルス応答からN/4個の要素を受け、第2インパルス応答h2が元のインパルス応答からN/4個の要素を受け、第3インパルス応答h3が元のインパルス応答からN/2個の要素を受ける。インパルス応答h1及びh2の長さは、N/4個の0要素をこれらに追加することによって、N/2要素に増大している。シミュレータに届いた信号xから、最初のN/4個のサンプルを第1畳み込み計算ブロック500に供給する。第1畳み込み計算ブロック500は、理想的な場合、N/2個のサンプルに対応する遅延を生成する。信号xから、遅延素子において最初にN/4個のサンプルに対応する時間だけ遅延されたN/2個のサンプルは、次に、畳み込み計算ブロック504に供給される。加えて、信号xからは、N/2個のサンプルが畳み込み計算ブロック506に供給される。したがって、第1分岐の遅延はN/2サンプルとなり、第2分岐の遅延は3N/4サンプルとなり、第3分岐の遅延はNサンプルとなる。3つの畳み込み計算ブロック500、504、506全ての出力信号y1,y2,y3は、加算器510において組み合わせられ、最終的な出力信号を形成する。また、図5に示した方法以外の方法でも、インパルス応答を分割することができる。
【0023】
一層効率的に遅延を短縮する第2の方法は、畳み込み計算を、部分的に直接FIR変換を用いて行い、部分的に変換空間において行うことである。この種の計算は、チャネル・インパルス応答及び信号の先頭部分の畳み込みが、FIRフィルタによって行われ、チャネル・インパルス応答及び信号の終端部分の畳み込みが変換空間において行われるという利点がある。図6は、この解決策を示す。この場合も、チャネル・インパルス応答はN個の要素を有することを想定している。チャネル・インパルス応答の分割は、例えば、FIRフィルタによってブロック600において時間空間で行われる畳み込み計算に対して、元のインパルス応答hから重み係数h1としてN/2個の要素を選択するように行うことができる。元のインパルス応答hからのN/2個の要素を、ブロック602において変換空間で行われる第2インパルス応答h2に対して選択する。畳み込み計算ブロック600、602両方の出力信号y1及びy2を、加算器604において組み合わせる。
【0024】
本発明の解決策は、例えば、パーソナル・コンピュータにおいて、このPCがそれ自体のアクセレレータ・カードをチャネル・シミュレーション用に有し、FFT変換、変換したインパルス応答Hと変換された入力信号Xとの積、及びIFFT変換を計算するように実行することができる。
以上、添付図面にしたがって例を参照しながら本発明について説明したが、本発明はこれには限定されず、特許請求の範囲に記載した発明の技術思想の範囲内で多くの方法で変更可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 FIRフィルタを示す図である。
【図2】 チャネル・シミュレータのブロック図である。
【図3】 Aは、シミュレータに供給する信号を複数の部分に分割する、チャネル・シミュレータを示す図である。
Bはチャネル・シミュレータにおける分割信号の処理を示す図である。
【図4】 Aは、チャネル・インパルス応答を複数の部分に分割する、チャネル・シミュレータを示す図である。
Bは、チャネルのインパルス応答を示す図である。
Cは、チャネルのインパルス応答の第1部分を示す図である。
Dは、チャネルのインパルス応答の第2部分を示す図である。
【図5】 チャネル・インパルス応答を複数の異なるサイズの部分に分割する、チャネル・シミュレータを示す図である。
【図6】 シミュレーションの一部をFIRフィルタにおいて実行し、一部を変換空間を利用するブロックにおいて実行する、チャネル・シミュレータを示す図である。
Claims (22)
- チャネル・シミュレーションをディジタル的に実行するチャネル・シミュレーション実行方法において、
シミュレーションに供給される信号(206)の少なくとも一部分を、畳み込み変換によって、時間空間から変換空間に変換するステップと、
変換した信号(208)に、時間空間から変換空間に変換されたチャネル・インパルス応答で重み付けするステップと、
重み付けした信号(212)を時間空間に逆変換するステップと
からなり、
チャネル・インパルス応答が、シミュレーションに供給する信号(206)の部分よりも多い要素から成る場合、チャネル・インパルス応答を少なくとも2つの部分に分割し、
シミュレーションに供給する信号(206)を遅延させ、
各遅延信号部分に、チャネル・インパルス応答の一部分で重み付けし、シミュレーションに供給する非遅延信号に、チャネル・インパルス応答の一部分で重み付けする
ことを特徴とする方法。 - 請求項1記載の方法において、
シミュレーションに供給する信号(206)を複数の部分に分割し、
信号部分の畳み込み変換、及びチャネル・インパルス応答による信号部分の重み付けを、部分毎に別個に行う、
ことを特徴とする方法。 - 請求項2記載の方法において、シミュレーションに供給する信号を複数の部分に分割し、各部分の要素の長さが2の累乗であることを特徴とする方法。
- 請求項2記載の方法において、信号(206)の部分を変換空間に変換し、オーバーラップ・セーブ法を用いてチャネル・インパルス応答で信号部分に重み付けを行うことを特徴とする方法。
- 請求項2記載の方法において、シミュレーションに供給する信号(206)を、複数の部分に分割し、該信号の個々の部分において長さが異なることを特徴とする方法。
- 請求項1記載の方法において、チャネル・インパルス応答を複数の部分に分割し、各部分の要素の長さが2の累乗であることを特徴とする方法。
- 請求項1記載の方法において、チャネル・シミュレーションを実行する際、チャネル・シミュレーションに供給する信号(206)の一部分に対しては変換空間を利用し、チャネル・シミュレーションに供給する信号(206)の一部分に対して時間空間におけるFIRフィルタを用いることを特徴とする方法。
- 請求項1記載の方法において、畳み込み変換をフーリエ変換を用いて実行し、信号に係数e−jωt 0を乗算することによって、サンプリング期間の端数の遅延を実現することを特徴とする方法。
- 請求項1記載の方法において、畳み込み変換をフーリエ変換を用いて実行し、変換信号X(ω)のスペクトルを周波数ω0だけ循環的にシフトすることによって(X(ω)→X(ω-ω0))ドップラ・シフトを実施し、ω0が該ドップラ・シフトによって生ずる周波数変化であることを特徴とする方法。
- 請求項1記載の方法において、畳み込み変換をフーリエ変換を用いて実行し、フーリエ変換中に変換空間の原点を循環的にシフトすることによってドップラ・シフトを実施することを特徴とする方法。
- チャネル・シミュレーションをディジタル的に実行するチャネル・シミュレーション実行方法において、
シミュレーションに供給される信号(206)の少なくとも一部分を、畳み込み変換によって、時間空間から変換空間に変換するステップと、
変換した信号(208)に、時間空間から変換空間に変換されたチャネル・インパルス応答で重み付けするステップと、
重み付けした信号(212)を時間空間に逆変換するステップと
からなり、
チャネル・シミュレーションを実行する際、チャネル・シミュレーションに供給する信号(206)の一部分に対しては変換空間を利用し、チャネル・シミュレーションに供給する信号(206)の一部分に対して時間空間におけるFIRフィルタを用いることを特徴とする方法。 - チャネル・シミュレーションをディジタル的に実行するように構成されたチャネル・シミュレータであって、該チャネル・シミュレータが、
シミュレーションに供給される信号(206)の少なくとも一部分を、畳み込み変換によって時間空間から変換空間に変換する変換手段(200)と、
変換した信号(208)に、時間空間から変換空間に変換されたチャネル・インパルス応答で重み付けする重み付け手段(202)と、
重み付けした信号(210)を時間空間に逆変換する逆変換手段(204)と
を備えており、チャネル・シミュレータはさらに、
チャネル・インパルス応答が、シミュレーションに供給する信号(206)の部分よりも多い要素から成る場合、チャネル・インパルス応答を少なくとも2つの部分に分割するように構成され、シミュレーションに供給する信号を遅延させる少なくとも1組の遅延手段(404)を備え、変換空間に変換され、シミュレーションに供給する各遅延信号に、チャネル・インパルス応答の一部分で重み付けするように構成され、変換空間に変換されてシミュレーションに供給する非遅延信号に、チャネル・インパルス応答の一部分で重み付けするように構成されていることを特徴とするチャネル・シミュレータ。 - 請求項12記載のチャネル・シミュレータにおいて、
チャネル・シミュレータが、シミュレーションに供給する信号(206)を複数の部分に分割する分割手段(300)を備え、
チャネル・シミュレータが、信号部分の畳み込み変換、及びチャネル・インパルス応答による信号部分の重み付けを、部分毎に別個に行うように構成されている
ことを特徴とするチャネル・シミュレータ。 - 請求項13記載のチャネル・シミュレータにおいて、チャネル・シミュレータが、シミュレーションに供給する信号を複数の部分に分割する分割手段(300)を備え、各部分の要素の長さが2の累乗であることを特徴とするチャネル・シミュレータ。
- 請求項13記載のチャネル・シミュレータにおいて、重み付手段(202)が、オーバーラップ・セーブ法を用いてチャネル・インパルス応答による信号部分の重み付けを行うことを特徴とするチャネル・シミュレータ。
- 請求項13記載のチャネル・シミュレータにおいて、分割手段(300)が、シミュレーションに供給する信号(206)を、複数の部分に分割し、該信号の個々の部分において長さが異なることを特徴とするチャネル・シミュレータ。
- 請求項12記載のチャネル・シミュレータにおいて、チャネル・シミュレータは、チャネル・インパルス応答を複数の部分に分割するように構成されており、各部分の要素の長さが2の累乗であることを特徴とするチャネル・シミュレータ。
- 請求項12記載のチャネル・シミュレータにおいて、チャネル・シミュレータは、変換空間を利用してチャネル・シミュレーションに供給する信号(206)の一部分に対してチャネル・シミュレーションを実行し、チャネル・シミュレータは、チャネル・シミュレーションに供給する信号の一部分に対して時間空間においてチャネル・シミュレーションを実行するように構成されたFIRフィルタ(600)を備えていることを特徴とするチャネル・シミュレータ。
- 請求項12記載のチャネル・シミュレータにおいて、変換手段(300)が畳み込み変換をフーリエ変換を用いて実行するように構成されている場合、チャネル・シミュレータは、信号を係数e−jωt 0で重み付けすることによって、サンプリング期間の端数の遅延を実現することを特徴とするチャネル・シミュレータ。
- 請求項12記載のチャネル・シミュレータにおいて、変換手段(300)が畳み込み変換をフーリエ変換を用いて実行するように構成されている場合、チャネル・シミュレータは、変換信号X(ω)のスペクトルを周波数ω0だけ循環的にシフトすることによって(X(ω)→X(ω-ω0))ドップラ・シフトを実施するように構成され、ω0が該ドップラ・シフトによって生ずる周波数変化であることを特徴とするチャネル・シミュレータ。
- 請求項12記載のチャネル・シミュレータにおいて、変換手段(300)が畳み込み変換をフーリエ変換を用いて実行するように構成されている場合、チャネル・シミュレータはフーリエ変換中に変換空間の原点を循環的にシフトすることによってドップラ・シフトを実施することを特徴とするチャネル・シミュレータ。
- チャネル・シミュレーションをディジタル的に実行するように構成されたチャネル・シミュレータであって、変換空間を利用してチャネル・シミュレーションに供給する信号(206)の一部分に対してチャネル・シミュレーションを実行するチャネル・シミュレータにおいて、該チャネル・シミュレータは、
シミュレーションに供給される信号(206)の少なくとも一部分を、畳み込み変換によって時間空間から変換空間に変換する変換手段(200)と、
変換した信号(208)に、時間空間から変換空間に変換されたチャネル・インパルス応答で重み付けする重み付け手段(202)と、
重み付けした信号(210)を時間空間に逆変換する逆変換手段(204)と、
チャネル・シミュレーションに供給する信号の一部分に対して時間空間においてチャネル・シミュレーションを実行するように構成されたFIRフィルタ(600)と
を備えていることを特徴とするチャネル・シミュレータ。
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