JP4001660B2 - コンピュータ制御ディスプレイシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンピュータ制御ディスプレイシステム用のユーザインターフェイスの分野に関し、特にユーザインターフェイスの作業スペースのより効率的な編成に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペンベースシステム及び「電子ホワイトボード」(例えば、ゼロックス社(Xerox Corporation)の一部門である LiveWorksから利用可能な LiveBoard(商品名))などのコンピュータベースシステムは、ペン、スタイラス又はカーソル制御デバイスなどの入力デバイスの使用に基づいたグラフィカルユーザインターフェイスを提供する。このようなシステムでは、「ディスプレイ」はデータを示す手段及び入力媒体として動作する作業スペースを示す。入力デバイスを使用して生成されるペンのストロークによって、グラフィックオブジェクトをディスプレイ上に「ドローする(描く、線などを引く)」ことができる。グラフィックオブジェクトは、単語、数字又は表示できるあらゆるものを表すことができる。次に、ジェスチャーとして既知の入力技術を使用して、様々な操作をグラフィックオブジェクトに対して行うことができる。ジェスチャー自体は、命令として解釈される単なるペンのストロークにすぎない。時として、このようなシステムはドローモードの操作とジェスチャーモードの操作を有し、ペンストロークが固定グラフィックオブジェクトを生成する場合とペンストロークをジェスチャーとして処理する場合とを区別している。
【0003】
ユーザとの対話を容易にするため、LiveBoard システムは構造の概念を提供する。LiveBoard システムが用いる様々なタイプの構造は、本願と同一の譲渡人に譲渡された "Apparatus and Method For Supporting the Implicit Structure of Freeform Lists, Outlines, Text, Tables, and Diagrams In A Gesture-Based Input System and Editing System"というタイトルの EPA 0 667 567 A2 に記載されている。概念的に、構造とは特定の関係を有するグラフィックオブジェクトの集まり、例えば LiveBoardに書き込まれるアイテムのリストなどである。構造の操作が生じると、アイテム間の関係は維持される。例えば、リストの中間にアイテムを入力すると挿入箇所より下のアイテムは下に移動し、挿入されたアイテムのためのスペースをつくる。
【0004】
電子ホワイトボードを使用する場合、リスト及び他の構造は明確な領域においてクラスタ化される。これは、オブジェクトを生成する際又は標準の編集機能を用いてグラフィックオブジェクトを移動させることによって意識的に行われうる。オブジェクト及び構造が配置される位置が近いため、ユーザが操作によって一定のオブジェクト又は構造のみに影響を及ぼしたいときに問題が生じうる。
【0005】
簡潔な例がリストの操作においてみられる。アイテムをリスト内の異なる位置に移動させることによってリストを再順序づけするなどのリスト操作を支援するには、システムはリストを含む領域を計算できなければならない。次に、リストの再順序づけ操作は、リストを含む領域内のオブジェクトのみに影響を及ぼし、他の領域内のオブジェクトをそのままにする。しかし、アイテム及び構造が密接してクラスタ化されると、この領域を決定することが困難な場合がある。更に、この領域が正確に決定されていても、操作を行うことによってリストアイテムを他のオブジェクト上に重ね書きしてしまう可能性がある。
【0006】
この問題に対処する1つの方法は、アイテムを手動で選択し、これらをグループ化して作業スペース内の別の位置に移動させることである。しかし、これは面倒であり、多少非生産的である。
【0007】
領域を決定する別の技術が前述の EPA 0 667 567 A2 に記載されており、ここでは、ユーザがドローしたボーダーラインを使用して選択操作の空間範囲を制限している。ボーダーラインは、ボーダーラインがドローされる箇所に固定される。従って、例えばボーダーがリストの底部に設定された場合、リストの選択はそのボーダーにおいて終わる。しかし、アイテムがリストに追加される場合、リストの後に続く選択がボーダーによって妨げられないようにボーダーを手動で移動させなくてはならない。これは、選択操作の範囲を制限するには有用であるが、リストを更新しなくてはならない場合に面倒になりうる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ユーザがグラフィカルディスプレイシステムの作業面を複数の矩形領域にテッセレート(切りばめ処理)することを可能にする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
作業面は、構造化ボーダーを使用してテッセレートされる。構造化ボーダーは、電子ホワイトボードとの対話の経過の際にユーザによって動的に生成される。構造化ボーダーは、領域を画定する区切りとして使用される。構造化ボーダーによって区切られた領域は、構造操作の範囲を画定する。このような構造操作の影響は、この領域に制限される。
【0010】
異なるタイプの領域画定を提供する様々な構造化ボーダータイプが使用可能である。全ての方向又はいくつかの方向に拡張可能である領域を画定することができる。拡張可能ではない領域を画定することもできる。最後に、「フロー」領域として領域を画定することによって、これに含まれるリストアイテムを隣接フロー領域間でフローさせることができる。構造化ボーダーは、視覚的に直線で表される。様々な領域タイプは、異なるタイプのライン(例えば、標準線、太線及び破線)として表される構造化ボーダーを有する。
【0011】
例えばボーダーの伸張、縮小又は削除など、様々なグラフィカル操作を構造化ボーダーに対して行うことができる。しかし、システムは常に作業面の完全な直線テッセレーションを維持するように動作する。従って、「依存」ボーダーの削除、伸張又は縮小を行って直線テッセレーションを維持することができる。
【0012】
本発明の請求項1の態様は、作業面を別個の領域に編成して編集操作の影響を局所に限定するようにコンピュータ制御ディスプレイシステムを操作する方法であって、a)ユーザが前記作業面上に1つ又はそれより多くの構造化ボーダーを生成し、前記作業面を複数の領域にテッセレートするステップと、b)前記ユーザが前記作業面上の1つ又はそれより多くのグラフィックオブジェクトを選択するステップと、c)前記システムが前記選択された1つ又はそれより多くのグラフィックオブジェクトに関連するソース領域を識別するステップと、d)前記ユーザが前記選択された1つ又はそれより多くのグラフィックオブジェクトに対して行われるべき編集操作を指示するステップと、e)前記システムが前記編集操作を行う指定領域を識別するステップと、f)前記編集操作が前記ソース領域、前記指定領域及び前記テッセレートされた作業面に及ぼすスペースの影響を前記システムが決定するステップと、g)前記編集操作を行うことができるかどうかを前記システムが前記スペースの影響に基づいて決定するステップと、h)前記編集動作を行うことができる場合、前記編集操作を行うステップと、を含む。
【0013】
本発明の請求項2の態様は、グラフィカルオブジェクトを生成し表示するコンピュータ制御ディスプレイシステムであって、作業面を示すディスプレイと、前記作業面上に前記作業面の領域を画定するボーダーを生成するボーダー生成手段と、既存のボーダーを編集すると共に前記ボーダーによって前記作業スペースの直線テッセレーションを維持するボーダー編集手段と、前記作業面上にペンストロークを入力し、前記作業面上のグラフィカルオブジェクトに対して操作を開始する入力手段と、前記作業面上のグラフィカルオブジェクトに対する操作を処理すると共に、ボーダーの第1セットによって画定される第1領域内のグラフィックオブジェクトに対して行われる操作をボーダーの第2セットによって画定される第2領域内のグラフィックオブジェクトに及ぼす影響から分離する手段を有する操作処理手段と、を含む。
【0014】
【発明の実施の形態】
グラフィックベースのコンピュータシステムにおいて作業スペースを編成するシステムが開示される。本発明の好適な実施の形態は、構造化ボーダーを使用してテッセレートされた作業スペースを生成し管理する技術において実施される。テッセレートされた作業スペースは作業スペースを非重複領域に完全に分割するものであり、グラフィックオブジェクトの操作はグラフィックオブジェクトを含む領域に制限される。このような操作は、作業スペース上に書き込んだアイテムのリストを操作する際に特に有益である。
【0015】
本発明は、完全な直線テッセレーションを維持するように動作する。従って、ボーダーが削除されるか又は変更されると、「依存」ボーダーはこれに応じて削除されるか又は変更される。完全な直線テッセレーションは、構造操作を行う際に整然とした直覚的な結果を維持するために必要である。更に、構造化ボーダーは固定されていなくてもよい。ボーダーは、構造操作に応答して移動することができる。
【0016】
以下の用語はこの記述において使用され、以下に示される意味を有する:
グラフィックオブジェクト:2D(2次元)空間において表示されるあらゆるオブジェクト
作業スペース:グラフィックオブジェクトが書き込まれ、かつディスプレイ上に全体又は一部が表示されるスクロール可能な2D空間
カーブ:ユーザによって手動で生成される(例えば、ペンストローク)か、又はジェスチャー(例えば、「[ 」ジェスチャーから得られる矩形)など他の手段によって生成されるか、あるいはシステム(例えばボーダー)によって生成される1次元グラフィックオブジェクト
ペンストローク:インクストローク又はジェスチャーとなる、ペンを用いる動作インクストローク:ペンストロークを用いて生じる固定したカーブ
ジェスチャー:ペンストロークを用いて生じる、一時的であり動作として解釈されるカーブ
選択物:選択されたものとしてタグが付けられたグラフィックオブジェクトのセット
直線テッセレーション:作業スペース上の各点が1つの領域内に位置するように作業スペースを矩形領域に分割すること
構造:構造とは、所定の関係を有するグラフィックオブジェクトのセットをいう。構造内のグラフィックオブジェクトに対して行われる操作は、所定の関係を保っている。本発明において使用することが可能な構造は、本願と同一の譲渡人に譲渡された "Apparatus and Method For Supporting The Implicit Structure Of Freeform Lists, Outlines, Text, Tables, and Diagrams In a Gesture-Based Input System And Editing System"というタイトルの共願特許出願番号08/176,150に記載されている。
【0017】
本発明において使用可能なグラフィックベースのコンピュータベースシステムは、図1を参照して示される。図1を参照すると、コンピュータベースシステムはバス101を介して結合した複数の構成要素を含む。ここに示されるバス101は、本発明を明確にするために簡略化されている。バス101は、複数のパラレルバス(例えば、アドレスバス、データバス及びステータスバス)及びバスの階層(例えば、プロセッサバス、ローカルバス及びI/Oバス)からなる。いずれにせよ、コンピュータシステムは更に、内部メモリ103からバス101を介して提供される命令を実行するプロセッサ102を含む(通常、内部メモリはランダムアクセス又はROMの組み合わせであることに注意する)。動作の際、本発明の様々な機能構成要素を行うプログラム命令が内部メモリ103に記憶される。プロセッサ102及び内部メモリ103は別個の構成要素でもよいし、単一の一体化デバイスでもよい。プロセッサ102及び内部メモリ103は、本明細書中に説明される様々な処理機能を行う回路を含む。また、外部記憶装置107もバス101に結合している。外部記憶装置107は、通常は磁気又は光学ディスク記憶装置などの高容量記憶媒体である。
【0018】
ディスプレイ104及びポインティングデバイス105もバス101に結合している。好適な本実施の形態では、ポインティングデバイス205はペンによって駆動されるタッチセンスパネルであり、これはタッチスクリーンディスプレイとしてディスプレイ104と一体化している。このようなタッチスクリーンディスプレイは当該技術において公知であり、ペンベースシステムのようなシステム及び電子ホワイトボードシステムにおいて使用されている。しかし、ポインティングデバイス105及びディスプレイ104は一体化されていなくてもよく、ポインティングデバイス105はスタイラス、マウス、トラックボール又は他のカーソル制御デバイスでもよい。
【0019】
図2は、本発明での使用が可能なグラフィカルユーザインターフェイスの特定の実施を示している。図2を参照すると、グラフィカルユーザインターフェイスがディスプレイ104に表示されており、タッチパネル105を介して対話されている。グラフィカルユーザインターフェイスは作業面202を用いており、示されるように複数のアクセス可能機能201を用いることができる。作業面202は、ユーザが様々なカーブをドローすることができ、かつ他のグラフィックオブジェクトが表示される箇所である。アクセス可能機能201は、ディスプレイのボタン領域203に位置する。機能201は、グラフィックオブジェクトの編集操作(生成、削除、移動、縮小など)又はタッチパネル103の操作モードの変更操作(ドローモード及びジェスチャーモードからの切り換え)を含みうる。
【0020】
あるいは、これらの機能は Windows指向アプリケーションにおいて共通して見られるプルダウンメニューによってアクセス可能である。しかし、これらの機能は指定が任意的であり、主要オブジェクトはシステムの操作に固有の操作を定めるべきである。これらの機能は、ジェスチャーによって呼び出される機能と同一の機能を行うことができる。
【0021】
図3は、好適な本実施の形態の作業面の境界を概念的に示している。本発明を用いる作業面は境界が定められなくてもよく、このような実施は本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことに注意すべきである。図3を参照すると、作業面はX−Y座標システム302の右下カドラント(1/4)301に位置すると考えることができる。作業面が右及び下方向に無限であり、左及び上方向において制限されるように、作業面は座標軸303及び304によって境界が定められている。従って、座標軸303及び304の各々は境界として動作する。
【0022】
図4は、本発明の好適な実施の形態を操作するグラフィックベースコンピュータシステムの一般的な動作を非常に高次の項で示す状態図である。全体的な意図は、テッセレートされた作業スペース内のグラフィカルオブジェクトに対するあらゆる編集操作の結果が直覚的に一貫して行われる作業面を提供することである。前述の説明において明白になるように、好適な本実施の形態では、この編集操作は構造操作である。しかし、テッセレートされた作業面を利用することが可能なグラフィックオブジェクトに対する他のタイプの編集操作の実施は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない。図4を参照すると、システムはユーザからの動作を検出する状態401にある。この状態にある間に、ユーザは追加、削除又は他の方法によるグラフィックオブジェクトの操作などの編集操作を作業スペースにおいて行っている。一般に、ユーザ対話状態401から4つの広いカテゴリーのジェスチャー又は動作が関連する:即ち、ボーダー選択動作402、ボーダー生成動作403、構造操作動作404及び領域選択動作405である。
【0023】
ボーダー選択動作402が検出されると、構造化ボーダー更新状態406が入力される。構造化ボーダー状態406から、ボーダーを削除する(ボーダー削除状態407)か又は変更する(ボーダー変更状態408)ことができる。ボーダー削除状態407は、削除動作415の結果として又は領域削除(後述する)の結果として入力される。ボーダー変更状態408は、ボーダー変更動作416の結果として又は領域移動(後述する)の結果として入力される。ボーダーの変更は、ボーダーの移動、伸張又は縮小を含むことができる。削除及び変更の影響は、より詳しく後述される。
【0024】
ボーダー追加動作403が検出されると構造化ボーダー生成状態409が入力され、ボーダーが生成されて作業面に追加される。
【0025】
構造操作動作404が検出されると、領域内の構造操作状態410が入力される。構造操作は、固有の関係を有するグラフィックオブジェクトのグループに影響を及ぼす操作であることを想起する。構造操作は1)構造にとって「自然な」操作であり、2)構造の固有の関係を保つ。例えば、操作はアイテムをリストに挿入するか又はリストから取り除くことでありうる。アイテムが挿入される際に予期されるように、挿入位置より下のアイテムは「下に移動する」ことができる。構造操作の経過の際、例えばリスト内のアイテムを移動させるなど様々な副作用411が生じる可能性があり、これによって領域が拡張したり縮小したりする。従って、領域拡張又は縮小状態419が入力される。このような領域拡張又は縮小によってボーダーの変更が生じうる。従って、ボーダー変更状態408が入力される。
【0026】
領域選択動作405が検出されると、領域操作状態412が入力される。領域操作状態412から、領域を移動させるか(領域移動状態413)又は削除する(領域削除状態414)することができる。移動動作418が行われると、領域移動状態413が入力される。領域を移動させるか又は変更する場合、ボーダー変更状態408が入力されるようにボーダーを移動させることが通常必要である。領域を削除する場合、領域削除状態407が入力されるように1つ又はそれより多くのボーダーを削除することが通常必要である。
【0027】
構造化ボーダーは、まっすぐな水平又は垂直のラインセグメントとして視覚的に表されるインクストロークであり、ラインセグメントの一方の端部は制限されており、もう一方の端部は制限されているか又は無制限である。好適な本実施の形態の作業面は、x−y座標システムの右下カドラントとして画定されていることを想起する。水平境界は、常にy軸によって少なくとも左側が制限されており、遮る垂直境界線がなければ右側端部は無制限でありうる。同様に、垂直境界は常にx軸によって少なくとも上部が制限されており、遮る水平境界線がなければ下部は無制限でありうる。
【0028】
図5は、複数の構造化ボーダーによってテッセレートされた作業面を示している。図5を参照すると、標準、アンカー及びフロースルーの3つのタイプの構造化ボーダーを定義することができる。これらは、異なるタイプのラインとして表示される。標準ボーダーは、ボーダー501として示されている。標準ボーダーは、「標準」幅のラインで表示されている。前述のような直線ジェスチャーは、標準ボーダーを生成する。標準ボーダーは選択及び移動が可能であり、あるいは一定の操作(例えば、後述する自動領域拡張)の副作用として自動的に移動が可能である。
【0029】
アンカーボーダーは、ボーダー502として示されている。アンカーボーダーは、「太」線として表示されている。アンカーボーダーは、構造操作の結果として移動しない(が、ユーザによる選択及び移動が可能である)。アンカーボーダーは、作業面のテッセレーションのあらゆる自動調節に対する「絶対的な」障害を表す。
【0030】
フローボーダーは、ボーダー503として示されている。フロースルーボーダーは破線で表示されている。破線ボーダーは、(後述する)フロー領域内のコラム(列)を定める。
【0031】
ボーダーはまた、ボーダー自体の間で関係を有する。このような関係は図5に示される。図5を参照すると、ボーダー504は依存ボーダー505を有する。ボーダー504が変更又は削除される場合、直線テッセレーションを維持するためにボーダー505も変更又は削除されなくてはならないため、ボーダー505はボーダー504に依存している。ボーダーの変更及び削除は、より詳しく後述される。
【0032】
ボーダー506は、ボーダー507と直線の関係を有する。これらは、互いの線拡張と呼ばれる。
【0033】
構造化ボーダーのタイプを変更できることは有用である。好適な本実施の形態では、既存のラインの太さ及びタイプの制御を使用してボーダーのタイプを変更する。
【0034】
しかし、構造化ボーダーが(システムのドローモードの操作において通常生成される)通常のラインとは異なる特性を有することは有用である。例えば、構造化ボーダーは消去ツールを使用して容易に消去することができない(これは、行うことができる削除とは対照的である)。後述するように、構造化ボーダーの消去は依存ボーダーの消去などの望ましくない結果を生じうる。更に、操作をより迅速に識別して行うことができるように、構造化ボーダーは容易に識別可能でなくてはならない。従って、構造化ボーダーは、それが実際にボーダーであることを示す情報を含む内部表現を有する。
【0035】
構造化ボーダーは、様々な方法で生成される。第1の方法は、フリーハンドの直線ジェスチャーを生成することによって行われる。新しく生成されるボーダーはジェスチャーの位置に配置され、ジェスチャーに対して垂直で両側にある最も近いボーダー(又は作業面の側面)につながるまでボーダーの両端部の箇所が伸ばされる。つなぐボーダーがない場合、ボーダーは制限されない(例えば、水平ボーダーが画定されていない場所の垂直ボーダー)。ジェスチャーによる生成は、図6〜図7に示される。
【0036】
図6を参照すると、既存の垂直ボーダー601及び602はコラムを画定しており、ジェスチャー603が作られて作業面の第2コラムの中の水平ボーダーを生成している。図7は、結果として生じた水平ボーダー701を示している。
【0037】
前述の方法では、新しいボーダーのために明確な水平スペースがなくてはならない。時として、ユーザは水平又は垂直ボーダーのための明確な水平又は垂直スペースがない場所でボーダーによってオブジェクトを分割したい場合がある。従って、ボーダーを生成する第2の方法は、1つのボーダーから別のボーダー(又は可視ディスプレイのエッジ)に任意のカーブジェスチャーをドローすることである。この場合、オブジェクトは移動されて新しいボーダーの明確な水平又は垂直スペースを生成する。結果として直線のボーダーが生成され、オブジェクトがジェスチャーによって示される領域に属するようにオブジェクトが自動的に調節される。これは、図8〜図9を参照して示される。
【0038】
図8を参照すると、垂直ボーダー801と802との間にライン803がドローされている。ライン803は直線ではなく、領域の可視内容を2つの別個の部分に分割しており、一方は Tokyo、Shanghai及びToronto のマークを含み、他方は Vancouver及びMoscowを含んでいる。
【0039】
図9を参照すると、2つのボーダーをつなぐラインをドローした結果が示される。ここでライン901は直線であり、Vancouver 及び Moscow のマークをライン901の下に押し下げている。
【0040】
構造化ボーダーを生成する第3の方法を使用してフロー領域が作られ、これはフローボーダーを生成する。これは、より詳しく後述される。
【0041】
ボーダーは、あらゆる他のグラフィカルオブジェクトのように操作が可能である。ボーダーを操作するには、ボーダーを「選択」しなくてはならない。好適な本実施の形態では、タップジェスチャー(又は「タッピングオンイット(tapping on it:タップすること)」)によって全てのボーダーを選択することができる。ボーダーを選択するとボーダーは「強調表示」される。
【0042】
好適な本実施の形態では、構造化ボーダー及びその直線拡張は、ダブルタッピングオンイット(2度タップすること)によって選択が可能である。これは、図10〜図11に示される。図10を参照すると、構造化ボーダー1001は単一タップによって選択されている。図11を参照すると、構造化ボーダー1001は「ダブルタップ」され、結果としてボーダー1001及びその直線拡張1101及び1102も選択されている。
【0043】
ユーザによるボーダーの整列を助長するために、構造化ボーダーが生成又は移動される際、これらは小さい一定のグリッドサイズを有する不可視の背景グリッドに「スナップ (snap) 」する。
【0044】
構造化ボーダーを選択することにより、それに依存するボーダーも強調表示される。所与のボーダーに対し、その依存物は、「親」ボーダーが除去される場合に作業面の直線テッセレーションを保つために除去される必要があるボーダーとして定義される。依存ボーダーはまた、親ボーダーが移動すると伸張又は縮小することができる。選択されたボーダーの依存ボーダーが図12に示される。図12を参照すると、ボーダー1202はボーダー1201に依存している。これは、ボーダー1201が削除されるとボーダー1202は作業面の直線テッセレーションを妨げるからである。図12に示されるように、2つのボーダーが交差して「T」形を形成すると依存ボーダー状況が生じる。依存ボーダーは、「T」形の横棒を形成するボーダーである。
【0045】
(例えば、ピッグテイルジェスチャーなどの削除ジェスチャーを使用して)選択されたボーダーを削除することができる。構造化ボーダーに関しては、削除によってその依存ボーダーも削除される。
【0046】
選択されたボーダーは、ドラッグ操作によって移動が可能である。構造化ボーダーに関しては、(移動を止める物理的オブジェクトであるかのように)他のボーダー及びオブジェクトによって移動が遮られる。これは、図13に示される。図13を参照すると、選択されたボーダー1301はボーダー1302及びオブジェクト1303によって遮られる。従って、選択されたボーダー1301の移動範囲は、これらの2つのオブジェクトの間である。更に、全ての依存ボーダーを拡張又は縮小して直線テッセレーション構造を保つことができる。これは、図14に示される。図14を参照すると、選択されたボーダー1401が新しい位置に移動していると共に依存ボーダー1402は伸張しており、直線テッセレーション構造に従ってボーダー1401と接触したままである。
【0047】
領域とは、ボーダーによって定められる作業スペース内の領域である。ボーダーが構造化ボーダーである場合、領域は矩形である。
【0048】
領域及びそれに関連する境界は、選択されるグラフィカルオブジェクトに基づいて画定されることに注意すべきである。これは、複合領域に関する以下の論述において明らかになるであろう。
【0049】
好適な本実施の形態では、リストアイテムをグループ化して操作する構造化操作が利用可能である。本発明は、これらの操作を領域の内部に制限する。最も基本的なケースでは、リスト操作は単一領域内のオブジェクトのみに影響し、残りの作業面上のオブジェクトのレイアウトを乱さない。これは、図15〜図16に示される。図15を参照すると、領域1501においてリスト1052のアイテム1503が再位置づけされるべきである。この再位置づけは図16に示される。領域1501以外のオブジェクトは影響を受けていないことに注意する。
【0050】
別の基本的なケースは、2つの領域間のリスト操作を行うことである。これは、図17〜図18に示される。図17を参照すると、領域1701からのアイテム1702は領域1703のリスト1704に移動される。結果は、図18に示される。領域1701及び1703以外のオブジェクトは影響を受けていないことに注意する。
【0051】
好適な本実施の形態では、領域は、特定の操作時間がすぐに計算されるという点で「暗黙的」なオブジェクトである。関連領域の位置、サイズ及び範囲は、ユーザの動作によって暗黙的に決定される。例えば、ユーザが選択を行うと、システムは選択物の位置及びサイズに基づいて計算をする。これは、選択物を囲む最も近い4つのボーダーによって制限される領域である。
【0052】
複合領域とは、ボーダー又はサブ領域を含む領域である。ボーダーを含む領域が図19に示される。図19を参照すると、領域1901及び1902は構造化ボーダーによって定められている。ボーダー1905は、領域1902から領域1901を定めている。ユーザはリストアイテムを選択することができ、例えば選択物1903などのいくつかの領域をわたるリストアイテム又はリストアイテムのロー(行)全体などを選択することができる。ここでは、選択物はボーダーの上に重なっている。この場合、選択物の上に重なるボーダー、即ちボーダー1905は「アンビエント」であると一時的に考えられ、次に続くリスト操作時間のために1つの領域があると解釈する。
【0053】
フロー領域とは、リストが1つのコラムから次のコラムへと続いているコラムのシーケンスである。コラムは、破線ボーダーとして示されるフロースルーボーダーによって分割される。これは、図20を参照して示される。図20を参照すると、コラム2001〜2003はアイテムのリストを有するフロー領域を含む。フロー領域のリスト操作によってリストを再フォーマット化し、アイテムはフロースルーボーダーをわたって(アニメーションによって)「フロー」してギャップを満たすか又は挿入のためのスペースを作る。リスト操作は、単一フロー領域内又は2つのフロー領域間で生じることができる。これは、図21〜図22及び図23〜図24に示される。
【0054】
図21を参照すると、リストアイテム2101("Singapore")はコラム2102からコラム2104に移動される。図22は、リストアイテム2101("Singapore")の移動後に生じた「フロー」を示している。様々なコラム内のアイテムが移動したことに注意すべきである。コラム2102から移動して出たものはリストアイテム2101("Singapore")であり、コラム2103から移動してコラム2102に入ったものはリストアイテム2201("Toronto")である。コラム2103から移動して出たものはリストアイテム2201("Toronto")であり、移動してコラム2103に入ったものはリストアイテム2202("Moscow") である。コラム2104から移動して出たものはリストアイテム2202("Moscow") であり、移動してコラム2104に入ったものはリストアイテム2101("Singapore")である。影響を受けた他のリストアイテムはコラム内でシフトされ、それに応じて上又は下に移動される。
【0055】
図23を参照すると、リストアイテム2301("Paris")は第1フロー領域2305のコラム2302から第2フロー領域2304のコラム2303に移動される。図24は、リストアイテム2301("Paris")の移動がフロー領域2304及び2305の様々なコラムに及ぼす影響を示している。フロー領域2304に関しては、アイテムのリストが増加しており、結果として生じたフローによって追加のアイテムがコラム2401に配置されている。フロー領域2305に関しては、アイテムのリストが減少しており、結果として生じたフローによってコラム2402内の全てのアイテムが取り除かれている。実際に2つのアイテムがより大きなサイズの単一アイテムに代わっているため、コラム2402に及ぼす影響は、アイテムのフローがアイテムのサイズに基づいていることを更に示している。
【0056】
フロー領域は、長いリストの操作に特に有用である。これは、単一ページに列挙され、ディスプレイウィンドウが短すぎて全体を眺めることができない長いリストを処理する方法を提供する。このようなリストの一般的な例は、ブレインストーミングセッションの結果である。好適な本実施の形態では、フロー領域を生成し、リストアイテムをスケーリングし、全てのアイテムがディスプレイウィンドウ上で可視になるようにフロー領域に配置することにより、長いリストを再フォーマット化する操作が提供される。
【0057】
これは、図25〜図26に示される。図25を参照すると、作業スペース2501はリスト2502を含む。リスト2502は、ディスプレイの範囲(ここではディスプレイ範囲2503として示される)を越えて延びている。従って、一度にリスト全体をスクリーン上で眺めることができない。ここで図26を参照すると、リストはディスプレイ上で全体を表示することができるフロー領域内に再フォーマット化されている。
【0058】
リストのフォーマット化という基本的な操作がある。これは、リストを選んでこれを所与のサイズのフロー領域内にはめ込むことを含む。必要数のコラムがフロー領域内に生成され、リストアイテムは必要なサイズに一様にスケーリングされる。リストをフォーマット化する技術は、アイテムのスケールを最大にしたコラムの数を選択する。
【0059】
好適な本実施の形態では、フロー領域の生成は以下の技術のうち1つを使用して達成される:
【0060】
1.既存のボーダーをフロースルーボーダーに変える
a)ユーザは、タッピングによって既存のボーダーを選択する。
b)ユーザは、ライン特性をフロースルーボーダーの破線に編集する。
後に続くリスト操作は、フロースルーボーダーをわたってフローする1つのリストに属するものとしてアイテムを解釈する。
【0061】
2.リストを含む領域を圧縮する
領域の圧縮は、領域のサイズを減少させ、領域内のアイテムのスケーリングを伴い、領域内の未使用領域の量を減少させる技術である。領域がリストを含む場合、領域をフロー領域に変換するようにこれを圧縮することができる。圧縮の一般的な概念は、より詳しく後述する。いずれにせよ、フロー領域を生成するために以下のステップに従う:
a)ユーザは、リストを含む領域の底部ボーダーを選択する。
b)ユーザは、選択されたボーダーをリスト内で最も下に位置するアイテムの底部を通過するようにドラッグする。
c)システムは新しいフロースルーボーダーを自動的に生成し、追加のコラムを提供してリストを収容し、リストを新しいフロー領域内に再フォーマット化する。
【0062】
これは、図27〜図29に示される。図27を参照すると、ユーザはリスト2702を含む領域の底部ボーダー2701をドラッグする。図28を参照すると、臨界高さ、即ちリストアイテムの合計の高さ2801よりも小さい高さを通過するようにユーザが選択された底部ボーダー2701をドラッグすると、フローボーダーを間もなく生成し、かつリストをフロー領域内に再フォーマット化することを示すユーザへのフィードバックとして強調表示されたフローボーダー2802が現れる。結果として生じたフロー領域は、図29に示される。
【0063】
好適な本実施の形態では、リストアイテムをスケーリングすることができるため、ユーザが領域を圧縮してフロー領域を生成できる範囲は制限されていない。しかし、ユーザが眺めることができるものに基づいて実質上の範囲が存在する。好適な本実施の形態では、ユーザにこの実質上の範囲を決定させる。
【0064】
好適な本実施の形態は更に、底部ボーダーを下に移動し、より大きなフロー領域を生成することによってフロー領域内のコラムの数を減少させる「非圧縮」操作を支持することにも注意すべきである。
【0065】
3.「リストを圧縮して可視作業面にはめ込む」操作を行う
a)ユーザは、ボーダーのない作業面上の全てのリストアイテムを選択する(例えば、リストはブレインストーミングセッションの結果である)。
b)ユーザは、メニューによって、あるいは選択物をわたる「ダブル水平線」ジェスチャー(これは、リストを分割するためのニーモニックである)を形成することによって「リストを圧縮して可視作業面にはめ込む」を呼び出す。
c)システムは、可視作業面の底部に新しいボーダーを生成すると共にフロースルーボーダーのセットを自動的に生成し、コラムを提供してリストを収容し、リストを新しいフロー領域内に再フォーマット化する。これは、リストアイテムのスケーリングを含みうる。
【0066】
図30は、リストをフロー領域内にフォーマット化するステップを説明するフローチャートである。まず、(前述の)フロー領域を生成した技術によってフロー領域のサイズを決定する(ステップ3001)。次に、リストをフロー領域にはめ込むことを可能にする縦列(コラム状)編集を決定する。初めに、フロー領域のサイズ及びリストアイテムに基づいて、リストをフロー領域内のn個のコラムにはめ込む最大の倍率を有するコラムの数 "n" を決定する(ステップ3002)。一般に、様々な数のコラムをテストし、リスト全体をフロー領域にはめ込むことができる倍率(即ち、アイテムを縮小しなくてはならない程度)を各々に対して決定することにより、ステップ3002を行うことができる。最大倍率を有するコラムの数を選択する。
【0067】
次に、領域内に表示されるフローボーダーによってフロー領域を "n" 個の均等なコラムに分割する(ステップ3003)。最後に、リストアイテムをスケーリングし、各々のコラム内に配置する(ステップ3004)。最後に、フロー領域及びリストを表示する(ステップ3005)。好適な本実施の形態では、この配置は最も左のコラムから最も右のコラムへ行われる。従って、最も右のコラムは底部にギャップを有しうる。もちろん、アイテムをコラム内に均等に配置するなど、他のマッピングを使用することもできる。
【0068】
ボーダーのように、領域を選択して移動することが可能である。領域の移動によって、領域内に含まれるグラフィックオブジェクトも移動する。好適な本実施の形態では、選択された領域を示す角括弧(「[」)又はL形のジェスチャーを生成することによって領域の選択が行われる。角括弧を用いた選択は、図31〜図32に示される。図31を参照すると、括弧ジェスチャー3101の角3105及び3106が領域3104の水平ボーダー3102及び3103と合うように角括弧ジェスチャー3101が呼び出される。選択物は、領域3104を囲む破線として図32に示される。
【0069】
L形ジェスチャーを用いた選択は、図33〜図34に示される。図33を参照すると、領域3304が選択される。第1のL形ジェスチャー3301によって、ボーダー3302及び3303ならびにこれらの直線拡張が選択される。これは、領域3304の境界を明らかに越えている。ここで図34を参照すると、第2のL形ジェスチャーは更に選択物を領域3304に制限している。
【0070】
選択されたボーダーと共に、選択された領域をドラッギングによって移動させることができる。移動は、水平方向及び垂直方向に制限される。垂直方向では、これは図35〜図36に示される。図35を参照すると、選択された領域3501はポイント3502に移動される(ここでは例示のために示される)。移動の結果は図36に示される。図35では、水平ボーダー3503は直線拡張3504を有することに注意すべきである。しかし、図36からわかるように、直線拡張は領域3501と共に移動しない。しかし、垂直ボーダー3509及び3510が移動されると、これらの拡張は変更される。ここでは、直線拡張3507及び3508は短くされ、直線拡張3505及び3506は伸張される。
【0071】
領域の水平方向移動が図37〜図38に示される。図37を参照すると、領域3701はポイント3702に移動される(ここでは例示のために示される)。移動の結果は図37に示される。垂直移動の場合と同じように、垂直ボーダー3703及び3704の直線拡張は移動せず、水平直線拡張はこれに応じて短くされるか又は伸張される。
【0072】
領域の移動は、既存のオブジェクト又はボーダーによっても制限される。これは、図39〜図40に示される。図39を参照すると、垂直方向において、領域3901の移動は上方向の上部水平ボーダー3902及び下方向のグラフィックオブジェクト3903によって制限されている。図40を参照すると、水平方向において、領域4001の移動は左ボーダー4002によって左側が制限され、グラフィックオブジェクト4003によって右側が制限されている。
【0073】
最後に、選択された領域を削除することができる。削除の影響は、テッセレートされた作業面の構成に依存する。通常、選択された領域がグリッド編成(例えば、表又はスプレッドシート)の一部ではない場合、領域内のグラフィックオブジェクトも削除され、削除されたオブジェクトによってあいたスペースと同じ量のスペースが縮小される。好適な本実施の形態では、このような縮小は自動的に行われ、これによって様々なボーダーの位置がシフトされる。選択された領域がグリッド編成の一部である場合、領域内のグラフィックオブジェクトは削除されるが、選択された領域はそのままである。これは、どちらの方向(即ち、垂直方向又は水平方向)に領域をコラプスさせるかという曖昧さを回避するために行われる。
【0074】
構造化リスト操作が領域内により多くのスペースを必要とする場合、リストなどの暗黙的な構造に対して操作をすることによって構造化ボーダー領域は右方向又は下方向に自動的に拡張する。これらの操作は以下の通りである:a)アイテムを領域内に移動させる/複写する、b)領域内のアイテムをスケーリングする、c)リストの注釈/脚注を表示(又は拡張)する。これらの操作は、図41〜図42、図43〜図44及び図45〜図46に示される。
【0075】
図41を参照すると、領域4102内のリストアイテム4101は領域4104内のリスト4103に移動される。結果は図42に示されており、ここで領域4104は水平方向及び垂直方向の双方に拡張している。結果として、領域4105も垂直方向に拡張していることに注意すべきである。これは、拡張が最も高いレベルのボーダーの直線テッセレーション構造を保つためである。左又は下方向に押される必要のある構造化ボーダーは、そのボーダーの直線拡張を有する。移動されたボーダーの右又は下にある領域内の全てのオブジェクトも移動される。
【0076】
図43を参照すると、領域4302内のリストアイテム4301はより大きなサイズにスケーリングされる。結果が図44に示されており、ここで領域4302は拡張して拡大されたアイテムを収容している。
【0077】
図45を参照すると、領域4502内のリストアイテム4501は脚注4503と関連している。表示(又は拡張)操作が脚注4503に対して行われる。結果が図46に示されており、ここで領域4502は拡張して脚注の内容を表示している。
【0078】
同様にして、リスト操作がリスト内のあいたスペースの削除を必要とする場合は領域が縮小される。これらの操作は以下の通りである:a)アイテムを領域から移動させる、b)アイテムを削除する、c)アイテムを縮小する、d)リストの注釈/脚注をコラプスさせる。縮小は単なる拡張の反対であるため、縮小に関する更なる説明は不要とみなされる。
【0079】
通常は、領域をその内容の外範囲と同じくらいにしか小さくすることができない。物理的なオブジェクトによって停止されるかのように、ボーダードラッギング操作はそこで停止する。しかし、ユーザは、余剰内部スペースを取り除く(又は前述のように狭い1コラムのリストを複数コラムのフロー領域内に再フォーマット化する)ことによって領域のサイズを更に縮小したい場合がある。これは、領域の「圧縮」と呼ばれる。ユーザが(拡張があるか又はない)ボーダーを選択してこれを上方向にドラッグすると、ユーザは、ボーダーが妨害オブジェクトに当たる箇所において一定のフィードバック(ドラッギングに対する「抵抗」及びボーダーの外観の視覚的変化)を受ける。この時点で、ユーザはボーダーを更に上にドラッグし続けることができる。ユーザがドラッグを離すと、より短い領域内にアイテムが入るようにリストアイテム間のスペースが均等に減少される。これは、図47〜図49に示される。図47を参照すると、ボーダー4701が選択されており、上方向にドラッグされてリスト4702を圧縮している。図47では、ボーダー4701はリスト4702の底部のすぐ下の位置に移動されている。図48を参照すると、ボーダー4701はリスト4702の底部より上の位置に移動されている。最後に、図49を参照すると、リスト4702全体を表示できるように領域が圧縮されている。
【0080】
もちろん、ボーダーをドラッグすることができる範囲がある。この範囲は予め計算されており、リストアイテムの全体的な高さに基づいている。しかし、前述のように、ボーダーを更にドラッグしてフロー領域を生成してもよい。
【0081】
好適な本実施の形態は、未使用スペースを手動で追加するジェスチャー(ウェッジジェスチャー)又は未使用スペースを削除するジェスチャー(ピッグテイルジェスチャー)を提供することにも注意すべきである。各インスタンスは、所定サイズの対応領域にラインを追加するか又は該領域からラインを削除する。
【0082】
好適な本実施の形態では、構造操作はテッセレートされた作業面を利用する編集操作である。構造操作を実施する際、構造化ボーダーを移動させることができる。これは、自動領域拡張及び縮小に関連して前述した。図50のフロー図は、本発明の好適な実施の形態において構造操作を分析し、これを実施できるかどうかを調べるための基本技術を示している。図50を参照すると、電子ホワイトボードを使用している際に、ユーザは構造化ボーダーとして解釈可能な1つ又はそれより多くのグラフィックオブジェクトを生成する(ステップ5001)。次に、電子ホワイトボードとの対話のある時点において、ユーザは1つ又はそれより多くのグラフィックオブジェクトを選択する(ステップ5002)。この選択は、通常は構造操作を行うための準備である。構造操作は、固有の関係を有するグラフィックオブジェクトのグループに影響を及ぼす動作であることを想起する。構造操作とは、1)構造にとって「自然な」操作であり、2)構造の固有の関係を保つ。例えば、操作はアイテムをリストに挿入するか又はリストから削除することでありうる。アイテムを挿入する際に予期されるように、挿入位置の下にあるアイテムは「下に移動する」ことができる。
【0083】
選択が生じると、システムは「ソース」領域を識別する(ステップ5003)。ソース領域は、簿記の目的で識別される。選択が生じた後、一定の構造操作を行う(ステップ5004)。例えば、リストにアイテムを挿入する。操作を行う前に、システムは「指定」領域を識別する(ステップ5005)。指定領域に基づいて、システムは操作を行えるかどうかをスペースの見地から決定する(ステップ5006)。前述のように、構造操作は領域拡張を生じることができる。領域拡張は、アンカーボーダー又は他のグラフィックオブジェクトの存在によって制限されうる。従って、拡張に利用可能なスペースの量が限られている場合がある。いずれにせよ、システムはこのような制約の存在を調べ、構造操作の実施に十分なスペースがあるかどうかを推定する。
【0084】
スペースがあるとシステムが決定した場合、構造操作を行う(ステップ5007)。前述のように、これは領域拡張(例えば、アイテムを領域内のリストに移動する)又は縮小(例えば、領域内のリストからアイテムを移動させる)を生じうる。スペースがないとシステムが決定した場合は構造操作を行わず、操作を行うことができない理由に関する指示をユーザに返す(ステップ5008)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施の形態において使用可能であるグラフィックベースコンピュータシステムのブロック図である。
【図2】ディスプレイ上に表示でき、かつ図2のタッチセンスパネルによってインターフェイスすることができる基本的なグラフィカルユーザインターフェイスの表現である。
【図3】本発明の好適な実施の形態において使用可能な、作業面のマッピングを示すX−Y座標システムの図である。
【図4】本発明の好適な実施の形態の基本動作を示す状態図である。
【図5】作業面をテッセレートする構造化ボーダーの図である。
【図6】ジェスチャーを用いた構造化ボーダーの生成を示す。
【図7】ジェスチャーを用いた構造化ボーダーの生成を示す。
【図8】作業面上のグラフィックオブジェクトの空間的位置を調節することを必要とする構造化ボーダーの生成を示す。
【図9】作業面上のグラフィックオブジェクトの空間的位置を調節することを必要とする構造化ボーダーの生成を示す。
【図10】本発明の好適な実施の形態において行われうる、タップジェスチャーによって構造化ボーダーを選択する図である。
【図11】本発明の好適な実施の形態において行われうる、ダブルタップジェスチャーによって構造化ボーダー及びその拡張を選択する図である。
【図12】本発明の好適な実施の形態において行われうる、依存ボーダーを有する構造化ボーダーを選択する図である。
【図13】本発明の好適な実施の形態における構造化ボーダーの移動範囲の図である。
【図14】本発明の好適な実施の形態において行われうる、構造化ボーダーを移動させて依存ボーダーを調節する図である。
【図15】本発明の好適な実施の形態において行われうる、領域内のリストアイテムを移動させる図である。
【図16】本発明の好適な実施の形態において行われうる、領域内のリストアイテムを移動させる図である。
【図17】本発明の好適な実施の形態において行われうる、第1領域から第2領域にリストアイテムを移動させる図である。
【図18】本発明の好適な実施の形態において行われうる、第1領域から第2領域にリストアイテムを移動させる図である。
【図19】本発明の好適な実施の形態において行われうる、「アンビエント」ボーダーをまたがる選択が行われる複合領域の図である。
【図20】本発明の好適な実施の形態におけるフロー領域の図である。
【図21】本発明の好適な実施の形態において行われうる、単一フロー領域内のリストアイテムを移動させる図である。
【図22】本発明の好適な実施の形態において行われうる、単一フロー領域内のリストアイテムを移動させる図である。
【図23】本発明の好適な実施の形態において行われうる、第1フロー領域から第2フロー領域にリストアイテムを移動させる図である。
【図24】本発明の好適な実施の形態において行われうる、第1フロー領域から第2フロー領域にリストアイテムを移動させる図である。
【図25】本発明の好適な実施の形態において行われうる、長いリストをフロー領域内に再フォーマット化する図である。
【図26】本発明の好適な実施の形態において行われうる、長いリストをフロー領域内に再フォーマット化する図である。
【図27】本発明の好適な実施の形態において行われうる、領域を圧縮してフロー領域に入れる図である。
【図28】本発明の好適な実施の形態において行われうる、領域を圧縮してフロー領域に入れる図である。
【図29】本発明の好適な実施の形態において行われうる、領域を圧縮してフロー領域に入れる図である。
【図30】本発明の好適な実施の形態において行われうる、リストをフロー領域内にフォーマット化するステップを示すフローチャートである。
【図31】本発明の好適な実施の形態において行われうる、括弧ジェスチャーを用いて構造化領域を選択する図である。
【図32】本発明の好適な実施の形態において行われうる、括弧ジェスチャーを用いて構造化領域を選択する図である。
【図33】本発明の好適な実施の形態において行われうる、L−括弧ジェスチャーを用いて構造化領域を選択する図である。
【図34】本発明の好適な実施の形態において行われうる、L−括弧ジェスチャーを用いて構造化領域を選択する図である。
【図35】本発明の好適な実施の形態において行われうる、構造化領域を垂直方向に移動させる図である。
【図36】本発明の好適な実施の形態において行われうる、構造化領域を垂直方向に移動させる図である。
【図37】本発明の好適な実施の形態において行われうる、構造化領域を水平方向に移動させる図である。
【図38】本発明の好適な実施の形態において行われうる、構造化領域を水平方向に移動させる図である。
【図39】本発明の好適な実施の形態における構造化領域の移動範囲の図である。
【図40】本発明の好適な実施の形態における構造化領域の移動範囲の図である。
【図41】本発明の好適な実施の形態において行われうる、リストアイテムを移動させる際の自動領域拡張の図である。
【図42】本発明の好適な実施の形態において行われうる、リストアイテムを移動させる際の自動領域拡張の図である。
【図43】本発明の好適な実施の形態において行われうる、スケーリングの際の自動領域拡張の図である。
【図44】本発明の好適な実施の形態において行われうる、スケーリングの際の自動領域拡張の図である。
【図45】本発明の好適な実施の形態において行われうる、脚注の内容を表示する際の自動領域拡張の図である。
【図46】本発明の好適な実施の形態において行われうる、脚注の内容を表示する際の自動領域拡張の図である。
【図47】本発明の好適な実施の形態において行われうる、領域を圧縮する図である。
【図48】本発明の好適な実施の形態において行われうる、領域を圧縮する図である。
【図49】本発明の好適な実施の形態において行われうる、領域を圧縮する図である。
【図50】本発明の好適な実施の形態において構造操作を行うことができるかどうかを決定する基本的なステップを示すフローチャートである。
【符号の説明】
101 バス
102 プロセッサ
103 内部メモリ
104 ディスプレイ
105 ポインティングデバイス
107 外部記憶装置

Claims (1)

  1. グラフィカルオブジェクトを生成し表示するコンピュータ制御ディスプレイシステムであって、
    作業面を示すディスプレイと、
    前記作業面上に前記作業面の領域を画定するボーダーを生成するボーダー生成手段と、
    既存のボーダーを編集すると共に前記ボーダーによって画定された領域を維持するボーダー編集手段と、
    前記作業面上にペンストロークを入力し、前記作業面上のグラフィカルオブジェクトに対して操作を開始する入力手段と、
    前記作業面上のグラフィカルオブジェクトに対する操作を処理すると共に、ボーダーの第1セットによって画定される第1領域のグラフィックオブジェクトに対して行われる操作をボーダーの第2セットによって画定される第2領域内のグラフィックオブジェクトに及ぼす影響から分離する手段を有する操作処理手段と、
    編集されるべきボーダーを選択するボーダー選択手段と、
    選択された前記ボーダーの依存ボーダーを識別する依存ボーダー識別手段と、
    選択された前記ボーダーが削除されると、前記依存ボーダーを削除する依存ボーダー削除手段と、
    選択された前記ボーダーが移動すると、前記依存ボーダーを伸張または縮小する依存ボーダー伸張縮小手段と、
    を含
    前記ボーダー選択手段、依存ボーダー識別手段、依存ボーダー削除手段、依存ボーダー伸張縮小手段は、前記ボーダー編集手段に含まれ、
    2つのボーダーが交差して形成された「T」字型の縦棒に該当するボーダーが横棒に該当するボーダーの依存ボーダーである、
    コンピュータ制御ディスプレイシステム。
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