JP3989570B2 - 循環器用被覆ステント及びその製造方法 - Google Patents

循環器用被覆ステント及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人体又は動物の循環器の疾患、特に、閉塞性動脈硬化症、動脈解離、動脈瘤等に対し、血管の拡張、補綴、修復を行うためのステントに関するものであり、更に詳しくは、ステントの少なくとも一部にステントの圧縮又は拡張の動きに十分に追随し、細胞の透過及び酸素、血中養分の透過を許容しうる柔軟性のある被覆層を備えた被覆ステント及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
循環器系の疾患は通常、外科手術によって血管の疾患した領域を人工血管または移植片に置換する方法が行われてきた。
外科手術は高リスクを伴う上に、患者は大きな苦痛を伴い、回復期間にかなりの時間を要する。そこで、緊急の治療が可能で、リスクの少ない経皮的な治療を目指し、種々の血管内ステント及び移植体が発明され開示されている。
【0003】
現在一般的に用いられている血管内ステントとしては、金属又はポリマーのワイヤーを拡張可能な形状に構成したものがあるが、金属またはポリマーのワイヤーにより構成された支持体のみのステントでは、細胞の過成長による再閉塞の可能性が高いことはもちろん、動脈解離、または大動脈瘤等の損傷血管の修復には全く使用することができない。そこでステント支持体に被覆層を設けるいくつかの技術が検討され開示されている。
【0004】
例えば、最も単純にステントと移植片を複合化した例としては、特開平4−231954号公報、特開平6−343703号公報で、ダクロンの円筒型移植片にステント支持体を縫合糸で結紮し取り付ける技術が開示されている。
しかし、縫合糸での結紮といった部分的な固定では体内で被覆層がステント支持体より剥離し、その剥離した被覆層による新たな閉塞といった重篤な事態を引き起こす危険性がある。
【0005】
また特開平7−529号公報ではステント支持体にカバーを取り付けたステントの製造方法についての技術が開示されている。
本技術では被覆層がステント支持体のワイヤメッシュを完全に包囲する形でステント支持体と緊密に一体化されており、更に被覆層はステント支持体の外側にあるために、もし被覆層の剥離が起こった場合でも被覆層はステント支持体と生体管腔の間に挟まれており、被覆層の脱落は起こらないとの記述がある。
【0006】
上記の被覆方法、いわゆるステント支持体の被覆溶液への浸漬によれば、形成した被覆は、実質的に細胞及び酸素、栄養の透過を許容しないフィルム状である。細胞を透過しないということは、ステント内腔への血管内皮細胞の進入による偽内膜形成は望まれず、抗血栓性を獲得出来ずに、血栓による再閉塞を来す。又、フィルムによって内腔からの動脈壁への栄養、あるいは酸素供給が阻害されることで、動脈壁障害が惹起され、その結果、内膜肥厚による閉塞を来す。よって、このステントは血液と接触しない消化器系への使用は可能であるが、循環器への使用には適さない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような従来の問題点を解決すべく鋭意検討の結果なされたもので、血管内において、植え込み後に偽内膜の形成による抗血栓性の獲得が可能で、なおかつ酸素及び血管内腔の栄養分の透過が可能であり更に被覆層の膜厚を調製することで、細胞の伸展及び血液の透過性を制御することができる繊維状の被覆層をステント支持体に設け、ステント支持体と被覆層の剥離がなく、更に被覆層がステント支持体の柔軟な動きを妨げる事がなく、また任意に非常に薄い被覆層を形成する事によりステント留置の際のデリバリーカテーテルへの装着性が優れ、更に留置後の移動がない、特に循環器系例えば閉塞性動脈硬化症、動脈解離、動脈瘤等の疾患に対する、血管の拡張、血管の修復等の治療が経皮的に行える被覆ステント及びその製造方法を提供する事を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、人体又は動物の管腔内に挿入可能な一次直径から、一次直径より大きい二次直径への拡張が可能なステント支持体の全長又は任意の部分に両端が開口した柔軟性のある被覆層を有する被覆ステントで、該柔軟性のある被覆層がステント支持体の内側及び外側からステント支持体を挟み込む様に形成されており、該ステント支持体の内側に形成された被覆層及び、該ステント支持体の外側に形成された被覆層は繊維形成可能な材料の溶剤に溶解した溶液をスプレーする事により形成された繊維が不規則に絡み合った状態であり、更に該ステント支持体の内側に形成された被覆層のステント支持体に接する側面と該ステント支持体の外側に形成された被覆層のステント支持体に接する側面がステント支持体の間隙部分で接着している事を特徴とする循環器用被覆ステント及びその製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に使用するステント支持体の形状としては特に限定するものではないが、ステント支持体に弾性を有する材料を用い、それ自身の持つ弾性力で拡張する自己拡張型のステントが特に好適である。
【0010】
また、血管の内膜及び中膜内層は無血管であり、酸素及び栄養は血管内腔からの直接の拡散によってなされている。よって、もし酸素や栄養が透過しない材料で血管壁を覆うと、血管壁は種々の脈管作動性物質のバランスの崩壊などが起こり、これらの影響が基で内膜肥厚、中膜の変性が起こり閉塞に至る。このことからも被覆層の形態は、多孔体もしくは繊維形態にする必要がある。
本発明においては、被覆材料をスプレーすることにより形成した繊維形態の被覆層を用いているため、留置後内面に偽内膜の形成が可能であり、細胞の伸展によりステント自体が血管壁と一体化することで、患部から脱落する危険もない。
【0011】
更に、本発明では被覆層をステント支持体に固定する手段として、従来のステント支持体と被覆層を直接接着する方法とは異なり、(1)内側と外側に形成した被覆層でステント支持体を挟み込み、内側と外側の被覆層をステント支持体の間隙部分で接着している、(2)内側及び外側の被覆層がスプレーにより形成された繊維が不規則に絡み合った状態である、といった2つの特徴により、被覆層とステント支持体の間が非常に柔軟で、被覆層とステント支持体のどちらも互いの動きを制限することを最小限に抑えている、すなわち被覆層を設けることによるステントの拡張力の低下といった問題は殆ど無く、更に付け加えると繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層は配向性を持たず、歪みを分散させるだけでなく断裂にも強い。
【0012】
更に、被覆層とステント支持体の間が非常に柔軟であるといった特徴によって被覆層はステント支持体の動きに充分に追随し、剥離や亀裂といった問題は発生しない。
本発明のステント支持体の被覆層に用いる材料としては、公知の繊維形成可能な高分子材料を用いる事が出来、特にポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びそれらの共重合体又はそれらのポリマーアロイを好適に用いることが出来る。さらに好ましいのは柔軟性の高いエラストマーであり、最も好ましいのはポリウレタン系エラストマーである。
【0013】
ステント支持体の被覆層を形成しようとする任意の部分の内側に繊維が不規則に絡み合った層を形成する方法については特に限定するものではないが、公知(繊維加工便覧 昭和45年 株式会社高分子刊行会発行)であるスプレー法(スプレイファイバ法)を用いて繊維が不規則に絡み合った状態の層を形成する事が出来る。
【0014】
詳しくは、一次直径より大きな二次直径へ拡張した状態のステント支持体と同等もしくはそれ以上の径を有する芯棒に対し、繊維形成可能な高分子材料を溶剤に溶解した溶液をノズル孔から排出し、そこに高速度を有するガスを一定の角度で作用させる、そこで排出された溶液は高速度を有するガスの応力により一度霧状にされた後に溶媒が蒸発しつつ引き延ばされ、繊維又は繊維が不規則に絡み合った状態になり、そのままガス又は蒸気の気流に乗り、前記芯棒の外面上まで運搬され、堆積し、前記芯棒の外面上には繊維が不規則に絡み合った層が形成される。
【0015】
その上からステント支持体を芯棒上に形成した被覆層上に装着する事で、ステント支持体の内側に繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層を形成する事が出来る。
また、繊維が不規則に絡み合った層の密度や厚みはスプレーする時間によって容易にコントロールすることができるため、使用する目的に応じて、細胞、酸素、血液の透過性をコントロールする事ができる。
【0016】
本発明においては前記内側の被覆層が単一の材料からなる単層である必要は全く無く、任意の複数の材料を含む多層であっても良い、例えば前記工程において芯棒上に形成した被覆層の上にステント支持体を装着する前に、芯棒上に形成した繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層の上に造影剤を含む繊維を巻き付け、造影性を向上させる、又は抗癌剤を含む層を形成し、悪性腫瘍の治療を可能にする等の機能を追加することも可能である。
【0017】
ステント支持体の外面に繊維が不規則に絡み合った層を形成する方法についても、特に限定する物ではないが、前記ステントの内面に繊維が不規則に絡み合った層を形成した方法を用いることが出来る。
つまり、繊維形成可能な高分子材料の溶剤に溶解した溶液をノズル孔から排出し、そこに高速度を有するガスを一定の角度で作用させる、そこで排出された溶液は高速度を有するガスの応力により一度霧状にされた後に溶媒が蒸発しつつ引き延ばされ、繊維又は繊維が不規則に絡み合った状態になり、そのままガス又は蒸気の気流に乗り前記内側に被覆層を形成したステントアッセンブリの被覆層を形成しようとする部分の外面上まで運搬される。
【0018】
外側の被覆層についても内側の被覆層と同様単一材料からなる単層である必要は全く無く、任意の複数の材料を含む多層であっても良い。
尚、前記スプレー法を用いる場合、繊維形成可能な材料の溶剤に溶解した溶液は繊維状で運搬され、ステントアッセンブリの外面に到達した後に不規則に絡み合った状態に積層されても、もしくは運搬される際に既に繊維が不規則に絡み合った状態に形成されていてもよい。
【0019】
更に、前記スプレー法を用いる場合、芯棒もしくはステントアッセンブリをモーターの軸等の回転体に装着し、円周方向に回転させながら、上記のスプレーを行うことで、容易に全体的に均一な繊維が不規則に絡み合った層を形成することが出来る。
本発明におけるステント支持体の内側の被覆層と、外側の被覆層をステント支持体の間隙部分で接着させる方法としては特に限定するものではないが、溶媒による接着と、熱による融着の二種類の方法を用いることが出来る。
【0020】
溶媒によって接着する方法の一つとしては、前記ステントアッセンブリの外側にスプレーによって繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層を形成する際に、用いる高分子材料を溶媒に溶解した溶液の濃度、運搬距離、雰囲気温度を溶液がステントアッセンブリの外面上まで到達した後も一部の溶媒を残す様に調節し、その一部の溶媒の残留によって内側の被覆層の一部を溶解させ接着させる。
【0021】
高分子材料の溶媒に溶解した溶液の濃度を低く、運搬距離を近く、雰囲気温度を低くするほど溶媒の残留は多くなり、より強固な接着が得られるが、それらが極端であれば、ステントアッセンブリの外面で繊維が不規則に絡み合った層が形成されなくなるため、使用する高分子材料及びその溶媒に応じて繊維が不規則に絡み合った層が形成される範囲で溶液の濃度、運搬距離、雰囲気温度を調節する必要がある。
【0022】
熱によって融着させる場合、ステントアッセンブリの外側に繊維が不規則に絡み合った層を形成した後に、オーブン等で内側の被覆層もしくは外側の被覆層に用いた材料の軟化点以上の熱を与えながら内側及び外側の被覆層に圧力をかけ、内側の被覆層もしくは外側の被覆層の一部を融解させて融着させる。
【0023】
上記、ステント支持体の内側及び外側に繊維が不規則に絡み合った被覆層を形成する工程、ステント支持体の内側に形成された被覆層とステント支持体の外側に形成された被覆層をステント支持体を間隙部分で接着する工程によってステント支持体に被覆を形成した後に、ステントから芯棒を抜去し、本発明の被覆ステントが完成する。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
【実施例1】
0.4mmφのステンレスワイヤーをジグザグに折り曲げた物を円筒状にし、ワイヤーの両端を溶接でつなげ、二次直径10mmφのステント支持体を作製した。
ポリウレタン樹脂(テコフレックス80A 米国 Thermedics社製)をテトラヒドロフラン(THF 和光純薬工業株式会社製)に20wt%で溶解し、被覆層形成用の溶液とした。
【0025】
前記ポリウレタン樹脂/THF溶液をエアーコンプレッサーにつなげたスプレーガンの溶液ボトルに入れ、攪拌機の回転軸に取り付け、120RPMで回転させている外径10mmφのステンレスパイプにむけて20cm離れた位置から60秒間スプレーした。その際の雰囲気温度は25℃であった。
【0026】
スプレー後、表面に繊維が不規則に絡み合った層が形成されたステンレスパイプを、攪拌機の回転軸より取り外し、予め30℃に設定した真空乾燥機で真空脱気しながら2時間乾燥させた後、ステンレスパイプ表面に形成された繊維が不規則に絡み合った層の上から、前記ステント支持体を一度円周方向に拡張させた後に被せ、再度収縮させて装着(図3)した。この時点で、ステントアッセンブリはステント支持体の内側に繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層が形成された状態である。
【0027】
前記ステントアッセンブリを再度攪拌機の回転軸に取り付け、120RPMで回転させながら、前記被覆層形成用の溶液をスプレーガンを用いて20cm離れた位置から30秒間スプレーした。その際の雰囲気温度は25℃であった。
スプレー後、ステントアッセンブリを予め30℃に設定した真空乾燥機で真空脱気しながら2時間乾燥させ、最後に、ステント支持体以外のステンレスパイプ上に形成された被覆層をステント開口部の両端に沿って切除した後、ステントを円周方向に拡張させながらステンレスパイプを抜き、本発明の一実施例である被覆ステントを得た。図1は得られた被覆ステントであり、図2はその断面である。
【0028】
【実施例2】
前記実施例1と同様の方法にてステント支持体を作製した。
次にスチレン系エラストマー樹脂(タフテックH1041 旭化成株式会社製)をテトラヒドロフラン(THF 和光純薬工業株式会社製)に28wt%で溶解し、被覆層形成用の溶液とした。
【0029】
前記スチレン系エラストマー樹脂/THF溶液をエアーコンプレッサーにつなげたスプレーガンの溶液ボトルに入れ、攪拌機の回転軸に取り付け、120RPMで回転させている外径10mmφのステンレスパイプにむけて10cm離れた位置から60秒間スプレーした。その際の雰囲気温度は25℃であった。
【0030】
スプレー後、表面に繊維が不規則に絡み合った層が形成されたステンレスパイプを、攪拌機の回転軸より取り外し、予め30℃に設定した真空乾燥機で真空脱気しながら2時間乾燥させた後、ステンレスパイプ表面に形成された繊維が不規則に絡み合った層の上から、前記ステント支持体を一度円周方向に拡張させた後に被せ、再度収縮させて装着(図3)した。この時点で、ステントアッセンブリはステント支持体の内側に繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層が形成された状態である。
【0031】
前記ステントアッセンブリを再度攪拌機の回転軸に取り付け、120RPMで回転させながら、前記被覆層形成用の溶液をスプレーガンを用いて10cm離れた位置から30秒間スプレーした。その際の雰囲気温度は25℃であった。
スプレー後、ステントアッセンブリを予め30℃に設定した真空乾燥機で真空脱気しながら2時間乾燥させ、最後に、ステント支持体以外のステンレスパイプ上に形成された被覆層をステント開口部の両端に沿って切除した後、ステントを円周方向に拡張させながらステンレスパイプを抜き、本発明の一実施例である被覆ステントを得た。
【0032】
【比較例】
上記実施例1と同様の方法で、ステンレスパイプ上に装着したステント支持体をポリウレタン樹脂/DMF溶液中に浸漬し、乾燥することにより、ステント支持体の内側に実質的に細胞の通過を許容する孔の存在しないフィルム状の被覆層を形成した後に、再度ポリウレタン樹脂/DMF溶液中に浸漬、乾燥までの工程を繰り返す事によって得られた被覆ステントを比較例とした。
(物性比較評価)実施例1及び比較例2で得られたステントについて、剥離耐久性評価、圧縮性評価、拡張性評価、電子顕微鏡表面観察を実施した。
【0033】
剥離耐久性評価として、ステントの圧縮、拡張の操作を繰り返し、被覆層が剥離した時点の操作回数を比較した。その結果、実施例では圧縮、拡張を100回繰り返しても被覆層の剥離は見られなかったが、比較例では15回で一部が剥離した。
圧縮性評価として、カテーテルシースへの挿入性を評価し、挿入可能なシースの内径を比較した。その結果実施例では挿入可能なシースの内径は2mmφであったが、比較例では4mmφと実施例の倍の太さのシースが必要であった。
【0034】
拡張性評価として、カテーテルシースから出した後の形状回復性を評価し、形状回復までの時間を比較した。その結果実施例ではカテーテルシースからステントを押し出すと同時に元の形状に拡張した、比較例では押し出して5秒後に拡張を始めたが、最終的に元の形状には回復しなかった。
【0035】
電子顕微鏡表面観察としては前記剥離耐久性評価を実施する前のサンプルと、剥離耐久性評価を実施した後のサンプルの表面を100倍及び5000倍で観察した。その結果剥離耐久性評価を実施する前の実施例は内側及び外側共に繊維が不規則に絡み合った形状の被覆層がステンレスワイヤーを内側の被覆層との間で挟み込むように一面に形成されていた。比較例では内面は実施例と同様であったが、外面は孔の存在しない被覆層がステンレスワイヤーを包み込むように形成されていた。また、剥離耐久性評価を実施した後の実施例の表面は試験実施前と変化は見られなかったが、比較例では被覆層全体にしわやひずみが見られ、ステンレスワイヤーを包み込んでいた部分は被覆層が破れステンレスワイヤーがむき出しになっていた。
【0036】
【表1】
Figure 0003989570
【0037】
(細胞侵入性比較評価)
実施例2及び比較例1、比較例3で得られたステントについて株化癌細胞を用いて細胞侵入性評価を実施した。
実施例2、比較例1、比較例3の各ステントの端部にシリコーン接着剤を付着させた後に、35φのポリスチレン製シャーレの中央にステントの開口部が上を向くように固定し、クリーンベンチでエアーレーションしながら一晩乾燥、翌日純水で充分洗浄した後に、70%エタノールに浸漬、再度クリーンベンチで一晩乾燥した。
【0038】
上記で作製したステントを固定したシャーレのステントの外側にHeLa(ヒト子宮癌由来株化細胞)を2×105Cells/ml×2ml/シャーレで播種した。このとき培養液はイーグルMEMに子ウシ血清10%(培地、血清共に大日本製薬株式会社製)を添加したものを使用した。
【0039】
シャーレのステントの内側に上記培養液を1ml注入した後、CO2インキュベーターにて培養を行った。培地交換はステントの外側、内側共に3日に一度実施した。
ステントの内側への細胞進入の有無を透過顕微鏡下で毎日確認し、ステントの外側の細胞が、ステントを透過して内側まで伸展してくるまでの日数を比較した。
結果を下表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 0003989570
【0041】
【発明の効果】
本発明の被覆層ステント及びその製造方法はステント支持体に繊維が不規則に絡み合った状態の柔軟な被覆層を設けることで、循環器系の閉塞性動脈硬化症、動脈解離、動脈瘤等の症例に対する、拡張、修復、補綴に用いる事ができる。
繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層は、細胞の透過が可能であり、植え込み後ステント内腔に擬内膜が形成され、抗血栓性が獲得できる。更に酸素や血中の栄養分が透過できるために留置部位の血管壁への酸素、栄養供給が阻害されず、その結果長期の開存性を得ることができる。
また、本発明の被覆ステント及びその製造方法によれば、被覆層はステント支持体を挟み込む用に形成され、ステント支持体の間隙部分で、接着しているために被覆層は剥離脱落することなく、ステント支持体の柔軟な動きに追随し、かつその動きを妨げることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆ステントの一例を示す斜視図である。
【図2】図1の被覆ステントの円周方向の断面図である。
【図3】本発明の被覆ステントの製造方法の過程で、ステンレスパイプで、ステント支持体の内側に繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層が形成された状態を示している。
【符号の説明】
1 ステント支持体
2 ステント支持体の外側に形成された繊維が不規則に絡み合った被覆層
3 ステント支持体の外側に形成された繊維が不規則に絡み合った被覆層
4 ステント支持体の間隙部分
5 芯棒

Claims (3)

  1. 人体又は動物の管腔内に挿入可能な一次直径から、一次直径より大きい二次直径への拡張が可能なステント支持体の全長又は任意の部分に両端が開口した柔軟性のある被覆層を有する被覆ステントで、該柔軟性のある被覆層がステント支持体の内側及び外側からステント支持体を挟み込む様に形成されており、該ステント支持体の内側に形成された被覆層及び、該ステント支持体の外側に形成された被覆層は繊維形成可能な材料の溶剤に溶解した溶液をスプレーする事により形成された繊維が不規則に絡み合った状態であり、更に該ステント支持体の内側に形成された被覆層のステント支持体に接する側面と該ステント支持体の外側に形成された被覆層のステント支持体に接する側面がステント支持体の間隙部分で接着している事を特徴とする循環器用被覆ステント。
  2. ステント支持体の内側及び外側に形成された柔軟性のある被覆層が少なくとも一種類の繊維形成可能な高分子材料からなる請求項1記載の循環器用被覆ステント。
  3. 人体又は動物の管腔内に挿入可能な一次直径から、一次直径より大きい二次直径への拡張が可能なステント支持体の全長又は任意の部分に両端が開口した柔軟性のある被覆層を有する被覆ステントで、柔軟性のある被覆層をステント支持体を挟み込むように形成する過程が、ステント支持体の被覆層を形成しようとする任意の部分の内側に繊維形成可能な材料の溶剤に溶解した溶液をスプレーする事により形成された繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層を形成する過程と、ステント支持体の被覆層を形成しようとする任意の部分の外側に繊維形成可能な材料の溶剤に溶解した溶液をスプレーする事により形成された繊維が不規則に絡み合った状態の被覆層を形成する過程と、ステント支持体の内側に形成された被覆層とステント支持体の外側に形成された被覆層をステント支持体の間隙部分で接着させる過程よりなる循環器用被覆ステントの製造方法。
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