JP3994444B2 - Electronic components - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、チャージトランジション(C−T)ギャップ型の強相関電子物質から構成される電子部材、半導体装置、光学装置、及びアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
マグネティックポーラロンの存在及び非存在によって強磁性状態と常磁性状態とに転移する磁性半導体を用いた半導体デバイスが、特開平07−95754号公報に開示されている。この公報に開示された半導体デバイスは、電界を印加してマグネティックポーラロンの形成を制御することにより、磁性半導体層を強磁性体と常磁性体に交互に転移することができる。このような材料は、磁性半導体として典型的な材料として知られているが、強相関電子物質として適用される可能性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この公開公報に開示された磁性半導体材料は、Gdを添加したEuOであり、動作温度範囲が100K(絶対温度)以下であり、常温での動作が困難である。
また、この公報には、この半導体デバイスの応用例としては、半導体装置の強磁性と常磁性の切り替えを応用したアクチュエータが開示されているのみであり、応用技術の確立が望まれる。
【0004】
さらに、従来、半導体層の磁気的性質と電気的性質又は光学的性質を結び付けた電子部材は知られていない。
【0005】
この発明は上記実状に鑑みてなされたもので、常温で磁気的特性を切り替えることができる電子部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の電子部材は、
La 1-x Sr x MnO 3 (0.175≦x≦0.4)、Nd 1-x Sr x MnO 3 (0.2≦x≦0.4)、La 1-x Ca x MnO 3 (0.175≦x<0.4)、Nd 0.5 Pd 0.5 MnO 3 、のいずれかから構成され、且つ酸素欠陥が存在する又は酸素欠陥が存在しない強相関電子材料層と、
前記強相関電子材料層のキャリアの移動度、磁化、磁気転移温度、透過率、ファラデイ効果、カー効果等を変化させるように前記強相関電子材料層に電界を印加する電界印加手段と、
を具備することを特徴とする。
【0007】
強相関電子材料は、印加電界に応じて、キャリアの移動度、磁化、磁気転移温度、透過率、ファラデイ効果、カー効果等が変化する。従って、電界印加手段により、強相関電子材料のこれらの特性を制御して、電流スイッチ、光スイッチ、表示装置等として使用することができる。また、強相関電子材料の磁化の変化を用いて、アクチュエータを構成することもできる。
【0008】
前記強相関電子材料層は、酸素欠陥を含むことが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態にかかる電子部材について説明する。
はじめに、この発明で使用するチャージトランジションギャップ型の強相関電子材料について、La1ーxSrxMnO3を例に説明する。
この材料のうち、磁性及び電気伝導性をつかさどるのはMnのd電子(d軌道の電子)である。マンガンイオンMn3-は、図1に示すように、6個の酸素イオンO2-によって囲まれている(6配位)。
【0010】
Mnのd軌道は、Oの結晶場の影響によって3重縮退の軌道(t2g軌道)と2重縮退の軌道(eg軌道)に分裂しており、各d軌道はエネルギーバンドを形成する。LaMnO3(La2+,Mn3+、O2-)の場合、図2(A)に示すように、Mn3+はd軌道に4個の電子を収容する。通常の一体近似のバンド理論では、この状態では、LaMnO3は金属である。しかし、この系では、電子間の強いクーロン相互作用のために電子は移動できず、LaMnO3は絶縁体となる。
【0011】
この系を電気導電体にする手法としては、2重縮退のd軌道(eg軌道)にホールを導入させるということがある。例えば、La3+の一部をSr2+で置換すると、Mn3+の一部はMn4+となり、図2(B)に模式的に示すように、一部の2重縮退のd軌道に空きができる。このため、電子(ホール)が移動可能になり、この系は電気導電体になる。
【0012】
eg軌道は酸素の2p軌道と強く混成するために比較的広がっている。一方、t2g軌道は局在性が強く、近似的に局在スピンと考えてよい。
【0013】
LaMnO3は反強磁性であるので、t2g軌道のスピンは反対方向で平行に並んでいる。しかし、Srをドープすると、前述のように、電子(ホール)が移動可能となり、局在モーメント間の強磁性的交換相互作用として働く。このため、スピンは反平行からずれ、自発磁化の出現を促す。これは、局在モーメントが互いに平行になった方が電子(ホール)の移動が容易になるためである。
【0014】
図3にLa0.6Sr0.4MnO3膜のファラデー効果(ファラデー回転角)θfK(deg)を示す。ファラデー回転角θfKは磁化に比例する。ここで、図3は、La0.6Sr0.4MnO3膜の磁化の変化を間接的に示す。図3から、Srをドープして2重縮退のd軌道(eg軌道)にホールを導入することにより、反強磁性体であるLaMnO3をLa1ーxSrxO3(0<x<1)にして、強磁性体に変換できることが理解できる。
【0015】
また、図3から、外部磁場Hcの印加により、局在スピンが平行になり、その結果、磁化が増加することが理解できる。このため、磁気転移温度(キューリ温度)TCも少なくともx≦0.4では、Srの濃度の増加につれて上昇することがわかる。同様に、キューリ温度TCはホール濃度の増加に応じて上昇する。また、温度が低下するにつれて、局在スピンの乱れが減少し、磁化が増加する。
【0016】
図3のグラフでは、外部磁場Hcが±15KOeでも磁化が飽和していない。これは、局在スピンが完全に平行になっていないためである。磁化が飽和しない傾向はSrの濃度が低い方が著しい。即ち、Sr濃度が高く、ホール濃度が高い程、局在スピンが平行になり易く、磁化が飽和しやすくなる。
【0017】
La1ーxSrxMnO3膜に電界を印加してホールを誘導した場合も、Srの濃度を高くした場合と同様に、局在スピンが平行になり易くなり、局在スピンの揺らぎが減少し、キャリアの移動度が高くなる。また、電界を印加してホールを誘導することにより、磁気転移温度(キューリ温度)TCも印加電界に応じて変化する。従って、磁気転移温度TCを適切な値に設定して、印加電界を制御することにより、La1ーxSrxMnO3膜の磁気的特性及び電気的特性を種々に切り替えることができる。
【0018】
また、La1ーxSrxMnO3膜は、その磁気的特性の変化に伴って、その光学特性も変化する。従って、印加電界を制御して、その光学特性を変更することができる。
【0019】
以上La1ーxSrxMnO3を例に説明したように、C−Tギャップ型の強相関電子物質は、電界を印加してホール濃度を制御することにより、その磁気的性質、電気的性質、光学的特性が種々に変化する。従って、これらの特性を適切に制御することにより、優れた特性の電子部材、半導体装置等が得られる。
そこで、以下に、C−Tギャップ型の強相関電子物質を用いた電子部材及び半導体装置の具体的な実施の形態を説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、この発明の電子部材の第1の実施の形態として、強相関電子材料を用いた半導体装置について、図4〜図6を参照して説明する。
この半導体装置は、図4(A)に示すように、La1ーxSrxMnO3からなる半導体層11と、半導体層11上に離間して配置されたソース電極12とドレイン電極13と、ソース電極12とドレイン電極13間に配置された絶縁膜(ゲート絶縁膜)14と、ゲート絶縁膜14の上に配置されたゲート電極15と、より構成される。
【0021】
図4(B)に示すように、ゲート電極15に0V(又は正電圧)を印加した状態では、半導体層11中のチャネル領域中のホールの密度及びその移動度は非常に小さい。従って、半導体層11は高抵抗の状態を維持する。このため、ソース電極12に正電圧を印加し、ドレイン電極13に負電圧を印加しても、ソース電極12とドレイン電極13の間のチャネル領域に電流は流れない。
【0022】
これに対し、図4(C)に示すように、ゲート電極15に負電圧を印加した状態では、半導体層11のチャネル領域にホールが誘起され、さらに、その移動度が大きくなり、半導体層11は導通状態になる。このため、チャネルを介してソース電極12からドレイン電極13に電流が流れる。
【0023】
即ち、図4の構成の半導体装置は、ゲート電圧を制御することにより、スイッチングする電流スイッチ、即ち、トランジスタとして機能する。
この半導体装置の電流スイッチの動作自体は、シリコン等を用いた通常のFETと同一である。しかし、動作メカニズムが従来のFETとは全く異なる。
【0024】
以下に、La0.7Sr0.3MnO3を例に上記構成の半導体装置の動作メカニズムを説明する。
図5に熱分解法で作成したLa0.7Sr0.3MnO3膜の抵抗率Rの温度変化を示す。図5(A)の横軸は絶対温度Tの逆数を表し、縦軸は抵抗率Rの対数値を表す。また、図5(B)の横軸は絶対温度Tを表し、縦軸は抵抗率Rを表す。
【0025】
図5(A)に示すように、磁気転移温度(キューリ温度)TC付近(約350K,1/T=約0.00286)から500K(1/T=約0.002)の温度領域では、抵抗率Rは、対数グラフ上で温度の逆数1/Tに対して直線状に変化する。従って、この温度領域での抵抗率Rの変化はキャリアの活性化が主要因である。活性化エネルギーは酸素欠陥が存在する場合には約140meV、酸素欠損がほとんど存在しない場合は、約50meV程度である。
【0026】
これに対し、磁気転移温度TC(350K)より低温側(1/T>約0.00286)の特性は、図5(A)に示すように活性化型の特性からずれる。これは、磁気転移温度TC以下の温度で、局在スピンが所定方向に整列し始めるためである。図5(B)に実線で示すように、抵抗率Rは室温(約290K)で0.28Ω・cm程度の値となる。この値はバルク状態のLaMnO3の抵抗率よりも1桁以上大きい。Laの一部をSrで置換することによるホールの導入が、酸素欠損により抑制されるためである。
【0027】
さらに、温度を下げると、抵抗率Rは250K近傍にブロードなピークを有している。ブロードなピークよりも低温側では、局在スピンの揺らぎは減少し、抵抗率Rも減少する。さらに、低温側では、ほとんど温度依存性をもたない温度領域が存在する。
【0028】
ゲート電極15にマイナス電圧を印加した場合には、半導体層11のチャネル領域にキャリアであるホールが誘起される。半導体層11の温度が磁気転移温度TCより低い室温TAの状態にあるとすると、このホールによって、以下のi)〜iii)の現象が生ずる。
【0029】
i) 局在スピンの揺らぎが減少し、半導体層11の磁化が変化し、チャネル領域の磁気転移温度TCが上昇し、キャリアの移動度が上昇する。このため、チャネル層の伝導度が上昇する。即ち、ホールの誘起により、局在スピンの揺らぎが減少し、磁気転移温度TCが上昇する。このため、図5(B)に破線で示すように、抵抗率Rは、電圧無印加時のグラフを右側にシフトした状態になり、抵抗率Rは、温度が相対的に低下したのと同様の状態(温度TBの状態)になり、抵抗率Rが大幅に減少する。このため、チャネル層の伝導度が上昇する。
【0030】
ii) 電界の印加により、磁場を半導体層11に印加し、局在スピンが平行化するため、キャリアの移動度が上昇し、チャネルの伝導度が上昇する。即ち、この物質は電界又は外部磁場の印加により、局在スピンが平行になり、キャリアの移動度が上昇する。例えば、図6は磁場の印加によるLa0.7Sr0.3MnO3膜の抵抗率の変化を示し、外部磁場の印加により抵抗率Rが減少することを示している。
【0031】
iii) 電界による半導体層11内のキャリア濃度の上昇により、チャネル層の伝導度が上昇する。このメカニズムは通常のFETの伝導度上昇のメカニズムと同一である。
【0032】
ゲート電極15への負電圧の印加により、以上のi)〜iii)のメカニズムが複合的に生ずるため、チャネル領域の伝導度が上昇し、半導体装置はオンする。
【0033】
以上説明したように、この実施の形態の半導体装置によれば、ゲート電圧を制御して、磁化を制御することにより、そのオン・オフを制御することができる。この半導体装置は、オン時のキャリア密度が非常に高い。このため、チャネルに光が当たってもキャリアの変化は少なく、光に強い半導体装置が得られる。また、外因不純物の影響が少ないため、プロセス管理が容易になり、材料費、装置が安価となり、低価格で製造が容易になる。
【0034】
また、電流のオン・オフだけでなく、ゲート電圧を制御することにより、電流の変調及び増幅も可能である。
【0035】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態の半導体装置は、チャネル領域の磁化を制御し、これにより、半導体装置のオン・オフを制御したが、磁気転移とそれに伴う金属−非金属転移を起こすことにより、半導体装置のオン・オフを制御することも可能である。そこで、以下、電界の印加により磁気転移を起こす半導体装置について説明する。
【0036】
図7はLa0.825Sr0.175MnO3の結晶の抵抗率Rの温度変化を示す。低温では、結晶は金属相にあり、抵抗率Rが低い。磁気転移温度TCに近づくと、抵抗率Rは急激に上昇しTC近傍で極大を示す。さらに、温度上昇に応じて結晶の抵抗率Rは徐々に低下する。
【0037】
この結晶の磁気転移温度TCは290Kであり、室温(結晶の温度)は磁気転移温度TCよりも若干高い。このため、通常の温度状態では、この結晶は高抵抗の状態となる。
一方、この結晶に電界を印加してホールを誘起すると、磁気転移温度TCが上昇し、TC’となる。このため、相対的に温度が低下したことに等しくなり、結晶の温度は磁気転移温度TC’より低くなる。このため、この結晶は金属状態となり、その抵抗率Rは低下する。
【0038】
従って、図8(A)に示すように、La0.825Sr0.175MnO3を半導体層21とし、その上にゲート絶縁膜24を介してゲート電極25を配置し、ゲート電圧を制御することにより、チャネル領域を金属状態と非金属状態との間で転移させることができる。
【0039】
即ち、図8(B)に示すように、ソース電極22に正電圧、ドレイン電極23に負電圧を印加し、ゲート電極25に0V(又は正電圧)を印加した状態では、半導体層21の磁気転移温度TCは室温(半導体層21の温度)より低い。このため、半導体層21は半導体又は絶縁体状態となり、チャネルは高抵抗状態を維持する。従って、ソース電極22とドレイン電極23との間に電流は流れず、このトランジスタはオフ状態となる。
【0040】
一方、図8(C)に示すように、ゲート電極25に負電圧を印加した状態では、チャネル領域にホールが誘導され、磁気転移温度TCが上昇し、半導体層21の温度より高くなる。このため、磁気転移が起こり、チャネル領域は金属状態となり、伝導状態になる。即ち、チャネルが生成される。従って、ソース電極22とドレイン電極23との間に電流が流れる。このため、このトランジスタはオン状態となる。
【0041】
このような構成の半導体装置によれば、オン時のキャリア密度が非常に高い。このため、チャネルに光が当たってもキャリアの変化は少なく、光に強い半導体装置が得られる。また、外因不純物の影響が少ないため、プロセス管理が容易になり、材料費、装置が安価となり、低価格で製造が容易になる。
【0042】
また、電流のオン・オフだけでなく、ゲート電圧を制御することにより、電流の変調及び増幅も可能である。
また、半導体材料としては、La0.825Sr0.175MnO3に限定されず、例えば、Nd0.5Pd0.5MnO3、La0.825Ca0.175MnO3等も同様に使用可能である。
【0043】
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態においては、電流のオンとオフを制御する電流スイッチを例にこの発明を説明したが、この発明は光スイッチにも適用可能である。そこで、以下、電界の印加により磁気転移を起こす強相関電子材料を用いた光スイッチについて説明する。
【0044】
この実施の形態の光スイッチは、図9に示すように、La0.825Sr0.175MnO3等の強相関電子物質から構成された半導体層31と、半導体層31に接続された接地電極32と、ゲート絶縁膜33を介して配置されたゲート電極34と、から構成される。
【0045】
反射率Rが小さく、多重反射が無視できる場合、半導体層31の透過率は数1で表される。
【数1】
T=I/I0=(1−R)2exp(−βt)
I0:入射光の強度 t:半導体層の厚さ
I:透過光の強度 R:半導体層の反射率
β:減衰係数
【0046】
減衰係数βは数2で表される。
【数2】
β=α+Sim+Sop
α :吸収係数
Sim:析出物、残留気孔、結晶粒界等の構造の不完全性に起因する散乱(レイリー散乱、ミー散乱等)
Sop:光学異方性に基づく散乱
【0047】
図9(A)に示すように、ゲート電圧が0Vの状態では、半導体層31の温度が磁気転移温度TCより高いため、半導体層31は半導体状態又は絶縁体状態であり、反射率R及び吸収係数αは小さい。このため、数1の(1−R)は1に近い値になり、exp(−βt)も1に近い値となる。このため、透過率Tは1に近い値となる。
【0048】
これに対し、図9(B)に示すように、ゲート電圧がマイナスになると、半導体層31にホールが誘起され、磁気転移温度TCが上昇し、半導体層31は金属状態に転移する。金属状態では、反射率R及び吸収係数αは大きくなり、(1−R)は0に近い値になり、exp(−βt)も0に近い値となる。このため、透過率Tは大幅に減少し、光源38からの入射光は半導体層21をほとんど通過できなくなる。
【0049】
他のパラメータのうち厚さt(資料の厚さ)及びSimは、金属−非金属転移に依存しない。また、Sopは効果があっても小さい。
従って、ゲート電極24に印加する電圧を制御して、キャリア濃度を制御することにより、光のスイッチングが可能となる。
【0050】
また、光のオン・オフだけでなく、印加電圧を制御することにより、半導体層31の透過光の強度を変調することも可能である。
【0051】
半導体層31のキャリア密度は非常に高い。このため、外因不純物の影響が少なく、プロセス管理が容易になり、材料費、装置が安価となり、低価格で製造が容易になる。
【0052】
(第4の実施の形態)
強相関電子物質は、キャリア濃度を制御することにより、そのファラデー回転角が変化する。従って、ファラデー回転角を制御することにより、光スイッチを構成することも可能である。
以下に、ファラデー回転角の制御による光スイッチの構成を説明する。
【0053】
この実施の形態の光スイッチは、図10(A)に示すように、La0.825Sr0.175MnO3等の強相関電子物質から構成された半導体層41と、半導体層41に接続された接地電極42と、ゲート絶縁膜43を介して配置されたゲート電極44と、半導体層41の下面に配置され、半導体層41の磁化の方向をそろえるための透明磁性体45と、半導体層41を挟んで配置された一対の偏光板46、47と、光源48とから構成される。
【0054】
図11は半導体層41を構成する強相関電子材料La1ーxSrxMnO3のファラデー回転角の波長依存性を示す。図示するように、550nm以下の波長領域でファラデー回転角は急激に大きくなり、450nm近傍で極大となり、400nm以下で正負の符号が逆転し、さらに、短波長側で増大する。また、Srの割合xに応じてファラデー回転角が変化する。
ファラデー回転角は大きいところで104deg/cmのオーダーとなり、これは、YIG系の材料と比較しても1桁以上大きい。
【0055】
今、半導体層41の温度が磁気転移温度TCのわずかに下にあるとする。ゲート電極44に0Vを印加した状態では、半導体層41は半導体状態にあり、ファラデー回転角は小さい。この状態で、光源48からの光が透過しないように、一対の偏光板46、47の光軸を設定する。
【0056】
一方、ゲート電極44にマイナス電圧を印加し、半導体層41中にホールを誘起すると、実効的な磁気転移温度TC及び半導体層41の磁化が上昇し、半導体層51内のファラデー回転角は大きくなる。従って、この状態で光が透過するように、一対の偏光板46、47を調整すれば、光シャッタや表示素子として機能させることができる。
【0057】
なお、ゲート電極44に0Vを印加した状態で、光源48からの光を透過させ、ゲート電極44にマイナス電圧を印加した状態で、光源48からの光を遮断するように偏光板46、47を配置してもよい。
【0058】
ファラデー効果と同様に、カー効果もキャリア濃度を制御することにより変化する。従って、図12に示すように、光源48及び入射側偏光板46を配置し、反射光を出力側偏光板47で検出するようにしてもよい。
【0059】
(第5の実施の形態)
第1又は第2の実施の形態では電流スイッチを、第3及び第4の実施の形態では光学スイッチを単体で示したが、図13に示すように、光学スイッチ51と電流スイッチ52をマトリクス状に配置し、さらに、必要に応じて、カラーフィルタ等を配置することにより、任意の画像を表示させることも可能である。
【0060】
光スイッチ51と電流スイッチ52は、図14に示すように、誘電体53等によりそれぞれ電気的に絶縁されて同一基板54内に形成されており、電流スイッチ52のドレイン電極が光スイッチの透明ゲート電極55に接続され、透明ゲート電極55は抵抗56を介して接地されている。
【0061】
このような構成によれば、電流スイッチ52のゲート電極57に0V又は正の電圧を印加することにより、電流スイッチ52がオフし、光スイッチ51のゲート電極55がプルダウンされて接地電圧が印加される。このため、光スイッチ51がオンし、この光スイッチ51を光が透過する。これに対し、電流スイッチ52のゲート電極57に負電圧を印加することにより、電流スイッチ52がオンし、光スイッチ51のゲート電極55には正電圧が印加される。このため、光スイッチ51がオフし、光が遮断される。
【0062】
このようにして、第1又は第2の実施の形態の電流スイッチと第3又は第4の実施の形態の光スイッチを用いて表示装置を構成することができる。
【0063】
(第6の実施の形態)
上記実施の形態においては、この発明を半導体装置又は光学装置に応用した例を説明したが、アクチュエータなどに適用可能である。以下、アクチュエータに適用した実施の形態を説明する。
図15は、アクチュエータの一例を示す。このアクチュエータでは、フィルム基板61の上に複数の半導体装置62a,62b,62c・・・・・・が一定の間隔をおいて直線的に配列され、半導体装置62a,62b,62c・・・・・・の情報に1つの永久磁石板63が移動可能に配置された構造となっている。各半導体装置62a,62b,62c・・・・・・は、接地された半導体層64と、ゲート絶縁膜65と、ゲート電極66から構成されている。
【0064】
半導体装置62a,62b,62c・・・・・・の各ゲート電極64に0V,−2V、−3V、−4Vというように、4つ毎に電圧を印加する。すると、ゲート電圧−2V、−3V、−4Vが印加された半導体層64が、印加電圧の絶対値が大きい程強い強磁性となり、ゲート電圧0Vが印加された半導体層64が常磁性となる。従って、永久磁石板63は、強磁性状態にある半導体装置62dに最も強く吸引され、この半導体装置62d上に保持される。次に、印加電圧状態を右側に1つシフトすると、半導体装置62eが最も強磁性状態となる。この結果、永久磁石63は、半導体装置62eに吸引されてその上に移動する。このような動作原理により、永久磁石63が直線的に移動する。
【0065】
図16は、アクチュエータの他の例の構成を示す。このアクチュエータでは、円板状のフィルム基板71の上面外周部に複数の半導体装置72が一定の間隔をおいて配列され、フィルム基板71の中心部に出力軸73が回転可能に設けられ、出力軸73に基端部を取り付けられたアーム74の先端部下面に円板状の永久磁石75が取り付けられた構造となっている。このアクチュエータでは、上述したような動作により、永久磁石75が複数の半導体装置72上を移動し、これに伴い、アーム74及び出力軸73が回転する。この場合、出力軸73及びアーム74を省略し、永久磁石75自体から出力を得るようにしても良い。
【0066】
なお、図17に示すように、円板状のフィルム基板81の下面外周部の同一半径上に金属電極82、絶縁膜83及び半導体層84をこの順で積層してなる2つの半導体装置を設け、この2つの半導体装置85によりフィルム基板81の上方に配置された永久磁石86を同時に吸引するようにしても良い。
また、図15に示すように、フィルム基板61の上面に複数の半導体装置62a,62b、62c・・・・・・を一定の間隔をおいて直線的に配列し、これを図示しない円筒型部材の外周面に巻回し、その外側に永久磁石を移動可能に配置した構成としてもよい。
【0067】
(第7の実施の形態)
C−Tギャップ型の強相関電子材料に酸素欠陥が存在しない場合、或いは、酸素欠陥がきわめて少ない場合、抵抗率Rの極大値と磁気転移温度TCはほぼ一致する。しかし、この場合、半導体装置の動作温度範囲が限られてしまう。そこで、強相関電子材料としては化1又は化2に示すように酸素欠陥を含むことが望ましい。
【0068】
【化1】
La1-xSrxMnO3-y (x:0.4未満)
【化2】
Nd1-xSrxMnO3-y (x:0.4未満)
【0069】
Nd1ーxSrxMnO3-yの抵抗率と温度との関係を、x=0.2、0.3、0.4の場合について、図18(A)と(B)に示す。これらの図から、Nd1ーxSrxMnO3-yについても、La1ーxSrxMnO3-yと同様に作用することが理解できる。
また、化3、化4に示すように、Srに代えてCaを使用してもよい。
【0070】
【化3】
La1-xCaxMnO3-y (x:0.4未満)
【化4】
Nd1-xCaxMnO3-y (x:0.4未満)
【0071】
化5、化6に示すように希土類は一部他の希土類で固溶可能であり、SrとCaも互いに固溶可能である。
【0072】
【化5】
(LaNd)1-xSrxMnO3-y (x:0.4未満)
【化6】
(LaNd)1-xCaxMnO3-y (x:0.4未満)
【0073】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、この発明のC−T型の強相関電子材料は、上記実施の形態で例示した構成に限定されず、他の種々の組み合わせを使用できる。
また、半導体装置の構成も上記実施の形態に限定されない。半導体層中のキャリア濃度を適宜制御できるならば、他の構成を採用してもよい。
例えば、図19に示すように、半導体層91上に金属電極92を直接形成し、半導体層91と金属電極92とのショットキーバリアを形成し、金属電極82に印加するゲート電圧によりキャリアの濃度を制御するようにしても良い。
【0074】
【発明の効果】
この発明の電子部材によれば、強相関電子材料層を使用し、キャリア濃度を外部から変調することにより、電流スイッチング機能、増幅機能、光スイッチング機能等を実現している。この強相関電子材料層は、他の半導体材料と比較してキャリア濃度が非常に高い。従って、この発明によれば、外因性の不純物の影響、強相関電子材料層への光の照射の影響等の小さい半導体装置、光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MnOの結晶構造の図である。
【図2】(A)はLaMnO3の電子状態を示す図、(B)はLaSrMnO3の電子状態を示す図である。
【図3】La0.6Sr0.4MnO3の温度と外部磁界とファラデー回転角の関係を示すグラフである。
【図4】(A)はこの発明の第1の実施の形態に係る半導体装置を示す図であり、(B)はOFF状態を示す図、(C)はON状態を示す図である。
【図5】(A)と(B)は、La0.7Sr0.3MnO3の温度と抵抗率の関係を示す図である。
【図6】La0.7Sr0.3MnO3の温度と抵抗率と磁場の関係を示す図である。
【図7】La0.825Sr0.175MnO3の温度と抵抗率の関係を示す図である。
【図8】(A)はこの発明の第2の実施の形態に係る半導体装置を示す図であり、(B)はOFF状態を示す図、(C)はON状態を示す図である。
【図9】この発明の第3の実施の形態に係る光スイッチを示す図であり、(A)はON状態を示す図、(B)はOFF状態を示す図である。
【図10】この発明の第4の実施の形態に係る光スイッチを示す図であり、(A)はOFF状態を示す図、(B)はON状態を示す図である。
【図11】La1ーxSrxMnO3の波長とファラデー角とxとの関係を示す図である。
【図12】この発明の第4の実施の形態に係る光スイッチの変形例を示す図である。
【図13】光スイッチと電流スイッチをマトリクス状に配置した状態を示す平面図である。
【図14】光スイッチと電流スイッチを接続した構成を示す断面図である。
【図15】この発明の第6の実施の形態に係るアクチュエータの構成を示す図である。
【図16】アクチュエータの変形例を示す図である。
【図17】アクチュエータの変形例を示す図である。
【図18】(A)と(B)は、Nd1ーxSrxMnO3の温度と抵抗率とxとの関係を示す図である。
【図19】ゲート電極と半導体層をショットキー接続した半導体装置の例を示す断面図である。
【符号の説明】
11・・・半導体層、12・・・ソース電極、13・・・ドレイン電極、14・・・ゲート絶縁膜、15・・・ゲート電極、21・・・半導体層、22・・・ソース電極、23・・・ドレイン電極、24・・・ゲート絶縁膜、25・・・ゲート電極、31・・・半導体層、32・・・接地電極、33・・・ゲート絶縁膜、34・・・ゲート電極、41・・・半導体層、42・・・接地電極、43・・・ゲート絶縁膜、44・・・ゲート電極、51・・・光スイッチ、52・・・電流スイッチ、53・・・誘電体、54・・・半導体層、55・・・ゲート電極、56・・・抵抗、57・・・ゲート電極、61・・・フィルム基板、62a〜62g・・・半導体装置、63・・・永久磁石、64・・・半導体層、65・・・ゲート絶縁膜、66・・・ゲート電極、71・・・フィルム基板、72・・・半導体装置、73・・・出力軸、74・・・アーム、75・・・永久磁石、81・・・フィルム基板、82・・・金属電極、83・・・絶縁膜、84・・・半導体層、85・・・半導体装置、86・・・永久磁石[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an electronic member, a semiconductor device, an optical device, and an actuator composed of a charge transition (CT) gap type strongly correlated electronic material.
[0002]
[Prior art]
A semiconductor device using a magnetic semiconductor that transitions between a ferromagnetic state and a paramagnetic state due to the presence or absence of a magnetic polaron is disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 07-95754. The semiconductor device disclosed in this publication can alternately transfer a magnetic semiconductor layer to a ferromagnetic material and a paramagnetic material by applying an electric field to control the formation of a magnetic polaron.Such a material is known as a typical material as a magnetic semiconductor, but has a possibility of being applied as a strongly correlated electron substance.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, the magnetic semiconductor material disclosed in this publication is EuO to which Gd is added, the operating temperature range is 100 K (absolute temperature) or less, and operation at room temperature is difficult.
In addition, as an application example of this semiconductor device, this publication only discloses an actuator that applies switching between ferromagnetism and paramagnetism of a semiconductor device, and establishment of application technology is desired.
[0004]
Furthermore, conventionally, an electronic member that combines the magnetic properties and electrical or optical properties of a semiconductor layer has not been known.
[0005]
This invention is made | formed in view of the said actual condition, and it aims at providing the electronic member which can switch a magnetic characteristic at normal temperature.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, an electronic member of the present invention comprises:
La 1-x Sr x MnO Three (0.175 ≦ x ≦ 0.4), Nd 1-x Sr x MnO Three (0.2 ≦ x ≦ 0.4), La 1-x Ca x MnO Three (0.175 ≦ x <0.4), Nd 0.5 Pd 0.5 MnO Three , And oxygen deficiency exists or oxygen deficiency does not existA strongly correlated electronic material layer;
An electric field applying means for applying an electric field to the strongly correlated electron material layer so as to change carrier mobility, magnetization, magnetic transition temperature, transmittance, Faraday effect, Kerr effect, etc. of the strongly correlated electron material layer;
It is characterized by comprising.
[0007]
In the strongly correlated electronic material, carrier mobility, magnetization, magnetic transition temperature, transmittance, Faraday effect, Kerr effect, and the like change according to the applied electric field. Therefore, these characteristics of the strongly correlated electronic material can be controlled by the electric field applying means and used as a current switch, an optical switch, a display device or the like. An actuator can also be configured by using a change in magnetization of a strongly correlated electron material.
[0008]
The strongly correlated electronic material layer isIt is desirable to include oxygen defects.
[0009]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, an electronic member according to an embodiment of the present invention will be described.
First, regarding the charge transition gap type strongly correlated electronic material used in the present invention, La1-xSrxMnOThreeWill be described as an example.
Among these materials, the Mn d electrons (d orbital electrons) are responsible for magnetism and electrical conductivity. Manganese ion Mn3-As shown in FIG. 1, six oxygen ions O2-(6 coordination).
[0010]
The d orbital of Mn is a triple degenerate orbital (t2 due to the influence of the O crystal field).gOrbit) and double degenerate orbit (egOrbit), and each d orbit forms an energy band. LaMnOThree(La2+, Mn3+, O2-), As shown in FIG.3+Accommodates four electrons in the d orbit. In the normal band approximation band theory, in this state, LaMnOThreeIs a metal. However, in this system, electrons cannot move due to strong Coulomb interaction between electrons, and LaMnOThreeBecomes an insulator.
[0011]
As a method of making this system an electric conductor, a double degenerate d-orbit (egThere are times when holes are introduced into the orbit. For example, La3+Part of Sr2+When substituted with Mn3+Part of Mn4+Thus, as shown schematically in FIG. 2B, some of the double-degenerate d-orbits are vacant. For this reason, electrons (holes) can move, and this system becomes an electric conductor.
[0012]
egThe orbit is relatively broad because it is strongly hybridized with the oxygen 2p orbit. On the other hand, t2gThe orbit has a strong locality and can be considered as a localized spin approximately.
[0013]
LaMnOThreeIs antiferromagnetic, so t2gOrbital spins are parallel in opposite directions. However, when Sr is doped, as described above, electrons (holes) can move and work as a ferromagnetic exchange interaction between localized moments. For this reason, the spin deviates from anti-parallel and promotes the appearance of spontaneous magnetization. This is because the movement of electrons (holes) becomes easier when the local moments are parallel to each other.
[0014]
Figure 3 shows La0.6Sr0.4MnOThreeFaraday effect of membrane (Faraday rotation angle) θfK (deg) is indicated. Faraday rotation angle θfK is proportional to the magnetization. Here, FIG. 3 shows La0.6Sr0.4MnOThreeIt shows indirectly the change in magnetization of the film. From FIG. 3, the d-orbit (egLaMnO, which is an antiferromagnetic material, by introducing holes into the orbit)ThreeLa1-xSrxOThreeIt can be understood that (0 <x <1) can be converted into a ferromagnetic material.
[0015]
Further, it can be understood from FIG. 3 that the application of the external magnetic field Hc makes the localized spins parallel, and as a result, the magnetization increases. For this reason, it can be seen that the magnetic transition temperature (Curie temperature) TC also increases as the concentration of Sr increases at least when x ≦ 0.4. Similarly, the Curie temperature TC increases as the hole concentration increases. Further, as the temperature decreases, the disorder of localized spins decreases and the magnetization increases.
[0016]
In the graph of FIG. 3, the magnetization is not saturated even when the external magnetic field Hc is ± 15 KOe. This is because the localized spins are not completely parallel. The tendency for magnetization not to saturate is more pronounced when the concentration of Sr is lower. That is, as the Sr concentration is higher and the hole concentration is higher, the localized spins are more likely to be parallel and the magnetization is more likely to be saturated.
[0017]
La1-xSrxMnOThreeWhen holes are induced by applying an electric field to the film, as in the case of increasing the concentration of Sr, localized spins are likely to be parallel, local spin fluctuations are reduced, and carrier mobility is high. Become. Further, by inducing holes by applying an electric field, the magnetic transition temperature (Curie temperature) TC also changes according to the applied electric field. Therefore, by setting the magnetic transition temperature TC to an appropriate value and controlling the applied electric field, La1-xSrxMnOThreeVarious magnetic and electrical properties of the film can be switched.
[0018]
La1-xSrxMnOThreeThe film also changes its optical properties as its magnetic properties change. Therefore, the applied electric field can be controlled to change its optical characteristics.
[0019]
La1-xSrxMnOThreeAs described above, the CT gap type strongly correlated electronic material changes its magnetic property, electrical property, and optical property in various ways by controlling the hole concentration by applying an electric field. . Therefore, by appropriately controlling these characteristics, an electronic member, a semiconductor device, and the like having excellent characteristics can be obtained.
Therefore, specific embodiments of an electronic member and a semiconductor device using a CT gap type strongly correlated electronic material will be described below.
[0020]
(First embodiment)
Hereinafter, as a first embodiment of an electronic member of the present invention, a semiconductor device using a strongly correlated electronic material will be described with reference to FIGS.
As shown in FIG. 4A, this semiconductor device has an La1-xSrxMnOThree
[0021]
As shown in FIG. 4B, in the state where 0 V (or positive voltage) is applied to the
[0022]
On the other hand, as shown in FIG. 4C, when a negative voltage is applied to the
[0023]
That is, the semiconductor device having the configuration of FIG. 4 functions as a current switch that switches by controlling the gate voltage, that is, a transistor.
The operation of the current switch of this semiconductor device is the same as that of a normal FET using silicon or the like. However, the operation mechanism is completely different from the conventional FET.
[0024]
Below, La0.7Sr0.3MnOThreeAs an example, the operation mechanism of the semiconductor device having the above configuration will be described.
Fig. 5 shows the La produced by the pyrolysis method.0.7Sr0.3MnOThreeThe temperature change of the resistivity R of the film is shown. The horizontal axis in FIG. 5A represents the reciprocal of the absolute temperature T, and the vertical axis represents the logarithmic value of the resistivity R. 5B represents the absolute temperature T, and the vertical axis represents the resistivity R.
[0025]
As shown in FIG. 5A, in the temperature range from around the magnetic transition temperature (Curie temperature) TC (about 350 K, 1 / T = about 0.00286) to 500 K (1 / T = about 0.002), the resistance The rate R varies linearly with respect to the
[0026]
On the other hand, the characteristics on the low temperature side (1 / T> about 0.00286) from the magnetic transition temperature TC (350 K) deviate from the activated characteristics as shown in FIG. This is because localized spins begin to align in a predetermined direction at a temperature lower than the magnetic transition temperature TC. As indicated by a solid line in FIG. 5B, the resistivity R has a value of about 0.28 Ω · cm at room temperature (about 290 K). This value is LaMnO in the bulk stateThreeMore than an order of magnitude greater than the resistivity. This is because introduction of holes by substituting part of La with Sr is suppressed by oxygen deficiency.
[0027]
Further, when the temperature is lowered, the resistivity R has a broad peak in the vicinity of 250K. On the lower temperature side than the broad peak, the fluctuation of the localized spin decreases and the resistivity R also decreases. Furthermore, on the low temperature side, there is a temperature region having almost no temperature dependence.
[0028]
When a negative voltage is applied to the
[0029]
i) Local spin fluctuations are reduced, the magnetization of the
[0030]
ii) By applying an electric field, a magnetic field is applied to the
[0031]
iii) The conductivity of the channel layer increases due to the increase in the carrier concentration in the
[0032]
By applying a negative voltage to the
[0033]
As described above, according to the semiconductor device of this embodiment, on / off can be controlled by controlling the gate voltage and controlling the magnetization. This semiconductor device has a very high carrier density when turned on. For this reason, even if light hits the channel, there is little change in carriers, and a semiconductor device that is resistant to light can be obtained. In addition, since the influence of external impurities is small, process management is facilitated, material costs and equipment are inexpensive, and manufacture is easy at a low price.
[0034]
In addition to current on / off, current can be modulated and amplified by controlling the gate voltage.
[0035]
(Second Embodiment)
In the semiconductor device of the first embodiment, the magnetization of the channel region is controlled, and thereby the on / off of the semiconductor device is controlled. By causing a magnetic transition and the accompanying metal-nonmetal transition, the semiconductor device It is also possible to control the turning on / off. Accordingly, a semiconductor device that causes magnetic transition by application of an electric field will be described below.
[0036]
FIG. 7 shows La0.825Sr0.175MnOThreeThe temperature change of resistivity R of this crystal is shown. At low temperatures, the crystals are in the metal phase and the resistivity R is low. As the magnetic transition temperature TC is approached, the resistivity R increases rapidly and exhibits a local maximum near TC. Furthermore, the resistivity R of the crystal gradually decreases as the temperature rises.
[0037]
The crystal has a magnetic transition temperature TC of 290 K, and the room temperature (crystal temperature) is slightly higher than the magnetic transition temperature TC. For this reason, in a normal temperature state, the crystal is in a high resistance state.
On the other hand, when an electric field is applied to this crystal to induce holes, the magnetic transition temperature TC rises and becomes TC ′. For this reason, it is equivalent to a relatively low temperature, and the temperature of the crystal becomes lower than the magnetic transition temperature TC '. For this reason, this crystal becomes a metal state, and its resistivity R decreases.
[0038]
Therefore, as shown in FIG.0.825Sr0.175MnOThreeIs a
[0039]
That is, as shown in FIG. 8B, when a positive voltage is applied to the
[0040]
On the other hand, as shown in FIG. 8C, when a negative voltage is applied to the
[0041]
According to the semiconductor device having such a configuration, the carrier density when turned on is very high. For this reason, even if light hits the channel, there is little change in carriers, and a semiconductor device that is resistant to light can be obtained. In addition, since the influence of external impurities is small, process management is facilitated, material costs and equipment are inexpensive, and manufacture is easy at a low price.
[0042]
In addition to current on / off, current can be modulated and amplified by controlling the gate voltage.
As a semiconductor material, La0.825Sr0.175MnOThreeFor example, Nd0.5Pd0.5MnOThree, La0.825Ca0.175MnOThreeEtc. can be used as well.
[0043]
(Third embodiment)
In the first and second embodiments, the present invention has been described by taking the current switch for controlling on and off of the current as an example. However, the present invention can also be applied to an optical switch. Therefore, an optical switch using a strongly correlated electronic material that causes magnetic transition by application of an electric field will be described below.
[0044]
As shown in FIG. 9, the optical switch of this embodiment has an La0.825Sr0.175MnOThreeThe
[0045]
When the reflectance R is small and the multiple reflection can be ignored, the transmittance of the
[Expression 1]
T = I / I0= (1-R)2exp (-βt)
I0: Incident light intensity t: Semiconductor layer thickness
I: intensity of transmitted light R: reflectivity of semiconductor layer
β: Damping coefficient
[0046]
The attenuation coefficient β is expressed by Equation 2.
[Expression 2]
β = α + Sim+ Sop
α: Absorption coefficient
Sim: Scattering due to structural imperfections such as precipitates, residual pores, grain boundaries, etc. (Rayleigh scattering, Mie scattering, etc.)
Sop: Scattering based on optical anisotropy
[0047]
As shown in FIG. 9A, when the gate voltage is 0 V, the temperature of the
[0048]
On the other hand, as shown in FIG. 9B, when the gate voltage becomes negative, holes are induced in the
[0049]
Thickness t (material thickness) and S among other parametersimDoes not depend on the metal-nonmetal transition. SopIs small even if effective.
Therefore, the light can be switched by controlling the voltage applied to the
[0050]
In addition to controlling on / off of light, the intensity of transmitted light of the
[0051]
The
[0052]
(Fourth embodiment)
The strongly correlated electronic material changes its Faraday rotation angle by controlling the carrier concentration. Therefore, an optical switch can be configured by controlling the Faraday rotation angle.
Below, the structure of the optical switch by control of a Faraday rotation angle is demonstrated.
[0053]
As shown in FIG. 10A, the optical switch of this embodiment has an La0.825Sr0.175MnOThree
[0054]
FIG. 11 shows the strongly correlated electron material La constituting the semiconductor layer 41.1-xSrxMnOThreeShows the wavelength dependence of the Faraday rotation angle. As shown in the figure, the Faraday rotation angle suddenly increases in the wavelength region of 550 nm or less, reaches a maximum near 450 nm, reverses the positive / negative sign at 400 nm or less, and further increases on the short wavelength side. Further, the Faraday rotation angle changes according to the ratio x of Sr.
Faraday rotation angle is 10FourIt is on the order of deg / cm, which is an order of magnitude larger than YIG-based materials.
[0055]
Now, it is assumed that the temperature of the
[0056]
On the other hand, when a negative voltage is applied to the
[0057]
The
[0058]
Similar to the Faraday effect, the Kerr effect is changed by controlling the carrier concentration. Therefore, as shown in FIG. 12, a
[0059]
(Fifth embodiment)
In the first or second embodiment, a current switch is shown, and in the third and fourth embodiments, an optical switch is shown as a single unit. However, as shown in FIG. 13, the
[0060]
As shown in FIG. 14, the
[0061]
According to such a configuration, by applying 0 V or a positive voltage to the
[0062]
In this way, a display device can be configured using the current switch of the first or second embodiment and the optical switch of the third or fourth embodiment.
[0063]
(Sixth embodiment)
In the above embodiment, the example in which the present invention is applied to a semiconductor device or an optical device has been described. However, the present invention can be applied to an actuator or the like. Hereinafter, embodiments applied to the actuator will be described.
FIG. 15 shows an example of an actuator. In this actuator, a plurality of
[0064]
Voltage is applied to every four
[0065]
FIG. 16 shows a configuration of another example of the actuator. In this actuator, a plurality of
[0066]
As shown in FIG. 17, two semiconductor devices are provided in which a
Further, as shown in FIG. 15, a plurality of
[0067]
(Seventh embodiment)
When the oxygen gap is not present in the C-T gap type strongly correlated electronic material or when the oxygen defect is extremely small, the maximum value of the resistivity R and the magnetic transition temperature TC substantially coincide with each other. However, in this case, the operating temperature range of the semiconductor device is limited. Therefore, it is desirable that the strongly correlated electron material contains oxygen defects as shown in
[0068]
[Chemical 1]
La1-xSrxMnO3-y (x: Less than 0.4)
[Chemical 2]
Nd1-xSrxMnO3-y (x: Less than 0.4)
[0069]
Nd1-xSrxMnO3-y18A and 18B show the relationship between the resistivity and the temperature when x = 0.2, 0.3, and 0.4. From these figures, Nd1-xSrxMnO3-yAlso about La1-xSrxMnO3-yIt can be understood that it works similarly.
Further, as shown in
[0070]
[Chemical 3]
La1-xCaxMnO3-y (x: Less than 0.4)
[Formula 4]
Nd1-xCaxMnO3-y (x: Less than 0.4)
[0071]
As shown in
[0072]
[Chemical formula 5]
(LaNd)1-xSrxMnO3-y (x: Less than 0.4)
[Chemical 6]
(LaNd)1-xCaxMnO3-y (x: Less than 0.4)
[0073]
In addition, this invention is not limited to the said embodiment, A various deformation | transformation and application are possible. For example, the CT strongly correlated electronic material of the present invention is not limited to the configuration exemplified in the above embodiment, and various other combinations can be used.
Further, the structure of the semiconductor device is not limited to the above embodiment mode. Other configurations may be adopted as long as the carrier concentration in the semiconductor layer can be appropriately controlled.
For example, as shown in FIG. 19, a
[0074]
【The invention's effect】
According to the electronic member of the present invention, the current switching function, the amplification function, the optical switching function, and the like are realized by using the strongly correlated electronic material layer and modulating the carrier concentration from the outside. This strongly correlated electronic material layer has a very high carrier concentration compared to other semiconductor materials. Therefore, according to the present invention, it is possible to provide a semiconductor device and an optical device that are small in the influence of exogenous impurities and the influence of light irradiation on the strongly correlated electron material layer.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram of the crystal structure of MnO.
FIG. 2 (A) shows LaMnO.Three(B) is a LaSrMnOThreeIt is a figure which shows the electronic state of.
FIG. 3 La0.6Sr0.4MnOThreeIt is a graph which shows the relationship between the temperature of this, an external magnetic field, and a Faraday rotation angle.
4A is a diagram showing a semiconductor device according to a first embodiment of the present invention, FIG. 4B is a diagram showing an OFF state, and FIG. 4C is a diagram showing an ON state;
FIG. 5 (A) and (B) are La0.7Sr0.3MnOThreeIt is a figure which shows the relationship between temperature and resistivity.
FIG. 6 La0.7Sr0.3MnOThreeIt is a figure which shows the relationship between temperature, resistivity, and a magnetic field.
FIG. 7 La0.825Sr0.175MnOThreeIt is a figure which shows the relationship between temperature and resistivity.
8A is a diagram showing a semiconductor device according to a second embodiment of the present invention, FIG. 8B is a diagram showing an OFF state, and FIG. 8C is a diagram showing an ON state;
9A and 9B are diagrams showing an optical switch according to a third embodiment of the present invention, where FIG. 9A is a diagram showing an ON state, and FIG. 9B is a diagram showing an OFF state.
FIGS. 10A and 10B are diagrams showing an optical switch according to a fourth embodiment of the present invention, in which FIG. 10A shows an OFF state, and FIG. 10B shows an ON state.
FIG. 11 La1-xSrxMnOThreeIt is a figure which shows the relationship between the wavelength of this, a Faraday angle, and x.
FIG. 12 is a view showing a modification of the optical switch according to the fourth embodiment of the invention.
FIG. 13 is a plan view showing a state in which optical switches and current switches are arranged in a matrix.
FIG. 14 is a cross-sectional view showing a configuration in which an optical switch and a current switch are connected.
FIG. 15 is a diagram showing a configuration of an actuator according to a sixth embodiment of the invention.
FIG. 16 is a view showing a modified example of the actuator.
FIG. 17 is a view showing a modified example of the actuator.
FIGS. 18A and 18B show Nd1-xSrxMnOThreeIt is a figure which shows the relationship between temperature, resistivity, and x.
FIG. 19 is a cross-sectional view illustrating an example of a semiconductor device in which a gate electrode and a semiconductor layer are Schottky-connected.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (5)
前記強相関電子材料層に接続され、異なった電圧が印加される一対の電極と、
前記強相関電子材料層に電界を印加することによって前記強相関電子材料層の磁化を変化させて、磁気転移温度を上昇させ、局在スピンの揺らぎを減少させ、前記一対の電極間に流れる電流を制御する電界印加手段と、
を具備することを特徴とする電子部材。 La 1-x Sr x MnO 3 (0.175 ≦ x ≦ 0.4), Nd 1-x Sr x MnO 3 (0.2 ≦ x ≦ 0.4), La 1-x Ca x MnO 3 (0 .175 ≦ x <0.4), Nd 0.5 Pd 0.5 MnO 3 , and a strongly correlated electronic material layer in which oxygen defects or oxygen defects are not present ,
A pair of electrodes connected to the strongly correlated electronic material layer to which different voltages are applied;
By applying an electric field to the strongly correlated electron material layer, the magnetization of the strongly correlated electron material layer is changed, the magnetic transition temperature is increased, the local spin fluctuation is reduced, and the current flowing between the pair of electrodes Electric field applying means for controlling
An electronic member comprising:
前記強相関電子材料層に接続され、異なった電圧が印加される一対の電極と、
前記強相関電子材料層に電界を印加することによって前記強相関電子材料層に磁場を印加させて局在スピンを平行にさせ、前記一対の電極間に流れる電流を制御する前記電界印加手段と、
を具備することを特徴とする電子部材。 La 1-x Sr x MnO 3 (0.175 ≦ x ≦ 0.4), Nd 1-x Sr x MnO 3 (0.2 ≦ x ≦ 0.4), La 1-x Ca x MnO 3 (0 .175 ≦ x <0.4), Nd 0.5 Pd 0.5 MnO 3 , and a strongly correlated electronic material layer in which oxygen defects or oxygen defects are not present ,
A pair of electrodes connected to the strongly correlated electronic material layer to which different voltages are applied;
Applying the electric field to the strongly correlated electron material layer to apply a magnetic field to the strongly correlated electron material layer to make the localized spin parallel and controlling the electric current flowing between the pair of electrodes;
An electronic member comprising:
前記強相関電子材料層に接続され、異なった電圧が印加される一対の電極と、
前記強相関電子材料層に電界を印加することによって前記強相関電子材料層の磁気転移に伴う金属−非金属転移を起こして前記一対の電極間に流れる電流を制御する電界印加手段と、
を具備することを特徴とする電子部材。 La 1-x Sr x MnO 3 (0.175 ≦ x ≦ 0.4), Nd 1-x Sr x MnO 3 (0.2 ≦ x ≦ 0.4), La 1-x Ca x MnO 3 (0 .175 ≦ x <0.4), Nd 0.5 Pd 0.5 MnO 3 , and a strongly correlated electronic material layer in which oxygen defects or oxygen defects are not present ,
A pair of electrodes connected to the strongly correlated electronic material layer to which different voltages are applied;
An electric field applying means for controlling a current flowing between the pair of electrodes by causing a metal-nonmetal transition accompanying a magnetic transition of the strongly correlated electron material layer by applying an electric field to the strongly correlated electron material layer;
An electronic member comprising:
前記強相関電子材料層に接続され、異なった電圧が印加される一対の電極と、
前記強相関電子材料層に電界を印加することによって前記強相関電子材料層の磁気転移に伴う金属−非金属転移を起こして前記強相関電子材料層の透過率を制御する電界印加手段と、
を具備することを特徴とする電子部材。 La 1-x Sr x MnO 3 (0.175 ≦ x ≦ 0.4), Nd 1-x Sr x MnO 3 (0.2 ≦ x ≦ 0.4), La 1-x Ca x MnO 3 (0 .175 ≦ x <0.4), Nd 0.5 Pd 0.5 MnO 3 , and a strongly correlated electronic material layer in which oxygen defects or oxygen defects are not present ,
A pair of electrodes connected to the strongly correlated electronic material layer to which different voltages are applied;
An electric field applying means for controlling a transmittance of the strongly correlated electron material layer by causing a metal-nonmetal transition accompanying a magnetic transition of the strongly correlated electron material layer by applying an electric field to the strongly correlated electron material layer;
An electronic member comprising:
前記強相関電子材料層に電界を印加することにより、ファラデイ回転角とカー回転角の少なくとも一方を制御する電界印加手段と、
前記強相関電子材料層の一面に配置された磁性体の層と、
光の入射側と出射側に配置された偏光板と、
を具備することを特徴とする電子部材。 La 1-x Sr x MnO 3 (0.175 ≦ x ≦ 0.4), Nd 1-x Sr x MnO 3 (0.2 ≦ x ≦ 0.4), La 1-x Ca x MnO 3 (0 .175 ≦ x <0.4), Nd 0.5 Pd 0.5 MnO 3 , and the presence of oxygen defects or the absence of oxygen defects, and the Faraday effect and the Kerr depending on the applied electric field. A strongly correlated electronic material layer in which at least one of the effects changes;
An electric field applying means for controlling at least one of a Faraday rotation angle and a Kerr rotation angle by applying an electric field to the strongly correlated electronic material layer;
A magnetic layer disposed on one surface of the strongly correlated electron material layer;
Polarizing plates disposed on the light incident side and the light emitting side;
An electronic member comprising:
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