JP3998146B2 - 歯根膜トレーナー - Google Patents
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Description
このような歯がための一例として、図17に示すような構成のものが知られている(特許文献1参照)。
これにより、乳幼児に対しては,その上の歯茎と下の歯茎に異なる噛み心地を伝えることによって、適切な噛む練習をすることができるようにしようとするものである。
図17のような従来の歯がためは、このような時期に使用を開始して、噛む練習を行うために使われているが、最近、次のような理由から、従来の歯がためでは、噛むための練習を適切に行うためには、機能的に不十分であることがあきらかとなった。
歯3は、内側より髄質(歯髄)3aと、その外側の象牙質3bと、さらに外側のエナメル質3cとから構成されており、その下側を歯槽5内に埋め込まれるようにして固定支持されている。
上記歯槽5内には、骨組織5aが存在し、さらに、この骨組織5aと歯3は、歯根膜5bによりつながれている。
すなわち、歯根膜5bは、歯の根の部分である歯根周囲をとりまいて、歯3と歯槽骨5aとを結び付け、その空隙を満たす繊維性の結合組織である。
歯根膜5bは、太い繊維束で形成され、主繊維とその間にある脈管神経隙を備えている。これによって、歯根膜5bは、歯根を支持し、咬合時のショックを和らげたりするだけでなく、脈管神経隙には、血管や神経繊維が通っており、歯根への栄養供給を行うとともに、歯根膜5b内の感覚受容器は、歯の変位を伝えるとともに、上下の顎神経に触覚や痛覚を伝えることができるようになっている。この歯根膜5bからの感覚は、頭脳に伝えられ、開口反射、歯根膜咬筋反射、咀嚼筋活動の調整に関与している。
ところが、従来の歯がためでは、物を噛んだ時に、その動作の際に一種類の圧力しか歯根膜5bに与えることができなかった。この点、図17のような歯がためにおいても、二種類の材質により形成したとしても、これをそれぞれを噛んだ時の一動作においては、一種類の圧力しか伝えることができない。
すなわち、図17のような従来の歯がためでは、乳幼児がこれを噛んだ際に、つねに同じ感触しか与えることができないものであった。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態による歯根膜トレーナーを示す概略正面図であり、図2は、図1の歯根膜トレーナーを示す概略側面図である。
図において、歯根膜トレーナー10は、把持部である本体11と、この本体11の一端部に形成した第1の噛むための部分12と、第2の噛むための部分13とを有している。
この本体11は、例えば図示されているようにリング状に形成されて、内側の穴に手指を入れて持ちやすい形状となっている。
各接続部材14,15の中間部14a,15aは、拡径されて外部に露出するようになっており、支持構造を強固とするとともに、デザイン的にも美しい外観を構成するようになっている。
この第2の噛むための部分13は、図2によく表れているように、先端側が二股に別れて、第1の部分13aと第2の部分13bとなっており、第1の部分13aと第2の部分13bとの間には、下端が開放したクリアランス(空隙)部C1が形成されている。
ここで、クリアランス部は、種々の形態とすることができ、図示したような隙間の他、空洞や一定の間隔等により形成することができる。
なお、第1の噛むための部分12の表面にも、同様のもしくは異なる凹凸を形成してもよい。
さらに、第1の噛むための部分12と第2の噛むための部分の厚みを変えるようにして、異なる使用感を与えるようにしてもよい。
使用者である乳幼児は、把持部である本体11を手にもって、第1の噛むための部分12と、第2の噛むための部分13とを択一的に口腔内に挿入し、噛むことで、摂食運動の前提となる噛む運動を学習することができる。
これに対して、第2の噛むための部分13を口腔内に入れたときには、次のような作用がある。
咬合動作の初期においては、図4(a)に示すように、最初、第1の部分13aと第2の部分13bの位置は変化していないので、クリアランス部C1に変化はない。
次いで、図4(b)に示すように、第1の部分13aと第2の部分13bが互いに近づくように変位して、クリアランス部C1いっぱいまで、すなわちクリアランス部C1がなくなるまで変位する。そうすると、第1の部分13aと第2の部分13bはこれ以上同じ方向に変位することができず、互いにその内面が当接する。この状態から、継続して咬合動作が行われると、こんどは、第1の部分13aと第2の部分13bを変位させる力と対応する力ではなく、各第1の部分13aと第2の部分13bの材料自体を押しつぶす力と対応する力が矢印に示すように大きな力として、乳幼児の歯T1と下の歯T2及びこれらの歯根膜にかかることになる。
しかも、第2の噛むための部分13を噛んだときには、一回の咬合動作中において、使用者の歯根膜に異なる反力を与えることができ、その感圧機能を効果的に訓練することができる。すなわち、噛むことにより、食品が破壊されて、その形状が変化した場合に対応する各圧力変化を学ぶことができ、しかも、圧力に応じた対象の形状や性質等を感覚的に知る手掛かりを得ることができる。
これにより、実際の摂食行動における噛む動作と近い感覚を体験することができ、効果的な学習が可能となる。
図5ないし図8は、本発明の第2の実施形態を示している。
これらの図において、第1の実施形態と同じ符号を付した箇所は共通の構造であるから重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
第1の噛むための部分22は、その上面(端面)図である図7及び側断面図である図8に示されているように、中実の構造であり断面が長円となるような棒状に形成されている。そして、第1の噛むための部分22の外径が大小と連続的に変化するようにして、その表面に山と谷による凹凸22aが形成されている。
これにより、第2の噛むための部分23は、図4で説明した機能を含めて、第1の実施形態の場合と同様に機能する。
第2の実施形態に係る歯根膜トレーナー20は以上のように構成されており、第1の実施形態と全く同様の作用効果を発揮する。
すなわち、本発明の歯根膜トレーナーでは、噛むための部分を有していて、この噛むための部分は、少なくとも二方向から挟まれるように力を加えられた場合に、力が加わる初期の動作に対しては、小さな反力を生じ、後期の動作に対しては、初期よりも大きな反力を生じる構成とするものである。このような構造としては、種々の構成例が考えられ、例えば図示するような構成とすることが考えられる。
このような構成によっても、第1及び第2の実施形態と同じ作用効果を発揮することができる。
したがって、このような構成によっても、第1及び第2の実施形態と同じ作用効果を発揮することができる。
図において、実線は、口腔内の上顎を下から見た状態を示しており、歯槽51の周囲には、頬肉52がとりまいている。口腔の先端側には口唇53が位置しており、上顎の奥側の中央付近には、哺乳窩54が位置している。この哺乳窩54は、成長過程で授乳期のみに存在し、乳首が入り込むような凹部になっている。この哺乳窩54に乳首が入り込むことにより、反射行動としての哺乳運動が行われると考えられている。
これにより、歯根膜トレーナー20においては、その噛むための部分が口腔内にはいったときに、哺乳窩54に入り込んで反射としての哺乳運動を促すことがないようになっており、噛む運動を、適切に促すことができるようになっている。
したがって、このような噛むための部分の大きさ設定は、第1及び第2の実施形態また、後述する第3の実施形態の全ての噛むための部分に適用される。
図11ないし図16は、本発明の第3の実施形態を説明するための図である。これらの図において、第1の実施形態と同じ符号を付した箇所は共通の構造であるから重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
ここで、第2の噛むための部分13と、第3の噛むための部分23とが変化反力の付与手段として構成されており、第1の噛むための部分22は、1回の咬合動作中においてその反力が同じとなるように構成されている。
また、第2の噛むための部分13は、図11の矢印B方向からの部分拡大図である図12に示されているように、図1の歯根膜トレーナー10の第2の噛むための部分13と同じ構成である。そして、第3の噛むための部分23は、図11の矢印C方向からの部分拡大図である図15に示されているように、図5の歯根膜トレーナー20の第2の噛むための部分23と同じ構成である。
各接続部材14,15,16の中間部14a,15a,16aは、拡径されて外部に露出するようになっており、支持構造を強固とするとともに、デザイン的にも美しい外観を構成するようになっている。
特に、噛むための部分23は、図15に示されているように、中央部の互いに対向して接近した部分23e,23eを有しており、これにより、後述のような作用効果を発揮する。
使用者である乳幼児は、把持部である本体51を手にもって、第1の噛むための部分22と、第2の噛むための部分13と、第3の噛むための部分23とを択一的に口腔内に挿入し、噛むことで、摂食運動の前提となる噛む運動を学習することができる。
これに対して、第2の噛むための部分13または第3の噛むための部分23を口腔内に入れたときには、次のような作用がある。
すなわち、図16の説明図に示されているように、乳幼児が第3の噛むための部分23を口腔内で噛むと、乳幼児の上の歯T1が第3の噛むための部分23の図において上面23bに当たり、乳幼児の下の歯T2が第3の噛むための部分23の下面23cに当たる。
咬合動作の初期においては、図16(a)に示すように、最初、第3の噛むための部分の上面23bと下面23cの位置は変化していないので、クリアランス部C2に変化はない。
次いで、図16(b)に示すように、上面23bと下面23cが互いに近づくように変位して、つまり、第3の噛むための部分23がつぶれるように変位すると、対向して近接した部分23e,23eが互いに当接する位置まで来る。この状態においては、クリアランスC2は、図示されているように、中心の当接している部分23eと両側の各側面部分23d,23dとの間に分割されたクリアランス部となっている。
これにより、さらに咬合動作が進行して、歯T1と下の歯T2がさらに接近する方向に移動すると、対向して近接した部分23e,23eが当接することで、この力に対抗しようとするので、乳幼児の歯T1と下の歯T2及びこれらの歯根膜にかかる力(反力)は矢印に示すように、図16(a)の場合よりも大きくなる。
そして、この状態からさらに、咬合動作が進行すると、図16(c)に示すように、第3の噛むための部分23のクリアランス部C2はさらに潰れて上下の大きさが非常に小さくなり、もしくは殆ど無くなるまで変位する。
そうすると、上面23bと下面23cはこれ以上同じ方向に変位することができず、場合によっては、互いにその内面が当接する。この状態から、継続して咬合動作が行われると、こんどは、上面23bと下面23cの水平位置を変化させる力と対応する力ではなく、各上面23bと下面23cの材料自体を押しつぶす力と対応する力が矢印に示すように図16(b)の場合よりもさらに大きな力として、乳幼児の歯T1と下の歯T2及びこれらの歯根膜にかかることになる。
したがって、本実施形態においても、第2の噛むための部分13及び第3の噛むための部分23を噛んだときには、一回の咬合動作中において、使用者の歯根膜に異なる反力を与えることができ、その感圧機能を効果的に訓練することができる。すなわち、噛むことにより、食品が破壊されて、その形状が変化した場合に対応する各圧力変化を学ぶことができ、しかも、圧力に応じた対象の形状や性質等を感覚的に知る手掛かりを得ることができる。
これにより、実際の摂食行動における噛む動作と近い感覚を体験することができ、効果的な学習が可能となる。
また、本発明は、上述の各実施形態の各部分的構成を適宜組み合わせて構成することができる。
そして、上述の各実施形態における噛むための部分の数や形態に限らず、さらに多数の噛むための部分を備えることによるさらに異なる感触や、各噛む部分に一様な凹凸もしくは種類の異なる凹凸を形成することで、さらに一層複雑な感触を体験することができる。
第3の実施形態では、変化しない反力を付与する手段としての一種類の噛むための部分と、変化反力を付与するための手段としての二種類の噛むための部分とを備えているが、これに限らず、変化しない反力を付与する手段としての複数種類の噛むための部分と、変化反力を付与するための手段としての一種類の噛むための部分とを備えていてもよいし、変化しない反力を付与する手段と、変化反力を付与するための手段にそれぞれ対応した、各複数種類の噛むための部分を備えるようにしてもよい。
Claims (4)
- 使用者がつかむためのリング状の把持部と、
この把持部から突出して設けられた、噛むための部分と
を有しており、
前記把持部から外方に向けて複数の噛むための部分が放射状に突出しており、
前記複数の噛むための部分が、その表面に凹凸を設けるようにされており、
さらに、前記複数の噛むための部分のうち、少なくとも第1の噛むための部分と、第2の噛むための部分の前記各凹凸のパターンが、互いに異なるパターンとされていて、
前記複数の噛むための部分の各先端部は、使用者の口の口角幅より小さく、かつ哺乳窩の幅よりも大きくなるようにされており、
前記複数の噛むための部分の終端部には使用者の口の口角幅より大きく形成された規制部が設けられていて、
前記各先端部から前記規制部までの距離が使用者の唇の先端から哺乳窩の前端までの距離よりも小さく設定されており、
しかも、前記複数の噛むための部分として、第1,第2,第3の3つの噛むための部分が放射状にほぼ等角度間隔で離間して形成されている
ことを特徴とする、歯根膜トレーナー。 - 前記把持部が軟質の材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯根膜トレーナー。
- 前記把持部には、剛性を備えた硬い材質よりなる部分が外部に露出されていることを特徴とする請求項1または2に記載の歯根膜トレーナー。
- 前記凹凸が、山状あるいは谷状の形態を備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の歯根膜トレーナー。
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