JP3996037B2 - ポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法および発泡成形体 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法および発泡成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車内外装部品等として好適に用いられるポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法、およびそれから得られるポリプロピレン樹脂発泡成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ポリプロピレン樹脂は、優れた物性および成形加工性を有していることから広く成形材料として利用されており、またリサイクルユースが容易であることから環境に優しい材料としての認識も深まり、急速にその使用範囲を拡大している。特に自動車内装部品の用途分野では、ポリプロピレン樹脂が持つ低比重、高剛性および高融点等の物性に注目して活用されている。
【0003】
自動車内装部品の製造方法として、射出発泡成形によって製造する方法が開発されて来た。ポリプロピレン樹脂から射出成形法によって発泡体を製造する方法として、ショートショット法あるいはコアバック法が多く採用されている。ここでショートショット法は、キャビティー内に射出された樹脂をキャビティー容積の拡大に伴って発泡成形させることによって、発泡成形体を製造する方法である。また、コアバック法は、例えば特開昭62−246710号公報に記載されているように、射出成形機から成形金型内へ発泡性材料が射出される前に、予め可動型を前進させてキャビティー容積を縮小させておき、発泡性材料の射出とほぼ同時に可動型を後退させてキャビティー容積を所定の値にまで拡大させ、発泡成形体を製造する方法である。
【0004】
ショートショット法は、発泡性材料を充填する過程で破泡が起こりやすく、その結果発泡成形体表面にシルバーストリークが発生しやすかった。コアバック法でも、キャビティー内圧が低いために充填過程で破泡が起こり、同様にシルバーストリークの発生が見られた。そこで特開平4−144721号公報では、コアバック法におけるシルバーストリークの発生を抑制するために、射出開始時のキャビティークリアランスを小さくする方法を提案している。ここで、シルバーストリークは、製品表面に出現する銀色のすじまたはその集合を意味する。
【0005】
また、特開2002−120252号公報では、射出開始時のキャビティークリアランスを1.0〜1.5mmに調整しておき、発泡性材料を充填する過程の前半ではそのキャビティークリアランスを維持し、その後金型を後退させながら充填過程を完了させ、さらにコアバックを行って発泡体を得る方法を提案し、シルバーストリークの発生抑制を図っている。
【0006】
一方、射出発泡成形用の樹脂として、従来発泡セルの安定化を図るために比較的高い溶融粘度を持った樹脂が必要とされてきた。高粘度樹脂を用いると、一般に金型転写性が低下する傾向にあると共に、金型キャビティー内での圧損が大きくなって破泡によるシルバーストリークの発生が起こり易くなる。
【0007】
そこで、特開2000−11748号公報では、メルトフローレート(MFR)値の大きなポリプロピレン系樹脂にエチレン系エラストマー等を添加した樹脂組成物を短時間の内に射出充填する方法によって、シルバーストリークの発生を抑制している。しかし、この方法には、エラストマーが塊化する等の現象がみられた。
【0008】
さらに、MFR値が高く、かつ極限粘度が低いポリプロピレン系樹脂を射出発泡成形の原料に用いると、得られた発泡体表面にタイガーストライプが発生し易すくなるという新たな問題点も浮上している。ここで、タイガーストライプは、製品表面に出現する波状のまだら模様を意味している。シルバーストリークやタイガーストライプの発生は製品の外観を損なうことから、成形方法および成形用樹脂の両面からさらに製品外観を改良する技術開発が求められている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭62−246710号公報
【特許文献2】
特開平4−144721号公報
【特許文献3】
特開2002−120252号公報
【特許文献4】
特開2000−11748号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、ポリプロピレン樹脂の持つ優れた物性および良好な成形性を保持した上で、射出発泡成形体表面にシルバーストリークやタイガーストライプの発生を抑制した、ポリプロピレン樹脂の射出発泡成形体の製造方法を提供することを目的にする。
また、本発明は、そのような製造方法で得られた優れた物性と良好な外観を有する発泡成形体の提供を目的にする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)85〜97重量%とプロピレン単独重合体(A−2)3〜15重量%とを含むプロピレン系重合体(A)70〜93重量%、および直鎖状低密度ポリエチレン(B)7〜30重量%とからなる樹脂組成物に化学発泡剤を配合して発泡性ポリプロピレン樹脂組成物を調製し、ここで
(1)前記のプロピレン系重合体(A)は、23℃のn−デカンで分別した時に不溶部(a)と可溶部(b)とに分けられ、その不溶部(a)はメルトフローレート値が30〜300(g/10分)であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるMz/Mwの値が5.0以上であって、かつ
(2)前記の直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、その融点が110〜125℃であって、
次に雌雄一対の金型から構成され、その噛合せ部において互いに摺動可能で、かつキャビティークリアランスを任意に調整できる可動型と固定型とからなる射出成形用金型を用いて、
(イ)キャビティークリアランスが1.0〜1.5mmの範囲にあって、かつキャビティー容積が1回の成形に使用する発泡性ポリプロピレン樹脂組成物の全体積よりも小さく設定された可動型の初期位置で、キャビティ内へ発泡性ポリプロピレン樹脂組成物を供給開始する第一工程、
(ロ)可動型の初期位置で5〜20MPaの圧力範囲で型締めしながら発泡性ポリプロピレン樹脂組成物の射出を0.5〜2.0秒間内に行ない、その間1回の成形に使用する発泡性ポリプロピレン樹脂組成物の発泡前における全体積に相当するキャビティ容積になる可動型の特定位置までキャビティークリアランスを拡大して射出を終了する第二工程、および
(ハ)さらにキャビティークリアランスを拡大させて発泡成形体を形成させ、その後成形体を金型内で冷却する第三の工程
とを経て発泡成形するポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法に関する。
【0012】
この製造方法において、発泡成形体の製造原料の一成分として用いる前記のプロピレン系重合体(A)は、23℃のn−デカンで分別した時に不溶部(a)が88〜94重量%、可溶部(b)が6〜12重量%であることが好ましい。その(A)を構成する一成分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)は、23℃のnーデカンで分別した時に、可溶部が7〜13重量%、不溶部が87〜93重量%であって、可溶部に含まれるエチレン単位の含有量が24〜40重量%であることが好ましい。また、プロピレン単独重合体(A−2)は、そのアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が97%以上であることが望ましい。さらに、前記の直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、そのメルトフローレートが5〜50(g/10分)であることが望ましい。
【0013】
また本発明は、そのような製造方法によって得られるポリプロピレン樹脂発泡成形体に関する。
【0014】
【発明の具体的説明】
次に、本発明に係わるポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法およびそれによって得られる発泡成形体について具体的に説明する。
【0015】
発 泡 成 形 用 樹 脂
本発明において、発泡成形体の製造に使用される原料樹脂は、プロピレン系重合体(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)とを含むポリプロピレン樹脂組成物である。その(A)と(B)との構成割合は、(A)が70〜93重量%、好ましくは80〜85重量%、(B)が7〜30重量%、好ましくは15〜20重量%であって、(A)と(B)との合計量が100重量%になる。両者の構成割合が前記の範囲にあると、剛性、耐衝撃性および耐熱性に優れた成形体を得ることができる。
【0016】
ここでプロピレン系重合体(A)は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)とプロピレン単独重合体(A−2)とから構成されている。(A−1)と(A−2)との構成割合は、(A−1)が85〜97重量%、好ましくは88〜95重量%、(A−2)が3〜15重量%、好ましくは5〜12重量%であって、(A−1)と(A−2)との合計量が100重量%になる。両者の構成割合が前記の範囲にあると、両者の組成物である(A)は、高い剛性と耐熱性とを示す。
【0017】
このような成分構成にあるプロピレン系重合体(A)は、それを23℃のn−デカン溶媒で分別すると、不溶部(a)と可溶部(b)とに分けられる。可溶部には主にプロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)に由来するプロピレン・エチレンランダム共重合体が含まれ、不溶部には主にプロピレン単独重合体が含まれている。両部の割合は、可溶部が好ましくは6〜12重量%、より好ましくは9〜11重量%、不溶部が好ましくは88〜94重量%、より好ましくは89〜91重量%である。可溶部と不溶部とが前記の含有割合の範囲内にあると、発泡成形体の剛性、耐衝撃性および外観が良好にバランスをとっており、自動車内外装部品等に使われる発泡成形体に適した優れた物性を得ることができる。
【0018】
また、プロピレン系重合体(A)を23℃のn−デカン溶媒で分別した時の不溶部(a)を、ASTM D−1238に準拠し、230℃、荷重2.16kgの条件下でメルトフローレート(MFR)を測定した時に、その値が30〜300(g/10分)、好ましくは50〜120(g/10分)であることが望ましい。不溶部(a)のMFR値がこのような範囲内にあると、(A)および(B)とからなるポリプロピレン樹脂組成物は良好な射出成形性を示す。
【0019】
さらにその不溶部(a)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して測定されるZ平均分子量(Mz)の重量平均分子量(Mw)に対する比(Mz/Mw)が、5.0以上、好ましくは5.5〜48.0である。Mz/Mwの値が前記の範囲にあるプロピレン系重合体(A)は、その分子量分布が比較的に広く、特に高分子量側に広く分布していることを示しており、また高いメルトテンションを示す。従って、そのような(A)を含むポリプロピレン樹脂組成物は、発泡成形時に発泡セルが破泡しにくい特徴を有しており、直径の揃った気泡がほぼ均一に分散した発泡体の製造に適している。得られた発泡成形体は、その機械的強度が高く、水平方向および垂直方向の強度に偏りが少ない。
【0020】
ここで、GPCによるMwおよびMzの測定は、例えば、Waters社製の150C型機にポリマーラボラトリーズ社製のカラムPlmixed Bを取り付け、測定温度を150℃とし、溶媒としてo−ジクロロベンゼンを使用し、ポリマー濃度0.15重量%のサンプルを400μl供給する方法で行なうことができる。その際、予め標準ポリスチレンを用いて作成しておいた検量線を用いれば、各サンプルのMwおよびMz値を算出することができる。また、数平均分子量(Mn)も同様にして測定することができる。
【0021】
次に、プロピレン系重合体(A)の主成分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)は、23℃でn−デカン溶媒による分別を行なった時に、可溶部と不溶部とに分けられる。可溶部は主にゴム的な性状を示すプロピレン・エチレンランダム共重合体から、不溶部は主に高い結晶性を示すプロピレン単独重合体から構成されている。
【0022】
本発明で望ましいプロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)は、前記の23℃、n−デカンで分別した時の可溶部が、好ましくは7〜13重量%、より好ましくは8〜12重量%、不溶部が、好ましくは87〜93重量%、より好ましくは88〜92重量%の範囲で含まれている。可溶部および不溶部がこのような範囲内にあると、剛性と耐衝撃性とのバランスに優れた材料特性を示す。
【0023】
また、可溶部は、前記したように主にプロピレン・エチレンランダム共重合体から構成されており、その中のエチレン単位の含有量は、好ましくは24〜40重量%、より好ましくは25〜35重量%である。エチレン単位の含有量がこの範囲にあると、(A−1)は優れた低温特性、特に低温耐衝撃性を示す。なお、エチレン単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル分析によって測定することができる。
【0024】
このような性状を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)は、プロピレン単独重合体とプロピレン・エチレンランダム共重合体とを機械的にあるいは化学的に混合することによって製造することができる。化学的な混合方法の一例として、オレフィンの立体規則性重合触媒の存在下に、第1段階としてプロピレンの単独重合を行い、第2段階としてプロピレンとエチレンとの共重合を行い、必要に応じて第3段階としてエチレンの単独重合を行なって、各重合体を製造しつつ混合する方法を挙げることができる。
【0025】
このプロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)の中には、分岐状オレフィン重合体が0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下の割合で含有されていてもよい。分岐状オレフィン重合体は、(A−1)の核剤として作用するので、(A−1)のアイソタクチックペンタッド分率を高め、成形性を向上させることができる。そのような重合体として、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等の分岐状オレフィンの単独重合体またはそれを含む共重合体を使用することができる。それらの中でも3−メチル−1−ブテン重合体が好ましい。
【0026】
プロピレン単独重合体(A−2)は、オレフィンの立体規則性重合触媒の存在下にプロピレンを重合させることによって製造された重合体である。この(A−2)は、高い結晶性を有していることが望ましく、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)で表して好ましくは97%以上、より好ましくは97.5%以上が望ましい。このような高いアイソタクチックペンタッド分率を有する(A−2)を含む(A)を用いると、本発明に係わる製造方法で得られた発泡成形体は高い剛性を示す。また、そのメルトフローレート(MFR)値は、好ましくは0.5〜150(g/10分)、より好ましくは1〜100(g/10分)である。
【0027】
ここでアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)は、ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示している。具体的には、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の13C−NMRスペクトルの吸収ピークを、メチル炭素領域の全吸収ピークに対する割合として算出される値である。
【0028】
一方、プロピレン系重合体(A)と共にポリプロピレン樹脂組成物を構成する他方の成分である直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、ほぼ直鎖状の分子構造を持ち、その密度が、好ましくは0.910〜0.930(g/cm)、より好ましくは0.915〜0.925(g/cm)の範囲にある。前記の密度範囲にある(B)を用いると、得られたポリプロピレン樹脂組成物の発泡成形体は、高い剛性と衝撃強度とを示す。またこのような(B)は、得られた発泡成形体表面にシルバーストリークの発生を抑制させる高い効果も示す。
【0029】
前記の炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を挙げることができる。中でも好ましいα−オレフィンは、4−メチル−1−ペンテンおよび1−ヘキセンである。α−オレフィンは、共重合体中に1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。α−オレフィン含有量は、好ましくは1.0〜4.5モル%、より好ましくは2.0〜3.5モル%である。好ましい直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体あるいはエチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体である。
【0030】
また直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、ASTM D−3417に準拠して測定されるその融点が、110〜125℃で、好ましくは113〜120℃の範囲にあることが望ましい。この範囲にある融点を持つ(B)は、プロピレン系重合体(A)との相溶性が良く、得られた発泡成形体は、剛性と耐衝撃性とのバランスに優れている。
【0031】
さらに直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、ASTM D−1238に準拠して、190℃、荷重2.16kgの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)値が、好ましくは5〜50(g/10分)、より好ましくは10〜40(g/10分)であることが望ましい。MFR値がその範囲にある(B)を使用すると、発泡成形体表面にシルバーストリークの発生が抑制され、また良好な耐衝撃性を示す。
【0032】
このような直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、オレフィンの立体規則性重合触媒、例えばチーグラー触媒の存在下でエチレンとα−オレフィンとを共重合させることによって製造することができる。
【0033】
プロピレン系重合体(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)とを前記した所定の割合で混合して、発泡成形体を製造するためのポリプロピレン樹脂組成物を調製する。この樹脂組成物には、本発明の目的から逸脱しない範囲内で、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、分散剤、充填剤等を配合することができる。
【0034】
発泡成形に際して、さらに前記の樹脂組成物に化学発泡剤を添加して、発泡性ポリプロピレン樹脂組成物を調製する。化学発泡剤は、射出成形機のシリンダー温度条件下で分解して炭酸ガス、窒素ガス等の気体を発生する化合物である。それは、無機系の発泡剤であってもよいし、有機系の発泡剤であってもよく、また気体の発生を促すクエン酸のような有機酸やクエン酸ナトリウムのような有機酸金属塩等を発泡助剤として併用添加してもよい。
【0035】
化学発泡剤の具体例として、次に記す化合物を挙げることができる。
(1)無機系発泡剤:
重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム
【0036】
(2)有機系発泡剤:
(a)N−ニトロソ化合物; N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン
(b)アゾ化合物; アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート
【0037】
(c)スルフォニルヒドラジド化合物; ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルフェニルヒドラジド)、ジフェニルスルフォン−3,3’−ジスルフォニルヒドラジド
(d)アジド化合物; カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルフォニルアジド、p−トルエンスルフォニルアジド
【0038】
これらの発泡剤の中でも、重炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩または炭酸水素塩が好ましく、その際有機カルボン酸を発泡助剤として併用することが望ましい。炭酸塩または炭酸水素塩と有機カルボン酸との配合比は、炭酸塩または炭酸水素塩が30〜65重量部、有機カルボン酸が35〜70重量部の範囲が好ましい。ここで、両者の合計量が100重量部になる。
【0039】
発泡剤の添加量は、発泡成形体の要求物性に応じて、発泡剤からの発生ガス量および望ましい発泡倍率等を考慮して選択されるが、樹脂組成物100重量部に対して通常0.3〜1.5重量部の範囲で行なわれる。この範囲内であれば、気泡径が揃い、かつ気泡が均一に分散した発泡成形体を得ることができる。
【0040】
発泡剤および必要に応じて加えられる発泡助剤は、樹脂組成物に直接配合し混合することもできるし、あるいは発泡剤および発泡助剤を予め同種または異種の樹脂に混合させたマスターバッチを調製しておき、それを樹脂組成物に配合し混合する間接的な処方をとることもできる。このようにして調製された発泡性ポリプロピレン樹脂組成物を、発泡成形体を製造するための原料として使用する。
【0041】
発泡成形体の製造方法
本発明に係わるポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法は、これまでに説明した発泡性ポリプロピレン樹脂組成物を射出成形用金型中へ射出充填を開始する第一の工程と射出を完了する迄の第二の工程、その後引き続いて発泡成形しかつ発泡成形体を冷却する第三の工程を経て発泡成形体を製造する少なくとも三工程から構成されている。具体的には、いわゆるコアバック法と呼ばれている成形方法を採用している。
【0042】
使用する成形金型は、雌雄一対の金型から構成されており、その噛合せ部において互いに摺動可能な構造になっており、そして両型間の間隔、すなわちキャビティークリアランスを任意に調整できる可動型と固定型とからなる射出成形用金型が用いられる。以降の説明では、雌型を可動型とし、雄型を固定型とするが、その逆であってもよい。可動型は固定型に対して摺動可能になっており、そして可動型と固定型との間に形成されるキャビティのクリアランスは、調整自在になっている。
【0043】
第一の工程では、可動型の初期位置を、可動型を固定型へ接近させて、固定型と可動型とのなす断面の長さ、すなわちキャビティークリアランスが1.0〜1.5mmの範囲に入る位置で、かつ1回の成形に使用する発泡性樹脂組成物の全体積よりも小さいキャビティ容積になる位置に決める。この位置で発泡性樹脂組成物の射出を開始する。発泡性樹脂組成物が供給される通路は、固定型または可動型のいずれかに設けられている。樹脂温度は、170〜270℃、好ましくは180〜260℃、金型温度は10〜100℃、好ましくは40〜80℃の範囲が望ましい。
【0044】
第二の工程では、前記の可動型の初期位置で可動型を5〜20MPa、好ましくは10〜15MPaの圧力範囲で型締めしながら、キャビティークリアランスを拡大しつつ、必要量の発泡性樹脂組成物を0.5〜2.0秒間で射出する。その際、1回の成形に使用する発泡性樹脂組成物の発泡前における全体積に相当するキャビティ容積になる位置、すなわち特定位置までキャビティークリアランスを拡大させる。このキャビティークリアランスの拡大は、樹脂の射出圧力を型締圧力よりも高い、例えば10〜200MPaに設定する方法によって行なってもよいし、あるいは金型位置をコンピュター制御によって移動させる方法を採用してもよい。なお、この工程では、射出圧力および充填圧力がキャビティにかかっているので、樹脂の発泡現象は実質上起こらない。
【0045】
第三工程では、さらにキャビティークリアランスを拡大させながら、先に充填した発泡性樹脂組成物を発泡成形させていき、キャビティー形状に一致した成形体へと成形する。このキャビティークリアランスの拡大に伴うキャビティ内の減圧によって発泡性樹脂組成物の発泡成形が進行し、得られた成形体の構造は、内部が発泡状態にあって、表面は金型表面で冷却されることから未発泡ないし低発泡状態のスキン層が形成される。なお、発泡成形体の全体積に相当するキャビティ容積になる可動型の位置が、拡大していくキャビティークリアランスの最終の位置になる。外観良好な成形体を得るためには、可動型の後退開始から終了までの時間を0.1〜5秒、可動型の後退速度を1〜20(mm/秒)とするのが望ましい。その後、金型内で成形体を冷却する。
【0046】
発泡性樹脂組成物を射出する第一および第二の工程において、発泡性樹脂組成物の供給方法として、可動型の初期位置でキャビティ中へ原料になる発泡性樹脂組成物の一部をまず射出充填し、次いで可動型を後退させつつ可動型の特定位置迄の間に残りの発泡性樹脂組成物を射出充填する、すなわち2段階に分けて射出充填する方法を採用してもよいし、あるいは可動型の初期位置から可動型を後退させつつ特定位置に向って拡大中のキャビティへ、発泡性樹脂組成物の全量を連続して射出充填する方法を採用してもよい。
【0047】
第二の工程から第三の工程への移行は、連続して進めることもできるし、あるいは第二の工程が終了した時点で好ましくは0.1〜5秒間可動型の移動を停止してもよい。この停止時間を設けることによって成形体のスキン層の厚さを制御することができ、スキン層の厚さが増す程成形体の剛性等の機械的強度を高めることができる。
【0048】
第三の工程では、発泡成形し、そのままの状態で冷却して発泡成形体を取り出すこともできるし、あるいは好ましくは0.1〜60秒間、より好ましくは1〜10秒間冷却した後に可動型を前進させて型締し、発泡成形体を圧縮して所定寸法に調整してから取り出すこともできる。圧縮操作を加えると、発泡成形体の体積が減少して金型と接触しなかった発泡成形体の表面を型内面に再接触させることになるので、冷却効率を向上させると共に型内で形状を規制することになり、取り出し後の変形を防止することができ、良好な外観を得ることができる。
【0049】
本発明に係わる製造方法では、第一の工程でキャビティ容積が小さい状態で射出を開始しており、そのために樹脂の流動速度が早くなって、シルバーストリークの一原因になる流動中の発泡ガスの吹出しが防止されている。その上、発泡性樹脂組成物が短時間内に充填されているので、その冷却も早く進み、優れた外観のスキン層が形成される。さらに発泡倍率の調整が容易で、かつ高発泡が可能であって、またセル状態が均一であることから、変形歪みの少ない発泡成形体を得ることができる。
【0050】
次に、図面を参照して、本発明に係わるポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法をより詳細に説明する。図1は、第一工程、すなわち射出充填工程開始時における成形金型の初期位置での概略断面図を示し、図2は、第二工程、すなわち射出充填工程終了時における成形金型の特定位置での概略断面図を示し、図3は、第三工程、すなわち発泡工程終了時における成形金型の概略断面図を示している。図中、1は固定型、2は可動型、3はキャビティを示している。
【0051】
図1は、可動型2が固定型1に最も接近した状態、すなわち射出充填開始時の状態を示しており、可動型2と固定型1との間に形成されるキャビティ3の容積は最も小さい状態にある。可動型がこの初期位置にある時、キャビティ3の容積は射出に用いられる発泡性樹脂組成物の全体積よりも小さく、キャビティ3の断面長さはキャビティクリアランスLの状態にあって、Lは1.0〜1.5mmの範囲に調整されている。
【0052】
このクリアランスLの状態から、図2に示したように可動型2を徐々に後退させて特定位置に達した時、可動型2と固定型1との間の距離は、1回に使用する発泡性樹脂組成物が全量充填された時のキャビティ容積に相当するキャビティクリアランスLの状態にある。
【0053】
射出充填工程を2段階に分けて行う時には、図1に示したように、初期位置にある可動型2を後退させないように固定した状態で、射出ノズル(図示せず)からスプルー4を通して発泡性樹脂組成物をキャビティ3内に射出し、キャビティ3内には発泡性樹脂組成物の一部が充填される(一次射出工程)。この際、樹脂の射出は、可動型2と固定型1との型締圧力より高い射出圧力で行うことが好ましく、この場合でもキャビティ3内の空気が排気されるため、可動型2は固定状態に維持される。キャビティ3の容積は小さいので、充填された樹脂組成物の表面は早く冷却されてスキン層が形成される。
【0054】
その後、図2に示したように、発泡性樹脂組成物を型締圧力より高い射出圧力でさらに射出すると、その高い樹脂圧力によってキャビティ3の容積が増加し、可動型2が後退しながら発泡性樹脂組成物5の射出が継続し、可動型が特定位置に達した時に発泡性樹脂組成物5の全量がほぼ充填し終わる(二次射出工程)。この時、可動型2はキャビティクリアランスLの位置にあって、キャビティ3の容積は図1に比べて増加しており、クリアランスはL<Lの状態にある。ここまでの工程では、発泡性樹脂組成物5は未だ軟化状態を保っているが、樹脂に射出圧力および充填圧力がかかっているので発泡は全く、あるいはほとんど起こらない。
【0055】
射出充填工程を2段階に分けずに1回で行う場合には、可動型2が初期位置にある図1の状態から発泡性樹脂組成物の射出をスプルー4を通して開始し、可動型2を後退させつつキャビティ3内に充填を続ける。この際、射出圧力を型締圧力よりも高くすることが好ましい。充填されつつある発泡性樹脂組成物は、金型に密着している部分から冷却されてスキン層が形成される。可動型2が図2に示した特定位置に達するまでの間発泡性樹脂組成物5の射出は連続して続けられ、使用する発泡性樹脂組成物5の全量を充填したら射出は終了する。この間、キャビティ中の発泡性樹脂組成物5は軟化状態を保っているが、射出圧力および充填圧力がかかっているので、発泡はほとんど生じない。
【0056】
図3は、発泡工程において可動型2を後退させて、キャビティ3の断面長さをキャビティクリアランスLへと延長した時の状態を示している。キャビティ3の容積は図2と比べて増加しており、クリアランスはL<Lである。この時、キャビティ3内が減圧になり、樹脂組成物5の発泡が進行して発泡成形体が形成される。発泡終了後はそのまま冷却して発泡成形体6を取り出すこともできるし、可動型2を少し前進させて型締めしてから、さらに冷却して取り出すこともできる。
【0057】
発 泡 成 形 体
本発明の製造方法によって得られた発泡成形体は、剛性、耐衝撃性、耐熱性等に優れたポリプロピレン樹脂組成物から形成されており、またコアバック法によって射出発泡成形されていることから、内部には高発泡状態のコア層、また表面には外観良好なスキン層が形成された構造になっている。
【0058】
発泡倍率は用途によって調整されるので特に限定されないが、通常1.05〜5倍、好ましくは1.3〜2倍にすると、高い剛性等の望ましい強度特性が得られ、また形状が長く保持される。スキン層の厚さは通常0.25〜1mm、好ましくは0.4〜0.8mmに調整することが望ましく、成形条件によってその厚さを変えることができる。全体として、シルバーストリークやタイガーストライブの発生が抑制された良好な外観を持ち、軽量で高い剛性と耐衝撃性とを持った発泡成形体になっている。
【0059】
この発泡成形体は、前述した樹脂組成物から形成されているので廃棄焼却する際に有害なガスが発生しないし、またコア層もスキン層も同じ材質から構成されているのでリサイクルユースも容易に行うことができる。従って、この発泡成形体は、ドアトリム、インストルメントパネル等の自動車内装部品、サイドプロテクトモール、バンパー、ソフトフェイシア、マッドガード等の自動車外装部品に好適に利用することができる。
【0060】
【実施例】
次に実施例を通して本発明を説明するが、本発明はそれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0061】
まず、実施例および比較例で調製した樹脂組成物の物性、および発泡成形体の物性ないし評価は、次に示す試験方法によって行った。
【0062】
(1)MFR :ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定した。
(2)融点(Tm):ASTM D−3417に準拠し、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(DSC)を使用して測定した。
(3)極限粘度[η]:試料をデカリン溶媒に溶解し、135℃で測定した。
(4)アイソタクチックペンタンド分率(mmmm):13C−NMRを用いて測定した。
【0063】
(5)Mw/MnおよびMz/Mw:次に記す条件下でゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定した。
装置:Waters社製品
GPC150CVカラム:ポリマーラボラトリーズ社製品
PLカラム:Mixed−B 350mm×2
データ処理装置:ミレニアム
測定温度:150℃
測定溶媒:オルトジクロロベンゼン
較正曲線:既知分子量の単分散ポリスチレンを使用した。
計算条件:
ポリプロピレン;K=1.03×10−4(dl/g) α=0.78
ポリスチレン ;K=1.38×10−4(dl/g) α=0.70
【0064】
(6)発泡倍率:水中置換法によって測定した未発泡品の比重(dc0)を発泡成形体の比重(dc1)で除し、その値(dc0/dc1)を発泡倍率として示した。なお発泡倍率は、スキン層を含む状態で測定した。
【0065】
(7)高速貫通衝撃強度:レオメトリックス社製ハイレートインパクトテスターを用い、23℃の雰囲気下にてストライカーの先端径1/2インチ、受けリングの径3インチ、および衝撃速度1m/sの条件で試験を行い、貫通エネルギー(J)を求め、その値を高速貫通衝撃強度として示した。
【0066】
(8)外観:発泡成形体の表面を目視で観察し、シルバーストリークおよびタイガーストライプの発生状況を見て、外観の良否を次の基準で評価した。
シルバーストリーク:
○:表面にはほとんど観察されず、未発泡品と同じ外観を呈する。
△:末端部にのみ見られる。
×:表面全体に見られる。
タイガーストライプ:
○:表面には全く見られない。
△:表面にわずかに見られる。
×:表面の一部にはっきりと見られる。
【0067】
実施例および比較例で用いたプロピレン系重合体(A)、それを構成するプロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)と2種類のプロピレン単独重合体(A−2−1)および(A−2−2)、さらに直鎖状低密度ポリエチレン(B)の性状は次の通りであった。
【0068】
(1)プロピレン系重合体((A)と略す)の性状を表1に示した。(A)の23℃におけるn−デカン不溶部のMz/Mwの値およびメルトフローレート(MFR)値も併せて示した。
(2)プロピレン・エチレンブロック共重合体((A−1)と略す)の性状を表2に示した。
(3)プロピレン単独重合体として2種類(A−2−1)および(A−2−2)を用い、それらの性状を表3に示した。
【0069】
【表1】
Figure 0003996037
【0070】
【表2】
Figure 0003996037
【0071】
【表3】
Figure 0003996037
【0072】
(4)直鎖状低密度ポリエチレン((B)と略す)は、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体であって、その性状は次の通りであった。
コモノマー含量:3.5モル%
融点 :115℃
密度 :0.915(g/cm
MFR:15(g/10分)(190℃、2.16kg荷重)
オルゼン剛性:230(MPa)
【0073】
(実施例1〜7)(比較例1〜5)
プロピレン系重合体(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)とを表4に記載した配合割合(重量%)で混合し、押出機を用いてさらに混合し、その樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)を表4に併せて記した。また、プロピレン系重合体(A)のn−デカン不溶部に付いて、そのMz/Mwで表される分子量分布を測定し、その結果も表4に併せて記した。
【0074】
前記の樹脂組成物100重量部に、炭酸水素ナトリウム25重量%、クエン酸25重量%および低密度ポリエチレン50重量%とから構成された発泡剤マスターバッチ3.0重量部を加えてドライブレンドした。これを発泡性ポリプロピレン樹脂組成物ペレットと呼ぶ。
【0075】
その発泡性ポリプロピレン樹脂組成物ペレットを用い、コアバック方式の射出発泡成形法によって発泡成形体を製造した。成形条件は、次の通りであった。
射出成形機 :宇部興産機械株式会社製品 MD350S−III型
成形品サイズ :縦40cm、横20cm、厚さ2.7mmの平板
成形品目付 :1.5kg/m
ゲート構造 :成形品中央1点ダイレクトゲート
射出温度 :190℃
射出圧力 :150MPa
射出時間 :0.8秒(射出開始から原料の全量を射出終了するまでの時間)
成形金型の表面温度:50℃
【0076】
金型動作は、金型の初期位置におけるキャビティクリアランスを1.4mmとし、発泡性樹脂組成物を充填した0.9秒後にキャビティクリアランスを2.7mmへと拡大した。なお、射出充填工程は、可動型の初期位置から可動型を後退させつつ特定位置までの間、発泡性樹脂組成物を連続して射出する方法を採用した。得られた成形体の発泡倍率、高速貫通衝撃強度および成形体の外観を調べ、その結果を表4に併せて記した。
【0077】
【表4】
Figure 0003996037
【0078】
実施例1〜7に示したように、(A−1)、(A−2)および(B)とから構成される組成物を発泡成形用の原料樹脂として使用すると、シルバーストリークやタイガーストライブがほとんど見られない、外観良好な発泡成形体を製造することができる。しかし、比較例1の結果からわかるように、(A−1)成分のみを原料樹脂として使用したのでは、シルバーストリークもタイガーストライブも発生して成形体の外観が悪く、また比較例2〜5に示したように、(A−1)および(B)とからなる樹脂組成物を使用しても、シルバーストリークの改善は見られるものの、タイガーストライブはなお解消されていない。
【0079】
【発明の効果】
本発明に係わるポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法によると、ポリプロピレン樹脂の持つ優れた物性を保持した発泡成形体を成形性よく製造することができ、また従来成形体表面に発生し易かったシルバーストリークやタイガーストライブの発生を抑制することができる。
【0080】
また、この製造方法で得られた発泡成形体は、全体が同じ材質から形成されており、そして内部発泡層と表面スキン層とから構成された高発泡構造を有しており、全体として軽量で、高い剛性、耐衝撃性および耐熱性等の物性を有すると共に、良好な外観を呈している。従って、この発泡成形体は、自動車用内外装部品としての使用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 射出充填工程開始時における成形金型の初期位置での概略断面図を示す。
【図2】 射出充填工程終了時における成形金型の特定位置での概略断面図を示す。
【図3】 発泡工程終了時における成形金型の概略断面図を示す。
【符号の説明】
1 固定型
2 可動型
3 キャビティ
4 スプルー
5 発泡性樹脂組成物
6 発泡成形体

Claims (6)

  1. プロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)85〜97重量%とプロピレン単独重合体(A−2)3〜15重量%とを含むプロピレン系重合体(A)70〜93重量%、および直鎖状低密度ポリエチレン(B)7〜30重量%とからなる樹脂組成物に化学発泡剤を配合して発泡性ポリプロピレン樹脂組成物を調製し、ここで
    (1)前記のプロピレン系重合体(A)は、23℃のn−デカンで分別した時に不溶部(a)と可溶部(b)とに分けられ、その不溶部(a)はメルトフローレート値が30〜300(g/10分)であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるMz/Mwの値が5.0以上であって、かつ
    (2)前記の直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、その融点が110〜125℃であって、
    次に雌雄一対の金型から構成され、その噛合せ部において互いに摺動可能で、かつキャビティークリアランスを任意に調整できる可動型と固定型とからなる射出成形用金型を用いて、
    (イ)キャビティークリアランスが1.0〜1.5mmの範囲にあって、かつキャビティー容積が1回の成形に使用する発泡性ポリプロピレン樹脂組成物の全体積よりも小さく設定された可動型の初期位置で、キャビティ内へ発泡性ポリプロピレン樹脂組成物を供給開始する第一工程、
    (ロ)可動型の初期位置で5〜20MPaの圧力範囲で型締めしながら発泡性ポリプロピレン樹脂組成物の射出を0.5〜2.0秒間内に行ない、その間1回の成形に使用する発泡性ポリプロピレン樹脂組成物の発泡前における全体積に相当するキャビティ容積になる可動型の特定位置までキャビティークリアランスを拡大して射出を終了する第二工程、および
    (ハ)さらにキャビティークリアランスを拡大させて発泡成形体を形成させ、その後成形体を金型内で冷却する第三の工程
    とを経て発泡成形することを特徴とするポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法。
  2. 前記のプロピレン系重合体(A)は、23℃のn−デカンで分別した時に不溶部(a)が88〜94重量%、可溶部(b)が6〜12重量%であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法。
  3. 前記のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A−1)は、23℃のデカンで分別した時に、可溶部が7〜13重量%、不溶部が87〜93重量%であって、可溶部に含まれるエチレン単位の含有量が24〜40重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法。
  4. 前記のプロピレン単独重合体(A−2)は、そのアイソタクチックペンタッド分率が97%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法。
  5. 前記の直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、そのメルトフローレートが5〜50(g/10分)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂発泡成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により得られることを特徴とするポリプロピレン樹脂発泡成形体。
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