JP3990456B2 - 血管形成の阻害剤として有用なトロポニンのサブユニットおよびフラグメント - Google Patents

血管形成の阻害剤として有用なトロポニンのサブユニットおよびフラグメント Download PDF

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Description

1.序論
本発明は、異常な血管形成を伴う疾患または障害の治療のための新規の医薬組成物、およびその使用方法を提供する。
より詳しくは、本発明は、トロポニンサブユニットC、IおよびTが、刺激された内皮細胞の増殖を阻害するという発見に部分的に基づく。治療的有効量のトロポニンのC、IもしくはTというサブユニット、フラグメントまたは類似体を含有する医薬組成物、ならびにそれを治療に用いる方法を提供する。
2.背景
血管形成、すなわち新たな血管の発生および形成の過程は、正常および病理学的の双方の無数の生理学的事象において重要な役割を果たしている。血管形成は、特異的なシグナルに応答して発生し、複雑な過程を伴うが、該過程は、血管形成性の成長シグナルに応答しての、血管内皮細胞による基底板への浸潤、シグナルソースの方への内皮細胞の移動、その後の毛細血管の管の増殖および形成を特徴とする。新たに形成された毛細血管を通じての血流は、内皮細胞が既存の毛細血管と接触し、接続した後に開始される。
内因性の血管形成の刺激と阻害剤との間の自然に生じる均衡は、阻害性が優位に影響するものである[Rastinejadら、1989, Cell 56:345-355]。正常な生理学的条件下で新生血管形成が生じるような稀な場合、例えば創傷治癒、器官再生、胚発生、および雌性生殖過程の際は、血管形成は、厳格に調節され、空間的かつ時間的に範囲が定められている。固形腫瘍の増殖を特徴付けるそれのような病理学的血管形成の条件下では、これらの調節的な制御が不全となる。
調節されない血管形成は、病的となり、多くの腫瘍性および非腫瘍性疾患の進行を下支えする。多くの重大な疾患が、固形腫瘍の増殖や転移、関節炎、ある種の眼科障害、および乾癬を包含する異常な新生血管形成に支配される。例えば、Mosesら,1991, Biotech. 9:630-634 ; Folkmanら,1995, N. Engl. J. Med. 333:1757-1763 ; Auerbachら,1985, J. Microvasc. Res. 29:401-411 ; Folkman, 1985, Advances in Cancer Research, KleinおよびWeinhouse編纂,Academic Press, New York, pp. 175-203 ; Patz, 1982, Am. J. Opthalmol. 94:715-743 ; およびFolkmanら,1983, Science 221:719-725による総説を参照されたい。多くの病理学的条件では、血管形成の過程が病的状態に寄与する。例えば、固形腫瘍の増殖が血管形成に依存することを示唆する、有意なデータが蓄積されている[FolkmanおよびKlagsbrun, 1987, Science 235:442-447]。
角膜、水晶体および柱状網目構造の無血管性の維持は、視覚はもとより、目の生理学にも決定的に重要である。その多くが失明へと導くいくつかの眼病があるが、そこでは、病んだ状態に応答して、目の新生血管形成が発生する。これらの眼科障害は、糖尿病性網膜症、新生血管形成緑内障、炎症性疾患、および目の腫瘍(例えば網膜芽腫)を包含する。やはり新生血管形成が関わる眼病が他にもいくらか存在し、それらは、水晶体後線維素形成症、葡萄膜炎、早発性の網膜症、斑紋様変性や、脈絡膜の新生血管形成を伴う約20の眼病と、虹彩の新生血管形成を伴う約40の眼病とを包含する。例えば、Waltmanら,1978, Am. J. Ophthal. 85:704-710、およびGartnerら,1978, Surv. Ophthal. 22:291-312による総説を参照されたい。現在、これらの疾患の治療は、特に新生血管形成が生じてしまってからは不十分であり、しばしば、失明に至る。研究から、正常な目の組織(角膜およびガラス体)中に存在する血管阻害因子が、疾患状態では喪失することが示唆される。
血管形成の阻害因子は、その根底にある疾患状態の病理学的進行への上記過程の寄与を限定することばかりでなく、それらの病因論の研究の貴重な手段を提供することにも、重要な治療上の役割を有し得ると思われる。例えば、腫瘍の新生血管形成を阻害する薬剤は、転移性腫瘍の増殖を阻害するのに重要な役割を果たし得ると思われる。
血管内皮細胞の増殖、移動および侵入に関連する血管形成の成分は、部分的にポリペプチド成長因子によって調節されることが見出されている。培養での実験は、適切な成長因子を含有する培地に曝された内皮細胞が、血管形成性応答のいくらかまたはすべてを喚起するよう誘導できることを示す。in vitroでの内皮増殖促進活性を有する、いくつかのポリペプチドが同定されている。その例としては、酸性または塩基性繊維芽細胞成長因子、形質転換成長因子αおよびβ、血小板由来内皮細胞成長因子、顆粒球コロニー刺激因子、インターロイキン−8、肝細胞成長因子、プロリフェリン、血管内皮成長因子、ならびに胎盤性成長因子が挙げられる。例えばFolkmanら,1995. N. Engl. J. Med., 333:1757-1763による総説を参照されたい。
いくつかの異なる組織のソースからの抽出物は、抗血管形成活性を含むことが示されているものの、血小板第4因子、トロンボスポンジン、プロタミンおよび形質転換成長因子βのようないくつかの分子は、血管形成の異なる様相、例えば細胞増殖または細胞移動にネガティブに調節することが見出され、血管形成を阻害できる組織由来の巨大分子で、従来の技術で特定されたものは1つもない。例えば、Folkmanら,1995, N. Engl. J. Med., 333:1757-1763およびD'Amore, 1985, Prog. Clin. Biol. Res. 221:269-283による総説を参照されたい。したがって、血管新生の持続的な脱調節された拡散を妨げることができ、新生血管形成が傑出した役割を果たすような疾患に対する治療法として、広範囲の適用性を有し得ると思われる化学的薬剤を更に同定かつ特性記述することに対する多大なニーズが存在する。
毛細血管の内皮細胞(「EC」)は、新生血管形成の際の血管形成性刺激に応答して増殖する[AusprunkおよびFolkman, 1977, J. Microvasc. Res. 14:153-65]。公知の血管形成刺激因子、例えば酸性または塩基性繊維芽細胞成長因子(それぞれ、aFGFおよびbFGF)に応答しての内皮細胞増殖を評価する、in vitroでのアッセイが、in vitroでの新生血管形成の過程を模倣するために開発されている。この種のアッセイは、様々な血管形成因子による毛細血管EC増殖の刺激を立証するために選択されたアッセイである[Shingら,1984, Science 223:1296-1298]。
細胞外基質を経由して血管形成性刺激へと向かう毛細血管ECの移動の過程も、血管形成に必要とされる死活的事象である。例えば、Ausprunkら,1977, J. Microvasc. Res. 14:53-65による総説を参照されたい。この過程により、新生血管形成の過程をin vitroで模倣するための追加的アッセイが提供される。ボイデンチェンバー技術の改変が、ECの移動を追跡するために開発されている[Boydenら,1962, J. Exptl. Med. 115:453-456、実施例4]。現在まで、数種類の組織由来EC細胞移動阻害剤のみが、公知であるにすぎない。例えばLangerら,1976, Science 193:70-72による総説を参照されたい。
1970年代初期には、数多くのin vivoの血管形成モデルのバイオアッセイが広く用いられた。これらのモデル系は、ウサギ角膜ポケット、ニワトリ漿尿膜(「CAM」)、ラット背側肺胞嚢およびウサギエアチェンバーのバイオアッセイを包含した。総説については、Bloodら,1990, Biochem. et Biophys. Acta 1032:89-118を参照されたい。血管形成の刺激剤や阻害剤のような巨大分子を放出できる制御放出重合体の開発は、これらのアッセイの利用にとって死活的であった[Langerら,1976, Nature 263:797-800]。
CAMバイオアッセイでは、受精したニワトリ胚を、ペトリ皿で培養する。発生の6日目に、試験サンプル、または適切な対照物質を浸した放出重合体、例えばメチルセルロース等の円板を、血管の膜のその前進する辺縁に載せる。発生の8日目に、移植片の周囲の部域を観察かつ査定する。試験移植片の周囲の無血管帯は、胚の新生血管形成の阻害剤の存在を示す[Mosesら,1990, Science, 248:1408-1410およびTaylorら,1982, Nature, 297:307-312]。CAMアッセイで単独に試験された前記の血管形成阻害剤についての報告された用量は、プロタミン50μg[Taylorら(1982)]、ウシガラス体抽出物200μg[Luttyら,1983, Invest. Opthalmol. Vis. Sci, 24:53-56]、および血小板第4因子10μg[Taylorら(1982)]であった。組合せとして有効な血管形成阻害剤の報告された最低用量は、Folkmanら,1989, Science 243:1490が報告した、ヘパリン(50μg)とヒドロコルチゾン(60μg)、およびB−シクロデキストリンテトラデカサルフェート(14μg)とヒドロコルチゾン(60μg)を包含する。
ウサギ角膜ポケットのアッセイによれば、エチレン酢酸ビニル共重合体(「EVAC)の重合体ペレットを試験物質に浸漬し、縁から約1mmのウサギ角膜のポケットに外科的に移植する[Langerら,1976, Science 193:707-72]。血管形成阻害剤について試験するには、癌腫、または他の何らかの血管形成刺激剤のいずれかの1片を、重合体に対して縁から2mm遠位に移植する。それぞれのウサギの反対側の目には、無内容である対照重合体ペレットを、血管形成刺激剤の次に同じ方法で移植する。これらの対照角膜では、5〜6日で、毛細血管が、腫瘍移植片に向かって、空の重合体を実質的に跨いで成長を開始する。試験角膜では、縁の血管から腫瘍への新たな毛細血管の指向性成長は、低下した速度で生じ、阻害されて重合体の周囲に無血管部域が観察されることも多い。このアッセイは、最大血管長を立体特異性顕微鏡で測定することによって定量化される。
トロポニン、すなわち3ペプチドの複合体は、脊椎動物の筋のアクチンフィラメントに密接に付随する補助タンパク質である。トロポニン複合体は、トロポミオシンの筋形態とともに作用して、ミオシンATPアーゼ活性のCa2+依存性を仲介し、それによって筋収縮を調節する。トロポニンのポリペプチドT、IおよびCは、それぞれ、そのトロポニン結合、阻害およびカルシウム結合の活性に対して名付けられている。トロポニンTは、トロポミオシンと結合し、筋の細いフィラメント上のトロポニン複合体の位置づけを担当すると考えられている。トロポニンIは、アクチンと結合し、トロポニンIおよびTが形成する複合体と、トロポミオシンとは、アクチンとミオシンとの相互作用を阻害する。トロポニンCは、最高4個のカルシウム分子と結合することができる。研究からは、筋内のカルシウムのレベルが上昇したとき、トロポニンCは、トロポニンIにアクチン分子上でのその固着を緩めさせて、トロポミオシン分子の変位を生じさせ、それによってアクチン上のミオシンの結合部位を露出させ、ミオシンのATPアーゼ活性を刺激する。本発明の発見以前は、トロポニンサブユニットは、内皮細胞増殖の過程を阻害するとは知られていなかった。
本明細書中の参考文献の援用は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であるとの承認として解されてはならない。
3.発明の要旨
本発明は、トロポニンサブユニットC、IもしくはT、またはそれらのフラグメントを、内皮細胞増殖を阻害できる治療的有効量で含有する医薬組成物に関する。本発明はまた、トロポニンサブユニットC、IまたはTの類似体、およびそれらのフラグメントの類似体を、内皮細胞増殖を阻害できる治療的有効量で含有する医薬組成物に関する。本発明は、更に、本発明の治療化合物の投与による、新生血管形成障害の治療に関する。そのような治療化合物(本明細書では「治療剤」と称する)は:トロポニンサブユニットC、IおよびT、ならびにそれらのフラグメントおよび類似体を包含する。一つの実施態様では、癌性症状を治療するため、または前腫瘍性もしくは前悪性の状態から腫瘍性または悪性の状態への進行を予防するために、本発明の治療剤を投与する。他の特定の実施態様では、新生血管形成に付随する目の障害を治療するために、本発明の治療剤を投与する。
3.1.定義
本明細書に用いられる限りで:
用語「トロポニンサブユニット」は用語C、IまたはTに先行しないときは、トロポニンサブユニットC、IまたはTのいずれかを総称的に意味する。
【図面の簡単な説明】
図1.トロポニンCによるウシ毛細血管内皮細胞(BCE)の増殖の阻害。bFGF刺激BCE増殖の阻害の%を、トロポニンCの濃度(nM)の関数として示す。阻害の%は、刺激のみで処理した細胞について得られた結果を、刺激と阻害剤との双方に曝したサンプルについて得られたものと比較することによって決定した。ウェルの容積は、200μlであった。
図2.トロポニンIによる毛細血管BCE増殖の阻害。bFGF刺激BCE増殖の阻害の%を、トロポニンIの濃度(nM)の関数として示す。阻害の%は、図1に記載したとおりに決定した。ウェル容積は200μlであった。
図3.トロポニンTによる毛細血管BCE増殖の阻害。bFGF刺激BCE増殖の阻害の%を、トロポニンTの濃度(nM)の関数として示す。阻害の%は、図1に記載したとおりに決定した。ウェル容積は200μlであった。
図4.トロポニンCおよびIによるBCE増殖の阻害。bFGF刺激BCE増殖の阻害の%を、トロポニンIおよびCの濃度(nM)の関数として示す。阻害の%は、図1に記載したとおりに決定した。ウェル容積は200μlであった。
図5.トロポニンC、IおよびTによる毛細血管BCE増殖の阻害。bFGF刺激BCE増殖の阻害の%を、トロポニンC、IおよびTの濃度(nM)の関数として示す。阻害の%は、図1に記載したとおりに決定した。ウェル容積は200μlであった。
図6.SCIDマウスにおける腫瘍成長の阻害。
発明の詳細な説明
本発明は、トロポニンサブユニットに基づく治療の方法および組成物に関する。本発明は、本発明の治療化合物の投与による新生血管形成性障害の治療を提供する。
そのような治療化合物(本明細書では「治療剤」と呼ぶ)は:トロポニンのC、IおよびTサブユニット、それらのフラグメントおよび類似体(集合的には「本発明のペプチド」)を包含する。本発明のペプチドは、培養中のウシ内皮細胞増殖を10μM以下のIC50で阻害する特性を特徴とする。好適な実施態様では、癌性症状を治療するため、あるいは前腫瘍性もしくは非悪性の状態から腫瘍性もしくは悪性の状態への進行を予防するために、本発明の治療剤を投与する。他の特定の実施態様では、新生血管形成に付随する目の障害を治療するために、本発明の治療剤を投与する。
好適な実施態様では、本発明の治療剤は、内皮細胞の増殖を阻害するのに効果的である、トロポニンC、トロポニンI、トロポニンT、またはトロポニンCおよびIの少なくともフラグメントよりなるペプチドである。
本発明に従って利用できるトロポニンサブユニットの例は、ヒトの速単収縮骨格筋(fast twitch skeletal muscle)からのトロポニンのサブユニットを包含し、その配列を下記に示す:
Figure 0003990456
Figure 0003990456
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別の実施態様では、本発明は、ヒト速単収縮骨格筋トロポニンC(配列番号1)またはそのフラグメントと相同であるペプチドを包含する。一つの実施態様では、該ペプチドのアミノ酸配列は、それが由来するヒト速単収縮骨格筋トロポニンCのフラグメント(「原型フラグメント」)と比較して、少なくとも80%の同一性を有する。別の実施態様では、この同一性は、85%を上回る。より好適な実施態様では、この同一性は90%を上回る。最も好適な実施態様では、該ペプチドのアミノ酸配列は、原型フラグメントと少なくとも95%の同一性を有する。フラグメントは、少なくとも10個のアミノ酸であり得、好適な実施態様では、それぞれ、少なくとも50、75、100および120個のアミノ酸であり得る。
別の実施態様では、本発明は、ヒトの速単収縮骨格筋トロポニンI(配列番号2)またはそのフラグメントと相同であるペプチドを包含する。一つの実施態様では、該ペプチドのアミノ酸配列は、原型のヒト速単収縮骨格筋トロポニンIフラグメントと少なくとも80%の同一性を有する。別の実施態様では、この同一性は85%を上回る。より好適な実施態様では、この同一性は、90%を上回る。最も好適な実施態様では、該ペプチドのアミノ酸配列は、原型フラグメントと少なくとも95%の同一性を有する。フラグメントは、少なくとも10個のアミノ酸であり得、好適な実施態様では、それぞれの長さが、少なくとも50、75、100、および120個のアミノ酸であり得る。
別の実施態様では、本発明は、ヒトの速単収縮骨格筋トロポニンT(配列番号3)またはそのフラグメントと相同であるペプチドを包含する。一つの実施態様では、該ペプチドのアミノ酸配列は、原型のヒト速単収縮骨格筋βトロポニンTとの少なくとも80%の同一性を有する。別の実施態様では、この同一性は85%を上回る。より好適な実施態様では、この同一性は90%を上回る。最も好適な実施態様では、該ペプチドのアミノ酸配列は、原型フラグメントと少なくとも95%の同一性を有する。フラグメントは、少なくとも10個のアミノ酸であり得、好適な実施態様では、それぞれの長さが少なくとも50、75、100、120、および200個のアミノ酸であり得る。
別の特定の実施態様では、本発明のペプチドは、他の哺乳動物種、例えばヒト、ウサギ、ラット、マウス、ウシ、ヒツジおよびブタからの速単収縮、緩縮および心筋イソ型のトロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンTサブユニットである。
特定の実施態様では、本発明の治療剤は、血管形成をネガティブに調節し、血小板第4因子、トロンボスポンジン−1、金属プロテアーゼの組織阻害剤(TIMP1およびTIMP2)、プロラクチン(16-Kdフラグメント)、アンギオスタチン(プラスミノーゲンの38-Kdフラグメント)、bfGf可溶性受容体、形質転換成長因子β、インターフェロンαおよび胎盤プロリフェリン関連タンパク質であってよいが、それらに限定されない、治療的有効量のもう1種類の分子と組合される。
逆説的には、新生血管形成は、血管の圧縮と中心部の壊死とを生じる腫瘍内部の間隙圧力の上昇のために、化学療法薬物に対する腫瘍の接近可能性を次第に低下させる。in vivoの結果によれば、血管形成療法を受ける齧歯動物は、腫瘍への化学療法の増大した送達を示すことが立証されている[Teicherら,1994, Int. J. Cancer 57:920-925]。したがって、一つの実施態様では、本発明は、化学療法剤と組み合わせた本発明の医薬組成物を提供する。
別の好適な態様では、本発明の治療剤を化学療法剤、または放射性同位元素の暴露と組み合せる。
本発明を以下の実施例を用いて記載するが、とりわけ、トロポニンサブユニットC、IおよびTによる毛細血管内皮細胞の増殖の阻害と、トロポニンサブユニットによる毛細血管内皮細胞の移動の阻害、およびin vivoでの新生血管形成の阻害を決定する手段とを開示する。
開示を明確にするために、以下に限定されることなく、本発明の詳細な説明を以下の副節に分割する。
5.1.トロポニンサブユニット、フラグメントおよび類似体
本発明は、トロポニンサブユニット、それらのフラグメントおよび類似体を含む医薬組成物を提供する。特定の態様では、該サブユニット、フラグメントまたは類似体は、ハエ、カエル、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ、イヌ、サルまたはヒトのトロポニンサブユニットのものである。
トロポニンサブユニットフラグメントは、機能的に等価の分子を与える置換、付加または削除によりトロポニンの配列を変えることによって作成できることが構想される。これらは、機能的の等価のアミノ酸残基が配列内の残基と置き換えられてサイレントな変化を生じている、変更された配列を含むトロポニンサブユニットのアミノ酸配列の全部または一部を一次アミノ酸配列として含むトロポニンサブユニット、フラグメントまたは類似体を包含するが、それらに限定されない。例えば、配列内の一つ以上のアミノ酸残基を、機能的等価体として作用する類似の極性を有するもう一つのアミノ酸と置換し、サイレントな変化を生じることができる。配列内のアミノ酸についての置換体は、そのアミノ酸が属する分類群の他の成員から選んでよい。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを包含する。極性中性アミノ酸は、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンを包含する。正に帯電した(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リシンおよびヒスチジンを包含する。負に帯電した(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を包含する。
本発明の一つの実施態様は、内皮細胞の増殖を阻害できるトロポニンサブユニットの少なくとも10個の(連続する)アミノ酸のフラグメントよりなるか、またはそれを含む分子を提供する。別の実施態様では、この分子は、トロポニンサブユニットの少なくとも20または50個のアミノ酸よりなる。特定の実施態様では、そのような分子は、少なくとも75、120または200個のアミノ酸のトロポニンサブユニットのフラグメントよりなるか、またはそれを含む。
好適な実施態様では、該タンパク質は、哺乳動物のトロポニンサブユニットである。代替的な実施態様では、それは哺乳動物のトロポニンC、IまたはTサブユニットである。
本発明のトロポニンサブユニットのフラグメントおよび類似体は、組織から誘導できるか(例えば、実施例1;Ebashiら,1968, J. Biochem. 64:465 ; Yasuiら,1968, J. Biol. Chem. 243:735 ; Hartshorneら,1968, Biochem. Biophys. Res. Commun, 31:647 ; Shaubら,1969, Biochem. J. 115:993 ; Greaserら,1971, J. Biol. Chem. 246:4226-4733 ; Brekkeら,1976, J. Biol. Chem. 251:866-871 ; およびYatesら,1983, J. Biol. Chem. 258:5770-5774を参照されたい)、または当該分野において公知の様々な方法によって製造できる。それらの製造を生じる操作は、遺伝子またはタンパク質レベルで生じることができる。例えば、トロポニンサブユニットC、IまたはTをコードするクローニングされたトロポニン遺伝子配列を、当該分野に公知の多数の方法のいずれかによって変えることができる[Sambrookら,1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratoty, Cold Spring Harbor, New York]。該配列は、in vitroで、制限エンドヌクレアーゼ、次いで、所望ならば、更に酵素による修飾によって適切な部位で切断し、単離し、結合することができる。トロポニンサブユニットの誘導体または類似体をコードする遺伝子の生産の際は、修飾された遺伝子が、望みのトロポニン活性がコードされる遺伝子領域内で、翻訳停止シグナルで遮断されずに、トロポニンサブユニット遺伝子と同じ翻訳読み枠内に留まるのを確実にするよう注意を払わなければならない。
加えて、核酸配列をコードするトロポニンサブユニットは、in vitroまたはin vivoで突然変異させて、翻訳、開始および/もしくは終止配列を生成ならびに/または破壊するか、あるいはコード化領域での変異を生成し、ならびに/または新たな制限エンドヌクレアーゼ部位を形成または既存のものを破壊して、in vitroでのそれ以上の修飾を容易にすることができる。当該分野に公知の突然変異誘発のための、in vitroでの部位指向性突然変異誘発(Hutchinsonら,1978, J. Biol. Chem. 253:6551)、TAB(登録商標)リンカー(Pharmacia)の使用等々を包含するが、それらに限定されない、いかなる手法を用いることもできる。
トロポニンサブユニットC、IまたはTの配列の操作は、タンパク質レベルで実施してもよい。本発明の範囲内に包含されるのは、例えば、アセチル化、リン酸化、カルボキシル化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解性切断、抗体分子またはその他の細胞性リガンドとの結合等々によって、翻訳の際、またはその後に差別的に修飾されたトロポニンサブユニットのフラグメントまたは他のフラグメントもしくは類似体である。臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元等による特異的化学的切断を包含するが、これらに限定されない公知の手法によって、多数の化学的修飾のいずれを実施してもよい。
加えて、トロポニンサブユニットのフラグメントおよび類似体は、化学的に合成することができる。例えば、トロポニンサブユニットの、望みのドメインを含むか、または望みの活性をin vitroで仲介する部分に相当するペプチドを、ペプチド合成装置を用いることによって合成することができる。更に、所望であれば、正統でないアミノ酸、または化学的アミノ酸類似体を、置換または付加としてトロポニンサブユニット配列に導入することができる。正統でないアミノ酸は、一般的なアミノ酸のD−異性体、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニンや、β−メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸およびNα−メチルアミノ酸のようなデザイナーアミノ酸を包含するが、これらに限定されない。
特定の実施態様では、本発明は、そのアミノまたはカルボキシ末端で異なるタンパク質のアミノ酸配列にペプチド結合を介して結合された、(内皮細胞の増殖を阻害する原因となるトロポニンサブユニットの少なくともドメインまたはモチーフよりなる)トロポニンサブユニットもしくはそのフラグメントを含むキメラまたは融合タンパク質を包含する。そのようなキメラ生成物は、望みのアミノ酸配列をコードする適切な核酸配列を、当該分野に公知の方法を用いて、適正なコーディングフレーム内で互いに結合し、当該分野に一般的に公知である方法を用いて該キメラ生成物を発現することによって、製造することができる。これに代えて、そのようなキメラ生成物を、タンパク質合成手法、例えばペプチド合成装置の利用によって製造してもよい。
5.2.トロポニンタンパク質、フラグメント及び類似体の検定
トロポニンのサブユニット、フラグメント及び類似体の機能的活性及び/または治療に有効な用量は、種々の方法でin vitroで検定できる。これらの方法は血管形成に関与する生理的プロセスを基礎とし、これらの方法が本発明の範囲内にあれば、これら方法は、血管形成を阻害するトロポニンのサブユニット、フラグメント及び類似体の範囲を定め、及び/またはこの医薬組成物の治療に有効な用量を決定する方法を限定するものではない。
例えばin vitroで毛細管内皮細胞(EC)の増殖を阻害または干渉するトロポニンのサブユニット、フラグメント及び類似体の能力を検定する場合には、これらには限定はされないが核酸への放射性組み込み、比色検定及び細胞計数を含むこの分野で周知の各種の生物検定法が使用できる。
内皮細胞増殖の阻害を、細胞の酸ホスファターゼ活性の比色定量または電子的細胞計数により測定してもよい。これらの方法は、本発明のトロポニンのサブユニット、誘導体または類似体による処理後の培養中の内皮細胞の数、及びaFGFのような血管形成刺激因子を決定する迅速で感度のよいスクリーニング法を提供する。細胞の酸ホスファターゼ活性の比色定量はConnolly等(1986、J.Anal.Biochem.152:136−140)により記述されている。実施例3に記載するこの方法によれば毛細管内皮細胞はaFGFのような血管形成刺激因子とある濃度範囲の潜在的阻害剤により処理される。これらのサンプルをインキュベーションして増殖を可能とした後に収集し、洗浄し、ホスファターゼ基質含有バッファー内で溶解し、次に再度インキュベーションする。塩基性溶液を添加して反応を停止し、405λで色の発生を測定するConnolly等によれば、酸ホスファターゼの活性と10,000細胞/サンプルまでの内皮細胞の数との間には直線の関係が成立する。また酸ホスファターゼ活性の標準曲線は、この酵素レベルが実際のEC数を反映することを確認するために既知の細胞数から作製される。パーセント阻害は、刺激に曝されたサンプルの細胞数と刺激及び阻害剤に曝されたそれらとを比較して決定される。
内皮細胞の増殖に及ぼすトロポニンのサブユニットC、I及びTの影響を決めるための比色検定により、三種のトロポニンのサブユニットの何れもがbFGF刺激内皮細胞の増殖を干渉することが示される。
トロポニンCは、試験した何れの濃度においても用量に依存した形でbFGF刺激内皮細胞の増殖を阻害した(図1)。ウシの内皮細胞増殖(「BCE」)のパーセント阻害は、280nM、1.4μm、2.8μM及び5.6μMの濃度においてそれぞれ54%、86%、83%及び100%であった。100%の阻害は20μg/ウェル(5.6μM)の濃度で観測された。IC50は、aFGF増殖因子-誘発刺激の50%阻害が観測された濃度を表す。トロポニンCのIC50は278nMであると決定された。
トロポニンIは、1及び5μg/ウェルの濃度においてbFGF-刺激BCEの増殖を阻害するが、10μg/ウェルでは試験したサンプルに阻害が観測されなかった(図2)。BCEのパーセント阻害は、240nMと1.2μMの濃度においてそれぞれ33%と46%であった。トロポニンIのIC50は1.14μMであると決定された。
トロポニンTは、10と20μg/ウェルの濃度においてbFGF-刺激EC増殖を阻害するが、1と5μg/ウェルの濃度においては阻害しなかった(図3)。BCE増殖は、1.6μMと3.3μMにおいてそれぞれ23%と62%が阻害された。トロポニンTのIC50は2.14μMであると決定された。
トロポニンサブユニットC及びIを組み合わせると、試験した何れの濃度においてもECを阻害した(図4)。BCEのパーセント阻害は、130nM、645nM、1.3μM及び2.6μMにおいてそれぞれ52%、54%、73%及び47%であった。この組合せのIC50は110nMであると決定された。
トロポニンサブユニットC、I及びTを組み合わせると、360nMの濃度において16%だけaFGF-刺激BCEの増殖を阻害するのが観察された(5μg/ウェル、図5)。
試験したトロポニンのサンプルは、非内皮細胞型のBalb/c3T3細胞の増殖に対する検出可能の阻害効果を持たなかった。
毛細管内皮細胞によって放射性チミジンを組み込むと、潜在的な血管形成阻害剤による内皮細胞増殖の阻害を検定するための他の手段が示される。この方法によれば、3Hチミジンストック、例えばbFGFのような血管形成刺激因子、及びある濃度範囲の試験対象の血管形成阻害因子の存在下に、予め測定した数の毛細管内皮細胞が成長する。インキュベーションした後にこの細胞を収集し、チミジン組み入れの程度を測定する。実施例2を参照のこと。
血管形成刺激に応答する毛細管内皮細胞の移動のプロセスを干渉するトロポニンのサブユニット、フラグメントまたは類似体の濃度を変化させるの能力は、改良ボイデンチェンバー(Boydenchamber)技術を用いて検定できる。以下の2節及び実施例4を参照のこと。
トロポニンのサブユニット、フラグメント及び類似体の機能的活性を検定する他の手段は、最後には毛細管形成を生じる毛細管内皮細胞の特異的な移動を阻害するこれら化合物の能力を検査することを含む。この能力は例えば、コラーゲンゲル上にプレーティングした毛細管内皮細胞をこの阻害剤に対抗させ、毛細管様の管構造が培養した内皮細胞により形成したか否かを決める検定法を用いて評価できる。
in vivoで血管形成を阻害する能力の検定には、ニワトリの漿尿膜検定(以下の2節と実施例5を参照のこと)及びラットまたはウサギ角膜ポケット検定が含まれる。Polverini等(1991、Methods Enzymol.198:440−450)を参照のこと。角膜ポケット検定によれば、角膜ポケットの形状の試験用動物の角膜に選択した腫瘍を移植する。この角膜ポケットに潜在的な血管形成阻害剤を付与し、新生血管形成のためのルーチン検査を角膜ポケットに実施する。以下の2節と実施例6を参照のこと。
本発明の一つの実施態様では、血管形成を阻害するための本発明のトロポニンのサブユニット、フラグメントまたは類似体の組合せを提供する。他の実施態様では、トロポニンのサブユニット、フラグメントまたは類似体と他の血管形成の阻害剤との組合せを提供する。このような血管形成の阻害剤には、アンギオスターテックステロイド(angiostatic steroid)、トロンボスポンジン、血小板因子IV、形質転換増殖因子β、インターフェロン、腫瘍壊死因子α、ウシのガラス様抽出物、プロタミン、金属プロテイナーゼの組織阻害因子(TIMP−1及びTIMP−2)、プロラクチン(16−kdフラグメント)、アンギオスタチン(プラスミノーゲンの38−kdフラグメント)、bfGf可溶レセプター及び胎盤プロリフェリン関連タンパク質が含まれるが、これらに限定はされない。例えばFolkman等による概説(1995、N.Engl.J.Med.333:1757−1763)及びKlagsbrun等(1991、Annu.Rev.Physiol.53:217−239)を参照のこと。
毛細管内皮細胞増殖の阻害、移動及び/または血管内方成長として定義されるin vivoでの血管形成の阻害のための治療に有効な用量は、上記本発明の組成物または他の血管形成の阻害因子との組合せを用いたin vitroの阻害検定から推定できる。また有効な用量は、送達の方法と手段に左右される。例えば乾せん性または糖尿病性の網膜症の治療における場合の適用法では、阻害剤は局所性の眼への担体中において送達される。固形腫瘍の治療の場合のような他の適用法では、阻害剤は生物分解性で重合体性の移植組織を介して送達される。またこのタンパク質は例えば、ポリエチレングリコール処理により改質できる。
5.3. 治療用途
本発明は、本発明の治療用化合物の投与による新生血管形成に関連する疾病または疾患の治療法を提供する。このような治療用化合物(以下は「治療薬剤」と称す)にはトロポニンのサブユニット、フラグメントまたは類似体(例えば以下に記述されるようなもの)が含まれる。
5.3.1. 悪性
本発明の治療用化合物により治療できる悪性または転移性の状態には、表1に列記した固形腫瘍(このような疾患の概説にはFishman等(1985、Medicine、2版、J.B.Lippincott Co.、Philadelphia)を参照のこと)が含まれるが、これらのみに限定はされない。
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5.3.2. 視覚障害
本発明の治療薬化合物で治療できる新生血管形成に関連する視覚障害には、新生血管形成緑内障、糖尿病性網膜症、網膜芽細胞腫、水晶体後方線維組織形成、ブドウ膜炎、早発網膜症、黄斑変性、角膜移植新生血管形成、並びにその他の眼科炎症性疾病、眼科腫瘍及び脈絡膜または虹彩の新生血管形成に関連する疾病が含まれるが、これらに限定はされない。例えばWaltmanらによる概説1978, Am.J.Ophthal. 85:704-710)及びGartnerら1978, Surv.Ophthal. 22:291-312による概説を参照のこと。
5.3.3.その他の障害
本発明の治療薬化合物で治療できる他の障害には、血管腫、関節炎、乾癬、血管線維腫、アテローム硬化斑、創傷治癒遅れ、肉芽形成、血友病性関節、過性成性瘢痕、癒着不良骨折、オスラー-ウェバー症候群、化膿性肉芽腫、硬皮症、トラホーム及び血管癒着が含まれるが、これらに限定はされない。
5.4. 治療上または予防上の効用の例証
本発明の治療薬剤は、所望の治療上または予防上の活性のため並びに治療上有効な用量の決定についてin vivoで試験が可能である。例えば、そのような化合物は、人体で試験する前に、限定はしないがラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギ等を含む適当な動物モデル系で試験することができる。人体投与の前のin vivo試験のために、この分野で公知のいかなる動物モデル系も使用できる。
5.5. 治療/予防の投与及び組成物
本発明は、本発明の治療薬剤の有効量を被験体に投与することによる治療方法(及び予防方法)を提供する。好ましい態様においては、この治療薬は実施例1に述べるように実質的に精製されている。被験体は限定はされないが好ましくはウシ、ブタ、ニワトリ等を含む動物であり、好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。
更に本発明は化学療法薬剤及び/または放射性アイソトープ照射と組み合わせた本発明の治療薬の有効量を被験体に投与することによる治療法を提供する。
また本発明は、睡眠状態を維持するために鎮静に入った患者に対する本発明の治療薬剤による治療の方法を提供する。
本発明の治療薬剤を投与するための各種の送達系が知られており、使用することができる。例えば、リポソーム中にカプセル化、微粒子、ミクロカプセル、受容体介在内向きエンドーサイトーシス(例えばWu及びWu、1987、J.Biol.Chem.、262:4429-4432を参照のこと)が挙げられる。導入方法には、局所、皮膚内、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、目及び口の各経路が含まれるが、これらには限定はされない。これら化合物は任意の都合よい経路、例えば浸剤または全量注射、上皮または皮膚/粘膜ライニング、(例えば口粘膜、直腸及び腸粘膜等)を介した吸収等により投与でき、他の生物学的に活性な試剤と共に投与できる。投与は局在化されるのが好ましいが、投与は全身的でもよい。さらに加えて、胃内及び包膜の注射を含む任意の適切な経路により本発明の医薬組成物を中枢神経系に導入するのが望ましい。胃内注射は、Ommayaリザーバーのようなリザーバーに付設された胃内カテーテルにより容易と¥なる。肺投与も、例えば吸入器または噴霧器の使用とエアロゾール化剤を含む組成化により応用できる。
特定の実施態様においては、本発明の医薬組成物を治療を必要とする部位に局所投与することが望ましい。これは、限定はしないが例えば、手術の間の局所注入、手術後の傷口包帯との組み合わせのような局所適用、注射、カテーテルの手法、座薬の手法またはシアラスチック膜のような膜か繊維を含む多孔性、非多孔性またはゼラチン状材質のインプラントの手法により達成される。一つの実施態様においては、悪性腫瘍または腫瘍性か前腫瘍性組織の部位(または前部位)への直接注射により投与が可能となる。
局所適用には精製したトロポニンサブユニットが、担体と組み合わせられ、所望の活性度(即ち、局所血管形成、内皮細胞の移動及び/または毛細管内皮細胞の増殖を防止するために例えば1.0μMから1.0mMの有効用量の範囲)を基準として有効容量が送達される。一つの実施態様においては、局所トロポニンサブユニット、フラグメントまたは類似体が、乾せんのような疾病の治療のために皮膚に適用される。この担体は限定はしないが例えば軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体、エーロゾル、座薬、パッドまたはゲル化ステックの形態にある。
以下に論ずるある種の眼科障害の治療のための局所治療薬は、緩衝された生理食塩水、鉱物性オイル、コーンやピーナッツ等の植物性オイル、ワセリン、ミグリオール182、アルコール溶液、またはリポソームかリポソーム様製品のような眼科学的に許容される賦形剤中のトロポニンのサブユニット、フラグメントまたは類似体の有効量から成る。またこれら組成物の何れもが、保存剤、抗酸化剤、抗生物質、免疫阻害剤、及びトロポニンのサブユニットに対して有害な影響を及ばさない他の生物学的または製剤学的に有効な試剤を含有できる。
例えば潰瘍や痔の治療のための方向づけられた内部局所適用には、トロポニンのサブユニット、フラグメントまたは類似体の組成物は錠剤またはカプセルの形態にあり、これは以下の成分または類似性質の化合物の何れをも含有できる:微結晶性セルロース、トラガカントガム、またはゼラチンのような結合剤、デンプンまたはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、プリモデルまたはトウモロコシデンプンのような砕解剤、ステアリン酸マグネシウムやステロートのような潤滑剤またはコロイド状二酸化珪素のような滑り剤。投薬量単位の形態がカプセルの場合は、上記タイプの試剤に加えて脂肪オイルのような液状担体を含有できる。更に投薬量単位の形態では、投薬量単位の物性形態を改変する例えば、糖のコーティング、シェラックまたは他の腸溶性試剤等の他の各種の材料を含有できる。
座薬は一般に0.5%から10%重量の範囲の活性成分を含有し、経口組成物は好ましくは10%ないし95%の活性成分を含有する。
他の実施態様では、この治療剤は小胞、特にリポソーム中で送達することができる。Langerら、1990、Science、249:1527-1533 ; Treatら、1989、感染病及び癌の治療におけるリポソーム類、Lopez-Berestein及びFidler(編集)、Liss、New York、pp.353-365 ; Lopez-Berestein(同書、pp.317-327)を参照のこと。
更に別の実施態様では、この治療剤は制御された放出システムで送り出すことができる。一つの実施態様では、例えばインシュリンや化学療法剤を特定の器官または腫瘍に送り出すのに使用する注入ポンプを利用してトロポニンのサブユニットを投与できる(上記のLanger;Sefton、CRC.Crit.Ref.Biomed.、1987、Eng.14:201 ; Buchwaldら、1980、Surgery 88:507 ; Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.、321:574を参照)。
好ましい一形態においては、トロポニンのサブユニット、フラグメントまたは類似体は、トロポニンのサブユニット、フラグメントまたは類似体を選択位置に制御した時間間隔で放出する生分解性および生物互換性を有するポリマー内インプラントと組み合わせて投与される。好ましいポリマー材の例に、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレン ビニル酢酸及びそれらの共重合体と混合物が挙げられる。Medical Application of Controlled Release、Langer及びWise(編集)1974、CRC Pres.、Boca Raton、Florida;Controlled Drug Bioavailability、Drug Product Design and Performance、Smolen及びBall(編集)、1984、Wiley,New York;Ranger及びPeppas、1983、J.Macromol. Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61を参照のこと。またLevy等、1985、Science 228:190;During等、1989、Ann.Neurol.25:351;Howard等、1989、J.Neurosurg.71:105も参照のこと。更に他の実施態様では、制御された放出システムを治療ターゲット、即ち脳に接近して設置できるので全身服用量の一部分のみが必要となる(例えば、Goodson、Medical Application of Controlled Releaseを参照のこと。同書のvol.2、pp.115-138)。
その他の制御された放出システムはLangerによる概説で論じられている(1990、Science、249:1527-1533)。
また本発明は医薬組成物を提供する。このような組成物は、治療剤の治療に有効な量と製剤学的に許容される担体から成る。
本発明の医薬組成物は中性または塩の形状に調合できる。製剤学的に許容される塩には、塩酸、燐酸、酢酸、蓚酸、酒石酸等から誘導された塩等の遊離アミノ基から形成した塩、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、鉄水酸化物、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等から誘導された塩等の遊離カルボン酸から形成した塩が挙げられる。
特定の実施態様では、用語「製剤学上許容される」は、連邦政府または州政府の規制当局により是認されたか、動物または特にヒトでの使用のための米国薬局方または一般的に認可された他の薬局方に一覧されていることを意味する。用語「担体」は、薬剤がそれと共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。このような製剤学上の担体として水またはオイルのような無菌液体があり、オイルにはピーナツ油、大豆油、鉱物油、胡麻油等、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶媒のような石油、動物、植物または合成を起源とするオイルが含まれる。医薬組成物が静脈内に投与される時は、水が好ましい担体である。食塩水、及びデキストロースとグリセロールの水性溶液も、特に注射溶液の液体担体として利用できる。適当な製剤学上の賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれる。必要に応じて、組成物は、湿潤剤、乳化剤または、酢酸塩、クエン酸塩、燐酸塩等のpH緩衝剤を少量含んでいても良い。塩化ベンジルまたはメチルパラベン等の抗菌剤、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤、エチレンジアミンテトラ酢酸のようなキレート剤、塩化ナトリウム、デキストロース等の張度の調整剤もまた想定される。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回投与用のバイアルに封入できる。
これら組成物は溶液、懸濁液、乳化液、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、持続放出製剤等の形態をとることができる。組成物は、トリグリセリド、微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンのような従来の結合剤及び担体と一緒に座薬として製剤化することができる。経口組成物は、薬品級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等の標準担体を含有できる。適当な製剤学上の担体の例は、E.W.Martinによる“Remington’s Pharmaceutical Sciences”に記載されている。このような組成物は、患者への適当な投与の形状を提供するような適量の担体と共に、好ましくは精製した形態の治療剤の治療に有効な量を含有する。この製剤は、投与様式に適するものである必要がある。
好ましい実施態様においては、組成物は、ヒトへの静脈投与に適応した医薬組成物としての通常の手順に従って製剤化される。一般には静脈投与用の組成物は、無菌の等張水性緩衝液中に溶解した溶液である。必要なら、組成物は、可溶化剤及び注射部位の痛みを緩和するリグノカインのような局所麻酔薬も含有できる。一般的には各成分は、活性剤の量を表示しているアンプルまたはプラスチック袋のような気密容器中の例えば凍結乾燥粉体または水フリーの濃縮物として、単位剤形で一緒に混合してまたは別個に供与される。組成物を注入により投与する場合は無菌の薬品級の水または食塩水を含有する注入ボトルにより分配される。組成物を注射により投与する場合は、投与前に各成分が混合されるように注射用の無菌の水または食塩水のアンプルを用意することが可能である。
特定の疾病または状態の治療に有効となる本発明の治療剤の量は、その疾病または状態の性質に依存し、標準臨床技術により決定できる。加えて、5.2節で論じたようなin vitroアッセイが任意に使用でき、最適服用量の範囲を確認するのに役立つ。製剤中での使用されるすべき正確な用量は、投与の経路及び疾病または障害の重症度にも依存し、医師の判定及び各患者の状況に従って決定すべきである。それでも一般には、静脈投与の適当な服用量範囲は、キログラム体重当り活性化合物の約20−500μgである。鼻腔内投与の適当な服用量範囲は、一般には約0.01pg/kg体重ないし1mg/kg体重である。有効用量は、生体外または動物モデル試験バイオアッセイまたは即ちシステムから誘導した用量応答曲線から外挿できる。
本発明は更に、本発明の医薬組成物の成分の一種または複数種を詰め込んだ一または複数の容器から構成される医薬パックまたはキットを提供する。医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府当局により規定された様式の通知書がこのような容器に付設されてもよく、この通知書はヒトへの投与のための製造、使用または販売に対する当局による認可を表している。
本発明の組成物及び使用法の改変及び変更は、前記の詳細な説明から当業者には明かである。このような改変及び変更は、付記した請求の範囲内に入るものである。
以下の非限定的実施例は、血管形成刺激因子が誘発する内皮細胞の増殖のトロポニンサブユニットによる阻害の発見、血管形成を阻害するトロポニンのサブユニット、フラグメント及び類似体の有効投薬量を決定する手段、並びにトロポニンサブユニットのフラグメント及び類似体(即ち、血管形成を阻害することができるトロポニンサブユニットのフラグメント及び類似体)を同定するための手段を例示する。実施例で使用するトロポニンサブユニットは以下に述べる様に精製される。
6. 実施例
実施例1: トロポニンサブユニット成分の精製
組織から心臓トロポニンの単離
トロポニンを精製するEbasi等の手法(1968、J.Biochem.64:465−477);Yasui等の手法(1968,J.Biol.Chem.243:735−742);Hartshorne等の手法(1969、Biochim.Biophys.Acta、175:30);Schaub等の手法(1969、Biochem.J.115:993−1004);Greaser等の手法(1971、J.Biol.Chem.246:4226−4233);及びGreaser等の手法(1973、J.Biol.Chem.248:2125−2133)が利用できる。ウサギの背と足の筋肉を切除し、脂肪と結合組織を除去し、摩砕する。摩砕した筋肉(1kg)を、20mMのKCl、1mMのKHCO3、0.1mMのCaCl2及び0.1mMのDTT1を含有する溶液2リットル中で5分間攪拌する。(1以下の略号が使用されている。DDT、ジチオトレイトール;EGTA、エチレングリコール ビス(β−アミノエチルエーテル)-N,N-テトラアセテート;SDS、ドデシル硫酸ナトリウム塩;SE-、スルフォエチル)
この懸濁液を薄地の綿布を通して濾過し、残留物の洗浄を4回繰り返す。次にこの洗浄した残留物に95%エタノール2リットルを加え、10分後に溶液を濾過する。エタノール抽出を2度繰り返す。次ぎに残留物をジエチルエーテル2リットルで10分間洗浄し、この洗浄を2回行う。最後に、残留物を室温で2〜3時間乾燥する。
乾燥した粉体(筋肉1kgからの)を1MのKCl,25mMのTris(pH8.0)、0.1mMのCaCl2及び1mMのDTTを含有する溶液により22℃で一晩抽出する。薄地の綿布を通して濾過した後に、残留物を1MのKClの1リットルでもう一度抽出する。
各抽出液を一つに集め、4℃に冷却する。固体の硫酸アンモニウムを約40%飽和になるまで加える(1リットル当り230g)。30分後に、この溶液を遠心し、次に上清1リットル当り硫酸アンモニウム125gを加える(60%飽和)。遠心後、沈降物を5mMのTris(pH7.5)、0.1mMのCaCl2及び0.1mMのDTTを含有する溶液の500mlに溶解し、同溶液の15リットルに対して6時間、新しい溶液に対して一晩透析する。
固体のKClを最終濃度が1Mになるまで添加し、1MのKClの溶液を容積が1リットルになるまで加える。次に、HClを添加してpHを4.6に調整し、遠心によりトロポミオシンの沈降物を除去する。上清のpHをKOHで7.0に調整し、1リットル当り硫酸アンモニウムの450gを加える(70%飽和)。沈降物を5mMのTris(pH7.5)、0.1mMのCaCl2及び0.1mMのDTTを含有する溶液に溶解し、同溶液に対して一晩透析する。固体のKClを濃度が1Mになるまで添加し、pHを4.6に調節し、生じる沈降物を遠心で除去する。中性にした上清を、ネスラー反応がネガティブになるまで2mMのTris(pH7.5)に対して透析する。トロポニンの最終収量は、通常は新しい筋肉の1kg当り2.5〜3.0gである。
組織から心臓トロポニンの単離
死後約30分のウシの心臓を準備し、直ちに切り開き、血液を洗い出し、氷に浸す。左心室を除去し、過剰の脂肪と結合組織を切取り、摩砕する。以後の全ての抽出と調合のステップは、特記がなければ0−3°で実施する。摩砕した筋肉(500g)を、0.09MのKH2PO4、0.06MのK2HPO4、0.3MのKCl、5mMの2-メルカプトエタノールを含有する溶液(pH6.8)2.5リットル中でWaringブレンダーで1分間ホモジナイズする。次にホモジナイズした筋肉懸濁液を30分間撹き混ぜ、1000×gで20分間遠心する。沈降物を30分間再度抽出し、遠心する。次いで残留物を5mMの2-メルカプトエタノール2.5リットルで洗浄し、1000×gで10分間遠心し、続いて50mMのKCl、5mMのTris-HCl(pH8.1/5)、5mMの2-メルカプトエタノールから成る1.5リットルで2回の連続洗浄と遠心を実施する。次ぎに残留物を、50mMのTris-HCl(pH8.1)と5mMの2-メルカプトエタノールから成る1.5リットルで2回の洗浄と遠心を実施する。残留物の容積を測定し、残留物と3MのKCl、50mMのTris-HCl(pH8.1)及び5mMの2-メルカプトエタノールからなる0.5容積と混合する。0℃で16〜20時間抽出した後、懸濁液を15000×gで10分間遠心する。沈降物を破棄し、上清を0.05Nの塩酸でpH7.6に調節する。抽出物をナイロンガーゼを通して濾過することでpH調節により生じた線状沈降物を除く。30と50%の硫酸アンモニウム飽和の間に沈降するタンパク質を収集し、1mMのKCl、1mMの燐酸カリ(pH6.8)及び5mMの2-メルカプトエタノールを含有する溶液に溶解し、同溶液に対して4時間、新しい溶液に対して一晩透析する。このタンパク質溶液を、105000×gで30分間遠心して清澄にする。次ぎにトロポニンを、ヒドロキシルアパタイトのカラムのクロマトグラフィにより精製し、タンパク質を0.08と0.10Mとの間の燐酸塩溶液で溶出させる(Greaser等、1972、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.37:235−244)。ウサギ心臓トロポニンも、抽出前に−20℃で保存された一群の貯蔵心臓を用いて同様な方法で調整する。
トロポニンサブユニットは6Mの尿素中のDEAE-セファデックス クロマトグラフィにより分離される。ウシ心臓トロポミオシンは、トロポニン抽出スキーム(上記を参照)に由来する50%硫酸アンモニウム飽和の上清から調製される。硫酸アンモニウムを65%飽和まで加え、沈降物を1MのKCl、1mMの燐酸カリ(pH7.0)及び5mMの2-メルカプトエタノールに溶解し、それに対して透析する。次ぎにタンパク質を、ヒドロキシルアパタイトのクロマトグラフィーより精製する。
タンパク質の測定:タンパク質の濃度は、標準としてウシの血清アルブミンを用いたGornall等のビュレット法により決定される(Gornall等、1949、J.Biol.Chem.、177:751−766)。
成分の分離:SP-セファデックス及びDEAE-セファデックスのクロマトグラフィーにより、三種の心臓トロポニン成分は完全に分離する。
組換えトロポニン単離と再構成プロトコール
トロポニンIとT
各種のトロポニンサブユニットとイソ型のものとをコードしたDNAがこの分野で知られている。例えば、Wu等(1994、DNA Cell.Biol.13:217−233);Schreier等(1990、J.Biol.Chem.265:21247−21253)及びGahlmann等(1990,J.Biol.Chem.265:12520−12528)を参照のこと。
トロポニンサブユニットを発現するために、このサブユニットをコードしたDNAを、この分野で知られる組換え技術を用いてKP3998のような高コピィ数発現プラスミドにサブクローン化する。
クローン化cDNAを発現するために、挿入断片含有pKP1500ベクターで形質転換された大腸菌を37℃で一晩成長させ、Luria−Bertanibroth(LB)培地4リットルに接種し、42℃でmid−log相まで成長させる。次ぎにイソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシドを0.5mMまで添加し、42℃で一晩培養物を成長させる。発現化トロポニンサブユニット、フラグメントまたは類似体の精製には報告された手法を適合できる(Reinach等、1988、J.Biol.Chem.250:4628−4633;及びXu等、1988、J.Biol.Chem.263:13962−13969)。細胞を遠心で収集し、20mMのTris、20%のスクロース、1mMのEDTA、0.2mMのフェニルメチルスルフォニルフルオリド、1mg/mlのリゾチームから成る20ml(pH7.5)に懸濁させる。30分間氷の上でインキュベーションした後、20mMのTris、1mMのEDTA、0.2mMのフェニルメチルスルフォニルフルオリド、0.5mMのDTTから成る80mlを加え、細胞をフレンチプレス(SLM Instruments)中で破砕する。細胞砕片をペレット化する。上清を飽和(NH42SO4が35%になるように整え、氷上で30分間撹き混ぜる。沈降化の後、上清をNaClが50mM、CaCl2が5mM、MgCl2が1mM、DTTが1mMになるように整え、次いで1.5×25-cmのフェニル-セファロース(Pharmacia LKB Biotechnology Inc.)カラムにかける。カラムをまず50mMのTris、50mMのNaCl、5mMのCaCl2、1mMのMgCl2、1mMのDTT(pH7.5)で洗浄し、次ぎにタンパク質がもはや溶出しなくなるまで50mMのTris、1mMのNaCl、0.1mMのCaCl2、1mMのDTT(pH7.5)で洗浄する。粗製トロポニンサブユニットを次ぎに、50mMのTris、1mMのEDTA、1mMのDTTで溶出(pH7.5)させる。トロポニンサブユニット、フラグメントまたは類似体を含有する画分をプールし、25mMのTris、6Mの尿素(United States Biochemical Corp.)、1mMのMgCl2、1mMのDTT(pH8.0)に対して透析し、1.5×25-cmのDE52(Whatman)カラムにかける。カラムを、0から0.6MのNaClの線形のグラジエントで溶出する。カラムから溶出したトロポニンサブユニット、フラグメントまたは類似体を0.1mMのNH4HCO3、1mMのβ-メルカプトエタノールに対して透析し、凍結乾燥し、保存する。純度は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動とUV分光測光法で評価する。細菌培養液1リットル当り、精製した組換えトロポニンサブユニット、フラグメントまたは類似体の典型的収量6mgが期待される。
凍結乾燥した組換えタンパク質を、6Mの尿素、20mMのHepes(pH7.5)、0.5MのNaCl、2mMのEDTA及び5mMのDTTから成るtake up緩衝液に再懸濁する。混合物を室温で1時間、成長運動(nutate)をさせる。それから溶液を、0.5MのNaCl、20mMのHepes(pH7.5)及び0.5mMのDTTから成る透析緩衝液に対して4℃で6時間1回交換の透析を行う。
各ユニットのタンパク質濃度は280λで測定する。トロポニンIの伸長係数は0.40であり、トロポニンTは0.50である。
トロポニンC
凍結乾燥した組換えタンパク質を、0.1MのNaCl、20mMのHepes(pH7.5)、2mMのEDTA及び5mMのDTTから成るtake up緩衝液に再懸濁する。この溶液を0.1MのNaCl、20mMのHepes(pH7.5)及び0.5mMのDTTから成る透析緩衝液に対して4℃で6時間1回交換の透析を行う。
タンパク質の濃度は、280λで吸光度を測定することにより決定される。トロポニンCの伸長係数0.18である。
組合せたユニットの再構成
トロポニンサブユニットC、I及びTの同じ再構成モル比を有すタンパク質濃厚物を、全ての各種組合せ用に保存する。それぞれのタンパク質のこれらの濃厚物を、0.lMのNaCl、0.lMのCaCl2、5mMのDTT、5mMのHepes(pH7.5)から成る再構成緩衝液中で組み合わせる。0.1MのNaCl、0.1mのCaCl2、0.5mMのDTT、5mMのHepes(pH7.5)から成る透析緩衝液で、3回交換の透析を4℃で20−24時間実施する。
タンパク質の濃度は、278λで吸光度を測定して近似的に求める。トロポニン三量体は、278λで0.45の伸長係数を有する。
実施例2: DNA合成により測定される内皮細胞増殖の阻害
bFGF-刺激ECの増殖に及ぼすトロポニンサブユニット、フラグメントまたは類似体の阻害効果は、以下の手法に従い測定できる。
内皮細胞DNA合成
同日の第一に、DMEM/10%、CS/1%GPS中の5000のウシ毛細管内皮細胞を、96-ウェルの予めゼラチン化した組織培養プレートの各ウェルにプレーティングする。同日の第二に、細胞培養液を、培養液50ml当り1mg/mlの「冷」チミジン10μlを補充した、DMEM、2%CS、1%GPS、0.5%BSA(完全培養液)に変える。同日の第三に、完全培養液中の試験サンプルを複製体に加える。加えてbFGFを、最終濃度が0.2ng/ウェルになるまで適切な対照を除く各ウェルに加える。同日の第四に、1:13希釈3H-チミジンストック5μlを各ウェルに加え、プレートを5−6時間インキュベーションする。インキュベーションに続き、培養液を吸引し、残留物をPBSで一度洗浄し、次いでメタノールで各5分間の洗浄を2回行い、その後5%TCAで各10分間の洗浄を2回行う。更に細胞ウェルの内容物を水で3回洗浄し、プレートまで乾燥し、0.3NのNaOH100μlを各ウェルに加える。ウェルの内容物をシンチレーションカウンター用バイアルに移し、各バイアルにEcolume3mlを添加する。その後、サンプルをシンチレーションカウンターでカウントする。
3T3細胞 DNA合成
bFGF-刺激3T3細胞におけるDNA合成は、bFGF-刺激内皮細胞の増殖で生じる結果を評価するための対照を提供する。3T3細胞におけるDNA合成は、以下の方法に従い測定できる。
BALB/c3T3細胞をトリプシン化し、5×104細胞/mlの濃度に再懸濁する。0.3cm2マイクロタイターウェル(MicrotestII tissue Culture Plates、Falcon)に200μlのアリコートをプレーティングする。2〜3日の期間で集合体となった後、細胞を更に最低5日間インキュベーションして増殖促進因子の媒体を枯渇させる。この成長条件により、非分裂性BALB/c3T3細胞の集合性単一層が生じる。試験サンプルを0.15MのNaC150μlに溶解し、「3H」TdRと共にマイクロタイターウェルに添加する。少なくとも24時間のインキュベーションの後、培養液を除き、細胞をPBS中で洗う。細胞の固定及び組み込まれなかった「3H」TdRの除去は、以下の連続ステップで達せられる;5分の間の二度のメタノールの添加、H2Oによる4回の洗浄、10分間の二度の冷5%TCAの添加及びH2Oによる4回の洗浄。DNA合成は、液体シンチレーションカウントまたはHaudenschild等により記述されたオートラジオグラフィーを改良した方法(1976、M.Exp.Cell Res.98:175)のいずれかにより測定される。シンチレーションカウントのためには、細胞を0.3NのNaClの150μl中で溶解し、Packard Tri-Carb液体シンチレーションカウンターを用いてInsta-Gel液体シンチレーションカクテル(Packard)5ml中で計数する。一方、オートラジオグラフィーは、マイクロタイターウェルの底部に穴をあけ、それをシラスティック(シリコンゴム)膠を備えたガラススライド上に載置することによってDNA合成を定量化するのに使用できる。スライドをNTB2核トラックエマルション(Kodak)の1g/ml溶液に浸し、3−4日の間露光する。このエマルションを10分間Microdol-X溶液(Kodak)で現像し、蒸留水で洗い、3分間Rapid Fixer(Kodak)により定着させる。オートラジオグラフを、改質Giemsaステインで染色する。標識された核のパーセンテージで表された少なくとも1000の核が、各ウェルとDNA合成とでカウントされる。細胞分裂は、試験サンプルとともに40−48時間インキュベーションした後、マイクロタイターウェル中の細胞数をグリッドを補助としてカウントすることにより測定される。
実施例3: 細胞性酸性ホスフェターゼ活性の比色測定及び電子的細胞カウントにより測定された内皮細胞増殖の阻害
本発明のトロポニンサブユニット、類似体または誘導体による治療に応答したEC増殖の阻害についての迅速で鋭敏なスクリーン法は、Connolly等(1986、J.Anal.Biochem.152:136−140)に述べられているように、様々な濃度の阻害因子の存在下で細胞をインキュベーションし、細胞性酸性ホスフェターゼ活性の比色測定に基づいて培養物中の内皮細胞の数を測定することを含む。
本発明者らは、毛細管内皮細胞(EC)の増殖に及ぼすトロポニンの効果を、既知の血管形成因子(bFGF)による内皮細胞増殖の刺激を干渉するこのタンパク質の能力を測定する検定法で測定した。
第一日に、毛細管内皮細胞及びBalb/c3T3細胞を別々に、ゼラチン-被覆96-ウェル組織培養皿にプレーティングした(2×103/0.2ml)。第二日に、細胞に、5%子ウシ血清(Hyclone)(DMEM/5)及びbFGF(10ng/ml)(FGF Co.)と共に、Dulbecco’s改変Eagle’s培養液(Gibco)をトロポニンサブユニットの濃度を増加しながら再度供給した。これらの物質は、最終容積の10%を越えない容積で同時に添加した。燐酸塩緩衝化食塩水(PBS)(Gibco)のみを含有するウェル及びPBS+bFGFを含有するウェルを対照としてその中に含めた。第五日に、培養液を除去し、細胞をPBSで洗浄し、0.1Mの酢酸ナトリウム(pH5.5)、0.1%のTriton X-100及び100mMのp-ニトロフェニル燐酸エステル(sigma 104ホスフェターゼ基質)を含む緩衝液の100μl内に溶菌した。37℃で2時間のインキュベーションの後、反応を1NのNaOHの10μlを添加して停止した。色の発生を、迅速マイクロプレートリーダー(Bio-Tek)を用いて405nmで測定した。
パーセント阻害を、刺激に曝されたウェルの細胞数と刺激及びトロポニンサブユニットに曝されたそれらとを比較して求めた。
三種のトロポニンサブユニットは、比色検定により測定した結果、bFGF-刺激EC増殖を阻害することが判明した。
トロポニンCは、試験した全濃度において用量-依存的にbFGF-刺激内皮細胞の増殖を阻害した(図1)。ウシ内皮細胞増殖(「BCE」)のパーセント阻害は、280nM、1.4μM、2.8μM及び5.6μMの濃度において、それぞれ54%、86%、83%及び100%であった。100%の阻害は20μg/ウェルの濃度(5.6μM)において観察された。IC50は、bFGF増殖因子-誘発刺激の50%阻害が観察される濃度を表す。トロポニンCのIC50は278nMであると測定された。
トロポニンIは、bFGF-刺激BCEの増殖を1及び5μg/ウェルの濃度で阻害したが、10μg/ウェルでは試験サンプルに阻害が観察されなかった(図2)。BCEのパーセント阻害は、240nM及び1.2μMの濃度においてそれぞれ33%及び46%であった。トロポニンIのIC50は1.14μMと測定された。
トロポニンTは、bFGF-刺激ECの増殖を10及び20μg/ウェルの濃度で阻害したが、1及び5μg/ウェルの濃度では阻害は観察されなかった(図3)。BCE増殖は、1.6μM及び3.3μMにおいてそれぞれ23%及び62%阻害された。トロポニンTのIC50は2.14μMであると決定された。
トロポニンサブユニットCとIの組合せは、試験した全濃度においてECを阻害した(図4)。BCEの増殖のパーセント阻害は、130nM、645nM、1.3μM及び2.6μMにおいてそれぞれ52%、54%、73%及び47%であった。この組合せののIC50は110nMであると決定された。
トロポニンサブユニットC、I及びTの組合せは、bFGF-刺激BCEの増殖を360nMの濃度で16%だけ阻害することが観察された(5μg/ウェル、図5)。
試験した各トロポニンサンプルは、非内皮細胞型であるBalb/c3T3細胞の増殖に対しては検出可能の阻害効果を持たなかった。
実施例4: トロポニンによる毛細管内皮細胞の移動の阻害
血管形成刺激因子に応答する毛細管EC移動の血管形成プロセスを阻害するトロポニンサブユニット、誘導体または類似体の能力は、毛細管EC移動に及ぼすトロポニンサブユニット、誘導体または類似体の効果を研究するのに使用する改良ボイデンチェンバー技術(Falk等、1980、J.Immunol.118:239−247(1980))を用いて決定できる。ブラインド-ウェルボイデンチェンバーは、多孔性膜で分離した二つのウェル(上と下)から構成されている(J.Exp.Med.115:453−456、1962)。既知濃度の成長因子を下部ウェルに設置し、所定数の細胞とトロポニンサブユニット、誘導体または類似体を上ウェルに設置する。細胞は膜の上部表面に付着し、下部の膜を通して移動し、表面に付着する。次に膜を固定し、Glaser等の方法(1980、Nature 288:483−484)を用いてカウントのために染色できる。
移動は、ブラインド-ウェルチェンバー(Neuroprobe,No.025−187)と、フィブロネクチン(PBS中の6.67μg/ml)(human、Cooper)で前コーティングした8つのミクロ細孔を有するポリカーボネート膜(Nucleopore)を利用して測定する。1%子ウシ血清を含むDMEM(DMEM/1)中に希釈した塩基性FGF(Takeda Co)を10ng/mlの濃度、低部ウェルに加える。上部ウェルは5×105毛細管EC/mlを受容し、精製の24時間内に純化したトロポニン サブユニット、誘導体または類似体の濃度の増加が採用される。対照ウェルは、DMEM/1(時にはbFGFと共に)を受容する。移動チャンバーを10%CO2中37℃で4時間インキュベーションする。次ぎに膜の上部表面の細胞を、ワイパー刃(Neuroprobe)の上で膜を移動させる(draw)ことで払い落とす。膜を通り低部表面に移動した細胞を、2%グルタルアルデヒド次にメタノール(4℃)中で固定し、そしてヘマトキシリンで染色する。16油浸液場(oil immersion fields)における低部表面上の細胞の数を数え、この数と対照で得られたそれとを比較することで、移動を定量化する。
実施例5: SCIDマウスモデル系により測定された腫瘍増殖の阻害
組換え型トロポニンIのヒトPC-3前立腺癌種細胞の増殖に対する効果を、各四匹のマウスからなる治療及び対照グループにおける免疫不全(SCID)マウスから求めた。106PC-3細胞の背側皮下移植を行い、100−400mm3の間の容積に到達するまで皮下移植を観察した。腫瘍が閾値に到達した後、一日2回の50mg/kgの組換え型トロポニンIの皮下注射を治療グループに対して開始した。
図6は、対照グループの腫瘍体積に比較し、28日の治療処理の結果、治療グループに腫瘍容積の約50%が低減したこと表している。
実施例6: マウス角膜ポケット検定で決定したトロポニンによる新生血管形成のin vivo阻害
スクロース オクタ硫酸塩、Hydron(登録商標)及び塩基性繊維芽細胞増殖因子(40ng/ペレット)のペレットをマウスの角膜ミクロポケット内に置いた。移植前48時間から開始して50mg/kgの組換え型トロポニンIを12時間毎にマウスへ皮下注射した。
角膜血管形成をスリットランプ顕微鏡により評価した。6日までの対照の目の血管形成では、6日までには血管がペレットまで達してした。この時、処理した動物では血管密度が50%減少し、血管長が30%阻害されたことが観察された。

Claims (18)

  1. ペプチドおよび薬学的に許容され得る担体を含有する血管形成阻害用の医薬組成物であって、該ペプチドが、
    a.10μMまたはそれより低いIC50を有する、bFGFで刺激されたウシ内皮細胞の増殖阻害剤であり;
    b.長さが75アミノ酸を上回り;さらに、
    c.ヒトの速単収縮トロポニンサブユニットC(配列番号1)、ヒトの速単収縮トロポニンサブユニットI(配列番号2)、およびヒトの速単収縮トロポニンサブユニットT(配列番号3)からなる群より選ばれるサブユニットと80%を上回る相同性を有する
    ペプチドである、前記医薬組成物。
  2. 前記サブユニットが、ヒトの速単収縮トロポニンC、またはヒトの速単収縮トロポニンIである請求項1記載の組成物。
  3. 前記サブユニットがヒトの速単収縮トロポニンCである請求項1記載の組成物。
  4. 前記サブユニットがヒトの速単収縮トロポニンIである請求項1記載の組成物。
  5. 前記ペプチドが、ヒトトロポニンサブユニットと95%を上回る相同性を有する請求項1記載の組成物。
  6. 前記サブユニットが、ヒトの速単収縮トロポニンCである請求項5記載の組成物。
  7. 前記サブユニットが、ヒトの速単収縮トロポニンIである請求項5記載の組成物。
  8. 前記ペプチドが、哺乳動物のトロポニンサブユニットである請求項1記載の組成物。
  9. 前記ペプチドが、哺乳動物のトロポニンCまたはトロポニンIサブユニットである請求項8記載の組成物。
  10. 前記ペプチドが、ウシ、ウサギ、マウスおよびラットのトロポニンサブユニットからなる群より選ばれるトロポニンサブユニットである請求項9記載の組成物。
  11. 前記ペプチドが、ヒトのトロポニンCまたはトロポニンIサブユニットである請求項8記載の組成物。
  12. 前記ペプチドが、ウシ、ウサギ、マウスおよびラットのトロポニンサブユニットからなる群より選ばれるトロポニンサブユニットである請求項8記載の組成物。
  13. 前記ペプチドが、哨乳動物のトロポニンサブユニットのフラグメントである請求項1記載の組成物。
  14. 前記ペプチドが、ヒトのトロポニンCまたはトロポニンIサブユニットのフラグメントである請求項13記載の組成物。
  15. 前記ペプチドが、ウシ、ウサギ、マウスならびにラットのトロポニンCおよびIサブユニットからなる群より選ばれるトロボニンIまたはトロポニンCサブユニットのフラグメントである請求項13記載の組成物。
  16. 前記担体が、目への局所的適用に対して許容され得る請求項1記載の組成物。
  17. 前記担体が、皮膚への局所的適用に対して許容され得る請求項1記載の組成物。
  18. 前記ペプチドが、生物分解性かつ生物学的適合性である重合体性送達装置中に存在する請求項1記載の組成物。
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