JP3990908B2 - 管渠内の仮設水路装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水道管などの地中に埋設された管渠に対して補修工事などを行う際に、管渠内を流れる水流をバイパスさせるための管渠内の仮設水路装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、下水道管渠などの管路内部の検査や、補修工事を行う場合においては、その対象が管渠底壁部の場合は特に、底壁部を流れる下水を除去する必要がある。そのために、下水を、下水道管渠の上流側から下流側にかけて、施工対象の管路部分を迂回しバイパスさせることが必要となる。しかしながら、下水道管渠の場合、下水に圧力がかかっていないため、上下に高度差のあるバイパスを形成する必要があり、施工に困難を極めることが多い。従って、下水道管渠に補修を行う場合には、施工管路部分の上流側のマンホールからポンプで下水をくみ上げ、地上に敷設されたホースを通じて下流側のマンホールまで送り、これを下流側の管路に放流するという作業が必要とされていた。
【0003】
また、下水道管渠としての機能を維持しながら容易に管渠内壁部の補修を行える方法として、例えば特公昭59−6983号公報に記載されたものが知られている。
すなわち、この方法は、図12及び図13に示すように、下水道管渠74の内壁部77に沿った湾曲形状に形成されたパッキン72を有する一対の側板70と、前記一対の側板70を平行に一定間隔を保って連結するための連結棒71とから、枠体76を構成し、この枠体76を、円形断面の管渠内壁部77に仮固定するためのターンバックル式の締め付け機75により、押しつけて固定するものである。前記パッキン72が管渠内壁部77に圧着することにより、この枠体76の中には下水は浸入してこず、一対の側板70に挟まれた空間が作業空間73となり、この作業空間73に現れる管渠内壁部77を検査、補修することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の下水を地上にバイパスする方法では、そのバイパス経路を構成するためには多くの設備、施工工程が必要であり、仮設のバイパス経路でありながら簡易な設置が困難であった。
一方、上記従来の枠体76を下水道管渠74内に仮固定する方法では、パッキン72を有する一対の側板70を円形断面の管渠内壁部77に押し付けて枠体76を固定することで、その枠体76の内部に作業空間73を形成しているので、円形断面以外の矩形断面等には適用することが困難であるという欠点がある。
【0005】
また、一対の側板70を平行にし、連結棒71を渡して枠体76を形成しているため、かかる枠体76を下水道管渠74の軸方向に長スパンで製作する際は、枠体76の強度を維持するため、連結棒71を複数かつ大きくする必要がある。そのため作業空間73が著しく減るという欠点がある。逆に、広い作業空間73を確保するために連結棒71を少なくすると、かかる枠体76の強度や剛性が失われることになる。
本発明は、このような実情に鑑み、円形断面以外の種々の断面形状の管渠にも容易に適用でき、しかも、管渠内の軸方向長手に広い作業空間を確保することができる、管路内を流れる流体をバイパスさせるための管渠内の仮設水路装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る管渠内の仮設水路装置は、管渠の下部を流れる水流を堰き止め可能でかつその水流の導水口を有すると共に上端部が管渠の上壁部から離間しているゲート部材と、前記管渠の下部を流れる水流をすべて受け入れられる横断面を有しかつ前記ゲート部材の導水口に角度変更自在となるように接続された可動水路とを備えており、
前記ゲート部材は、前記管渠内の上流側に配置する上流ゲート部材と、前記管渠内の下流側に配置する下流ゲート部材とから構成し、前記上流ゲート部材と前記下流ゲート部材に挟まれた管渠内領域に作業空間を形成すべく、前記上流ゲート部材の有する導水口に、前記可動水路の上流端が角度変更自在となるように接続し、前記下流ゲート部材の有する導水口に、前記可動水路の下流端が角度変更自在となるように接続されており、
前記ゲート部材は、開閉自在な複数の導水口を幅方向に有し、この導水口の1つ以上に、前記可動水路の端部が角度変更自在となるように接続されていることを特徴とする。
【0007】
この本発明の仮設水路装置によれば、ゲート部材で堰き止められた水流のすべてを、その導水口を通じて角度変更自在な可動水路に流すので、管渠の断面形状に左右されることなく、その管渠内に可動水路を構築するができる。従って、かかる可動水路に水流を流し、可動水路の外部を作業空間とすることで、管渠としての機能を維持しつつ管渠内の補修を行うことができる。
また、管渠内の上流側に上流ゲート部材を配置し、その上流ゲート部材の有する導水口に可動水路の上流端が角度変更自在となるように接続すると共に、管渠内の下流側に下流ゲート部材を配置し、下流ゲート部材の有する導水口に可動水路の下流端が角度変更自在となるように接続するので、可動水路の下流側端から排出された下水が可動水路の外側に回り込むことがなく、上流ゲート部材と下流ゲート部材に挟まれた管渠内領域に作業空間を明確に形成することができる。加えて、上流ゲート部材と下流ゲート部材を管渠軸方向に長スパンで配置することにより、軸方向に長スパンに亘る作業空間が確保できる。
【0008】
さらに、可動水路をゲート枠の1つ以上の導水口に取り付ける作業工程中において、可動水路を取り付けない導水口より水流を流すことができるので、下水道管渠としての機能を損なうことがなく可動水路の取付作業を行うことができる。
また、本発明において、前記可動水路は、可撓性を有する仮設側溝から構成し、その上流側端部を前記上流ゲート部材の導水口に角度変更自在に接続するとともに、その下流側端部を前記下流ゲート部材の導水口に角度変更自在に接続することが好ましい。
【0009】
この場合、可動水路は可撓性を有し伸び縮み自在なので、管渠内における可動水路の位置を自在に変更することが可能となる。しかし、かかる可撓性を有する可動水路は取り回しが難しいことがあり、軸線方向に短いスパンで可動水路の切り換えを行うことが困難である。
そこで、本発明において、前記可動水路は、その上流側端部がゲート部材の導水口に角度変更自在に接続された可撓性を有しない切り換え側溝と、この可動側溝の下流側端部に角度変更自在に接続された可撓性を有する仮設側溝とから構成することが好ましい。
【0010】
この場合、可撓性を有しない切り換え側溝により可動水路の位置を変更するので、位置の切り換えに必要とするスパンが短くなり、作業空間を広くとることが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は本発明の第一実施形態を示すものである。
本発明の第一実施形態では、仮設水路装置は以下のような構成になっている。すなわち、図1において、地下に埋設された下水道管渠35内で作業空間を形成したい場所において、その上流側に上流側ゲート部材1が配置され、下流側に下流側ゲート部材2が配置されている。上流側ゲート部材1に設けられた導水口3Aには可動水路5の一端が角度変更自在に接続されている。さらに、この可動水路5のもう一端は下流側ゲート部材2の有する導水口3Aに角度変更自在に接続されている。
【0012】
この仮設水路装置において、下水道管渠35の上流から流れてきた下水は、上流側ゲート部材1の導水口3Aを通り、可動水路5を通過し、さらに下流側ゲート部材2の導水口3Aを経て下水道管渠35の下流へ流れている。従って、可動水路5の外側の空間45Bは、乾燥した(ドライな)状態の作業空間となっている。
管渠35内の上流側に設けられる、上流側ゲート部材1は次のような構造となっている。
【0013】
すなわち、上流側ゲート部材1は、下水道管渠35内の軸線方向直角断面の下側半分を止水堰とするためのものであり、大きくはゲート枠14とゲート板12A,12Bからなる。
ゲート枠14はステンレス材やプラスティック材など腐食に強い材料で成形されている。このゲート枠14の下端部53と側端部52は設置する管渠横断面に嵌り合う形状をしており、ゲート枠14の上端部51は幅方向に水平で、その高さは下水を堰き止めるに十分な500mm程度である。ゲート枠14が管渠底壁部36及び側壁部37に接する部分には、両者の隙間を浸入する下水を堰き止める目的で、ゴム等で形成されたパッキン25が取り付けられている。
【0014】
さらに、ゲート枠上端部51と管渠上壁部39との間に、ゲート枠固定部材17が架け渡してある。このゲート枠固定部材17は、雄ネジを有する固定棒49と雌ネジを有する固定棒50が螺合する構成であり、その長さが自在となるため、このゲート枠固定部材17の伸長により、かかるゲート枠14が管渠底壁部36に圧着して固定されている。
また、かかるゲート枠14は幅方向の両側に2つの導水口3A、3Bを有している。導水口3A、3Bは前述の仮設側溝7の横断面内に収まる大きさであり、具体的には、ゲート枠14の幅方向の両側に2つ具備される開口部4A,4Bと、それぞれの開口部4A,4Bに嵌り合い下水の流れを規制するゲート板12A、12Bからなる。
【0015】
ゲート板12A、12Bはステンレス板等で形成され、このゲート板12A、12Bの中心に、その側端と平行になるように板回転棒13が嵌め込まれて固定されている。この板回転棒13はゲート枠上端部51に設けられている開閉装置16に接続されており、この開閉装置16を介して、板回転棒13を回転させることにより、各ゲート板12A、12Bを下水の流れに平行もしくは直角になるようにして下水を規制している。
さらに、前記導水口3Aには、可動水路5を構成する仮設側溝7が角度変更自在に接続されている。具体的には、かかる仮設側溝7の上流端に具備されるフランジ21が、上流側ゲート部材1の導水口3Aにボルト22で固定されていると共に、当該仮設側溝7が可撓性を有するため、導水口3Aから角度自在に仮設側溝7を取り回すことが可能となっている。
【0016】
この仮設側溝7は、図4及び図5及び図6に示すように、側溝部材20を長手方向に複数連結することにより構成されている。側溝部材20同士の連結は側溝部材20が具備するフランジ21をボルト22で連結することにより実現される。なお、本実施形態におけるフランジ21は、下水による腐食を防止するため、ステンレス材等で形成されるが、これに限定されるものではなくプラスチック材で構成されていてもよい。
前述の側溝部材20は、より詳しくは、上に開口部を持つコの字形のフランジ21があり、一対の当該フランジ21に不透水シート23を上に開口部を持つコの字形になるようにして架け渡すことで構成される。この構成により側溝部材20は可撓性を有することになる。この際、側溝部材20の強度を増すために、不透水シート23上に、一定間隔をもって、横断面に沿って補強鋼材26を貼り付け蛇腹状にしている。不透水シート23は、水圧に耐える強度をもったビニールシートで構成されるが、これに限定されるものではなく、防水加工処理を施された布であってもかまわない。
【0017】
この側溝部材20は、横断面の縦横が500mm程度で管渠横幅の半分程度である。また、側溝部材20は、その長さは2000mm程度であるが、不透水シート23が蛇腹状であり可撓性もあるため、図5に示すように長手方向に縮めることができ、縮めた場合は長さが500mm程度となる。従って、地上から直径600mmのマンホール41を介して、管渠35内に搬入するすることが可能となる。
また、側溝部材20は、各フランジ21の下に、側溝部材20の移動を簡便にするためのキャスター付き台車24を有している。これにより、複数の側溝部材20から構成される仮設側溝7は、簡便にその位置を移動することができるようになっている。
【0018】
さらに、かかる仮設側溝7の下流端は、下水道管渠35の下流側に設置された下流側ゲート部材2の導水口3Aに角度自在に接続されている。具体的には、仮設側溝7の下流端に具備されるフランジ21が、下流側ゲート部材2の導水口3Aにボルト22で固定されていると共に、当該仮設側溝7が可撓性を有するため、導水口3Aから角度自在に仮設側溝7を取り回すことが可能となっている。
下流側ゲート部材2は、上流側ゲート部材1と同様の構成をしており、大きくはゲート枠14とゲート板12A、12Bからなる。
【0019】
ゲート枠14はステンレス材や硬化プラスティック材など腐食に強い材料で形成されている。このゲート枠14の下端部53と側端部52は、設置する管渠横断面に嵌り合う形状をしており、ゲート枠上端部51は幅方向に水平で、その高さは下水を堰き止めるに十分な500mm程度である。ゲート枠14が管渠底壁部36及び側壁部37と接する部分には、両者の隙間を浸入する下水を堰き止める目的で、ゴム等で形成されたパッキン25が取り付けられている。
さらに、ゲート枠上端部51と管渠上壁部39との間に、ゲート枠固定部材17が架け渡してある。このゲート枠固定部材17は、雄ネジを有する固定棒49と雌ネジを有する固定棒50が螺合する構成であり、その長さが自在となるため、このゲート枠固定部材17の伸長により、かかるゲート枠14が管渠底壁部36に圧接して固定されている。
【0020】
また、下流側ゲート部材2を構成するゲート枠14は、幅方向の両側に2つの導水口3A、3Bを有している。導水口3A、3Bは前述の仮設側溝7の横断面内に収まる大きさであり、具体的には、ゲート枠14の幅方向の両側に2つ具備される開口部A,Bと、それぞれの開口部A,Bに嵌り合い下水の流れを規制するゲート板12A、12Bからなる。
ゲート板12A、12Bはステンレス板等で形成され、このゲート板12A、12Bの中心に、その側端と平行になるように板回転棒13が嵌め込まれて固定されている。この板回転棒13はゲート枠上端部51に設けられている開閉装置16に接続されており、この開閉装置16を介して、板回転棒13を回転させることにより、各ゲート板12A、12Bを下水の流れに平行もしくは直角になるようにして下水を規制している。
【0021】
上記実施形態によれば、下水道管渠35内に仮設水路装置を構成して、下水道管渠35の軸線方向に長スパンの作業空間を確保するためには、以下のような手順を踏む。
すなわち、地面42に開口しているマンホール41より、垂直孔43を介して、前述の上流側ゲート部材1と下流側ゲート部材2を搬入する。各ゲート部材はそれぞれゲート枠14とゲート板12A、12Bと開閉装置16に分解でき、前記ゲート枠14も複数の部位に分けることが可能な構造となっているため、それぞれを人力により、地下に敷設されている下水道管渠35内に運び込むことができる。同じく、側溝部材20やゲート枠固定部材17も人力により管渠35内に運び込む。
【0022】
次に、作業空間を確保したい場所、すなわち仮設水路装置を構築したい場所の上流側において、下水を堰き止める上流側ゲート部材1を設置する。具体的には、ゲート枠14を管渠軸方向直角に配置し、ゲート枠14の下端部53と側端部52が管渠底壁部36と側壁部37に接するように配置し、ゲート枠固定部材17をゲート枠上端部51と管渠上壁部39の間に架け渡し、ゲート枠固定部材17を伸長させることにより、上流側ゲート部材1を管渠壁面に圧着させて固定する。
【0023】
さらに、このゲート枠14の有する開口部4A、4Bにゲート板12A、12Bを嵌め込み、開閉装置16を取り付け、導水口3A、3Bを構築する。
次に、仮設水路装置を構築したい場所の下流側において、下流側ゲート部材2を設置する。下流側ゲート部材2は、上流側ゲート部材1と同様の構成であり、下水道管渠35の軸線方向直角断面の下側半分に、ゲート枠固定部材17をもちいて設置される。
次に、側溝部材20の具備するフランジ21同士をボルト22で固定することで、側溝部材20を長手方向に複数連結し、可動水路5である仮設側溝7を形成する。その上で、上流側ゲート部材1の有する導水口3Aに、仮設側溝7の上流端側のフランジ21をボルト22で固定する。さらに、下水道管渠35の下流側に設置された下流側ゲート部材2の導水口3Aに、仮設側溝7の下流端側のフランジ21をボルト22で固定する。
【0024】
上述の一連の工程により、本実施形態の仮設水路装置が形成される。 なお、これらの設置作業を行う際は、上流側ゲート部材1の導水口3Bを解放状態にしておく。併せて、下流側ゲート部材2の導水口3Bも解放しておく。すると、管渠35の上流側から流れてくる下水は、上流側ゲート部材1により堰き止められることがなくなり、下水道管渠35としての機能を失うことなく仮設水路装置の設置工程が行える。可動水路5を取り付ける工事が終われば、各ゲート部材1、2の導水口3Bを閉じ、導水口3Aを解放することにより、仮設水路装置により下水がバイパスされることになる。
【0025】
構築された仮設水路装置においては、上流側ゲート部材1の導水口3Aから流れ込んだ下水は、かかる可動水路5を通って、下流側ゲート部材2の導水口3Aから、下水道管渠35の下流に流れ出す。この際、可動水路5以外の空間には下水が流れることがなく、空間45Bが乾燥した(ドライな)状態の作業空間となる。
可動水路5は、側溝部材20を複数連結して構成される仮設側溝7からなるため可撓性を有し、その底面部にキャスター付き台車24を具備している。そのため管渠底壁部36上で管渠断面幅方向の移動が可能となり、可動水路5を空間45Bに移動した場合、空間45Aが作業空間となる。逆に、可動水路5を空間45Aに移動した場合、空間45Bが作業空間となる。これにより、上流側ゲート部材1と下流側ゲート部材2に挟まれた空間すべてを、下水道管渠35としての機能を確保しながら、作業空間とすることができる。
【0026】
また、本実施形態である仮設水路装置においては、上流側ゲート部材1と下流側ゲート部材2を管渠軸方向に長スパンで配置することにより、軸方向に長スパンに亘る作業空間、例えば長さ30m程度が確保できる。
次に、本発明の第二実施形態を図7に基づいて述べる。
下水道管渠35内において、仮設水路装置を構成したい領域の上流側に、上流側ゲート部材1が設置してあり、下流側には下流側ゲート部材2が設置してある。これらゲート部材1、2の構成は、本発明の第一実施形態と同様である。
【0027】
本実施形態の場合は、前述のゲート部材1、2に接続される可動水路5が、その上流側端部が上流側ゲート部材1の導水口3Aに角度変更自在に接続された可撓性を有しない上流側切り換え側溝9と、この上流側切り換え側溝9の下流側端部に角度変更自在に接続された可撓性を有する仮設側溝7と、この仮設側溝7の下流側端部と下流側ゲート部材2の導水口3Aに角度変更自在に接続された可撓性を有しない下流側切り換え側溝10とから構成されている。
上流側切り換え側溝9は、厚さ5mm程度のステンレス材からなる側板33と底板34を組み合わせることにより形成される。その断面は上方に開口部をもつコの字の形状で、その断面縦横は500mm程度であり、その長さは2〜3m程度である。また、上流側切り換え側溝9と上流側ゲート部材1の導水口3Aは、ジョイント29をもって枢着し角度自在となっている。加えて、上流側切り換え側溝9の側板の上端部には、切り換え側溝固定部材32と螺合する雌ネジ部31が設けられいる。この切り換え側溝固定部材32は雄ネジを有する固定棒であり、その両端は管渠側壁部37に突っ張り固定されている。前述の雌ネジ部31は切り換え側溝固定部材32と螺合することにより、上流側切り換え側溝9を固定すると共に、管渠35に対する上流側切り換え側溝9の角度を変更可能なように働く。
【0028】
上流側切り換え側溝9の下流端には、可撓性を有する側溝部材20が複数連結されることで形成される本発明の第一実施形態と同一の仮設側溝7が、ジョイント29をもって枢着されている。この仮設側溝7は下流側ゲート部材2の手前、数mまで配置されている。
さらに、この仮設側溝7の下流端には、前述の上流側切り換え側溝9と同様の構造を持つ下流側切り換え側溝10がジョイント29をもって枢着されている。また、かかる下流側切り換え側溝10の下流端は、下流側ゲート部材2の導水口3Aにジョイント29をもって枢着され角度変更自在となっている。下流側切り換え側溝10も、その側板の上端部に雌ネジ部31を有し、切り換え側溝固定部材32と螺合することにより、その位置が固定されている。
【0029】
かかる本発明の第二実施形態によれば、空間45Aを作業空間とする目的で、空間45Bに可動水路5を配置する際においては、可動水路5を導水口3Aの位置から空間45Bの位置まで取り回す必要があるが、可動水路5の切り換え手段として可撓性のない切り換え側溝9、10を使用しているので、本発明の第一実施形態の可撓性を有する仮設側溝7を使用した場合より、取り回しが容易で軸線方向に短いスパンで可動水路5の切り換えを行うことが可能である。
また、加えて、各ゲート部材は導水口3Aと導水口3Bを有しているため、可動水路5を導水口3Aに接続する作業工程中においても、導水口3Bを解放して、管渠35内の下水が流れるようにしておくことが可能であり、これにより、上流側ゲート部材1により下水が堰き止められることなく、下水道管渠35としての機能を失うことなく仮設水路装置の設置工程が行える。
【0030】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
すなわち、仮設側溝7を構成する側溝部材20は、図8に示すものであってもかまわない。この側溝部材20は、上に開口部を持つコの字形のフランジ21があり、一対の当該フランジ21に不透水シート23を、上に開口部を持つコの字形になるようにして架け渡すことで構成される。この側溝部材20の場合は、強度を増すために、各フランジ21間の距離を50cm程度に短く抑えると共に、各フランジ21間に補強鋼材26を斜めに架け渡し、長手方向に伸縮可能となるようにしている。
【0031】
また、可動水路5は、上方が開口部となるコの字形の仮設側溝7から構成される必要はなく、例えば、下水をすべて受け入れられる横断面を有するフレキシブルチューブであってもよい。
また、各ゲート部材に具備されるゲート板12A、12Bを開閉する開閉装置16は、ネジ機構を有し、かかるゲート板12A、12Bを上下もしくは左右に移動させる構造のものであっても何ら問題はない。
また、本発明の仮設水路装置は、図9及び図10のような構成であってもよい。すなわち、上流側ゲート部材1及び、下流側ゲート部材2は、導水口3Aのみを有し、それぞれの導水口3Aに可動水路5の上流端、下流端が接続されている構造のものである。この場合、各ゲート部材1、2は導水口3を一つしか有しないため、ゲート部材の構成部品数が少なくてすむメリットがある。なお、この実施形態の仮設水路装置における可動水路5は、本発明の第一実施形態と同様の可撓性を有する仮設側溝7であってもよい。また、本発明の第二実施形態と同様の可撓性を有しない切り換え側溝9、10を含むものであっても何ら問題はない。
【0032】
また、本発明の仮設水路装置は図11のような構成であってもよい。すなわち、上流側ゲート部材1及び下流側ゲート部材2は、複数の導水口3A、3B、3Cを有し、その1つ以上の導水口3A又は3B又は3Cに可動水路5の上流端、下流端が接続されている構造のものである。図11は導水口3A、3Bの2つに可動水路5の上流端、下流端が接続されている。下水道管渠35が大径であり管渠35内を流れる水流量が多い場合は、このように複数の可動水路5を設置することが好ましい。
【0033】
また逆に、複数の導水口3A又は3B又は3Cのどれか1つに可動水路5を接続することも可能である。この場合、その設置作業工程において、残る導水口から水流を流すことができる。特に管渠35内の水流の多少に応じて、残る2つの導水口を開放するか導水口のどちらか1つのみを開放するか選択することができるため、水流量の多少に関わらず管渠35としての機能を維持し、設置作業を行える。
なお、この実施形態の仮設水路装置における可動水路5は、本発明の第一実施形態と同様の可撓性を有する仮設側溝7であってもよい。また、本発明の第二実施形態と同様の可撓性を有しない切り換え側溝9、10を含むものであっても何ら問題はない。加えて、導水口は3つに限定されることはなく、4つ以上の複数個であっても同様の形態で実施可能である。
【0034】
また、本発明の仮設水路装置は、下水道管渠内の下水のバイパスのためにのみに使用されるものではなく、例えば、小規模の河川や開渠の底壁部の補修工事を行う場合の水流バイパスのための手段としても使用することもできる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、仮設水路装置を円形断面以外の種々の断面形状の管渠にも容易に適用でき、しかも、それにより管渠内の軸方向長手に広い作業空間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施形態を下水道管渠内に設置した状態の管渠軸線方向断面平面図である。
【図2】 本発明の第一実施形態を下水道管渠内に設置した状態の管渠軸線方向断面正面図である。
【図3】 図1のA−A線断面図である。
【図4】 本発明の第一実施形態における側溝部材の正面図である。
【図5】 本発明の第一実施形態における側溝部材を縮めた状態の正面図である。
【図6】 図4のB−B線断面図である。
【図7】 本発明の第二実施形態を下水道管渠内に設置した状態の管渠軸線方向断面平面図である。
【図8】 本発明における側溝部材の別実施形態である。
【図9】 本発明の実施の別形態を示す管渠軸線方向断面平面図である。
【図10】 本発明の実施の別形態を示す管渠軸線方向断面平面図である。
【図11】 本発明の実施の別形態を示す管渠軸線方向断面平面図である。
【図12】 (a)は従来例を示す正面図、(b)は従来例を示す平面図である。
【図13】 従来例を下水道管渠内に設置した状態での管渠軸線直角方向断面図である。
【符号の説明】
1 上流側ゲート部材(ゲート部材)
2 下流側ゲート部材
3A 導水口
3B 導水口
5 可動水路
7 仮設側溝
9 上流側切り換え側溝
10 下流側切り換え側溝
35 管渠(下水道管渠)
Claims (3)
- 管渠の下部を流れる水流を堰き止め可能でかつその水流の導水口を有すると共に上端部が管渠の上壁部から離間しているゲート部材と、
前記管渠の下部を流れる水流をすべて受け入れられる横断面を有しかつ前記ゲート部材の導水口に角度変更自在となるように接続された可動水路と
を備えており、
前記ゲート部材は、前記管渠内の上流側に配置される上流ゲート部材と、前記管渠内の下流側に配置される下流ゲート部材とから構成され、
前記上流ゲート部材と前記下流ゲート部材に挟まれた管渠内領域に作業空間を形成すべく、前記上流ゲート部材の有する導水口に、前記可動水路の上流端が角度変更自在となるように接続され、前記下流ゲート部材の有する導水口に、前記可動水路の下流端が角度変更自在となるように接続されており、
前記ゲート部材は、開閉自在な複数の導水口を幅方向に有し、この導水口の1つ以上に、前記可動水路の端部が角度変更自在となるように接続されている管渠内の仮設水路装置。 - 前記可動水路は、可撓性を有する仮設側溝から構成され、
その上流側端部が前記上流ゲート部材の導水口に角度変更自在に接続されるとともに、その下流側端部が前記下流ゲート部材の導水口に角度変更自在に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の管渠内の仮設水路装置。 - 前記可動水路は、その上流側端部がゲート部材の導水口に角度変更自在に接続された可撓性を有しない切り換え側溝と、この可動側溝の下流側端部に角度変更自在に接続された可撓性を有する仮設側溝とから構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管渠内の仮設水路装置。
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