JP3991169B2 - 発泡性窯業製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイル,洗面器,便器,タンク、その他各種窯業製品を製造するための原料の調整をガラス粉末の添加によって行う方法に関する。ガラス粉末を添加する目的は2つ有り、1つは原料の解膠状態の調整、もう1つは発泡性製品を製造する場合における発泡率の調整である。
【0002】
【従来の技術】
窯業製品を製造するには、長石,石英,陶石,粘土などの各種原料を所定割合に調合したものを、ボールミル等で細磨して泥漿を得、これに脱水や乾燥を施したのち、成形し、焼成するという一連の工程を実行するのが一般的である。
【0003】
前記工程のうち細磨工程を湿式粉砕とする場合は、ボールミル等へ、所定割合に調合した各種原料と適量の水とを投入して、数時間細磨することにより、泥漿を調整する。このとき、各原料粒子の懸濁状態を安定化し、粒子の凝集を防いで泥漿粘度を小さく抑えるため、通常、解膠剤が添加される。前記細磨工程により得られた泥漿を、フィルタープレス等で一旦脱水したのち、これを再び懸濁して坏土泥漿とする場合があり、このときにも普通、解膠剤が添加される。
【0004】
従来使用されている解膠剤としては、リン酸ナトリウム・ポリリン酸ナトリウム・水酸化ナトリウム・アルミン酸ナトリウム・珪酸ナトリウム(水ガラス)等のナトリウム塩類がよく知られており、そのほか、水酸化リチウム・炭酸化リチウム等のリチウム塩類や、アミン化合物類等の有機解膠剤も使用されている。
【0005】
また、発泡タイル等の発泡性窯業製品を製造する場合は、原料の細磨工程時に炭化ケイ素(SiC)等の発泡剤を加えるが、発泡剤の二次凝集を抑制して分散状態を均一化するためにも、通常、解膠剤が添加される。発泡剤を均一に分散させることが製品の良否に大きく影響し、もし発泡剤の二次凝集(偏析)が生じると、発泡率の変動をきたし、製品の寸法不良や形状不良をもたらす。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述する従来の解膠剤については、次のような問題点を有している。まず第一に、従来の前記解膠剤は一般に高価であり、そのためコスト高をもたらす一因となっている。
【0007】
第二に、従来の解膠剤は、添加量の管理が非常に難しいという問題がある。解膠剤の最適量は原料の種類によって異なるうえ、少なすぎても多すぎても解膠を示さない。添加量不足は解膠不良を招き、適量を越える過剰な解膠剤の添加は、むしろ二次的な凝集を起こすので、添加量は厳密に管理しなくてはならない。一例を挙げると、非常に効果的な解膠剤であるポリリン酸ナトリウムの最適使用量は、原料100重量部に対しわずか0.1〜0.5重量部という微量な範囲であり、この値より多くても少なくても泥漿粘度が適正値を逸脱し、解膠不良又は二次凝集を招来するおそれがある。
【0008】
他方、発泡性窯業製品の製造には、従来の次のような問題点が有る。発泡性窯業製品を製造する場合、0.05〜2%程度の発泡剤を添加するが、原料組成や細磨粒径のばらつきによって、発泡率が変動する。そこで発泡率の調整を行う必要があるが、発泡剤の添加量は非常に微量であるため、その制御は精妙さが要求され非常に困難である。原料における長石・粘土成分の比率を増減させて耐火度を変えることによって発泡率を調整することも可能であるが、この場合は生素地強度に影響を与えるという欠点がある。
【0009】
また発泡性窯業製品は、焼成によって膨張するため、通常の製品に比べて発色性が劣るという性質がある。発色性向上のため顔料の添加量を増やすのは、コスト高につながるので好ましくない。長石の配合量を増やすと発色性が高まることが知られているが、この場合は生素地強度が低下するという新たな問題を生じさせる。
【0010】
さらに発泡性窯業製品は、内部に気孔を有する構造であるため、比較的強度が低い。長石成分の増量により、素地を緻密化させて製品強度を向上させることが可能であるが、この場合は前述のように生素地強度の低下をもたらす。溶融促進剤の添加により素地を緻密化することも考えられるが、普通、溶融促進剤は顔料の発色性を阻害するのみならず、溶融粘性の低下による製品形状の不良を引き起こすおそれがあるので、使用はあまり好ましくない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、窯業製品用原料に対しガラス粉末を所定量だけ加えると、これが解膠剤として作用すると共に、発泡率の調整作用を示すという知見を得、かかる知見に基づき、前記従来の問題点を解決できる新規な窯業製品の製造方法を提供するものである。本発明が採用する発泡性窯業製品の製造方法の特徴とするところは、発泡剤が添加されている窯業製品用原料100重量部に対し、粒径が20μm以下のガラス微粒子を40%以上含むガラス粉末を1〜10重量部の割合で加える方法であって、前記発泡剤の添加量を変えることなく、前記ガラス粉末量を増減することにより発泡率を調節することである。この場合、前記ガラス粉末は、粒径が10μm以下のガラス微粒子を40%以上含んでいるものとすることができる。
【0012】
本発明方法を実施するにあたり、窯業製品用原料の細磨工程において、窯業製品用原料100重量部に対し、ガラス粉末を1〜10重量部の割合で加えることができる。
【0013】
前記本発明方法において、ガラス粉末は、Na2 Oを3%以上含んでいることが望ましい。また前記ガラス粉末は、廃ガラス粉等から成る産業廃棄ガラスとすることができる。
【0014】
ガラス粉末を添加することにより、ガラス粉末中から溶出するアルカリ(主としてK+イオン・Na+イオン)が解膠作用を発揮して泥漿の粘度を低下させ、発泡剤の分散状態を良好にする。すなわち均一な発泡状態が得られるから、製品の形状安定性が増す。
窯業製品用原料に添加するガラス粉末は、解膠剤としての作用以外に、次のような副次的作用を有している。その一つは、顔料の発色を促進するという効果である。従来、製品素地を着色するため泥漿に顔料を添加する場合、原料中の長石成分の配合比率を増すと、長石からのアルカリ放出により、顔料の発色が良くなることが知られている。しかし長石の成分比を高めると、生素地強度が低下するという欠点が発生することも知られている。本発明によれば、ガラス粉末の添加により、長石成分の比率を増大させることなく泥漿のアルカリ濃度を高め、顔料の発色を促進することができるから、生素地強度の低下を招くおそれがない。そして、顔料の発色性向上により、高価な顔料の使用量を節約することができるので、コストの低下を図ることができるという利点が得られる。
本発明においてガラス粉末の配合により発揮されるもう一つの効果は、素地の耐火度を低下させて粘土の使用比率を多くでき、依って、生素地強度を高めることができるという効果である。生素地強度を高めるには、一般に、粘土の使用比率を多くすればよいことが知られている。けれども粘土の配合比率が増すと、製品素地の耐火度が高くなるという欠点がもたらされる。耐火度が高くなると、高い焼成温度と長い焼成時間とが必要となり、その結果、焼成に要する時間・エネルギーが多大となる。そこで耐火度を低下させるため、従来、ドロマイトや石灰を原料に配合しているが、これらは顔料の発色を阻害するという短所を持っている。ガラス粉末は、上に述べたとおり、顔料の発色を阻害することはなく、むしろ顔料の発色を促進する。従って、粘土の比率を高めても、ガラス粉末の添加に基づく耐火度の低下により、焼成温度を低く設定でき、焼成時間も短縮化されるから、焼成効率の向上と焼成コストの減少とがもたらされる。さらに、焼成温度を低く設定できることにより、焼成時の温度変化幅が小さくなるので、クラック等の欠陥が起こりにくくなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を発泡性窯業製品の製造に適用する場合の実施形態について述べる。この場合、ガラス粉末の添加は、製品用原料及び発泡剤の解膠と共に、製品における発泡率の調節が目的とされる。
本発明を適用する工程は、窯業製品用原料をボールミル等で粉砕して泥漿化する細磨工程のほか、すでに調整された泥漿を一旦脱水して原料坏土とし、この原料坏土を再度懸濁して坏土泥漿を再調整する工程など、窯業製品用原料を均一に分散させることを必要とする工程が対象となる。
【0020】
添加するガラスの種類は、ソーダガラス,ソーダ石灰ガラスなど、Na2 O成分を多く含むものが適しており、Na2 Oを3%以上、望ましくは6%以上含むものであれば一層よい。上述するようなガラス粉末には、ガラス製品の端面などを研磨処理する際に生成する廃ガラス粉や、ガラス壜や窓ガラスを粉砕したものを利用することができるので、本発明は産業廃棄ガラスの活用を図れるという利点を有している。また、利用しようとする廃ガラス粉において、粒径20μm以下のガラス微粒子の含有率が40%に満たないときは、粒度調整を行ったり、工業的に製造した粒径20μm以下のガラス微粒子を加えて使用したりすることも可能である。
【0024】
ボールミルへ、所定割合に調合した原料、適量の水と共に、所定量のガラス粉末を投入し、細磨して泥漿を調整する。なお、ガラス粉末を加える時期は、細磨工程の当初からではなく、ボールミルに原料と水とを投入して所定時間細磨を行い、十分に泥漿化したのちであってもよい。この場合、ガラス粉末の添加後、短時間の細磨作業を継続する。発泡性窯業製品を製造する場合、発泡剤を0.05〜2重量部程度添加した窯業製品用原料100重量部に対し、1〜10重量部の範囲内でガラス粉末を添加する。ガラス粉末の配合量を1重量部未満とすると、必要な解膠効果が得られないおそれがあるのみならず、微量であるため配合量の管理が難しくなる。反対に、ガラス粉末配合量が10重量部を越えると、二次的凝集により泥漿粘度の増大を招くおそれがあるうえ、ガラス成分比の増大に基づく変形温度の低下により、焼成時に保形性を失って製品の形状不良を招く可能性がある。ガラス粉末量を増減することにより、発泡剤の添加量を変えることなく、発泡率を調節することが可能である。
【0025】
発泡性窯業製品用原料をボールミルで湿式細磨する工程の当初からガラス粉末を配合する場合、ガラス粉末の粒径は4mmアンダー程度であればよい。ボールミルへ、所定割合に調合した原料、発泡剤、適量の水と共に所定量のガラス粉末を投入し、細磨して泥漿を調整すると、ガラス粉末からアルカリが溶出して解膠作用が発揮され、発泡剤の均一分散状態が得られる。またアルカリによって製品素地の耐火度が変化し、その結果、発泡率も変動する。従って、ガラス粉末の添加量により、製品の発泡率を調節することが可能である。
【0026】
なお、ガラス粉末を細磨工程の当初から添加するのではなく、あらかじめ一定時間細磨を行って原料をある程度まで泥漿化してから添加する場合や、すでに調整済の原料坏土を再度懸濁して坏土泥漿を調整する際に添加する場合等、ガラス粉末に対し長時間の細磨処理がなされないときには、ガラス粉末として、粒径が20μm以下(好ましくは10μm以下)のガラス微粒子を40%以上(望ましくは60%以上)含んでいるものを用いることが必要である。粒径が20μm以下のガラス微粒子は、短時間の細磨工程あるいは混合攪拌だけで、泥漿中へアルカリ(主としてK+イオン・Na+イオン)を放出することができる。但し、ガラス粉末中の20μm以下のガラス微粒子の割合が40%未満であるときには、十分なアルカリが放出されない可能性がある。ガラス粉末の配合割合を、発泡剤を含む窯業製品用原料100重量部に対し、1〜10重量部の範囲とするのは、前記と同様である。
【0027】
ボールミルへ、窯業製品用原料と共にガラス粉末を配合して細磨することにより、又は原料を泥漿化したのちガラス粉末を投入してさらに細磨することより、前述の如く、ガラス粉末中に含まれる粒径が20μm以下のガラス微粒子からアルカリ(主としてK+イオン・Na+イオン)が溶出して解膠作用を発揮し、泥漿の粘度を低下させ流動性を高める。それ故、原料細磨時における水分添加量を抑えて泥漿の含水率を低下させることが出来るから、後続の脱水工程・乾燥工程に要する時間及びエネルギーを節約することができる。また、この泥漿を用いて鋳込み成形をすれば、流動性に優れているから粒子充填率を高めることができると共に、低含水率なので保形性に優れた素地が得られる、という利点を有している。
ガラス粉末を添加することにより、ガラス粉末中から溶出するアルカリ(主としてK+イオン・Na+イオン)が解膠作用を発揮して泥漿の粘度を低下させ、発泡剤の分散状態を良好にする。すなわち均一な発泡状態が得られるから、製品の形状安定性が増す。またアルカリは、製品素地の耐火度を低下させて発泡率を高める作用がある。すなわち、長石や粘土の配合比率を変更することなく、発泡率を調節できるから、生素地強度に影響を与えない。しかも吸水率を下げて素地を緻密化するから、製品の強度が向上する。
【0028】
【実施例】
〔参考例〕
図1に窯業製品(非発泡性)を製造する工程の一例を示す。ボールミルに、アプライト質長石,砂婆長石及び粘土類からなる窯業製品用原料100部(このうちアプライト質長石と砂婆長石との合計を80部以下、残部を粘土類とする。)、水30〜70部、解膠剤として粒径が20μm以下のガラス微粒子を40%以上含んでいるガラス粉末1〜10部、その他所要の添加剤(顔料など)を投入し、4乃至60時間細磨工程を行う。この細磨工程により、ガラス粉末からアルカリが溶出し解膠作用を発揮し、良好で且つ安定した泥漿の分散状態をもたらす。なお、ガラス粉末の添加時期は、細磨工程の開始前でも細磨工程の終了時近くであってもよい。
【0029】
細磨工程で得られた泥漿から、湿式成形法により窯業製品を製造する場合は、図1(A)に示すように、泥漿をフィルタープレス機により脱水して水分調整を施したのち、押出成形機で製品素地を成形し、これを乾燥し、焼成して、目的の製品を得る。乾式成形法を用いて製品を製造する場合は、図1(B)に示すように、泥漿を噴霧乾燥機で乾燥したのち、プレス成形機で圧縮成形し、必要に応じ乾燥を施し、これを焼成することにより、目的の窯業製品を得る。
【0030】
〔実施例〕
図2に、本発明に基づき、発泡タイル等の発泡性窯業製品を製造する工程の一例を示す。同図(A)の如く、ボールミルに、長石と粘土類とから成る窯業製品用原料100部、SiC等の発泡剤0.05〜2部、水30〜70部と共に、粒径が4mmアンダーのガラス粉末1〜10部、その他所要の添加剤(顔料など)を投入し、4乃至60時間細磨工程を行う。細磨工程により、ガラス粉末から溶出するアルカリが解膠作用を発揮して、原料と発泡剤の良好な分散状態をもたらすと共に、製品の発泡率を適度に調節する。得られた泥漿を噴霧乾燥機で乾燥したのち、プレス成形機で圧縮成形し、必要に応じ乾燥を施し、これを焼成することにより、目的の発泡性窯業製品を得る。
【0031】
なお、ガラス粉末の添加時期を、同図(B)のように細磨工程の終了時近く又は終了後とする場合や、再懸濁した原料坏土に添加する場合などには、ガラス粉末として粒径が20μm以下のガラス微粒子を40%以上含んでいるものを1〜10部添加したのち、短時間の細磨又は撹拌混合を行う。しかるのち、これを噴霧乾燥機で乾燥し、プレス成形機で圧縮成形し、必要に応じ乾燥を施し、これを焼成して、目的の発泡性窯業製品とする。
【0032】
〔試験1〕
試験1(参考例)は、窯業製品用原料(非発泡性)に対するガラス粉末の配合割合と、泥漿粘度との関係を調べたものである。試験方法は、アプライト質長石65部及び粘土35部に、水50部を加え、これをボールミルで6時間細磨して泥漿化する。この泥漿に、所定量のガラス粉末を加え、さらにボールミルで0.5時間細磨したあとの粘度を測定する。加えるガラス粉末は、平均粒度が8.3、粒径10μm以下のガラス微粒子の含有率が60%である。
【0033】
粘度の測定は、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所 LA−5000)を用いて行った。測定結果を図3のグラフに示す。
【0034】
比較例として、従来の解膠剤である珪酸ソーダ又はポリリン酸ナトリウムを加えて細磨したときの泥漿の粘度も調べた。測定結果を図4のグラフに示す。
【0035】
図3のグラフから明らかなように、窯業製品用原料にガラス粉末を加えることにより泥漿粘度を低下させることができ、しかも、ガラス粉末の配合量によって粘度の調整が可能なことが分かる。また、図3と図4との比較から明らかなとおり、同程度の粘度調整に要するガラス粉末の配合量は、従来の解膠剤である珪酸ソーダやポリリン酸ナトリウムの約10倍程度である。すなわち、ガラス粉末は、従来の解膠剤に比べると、配合量の管理がはるかに容易であることが分かる。
【0036】
〔試験2〕
試験2は、ガラス粉末の有無による発色性の違いを調べたものである。試験方法は、窯業製品用原料にクロマイト顔料と従来の解膠剤とを添加して製造した坏土(これをa坏土とする)と、窯業製品用原料にクロマイト顔料と解膠剤としてガラス粉末を配合して製造した坏土(b坏土とする)の、それぞれの発色の強さを測定し比較することにより行う。
【0037】
a坏土の製造方法は、アプライト質長石65部と粘土35部とから成る窯業製品用原料に、水50部、解膠剤としてポリリン酸ナトリウム0.5部、及び、所定量のクロマイト顔料を加え、ボールミルで6時間細磨工程を行い、得られた泥漿を120°Cで乾燥したのち、水6%を加えてネットデシン造粒機(ネット目開き=2.5mm)により造粒する。
【0038】
b坏土は、窯業製品用原料に、解膠剤としてポリリン酸ナトリウムに代えてガラス粉末3部を配合し、前記a坏土と同様の手順に従いボールミルにより細磨工程を行い、乾燥、造粒を経て製造する。
【0039】
発色強さの測定は、色差計(日本電色社製 Σ90)を使って、L値の測定を行った。なおL値は、数値が小さいほど発色強さが大きい。試験結果を図5のグラフに示す。
【0040】
ガラス粉末を配合したb坏土は、クロマイト顔料の発色が強くなっており、同程度のL値を得るのに必要な顔料の配合量を減らすことができる。例えば、L=36を得るのに必要な顔料の添加量は、a坏土では約3.1部であったのが、b坏土によれば2.7部で済み、約13%節約される。
【0041】
〔試験3〕
試験3は、本発明の実施形態において、発泡性窯業製品用原料に対するガラス粉末の配合割合と、製品の嵩比重及び曲げ強度との関係を調べたものである。嵩比重は発泡率により、曲げ強度は素地の緻密化の程度により、それぞれ決定される。
【0042】
試験方法は、長石70部及び粘土30部からなる窯業製品用原料100部に、水と、発泡剤としてSiCを0.06部、粒径4mmアンダーのガラス粉末を所定量加え、これをボールミルで細磨して泥漿化する。この泥漿を乾燥したのち、デシンター(30メッシュ)で造粒し、得られた造粒物を成形し、1200°Cで焼成して焼成体を製造する。そして、焼成体における嵩比重及び曲げ強度を測定し、ガラス粉末の添加量との関係を調べた。測定結果を図6のグラフに示す。なお曲げ強度の単位はMPaである。
【0043】
比較例として、ガラス粉末を添加せずに、発泡剤であるSiCの添加量を変えて製造した焼成体の嵩比重及び曲げ強度も同様に調べた。その測定結果を図7のグラフに示す。
【0044】
図6のグラフから、本発明方法に基づき、発泡性窯業製品用原料にガラス粉末を加えることにより、発泡剤の添加量を変えることなく、発泡率を調節することが可能なことが分かる。このとき、同程度の嵩比重調整に要するガラス粉末の配合量は、発泡剤であるSiCの約20倍以上である。すなわち、嵩比重を0.1調節するのに、SiCであれば0.01部増減させるところ、ガラス粉末であれば配合量を約2部増減させればよい。このように、発泡剤の添加量を制御して発泡率を調節する場合に比べると、ガラス粉末は、配合量の管理がはるかに容易である。
【0045】
さらに、嵩比重が同程度の製品どうしを比べると、ガラス粉末を添加したものの方が高い曲げ強度を示している。これは、ガラス粉末の添加により、素地の緻密化が促進されることを意味している。
【0046】
〔試験4〕
試験4は、本発明の実施形態において、ガラス粉末の有無による発色性の違いを調べたものである。試験方法は、窯業製品用原料に、解膠剤もガラス粉末も加えることなく、発泡剤とクロマイト顔料とを添加して調整した坏土(これをc坏土とする)と、窯業製品用原料に、発泡剤及びクロマイト顔料と共に、ガラス粉末を加えた坏土(d坏土とする)を調整し、c坏土・d坏土を用いて焼成体を製造し、それぞれの発色の強さを測定し比較する。
【0047】
c坏土の調整方法は、ボールミルに、長石70部・粘土30部から成る窯業製品用原料100部、水、発泡剤(SiC)0.08部、及び、所定量のクロマイト顔料を投入して、これを細磨して泥漿化し、この泥漿を乾燥したのち、デシンター(30メッシュ)で造粒する。d坏土の製造方法も上記と同様であって、ボールミルに、長石70部・粘土30部から成る窯業製品用原料100部に、水、発泡剤(SiC)0.06部、ガラス粉末4部、及び、所定量のクロマイト顔料を投入して、これを細磨して泥漿化し、この泥漿を乾燥したのち、デシンター(30メッシュ)で造粒する。こうして調整したc坏土及びd坏土を成形後、焼成して、発泡性窯業製品を製造し、それぞれの発色強さを測定し比較する。なお、発泡率の違いが発色性に与える影響を除くため、製造する焼成体の嵩比重はすべてほぼ1.5となるように調整した。発色強さの測定は、色差計(日本電色社製Σ90)を用いてL値を測定することにより行った。試験結果を図8のグラフに示す。
【0048】
本発明方法に基づきガラス粉末を配合して製造した発泡性窯業製品は、クロマイト顔料の発色が強くなっており、同程度のL値を得るのに必要な顔料の配合量が少なくて済む。例えば、L=約37を得るのに必要な顔料の添加量は、比較例では約3.0部であったのが、本発明によれば2.0部でよく、顔料の使用量を約33%節約できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明方法は、窯業製品用原料に所定のガラス粉末を配合するという簡単な手段により、すぐれた解膠効果を発揮して泥漿粘度を低下させるものである。従って、泥漿の含水量を減らすことができるから、後続の脱水工程・乾燥工程に要する時間及びエネルギーの節約が図れる。
【0050】
ガラス粉末の配合量は、従来の解膠剤の約10倍程度とすることができ、微量ではないから誤差の許容範囲が拡大し、厳密な配合量の管理が不要となる。従って、工程管理が容易となり、作業性が向上する。
【0051】
発泡性窯業製品を製造する場合、ガラス粉末の配合量を調節することにより、発泡剤の添加量を変えることなく発泡率を制御することが可能である。しかも発泡率を制御するにあたり、発泡剤の微量な添加量を増減させる場合に比べると、ガラス粉末は約20倍量の調節を行うから、配合量の管理が非常に容易である。さらにガラス粉末の添加は、発泡性窯業製品の素地を緻密化させるという作用を持つので、製品の強度が向上する。
【0052】
ガラス粉末は、泥漿中にアルカリを放出するので、顔料の発色性が向上する。それ故、高価な顔料の使用量を節減することができる。また長石の比率を高める必要が無いから、生素地強度に影響を与えない。この効果は、発色性の悪い発泡性窯業製品を製造する場合に、特に有用である。
【0053】
ガラス粉末を配合することにより耐火度を低下させることができるから、耐火度を上昇させる性質が有る粘土の配合割合を増やすことが可能である。依って、生素地強度の確保が容易である。また耐火度の低下により、焼成温度を低く設定でき、焼成時間も短縮化されるから、焼成に要する時間・エネルギーの節約が図れる。
【0054】
窯業製品用原料に配合するガラス粉末には、廃ガラス粉を使用できるから、産業廃棄物の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例に係るものであって、窯業製品を製造する工程の一例を示す流れ図である。
【図2】 本発明の実施例に係るものであって、発泡性窯業製品を製造する工程の一例を示す流れ図である。
【図3】 試験1に関するものであって、ガラス粉末を泥漿に配合したときの、ガラス粉末配合量と泥漿粘度との関係を示すグラフである。
【図4】試験1に関するものであって、従来の解膠剤を泥漿に配合したときの、ガラス粉末配合量と泥漿粘度との関係を示すグラフである。
【図5】 試験2に関するものであって、ガラス粉末の有無による顔料の発色強さを比較したグラフである。
【図6】試験3に関するものであって、本発明方法に基づき製造した発泡性窯業製品におけるガラス粉末配合量と、製品の嵩比重及び曲げ強度との関係を示すグラフである。
【図7】試験3に関するものであって、比較例となる発泡性窯業製品における発泡剤の添加量と、製品の嵩比重及び曲げ強度との関係を示すグラフである。
【図8】試験4に関するものであって、発泡性窯業製品におけるガラス粉末の有無による顔料の発色強さを比較したグラフである。
Claims (2)
- 発泡剤が添加されている窯業製品用原料100重量部に対し、粒径が20μm以下のガラス微粒子を40%以上含むガラス粉末を1〜10重量部の割合で加える方法であって、前記発泡剤の添加量を変えることなく、前記ガラス粉末量を増減することにより発泡率を調節することを特徴とする発泡性窯業製品の製造方法。
- 前記ガラス粉末は粒径が10μm以下のガラス微粒子を40%以上含んでいることを特徴とする請求項1に記載の発泡性窯業製品の製造方法。
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