JP3993049B2 - 生理活性物質の電気化学的分析用素子およびそれを用いる分析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新しい薬剤や治療法、あるいは多量の工業化成品等から環境汚染物質をスクリーニングすることなどに適用されるタンパク質の機能解析の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
ゲノムプロジェクトによってヒトの全遺伝子が同定されつつある現在、ポストゲノムにおける重要な研究課題として、遺伝子から作り出されるタンパク質の機能解析が注目を集めている。生体内においては各種のタンパク質が他のタンパク質や低分子化合物、あるいはDNAなどの核酸分子と相互作用(情報伝達)することによってその恒常性が保たれている。多くの疾病はこの情報伝達機構の破綻と関係しており、病気の原因の究明や病気に特有なマーカーあるいは新しい薬物の探索にはこれらタンパク質レベルでの機能解析が必要である。
【0003】
このようなタンパク質の機能解析に従来より提示されている最も一般的な方法にプロテオーム解析法がある。この方法は二次元ゲル電気泳動と質量分析計を組み合わせた手法であり、まずゲル電気泳動により全タンパク質を展開した後、各スポットを切り取ってプロテアーゼにより消化し、得られたペプチド断片の分子量を飛行時間型質量分析計(TOF−MS)で測定、この結果を遺伝子バンクのデータに基づいてどの遺伝子の産物か、また刺激を加えたときにどう変化するかを決定していく方法である。しかしながらこの方法は電気泳動、プロッティング、そしてMS解析におよそ一日を要するなど迅速性に欠ける点、そしてシステムが非常に高価である点が欠点である。
【0004】
また、タンパク質間の相互作用の解析法として表面プラズモン共鳴法(SPR法)を用いる手法もある。この代表的なシステムとしてビアコアシステムが挙げられるが、原理上、タンパク質と小分子との結合を検出することが困難であること、高価であることなどが問題点として挙げられる。
【0005】
さらに、近年、内分泌撹乱物質をはじめとして生体に様々な経路で作用する未知の環境汚染物質が明らかになっている。現在、これらの化学物質の危険性を定量化する有力な手段の開発が待たれているが、流通している10万種類以上の工業化成品の健康リスクを評価し環境汚染物質をスクリーニングするためには、標的タンパク質と化学物質との相互作用を高速・高感度に分析することのできる手段が必要である。
【0006】
環境汚染物質のスクリーニング法としては、従来それらの物質が標的とするタンパク質との結合活性を評価する方法(バインディングアッセイ法)や、あるいはそれらの化学物質が引き起こす遺伝子発現を観察する方法(転写活性アッセイ法)が用いられてきた。しかしながらこれらの方法は、放射性同位体を使用するため特殊な施設が必要な点や、評価までに1日から1週間程度を要することなどの欠点がある。また、特に転写活性アッセイ法において生細胞を用いて評価する場合には、安定性と定量性に欠けることも難点である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、薬剤や治療法の開発、環境汚染物質のスクリーニングなどに有用な迅速且つ高感度に、しかも低コストでタンパク質の機能解析に用いることのできる新しい技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の目的を達成するために研究を重ねた結果、レセプター(受容体)として知られる生体内タンパク質をその機能を保持した状態で固体表面に固定化する手段を確立し、これを更に改良して、レセプタータンパク質と標的物質(リガンド:生理活性物質)との結合や相互作用に起因する構造変化を電気化学的に検出することができ、この特性に基づき当該生理活性物質の定量やスクリーニングなどに用いることのできる分析技術を案出した。
【0009】
かくして、本発明に従えば、導電性基板上に、該導電性基板に対する吸着部位と錯体の配位子とを含有する固定化試薬を介してニッケル錯体またはコバルト錯体が固定化され、さらに、該錯体に結合したヒスチジンタグを介してレセプタータンパク質が固定化されて構成され、前記レセプタータンパク質によって特異的に認識される生理活性物質の電気化学的分析用素子であって、前記固定化試薬が二官能性固定化試薬から成ることを特徴とする生理活性物質の電気化学的分析用素子が提供される。本発明に従う生理活性物質の電気化学的分析用素子の好ましい態様においては、導電性基板は金電極であり、ニッケル錯体またはコバルト錯体の配位子はニトリロトリ酢酸またはイミノ二酢酸であり、導電性部位に対する吸着部位はジスルフィド基である。本発明の生理活性物質の電気化学的分析用素子の特に好ましい態様においては、レセプタータンパク質が核内レセプターから成り、核内レセプターの好ましい例はエストロゲンレセプターである。
【0010】
本発明は、さらに、レセプタータンパク質によって特異的に認識される生理活性物質を定量し又はスクリーニングする分析方法を提供し、この本発明の分析方法は、上記のような生理活性物質の電気化学的分析用素子を作用電極とし、酸化還元性マーカーの存在下に、被分析生理活性物質を含有する可能性のある試料溶液について電流電位特性を測定することを特徴とするものである。本発明に従う生理活性物質の分析方法の好ましい態様においては、酸化還元性マーカーとしてK4Fe(CN)6/K3Fe(CN)6を用い、また、サイクリックボルタンメトリーによって電流電位特性を測定する。本発明の分析方法は、生理活性物質として、例えば、エストロゲンまたは擬似エストロゲン物質を定量するのに好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の生理活性物質の電気化学的分析用素子は、電極上にタンパク質構造を固定化して構成される電気化学的センサーの1種とみなすこともできる。電極上にタンパク質を固定化した電気化学的センサーとしては、グルコースセンサーに代表される酵素電極が従来よりよく知られている。しかし、従来の酵素電極は、電極上に固定化された酵素が基質を分解して生じる電気化学的変化を検出することに基づくものであり、以下に記述するような本発明の原理とは異なる。
【0012】
一部の酵素を除けば、タンパク質の機能(レセプタータンパク質とリガンドとの結合、タンパク質−タンパク質相互作用など)には電気化学的な活性は無い。本発明に従う生理活性物質の分析は、測定溶液中に加えておいた電気化学的に活性な分子(酸化還元性マーカー)が、電極表面上に固定化されたタンパク質(レセプター)層に対する「透過しやすさ」を指標とすることによって間接的にタンパク質の性状変化を捕捉することに基づくものである。すなわち、レセプタータンパク質にリガンド(生理活性物質)が結合したり相互作用することにより生じる当該タンパク質の構造変化に起因するマーカー物質の透過性の変化を電気的に測定するものである。
【0013】
本発明の生理活性物質の電気化学分析用素子の別の特徴は、電極上にタンパク質(レセプタータンパク質)をその機能を損なうことなく固定化していることにある。固体表面に生体分子の配向を制御した状態で固定化することは、高い選択性を持つセンサーを開発する上で非常に重要となる。タンパク質固定化法としては、共有結合、イオン結合および生化学的親和力などにより固定化する担体結合法、グルタルアルデヒドのような試薬で架橋する架橋法などが一般的である。しかしながら、これらの方法は、固定化に際してタンパク質上のアミノ酸残基が使われるためタンパク質の機能が完全には維持できない点や、固体表面に対してタンパク質の配向を制御できないなどの難点がある。特に電極上で固定化タンパク質を認識素子として使用する場合、これらの問題は検出機構上、致命的な欠点となる。そこで、本発明では、機能を保持した状態でタンパク質を固体表面に可逆的に配向させることができるヒスチジンタグを利用する。
【0014】
ヒスチジンタグとは、Hisタグ(His−tag)とも呼ばれ、よく知られているように、タンパク質のアミノ末端もしくはカルボキシル末端に付加される少数個(一般的には5〜10個)のヒスチジン残基を指称する。このヒスチジンタグは、ニッケルイオンの錯体(ニッケル錯体)またはコバルトイオンの錯体(コバルト錯体)と強く結合することが知られている。
【0015】
かくして、本発明者らは、先に、金電極のような導電性基板上に、固定化試薬を介してニッケル錯体またはコバルト錯体が固定化され、さらに、該錯体に結合したヒスチジンタグを介してレセプタータンパク質が固定化されて構成される電気化学的分析用素子(電気化学センサー)を案出し、これを用いるエストロゲンなどの内分泌撹乱物質や標的DNAの検出について発表した〔第79回日本化学会講演予稿集(2001年)、講演番号3F404および3F407他〕。この電気化学センサーは、内分泌撹乱物質などのスクリーニングや定量のための分析を具現化する数少ない技術を提供するものであるが、その応答感度は充分ではなかった。
【0016】
そこで、本発明者は、この問題を解決するために鋭意検討をしたところ、ニッケル錯体(またはコバルト錯体)を導電性基板上に固定化するための固定化試薬として、これまでの一官能性固定化試薬に代えて、二官能性固定化試薬を用いることにより、感度が著しく向上することが見出された。
【0017】
固定化試薬は、導電性基板への吸着部位(例えば、ジスルフィド基)と錯体を形成するための配位子(例えばニトリロトリ酢酸)とを有し、これらに加えて、一般的には、配位子と吸着部位との間にリンカー部位が設けられて構成されるものであるが、これまでは一官能性固定化試薬、すなわち、一端のみに単一の配位子を有するものを用いていた(後述の実施例1参照)。このような一官能性固定化試薬を用いた場合には、図1のAに示されるように、導電性基板(電極)上に単一のタンパク質(ヒスチジンタグが付加されたレセプタータンパク質)が固定化されるにすぎないと考えられる。
【0018】
これに対して、本発明で用いられる固定化試薬は、二官能性固定化試薬、すなわち、両端にそれぞれ配位子を有するものである。具体的には、本発明において用いる二官能性固定化試薬とは、中央に導電性基板への吸着部位(例えば、ジスルフィド基)を配置し、その両端に適当なリンカー部位を介して配位子(例えばニトリロトリ酢酸)を有するように構成されているものである(後述の実施例1参照)。このような二官能性固定化試薬を用いた場合には、図1のBに示されるように二つのタンパク質(ヒスチジンタグが付加されたレセプタータンパク質)が互いに近接して固定化されているものと考えられる。
【0019】
本発明は、導電性基板に固定化されるレセプタータンパク質に応じて、該タンパク質とそのレセプタータンパク質によって特異的に認識される各種の生理活性物質との結合性や相互作用を調べて、それらの生理活性物質を定量したりスクリーニングするのに適用されるが、生理活性物質と結合したり相互作用するに際して二量化するタンパク質を固定化して用いられるのに特に適している。
【0020】
例えば、ステロイドホルモン(エストロゲン、アンドロゲンなど)、甲状腺ホルモン、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD)などの生理活性物質は、核内レセプター(細胞内受容体)に結合するが、その結合に際してレセプタータンパク質が二量化することが知られている。本発明に従う電気化学的分析用素子として、これらの核内レセプター(エストロゲンレセプター、アンドロゲンレセプター、甲状腺レセプター、ビタミンAレセプター、ビタミンDレセプターなど)を固定化したものを用い、それぞれの核内レセプターによって特異的に認識される生理活性物質(エストロゲン、アンドロゲン、甲状腺ホルモン、ビタミンA、ビタミンDなど)の分析を試みると、極めて高感度にそれぞれの生理活性物質を定量したりスクリーニングすることができる。これは、上述のように、二官能性固定化試薬を用いる本発明の電気化学的分析用素子においては2つのレセプタータンパク質が互いに近接して固定化されているので、レセプタータンパク質と生理活性物質との結合や相互作用により誘起されるコンホメーション変化(二量化)をより的確に模擬して検出することができるためと理解される。
【0021】
本発明に従う電気化学的分析用素子においてヒスチジンタグを結合させるニッケル錯体またはコバルト錯体を構成する配位子は、特に限定されるものではないが、一般的には、この分野でよく知られているようにニトリロトリ酢酸(NTA)またはイミノ二酢酸(IDA)が好ましく、NTAが特に好ましい。
本発明に従う電気化学的分析用素子を構成する導電性基板としては、一般に、金電極が好ましい。この場合には、よく知られているように、導電性基板(金電極)に対する吸着部位としてジスルフィド基のようなイオウ含有基が用いられ、既述したように、金電極に吸着したイオウ分子に、適当なリンカー部位を介してニッケル錯体(またはコバルト錯体)の配位子と成るNTA(またはIDA)を結合させることによって錯体が金電極上に固定化される。金電極以外の導電性基板を用いる場合には、それに応じて導電性基板に対する吸着手段を変える。
【0022】
本発明に従う生理活性物質の分析方法は、如上のように構成される電気化学的分析用素子を作用電極として、酸化還元性マーカーの存在下に、目的の生理活性物質を含有する試料溶液について電流電位特性を測定することによって実施される。用いられる酸化還元性マーカーは、水溶性であり、レセプタータンパク質やそのリガンドに悪影響を与えないものであれば使用可能であるが、好ましい酸化還元性マーカーとしてはK4Fe(CN)6/K3Fe(CN)6が挙げられる(以下、本明細書中では、この系を[Fe(CN)6]3 −/ 4 と記すことがある)。使用される酸化還元性マーカーとしては、この他に、フェロセン、ヘキサアミンルテニウム(III)錯体などが挙げられる。電流電位特性の変化は、一般に、サイクリックボルタンメトリー(CV)によるが、微分パルスボルタンメトリーなどの他の電気化学的測定法を用いることもできる。
また、本発明において電極(導電性基板)上に固定化するため使用されるレセプタータンパク質は、一般に、当該分野でよく知られた遺伝子組み換え技術よりヒスチジンタグ付加タンパク質として得られた組み換えタンパク質をニッケル錯体(またはコバルト錯体)カラムでアフィニティー精製したものである。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明の特徴をさらに具体的に明らかにするため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
実施例1:エストロゲンレセプター固定化電極の作製
本発明に従う電気化学的分析素子としてエストロゲンレセプターが固定化された電極を作製した。
タンパク質を固定化するに際して重要な役割を担うのが、タンパク質と固体表面をつなぐ試薬の開発である。既述のように本発明者は従来の一官能性固定化試薬〔図2の(5)〕に代えて、新たに二官能性固定化試薬を設計・合成した。新たに設計・合成した二官能性固定化試薬は、図2の(4)に示す構造式から成り、ジスルフィド基の両端にリンカー部位を介してニトリロトリ酢酸(NTA:配位子)が連結されて構成されている。その合成手順は以下の通りである(図2参照)。Nα’,Nα−ビス(カルボキシメチル)−L−リジン水和物(1)140mgをジイイソプロピルエチルアミン(DIEA)1035mgを含む3mlDMFに溶解した。10分間窒素置換後、トリメチルシリルクロリド [(CH3)3SiCl] 870mgを少量ずつ添加しながら、室温、窒素雰囲気下で2時間反応し、カルボキシル基の保護を行った。得られた化合物(2)に半当量の3,3’−ジチオジプロピオンサンジ(N−スクシンイミジル)〔DTPS、(3)〕を溶解したDMF1.5mlを加え、室温、窒素雰囲気下で2日間撹拌した。反応溶液に7mlの酒石酸水溶液を加えて十分に振とうした後、これにジクロロメタン15mlを加えて有機相を抽出した。抽出操作は二度行った。溶媒を減圧濃縮後、ジクロロメタン1.5mlに再溶解した。精製はプレパラティブTLC(薄層クロマトグラフィー)により行い、250MHz 1H-NMRを用いて生成物(4)を確認した。
【0024】
導電性基板として金ディスク電極 (電極面積0.08cm2)をアルミナ研磨剤で十分に研磨した後、さらに0.1 M H2SO4/10mM KCl水溶液を用いて電解研磨した。本発明者が新たに設計・合成した二官能性固定化試薬である上述の二官能性ニトリロトリ酢酸(NTA)誘導体(図2の(4)で示される)をクロロホルムに溶解し、研磨した金電極をこの溶液50μlに4℃で3時間浸漬した。その後電極をクロロホルムで洗浄した後、窒素ガスで乾燥させた。これを再び0.1M NiSO4溶液30μlに10分間浸漬し、Ni(II)−NTA錯体を形成させた。この電極を末端に連続(5〜10個)するヒスチジン残基(His−タグ)を遺伝子レベルで融合したヒトエストロゲンレセプターα水溶液に4℃で10分間浸漬し、洗浄用緩衝液(100mM KCl、10mM Tris−HCl(pH 7.4))で十分に洗浄し、エストロゲンレセプター固定化電極を作製した。
なお、比較のために、図2において(5)として示す一官能性固定化試薬を用いてもエストロゲンレセプター固定化電極を作製した。この一官能性固定化試薬を用いるレセプター固定化電極は、図2に示す固定化試薬の合成工程において化合物(2)と(3)とを等量反応させることを除いては、上述の二官能性固定化試薬を用いる場合と同様の工程を経て作製したものである。
【0025】
実施例2:内分泌撹乱物質のセンシング(1)
次に金電極上に固定化したレセプターが正常なリガンド結合能を保持しているかを確認するため、hER固定化電極(電気化学的分析用素子)に天然の女性ホルモン17β−エストラジオールを作用させ、その時の電気化学的応答を観察した。すなわち、実施例1に従い二官能性固定化試薬を用いて作製したhER固定化電極を作用電極とし、これに1nMから100Mの17β−エストラジオール含有試料溶液〔10mMのトリス緩衝液、pH7.4、[KCl]=10mM、[Fe(CN)6]4 /3 =5mM(酸化還元マーカー)、25℃〕を作用させて、サイクリックボルタンメトリー(CV)により電流電圧特性を測定した。
測定結果を図3に示す。なお、比較のために、一官能性固定化試薬を用いて作製したhER固定化電極について同様に実施したCV測定結果を図4に示す。
【0026】
図3に示されるように、二官能性固定化試薬を用いて作製したhER固定化電極の場合は、ピーク電流値は添加濃度にしたがって大きく減少した。対照的にNTAのみを固定化した電極(hER未修飾)では、同濃度の17β−エストラジオールには全く応答しなかったことから、ピーク電流値の減少は電極表面上におけるレセプターとリガンドとの間の特異的な相互作用によることが示唆されている。しかも、10-10Mという低濃度から良好な電気化学的応答が得られており、その検出感度はRI(ラジオアイソトープ)標識リガンドを用いる競合アッセイ法に匹敵している。一方、図4に示されるように、一官能性固定化試薬から作製されたhER固定化電極の場合、100μMの17β−エストラジオールを添加した際においてもその電極応答は極めてわずかであり、二官能性固定化試薬を用いた場合に応答感度が著しく向上していることが分かる。
【0027】
本発明によるセンシングシステムではマーカーイオンが電極表面上に形成されたタンパク質層に対するマーカーイオンの「透過しやすさ」を検出機構としており、リガンド添加時におけるピーク電流値の減少は電極上に固定化されたhERがそのリガンドと結合することによってその物性を変化させ、結果的にタンパク質層全体の性質がマーカーイオン透過性に影響を与えたことに起因するものと理解される。
ERはリガンドとの結合によって、その立体構造を変化させホモ二量体(ホモダイマー)を形成することが知られている。BrzowaskiらはhERのリガンド結合ドメインが12個のαへリックス(H)と2つのβシート(S)から構成され、3層の堅固なαへリックスサンドイッチ構造をとっていることを明らかとしている。またリガンド結合ポケットは、3層構造の中心層下部に存在し、H3, H6, H8とループ, H11, H12およびS1/S2ヘアピンで構成されていることも明らかにされた。リガンド分子がこの結合ポケットに捉えられると、コンホメーションが大きく変化してホモダイマーとなり、ERは活性化状態となる。興味深いことに、WitowskaらはERが17β−エストラジオールとの結合によって活性化する際、タンパク質表面では塩基性のアミノ酸残基が減り、酸性アミノ酸残基が増加することを報告している。電極表面上に固定化されたhERがリガンドと結合して同じ様な活性化機構をとった場合、電極上のタンパク質層は負電荷を帯びることとなる。一方、今回使用した酸化還元マーカー([Fe(CN)6]3-/4-)もアニオン性であり、リガンド添加濃度に応じてタンパク質層が次第に負電荷を帯びてくると静電反発によってマーカーイオンの透過性は減少する。この結果、タンパク質層を通過して電極表面近傍へ到達するマーカーイオンの数は相対的に減少し、その酸化還元反応に基づくピーク電流値も減少したものと推察される。
【0028】
図3に示されるような優れた応答特性は、二官能性固定化試薬を用いることによって達成された成果である。本発明の装置はリガンド結合によって誘起されるタンパク質の構造変化と、その後のタンパク質/タンパク質間の相互作用を電気化学的に検出するためのものであり、したがって、相互作用するタンパク質が近傍に位置していることが重要な条件となる。特に固体表面上にタンパク質が固定化されているバイオセンサーの場合は、可動性が制限されているためにタンパク質を近傍に接近させる手段が必要となる。本発明で用いられている二官能性固定化試薬は分子設計を行うことによって、固定化するタンパク質間の距離を自由に調節することができるため、本発明の検出システムのようなタンパク質固定化センサーのタンパク固定化法として非常に有効である
【0029】
実施例3:内分泌撹乱物質のセンシング(2)
実施例2に示すように、ヒトエストロゲンレセプター固定化電極を用いる本発明の方法によって、タンパク質のリガンドに対する結合評価が可能なことが明らかとなった。そこで次に、この電極を現在その疑似エストロゲン活性が懸念されている工業化成品等のリスクアセスメントへ応用した。実施例1に記述したように二官能性固定化試薬から作製したhER固定化電極を用いて、合成エストロゲン(ジエチルスチルベストロール)、および工業用化学物質(ビスフェノールA、ノニルフェノール、ジブチルフタレート)および天然アンドロゲン(テストステロン)の各物質を作用させ、その応答を実施例2と同じ条件下にサイクリックボルタンメトリーにより測定した。測定は100mM (100% DMSO溶液)、1mM (50%DMSO水溶液)、100μM (0.5%DMSO)のストック溶液をそれぞれ調製し、これらを測定溶液中に攪拌しながら滴下することで行った。また、測定物質を含まない同濃度のDMSO溶液を用いて同様に測定しコントロールとした。
【0030】
この結果、ヒトエストロゲン(17β−エストラジオール)および合成エストロゲン(ジエチスチルベストロール)のみならず、ビスフェノールA、ノニルフェノール、ジブチルフタレートの三種の化学物質も全て本検出システムに応答することが明らかとなった。そこで、図5に示すように、測定物質を添加したときのピーク電流の減少量(△ip)と濃度の関係をプロットしたところ10-8Mから10-4Mまでほぼ線形の応答が得られ、本システムが、こららの物質の定量にも有用であることが分かった。これらの物質はすでにいくつかのリスクアセスメント法によりその内分泌撹乱活性が確認されており、この結果はあらためてそれを裏付けるものである。これに対し、測定条件下においてhER固定化電極は、コントロールとして使用したDMSOに対して有意の応答を示さなかった。
【0031】
これらの結果より、ヒトエストロゲンレセプターを認識素子とする本発明の分析用素子(バイオセンサー)は、天然の女性ホルモンのみならず、内分泌撹乱物質に対しても良好な電気化学的応答を示すことが明らかである。これらの物質は17β−エストラジオールと同様、H3, H6, H8とループ, H11, H12およびS1/S2ヘアピンで構成されるリガンド結合ポケットに結合し、同様のコンホメーション変化を誘起するものと考えられる。エストラジオールはステロイドA環の水酸基が、Glu353(H3)のカルボキシル基, Arg394のグアニジウム基に挟まれた形(pincers構造)で強く水素結合し、さらに水1分子と水素結合する。また、D環の17β−水酸基とHis524(H11)との水素結合、そしてA,B,D環を取り巻くリガンド結合ドメインの疎水性部位との疎水性相互作用を形成することが明らかとなっているが、多くの内分泌撹乱物質も疎水性骨格とフェノール性水酸基を使ってこれと類似した結合により安定化されるのであろう。この時、実施例2の場合と同様に、電極表面上に形成されたhERからなるタンパク質層の物性が変化し、これがピーク電流値の変化をもたらしたと考えられる。
【0032】
【発明の効果】
以上の詳細な説明から明らかなように、本発明に従えば、レセプタータンパク質をその機能を保持した状態で金などの固体表面に固定化した電極(電気化学的分析用素子)が得られ、この素子を用いて、レセプタータンパク質とそのリガンドである生理活性物質との結合や相互作用に起因する構造変化を電気化学的に検出して当該生理活性物質の定量やスクリーニングなどを行うことができる分析システムが提供される。二官能性固定化試薬を用いてレセプタータンパク質を固定化している本発明の分析システムは、特に、リガンドとの結合や相互作用に際して二量化するレセプタータンパク質とそのリガンドとの結合性や相互作用を検出するのに適している。
【0033】
かくして、本発明の分析システムは、多量の化学物質の中から、特定のレセプタータンパク質と相互作用または結合する生理活性物質に相応する有害物質(内分泌撹乱物質、環境汚染物質など)を見分けてスクリーニングし、更には、それらを定量するのに利用することができる。例えば、実施例に記述したように、レセプタータンパク質としてエストロゲンレセプターを固定化した本発明のバイオアフィニティーセンサーは、天然の女性ホルモンである17β−エストラジオールはもちろんのこと、エストロゲン様作動性物質として疑われる工業化成品に対しても良好な電気化学的応答を示す。
さらに、本発明の分析システムは、新しい薬剤や治療法の開発に当たり、特定のレセプタータンパク質に対して、アゴニストまたはアンタゴニストとして結合または相互作用する生理活性物質を確認したり選別するのに利用することもできる。
【0034】
電気化学反応を利用する本発明の分析システムは、前述したような従来技術に比べて、きわめて迅速な検出が可能であり、多くの場合は数分以内で検出することができる。また、本発明の分析システムは、感度の点でも極めて優れている。例えば、実施例に示したhER固定化電極を用いる分析における検出感度は現在最も感度の良い方法であるRI標識リガンドを用いた競合アッセイ法に匹敵する(検出下限10-10M)。
さらに、本発明の分析システムは、汎用品を用いて構築することができるのでコスト的にも有利であり、必要に応じてマイクロチップ化や小型化も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って作製されるレセプタータンパク質固定化電極(電気化学的分析用素子)の構造を模式的に示すものである。
【図2】本発明において用いられる固定化試薬の好ましい例の合成工程を概示する。
【図3】本発明に従い、二官能性固定化試薬から作製されたヒトエストロゲンレセプター固定化電極を用いて測定した17β−エストラジオールのサイクリックボルタンメトリー応答を示す。
【図4】比較のために一官能性固定化試薬から作製されたヒトエストロゲンレセプター固定化電極を用いて測定した17β−エストラジオールのサイクリックボルタンメトリー応答を示す。
【図5】本発明に従うヒトエストロゲンレセプター固定化電極を用いて行った各種の内分泌撹乱物質のサイクリックボルタンメトリー測定結果を示す。

Claims (6)

  1. 金電極から成る導電性基板上に、該導電性基板に対する吸着部位であるジスルフィド基と錯体配位子とを有する固定化試薬を介してニッケル錯体またはコバルト錯体が固定化され、さらに、該錯体に結合したヒスチジンタグを介してレセプタータンパク質が固定化されて構成され、前記レセプタータンパク質によって特異的に認識される生理活性物質の電気化学的分析用素子であって、前記固定化試薬が前記ジスルフィド基の両端にリンカー部位を介してニトリロトリ酢酸が連結されている二官能性固定化試薬から成ることを特徴とする生理活性物質の電気化学的分析用素子。
  2. レセプタータンパク質が、核内レセプターであることを特徴とする請求項1に記載の生理活性物質の電気化学的分析用素子。
  3. 核内レセプターが、エストロゲンレセプターであることを特徴とする請求項に記載の生理活性物質の電気化学的分析用素子。
  4. レセプタータンパク質によって特異的に認識される生理活性物質を定量し又はスクリーニングする分析方法であって、請求項1〜のいずれかに記載の生理活性物質の電気化学的分析用素子を作用電極とし、酸化還元性マーカーの存在下に、被分析タンパク質を含有する可能性のある試料溶液についてサイクリックボルタンメトリーによって電流電位特性を測定することを特徴とする方法。
  5. 酸化還元性マーカーとしてK4Fe(CN)6/K3Fe(CN)6を用いることを特徴とする請求項に記載の生理活性物質の分析方法。
  6. 請求項に記載の電気化学的分析用素子を用い、生理活性物質としてエストロゲンまたは擬似エストロゲン物質を定量することを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の生理活性物質の分析方法。
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