以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る搬送装置の構成を示す図である。
同図に示すように、この搬送装置の搬送部を構成するチューブ群11は、チューブ12を積層して敷き詰めることにより構成される。
具体的には、このチューブ群11は、図3(a)に示すように、まず、チューブ12を基板上に所定間隔を存して配置し、次に、この搬送装置の基板上に配置された各チューブ12の間に、チューブ12を積層することにより構成される。
また、チューブ群11を構成する各チューブ12は、媒体配管系13を介して、媒体圧力切替装置14に繋がっている。上記媒体配管系13は、4つのグループに分けられており、これら各媒体配管系を介して各チューブ12に媒体を規則的に循環させることにより、搬送部の搬送面を蠕動運動させる構成となっている。
図2(a)は、媒体圧力切替装置14を回転シャフトの軸方向に沿って切断した部分断面図である。また、図2(b)は、媒体圧力切替装置14のA−A′断面図である。
ハンドル21に固定された回転シャフト22は、ハウジング23により回転自在に支持されている。また、上記回転シャフト22には、圧力の異なるポート24a〜24dが設けられている。
具体的には、最大圧力の吸気ポート24aと、排気ポート24cと、媒体配管系の2つのグループを連結する中継ポート24b、24dとが設けられている。これら各ポートは、吸気ポート24a、中継ポート24b、排気ポート24c、中継ポート24dの順に圧力が循環するように配置されている。
そして、これら各ポート24a〜24dは、ハウジング23の取出口25a〜25dにより媒体配管系26a〜26dに繋げられるような構成となっている。また、吸気ポート24aは、常通ポート27を介して圧力口28に常に連結されている。
次に、上述のごとく構成した搬送装置の動作について説明する。
まず、図2に示す状態において、媒体圧力切替装置14の各ポートには、圧力口28の最大圧力が常通ポート27を介して吸気ポート24aに加わる(P=Pmax )。
また、外気に解放されている排気ポート24cには圧力はなく(P=0)、媒体配管系の2つのグループの切り替わる前の圧力が連結される中継ポート24b,24dの圧力は、吸気と排気との平均圧力(P=Pmax /2)となる。
いま、ハンドル21を回転させて回転シャフト22を回転させると、圧力の異なる各ポート24a〜24dが、ハウジング23の取出口25a〜25dに回転しながら順次繋がる。従って、各媒体配管系26a〜26dに繋がるチューブに加わる媒体の圧力Pは、0→(Pmax /2)→Pmax →(Pmax /2)→のように規則的に変化する。
次に、図3(a)〜(d)を参照して、搬送部の動作を媒体圧力切替装置の動作とともに説明する。
搬送部を構成するチューブは、膨らむことにより直径が大きくなり、萎むことにより直径が小さくなる。チューブ群11は、上述のように、チューブ12を所定間隔を存して基板上に配置し、さらに、この基板上に配置されたチューブ12の間にチューブ12を積層することにより構成されているので、搬送部表面のチューブは単に上下動するだけではなく、下層のチューブの膨らみ方の相違により、左右方向にも移動する。
ここでは、一例として、図3に示す第2のチューブの動作に着目して説明する。
まず、媒体圧力切替装置により、媒体配管系26aに繋がっている第1のチューブに最大圧力Pmax が加えられ、媒体配管系26bに繋がっている第2のチューブ及び媒体配管系26dに繋がっている第4のチューブに圧力P=Pmax /2が加えられることにより、第1のチューブは大きく膨らみ、第2のチューブ及び第4のチューブは、第1のチューブの半分程度の大きさに膨らむ。
従って、第2のチューブは、図3(d)に示す位置から図3(a)に示すような位置に、第3のチューブの周面に沿って膨らみながら右上方に移動する。
次に、媒体圧力切替装置により、媒体配管系26bに繋がっている第2のチューブに最大圧力Pmax が加えられ、媒体配管系26aに繋がっている第1のチューブ及び媒体配管系26cに繋がっている第3のチューブに圧力P=Pmax /2が加えられることにより、第2のチューブは更に大きく膨らみ、第1のチューブは、第2のチューブの半分程度に萎むとともに、第3のチューブは、第2のチューブの半分程度の大きさに膨らむ。
従って、第2のチューブは、図3(a)に示す位置から図3(b)に示すような位置に、膨らみながら移動する。この時、第2のチューブの位置が最も高くなる。
次に、媒体圧力切替装置により、媒体配管系26cに繋がっている第3のチューブに最大圧力Pmax が加えられ、媒体配管系26bに繋がっている第2のチューブ及び媒体配管系26dに繋がっている第4のチューブに圧力P=Pmax /2が加えられることにより、第3のチューブは更に大きく膨らみ、第2のチューブは、第3のチューブの半分程度に萎むとともに、第4のチューブは、第3のチューブの半分程度に膨らむ。
従って、第2のチューブは、図3(b)に示す位置から図3(c)に示すような位置に、第2のチューブの周面に沿って萎みながら左下方に移動する。
次に、媒体圧力切替装置により、媒体配管系26dに繋がっている第4のチューブに最大圧力Pmax が加えられ、媒体配管系26aに繋がっている第1のチューブ及び媒体配管系26cに繋がっている第3のチューブに圧力P=Pmax /2が加えられることにより、第4のチューブは更に大きく膨らみ、第3のチューブは、第4のチューブの半分程度に萎むとともに、第1のチューブは、第4のチューブの半分程度に膨らむ。
従って、第2のチューブは、図3(c)に示す位置から図3(d)に示すような位置に、萎みながら移動する。この時、第2のチューブの位置が最も低くなる。
すなわち、チューブ群表面のチューブは反時計回りに回転し、その結果、チューブ群の表面は回転揺動することになる。チューブ群表面におけるチューブの回転揺動は、隣同士のチューブの頂点の動作の位相が180°ずれていることから表面全体として蠕動運動が行なわれ、その結果、搬送部表面に搬送波が発生する。
そして、この蠕動運動を行なっているチューブ群の表面に物体を当接させることにより、この場合には、物体に左方向の推力が与えられる。
なお、本実施の形態においては、回転シャフト22の回転させるためにハンドル21を取り付けているが、ハンドル21の代わりにモータ及び減速機などにより動力化してもよい。
また、回転シャフト22の回転方向を変えることにより、搬送装置の搬送面に生ずる搬送波の方向を変えることができることは言うまでもない。さらに、本発明の搬送装置の駆動部分をUの字型のコンベヤにする等して農作物の搬送に用いても良い。
従って、本実施の形態の搬送装置によれば、搬送装置の搬送部をチューブ12を積層して構成し、このチューブ12に周期的に媒体を介して圧力を加えることにより、搬送部表面に蠕動運動による搬送波を発生させるので、平面的な搬送対象物から立体的な搬送対象物までを局所的に過大な力が加わらないように搬送することができる。
また、搬送部の搬送面が広い場合にも、駆動系は4つの媒体配管系と媒体圧力切替装置にまとめることができるので、搬送装置を小型、且つ薄型にすることができる。
さらに、搬送部は、チューブ12を積層することにより構成されているので、搬送面が柔らかく、搬送対象物が柔軟物体で、それが柔軟な床の上にある場合でも、その間に食い込ませて搬送作業を行なうことができる。
なお、本実施の形態においては、媒体配管系を4つのグループに分けた場合について説明したが、図4(a)に示すように、媒体配管系のグループ分けは6つでもよい。この場合、媒体圧力切替装置は1つの吸気ポート31a、4つの中継ポート31b,31c,31e,31f(2組連結)、1つの排気ポート31dで構成する。
また、媒体圧力切替装置は、図4(b)に示すように、2つの吸気ポート41a,41b、2つの中継ポート41c,41f(1組連結)、2つの排気ポート41d,41eで構成しても良い。
このような構成を採用した場合、上述の第1の実施の形態の搬送装置に比して、搬送面に生ずる搬送波の波長は、長くなり波は疎になることから、搬送対象物に伝わる推力は滑らかになるという効果がある。
さらに、本実施の形態においては、チューブ12を所定間隔を存して配置し、次に、各チューブ12の間に、チューブ12を積層することにより搬送面を形成したが、図5(a)に示すように、チューブ51を基板上に所定間隔を存して配置し、これら各チューブの間に、弾性棒状体52を積層することにより搬送装置の搬送部を構成しても良い。
このような構成を採用しても、図5(a)〜図5(d)に示すように、搬送部の表面が蠕動運動するので、搬送対象物を搬送することができる。また、搬送面を形成するチューブ群は、一面だけであるので媒体配管系の繋ぎを簡単に制作することができるという効果がある。
さらに、搬送部表面に弾性棒状体52が用いられていることから、搬送装置の耐久性を向上させることができる。
図6(a)は、面内方向の圧縮には強く、面外方向に撓み性を有する可撓性基板61の両面にそれぞれチューブ群62a,62bを取り付け、各チューブ群62a,62bに媒体配管系63a,63bを介してそれぞれ媒体圧力切替装置64a,64bを繋いだ搬送装置の構成を示す図である。
次に、この搬送装置の動作を病院のベッド等の柔軟床71に横たわっている患者である柔軟物体72を搬送する場合を例にとって説明する。
まず、可撓性基板61の両面に取り付けられたチューブ群62a,62bに媒体圧力切替装置64a,64bによって推力を与え、図6(b)に示すように、可撓性基板61をベッド71と患者72との間に挿入する。このとき、可撓性基板61は、ベッド71から移動台車73の上に到達することができる程度の長さのものが用いられる。次に、図6(c)に示すように、可撓性基板61の下面に取り付けられたチューブ群62bを動かさず、上面に取り付けられたチューブ群62aのみに推力を与えることにより、患者72を柔軟床71から移動台車73上に搬送する。
また、上述の動作と逆の動作を行なうことにより、患者72を移動台車73からベッド71に降ろすことができる。
さらに、可撓性基板61の両面に取り付けられるチューブ群62a,62bを推力方向が直交するように取り付けることにより、搬送対象物に平面運動をさせることができる。
従って、このような構成の搬送装置によれば、病院等において動けない患者の移動作業にかかる労力を軽減することができる。特に、可撓性基板61の両面に取り付けられたチューブ群62a,62bにより、患者72及びベッド71双方に推力を与え、無理なく挿入させることができるので、患者72を持ち上げる必要がなくなり、その結果、介助者の負担を軽減することができる。
また、可撓性基板61の両面に取り付けられたチューブ群62a,62bは、薄く柔らかい物であるので、患者72がベッド71の上にある場合にも、その間に食い込まさせることができ、且つ搬送作業中に局所的に過大な力を与えることにより患者72に痛みを与えることがない。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る搬送装置の構成を示す図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
すなわち、本実施の形態の搬送装置の特徴は、チューブを積層することにより構成される搬送部ではなく、背の高い当接部82aと、この当接部82aを傾倒させるための傾倒部82bとを備えた弾性平面体81により、搬送部を構成したことにある。
具体的には、図7のB部において示したように、弾性平面体81は、背の高い当接部82aと、この当接部82aを傾倒させるための傾倒部82bとを交互に形成することにより構成されている。また、当接部82a及び傾倒部82bには、弾性平面体81の一方の側面から対向する側面に貫通し断面が長方形の媒体を通すための細孔83が形成されている。
また、弾性平面体81の各細孔83は、上述の第1の実施の形態において述べたように、4つのグループに分けられた媒体配管系13を介して、媒体圧力切替装置14に繋がっている。
次に、上述の如く構成した搬送装置の動作について説明する。
まず、媒体圧力切替装置14の各ポートには、圧力口28の最大圧力が常通ポート27を介して吸気ポート24aに加わっているとする(P=Pmax )。
また、外気に解放されている排気ポート24cには圧力はなく(P=0)、媒体配管系の2つのグループの切り替わる前の圧力が連結される中継ポート24b,24dの圧力は、吸気と排気との平均圧力(P=Pmax /2)となっているものとする。
いま、ハンドル21を回転させて回転シャフト22を回転させると、圧力の異なる各ポート24a〜24dが、ハウジング23の取出口25a〜25dに回転しながら順次繋がる。従って、各媒体配管系26a〜26dに繋がる弾性平面体81の各細孔83に加わる媒体の圧力Pは、0→(Pmax /2)→Pmax →(Pmax /2)→のように規則的に変化する。
次に、図8(a)〜(d)を参照して、搬送部の動作を媒体圧力切替装置の動作とともに説明する。
搬送部を構成する弾性平面体81の細孔は、膨らむことにより直径が大きくなり、萎むことにより直径が小さくなる。
弾性平面体81は、上述のように、背の高い当接部82aと、この当接部82aを傾倒させるための傾倒部82bとを交互に形成することにより構成され、当接部82a及び傾倒部82bに、弾性平面体81の一方の側面から対向する側面に貫通し断面が長方形の媒体を通すための細孔83が形成されていることから、搬送部表面の当接部82aは、単に上下動するだけではなく、当接部82a及び傾倒部82bの細孔83の膨らみ方の相違により、左右方向にも移動する。
ここでは、一例として、図8に示す第2の当接部の動作に着目して説明する。
まず、媒体圧力切替装置により、媒体配管系26aに繋がっている第1の傾倒部82bに最大圧力Pmax が加えられ、媒体配管系26bに繋がっている第2の当接部82a及び媒体配管系26dに繋がっている第4の当接部82aに圧力P=Pmax /2が加えられることにより、第1の傾倒部82bは大きく膨らみ、第2の当接部82a及び第4の当接部82aは、第1の傾倒部82bの半分程度の大きさに膨らむ。
従って、第2の当接部82aは、図8(d)に示す位置から図8(a)に示すような位置に膨らみながら右上方に傾く。
次に、媒体圧力切替装置により、媒体配管系26bに繋がっている第2の当接部82aに最大圧力Pmax が加えられ、媒体配管系26aに繋がっている第1の傾倒部82b及び媒体配管系26cに繋がっている第3の傾倒部82bに圧力P=Pmax /2が加えられることにより、第2の当接部82aは更に大きく膨らみ、第1の傾倒部82bは、第2の当接部82aの半分程度に萎むとともに、第3の傾倒部82bは、第2の当接部82aの半分程度の大きさに膨らむ。
従って、第2の当接部82aは、図8(a)に示す位置から図8(b)に示すような位置に、膨らみながら移動する。この時、第2の当接部82aの位置が最も高くなる。
次に、媒体圧力切替装置により、媒体配管系26cに繋がっている第3の傾倒部82bに最大圧力Pmax が加えられ、媒体配管系26bに繋がっている第2の当接部82a及び媒体配管系26dに繋がっている第4の当接部82aに圧力P=Pmax /2が加えられることにより、第3の傾倒部82bは更に大きく膨らみ、第2の当接部82aは、第3の傾倒部82bの半分程度に萎むとともに、第4の当接部82aは、第3のチューブの半分程度に膨らむ。
従って、第2の当接部82aは、図8(b)に示す位置から図8(c)に示すような位置に萎みながら左下方に傾く。
次に、媒体圧力切替装置により、媒体配管系26dに繋がっている第4の当接部82aに最大圧力Pmax が加えられ、媒体配管系26aに繋がっている第1の傾倒部82b及び媒体配管系26cに繋がっている第3の傾倒部82bに圧力P=Pmax /2が加えられることにより、第4の当接部82aは更に大きく膨らみ、第3の傾倒部82bは、第4の当接部82aの半分程度に萎むとともに、第1の傾倒部82bは、第4の当接部82aの半分程度に膨らむ。
従って、第2の当接部82aは、図8(c)に示す位置から図8(d)に示すような位置に、萎みながら移動する。この時、第2の当接部82aの位置が最も低くなる。
すなわち、弾性平面体81表面の当接部82aは反時計回りに回転し、その結果、弾性平面体81の表面は回転揺動することになる。弾性平面体81表面の回転揺動は、隣同士の当接部82aの頂点の動作の位相が180°ずれていることから表面全体として蠕動運動が行なわれ、その結果、搬送部表面に搬送波が発生する。
そして、この蠕動運動を行なっている弾性平面体81の表面に物体を当接させることにより、この場合には、物体に左方向の推力が与えられる。
従って、このような構成を採用しても上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態の媒体圧力切替装置においては、上述の第1の実施の形態において述べた媒体圧力切替装置の構成に加えて、吸気ポート及び排気ポートのみで構成しても良い。
吸気ポートが2つ以上続いて、排気ポートが1つ以上ある構成ならば、原理的にはポートの数には無関係である。また、吸気ポートが1つだけでは、当接部は傾倒しないので、当接部が上下動するだけで搬送波を形成しない。
ただし、上述の第1の実施の形態において述べたように、中継ポートが吸気ポートの前後を連結する構成であるならば、吸気ポートは1つであってもよい。
中継ポートを用いない場合、吸気ポートが2つ、排気ポートが1つの3つとなり、これに繋がる媒体配管系の配管の数を減らすことができる。この場合、媒体圧力切換装置を1サイクルさせたときの吸気回数は3回となる。
一方、中継ポートを用いる場合の最小構成は、吸気ポートが1つ、排気ポートが1つ、中継ポートが2つの計4つであり、中継ポートを用いない場合の構成に比して1つ多い。
この場合、媒体圧力切換装置を1サイクルさせたときの吸気回数は4回であるが、圧力が半分の吸気であり、1つの配管系長は、中継ポートがない場合に比べて、弾性平面体内で3/4ずつであるので、媒体配管系長を無視すれば、4回×(3/4)×(1/2)=1.5回分となり、空気消費量は半分になる。
図9(a)は、本実施の形態の搬送装置の弾性平面体の変形例を示す図であり、図9(b)は、弾性平面体81の側面を示す図である。
同図に示すように、この搬送装置の特徴は、弾性平面体81を弾性布91で構成したことにある。また、この弾性布91には、図9(a)のC部に示すように、強化繊維として細孔の長手方向に伸びない繊維92aと、細孔の直径の膨らみを一定範囲で抑えるための繊維92bが編み込まれている。
従って、このような搬送装置によれば、媒体圧力が高くても、強化繊維92a,92bが編み込まれていることから必要以上に弾性布91が膨らむことがないので、弾性布91を痛めることがない。また、媒体圧力を高くすることができるので、力強い蠕動運動(搬送波)を発生させることができる。
さらに、弾性平面体81を弾性布91により作成することによって、搬送装置の制作を容易にすることができる。
図10は、本実施の形態の搬送装置における媒体圧力切替装置の変形例を示す図である。なお、図2と同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
すなわち、この媒体圧力変換装置の特徴は、圧力リリーフ弁103と、圧力スイッチ104と、表示装置105とを備えたことにある。
圧力リリーフ弁103は、排気ポート24cに取り付けられており、排気ポート24cから排出される媒体の圧力を一定値に調整する。
圧力スイッチ104は、常通ポート24e、取出口24fを介して排気ポート24fに取り付けられており、排気ポート24cから排出される媒体の圧力が一定値Pmin 以下に下がったか否かを検知する。表示装置105は、圧力スイッチ104にて媒体圧力が一定値Pmin 以下に下がったことが検知されると、媒体漏れが生じたことを示す情報を表示する。
従って、このような搬送装置においては、弾性平面体の各細孔に加わる媒体の圧力は、Pmin →(Pmin +Pmax )/2→Pmax →(Pmin +Pmax )/2→と規則的に変化する。
また、弾性平面体或いは各媒体配管系から媒体が漏れて排気ポート24cから漏れる媒体圧力が一定値Pmin 以下に下がったことが圧力スイッチ104により検知されると、表示装置105に媒体漏れが生じたことを示す情報が表示される。
従って、このような搬送装置によれば、媒体の排出圧力が一定値以下に下がらないよう圧力リリーフ弁103により調整するので、弾性平面体の各細孔は、必要以上に潰れず蠕動運動は型崩れのない(引っかかりのない)搬送波となる。
また、圧力スイッチ104により媒体圧力が一定値Pmin 以下に下がったことを検知し、表示装置105に媒体漏れが生じたことを示す情報を表示するので、容易に媒体漏れを確認することができる。
なお、上記媒体圧力切替装置は、上述の第1の実施の形態の搬送装置にも適用することができる。また、ここでは、媒体が漏れていることを示す情報を表示装置105に表示したが、音声などによって報知しても良い。
図11は、上述の搬送装置の搬送原理を移動作業装置の移動駆動機構に応用した例を示す図である。
同図に示すように、この移動作業装置は、複数のユニット111を直列に繋いで構成され、これら各ユニット111の表面にグループ分けされたチューブ112を螺旋状に巻き付けて取り付けることにより構成する。
このような構成の移動作業装置は、配管113を下って上下左右方向の姿勢を失っても、各ユニット111の周囲にチューブ112が巻き付けてあるので、何処かが配管113内面に当たり、そこから推力を得ることができる。
従って、本実施の形態の移動作業装置によれば、配管内の移動中に天地逆転しても配管内を自在に走行することができ、姿勢を保つ機能が不要となる。また、チューブ112をユニット111の回りに巻き付けつける構成のため、薄型にすることができ、且つ配管113の分岐や曲り部分など角部を通過するのに邪魔になることがない。
さらに、圧力媒体の配管を1本だけ通せば各ユニット111共通の動力源となり、圧力媒体切替装置における切替に必要な動力は小さいので、動力系は小さいものでよい。
さらに、各ユニット111の内部に作業装置を搭載する空間を十分になるので、移動作業装置の適用範囲を拡大することができる。
図12は、上述の第1の実施の形態において述べたチューブを用いた搬送装置の変形例を示す図である。
図12(a)に示すように、本変形例の搬送装置の搬送面は、同一形状のチューブを一面に敷き詰めたチューブ群11で構成される。すなわち、搬送面をすべて当接部により構成したものである。チューブ群11を構成する各チューブは、媒体配管系を介して、媒体圧力切換装置14に繋がっている。
ここでは、上記媒体配管系は、3つのグループに分けられているものとし、これら各媒体配管系を各チューブに媒体を媒体を規則的に循環させることにより、搬送部の搬送面を蠕動運動させる構成となっている。
具体的には、最大圧力を供給する吸気ポート2つと、排気ポート1つとが媒体圧力切換装置に設けられており、これら各ポートを通じて、各媒体配管系の吸排気が行なわれる。
次に、上記搬送部の動作について説明する。
まず、図12(b)に示すように、第1のチューブと第2のチューブとに最大圧力が加わる。また、第3のチューブ3、外気に解放されている排気ポートにつながることにより、圧力は加わらない。
次に、媒体圧力切換装置のハンドルを回転しシャフト22を回転させると、図12(c)に示すように、第2のチューブ及び第3のチューブに最大圧力が加わる。また、第1のチューブは、外気に解放されている排気ポートにつながることにより、圧力は加わらない。
さらに、媒体圧力切換装置のハンドルを回転しシャフト22を回転させると、図12(d)に示すように、第1のチューブ及び第3のチューブに最大圧力が加わる。また、第2のチューブは、外気に解放されている排気ポートにつながることにより、圧力は加わらない。
ここで、一例として、第2のチューブの頂点(当接部)に着目すると、右上に膨らみ、膨らんだまま左上に傾き、下に縮む半時計回りの回転揺動をする。また、隣接する各チューブの頂点(当接部)の動作の位相は120°ずれており、搬送面全体として蠕動運動が行なわれる。
図13は、上述の第2の実施の形態において述べた弾性布を用いた搬送装置の変形例を示す図である。
図13(a)に示すように、本変形例の搬送装置の搬送面は、同一形状の弾性布を一面に敷き詰めて構成される。すなわち、搬送面をすべて当接部により構成したものである。媒体通路を構成する各弾性布は、媒体配管系を介して、媒体圧力切換装置に繋がっている。
ここでは、上記媒体配管系は、ここでは、3つのグループに分けられているものとし、これら各媒体配管系を各媒体通路に媒体を規則的に循環させることにより、搬送部の搬送面を蠕動運動させる構成となっている。
具体的には、最大圧力を供給する吸気ポート2つと、排気ポート1つとが媒体圧力切換装置に設けられており、これら各ポートを通じて、各媒体配管系の吸排気が行なわれる。
次に、上記搬送部の動作について説明する。
まず、図13(b)に示すように、第1の弾性布と第2の弾性布とに最大圧力が加わる。また、第3のチューブは、外気に解放されている排気ポートにつながることにより、圧力は加わらない。
次に、媒体圧力切換装置のハンドルを回転しシャフト22を回転させると、図13(c)に示すように、第2の弾性布及び第3の弾性布に最大圧力が加わる。また、第1の弾布は、外気に解放されている排気ポートにつながることにより、圧力は加わらない。
さらに、媒体圧力切換装置のハンドルを回転しシャフト22を回転させると、図13(d)に示すように、第1の弾性布及び第3の弾性布に最大圧力が加わる。また、第2の弾性布は、外気に解放されている排気ポートにつながることにより、圧力は加わらない。
ここで、一例として、第2の弾性布の頂点(当接部)に着目すると、右上に膨らみ、膨らんだまま左上に傾き、下に縮む半時計回りの回転揺動をする。また、隣接する各弾性布の頂点(当接部)の動作の位相は120°ずれており、搬送面全体として蠕動運動が行なわれる。
従って、搬送面を全て当接部で構成しても、上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、搬送面を同一形状で構成していることから、搬送面の製造が容易になる。
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る搬送装置の搬送部の全体構成を示す図である。
また、図15は、本実施の形態に係る搬送装置の搬送部を構成するチューブ群の上面図であり、図16は、同実施の形態における搬送装置のチューブ群の断面図である。
図14〜図16に示すように、この搬送装置の搬送部を構成するチューブ群121は、縦チューブ121aと横チューブ121bとを編み合わせて敷き詰め、縦チューブ121aと横チューブ121bとに跨がる網目に弾性球形状体などからなる当接部材122を積層することにより構成される。
縦チューブ121aと横チューブ121bとの網目に配置される当接部材122は、各チューブ121a,121bに取り付けられている。なお、当接部材122は、弾性体でなくてもよく、また、その形状は、球形状に限定されず四角形状などであってもよい。
また、搬送部は、複数のエリアに区分けされており、この区分けされたエリアのチューブ群121を構成する縦チューブ121aには、媒体配管系123を介して、それぞれ媒体圧力切替装置124a,124bが繋がっており、横チューブ121bには、媒体配管系123を介して、媒体圧力切替装置124c,124dがそれぞれ繋がっている。
上記媒体配管系123は、3つのグループに分けられており、これら各媒体配管系123を介して縦チューブ121a、或いは横チューブ121bに媒体を規則的に循環させることにより、搬送部の搬送面を蠕動運動させる構成となっている。
さらに、媒体配管系123の途中には、区分けされたエリアのチューブに供給される媒体の供給を止めるためのエリア区分媒体弁125a〜125dがそれぞれエリア毎に設けられている。
図17(a)は、媒体圧力切替装置を回転シャフトの軸方向に切断した部分断面図であり、図17(b)は、媒体圧力切替装置のA−A′断面図である。
同図に示すように、エアーモータ、電気モータ、或いはこれらに減速機が付加された駆動装置131に連結する回転シャフト132は、ハウジング133により回転自在に支持されている。
また、回転シャフト132には、圧力の異なる3つのポート134a〜134cが設けられている。
具体的には、二つの最大圧力の吸気ポート134a,134bと、排気ポート134cとが設けられている。
そして、これら各ポート134a〜134cは、ハウジング133の取出口135a〜135cにより、媒体配管系136a〜136cに繋げられるような構成となっている。また、吸気ポート134a,134bは常通ポート137を介して、圧力口138に常に連結されている。
次に、上述のごとく構成した搬送装置の動作について説明する。
まず、図17に示す状態において、媒体圧力切替装置の各ポートには、圧力口138の最大圧力が常通ポート137を介して二つの吸気ポート134a,134bに加わる(P=Pmax)。
また、外気に解放されている排気ポート134cには圧力はない(P=0)。
いま、駆動装置131により回転シャフト132を回転させると、圧力の異なるポート134a〜134cがハウジング133の取出口135a〜135cに回転しながら順次繋がる。
従って、各媒体配管系136a〜136cに繋がるチューブに加わる媒体の圧力Pは、Pmax→Pmax→0→のように規則的に変化する。
次に、図18(a)〜(c)を参照して、搬送部の動作を媒体圧力切替装置の動作とともに説明する。なお、図18(a)〜(c)においては、説明の便宜上、縦チューブ121aのみを示しており、横チューブ121bについては省略している。
搬送部を構成するチューブは、膨らむことにより直径が大きくなり、萎むことにより直径が小さくなる。チューブ群121は、上述のように、チューブを所定間隔を存して基板上に配置し、さらに、縦チューブ121aと横チューブ121bとの網目に当接部材122を積層することにより構成されているので、搬送部表面のチューブは単に上下動するだけではなく、下層のチューブの膨らみ方の相違により、横方向にも移動する。
ここでは、一例として、図18に示す当接部材122の動作に着目して説明する。
まず、媒体圧力切替装置により、媒体配管系136b,136cに繋がっている第1と第2の弾性チューブに最大圧力Pmaxが加えられ、チューブ1とチューブ2とが膨らむ。
従って、当接部材122は、図18(c)に示す位置から図18(a)に示すような位置に、持ち上がる。
次に、媒体圧力切替装置により、媒体配管系136a,136bに繋がっている第2と第3のチューブに最大圧力Pmaxが加えられ、チューブ2とチューブ3とが膨らみ、媒体配管系136cに繋がっている第1のチューブは排気されて縮む。
従って、当接部材122は、図18(a)に示す位置から図18(b)に示すような位置に、左下方向に移動する。
次に、媒体圧力切替装置により、媒体配管系136c,136bに繋がっている第3と第1のチューブに最大圧力Pmaxが加えられ膨らみ、媒体配管系136aに繋がっている第2のチューブは排気されて縮む。
従って、当接部材122は、図18(b)に示す位置から図18(c)に示すような位置に、右下方向に横に移動する。
すなわち、チューブ群表面の当接部材122は、反時計回りに回転し、その結果、チューブ群表面は回転揺動することになる。チューブ群表面における当接部材122の回転揺動は、隣同志の当接部材の動きの移相が120°ずれていることから表面全体として蠕動運動が行なわれ、その結果、搬送部表面に搬送波が発生する。
そして、この蠕動運動を行なっているチューブ群の表面に物体を当接させることにより、この場合、物体に左方向の推力が与えられる。
また、回転シャフト132の回転方向を変えることにより、搬送装置の搬送面に生ずる搬送波の方向を変えることができることは言うまでもない。
上述のごとくチューブ群121の構成は、縦チューブ121aと横チューブ121bとを編み合わせて敷き詰め、縦チューブ121aと横チューブ121bとに跨がる網目間に弾性球形状体などからなる当節部材122を積層している。
この場合、縦チューブ121aの媒体圧力切替装置124a,124bと、横チューブ121bの媒体圧力切替装置124c,124dとを各々別々に動かすことで、搬送波の方向を任意に設定することができので、搬送対象物を任意の方向に搬送することができる。
さらに、本実施の形態においては、搬送部をエリアに区分けし、それぞれエリアに対して媒体圧力切替装置を別々(124a,124b)、(124c,124d)に設けているので、例えば、搬送物の進行方向前側エリアの媒体圧力切替装置124a(124c)を後側エリアの媒体圧力切替装置124b(124d)より切替速度を速くすれば、長物の搬送物の片側が搬送部の前側エリアに先に乗ると後側エリアに乗っているもう一方を置き去りにして進むので、長物の搬送物の長手方向は搬送方向に修正できる。
さらに、本実施の形態においては、媒体配管系123の途中に搬送部をエリアに区分けし、それぞれエリアの吸気口への媒体の吸排を止めるエリア区分媒体弁125a〜125dを備えているので、例えば、搬送物の無い部分の媒体の吸排を止めれば搬送部の媒体注入に必要な容量を減らすことができる。
従って、本実施の形態の場合、縦チューブ121aと横チューブ121bとを各々別々に動かすことで、相互に組み合わせた合成の搬送波を発生させ、搬送波力の方向を任意に設定できるので、搬送物を任意の方向に搬送できる。
これを移動作業装置の移動駆動機構として用いた場合、方向自在の駆動力を発生できるので、移動作業装置は横行および斜め走行ができ、車輪のステアリング時間など無しに瞬時に方向転換できる。
さらに、本実施の形態においては、搬送部をエリアに区分けし、各エリアの媒体圧力切替装置の切替速度を変えることで、搬送物の姿勢(回転方向)の修正もできる。これを移動作業装置の移動駆動機構として用いた場合、移動作業装置は旋回できる。
さらに、本実施の形態においては、エリア区分媒体弁125a〜125dを備えているので、例えば、搬送物のない部分の媒体の吸排を止めれば搬送部への媒体の注入容量が減るので、媒体消費量を減らすことができる。
また、容量減少に伴い媒体圧力の圧力飽和時間が短くなるので、媒体圧力切替装置の切替速度を速くしても進行波を発生することができる。
図19は、本発明の第2の実施の形態に係る配管内の移動作業装置の移動駆動機構の構成を示す図である。
同図に示すように、この移動作業装置141は、複数のユニット142を直列に繋いで構成されている。
これら各ユニット142の表面には、グループ分けされたチューブが螺旋状に右巻き或いは左巻きに巻き付けられており、右巻きに巻き付けられたチューブのユニットと左巻きに巻き付けられたチューブのユニットとで1組を構成する。
各ユニット142相互間を繋ぐ連結部は、一定角度までの回動及び揺動を許容する捻りたわみ機能により構成されている。
図20は、各ユニット142を連結する連結部の概略構成を示す図であり、図21は、ユニット142の連結部の詳細を示す図である。
同図に示すように、ユニット142相互間は、シャフト151により連結されており、このシャフト151は、球面ジョイント152によって支持されている。また、このシャフト151の先端には、ねじ溝が形成されており、シャフト151は、ナット153によって固定されている。
また、球面ジョイント152は、ユニット142に押さえ材154及びねじ155によって支持されている。
一方、シャフト151には、コイルバネ156が遊挿されるとともに、棒体157がシャフト151に取り付けられており、ユニット142に取り付けられたストッパー158によって、回動角度が規制されるようになっている。
また、移動作業装置141の本体先端の連結部には、連結部の屈曲角度を能動的に変化させるための図示しない空気圧縮機が取り付けられている。
図22は、ユニット142の構成を示す図である。
同図に示すように、ユニット142の表面には一定の方向にチューブが巻かれており、これらチューブはエリアごとに区分けされている。そして、これらチューブは、ユニットごとに設けられた媒体圧力切換装置161に媒体配管系162、エリア区分媒体弁163を介して接続されている。
なお、媒体圧力切換装置161とチューブとの間の接続構成は、上述の搬送装置において述べた構成と同様である。
図23は、図22に示したA部の拡大図である。
同図に示すように、ユニット142の表面に巻き付けられたチューブとチューブとの間には、弾性棒状体からなる当接部材164が積層されている。この当接部材164は、チューブに取り付けられている。
この当接部材164の表面には、長手方向に延びる溝又は峰を形成することにより、チューブと直交する方向には抵抗を有し、チューブ長手方向には滑るようにして、効率的に移動することができるようにしている。
さらに、移動作業装置本体の先端には、姿勢を検知する傾斜角計165を搭載されており、また、各ユニットの連結部には、連結部の屈曲角度と捻り角度とを検知する図示しない連結状態検知機能が取り付けられている。
現状の位置及び姿勢を計算する状態検知機能171は、傾斜角計165と連結状態検知機能とからの情報を取り入れる機能を有するとともに、媒体圧力切替装置161及びエリア区分媒体弁163に動作指令を送る機能を有する。
また、状態検知機能171は、長い移動作業装置の位置及び姿勢の計算結果を状態表示用のモニタ172に三次元的な3面図及び斜視図の形で操作者に表示する。
さらに、移動作業装置の本体先端には、監視カメラ及び照明が取り付けられている。
次に、上述のごとく構成した配管内の移動作業装置の移動駆動機構の動作について説明する。
まず、この移動作業装置141は、状態検知機能171により、右巻きのチューブが取り付けられたユニット142と左巻きのチューブが取り付けられたユニット142とを同時に動作させると、これらチューブはユニット142に螺旋状に巻き付けて取り付けてあるので、それぞれ右ネジ、左ネジの推力を発生し、双方の回転推力が打ち消しあって真直ぐに捩じれずに進む。
移動作業装置141の本体先端がT字管部もしくは曲管部に至ると、監視カメラの映像などの情報をもとに、移動作業装置の本体先端の図示しない空気圧縮機により、連結部の屈曲角度を変えて、所望の方向に移動作業装置の本体先端を導く。
また、右巻き方向に巻き付けられたチューブのユニット142と、左巻き方向に巻き付けられたチューブのユニット142とに媒体圧力切替装置162は別々に設けられているので、右ネジ、左ネジの前後方向の推力を打ち消す方向に動作させると、回転を行なうこともでき、媒体圧力切替装置162の切換え方を制御することで、回転しながら前後方向に進むこともできる。
右巻方向に巻き付けられたチューブのユニット142と左巻方向に巻き付けられたチューブのユニット142との当接部材164表面の溝または峰は、チューブ直角方向へは抵抗がありチューブ長手方向へは滑るので、右巻チューブと左巻チューブとはそれぞれ推力発生方向(チューブ直角方向)には十分な摩擦力があり、それぞれ互いの推力を受ける方向(チューブ長手方向)には滑る。
故に、右巻チューブと左巻チューブとの右ネジ、左ネジの方向の推力は互いに干渉すること無く独立に作用する。
さらに、各ユニット142の間は、一定角度までの回転を許容するように連結されているので、移動作業装置141の本体先端の回転姿勢を変更することができる。
さらに、駆動部をエリアに区分けし、それぞれのエリア近傍に媒体圧力切替装置162を配置しているので媒体配管系の長さが短くなり、高速に媒体圧力を切り換えることができる。
状態検知機能171は、傾斜角計165と連結状態検知機能とからの情報を取り入れ、現状の移動作業装置141の形態の姿勢を計算することができる。すなわち、傾斜角計165の情報から移動作業装置141の本体先端の姿勢を測定でき、各ユニット142の長さは既知なので、本体先端から本体付根まで連続して連結部の屈曲角度と捻り角度で座標演算を掛け合わせて移動作業装置141の全体の形態を計算する。
各連結部の連結状態検知機能からの屈曲角度と捩じり角度の情報だけで本体付根より本体先端の姿勢を計算した場合には、座標演算の掛け合わせにより本体先端までに誤差が累積されるが、傾斜角計165の検知した本体先端の姿勢データにより、本体先端の作業地点を基準に移動作業装置の形態の姿勢を補正する。
さらに、移動作業装置141の形態の計算結果より配管の角部が判るので、媒体圧力切替装置161とエリア区分媒体弁163とを用いて、ある特定のエリアのチューブへの媒体の圧力切替速度を変えたり媒体の吸排を止めたりして、媒体圧力切替装置161およびエリア区分媒体弁163を制御し、角部の手前では進行波を進めて角部を過ぎると進行波を遅らすなどして、角部を弛ませて、角部にかかる抗力を減らすことができる。
状態検知機能171のモニタ172には、移動作業装置先端で照明に照らされた監視カメラの映像以外にも長い移動作業装置141の形態の計算結果を、三次元的な3面図および斜視図の形で操作者に表示できる。
例えば、一つのモニタ172の画面を4分割して、移動作業装置141の形態をXYZ方向の3面図と、画面右上の斜視図とを同時に表示する。
配管形状の地図情報があり、さらに、移動作業装置141に図示しないジャイロを搭載するなどして、移動作業装置141の方位を測定することができれば、作業対象の配管形状に重ねて現在の移動作業装置141の形態を表示することもできる。
なお、上述の実施の形態の説明においては、各ユニットに、それぞれ異なる方向のチューブを巻き付けて構成される移動作業装置141について説明したが、これに限られるものではない。
具体的には、上述の第3の実施の形態の搬送装置において述べた場合と同様に、各ユニットに互いに直交する方向のチューブを積層し、この網目に弾性体などによって構成される当接部材を取り付け、これら各チューブを、ユニットごとに取り付けられた媒体圧力切替装置によってそれぞれ独立に制御してもよい。
また、この場合、上述の第3の実施の形態において述べたように、各チューブを複数のエリアに区分けするエリア区分媒体弁を各ユニットの媒体配管系に設けても良い。
従って、本実施の形態の場合、媒体圧力切替装置161の切換え方を制御することで、この移動作業装置141を自在に進行及び回転させることができる。
また、各ユニット142の間の捩じりたわみ機能は、ユニット連結部に一定角度までの回転を許容するので、作業装置を搭載した場合に、それには回転姿勢変更装置を必要とすることはない。
さらに、当接部材164のチューブ長手方向への溝または峰が、右巻チューブと左巻チューブとの右ネジ、左ネジの方向の推力を互いに干渉すること無く独立に作用させているので、走行に必要以上の動力を使わずに移動を行なうことができる。
さらに、それぞれのエリア近傍の媒体圧力切替装置161は、高速に媒体圧力を切り換えるので、移動作業装置141の移動速度を速くすることができる。
さらに、状態検知機能171は、移動作業装置141の現状の形態を計算することができるので、次に進む方向及び作業を行う方向を判断できる。
さらに、現状の移動作業装置141の形態より配管の角部を判断し、エリア区分媒体弁163と状態検知機能171とを用いて角部の前後の進行波を制御して、角部を弛ませて、角部にかかる抗力を減らすことができるので、移動作業装置は角部も引っ掛かることなく滑らかに通過できる。
さらに、移動作業装置141の位置及び姿勢の計算結果をモニタ172に三次元的な3面図および斜視図の形で操作者に表示する。これにより、作業がどこまで進んだか操作者は一目で判断でき、例えば、監視カメラの映像がどの位置でどの方向の物であるかも判断できるので、配管故障箇所のチェックなどの作業を円滑に行なうことができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。