JP4001487B2 - プレゼンテーションシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶プロジェクタ等の投影機を用いてスクリーンにポイントを指示しながら行うプレゼンテーションシステムに係り、特に、新たなポインタの開発に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクタを用いて講演等のプレゼンテーションを行う場合には、レーザ光を投射してスクリーンにポイントを明示するレーザポインタがよく使用されている。このようなレーザポインタは、手振れが大きく反映してポイントを安定させにくかったり、レーザ光の誤投射により例えば聴衆の目に入射して危険を及ぼしたりする欠点があった。また、ポイントの形状が円や線等の単純な形状に限られ、ポイントの形状を使用者の好みによって変更したいという要望には応えられないものであった。
【0003】
そこで、これらの課題を解決する提案が従来より種々なされている。例えば、特開平8−286147号公報…(1)によれば、レーザ光を屈折させる複数の屈折グリッドを有する回転ディスクを駆動モータで回転させる構成とし、屈折グリッドでレーザ光を走査してポイントの形状を任意とすることができ、しかも回転ディスクのジャイロ効果で手振れの軽減が図られるとされている。また、安全対策としては、特開平10−4228号公報…(2)に開示されるように、レーザ光の投射対象物(スクリーン等)の明るさに応じてレーザ光の投射が自動的にON/OFFし、一定のしきい値を超えた明るい場合にのみレーザ光を投射する提案がなされている。また、特開2000−321530号公報…(3)には、垂直あるいは水平方向の角度を検出してその角度が所定範囲内である場合に限りレーザ光を投射する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報(1)に記載のレーザポインタによれば、部品点数が比較的多いので重量が嵩むとともに小型化が難しく、しかも回転ディスクによって生じるモーメントに抵抗しながらの操作を強いられるので、手軽に使用できるものではない。また、ポイントの形状を変更できるものの、その形状のバリエーションを多くすることは難しく、かつ複雑な形状にレーザ光を変換させることも難しい。一方、上記公報(2),(3)による安全対策では、万一的確に動作しない場合が起こるとレーザ光が投射されるので、根本的な対策にはなり得ていない。また、いずれの従来技術においても、複数のスクリーンに同じ画像を投影してそれらスクリーンに同時にポイントしながら行う規模の大きなプレゼンテーション、いわゆるマルチスクリーンによるプレゼンテーションの要望があった場合、それに対応することはできなかった。
【0005】
よって本発明は、手振れの抑制、複雑多様なポイント形状の生成、安全性の確立は勿論のこと、マルチスクリーンにも対応可能なプレゼンテーションシステムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のプレゼンテーションシステムは、スクリーン手段と、スクリーン手段に画像を投影する投影手段と、透明または半透明のボードと、ボード側を撮影する撮影手段と、撮影手段のボードにおいてプレゼンターが手に持って赤外光を発光させる指示手段と、撮影手段が撮影した指示手段が発光する赤外光のボード上での相対位置を演算し、演算した相対位置から画像上でのポイント座標を生成する演算手段と、指示手段をポイントモード、描画モード、および、撮影モードのいずれかに切り替える切替手段と、撮影手段に設けられるとともに発光手段が発光する赤外光のみを透過するフィルタとを備え、指示手段は、赤外光を発する発光手段と、ボードにおける発光手段からの赤外光の位置をボードにマーキングするための筆記手段とを備え、フィルタは、ポイントモードおよび描画モードのときに撮影手段で使用され、撮影モードのときに演算手段によって撮影手段から除去され、投影手段は、ポイントモードのときに画像上のポイント座標にポイント画像を投影し、描画モードのときに画像上に赤外光の軌跡をトレースした画像を投影し、撮影モードのときに撮影手段が撮影した画像を投影することを特徴としている。
【0007】
上記プレゼンテーションシステムにあっては、撮影手段が撮影する光のボード上での相対位置からポイント座標が演算され、ポイント座標にポイント画像が投影されるから、指示手段を移動させることで画像上の任意の箇所にポイント画像を投影することができる。この場合、プレゼンターは、ボードを仮想スクリーンとして想定し、その仮想スクリーン上で見当を付けた位置に指示手段を位置させることにより、スクリーン上の所望の位置にポイント画像を簡単に表示させることができる。なお、ボードを仮想スクリーンとして使用するから、ボードの縦横比をスクリーン手段に投影される画像の縦横比と同等にするか、あるいは、ボードにそのような縦横比の枠を記載することが望ましい。
【0008】
上記プレゼンテーションシステムでは、レーザポインタのようにレーザ光を投射するものではないので安全であるとともに、ポイント画像を任意の形態にすることができる。また、レーザポインタでは、その角度の僅かな振れがレーザポインタから離間した位置に投射されるポインタに増幅されて手振れとなるが、本発明では、指示手段が振れても振れが大きく増幅されることがないので目立たない。したがって、手振れの問題を解消することができる。また、画像処理によって指示手段が発する光が所定の範囲を超えて移動しないとポイント画像を移動させないように制御することもでき、そのように構成することによってポイント画像をさらに安定させることができる。さらに、投影手段により画像とポイント画像とが投影されるから、それらの画像データを複数の投影手段に配信することにより、複数のスクリーン手段で画像を投影することができ、マルチスクリーンに対応することができる。
【0009】
ここで、指示手段が発する光は可視光であっても良いが、ノイズの影響を受けにくい赤外光等の不可視光であることが望ましい。また、撮影手段による解像能力を考慮するとボードは透明であることが望ましい。さらに、指示手段に発光させるためのスイッチは任意の構成を採用することができる。たとえば、レーザポインタに用いられているような押釦を指示手段に設けることができる。この場合には、指示手段をボードから離間させた状態でのポイント表示が可能である。あるいは、指示手段の先端がボードに押圧されたときの押圧力を検出して発光するようにしても良い。この場合には、指示手段がボードに押圧されるので振れが生じない。
【0010】
本発明では、仮想スクリーンとしてのボードを備えているために、ボードを使用してプレゼンテーションをより一層充実させることができる。たとえば、指示手段に、光を発する発光手段と、ボードに描画するための筆記手段とを備えると便利である。この場合の筆記手段としては、ホワイトボード用のマーカーなどが好適である。
【0011】
また、プレゼンターがボードに描画した画像をスクリーン手段に投影することもできる。この場合には、指示手段をポイントモードと描画モードのいずれかに切り替える切替手段を備え、投影手段は、ポイントモードのときにポイント画像を投影し、描画モードのときに指示手段が発する光の軌跡をトレースした画像を投影する。この場合、撮影手段は、プレゼンターが描いた画像をボードの裏側から撮影することになるので、演算手段が画像処理することで表裏を反転させた画像を投影すると好適である。
【0012】
撮影手段には、指示手段が発する光にピントを合わせるオートフォーカス手段を設けると好適である。オートフォーカス手段は、市販されているカメラやビデオカメラ等に一般に用いられているものを使用すれば良い。また、撮影手段にプレゼンターを照らす照明手段を備え、操作に応じてプレゼンターをスクリーン手段に投影するように構成すればプレゼンテーションをより一層充実させることができる。この場合、指示手段に切替手段を設け、上記したポイントモードおよび描画モードの切替とともに、プレゼンターを撮影するモードへの切替も行うようにすると好適である。また、モードを切り替える際の信号としては、指示手段からワイヤレスによる電波や赤外光による信号を送信することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図5を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は実施形態のプレゼンテーションシステムの全体を示す概略図である。図2において符号1は液晶プロジェクタ(投影手段)、2は液晶プロジェクタ1に画像データを出力する制御演算部(演算手段)である。液晶プロジェクタ1は、制御演算部2から入力された画像データに基づいて前方に設けられたスクリーン(スクリーン手段)10に画像を投影する。
【0014】
図中符号5はカメラ(撮影手段)であり、カメラ5は、赤外光のみを受光するフィルタを備えている。また、カメラ5は、スポットライト50と、目標物に対して自動的に距離を測定してピントを合わせるオートフォーカス手段を備えている。カメラ5の前方には、仮想スクリーンとしてのボード6が配置されている。図3および図4に示すように、ボード6は、フレーム60に、アクリル板等で構成された透明の板61が支持されてなるもので、板61には矩形状の枠62が描かれている。この枠62の縦横比は、液晶プロジェクタ1がスクリーン10に投影する画像(投影する部分の全体)の縦横比と同等とされている。
【0015】
図において符号3はポインタであり、ポインタ3はプレゼンターPが手に持って操作する。図5はポインタ3の詳細を示す図である。この図に示すように、筒状をなすポインタ本体30の内部には、ペン(筆記手段)31が軸線方向に僅かに摺動自在に収容され、ペン31とポインタ本体30の底部の間には圧縮バネ32が介装されている。また、ポインタ本体30の内周には、ペン31の基部を検出する近接センサ33が配置されている。
【0016】
図5において符号34はLEDである。ペン31が軸方向へ押圧され、圧縮バネ32の弾性力に抗してポインタ本体30の内側へ摺動すると、近接センサ33がペン31の基部を検出し、これでスイッチがオンとなってLED34が赤外光を発する。また、符号35は切替スイッチ(切替手段)であり、切替スイッチ35を回転させることにより、ポイントを画像に合成して投影するポイントモード、ボード6に描かれた画像を投影する描画モード、およびプレゼンターPを撮影する撮影モードのいずれかに切り替わるようになっている。この場合、切替スイッチ35を回転させることで所定のコマンドが制御演算部2に送信される。コマンドの送信のための手段としては、ポインタ3からワイヤレスや赤外線にてデータを制御演算部2に送信したり、LED34が点滅してデジタル信号を送信するように構成することができる。そして、LED34が発する赤外光は、カメラ5により撮影され、その撮影画像は制御演算部2に入力される。なお、図5において符号36はペン31のキャップである。
【0017】
制御演算部2は、カメラ5が撮影した赤外光のボード6における相対位置を演算し、演算した相対位置をスクリーン10の画像上でのポイント座標に変換する。この場合のカメラ5が撮影する画像は、プレゼンターPから見たものと表裏が逆となっているので、制御演算部2は、表裏を逆にした座標に変換する。つまり、制御演算部2が生成するポイント座標は、プレゼンターP側から赤外光を撮影したときの座標となる。そして、制御演算部2は、パソコン4に表示されたパソコン画面に対応するデータと、ポイント座標を示すデータを処理し、パソコン4の画像のポイント座標にポイント画像を合成する。
【0018】
次に、上記構成のプレゼンテーションシステムの動作について説明する。プレゼンテーションに際しては、ボード6は、聴衆Oから見えるようにスクリーン10の横に配置される。プレゼンターPは、パソコン4を操作することにより、パソコン4に表示されている画像を液晶プロジェクタ1からスクリーン10に投影する。画像にポイントを表示する場合には、プレゼンターPは、ポインタ3の先端部をボード6に押し付ける。これにより、ポインタ3のペン31がポインタ本体30内に押し込まれ、近接センサ33が作動してLED34が赤外光を発する。
【0019】
カメラ5はLED34が発した赤外光を撮影し、制御演算部2は、ボード6における赤外光の相対位置を演算し、演算した相対位置をスクリーン10の画像上でのポイント座標に変換する。一方、パソコン4は、それに表示している画像のデータを制御演算部2に出力しており、このデータは、スクリーン10に投影されるポイント画像を含まない画像データである。そして、制御演算部2は、その画像におけるポイント座標に所定のポイント画像を合成する。こうして、画像データが生成される。この画像データは液晶プロジェクタ1に出力され、液晶プロジェクタ1は、パソコン4に表示された画像にポイント画像が合成された画像をスクリーン10に投影する。これにより、ボード6上の赤外光の位置に対応するスクリーン10上の点にポイント画像が投影される。
【0020】
以上はポイントモードでの操作である。本実施形態では、ポインタ3の切替スイッチ35を回転させることにより、描画モードまたは撮影モードに切り替えることができる。描画モードにおいては、プレゼンターPは、ポインタ3をボード6に押し付けたまま移動させる。その際に、ペン31のキャップ36を取り外せば、描いた画像を確認することができる。制御演算部2は、LED34が発光を開始して終了するまでの間の赤外光の軌跡をトレースした画像を生成し、このトレース画像をポイント画像と同様にパソコンの画像に合成する。そして、制御演算部2は、トレース画像を順次重ね合わせてその都度パソコン画像に合成する。こうして、プレゼンターPがボード6に描いた文字や図柄といった画像がパソコン画像に合成されてスクリーン10に投影される。
【0021】
なお、切替スイッチ35を回転させて描画モード以外のモードに変更した際に、スクリーン10上からトレース画像を消去するようにしても良い。また、トレース画像のみをスクリーン10上に投影したい場合には、空白のパソコン画像を用意しておき、これをトレース画像と合成するようにしても良い。
【0022】
次に、切替スイッチ35を撮影モードに切り替えると、制御演算部2はカメラ5の赤外線フィルタを除去するとともにスポットライト50を点灯させ、この状態でカメラ5はボード6側の可視光を撮影する。この場合、制御演算部2は、カメラ5が撮影した画像をパソコン画像と合成することなく液晶プロジェクタ1に送信するので、スクリーン10には、たとえばプレゼンターPやプレゼンターPが掲げる資料などが投影される。
【0023】
上記プレゼンテーションシステムにあっては、カメラ5が撮影する赤外光のボード6上での相対位置からポイント座標が演算され、ポイント座標にポイント画像が投影されるから、ポインタ3を移動させることで画像上の任意の箇所にポイント画像を投影することができる。この場合、プレゼンターPは、ボード6を仮想スクリーンとして想定し、その仮想スクリーン上で見当を付けた位置に指示手段を位置させることにより、スクリーン10上の所望の位置にポイント画像を簡単に表示させることができる。
【0024】
また、上記プレゼンテーションシステムでは、レーザポインタのようにレーザ光を投射するものではないので安全であるとともに、ポイント画像を任意の形態にすることができる。また、レーザポインタでは、その角度の僅かな振れがレーザポインタから離間した位置に投射されるポインタに増幅されて手振れとなるが、上記実施形態では、ポインタ3をボード6に押し付けるから振れが生じない。さらに、液晶プロジェクタ1により画像とポイント画像とが投影されるから、それらの画像データを複数の液晶プロジェクタに配信することにより、複数のスクリーンで画像を投影することができ、マルチスクリーンに対応することができる。特に、上記実施形態では、プレゼンターPがボード6に描いた画像をスクリーン10に投影することができるので、プレゼンテーションをより一層充実させることができる。
【0025】
上記実施形態では、仮想スクリーンとしてのボード6上でポイント表示すべき位置に見当を付けてポインタ3を押し付けるようにしているが、公知のプロンプタシステムを適用すればさらに正確にポイントの位置決めを行うことができる。すなわち、ボード6の板61にハーフミラーを使用し、別の液晶プロジェクタによって液晶プロジェクタ1が投影する画像と同じ画像をハーフミラーに反射させるようにする。そして、プレゼンターPは、ハーフミラーに写った画像の所望の位置でポインタ3から赤外光を発するようにする。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、撮影手段が撮影する光のボード上での相対位置からポイント座標が演算され、ポイント座標にポイント画像が投影されるから、安全でありポイント形状を任意に設定できることは勿論のこと、手振れの問題も無く、しかもマルチスクリーンに対応することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態のプレゼンテーションシステムの概略を示す図である。
【図2】 図1の一部の詳細図である。
【図3】 実施形態におけるボードを示す正面図である。
【図4】 実施形態におけるボードを示す側面図である。
【図5】 実施形態におけるポインタの詳細を示す側面図である。
【符号の説明】
1 液晶プロジェクタ(投影手段)
2 制御演算部(演算手段)
3 ポインタ(指示手段)
5 カメラ(撮影手段)
10 スクリーン(スクリーン手段)
31 ペン(筆記手段)
35 切替スイッチ(切替手段)

Claims (2)

  1. スクリーン手段と、このスクリーン手段に画像を投影する投影手段と、透明または半透明のボードと、このボード側を撮影する撮影手段と、この撮影手段の上記ボードにおいてプレゼンターが手に持って赤外光を発光させる指示手段と、上記撮影手段が撮影した上記指示手段が発光する赤外光の上記ボード上での相対位置を演算し、演算した相対位置から上記画像上でのポイント座標を生成する演算手段と、上記指示手段をポイントモード、描画モード、および、撮影モードのいずれかに切り替える切替手段と、上記撮影手段に設けられるとともに上記発光手段が発光する赤外光のみを透過するフィルタとを備え、
    上記指示手段は、上記赤外光を発する発光手段と、上記ボードにおける上記発光手段からの上記赤外光の位置を上記ボードにマーキングするための筆記手段とを備え、
    上記フィルタは、上記ポイントモードおよび上記描画モードのときに上記撮影手段で使用され、上記撮影モードのときに上記演算手段によって上記撮影手段から除去され、
    上記投影手段は、上記ポイントモードのときに上記画像上の上記ポイント座標にポイント画像を投影し、上記描画モードのときに上記画像上に上記赤外光の軌跡をトレースした画像を投影し、上記撮影モードのときに上記撮影手段が撮影した画像を投影することを特徴とするプレゼンテーションシステム。
  2. 上記指示手段は、その先端が上記ボードに押圧されたときの押圧力を検出して発光することを特徴とする請求項1に記載のプレゼンテーションシステム。
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