JP3992506B2 - ガス発生器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジング内のガス発生剤を複数の点火器によって燃焼させて、エアバッグの膨張展開を制御可能とする状況適応型のエアバッグ用のガス発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の衝突時に生じる衝撃から乗員を保護するため、急速にエアバッグを膨張展開させるガス発生器は、ステアリングホイール内やインストルメントパネル内に装着されたエアバッグモジュールに組み込まれている。そして、ガス発生器は、コントロールユニット(作動器)からの通電によって点火器(スクイブ)を発火し、この火炎によりガス発生剤を燃焼させて、多量のガスを急激に発生させるものである。
【0003】
従来のガス発生器では、乗員の着座姿勢(正規着座、前屈み等の非正規着座)や衝突時の車速(加速度)の如何に拘らず、常に、エアバッグを急速に膨張展開させる形態を有している。従って、自動車の乗員の着座姿勢、衝突時の車速(加速度)に応じたエアバッグの展開が困難であり、乗員を保護するエアバッグ本来の機能を発揮できないというおそれがある。
【0004】
そこで近年、ガス発生器においては、エアバッグの初期膨張を緩やかにするなど、乗員の着座姿勢、衝突時の車速(加速度)に応じてエアバッグを展開する状況適応型のエアバッグ用のガス発生器が提案、開発されつつある。
【0005】
例えば、特開平9−183359、US5320382によれば、燃焼室を隔壁で2以上に分割して、2あるいは3段階にガスを発生させるガス発生器が開示されている。また、WO00/48868、US6142515によれば、ハウジング内部に筒体を有し、ガスを2段階で発生させるガス発生器が開示されている。
【0006】
このように、各点火器の作動(通電発火)を適宜選択することで、乗員の着座姿勢、衝突時の車速(加速度)に応じたエアバッグの膨張展開を制御可能としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
少なくとも2段階以上の燃焼を実現するために、ガス発生器内部の燃焼室を2分割以上にする必要があるが、理想的な燃焼を達成するためには、同様に2つ以上のフィルタ手段が必要となる。WO00/48868、US6142515の場合には、第1段、第2段の燃焼ガスは、いずれも、共通なフィルタ手段を通過してガス発生器外へ放出されるため、通常、第1段、第2段が同時に作動した場合に適当な冷却能力のフィルタ手段が配置されている。しかしながら、特に、ガス発生器が時間差をかけて作動した場合に、第1段が作動した時は、フィルタ手段の冷却性能が必要過剰な状態であるため、第1段に要求されるガス発生剤量は必然的に多くなり、第1段と第2段に分けることの出来るガス発生剤量の比率に対する自由度が小さくなる。また、冷却性能が必要過剰の状態で燃焼するため、燃焼ガス中に含まれる、例えば、NOxあるいはCO濃度が高くなるおそれがある。
【0008】
また、特開平9−183359、US5320382によれば、燃焼室内部を隔壁によって分割しているが、いずれの場合も、イニシエータシェル、クロージャシェルより構成されるガス発生器内部に、フィルタ手段以外の隔壁を設け、それを使用することで、各燃焼室を分割する隔壁を固定しており、コスト高となる。また、フィルタ手段自体を、隔壁を有する形に成型する場合もあるが、フィルタの成型に多大なコストを有するうえに、燃焼室を完全に区切ることが出来ない。
【0009】
本発明は、少ない部品点数で、燃焼室を2つ以上に区画でき、また、同時にフィルタ手段も独立して使用できるように調整される状況適応型のガス発生器を、低コストで提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の請求項1に記載のガス発生器は、複数の点火手段を備えたイニシエータシェルとクロージャシェルとからなる円筒状のハウジングと、前記ハウジング内に装着されたフィルタ手段と、前記フィルタ手段内部に形成された燃焼室と、前記燃焼室を少なくとも2以上に分割する仕切り部材と、前記燃焼室に装填され燃焼によりガスを発生するガス発生剤と、を備えてなるガス発生器であって、前記仕切り部材は、板材が曲折して形成され、前記フィルタ手段に設けられた位置決め手段によって位置決めされていることを特徴とする。そして、前記位置決め手段が、前記フィルタ手段に形成された少なくとも1以上の凹凸部であるものである。このような構成によると、イニシエータシェルとクロージャシェルとからなる円筒状のハウジング以外に、内部に隔壁を設けることなく燃焼室を区画することもできる。また、板材が曲折されて仕切り部材が形成されているため、各燃焼室間を確実に区画することができる。そして、仕切り部材が、フィルタ手段に形成された位置決め手段によって位置決めされているため、少ない部品点数で燃焼室を区画することができる。
【0011】
さらに、フィルタ手段を形成する際に位置決め手段を同時に形成することが可能となる。また、この凹凸部によって、フィルタ手段内部の燃焼室を区画することも可能となる。
【0012】
請求項2に記載のガス発生器は、請求項1において、前記燃焼室のうち、少なくとも一方の燃焼室には、前記仕切り部材によって区画された燃焼室の上部及び/又は下部に少なくとも断面コ状の部分を有する第1仕切り板及び/又は第2仕切り板とが設けられているものである。このような構成によると、一方の燃焼室で発生した高温ガスが、燃焼室の上下部のハウジングとフィルタ手段との間の隙間を通過することを防止することができる。これにより、一方の燃焼室から他方の燃焼室へ高温ガスが侵入することも防止でき、より確実に時間差を持って各燃焼室に装填されたガス発生剤を燃焼させることができる。
【0013】
請求項3に記載のガス発生器は、請求項1又は2において、前記燃焼室のうち、少なくとも一方の燃焼室は有底円筒状の隔壁を有しているものである。このような構成によると、有底円筒状の隔壁内部にガス発生剤を装填することで、他方側の燃焼室のガス発生剤が燃焼した場合に、フィルタ手段を介して高温ガスが侵入することを防止でき、他方の燃焼室からの高温ガスによってガス発生剤が所望の時間差よりも先に、燃焼するのを防ぐことができる。
【0014】
請求項4に記載のガス発生器は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記仕切り部材は、前記有底円筒状の隔壁と共に、前記位置決め手段によって前記フィルタ手段に位置決めされているものである。このような構成によると、フィルタ手段及び有底円筒状隔壁の両方で仕切り部材を保持する形態をとるため、仕切り部材の破断に対する強度が高まり、仕切り部材を肉薄化することができる。これにより、ガス発生器の軽量化、低コスト化が可能となる。また、特に、フィルタ部材の凸部と有底円筒状の隔壁を密着させる形態の場合は、一方の燃焼室の燃焼ガスが、他方の燃焼室に侵入しにくい構造とすることができる。
【0015】
請求項5に記載のガス発生器は、請求項1〜4のいずれか1項において、前記仕切り部材が、前記フィルタ手段の内周に沿って伸びる部位を有しているものである。このような構成によると、内周に沿って伸びる部位の長さによって、フィルタ手段の使用箇所を限定することができ、適切なフィルタ部材の量を簡単に決定することができる。
【0016】
請求項6に記載のガス発生器は、請求項1〜5のいずれか1項において、前記仕切り部材に、少なくとも1つ以上の貫通孔が設けられているものである。このような構成によると、仕切り部材の後ろ側にフィルタ手段が隠れるように配置されている場合であっても、その部位のフィルタ手段も有効に利用することができる。
【0017】
請求項7に記載のガス発生器は、請求項1〜6のいずれか1項において、前記フィルタ手段が、部分的に通気抵抗、及び密度に差があるものである。このような構成によると、特に、各燃焼室に必要なフィルタ手段の配分を、より適切に行うことができる。すなわち、例えば、各燃焼室でガス発生剤の組成などが異なる場合に、燃焼温度の高いガス発生剤の装填された燃焼室には、フィルタ手段の密度を高く配置することができる。
【0018】
請求項8に記載のガス発生器は、請求項1〜7のいずれか1項において、前記フィルタ手段の外周上に、少なくとも1ヶ所以上の凸部を有しているものである。このような構成によると、各燃焼室からフィルタ手段を通過した燃焼ガスが、他の燃焼室へ、流入する割合を減少させることができる。
【0019】
請求項9に記載のガス発生器は、請求項1〜8のいずれか1項において、フィルタ手段は、メリヤス編みの金網をプレス成形することで作られているものである。このような構成によると、フィルタ手段を、任意の形状に、低コストで成型することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るガス発生器の実施形態例について説明する。
【0021】
図1に本発明の第1の実施形態例に係るガス発生器P1の正面の断面図を示す。図1において、ガス発生器P1は、運転席用エアバッグを膨張展開させるもので、イニシエータシェル1とクロージャシェル2とからなる円筒状のハウジング3と、ハウジング3内に装着されたフィルタ手段4と、このフィルタ手段4の内部に形成された燃焼室5と、燃焼室5を第1燃焼室5aと第2燃焼室5bの2室に分割区画する仕切り部材6と、燃焼室5内に装填されているガス発生剤7と、これら第1燃焼室5a及び第2燃焼室5bそれぞれに装填されているガス発生剤7をそれぞれ独立して燃焼させる点火手段8、9とで構成されている。そして、イニシエータシェル1とクロージャシェル2とが突き合わされて溶接部10において溶接されている。なお、イニシエータシェル1とクロージャシェル2とは、溶接以外の方法、例えば、圧接等の方法で接合することもできる。
【0022】
円筒状のハウジング3を構成するクロージャシェル2は、天盤部17と、天盤部17からイニシエータシェル1に向って延びる側筒部18と、側筒部18から径外側に沿って延びるフランジ部19とで構成されている。側筒部18には、ガス発生剤7の燃焼により発生するガスが放出される複数のガス放出口20が形成されている。
【0023】
このクロージャシェル2に突き合わされて溶接されるイニシエータシェル1は、底盤部21と、底盤部21からクロージャシェル2に向って延びる側筒部22とで構成されている。底盤部21には、点火手段8,9を保持する円筒状の点火手段保持部23、24が一体に形成されている。
【0024】
これらクロージャシェル2とイニシエータシェル1とで構成されるハウジング3内に装着されているフィルタ手段4は、例えば、メリヤス編み金網、平織金網やクリンプ織り金属線材の集合体を円筒状に成形することによって安価に製作される。好ましくはメリヤス編み金網を用いることによって、プレス成形をすることが可能となり、任意の形状のフィルタ手段4を形成することができる。このフィルタ手段4は、イニシエータシェル1及びクロージャシェル2の側筒部22,18の内周壁面に沿って設けられている。このフィルタ手段4の外周上のハウジング3の下部側に凸部41が形成されている。これによって、凸部41がイニシエータシェル1の側筒部22の内周壁面に接し、シェル内での確実な位置決めが行える。また、このようにフィルタ手段4の外周上に凸部41を形成することで、各燃焼室5a,5bからフィルタ手段4を通過した燃焼ガスが、他方の燃焼室へ流入する割合を減少することができる。さらに、フィルタ手段4のクロージャシェル2側には、この凸部41と同様の作用をする凸部42も形成されている。この凸部42は、クロージャシェル2の側筒部18の内周壁面と接するように形成されている(図2参照)。そして、これら凸部41,42によって、ハウジング3の内壁とフィルタ手段4との間に、空間25が形成される。このように、空間25を形成することによって、燃焼室5で発生したガスを一旦、この空間25に滞留させることもできる。
【0025】
図2に図1におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図を示す。図2に示すように、フィルタ手段4は、肉厚が一様でなく、部分的に通気抵抗及び密度に差ができるように形成されている。これによって、各燃焼室に必要なフィルタ手段の配分を、より適切に行うことができる。すなわち、例えば、各燃焼室でガス発生剤の組成などが異なる場合に、燃焼温度の高いガス発生剤の装填された燃焼室側には、フィルタ手段4の密度が高い部分を配置するようにする。
【0026】
また、フィルタ手段4の内周部には、凸部11と凹部12とで構成される仕切り部材6の位置決め手段13が形成されている。仕切り部材6は、このフィルタ手段4に形成された位置決め手段13によって位置決めされ、燃焼室5を2室に分割区画する。
【0027】
図3に、本実施形態例に係る仕切り部材6の概略図を示す。仕切り部材6は、板材を図3に示すように、両端に端部61を有し、中央部が突出する曲凸部63となるような形状に曲折して形成されている。このような形状に曲折して形成することで、フィルタ手段4に装着した際に、端部61がフィルタ手段4の内周に沿って装着されるようになる。これによって、この端部61がフィルタ手段4を押し広げるような付勢力が作用し、フィルタ手段4に形成された凹凸部12,11で構成される位置決め手段13に確実に位置決めされる。
【0028】
また、仕切り部材6は、図3に示すように、少なくとも1以上の貫通孔62が形成されている。この貫通孔62が形成されていることによって、フィルタ手段4に装着した場合であっても、燃焼室5とフィルタ手段4とが連通する。このため、フィルタ手段4が仕切り部材6の後ろ側に隠れるように配置された場合でも、その部位のフィルタ手段4を有効に利用することができる。
【0029】
この仕切り部材6によって、第1燃焼室5a、第2燃焼室5bに区画された燃焼室5の一方の燃焼室、本実施形態例においては、第1燃焼室5aの上部及び下部に、図4に示すような断面がコ状の第1仕切り板14及び第2仕切り板15が設けられている。これら第1仕切り板14及び第2仕切り板15は、第1燃焼室5aと略同一の形状に形成されており、第1燃焼室5aの上部及び下部を覆うように配置される(図1参照)。なお、これら第1仕切り板14及び第2仕切り板15は、第1燃焼室5aの上部及び下部の両方に設置することが好ましいが、いずれか一方に設置するようにしてもよい。また、これら第1仕切り板14及び第2仕切り板15は、全断面がコ状であることが好ましいが、一部がコ状であるような形状であってもよい。
【0030】
また、図4に示す第1仕切り板14及び第2仕切り板15は、それぞれクロージャシェル3の天盤部17及びイニシエータシェル2の底盤部21に面するように設置される(図1参照)。このとき、第2仕切り板15の底部には図示しないが、点火手段8および点火手段保持部23とが通過する孔が形成されている。これによって、第1燃焼室5aで発生した燃焼ガスが、天盤部17と底盤部21とフィルタ手段4との隙間から流出することが防止される。このため、第1燃焼室5aで発生したガスは、確実にフィルタ手段4を通過することになる。加えて、第1燃焼室5aで発生した燃焼ガスの第2燃焼室5bへ侵入する割合を減少することができ、第2燃焼室5b内のガス発生剤7が第1燃焼室5aからの高温ガスによって燃焼することも防止でき、より確実に時間差を持って各燃焼室に装填されたガス発生剤を燃焼させることができる。
【0031】
また、仕切り部材6によって区画された第1燃焼室5a、第2燃焼室5bの各燃焼室5には、点火手段8、9が、底盤部21に形成された点火手段保持部23,24にそれぞれカシメ固定されている。この点火手段8、9には、例えば、ピン型スクイブ、ピッグテイル型スクイブ等を用いることができる。なお、ここでいう点火手段とは、コントロールユニットからの通電によって発火する点火器のみからなる場合や、それに加え、ガス発生剤の確実な着火のためにガス発生器内部に配置されるエンハンサ剤やその容器等を含んでも良い。
【0032】
以上の様に構成されるガス発生器P1は、ステアリングホイール内に装着されることになるエアバッグモジュールに組み込まれる。そして、ガス発生器P1の各点火手段8,9は、図示省略する車両側コネクタにそれぞれ接続され、制御部に接続される。
【0033】
制御部は、例えば、自動車の衝突を検出する衝突センサ(加速度センサ)と、各点火手段8,9に通電する昇圧回路と、バックアップコンデンサと、スクイブ(点火器)駆動回路とで構成され、マイクロコンピュータで制御される。
【0034】
そして、制御部に接続されたガス発生器P1は、衝突センサが自動車の衝突を検出することで、先に点火させる点火手段、例えば、点火手段8に接続されているスクイブ駆動回路によって点火手段8のみが作動(通電発火)して、第1燃焼室5a内のガス発生剤7を燃焼させて、高温ガスを発生させる。このとき、第1燃焼室5a内は圧力が上昇するが、仕切り部材6は、位置決め手段13によって位置決めされているためずれることがない。そして、第1燃焼室5a内で発生した高温ガスは、フィルタ手段4を通過して、スラグ捕集と、冷却を経て空間25に流出し、ガス放出口20から放出される。この段階においては、第1燃焼室5aのガス発生剤7のみの燃焼であるため、エアバッグは緩やかに膨張展開を開始する。
【0035】
続いて、第1燃焼室5aの燃焼開始後、制御部のマイクロコンピュータによって制御されたスクイブ駆動回路により微小時間差をもって点火手段9が作動(通電発火)する。そして、第2燃焼室5b内のガス発生剤7を燃焼させることで、高温ガスを発生させる。
【0036】
第2燃焼室5b内で発生した高温ガスは、フィルタ手段4内に流入し、ここでスラグ捕集と冷却を経て空間25内に流出する。そして、空間25に流出したガスは、ガス放出口20から放出される。これによって、エアバッグは各燃焼室5a、5bから放出される多量の清浄なガスによって急速な膨張展開に移行される。
【0037】
また、各点火手段8、9の作動は、点火手段8を先に作動させる態様にて説明したが、点火手段9を先に作動させてもよく、更には、微小時間差をもって行うことを必ずしも要するものでなく、自動車の衝突形態により適宜選択される。
なお、先に点火手段9を作動させた場合であっても、仕切り部材6は、その端部61によってフィルタ手段4に当接し、フィルタ手段4を押し広げるように付勢されているため、第2燃焼室5b内の圧力が上昇しても、ずれることが防止される。
【0038】
例えば、高速度での正面衝突や前方衝突の如き危険度の高い衝突では、各点火手段8、9を同時に作動(通電発火)して、エアバッグを各燃焼室5a、5bで発生した多量のガスにて急速に膨張展開させる。
又、危険度の中程度の衝突では、各点火手段8、9を微小時間差をもって作動(通電発火)して、エアバッグを展開初期において少量のガスで緩やかに膨張展開し、微小時間後に多量のガスにて急速に膨張展開させる。
更に、危険度の軽程度の衝突では、例えば点火手段8のみを作動(通電発火)して、エアバッグを比較的長い時間をかけて少量のガスにて緩やかに膨張展開させる。
【0039】
この様にガス発生装置によれば、各点火手段8、9の作動(通電発火)を選択することで、発生するガス量を調整でき、エアバッグ膨張展開を制御可能となせる。そして、この際、燃焼室5を2室に区画する仕切り部材6がガス発生時にずれることがない。このため、各燃焼室5a、5bで発生したガスの一方の燃焼室から他方の燃焼室への流入する割合を減少させることができるようになる。
【0040】
次に、図5及び図6を参照しつつ、本発明のガス発生器の第2の実施形態例について説明する。なお、図1と同一部材は、同一符号を付して詳細な説明は割愛する。
【0041】
第2の実施形態例に係るガス発生器P2の正面の断面図を図5に示す。また、図6に、図5におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図を示す。本実施形態例に係るガス発生器P2は、前述の第1の実施形態例に係るガス発生器P1において、仕切り部材6によって区画された一方の燃焼室に有底円筒状の隔壁16が配置されている。そして、ガス発生剤7がこの隔壁16内に装填され、第2燃焼室5bを構成している。
【0042】
この隔壁16は、底部及び筒部に複数のガス放出孔31が形成されている。このガス放出孔31は、アルミテープ等で塞いでおいてもよい。そして、この隔壁16の外周部には空間32が形成されている。このため、第2燃焼室5b内で発生したガスは、隔壁16に形成されたガス放出孔31から放出された後、この空間32に滞留した後、フィルタ手段4を通過してガス放出口20から放出される。
【0043】
また、この隔壁16は、図6に示すように、仕切り部材6の曲凸部63内に当接され、仕切り部材6と共にフィルタ手段4に形成された位置決め手段13によって位置決めされている。
【0044】
このように、第2燃焼室5bが隔壁16内に形成されることによって、他方側の燃焼室である第1燃焼室5aのガス発生剤7が燃焼した場合に、フィルタ手段4を介して高温ガスが侵入することを確実に防止できる。このため、他方の燃焼室からの高温ガスによってガス発生剤が所望の時間差よりも先に、燃焼するのを防ぐことができる。
【0045】
次に、第3の実施形態例に係るガス発生器P3の図5におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図を図7に示す。図7に示す第3の実施形態例に係るガス発生器P3は、第2の実施形態例におけるガス発生器P2において、第1燃焼室5aの容積をフィルタ手段4に形成された位置決め手段13の位置を変えて大きくしたものである。また、これにあわせて、仕切り部材6の曲凸部63の凸部が高くなるように形成されている。そして、隔壁16をこの曲凸部63内で位置決めでき、フィルタ手段4に形成されている位置決め手段13の凸部11とで確実に保持できるような形状に形成されている。
【0046】
図8に、第4の実施形態例に係るガス発生器P4の図5におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図を示す。図8に示すガス発生器P4は、前述のガス発生器P2,P3と異なり、第1燃焼室5aの容積を小さくした場合のものである。この場合、隔壁16は、主にフィルタ手段4の凸部11によって保持され、仕切り部材6の曲凸部63でフィルタ手段4側に付勢されて位置決めされている。
【0047】
図9に、第5の実施形態例に係るガス発生器P5の正面の断面図を示す。また、図10に、図9におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図を示す。ガス発生器P5は、前述のガス発生器P2と異なり、隔壁16の筒部にフィルタ手段4が当接して空間32が形成されていない場合のものである。これによって、例えば、第2燃焼室5bに燃焼温度の高いガス発生剤を装填した場合であっても、フィルタ手段4の配分を多くすることができ、第2燃焼室5bからの高温ガスを十分に冷却することが可能となる。
【0048】
また、図11に、図12におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図を示す。本実施形態例に係るガス発生器P6は、前述のガス発生器P2乃至P4と異なり、空間32にフィルタ手段4の凸部36が形成されているとともに、仕切り部材6及び隔壁16に代わり、円筒状の内筒35によって燃焼室5を第1燃焼室5aと第2燃焼室5bに区画しているものである。
【0049】
図12は、本実施形態例に係るガス発生器P6の図11のA−A線断面の断面図である。内筒35は、図12に示すように、ハウジング内3をイニシエータシェル1の底盤部21からクロージャシェル2の天盤部17にわたって形成されている。このため、第1燃焼室5aと第2燃焼室5bとの間を確実に区画することができる。また、この内筒は、フィルタ手段4に形成された位置決め手段13によって位置決めされると共に、底盤部21に溶接等によって接合されている。このため、位置ずれ等を起こすことなく確実に燃焼室5を区画することができる。
【0050】
また、空間32内に形成されている凸部36は、内筒35の位置決めを確実に行うと共に、空間32内に滞留したガスを放出される際に、より確実に冷却する機能も有する。
【0051】
また、本発明に係るガス発生器は、前述した第1乃至第6の実施形態例に係るガス発生器P1乃至P6に示すように、ハウジング内が2室に区画されたものに限定されるものではなく、例えば、図13に示すように、3室に区画されたものを含む。
【0052】
図13に第7の実施形態例に係るガス発生器P7の正面の断面図を示す。図13に示すガス発生器P7は、2枚の仕切り部材6a,6bによって、ハウジング内を3室に区画したものである。
【0053】
図14に、図13におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図を示す。図14に示すように、2枚の仕切り部材6a,6bは、それぞれ、フィルタ手段4に設けられた位置決め手段13によって位置決めされると共に、端部61の先端64が折り曲げられ、フィルタ手段4内に挿入されて確実に位置決めされている。そして、この2枚の仕切り部材6a,6bによって区画された各室には点火手段8,9,33が設けられている。そして、点火手段8が設けられている第1燃焼室5aの上部には、断面がコ状の第1仕切り板14が設けられている。これによって、第1燃焼室5aで発生したガスは、この仕切り板14と仕切り部材6a,6bによって、第2燃焼室5b、第3燃焼室5cに侵入することが防がれている。また、各燃焼室5a、5b、5cに設けられている各点火手段8,9,33を時間差をもって作動させることによって自動車の衝突形態によってエアバッグの膨張展開を選択できるようにしている。
【0054】
【発明の効果】
本発明に係るガス発生器は、以上のように構成されており、少ない部品点数で、燃焼室を2つ以上に区画でき、また、同時にフィルタ手段も独立して使用できるように調整される状況適応型のガス発生器を、低コストで提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態例におけるガス発生器P1の正面の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態例におけるガス発生器P1の図1におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図である。
【図3】本発明に係るガス発生器に用いられる仕切り部材の一例を示す外観概略図である。
【図4】本発明に係るガス発生器に用いられる仕切り板の一例を示す外観概略図である。
【図5】本発明の第2の実施形態例におけるガス発生器P2の正面の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態例におけるガス発生器P2の図5におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態例におけるガス発生器P3の図5におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態例におけるガス発生器P4の図5におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態例におけるガス発生器P5の正面の断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態例におけるガス発生器P5の図9におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態例におけるガス発生器P6の図12におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図である。
【図12】本発明の第6の実施形態例におけるガス発生器P6の図11におけるA−A線断面図である。
【図13】本発明の第7の実施形態例におけるガス発生器P7の正面の断面図である。
【図14】本発明の第7の実施形態例におけるガス発生器P7の図13におけるA−A線断面の矢印方向からの断面図である。
【符号の説明】
1 イニシエータシェル
2 クロージャシェル
3 ハウジング
4 フィルタ手段
5 燃焼室
6 仕切り部材
7 ガス発生剤
8、9 点火手段
13 位置決め手段
14 第1仕切り板
15 第2仕切り板
16 隔壁
20 ガス放出口
Claims (9)
- 複数の点火手段(8,9)を備えたイニシエータシェル(1)とクロージャシェル(2)とからなる円筒状のハウジング(3)と、前記ハウジング(3)内に装着されたフィルタ手段(4)と、前記フィルタ手段(4)内部に形成された燃焼室(5)と、前記燃焼室(5)を少なくとも2以上に分割する仕切り部材(6)と、前記燃焼室(5)に装填され燃焼によりガスを発生するガス発生剤(7)と、を備えてなるガス発生器であって、前記仕切り部材(6)は、板材が曲折して形成され、前記フィルタ手段(4)に設けられた位置決め手段(13)によって位置決めされており、
前記位置決め手段(13)が、前記フィルタ手段(4)に形成された少なくとも1以上の凹凸部(12,11)であることを特徴とするガス発生器。 - 前記燃焼室(5)のうち、少なくとも一方の燃焼室には、前記仕切り部材(6)によって区画された燃焼室(5)の上部又は下部に少なくとも断面コ状の部分を有する第1仕切り板(14)及び/又は第2仕切り板(15)とが設けられている請求項1に記載のガス発生器。
- 前記燃焼室(5)のうち、少なくとも一方の燃焼室は有底円筒状の隔壁(16)を有している請求項1又は2に記載のガス発生器。
- 前記仕切り部材(6)は、前記有底円筒状の隔壁(16)と共に、前記位置決め手段(13)によって前記フィルタ手段(4)に位置決めされている請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス発生器。
- 前記仕切り部材(6)が、前記フィルタ手段(4)の内周に沿って伸びる端部(61)を有している請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス発生器。
- 前記仕切り部材(6)に、少なくとも1つ以上の貫通孔(62)が設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス発生器。
- 前記フィルタ手段(4)が、部分的に通気抵抗、及び密度に差がある請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス発生器。
- 前記フィルタ手段(4)の外周上に、少なくとも1ヶ所以上の凸部(42)を有している請求項1〜7のいずれか1項に記載のガス発生器。
- 前記フィルタ手段(4)は、メリヤス編みの金網をプレス成形することで作られている請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス発生器。
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