JP3988332B2 - 高炉への酸素富化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉送風へ酸素を富化する設備において、高炉の必要とする酸素を安定的に高炉送風に酸素富化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉への送風空気に酸素を富化すること(以下「酸素富化」と称する)は銑鉄の生産量を増大、微粉炭吹き込み量増大に伴う高炉内反応の促進には必要不可欠なものである。
酸素富化の方法としては、従来から高炉送風機と熱風炉との間の送風ダクトに酸素圧縮機により昇圧した酸素を酸素導入管から送風空気中に吹き込んで熱風炉へ導き昇温し、これを高炉の羽口から炉内へ吹き込む方法が一般的であった。
【0003】
しかし、この方法では、高炉送風機と熱風炉との間すなわち高炉送風機の吐出側にある送風ダクトに酸素を導入するためには酸素圧縮機を用いて高炉送風機の吐出圧より酸素を高圧にしなければならず、このため大容量の酸素圧縮機を必要とし、コスト高になるばかりでなくメンテナンス等にも労力を要するという問題があった。
【0004】
そこで、かかる問題点を解決するために、特開昭47−18707号公報、特開平6−306431号公報に示す方法では、高炉送風機の吸込側の送風ダクトに酸素供給配管を接続して送風空気中に酸素を導入し、高炉送風機により熱風炉へ導き昇温して高炉へ酸素富化空気を送風することとしている。
またこれらを組み合わせ、圧力および純度の異なる酸素の富化方法が特開昭51−8103号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭47−18707号公報、特開平6−306431号公報の如く高炉送風機の吸込側に低圧酸素を導入する方法では、次のような問題がある。すなわち、高炉送風機は高炉あたり複数台有しており、またその容積、能力も各々異なっているためその組み合わせにより、サージング等による設備破壊防止のため送風空気を高炉送風機の吐出側に設置された放風配管から大気中に放出する放風運転を行っている。その際、吸込側で導入された酸素も同時に大気中に放出されるため、高炉に必要とされる酸素量が送れなくなる。
特開昭51−8103号公報に示す方法も同様であるが、濃度の異なる酸素を高炉送風機の吸込側と吐出側から同時に導入するため、高炉の必要とする酸素量の制御が困難である。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、高炉送風機と高炉との組み合わせの違いによる放風の有無、放風量等によらず高炉に必要となる酸素を安定的に酸素富化することができる高炉への酸素富化方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る高炉への酸素富化方法は、高炉送風機の吸込側に酸素富化のための酸素を導入する方法において、高炉の放風運転における放風配管から大気中に放出される放風流量を、高炉送風機の吸込側で計測された吸込流量と高炉への送風側で計測された送風流量との差から求め、酸素供給源の酸素流量とその酸素濃度とから求めた前記吸込流量に対する酸素成分率と空気中の酸素成分率との差から酸素富化率を求め、放風運転によって富化した酸素が放出される放出酸素量を、前記吸込流量に対する前記放風流量と前記酸素流量の積との比から、または、前記放風流量と前記酸素富化率と前記酸素濃度とから求め、また、前記酸素流量に対する前記放出酸素量と前記酸素濃度の積との差から酸素富化流量を求め、これらの演算により求められる前記酸素富化率または前記酸素富化流量が常に一定になるように、高炉送風機の吸込側の送風ダクトに設けた酸素流量調節弁にて前記酸素供給源の酸素流量を制御することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の高炉への酸素富化方法において、純度の異なる酸素の場合は酸素供給配管系を切り替え、前記演算における酸素濃度を補正し、前記酸素富化率または前記酸素富化流量が一定になるように前記酸素供給源の酸素流量を制御することを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、放風運転時の放風流量を計測できない事情に鑑み、演算により酸素富化率または酸素富化量を求める。このため酸素富化のための酸素は高炉送風機の吸込側に導入する。そして、放風運転の際の放風流量は、高炉送風機の吸込流量と高炉への送風流量とから算出することができるので、酸素富化率は、その吸込流量と、酸素供給源の酸素流量および酸素濃度とから算出することができる。また酸素富化量は、放風流量から放出酸素量を演算で求めることにより、その放出酸素量を用いて酸素流量と酸素濃度とから算出することができる。従って、演算により求められる酸素富化率または酸素富化量が常に一定になるように酸素流量を制御することにより、高炉送風機と高炉との組み合わせの違いによる放風の有無、放風量によらず高炉に必要となる酸素を安定的に酸素富化することができ、高炉の安定操業が可能となる。
【0010】
また、純度の異なる酸素を使用する場合には、酸素供給系を切り替え、演算式における酸素濃度を補正し、演算により求められる酸素富化率または酸素富化量を一定にすることで、酸素の純度によらず高炉に必要となる酸素を安定的に酸素富化することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態を示す概略のフロー図である。同図において、1は高炉送風機、2は熱風炉、3は高炉、4は制御装置であり、高炉送風機1の吸込側の送風ダクト5に低圧低純度酸素6および低圧高純度酸素7の配管系8を接続し、各々の元弁9、10の開閉により配管を切り替えて低圧低純度酸素6または低圧高純度酸素7を高炉送風機1の吸込側に導入するようにしている。ここで使用する酸素の純度は、例えば2種類に分け、低純度から高純度の範囲として96.5〜99.6%のものを使用している。酸素流量は流量計11により計測され、その信号は制御装置4に送られ、後述する演算式を用いて、放風の有無や放風量などによらず、演算による酸素富化率または酸素富化流量が常に一定になるように酸素流量調節弁12を制御する。また、酸素富化率または酸素富化流量の演算に必要な吸込流量および送風流量はそれぞれ吸込流量計13、送風流量計14により計測され、それらの信号により制御装置4はそれぞれ吸込流量調節弁15、送風流量調節弁16、放風流量調節弁17を制御する。
【0012】
この実施の形態では、送風空気は高炉送風機1により昇圧し、熱風炉2にて昇温されたのち高炉3へ送られる。酸素は、低圧酸素として高炉送風機1の吸込側から導入され、送風空気と同様に高炉3へ送られる。高炉3の必要とする酸素は、制御装置4において酸素富化率または酸素富化流量を演算しその結果が高炉3の操業員から高炉送風機1の操業員へ連絡され、これを受けて高炉送風機1の操業員は酸素富化を行う。
【0013】
ここで、酸素富化率とは、酸素を加えた後の酸素成分率から、空気中の酸素成分率21%を除外した値である。また、酸素富化流量とは、大気中の空気に加えられた酸素量の増加分である。
酸素富化流量は(1)式により、酸素富化率は(2)式により、それぞれ算出することができる。そして、酸素富化率または酸素富化流量のどちらを使用するかは高炉3の操業員のニーズにより決定される。
【0014】
【数1】
【0015】
【数2】
【0016】
また、これらの演算式においては、(1)式の放出酸素量だけが未知の値であるが、これは以下に述べる理由により演算で求める。すなわち、高炉送風機1と高炉3との組み合わせ如何により、高炉3の高圧操業の維持および高炉送風機1のサージング防止のため放風運転を行う場合がある。その際、富化した酸素も放出されるため、高炉3に必要とされる酸素富化を行うにはその放出酸素量だけ余分に酸素富化が必要となる。放風流量はその設置環境等の問題により計測できない。同様に放風された放出酸素量も計測できないため、これらの量は各々(3)(4)式により演算により算出する。
【0017】
【数3】
【0018】
【数4】
【0019】
放風流量は、吸込流量計13により計測された吸込流量と送風流量計14により計測された送風流量とから(3)式により算出される。また放出酸素量は、(3)式により算出された放風流量と、計測値である吸込流量および酸素流量とから、(4)式により算出することができる。または、(2)式により酸素富化率を算出できるので、この算出された酸素富化率と、(3)式の放風流量、および酸素濃度とから(5)式により算出することができる。これらの放風流量、放出酸素量の値はプロセスデータとしてオンラインで、または操業員による手入力で制御装置4に取り込まれている。
【0020】
【数5】
【0021】
高炉3の要求が酸素富化流量の場合は(1)式にて、必要な酸素富化流量となるよう酸素流量が補正され酸素流量調節弁12により流量調節される。また高炉側の要求が酸素富化率の場合は(2)式にて、必要な酸素富化率となるよう酸素流量が補正され酸素流量調節弁12により流量調節される。
【0022】
酸素供給側の都合等により高価な高純度酸素より、安価な低純度を使用する場合、高純度酸素と低純度酸素とを低純度酸素元弁9と高純度酸素元弁10とを開閉することにより配管を切り替えて酸素富化を行うが、酸素の濃度の違いにより高炉の必要とする酸素富化が行えないことになる。しかし、高炉に必要とされる酸素富化を行うため、酸素濃度は酸素供給側で計測されており、その酸素濃度を上式にて酸素流量を補正している。
従って、この実施の形態では、放風運転の有無、放風量によらず、また酸素の濃度によらず上記式による演算で酸素流量を補正し、高炉の必要とする酸素富化を行うことができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高炉送風機の吸込側に酸素富化のための酸素を導入する方法において、演算により求められる酸素富化率または酸素富化量が常に一定になるように酸素流量を制御するので、高炉送風機と高炉の組み合わせの違いによる放風の有無、放風量によらず高炉の必要とする酸素を安定的に酸素富化することができる。
また、純度の異なる酸素の場合は酸素供給配管系を切り替え、酸素濃度を補正することにより酸素富化率または酸素富化量を一定にするので、酸素の純度によらず高炉の必要とする酸素を安定的に酸素富化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す概略のフロー図である。
【符号の説明】
1 高炉送風機
2 熱風炉
3 高炉
4 制御装置
5 送風ダクト
6 低圧低純度酸素
7 低圧高純度酸素
8 配管系
9 低純度酸素元弁
10 高純度酸素元弁
11 酸素流量計
12 酸素流量調節弁
13 吸込流量計
14 送風流量計
15 吸込流量調節弁
16 送風流量調節弁
17 放風流量調節弁
Claims (2)
- 高炉送風機の吸込側に酸素富化のための酸素を導入する方法において、
高炉の放風運転における放風配管から大気中に放出される放風流量を、高炉送風機の吸込側で計測された吸込流量と高炉への送風側で計測された送風流量との差から求め、
酸素供給源の酸素流量とその酸素濃度とから求めた前記吸込流量に対する酸素成分率と空気中の酸素成分率との差から酸素富化率を求め、
放風運転によって富化した酸素が放出される放出酸素量を、前記吸込流量に対する前記放風流量と前記酸素流量の積との比から、または、前記放風流量と前記酸素富化率と前記酸素濃度とから求め、
また、前記酸素流量に対する前記放出酸素量と前記酸素濃度の積との差から酸素富化流量を求め、
これらの演算により求められる前記酸素富化率または前記酸素富化流量が常に一定になるように、高炉送風機の吸込側の送風ダクトに設けた酸素流量調節弁にて前記酸素供給源の酸素流量を制御することを特徴とする高炉への酸素富化方法。 - 純度の異なる酸素の場合は酸素供給配管系を切り替え、前記演算における酸素濃度を補正し、前記酸素富化率または前記酸素富化流量が一定になるように前記酸素供給源の酸素流量を制御することを特徴とする請求項1記載の高炉への酸素富化方法。
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