JP3994125B2 - トリチウムモニター及びその検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力施設や核融合関連施設内等のトリチウムの放射線を監視する新規なトリチウムモニター及びその検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力施設では施設の安全管理の一環として、作業環境の空気中あるいは気体状廃棄物中放射性物質濃度を監視している。放射性物質の内トリチウム濃度は、通気型の電離箱あるいは比例計数管を用いて監視されている。しかし、施設の安全管理の充実のために、感度の向上が課題とされている。
このような課題を解決したトリチウムモニターの例としては、試料気体中の水素ガスを酸化して水の形態で回収し、液体シンチレーションカウンターで計測するトリチウムモニターがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
原子力施設では作業空間中や環境に排出する気体廃棄物中の放射性物質濃度を監視し、作業者の安全や環境への影響が十分に小さいことを確認している。したがって、トリチウムについてもその濃度を高感度でかつ連続的に監視することが必要である。この課題に対応する装置として、液体シンチレーションカウンターがある。しかし、液体シンチレーションカウンターでは試料の前処理や計数時間が数十分から数時間必要であり、オンラインモニターとしては十分ではない。また、計測後の液体シンチレータは放射性廃棄物であり、その処分が必要である。本発明の目的は、液体シンチレーションカウンターの様に長時間を要する試料の前処理や放射性廃棄物の発生無しにトリチウムを高感度で連続して監視できるトリチウムモニター及びその検出方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離装置と、前記分離された前記水素成分を蓄積させる蓄積手段と、該蓄積された前記水素成分の放射線を検出する検出器とを備え、好ましくは前記検出器が所定の感度を得るまで前記水素成分を蓄積させる蓄積時間の制御を行うと共に、前記水素分離装置、蓄積手段及び検出器内の各ガス圧力の制御を行う制御装置を有することを特徴とするトリチウムモニターにある。又、本発明のトリチウムモニターは、より具体的には以下の要件を有するものである。
【0005】
本発明のトリチウムモニターは、被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離装置と、好ましくは前記分離された水素成分を加圧する加圧ポンプと、該加圧された水素成分を蓄積する蓄積部と、該蓄積部に蓄積された前記水素成分の放射線を検出する検出器として好ましくは半導体ベータ線検出器と、以下に示す酸素分圧調整装置と、給排気ポンプと、排気ポンプとを備え、好ましくは前記酸素分圧調整装置、水素分離装置、蓄積部及び加圧ポンプの各ガス圧力の制御を行う制御装置を有することができる。
【0006】
本発明のトリチウムモニターは、被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離装置と、前記分離された水素成分の放射線を検出する電離箱又は比例計数管ベータ線検出器と、該検出器より排出される前記水素成分を仕切り弁を介して前記水素分離装置に戻す循環ポンプと、以下に示す酸素分圧調整装置と、給排気ポンプと、排気ポンプとを備え、好ましくは前記酸素分圧調整装置、水素分離装置及び循環ポンプの各ガス圧力の制御を行う制御装置を有することを特徴とする。
【0007】
前記空気中から水素成分を分離する水素分離装置の前に被測定対象の空気の酸素分圧を調整する酸素分圧調整装置と、前記水素分離装置への前記被測定対象の空気の供給と前記水素分離装置から前記水素成分が分離された前記空気を排気系に排出させる給排気ポンプと、前記検出器より排出される前記水素成分を仕切り弁を介して前記排気系に排出させる排気ポンプとを備えたことを特徴とする。
【0008】
更に、本発明は、被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離工程と、前記分離された水素成分を蓄積させる蓄積工程と、前記蓄積された水素成分の放射線を検出器により検出する検出工程と、好ましくは前記検出器が所定の感度を得るまで前記水素成分を蓄積させる蓄積時間を制御する制御工程とを有することを特徴とするトリチウムの検出方法にある。そして、本発明のより具体的なトリチウムの検出方法は以下の要件を有する。
【0009】
本発明のトリチウムの検出方法は、被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離工程と、好ましくは該分離された水素成分を加圧する加圧工程と、該加圧された前記水素成分を蓄積部に蓄積する蓄積工程と、前記蓄積部に蓄積された前記水素成分の放射線を検出する検出器として半導体ベータ線検出器によって検出する検出工程と、以下に示す酸素分圧調整工程と、排出工程とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明のトリチウムの検出方法は、被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離工程と、前記分離された水素成分の放射線を電離箱又は比例計数管ベータ線検出器によって検出する検出工程と、前記検出器より排出される前記水素成分を前記水素分離装置に戻す循環工程と、以下に示す酸素分圧調整工程と、排出工程とを有することを特徴とする。
【0011】
前記水素分離工程の前に空気の酸素分圧を調整する酸素分圧調整工程と、前記水素分離工程で前記水素成分が分離された前記空気を排気系に排出させる排出工程と、前記検出器より排出される前記水素成分を仕切り弁を介して排気ポンプにより前記排気系に排出させる排出工程とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明のトリチウムモニターは、トリチウムを取り扱う原子力施設や核融合関連施設等の各施設内に直接設置される場合、又は各施設内に設けられたプロセス配管に接続されたサンプリング配管を通して被測定対象の空気を前記水素分離装置に供給する各施設の外に設置される場合並びに環境計測の目的で原子力施設等の外部に設置されることがある。
【0013】
本発明のトリチウムモニター及びその検出方法では、試料中の水素成分を分離抽出すると共に所要の感度を得るに必要な時間の間、分離した水素を蓄積することにより、従来のトリチウムモニターと比較して大幅な感度向上が図れるものである。
【0014】
前述の水素成分は、空気中の水素同位体からなる元素状の水素及び空気中のCH4,H2O等の水素化合物を一例として、高温に加熱されたプロトン導電性セラミックスのパイプの表面で分解反応させ、セラミックス中を透過した水素同位体からなる元素状の水素である。又、加圧ポンプは、水素分離装置によって分離された希薄な水素成分をより濃縮させるものである。更に、本発明の検出方法は試料を採取、蓄積しながら計測し、所定の感度を得るまで採取、蓄積を継続するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、トリチウムを検出するベータ線検出器1として半導体検出器を使用した場合の実施例を示す。ベータ線検出器1は図2に示す様に測定容器を兼ねた蓄積部102と半導体検出器101から構成する。半導体検出器は大型化が困難なため、計数効率が不足の場合は蓄積部102の周囲に複数個取りつける。図2では半導体検出器101aと101bの2個付けた場合を示している。測定対象の試料空気はプロセス配管20からサンプリング配管21を通して採取ポンプ22により採取される。採取された空気は酸素分圧調整装置3で水素分離装置2の動作に適切な酸素分圧に調整した後、水素分離装置2に導入する。水素以外の成分は戻り配管23a、23bを通ってプロセス配管20に戻される。分離された水素成分は仕切り弁4を通して加圧ポンプ13によりベータ線検出器1の蓄積部102に圧入する。
【0016】
半導体検出器101a、101bは水素成分中のトリチウムから放出されるベータ線を検出して、出力信号111を放射線測定装置11に送る。トリチウムのベータ線はエネルギーが低いので、必要に応じて蓄積部102の圧力計10の測定値により蓄積部102内の気体による自己吸収効果を補正する。所定の時間蓄積、計測した後、採取ポンプ22と加圧ポンプ13を停止し、仕切り弁4を閉じる。同時に仕切り弁31を開き、排出配管33a、33bを通して排気ポンプ32により、蓄積部102内の水素成分を排出する。
【0017】
これらの制御を制御装置12で実施する。121は試料ガス中の酸素分圧を監視して酸素分圧調整装置3を制御する信号、122は水素分離装置2の制御信号、123は仕切り弁4の制御信号、124は加圧ポンプ13の制御信号、125は蓄積部102内の圧力信号、126は仕切り弁31の制御信号、127は放射線計測装置の制御信号、128は採取ポンプ22の制御信号、129は排気ポンプ32の制御信号である。
【0018】
図3は水素分離装置2の一例を示す構成図である。試料ガスはサンプリング配管21から酸素分圧調整装置3を通って水素分離装置2の一次側入口21aから一次側214に導入され、出口21bから排出される。この間水素成分は分離層211を通って二次側215に分離される。分離された水素成分は加圧ポンプ13に吸引されて二次側出口212から排出される。本実施例では二次側入口213は閉止しておく。
【0019】
水素分離層211としては、ポリイミド中空糸分離膜やプロトン導電性セラミックス等が用いられる。ポリイミド中空糸分離膜の場合は水蒸気状の水素成分が分離される。プロトン導電性セラミックスの場合には、数百度に加熱されたセラミックスの表面で水素化合物が分解され、水素成分だけが二次側に分離される。分離された水素は、二次側の環境により水素ガスや水蒸気の形態になる。したがって、プロトン導電性セラミックスの場合には水蒸気に限らず、水素ガス、メタン等も分離される。
【0020】
プロトン導電性セラミックスとしては、SrCeO3、BaCeO3,CaZrO3、SrZrO3,BaZrO3等が報告されている。プロトン導電性セラミックスの特性は試料ガス中の酸素分圧に依存する。そこで、試料ガスを水素分離装置2に導入する前に酸素分圧調整装置3により、試料ガス中の酸素分圧を下限値10〜100ppm、上限値を1〜10%に調整する。すなわち、空気中のトリチウム測定の場合は酸素分圧を下げ、実験用He中のトリチウム測定等の場合は酸素を添加して試料ガス中の酸素分圧を上げる。酸素分圧調整手段としては、ジルコニア系の酸素イオン導電性セラミックスを用いた酸素ポンプ、酸素を選択的に透過する高分子膜及び酸素や水蒸気の微量添加装置等を組合せて使用する。なお、ポリイミド中空糸分離膜を使用する場合は酸素分圧調整装置は不要である。
【0021】
図4は、本実施例の各動作を示す図である。図4の横軸は時間である。時間0からTまでが測定の周期、その内時間0からt1までが水素分離装置2で分離された試料ガス中のトリチウムを含む水素成分の蓄積時間、t1からTが蓄積した水素成分を系から排出してリセットする時間である。モニターは0からTまでの計測周期の動作を繰り返す。時間0で計測周期がスタートする。
【0022】
仕切り弁4は開、仕切り弁31は閉にする。採取ポンプ22と加圧ポンプ13は運転状態とする。排気ポンプ32は停止状態である。サンプリング配管21から採取された試料ガスは酸素分圧調整装置3を通り水素分離装置2で水素成分が分離抽出される。分離された水素成分は加圧ポンプ13で蓄積部102に圧入される。蓄積部102内のトリチウム濃度41a、41bは時間と共に単調に上昇する。この上昇の様子は試料ガス中のトリチウム濃度42a、42bに依存する。
【0023】
試料ガス中にトリチウムが含まれていなければ、蓄積部102中のトリチウム濃度41a,41bは変化しない。蓄積部102のトリチウムから放出されるベータ線は半導体検出器101で検出される。その出力信号111は放射線計測装置11に送られる。放射線計測装置11では、半導体検出器101からのパルス信号の内ノイズレベルを超えたパルスを計数する。その結果は制御装置12に送られ、計測結果の表示や予め設定したレベルを超えた場合の警報等に使用される。蓄積部102のトリチウム濃度41aが半導体検出器101の検出限界濃度43に達すると放射線計測装置11の出力44aは有意な値となる。放射線計測装置の出力44aの微分値をとれば、試料ガス中のトリチウム濃度42aに比例した信号45aが得られる。
【0024】
時間t1に達した時点で、仕切り弁4を閉じ採取ポンプ22及び加圧ポンプ13を停止する。仕切り弁31を開き排気ポンプ32を起動して、蓄積部102内の水素成分を排出する。時間Tで、仕切り弁31を閉じ排気ポンプ32を停止する。仕切り弁4を開き、採取ポンプ22と加圧ポンプ13を起動して次の計測周期に入る。
【0025】
半導体検出器を使用する場合の蓄積時間は次の考えで求める。半導体検出器の検出限界は、一般にバックグランド計数率の標準偏差の3倍をとる。したがって、(式1)の関係が成立する。
Cmin×ηS×Q×ηD×G×t1=3σB …(式1)
Cmin:トリチウムの目標検出限界濃度(Bq/cm3)、ηS:水素分離装置2の分離効率(−)、Q:水素分離装置2の試料ガス処理速度(cm3/min)、ηD:半導体検出器101の計数効率(−)、σB:半導体検出器101のバックグランド計数率の標準偏差(−)、G:蓄積部102に取りつけた半導体検出器101の幾何学的効率(−)
したがって、蓄積時間t1は(式2)で求められる。
t1=3σB/(Cmin×ηS×Q×ηD×G) …(式2)
式1、式2では、蓄積部102内のガスによるトリチウムベータ線の吸収補正を省略している。ベータ線の自己吸収が無視できない場合は、その分半導体検出器の計数を削減補正し、蓄積時間t1を延長する。本実施例では、ベータ線検出器1として半導体検出器101を使用した。
【0026】
本実施例1ではいずれもプロセス配管20から試料ガスを採取する例を示したが、作業場所や外部環境中のトリチウム濃度を計測する場合はサンプリング配管21、戻り配管23bは開放とする。排出配管33bは同様に開放するか、トリチウム濃度によっては気体廃棄処理設備に接続して排気を処理する。
【0027】
(実施例2)
図5は、ベータ線検出器1として電離箱や比例計数管のような作動ガスによる通気式を使用する検出器を使用する場合のトリトウムモニターの全体構成図である。ベータ線検出器1として、低エネルギーベータ線の計測が可能な通気式の電離箱や比例計数管等を使用する場合は以下に示す蓄積部102の構成が半導体検出器の場合と若干異なる。電離箱や比例計数管の場合、検出器自体が蓄積部102の一部であり測定容器となる。また、ベータ線検出器1は試料ガスから分離された水素成分だけでは感度不足であったり、安定動作ができない等の問題があり、作動ガスとして電離箱の場合は、アルゴンや窒素、比例計数管の場合はメタンとアルゴンの混合ガスであるPRガス等を作動ガスボンベ9から圧力制御弁8を通して、蓄積部102に供給する。作動ガスの圧力は1気圧程度の一定圧力に圧力調整弁8と圧力調整弁7により調整する。
【0028】
ベータ線検出器1、水素分離装置2の二次側、循環ポンプ6、仕切り弁4及び仕切り弁5で構成するループ内をベータ線検出器1の作動ガス及び水素分離装置2で分離された水素成分が循環する。このループが蓄積部102を構成する。循環ポンプ6は蓄積部102内のトリチウム濃度を均一にするために検出器作動ガスと分離された水素成分を均一に混合して蓄積部102内を循環させる。この循環流量は蓄積時間t1の十分の一の時間で、ループ内を一巡する程度の流量があればよい。
【0029】
本実施例においても、基本的な動作フローは半導体検出器を使用した実施例1と同様で、図4に示す通りである。所定の蓄積時間t1の間、水素成分の蓄積とトリチウム計測を終了したら、循環ポンプ6を停止し、仕切り弁4,5を閉じる。仕切り弁31を開き、排気ポンプ32を運転して、ベータ線検出器内1の試料ガスを排出配管33a、33bを通して排出する。この間は圧力制御弁8は閉じておく。これら一連の制御は制御装置12で実施する。
【0030】
圧力計10は蓄積部102の圧力を計測し、圧力制御弁7及び8により蓄積部102の圧力を検出器の安定動作の領域に保持する。蓄積部102の圧力は作動ガスに水素分離装置2で分離された水素成分が加わり、単調に上昇する。しかし通常は、空気中に存在する水素は0.5ppmのレベルであり、その他の水素化合物も少なくトリチウムも微量であるので、減圧制御用の圧力制御弁7の必要性は低い。また、半導体検出器の場合に問題であったトリチウムベータ線の試料ガスによる自己吸収は、通気式の電離箱や比例計数管の場合には問題にならない。
【0031】
蓄積時間t1はモニターの実時間性の観点からは、極力短いことが望ましい。したがって、ベータ線検出器1の検出限界濃度をCD(Bq/cm3)、目標検出濃度をCmin(Bq/cm3)とすれば、蓄積時間t1(min)は(式3)で決められる。
t1=(CD×V)/(Cmin×ηS×Q)(min) …(式3)
ηS:水素分離装置2の分離効率(−)、Q:水素分離装置2の試料ガス処理速度(cm3/min)、V:蓄積部102を構成するループの容積(cm3)
【0032】
以上の説明では、蓄積部102内に蓄積した水素成分を排気する際、仕切り弁4,5を閉じて、水素分離装置2の二次側215の中の水素成分は排気しないこととした。しかし、水素分離装置2の停止、再立ち上げの時間が問題にならない場合には、ベータ線検出器1の内部を排気する都度、水素分離装置2の運転を停止し内部を排気することが望ましい。この場合は、前の測定周期に分離したトリチウムの一部が残留して次の測定周期の測定結果に影響することを抑止できる。
【0033】
図6は、測定周期Tを目標とする検出限界に合わせて固定していた以上の実施例に対して、トリチウムモニターの運用法として測定周期を変動量とする方式で測定したトリチウム濃度を示す線図である。図6の横軸が時間t、縦軸が蓄積部102内のトリチウム濃度である。ベータ線検出器1の検出限界濃度500を点線で示す。蓄積部102内のトリチウム濃度505の場合には時間T1で検出限界濃度500に達している、同様に504の場合には時間T2で検出限界濃度500に達している。したがって、検出器の検出限界濃度をCD(Bq/cm3)とすれば、試料ガス中のトリチウム濃度C(Bq/cm3)は時間Ti及びT2の期間の平均濃度として、(式4)で求められる。
C=(V×CD)/(Q×ηs×Tn) …(式4)
V:蓄積部102の容積(cm3)、Q:水素分離装置2の試料処理速度(cm3/min)、ηS:水素分離装置2の分離効率(−)、Tn:T1、T2等
【0034】
蓄積時間Tnには上限値TLを設ける。503は蓄積時間の上限値TLの間に蓄積部102内のトリチウム濃度が検出限界500のレベルに達しなかった場合である。この場合は、トリチウムモニターの出力として「トリチウム濃度は検出限界濃度CD(Bq/cm3)以下」とする。この様に測定周期変動型の運用は、監視対象のトリチウム濃度の変動が大きい場合に有効である。すなわち、トリチウム濃度が高い場合には短い測定周期で監視でき、トリチウム濃度が低い場合には測定周期を長くして高感度を維持することができる。
【0035】
本実施例ではいずれもプロセス配管20から試料ガスを採取する例を示したが、作業場所や外部環境中のトリチウム濃度を計測する場合はサンプリング配管21、戻り配管23bは開放とする。排出配管33bは同様に開放するか、トリチウム濃度によっては気体廃棄処理設備に接続して排気を処理する。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、試料ガス中のトリチウム濃度を高感度で連続的にオンライン監視することが可能となり、トリチウムを取り扱う原子力施設や核融合関連施設における安全管理の信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のトリチウムモニターの全体構成図である。
【図2】 ベータ線検出器の断面図である。
【図3】 水素分離装置の断面図である。
【図4】 トリチウムモニターの動作シーケンスを示すフロー図である。
【図5】 電離箱や比例計数管を利用したトリチウムモニターの全体構成図である。
【図6】 トリチウムモニターの測定周期を変動させた場合のトリチウム濃度を示す線図である。
【符号の説明】
1…ベータ線検出器、2…水素分離装置、3…酸素分圧調整装置、4…仕切り弁、5…仕切り弁、6…循環ポンプ、7…圧力制御弁、8…圧力制御弁、9…作動ガスボンベ、10…圧力計、11…放射線計測装置、12…制御装置、13…加圧ポンプ、20…プロセス配管、21…サンプリング配管、22…採取ポンプ、23a、23b…戻り配管、31…仕切り弁、32…排気ポンプ、33a、33b…排出配管、101a、101b…半導体検出器、102…蓄積部、111…ベータ線検出器出力信号、121…酸素分圧調整装置制御信号、122…水素分離装置制御信号、123…仕切り弁4制御信号、124…加圧ポンプ制御信号、125…圧力計出力信号、126…仕切り弁31制御信号、127…放射線測定装置制御信号、128…採取ポンプ制御信号、129…排気ポンプ制御信号、130…仕切り弁5制御信号、131…循環ポンプ制御信号、132…圧力制御弁8制御信号、133…圧力制御弁7制御信号、211…水素分離装置分離層、212…水素分離装置二次側出口、213…水素分離装置二次側入口、214…水素分離装置一次側、215…水素分離装置二次側。
Claims (5)
- 被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離装置と、前記分離された前記水素成分を蓄積させる蓄積手段と、該蓄積された前記水素成分の放射線を検出する検出器と、前記空気中から水素成分を分離する前記水素分離装置の前に前記被測定対象の空気の酸素分圧を調整する酸素分圧調整装置と、前記水素分離装置への前記被測定対象の空気の供給と前記水素分離装置から前記水素成分が分離された前記空気を排気系に排出させる給排気ポンプと、前記検出器より排出される前記水素成分を仕切り弁を介して前記排気系に排出させる排気ポンプとを備えたことを特徴とするトリチウムモニター。
- 被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離装置と、前記分離された水素成分の放射線を検出する電離箱又は比例計数管ベータ線検出器と、該検出器より排出される前記水素成分を仕切り弁を介して前記水素分離装置に戻す循環ポンプと、前記空気中から水素成分を分離する前記水素分離装置の前に前記被測定対象の空気の酸素分圧を調整する酸素分圧調整装置と、前記水素分離装置への前記被測定対象の空気の供給と前記水素分離装置から前記水素成分が分離された前記空気を排気系に排出させる給排気ポンプと、前記検出器より排出される前記水素成分を仕切り弁を介して前記排気系に排出させる排気ポンプとを備えたことを特徴とするトリチウムモニター。
- 請求項1又は2において、前記制御装置は、前記水素分離装置、蓄積手段及び検出器内の各ガス圧力の制御を行うことを特徴とするトリチウムモニター。
- 被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離工程と、前記分離された水素成分を蓄積させる蓄積工程と、前記蓄積された水素成分の放射線を検出器によって検出する検出工程と、前記水素分離工程の前に前記空気の酸素分圧を調整する酸素分圧調整工程と、前記水素分離工程で前記水素成分が分離された前記空気を排気系に排出させる排出工程と、前記検出器より排出される前記水素成分を仕切り弁を介して排気ポンプにより前記排気系に排出させる排出工程とを有することを特徴とするトリチウムの検出方法。
- 被測定対象の空気から水素成分を分離する水素分離工程と、前記分離された水素成分の放射線を電離箱又は比例計数管ベータ線検出器によって検出する検出工程と、前記検出器より排出される前記水素成分を前記水素分離装置に戻す循環工程と、前記水素分離工程の前に前記空気の酸素分圧を調整する酸素分圧調整工程と、前記水素分離工程で前記水素成分が分離された前記空気を排気系に排出させる排出工程と、前記検出器より排出される前記水素成分を仕切り弁を介して排気ポンプにより前記排気系に排出させる排出工程とを有することを特徴とするトリチウムの検出方法。
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