JP3989825B2 - 産業車両速度規制装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業車両のうち、特に一つのエンジン又は蓄電気式駆動源で走行用の駆動と荷役用の駆動を行うフォークリフト等に関し、その走行速度を抑えることで、車両の転倒を防止するための産業車両速度規制装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
例えば、フォークリフトの作業においてはフォークによる荷物の積み降ろしと運搬が繰り返し行われるが、運転者は作業効率向上のため、運搬に要する時間を短縮しようとし、走行速度を速くする傾向がある。
また、高所への荷物の積み降ろし時等には、フォークを下に降ろす時間を省略し、フォークが高い位置にある不安定な状態で走行することがあり、その速度が速い場合に突発的にブレーキをかけたり、急ハンドルを切ってバランスを崩し転倒事故を起こしてしまう事例が見られる。
【0003】
また、転倒の恐れがなくても衝突事故が起きた場合、フォークリフト等は堅牢な構造上、又、運転者は無防備であり、影響は大きくならざるを得ない。
これらの事項から走行速度を抑える要望があるが、一つのエンジン又は蓄電気式駆動源にて走行用の駆動と荷物をフォークにより積み降ろす等の走行以外の荷役用の駆動を行う方式のフォークリフトにおいては、荷物を積み降ろす際にアクセルペダルを踏み込み駆動源の出力を上げる必要がある。
従って、アクセルペダルの踏み込み量を規制して走行速度を低く抑えるだけでは荷役作業効率が低下してしまう。
そこで、例えば特開2002−317659号公報には、走行時に通常走行時の車速より低速となるように車速を規制する技術が示されている。
しかしながら、ここに示されている技術は、車両速度を検出した上でアクセルペダル背面へその先端を当接するアクチュエータのピストンロッドの床面からの高さを、検出した車両速度に応じて制御することによりアクセルペダルの踏み込み量を制限するという複雑な構造となっている。
この装置を後付けする場合、所定の機能を果たすように車両速度検出手段を取り付ける必要があるが、車両速度の検出に速度メータへ送られる信号を利用する場合は、車両の一部を分解した上で速度規制を必要としている様々な車種の車両に対応させて、その車両速度検出手段等を取り付けることとなり、簡単に後付けすることは困難である。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−317659号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、フォークリフト等運搬作業等に使用するエンジン式又は蓄電気式産業車両において、フォーク等にて荷役作業をするときにはアクセルペダルを強く踏み込むことができて駆動源の出力を大きくすることができる一方で、走行時にはアクセルペダルの踏み込み量を規制することで速度を抑えることの出来る簡単な構造からなり、しかも、既存の車両に簡単に後付けできる装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明が上記目的を達成するために講じた手段は、第1に、一のエンジン又は蓄電気式駆動源にて走行用駆動源と荷役作業用駆動源とを兼ねている産業車両の車速規制装置において、車速規制装置は、アクセルペダルの背面に位置する運転席床面に取り付ける台座に、それぞれ設けたアクセルペダルの踏み込みにより下方向に移動するロッドと、ロッドの下降を規制するロック手段とを備え、当該ロッドは、ガイド部材に上下移動可能に取り付けられ、且つロッドの先端が突出する方向にばね付勢されていて、ロッドの先端には、アクセルペダルの背面を受ける当接部材が螺合されていて、当接部材はアクセルを踏み込まない状態ではアクセルペダルの背面に当接していなく、ロック手段は、ロッドの側部に設けたロック孔内に向けて出没するロックピンを有し、走行時にはロックピンがロック孔内に突出してロッドが下降するのを規制し、荷役作業時には荷役操作信号を受けてロックピンがロック孔内から抜き出ることでアクセルペダルの踏み込みに応じてアクセルペダルの背面にて当接部材がばね付勢に対抗しながら下方に押されるものであることを特徴とする。
また第2の手段は、荷役操作信号がクラッチペダルの踏み込みあるいは荷役操作用レバーの作動を検出することにより得られる点である。
【0007】
このように、フォーク等にて荷役作業を行っている場合には、アクセルペダルはその踏み込み量を規制するロッドがロック規制されず、アクセルペダルを大きく踏み込むことが出来るため、エンジン出力を上げ、重量のある荷物の積み降ろし等の荷役作業を問題なく行うことが出来る。
又、走行時にはアクセルペダルの踏み込み量は、ロッドの上下移動がロック手段によりロック規制されるために制限され、走行速度は抑えられる。
つまり、兼用されている荷役作業用と車両走行用のアクセルペダルの踏み込み量を、荷役作業時と車両走行時のそれぞれに適した踏み込み量としている。
これらの荷役操作の検出は、クラッチペダルの踏み込みあるいは荷役操作用のレバーの作動を検出するものであり、その検出装置はレバー及びペダル周りに設置すればよく、検出装置及びロッドを備えたアクセルペダル規制装置は車両を分解等する必要なく、様々な車種の車両に容易に取り付けることが可能となっている。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の望ましい実施の形態を図面に基づいて以下説明する。
図1は、本発明の産業車両速度規制装置において、アクセルペダルの踏み込み量を規制するロッド部分を設けているアクセルペダル規制装置の三面図であり、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図、(ハ)は上面図である。
図1(ロ)において、アクセルペダル規制装置10はアクセルペダル踏み込み量規制ロッド12(以下ロッドとする)とロッドと一体に構成されている球状の当接部材16及びガイド部材13とソレノイド11及び制御基板25と台座5で構成されている。
なお、当接部材16はアクセルペダルの底部を受けるのが目的であり、必ずしも球状である必要はない。
当接部材16は円筒状のガイド部材13に上下移動可能に取り付けられたロッド12の先端に設けられ、ロッド12とともにばね材22のばね弾性にて保持されている。
従って、ロッド12は、当接部材16がアクセルペダルにより下方に押されると、ガイド部材13内にばね弾性に対抗して押入される構造となっている。
又、ロッド12及びガイド部材13にはロッド12の下方向の移動をロックするように、ロックピン14が挿入されるロック孔18が設けられている。
なお、ロッド12がロックされる位置はアクセルペダルがこの当接部材に当たっていない状態でなされる。
ソレノイド11のピストン15は制御基板25により左右方向に制御駆動され、ピストン15先端に設けられたロックピン14がロック孔18に入出することでロッド12及び当接部材16がロック規制もしくは上下移動可能となる。
【0009】
当接部材16下部には雄ネジ26が設けられ、当接部材16は雄ネジ26のネジ頭を構成する形状となっており、ロッド12上部に設けられた雌ネジ27に螺合され、当接部材16を回転することで当接部材16の高さを上下方向に容易に調整可能となっている。
図1(ハ)に示される台座5はフォークリフト等の運転席床面のアクセルペダルの可動範囲内に当接部材が位置するようにネジ穴23を床にネジ止めする等して取り付けられる。
【0010】
図2は、本発明の全体斜視図であり、図3(イ)は本発明の荷役操作検出手段であるレバースイッチをフォークリフトのレバー部分に取り付けた状態の斜視図であり、図3(ロ)は本発明の荷役操作検出手段であるペダルスイッチをフォークリフトのクラッチペダル又はインチングペダル(マニュアル車においてはクラッチペダル、トルコン車においてはインチングペダル。呼称はクラッチペダルとする。)に取り付けた状態の斜視図である。
図2、図3(イ)において、荷役操作検出手段の1つである、例えばフォークリフトの荷役操作レバー82部分に取り付けられるレバースイッチ50には変位センサ51がコの字形状の内側に設けられ、荷役操作レバー82の柄をコの字形状で挟むように取り付けられ、荷役操作レバー82の動きを検出することでフォーク(図示省略)の操作状態を検出し、制御基板25に信号を送る。
なお、この変位センサ51は荷役操作レバー82の操作状態を検出するのが目的であり、レバーに当たり動きを検知するリミットスイッチやプッシュスイッチ等でも良い。
走行時等フォークの非操作を検出した場合はソレノイドは動作せず、ばね材21にピストン15が押されることでロックピン14はロッド12に設けられたロック孔18に挿入され、当接部材16の下降が規制される。
図4(イ)はアクセルペダルを踏み込んでいない場合のアクセルペダル規制装置10とアクセルペダル3を側面から見た図である。
図4(ロ)は走行時等荷役操作を行っておらず、ロッド16がロック規制された状態でアクセルペダル3を踏み込んだ状態を側面から見た図であり、アクセルペダル3は当接部材16が当接し、当接部材16がロック規制されているためこれ以上踏み込めない状態となっている。
このようにアクセルペダル3の踏み込みが制限されることで車両速度は抑えられることになる。
図4(ハ)は荷役操作を検出し、ピストン15がソレノイド11に引き込まれ、ロックピン14がロック孔18より抜き出され、当接部材16が上下移動可能となっている状態でアクセルペダルを踏み込んだ状態を側面から見た図である。
この場合、当接部材16は踏み板6背面に当接してもロッド12がアクセルペダルの踏み込みに応じてガイド部材13内に押入されるため、当接部材16がロック規制された場合に比べ可動範囲が広くなっている。
一方、ペダルスイッチ55は図3(ロ)に示すようにクラッチペダル7のアーム8をコの字形状で挟むように取り付けられ、運転者がフォークを操作するため、クラッチペダル7を踏んだ際にはアーム8の変位を検出し、制御基板25に信号を送り、ソレノイドが動作し、ロックピン14をロッド12より抜き出した状態とし、逆にクラッチペダル7を踏んでいない場合はソレノイドは動作せず、ロックピン14はロッド12をロック規制し、アクセルペダル3の踏み込み量を制限することとなる。
このペダルスイッチもクラッチペダルの動きを検知するのが目的であり、クラッチペダルの踏み板上に圧力センサ等のスイッチを設けた構造でもよい。
【0011】
図5は本発明の電気回路の実施例である。
図5(イ)の回路ではペダルスイッチとレバースイッチは一端を電源に接続され、他端はOR接続され、ソレノイドに接続されている。
図5(ロ)の回路では、ペダルスイッチとレバースイッチには、それぞれ変位センサが設けられ、それぞれ制御基板内の判定回路に接続されている。
判定回路では、各センサからの信号値が設定値を超えた場合に、接続されている駆動回路に駆動信号を送る。
設定値は可変抵抗等で調整可能となっている。
この判定回路はペダルスイッチ内やレバースイッチ内にそれぞれ設けてもよい。
駆動回路はソレノイドに接続されており、駆動信号を受けるとソレノイドを駆動する。
前述の実施例については、図5(ロ)の構成について示したが、より簡単な構造とするために、図5(イ)の構成で実施してもよい。
これらは、ペダルスイッチとレバースイッチのいずれかが入ると、ソレノイドが動作する構造となっている。
【0012】
【発明の効果】
本発明の産業車両速度規制装置は、一のエンジン又は蓄電気式駆動源にて走行用の駆動源と荷役用駆動源を兼ねている産業車両に取り付けることにより、フォーク等にて荷役作業をするときにはアクセルペダルを強く踏み込むことができて駆動源の出力を大きくすることができる一方で、走行時にはアクセルペダルの踏み込み量を規制することで速度を抑えることが出来る。
装置は簡単な構造であり、様々な既存の車両へ車両の分解等を行うこと無く簡単に取り付けることが出来る。
これにより、既存の車両に対して走行速度が速いために生じる転倒事故や衝突事故を防止するために車両速度を安全な範囲に抑えることが容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)本発明に係るアクセルペダル規制装置の正面図を示す。
(ロ)本発明に係るアクセルペダル規制装置の右側面図を示す。
(ハ)本発明に係るアクセルペダル規制装置の上面図を示す。
【図2】本発明に係る装置全体斜視図を示す。
【図3】(イ)レバースイッチの取付状態を示す斜視図である。
(ロ)ペダルスイッチの取付状態を示す斜視図である。
【図4】(イ)アクセルペダル規制装置とアクセルペダルの関係を示した側面図である。
(ロ)アクセルペダル規制装置とアクセルペダルの関係を示した側面図で当接部材がロック規制されている場合を示す。
(ハ)アクセルペダル規制装置とアクセルペダルの関係を示した側面図で当接部材が上下移動可能となっている場合を示す。
【図5】(イ)本発明に係る装置の電気回路実施例を示す。
(ロ)本発明に係る装置の他の電気回路実施例を示す。
【符号の説明】
3 アクセルペダル
6 踏み板背面
7 クラッチペダル
8 アーム
10 アクセルペダル規制装置
11 ソレノイド
12 アクセルペダル踏み込み量規制ロッド
13 ガイド部材
14 ロックピン
15 ピストン
16 当接部材
18 ロック孔
21、22 ばね材
23 ネジ孔
25 制御基板
26 雄ネジ
27 雌ネジ
28 ピストン調整ネジ
50 レバースイッチ
51 変位センサ
55 ペダルスイッチ
82 荷役操作レバー

Claims (2)

  1. 一のエンジン又は蓄電気式駆動源にて走行用駆動源と荷役作業用駆動源とを兼ねている産業車両の車速規制装置において、車速規制装置は、アクセルペダルの背面に位置する運転席床面に取り付ける台座に、それぞれ設けたアクセルペダルの踏み込みにより下方向に移動するロッドと、ロッドの下降を規制するロック手段とを備え、
    当該ロッドは、ガイド部材に上下移動可能に取り付けられ、且つロッドの先端が突出する方向にばね付勢されていて、ロッドの先端には、アクセルペダルの背面を受ける当接部材が螺合されていて、当接部材はアクセルを踏み込まない状態ではアクセルペダルの背面に当接していなく、ロック手段は、ロッドの側部に設けたロック孔内に向けて出没するロックピンを有し、走行時にはロックピンがロック孔内に突出してロッドが下降するのを規制し、荷役作業時には荷役操作信号を受けてロックピンがロック孔内から抜き出ることでアクセルペダルの踏み込みに応じてアクセルペダルの背面にて当接部材が、ばね付勢に対抗しながら下方に押されるものであることを特徴とする産業車両速度規制装置。
  2. 荷役操作信号が、クラッチペダルの踏み込みあるいは荷役操作用レバーの作動を検出することにより得られるものであることを特徴とする請求項1記載の産業車両速度規制装置。
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