JP3990627B2 - 覆工管路の更新工法、及びそれに用いる管路入換え装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ライフライン用のトンネル、即ち地下覆工管路などの覆工管路を再生、更新するために好適に採用しうる覆工管路の更新工法、及びそれに用いる管路入換え装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上下水道、通信、電力等のライフライン用の地下の覆工管路は都市部を中心に広く埋設され利用されている。これらの地下の覆工管路の覆工管路は、条件がよい場合においても耐用年数が50年前後といわれており、我が国における地下覆工管路の普及時期から、相当数の地下覆工管路が更新の時期を迎え、特に最近では、酸性雨、排液等に含まれる硫酸による腐食が進み、その更新が課題となっている。また都市人口の増加、集中的な降雨への対応のため覆工管路の大径化が望まれる場合がある。
【0003】
しかし、覆工管路の多くは道路下に埋設され、特に都市部では道路下に各種のライフラインが敷設されているため、老朽化した既設の地下覆工管路に替え、位置変えして新たな覆工管路を敷設することは困難であり、従ってその場所で更新されることが多い。しかしながら、従来、地表からの掘削により既成の地下覆工管路を除去したあとに新たな覆工管路を敷設していたため、長い工期と多大の工数を必要とするとともに、長期に亘って通行、街の美観を損ねるという課題があった。
【0004】
そこで、本発明者は、高圧水を噴出するノズルと既設の覆工管路を分断する破断手段とを設けた管路入れ換え装置と、それを用いて、既設の覆工管路の外周面側の地山に前記高圧水を噴射し、泥水化した状態でこれを取り除いて空所を形成し、先細状筒部の前進により前記分断された既設の覆工管路を、新設の覆工管路の外周面よりも外側となる位置に押し広げたのち、前記新設の覆工管路を配設し、道路を開削することなく、既設の覆工管路と同じ位置に覆工管路を更新でき、工期と工数を短縮しうる覆工管路の更新工法を提案している(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−129884号公報(請求項1および5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記提案に係る更新工法、及びこれに用いる管路入れ換え装置において、ノズルから半径方向外周に向け高圧水を噴出するときには、進行前方の地山の取り除きが不十分であり、分断された既設の覆工管路の拡径が困難であることが判明した。
【0007】
従って、本件請求項1、5に係る発明は、前記既設の覆工管路の外周面側の地山に噴射する高圧水を、前記管路入換え装置の進行方向前方に向けて噴射するノズル群を用いることを要件として、前記既設の覆工管路の外周面側の地山の取り除きを容易とし、分断された既設の覆工管路の拡径を可能として新設の覆工管路の敷設を能率化しうる覆工管路の更新工法及びそれに用いる管路入換え装置の提供を目的としている。
【0008】
さらに、他の請求項に係る発明において、取り除く地山の泥水化及び排泥を円滑とし、かつ既設の覆工管路の分断、分断された管路の配筋の切断を簡易化しうる覆工管路の更新工法及びそれに用いる管路入換え装置の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係る発明は、既設の覆工管路を周方向に分断するとともに分断された既設の覆工管路を、その内周面が新設の覆工管路の外周面より外側となる位置に半径方向に移動し拡径することにより該既設の覆工管路の内周面内に新設の覆工管路を挿入する管路入換え装置を用いる覆工管路の更新工法であって、
前記管路入換え装置に、複数の周方向に隔設したノズルからなるノズル群を設け、該ノズル群から、分断された既設の覆工管路の前記外周面側の地山に向けて、前記管路入換え装置の進行方向前方に向けて噴射することにより、前記分断された既設の覆工管路の外周面の地山を泥水化し、該既設の覆工管路が、その内周面を新設の覆工管路の外周面よりも外側となる位置まで半径方向に拡径可能に取り除くとともに、
前記管路入換え装置は、前記地山に向け誘導泥水を送出する送泥部と、排泥部とを具え、送泥部から送出され排泥部へ還流する誘導泥水が、前記ノズル群の噴射する高圧水により泥水化した前記地山を前記排泥部へ誘引することにより該地山を取り除くことを特徴とする。
【0010】
又請求項2に係る発明は、前記ノズル群が、既設の覆工管路の拡径による分断部分に向けて高圧水を噴射することを特徴とし、かつ請求項3に係る発明は、前記管路入換え装置が、前記分断部分を通過できかつ周方向に隔設される複数のスタビライザーを外周面に具えるとともに、既設の覆工管路の配筋を切断する切断刃を該スタビライザーの前端に設け、かつ前記ノズル群のノズルは、このスタビライザーの後方部近傍に設置されるか、またはスタビライザーの後部に支持されたこと、請求項4に係る発明は、前記ノズル群は、管路入換え装置の進行方向前方に向くノズルとともに、前斜めの方向に向いて開口する斜向ノズルを含むことを特徴とする。
【0011】
また請求項5に係る発明は、覆工管路の既設の覆工管路を新設の覆工管路に更新するための管路入換え装置であって、
新設の覆工管路の前端部分を収納しかつ該新設の覆工管路が後方に連なりうる組立部を有する装置本体部と、後方に向かって拡径するテーパ状の拡径部と、既設の覆工管路の内孔に挿入しうる筒状の案内筒部とを進行方向前方に向かって順に結合され、
かつ前記案内筒部に、既設の覆工管路を周方向に分断する分断具を設けるとともに、分断された既設の覆工管路が拡径部で拡径するに際して前方に高圧水を噴射して該既設の覆工管路の外周面側の地山を泥水化して取り除き拡径可能とする複数のノズルからなるノズル群を設けるとともに、
前記地山に向け誘導泥水を送出する送泥部と、排泥部とを具え、送泥部から送出され排泥部へ還流する誘導泥水が、前記ノズル群の噴射する高圧水により泥水化した前記地山を前記排泥部へ誘引することにより該地山の取り除きを促進する排泥手段を具えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記ノズル群が、ノズルを周方向に隔設したノズル列からなり、かつノズルは分断された既設の覆工管路が拡径するに際して、その分断部分に向けて前方に高圧水を噴射することを特徴とし、かつ請求項7に係る発明は、前記拡径部が、その外周面に、前記分断部分を通過できかつ周方向に隔設した複数のスタビライザーを外周面に具えるとともに、既設の覆工管路の配筋を切断する切断刃を該スタビライザーの前端に設け、かつ前記ノズル群のノズルは、このスタビライザーの後方部近傍に設置されるか、またはスタビライザーの後部に支持されたことを特徴とし、さらに請求項8に係る発明は、前記ノズル群が、進行方向前方に向くノズルととともに、前斜めの方向に向いて高圧噴水を噴射する斜向ノズルを含むことを特徴とし、しかも請求項9に係る発明は、前記案内筒部が、前記分断具と、その前端に配された案内用の複数個のガイドローラとを具えることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の覆工管路の更新工法(単に更新工法というときがある)及び管路入換え装置(単に装置1というときがある)の一実施の形態を図面に基づき説明する。本発明の更新工法において、更新用の新設の覆工管路Bの敷設には、シールド工法、セミシールド工法、又はセミシールドからシールド工法に切り換える切換え工法が利用でき、本形態ではシールド工法を採用する場合を例示している。なお各工法は本来トンネル掘削のための工法であるが、本発明の更新工法においても同名を援用する。
【0014】
なお、ここでシールド工法とは、図1、図3に示すように、内部のシールドジャッキ13Aなどの推進手段13が、装置1の内部でセグメントSを用いて組み立てられ、後方に連なるリング体Rを押出し、その反力で前進する。又その押出により生じる空所内で、新たにリング体Rを組立てその押出しをくり返す。又、セミシールド工法とは、ヒューム管Hを、発進位置に設ける元押しジャッキにより押出すことによりその前方で連なるヒューム管が装置1を前進させる。なお切換工法とは、セミシールド工法による到達可能距離以降はシールド工法に切り換える工法をいい、本発明においては、いずれの工法も採用しうる。なおシールド工法のセグメントとして、いわゆるコンクリート、金属製のものの他、本発明者が特開2001−280093号公報により提案した金属枠に合成樹脂で覆ってなる耐腐食セグメントを便宜に採用できる。
【0015】
本発明の覆工管路の更新工法は、既設の覆工管路Aを周方向に分断するとともに分断された既設の覆工管路Acを、その内周面Aiが新設の覆工管路Bの外周面Boより外側となる位置に半径方向に移動し拡径することにより、該新設の覆工管路Bを挿入することにより更新するものであり、そのために用いる管路入換え装置1には、分断された既設の覆工管路Acの前記外周面Ao側の地山Lに進行方向前方に向けて噴射することにより、地山Lを泥水化し、既設の覆工管路の内周面Aiが新設の覆工管路Bの外周面Boよりも外側となる位置まで半径方向に拡径可能とするノズル10A・・からなるノズル群10を設けている。
【0016】
前記管路入換え装置1は、図1〜3に示すように、装置本体部2と、後方に向かって拡径するテーパ状の拡径部3と、既設の覆工管路Aの内孔Ahに挿入しうる筒状の案内筒部4とを進行方向前方に向かって順次連結している。
【0017】
前記装置本体部2は、円筒状の外殻体2Aの内部に、セグメントSを連結したリング体Rの連結連続体である新設の覆工管路Bの前端部分B1を収納するとともに該リング体Rをその内部で組み立てる図示しないエレクタなどを取付け可能な組立部6、及びシールドジャッキ13A・・と、前記拡径部3を相対的に傾動させ曲がりを必要により生じさせる向変えジャッキ15とを取り付けた推進部5からなる。なお推進部5と組立部6とは分離可能とすることができる。
【0018】
前記シリンダージャッキ13Aは例えば6〜12本、本例では8本が周方向に隔設される。なおシールドジャッキ13Aはシールド工法においては、後続する新設の覆工管路Bを押圧して管路入換え装置1自体を前進する推進手段13を構成している。
【0019】
前記案内筒部4は、前記装置本体部2の外殻体2Aよりも小であって既設の覆工管路Aの内孔Ahに、半径距離で10〜30mm程度の小間隙を有して挿入しうる円筒状の外殻体4Aを具え、又本形態では、進行方向前方の先導部23と、前記拡径部3に連なる後の分断部24とに区分でき、両者は分割組立されうる。又前記先導部23前端には、前記既設の覆工管路Aの内孔Ahの内周面Aiで案内され、案内筒部4を芯合わせして挿入しうる前記ガイドローラ25・・の複数個が周方向に設けられている。
【0020】
また前記分断部24には、その後部に前記既設の覆工管路Aを分断するための分断具14を設けており、この分断具14は本形態では、分断部24に周方向に配される複数の分断機26からなる。またこの分断機26は、図2,図4、図5(図1のX1−X1線断面図)に示すように、軸受け枠26aとそれに枢支された回転刃26bとからなり、この回転刃26bは、半径方向外側部分が前記外殻体4Aに設けたスリットからその外表面4Aa外方に突出している。その突出端は、前記既設の覆工管路Aの内孔Ahの内周面Aiよりも半径方向外側にある。これにより、前記分断部24が、前記既設の覆工管路Aの内孔Ahに挿入されて進行することにより、該回転刃26bがその内周面Aiを強圧して局部的にめりこみ内周面Aiから外周面Aoに亘って覆工管路Aのコンクリート部を破砕した破砕領域cを隆起させる。また、この分断機26は、周方向に3〜12個の複数位置、好ましくは5〜10個、本例では8個を隔設する。なお、案内筒部4は既設の覆工管路Aにより十分に芯合わせして案内される長さに設定される。
【0021】
なお回転刃26bは、最大径部を5〜20mm程度の軸方向間隔で設けたダブル刃として破砕領域cの巾を増すこともでき、また分断機26は、例えば油圧モータM(図示せず)により回転させて切断するカッタとすることもできる。そのとき既設の覆工管路Aが配筋入りであるときには、好ましくは該配筋を切断する手前位置までを切断し、負荷を低減することもできる。なお、配筋をも切断するようにも構成できる。
【0022】
前記拡径部3は、図2、図6に示すように、前記案内筒部4の外径から、前記装置本体部2の外径まで、後方に向かって外径を増すテーパ外周面を有する外殻板3Aを具える。この拡径部3は、装置1の前進とともに、既設の覆工管路Aが、前記案内筒部4を過ぎかつ拡径部3との間の境界aを越えて拡径部3のテーパ外周面に当接して進行することにより拡径させられ、図6,7に示すように、前記境界a付近で半径方向外に折れ曲る。その結果、既設の覆工管路Aは前記破砕領域cで割れて分断を始め、分断部分Cを生じる。又拡径部3に乗り上げ半径方向外方に移動するに従い、分断部分Cの分断巾wが増すこととなる。
【0023】
又拡径部3には、図2,図6に示すように、前記分断を補助し分断を確実とするスタビライザー31、前記ノズル群10、及び送泥部43と排泥部44とからなる排泥手段9を設ける。
【0024】
前記スタビライザー31は、図2に例示するように、前記分断部分Cに進行方向に周方向の角度位置を合わせして、即ち前記分断機26の進行方向後方にそれぞれスタビライザー31が周方向に並べたスタビライザー列31Aを形成し、本形態では、進行方向に異なる位置の前後2列の前スタビライザー列31A1、及び後スタビライザー列31A2を含む。
【0025】
図6は前スタビライザー列31A1のスタビライザー31を例示し、このスタビライザー31は、前記外殻板3Aから立上がり、前端に設ける切刃部33と、該切刃部33から後方に向かって周方向巾w31を増す本体部34とからなる。本形態では、前記本体部34は、前端に立設される前受け部35と、該前受け部35から後方に略V字に拡開してのびる2枚の翼板36,36と、その後端を周方向に継ぐ後板37とを一体とし、かつ前記切刃部33は前記前受け部35の前面に、合わせ溝、ボルトなどを用いて取り換え可能に結合している。この切刃部33は、本例では下端部分を凹ませこの凹部に管路A内の配筋sを案内して、拡径により緊張状態となっている該配筋sを切断する。なお、切刃部33は、例えば図11,12に示すごとく、半径方向外に向かって後傾するもの、凹部のないものなど、種々な形状とすることもできる。またこの切刃部33は好ましくは、硬度、耐摩耗性、耐衝撃性を高めるべく、適した材料を用いて適宜の熱処理が施される。なお、ときに本体部34と一体に形成することもできる。
【0026】
又スタビライザー31は、前記既設の覆工管路Aの厚さと同高さ、乃至覆工管路Aの外周面を越える高さとして分断を確実とするのがよい。又前記切刃部33が前記破砕領域cの後方に位置合わせされることにより、切刃部33が配筋sを切断しつつ管路Aを分断する。管路Aは相対移動による拡径とともに、図7に示すごとく、後方に向かって分断巾wを増大する分断部分Cが生じることとなる。
【0027】
又前記スタビライザー31の各進行方向位置での周方向巾w31は、その位置での分断巾wよりも小として、分断された管路Ac間で、スタビライザー31が噛み込まれるのを防止する(即ち、スタビライザー31の各進行方向位置での周方向巾w31と分断された管路Acの巾の総計が、拡径部3の外殻板3Aのその位置での外周長さ以下とする)。なお、前記境界a付近での管路Aの半径方向外への折れ曲りにより、管路Aは順次破砕されていると推定されるが、破砕は長さ方向に断続するはずであり、破砕されない分断された管路Ac間での噛み込み現象を予防する。
【0028】
なお、前記分断具26の周方向ピッチを小として、破砕領域cを増して分断された管路Aの周方向巾を減じ、これにより、管路Aの折れ曲りに伴う進行抵抗を低減するようにも構成できる。又このとき分断具26の各後方のスタビライザー31を、1つ置き、2つ置きの個数に減じることも可能となる。
【0029】
前記ノズル群10は、図2に示すように、複数の周方向に隔設したノズル40・・からなり、図6に略示するように、該ノズル40は、進行方向前方に向け高圧水Wを噴射する。さらに本形態では、該ノズル40は、進行方向左右斜め向きに傾き高圧水Wを噴射する斜向ノズル41,41を分岐した分岐ノズルとして構成される。なお、斜向ノズル41,41は別位置に配することもできる。又本形態では、ノズル40は、図6に示すように、前記スタビライザー31の前記後板37上方に固定され、装置中心線に対して、0〜30゜、好ましくは10〜20゜程度、上向きに傾斜する。なお斜向ノズル41は、前記スタビライザー31の前記翼板38の上辺を欠切した開口部から噴射できる。このようにノズル40をスタビライザー31の内部に配することによりと地山Lとの不用意な衝合を防止して、ノズルの破損、噴射角度の狂い、ノズル口の詰まり等のトラブルを防いでいる。
【0030】
又このように、高所にノズル40を設けることにより、前記分断された既設の覆工管路Acの前記外周面Aco側の地山に向けて、進行方向前方に向けて噴射できる。又ノズル40、斜向ノズル41は、例えば、15〜45゜、好ましくは15〜25゜程度の扇状に高圧水W(ノズルの高圧水Wa、斜向ノズルの高圧水Wb)を噴射する。両者合わせて進行方向線から左右45〜85゜程度、好ましく50〜70゜程度の範囲で噴射する。その結果、拡径部3前方の広い領域の地山Lを泥水化して取除きを容易とし、取り除きとともに、既設の分断された既設の覆工管路Acの拡径が容易となり、反力を減じて管路入換え装置1を前進させうる。
【0031】
又ノズル40は各スタビライザー31に設けられ、かつ図2に例示したように、スタビライザー31が前スタビライザー列31A1、及び後スタビライザー列31A2からなるスタビライザー群を構成しているため、拡径部3の全長さ範囲に亘り地山Lを取り除き、前記境界aから拡径部3の最大径位置bまでの拡径を容易とする。
【0032】
前記ノズル群10により前記外周面Aco上で生じる泥水は、前記排泥手段9により除去される。排泥手段9は、図6に略示するように、送泥口43Aに通じる送泥管43Bを有する前記送泥部43と、排泥口44Aに通じる排泥管44Bとを有する前記排泥部44とからなる。前記送泥口43Aから供給される誘導泥水Mを排泥口44Aをへて還流する。この結果、図11,図12(なお、これらの図においては、前記ノズル群10に通じる送水管42,送泥管43B、排泥管44Bが、スタビライザー31の後方部近傍でリブ補強されて取付けられ、又はスタビライザー31と一体に形成された場合を例示している)に示すように、誘導泥水は、ノズル群10から噴射する高圧水Wにより泥水化した前記地山Lを、前記排泥口44へ誘引し吸引することにより取り除く。なお図6の場合には、泥水化した地山と誘導泥水Mとの総量を排出するため、送泥管46に比して排泥管47の口径を大としている。
【0033】
なお、前記誘導泥水Mは、泥水比重等が調合された泥水であり、地山Lの泥水が、排泥管44Bを経て排出されるに際して、その泥水に含まれる粒度の大きな砂、れきなどの沈下を防いで滞留、管詰まりを防止しうる比重に泥濃度が設定される。
【0034】
なお、図11,12に示すごとく、送泥部43、排泥部44を略同径として、詰まり時に送泥管、排泥管を逆に用いて詰まりを防ぐこともできる。なお、同径としたときには、排泥部44の吸引力を送泥部43の送泥力よりも大として、誘引される地山Lの泥水を加算して排出する。さらに誘導泥水の供給量の調整により、地山Lの排出量を制御できる。
【0035】
また、前記誘導泥水は、図13に例示する泥水調整手段50を用いて調整される。この泥水調整手段50は、排泥部44からの泥排水を導き、れき・砂除去部51によりれき・砂を除去するとともに、泥水調合部52に送り込む。この泥水調合部52には、余分な泥を貯留し又は貯留した泥を必要により戻す貯泥部53と、余分な水分を排出できかつ必要により送水しうる給・排水部54とが接続され、必要送泥量、必要泥比重などの送泥仕様を、図示しない指令手段から受けて調合した誘導泥水Mを送泥部43に送給する。なお貯泥部53の泥は繰り返し使用される。さらに泥水が停滞により沈殿、または高密度化し、送泥管43B、送泥管44Bでの管内詰まりの発生を防止するため、前記送泥管43と排泥部44は常時運転を行う。
【0036】
このように、泥水化した地山Lが排出される結果、図8(図1のX2−X2線断面図)に、前スタビライザー列31A1のスタビライザー31での位置における地山除去後の状態をその右半分に示すように、前記外周面Acoの半径方向外側には空所K1が生じる。また図9(図1のX3−X3線断面図)に、後スタビライザー列31A2のスタビライザー31での位置における地山除去後の状態をその右半分に示すように、前記外周面Acoの半径方向外側には空所K2を生じる。なお、空所K1,K2(空所Kと総称する)は、管路入換え装置1が前進を可能とする可能な限り小高さであることが地盤の陥没を予防するためには好ましい。
【0037】
このために、前記ノズル群10が噴射する高圧水Wの量と、供給する誘導泥水Mの量と、取り除く地山Lの量との合計量が、前記排泥口44Aからの排泥総量にバランスするよう制御され、特に、地盤陥没防止のため、拡径に必要なスペースを越えた地山の取除きが起こらないよう制御される。そのため、推進力、拡径部3外面での圧力は常に監視される。また分断された既設の覆工管路Acを拡径する時の反力の減少を検知することにより、所定の推進力で迅速に拡径可能とする。これにより装置負荷が低下し、機械トラブルが減少する。
【0038】
さらに、管路入換え装置1の前進とともに、シールド工法である本形態では、前記装置本体部2の組立部6でセグメントSを用いて組み立てられ、前端部分B1が収納されるリング体Rの連結体をシールドジャッキ13Aである推進手段13が押出し、既設の分断された覆工管路Ac内部に新設の覆工管路Bを形成する。また押出後に、図10に示すように、分断された覆工管路Acと、新設の覆工管路Bとの間などの前記空所Kに、送給管56からグラウトGを裏込めし、固定するとともに地盤陥没を防ぐ。このようにして、覆工管路を更新できる。セミシールド工法、切り換え工法においても同様に更新できる。
【0039】
なお、管路入換え装置1の既設の覆工管路Aへの挿入、取り外しは従来のシールド工法の場合と同様に、図14に示すように、先に発進坑口60に挿入した先導筒部24、分断筒部23を接続した案内筒部4を、仮設ジャッキ63により既設の覆工管路A内に更に進入させる。又図15に示すように、拡径部3を接続して発信させる。このとき強い押進力が必要であるため、介在筒64を用いて押入する。なお既設の覆工管路Aの入口部分であるため、前記押入により容易に拡径できる。同様に装置本体部2の推進部5を接続してシールドジャッキ13Aを用いて押進する。さらに図17に示すように、セグメントSにより上に入口Eを有して組み立てたリング体Rを介して、シールドジャッキ13Aにより押進し、準備を完了する。なお、図18に示すように、到達坑口65では、管路入換え装置1の前端部分から順次取り出しうる。
【0040】
本形態では、シールド工法における覆工管路の更新工法及び、管路入換え装置をシールド工法に使用した場合を例にとり説明しているが、セミシールド工法、前記したセミシールド工法からシールド工法に切り換える切換え工法においても同様に、本発明の覆工管路の更新工法、及びそれに用いる管路入換え装置は採用できる。
【0041】
【発明の効果】
このように、請求項1に係る発明では、既設の覆工管路を分断するとともに新設の覆工管路の外周面よりも外側となる位置に半径方向に移動し拡径したのち、前記新設の覆工管路を配置する覆工管路の更新工法であって、複数のノズルからなるノズル群を用いて高圧水を、前記管路入換え装置の前方に向けて噴射するので、拡径部の前方に拡径スペースが確保されることにより、分断された既設の覆工管路を拡径する時に拡径部が受ける反力が減り、小さな推進力で迅速に前記拡径できて能率良く覆工管路の更新が可能となる。また請求項4の発明のように、前記地山に向け誘導泥水を送出する送泥部と、排泥部とを具えることにより、泥水化した地山の取出しを円滑とする。
【0042】
また、請求項2の発明のように、ノズルをは、既設の覆工管路が拡径するに際して、分断部分に向けて高圧水を噴射することにより、効率よく地山を泥水化してムラなく取除きでき、請求項3の発明のように、スタビライザーを具えることにより、装置の進行を安定化するとともに、既設の覆工管路の補強配筋を確実に切断することができる。
【0043】
また、請求項5〜9に係る管路入換え装置を用いることにより前記覆工管路の更新施工を可能とし、かつ能率化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の覆工管路の更新工法に用いる管路入換え装置の一形態を例示する断面図である。
【図2】その案内筒部と拡径部とを拡大して例示する正面図である。
【図3】その装置本体部を拡大して例示する正面図である。
【図4】分断具を例示する斜視図である。
【図5】図1のX1−X1線断面図である。
【図6】拡径部、スタビライザーを例示する斜視図である。
【図7】既設の覆工管路Aの拡径、分断状態を例示する正面図である。
【図8】図1のX2−X2線断面図である。
【図9】図1のX3−X3線断面図である。
【図10】図1のX4−X4線断面図である。
【図11】スタビライザー、排泥手段の他の例を示す断面図である。
【図12】スタビライザー、排泥手段のさらに他の例を示す断面図である。
【図13】排泥手段を例示するブロック図である。
【図14】管路入換え装置の案内筒部の据え込み状態を例示する断面図である。
【図15】管路入換え装置の拡径部の据え込み状態を例示する断面図である。
【図16】管路入換え装置の推進部の据え込み状態を例示する断面図である。
【図17】管路入換え装置の発進状態を例示する断面図である。
【図18】管路入換え装置の案内筒部の取り外し状態を例示する断面図である。
【符号の説明】
1 管路入換え装置
2 装置本体部
3 拡径部
4 案内筒部
5 推進部
6 組立部
9 排泥手段
10 ノズル群
14 分断具
25 ガイドローラ
26 分断機
31 スタビライザー
40 ノズル
41 斜向ノズル
43 送泥部
44 排泥部
60 分断具
74 排泥部
A 既設の覆工管路
B 新設の覆工管路
L 地山
W、Wa、Wb 高圧水
Claims (9)
- 既設の覆工管路を周方向に分断するとともに分断された既設の覆工管路を、その内周面が新設の覆工管路の外周面より外側となる位置に半径方向に移動し拡径することにより該既設の覆工管路の内周面内に新設の覆工管路を挿入する管路入換え装置を用いる覆工管路の更新工法であって、
前記管路入換え装置に、複数の周方向に隔設したノズルからなるノズル群を設け、該ノズル群から、分断された既設の覆工管路の前記外周面側の地山に向けて、前記管路入換え装置の進行方向前方に向けて噴射することにより、前記分断された既設の覆工管路の外周面の地山を泥水化し、該既設の覆工管路が、その内周面を新設の覆工管路の外周面よりも外側となる位置まで半径方向に拡径可能に取り除くとともに、
前記管路入換え装置は、前記地山に向け誘導泥水を送出する送泥部と、排泥部とを具え、送泥部から送出され排泥部へ還流する誘導泥水が、前記ノズル群の噴射する高圧水により泥水化した前記地山を前記排泥部へ誘引することにより該地山を取り除くことを特徴とする覆工管路の更新工法。 - 前記ノズル群は、前記ノズルが、既設の覆工管路の拡径による分断部分に向けて高圧水を噴射することを特徴とする請求項1記載の覆工管路の更新工法。
- 前記管路入換え装置は、前記分断部分を通過できかつ周方向に隔設される複数のスタビライザーを外周面に具えるとともに、既設の覆工管路の配筋を切断する切断刃を該スタビライザーの前端に設け、かつ前記ノズル群のノズルは、このスタビライザーの後方部近傍に設置されるか、またはスタビライザーの後部に支持されたことを特徴とする請求項1又は2記載の覆工管路の更新工法。
- 前記ノズル群は、管路入換え装置の進行方向前方に向くノズルとともに、前斜めの方向に向いて開口する斜向ノズルを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の覆工管路の更新工法。
- 覆工管路の既設の覆工管路を新設の覆工管路に更新するための管路入換え装置であって、
新設の覆工管路の前端部分を収納しかつ該新設の覆工管路が後方に連なりうる組立部を有する装置本体部と、後方に向かって拡径するテーパ状の拡径部と、既設の覆工管路の内孔に挿入しうる筒状の案内筒部とを進行方向前方に向かって順に結合され、
かつ前記案内筒部に、既設の覆工管路を周方向に分断する分断具を設けるとともに、分断された既設の覆工管路が拡径部で拡径するに際して前方に高圧水を噴射して該既設の覆工管路の外周面側の地山を泥水化して取り除き拡径可能とする複数のノズルからなるノズル群を設けるとともに、
前記地山に向け誘導泥水を送出する送泥部と、排泥部とを具え、送泥部から送出され排泥部へ還流する誘導泥水が、前記ノズル群の噴射する高圧水により泥水化した前記地山を前記排泥部へ誘引することにより該地山の取り除きを促進する排泥手段を具えることを特徴とする管路入換え装置。 - 前記ノズル群は、ノズルを周方向に隔設したノズル列からなり、かつノズルは分断された既設の覆工管路が拡径するに際して、その分断部分に向けて前方に高圧水を噴射することを特徴とする請求項5記載の管路入換え装置。
- 前記拡径部は、その外周面に、前記分断部分を通過できかつ周方向に隔設した複数のスタビライザーを外周面に具えるとともに、既設の覆工管路の配筋を切断する切断刃を該スタビライザーの前端に設け、かつ前記ノズル群のノズルは、このスタビライザーの後方部近傍に設置されるか、またはスタビライザーの後部に支持されたことを特徴とする
請求項5又は6記載の管路入換え装置。 - 前記ノズル群は、進行方向前方に向くノズルととともに、前斜めの方向に向いて高圧噴水を噴射する斜向ノズルを含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の管路入換え装置。
- 前記案内筒部は、前記分断具と、その前端に配された案内用の複数個のガイドローラとを具えることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の管路入換え装置。
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