JP3995896B2 - セグメント用埋込ソケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セグメントと掘削坑の壁面(地山)の隙間にコンクリート等のグラウト材を注入(補充)したり、或いはクレーン等によるセグメントの吊上げを可能にするために、セグメントに埋め込んで使用するセグメント用埋込ソケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シールド工法においては、地山とセグメントの間にできる隙間にグラウト材を補充しなければならないことがあり、またセグメントの移送時にこれをクレーン等に吊り上げる必要がある。
上記のような諸作業を可能にするために、セグメントには雌ねじ構造の鋼製埋込ソケットを埋め込むことが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のセグメント用埋込ソケットは、鋼製ゆえに次のような問題点がある。
(イ) 保管時等に錆やすい。
(ロ) 複雑な形状の成形が困難。
(ハ) 高価である。
【0004】
本発明は、さびることなく、しかも製作が容易で安価なセグメント用埋込ソケットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、セグメントに対する吊り具の取付け等を可能にするセグメント用埋込ソケットにおいて、外周面をテーパ状にしたナイロン樹脂等の合成樹脂製筒体の大径の基端からほぼ中間部分までの中心孔の内周面に雌ねじを形成し、上記外周面にリブを形成し、前記基端を前記セグメントの外周側に、前記基端の反対側をなす先端を前記セグメントの内周側に配した構成とした。
【0006】
この手段では、外径の大きい基端を円弧状セグメントの外周側に、小径の先端を内周側に配してセグメントに埋め込んで使用する。
そして、セグメントを吊り上げる時は、雄ねじ構造の吊り具を本埋込ソケットの先端側からねじ込み、従来同様に吊り上げる。この場合、埋込ソケットは、基端側が先端側よりも外径が大きいテーパ状とされ、また外周面にリブが形成されているため、埋込ソケットのセグメントに対する十分な引抜固定強度が得られる。
ナイロン樹脂等の合成樹脂製のため、精度よく容易かつ安価に製造することができ、しかもさびることがない。
【0007】
ところで、従来の埋込ソケットと同じように、中心孔の内周面に先端まで雌ねじが形成され、仮に、埋込ソケット及び吊り具のねじ形状のばらつき等から、先端部分の雌ねじのみに吊り具の雄ねじが強く螺着されているようであると、セグメントの吊上げ荷重が小径の先端部分に集中することになり、設計通りの強度が得られなくなるおそれがある。
しかし、本埋込ソケットにおいては、中心孔の内周面の先端部分には雌ねじが形成されておらず、必然的に吊り具による吊上げ荷重が太径の奥側にかかって全体に分散されるため、設計通りの強度が得られるようになる。樹脂製で、精度良く雌ねじを成形できることも、応力の集中を防いで強度上の信頼性を向上させる。
【0008】
グラウト材の注入は、当然ながら埋込ソケットの先端側から行い、注入作業の終了後は、プラグを雌ねじに螺着して中心孔を閉塞し、注入グラウト材の漏出を防ぐ。
【0009】
リブは、埋込ソケットの引抜強度を高めるだけでなく、埋込ソケット自体の強度も強化する。通常、ソケット周方向の横リブと軸方向の縦リブの両方を設けるが、場合によってはいずれか一方しか設けないこともある。リブは、周方向や軸方向に連続していない点状にすることもある。
【0012】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1ないし図3は本発明に係るセグメント用埋込ソケットの実施の形態を示す。このセグメント用埋込ソケットAは、外周面1aを基端Kから先端Sに近づくにしたがって徐々に細くなるテーパ状にしたナイロン樹脂製の筒体1の、基端Kからほぼ中間部分Tまでの中心孔1bの内周面に、谷部と山部の角部分1ct,1cyをアール状にした雌ねじ1cを形成し、外周面1aに、周方向の複数(図のものは6本)の横リブ1dと軸方向の複数(図のものは4本)の縦リブ1eとを形成して成る。
【0013】
なお、筒体1と中心孔1bの横断面形状は円形、横リブ1dの横断面形状は半円形とされ、縦リブ1eの横断面形状は台形とされている。また、雌ねじ1cのアール状角部分1ct,1cyの半径は通常1〜4mm程度とされる。
【0014】
上記の構成とされたセグメント用埋込ソケットAは、図4に示すように、コンクリート製セグメント11の表裏に貫通した孔11aの部分に、大径の基端Kを外周側(図では下側)に、また小径の先端Sを内周側に配した状態で埋め込んで用いる。
【0015】
そして、セグメント11を吊り具13で吊り上げる時は、吊り具13の雄ねじ13aを、埋込ソケットAの中心孔1bに先端S側からねじ込んで埋込ソケットAに取り付け、そのまま吊り具13を上昇させて吊り上げる。
【0016】
この際、埋込ソケットAには、これを先端S側に引き抜こうとする引抜力が作用するが、外周面1aが基端K側を大径にしたテーパ状にされるとともに、外周面1aにリブ1d,1eが形成されていてコンクリートとの固定力を強化しているため、吊上げに耐える十分な固定強度が得られる。なお、横リブ1dは、吊上げ固定力の強化に主として働き、縦リブ1eは、吊り具13を螺着する際の埋込ソケットAの自由回動を防止する。
【0017】
また、先端S部分の中心孔1bには、雌ねじ1cが形成されておらず、セグメント吊上げ時の荷重が、吊り具13の雄ねじ13aが螺着された内奥部の基端K及び中間部分Tから先端S側に分散されて加わり、一部分のみに集中してかかることがないので、所定の強度が確実に得られる。
【0018】
その上、雌ねじ1cの谷部と山部の角部分1ct,1cyが円弧状とされていて、その部分に雄ねじ13aの螺着応力が集中することがないため、吊り具を緊密に螺着でき、強度面での信頼性が一層高まる。なお、吊り具13の雄ねじの谷部と山部の角部分13at,13ayも雌ねじ1cと同様にアール状とされる。
【0019】
また、ナイロン樹脂製のため、全体はもとより複雑な形状の雌ねじ1c等を精度よく容易に成形することができ、安価につく長所がある。
【0020】
地山とセグメント11の隙間にグラウト材を注入するときは、埋込ソケットAの先端S側に注入機械のグラウト吐出口を接続して行う。そして注入作業が終了したら、図5に示すように、プラグ15の雄ねじ15aを雌ねじ1cに螺着して中心孔1bを塞ぐ。
【0021】
プラグ15もナイロン樹脂等の合成樹脂製で、その頭部11bは、中心孔1bの閉塞状態でセグメント11の内面と面一になるように、セグメント11の孔11aの内周側の開口部形状に合わせて逆円錐台状とされ、その中心部に六角形等のレンチ孔15cが形成されている。符号17はシールリングである。
【0022】
図6は、本発明に係るセグメント用埋込ソケットの他の実施の形態にを示す。このセグメント用埋込ソケットBにおいては、基端Kの中心孔1bが底部1fによって閉塞されている。
他の構造は、図1ないし図3のセグメント用埋込ソケットAと同一であるので、同一の部分等に同一の符号を付して説明を省略する。
【0023】
図6のセグメント用埋込ソケットBの場合は、吊り具13を雌ねじ1cに螺着して行うセグメント11の吊上げ専用となる。
そして、筒体の基端の中心孔が底部によって閉塞された構成では、セグメントの成形時において、生コンクリートが基端から中心孔に流入するのが防止されるので、別途製作のキャップが不要となり、一層コストの低減が可能となる。
【0024】
図の雌ねじ1cは台形ねじとなっているが、他のねじであってもよい。また横リブ1dと縦リブ1eの形成本数は、図のものに限らず、必用に応じて増減することができる。筒体1の形状を円筒以外の角筒等にすることも可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、さびることがなく、しかも精度よく容易かつ安価に製造することができる優れたセグメント用埋込ソケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るセグメント用埋込ソケットの実施の形態を示す断面図である。
【図2】 図1のセグメント用埋込ソケットの平面図である。
【図3】 図1のセグメント用埋込ソケットの雌ねじと吊り具の雄ねじの断面図である。
【図4】 セグメントに埋め込まれた図1のセグメント用埋込ソケットに対する吊り具の取付状態を示す断面図である。
【図5】 図1のセグメント用埋込ソケットに対するプラグの取付状態を示す断面図である。
【図6】 本発明に係るセグメント用埋込ソケットの他の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
A,B セグメント用埋込ソケット 1 筒体
1a 外周面 1b 中心孔
1c 雌ねじ 1ct,1cy 角部分
1d 横リブ 1e 縦リブ
1f 底部 11 セグメント
11a 孔 13 吊り具
13a 雄ねじ K 基端
T 中間部分 S 先端
Claims (1)
- セグメントに対する吊り具の取付け等を可能にするセグメント用埋込ソケットであって、
外周面をテーパ状にしたナイロン樹脂等の合成樹脂製筒体の大径の基端からほぼ中間部分までの中心孔の内周面に雌ねじが形成され、
上記外周面にリブが形成され、
前記基端を前記セグメントの外周側に、前記基端の反対側をなす先端を前記セグメントの内周側に配したことを特徴とするセグメント用埋込ソケット。
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