JP3987391B2 - ポリオレフィン系樹脂の安定化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂を含有せしめた塗料の貯蔵中の粘度上昇を防止し、貯蔵安定性が改良されたポリオレフィン系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂を含有せしめた塗料は、自動車外板部のバンパーなどに使用されているポリオレフィン系プラスチック用のプライマー及び上塗り塗料として広く使用されている。酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂において、酸無水基は隣接する他の塗膜(例えば上塗り塗膜)との付着性アップに寄与し、塩素化は塗料中の他の成分との相溶性向上に有効であることが判明している。
【0003】
しかしながら、かかる酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂と着色顔料とを含有せしめた有機溶剤系塗料は、その貯蔵中に粘度が上昇し、塗装時での固形分含有率が低くなり、塗面平滑性及び他の塗膜との付着性などが低下するという欠陥を有している。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、上記した欠陥を解消し、隣接する他の塗膜との付着性及び塗料中の他の成分との相溶性などを低下させることなしに、貯蔵安定性が改良されたポリオレフィン系樹脂を開発することである。鋭意研究を行なった結果、酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基をアミン化合物で開環し、ついでりん酸基含有化合物を反応させることにより、貯蔵安定性が改良され、目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明によれば、酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基に1〜2級アミン化合物を開環反応し、ついでりん酸基含有化合物を反応させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂の安定化方法(以下、「本方法」という)が提供される。
【0006】
さらに、本発明は、本方法により調製された安定化されたポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とするプラスチック用塗料組成物(以下、「本組成物」という)も提供される。
【0007】
以下に、本方法及び本方法に関して詳細に説明を行なう。
【0008】
【発明の実施の形態】
本方法は、酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基に1〜2級アミン化合物を開環反応し、ついでりん酸基含有化合物を反応させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂の安定化方法である。
【0009】
本方法において、貯蔵安定性を改良するための酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂は、その分子中に環状の酸無水基及び塩素原子を有するポリオレフィン樹脂である。このものは、具体的には、ポリオレフィン系重合体に酸無水基含有重合性化合物を既知の方法によりグラフト重合することにより調製することができる。
【0010】
グラフト重合前のポリオレフィン樹脂として、例えば、エチレン、プロピレンなどから選ばれた1種以上のオレフィン系単量体を(共)重合してなる重合体、又はこれらのオレフィン系又はジエン系単量体とその他の単量体(例えば、スチレン、アクリロニトリルなど)とを共重合してなる重合体などがあげられる。具体的には、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体などがあげられる。これらのポリオレフィン樹脂の数平均分子量は1000〜150000、特に20000〜100000の範囲内が好ましい。ポリオレフィン樹脂にグラフト重合せしめる酸無水基含有重合性化合物は、1分子中に環状酸無水基と重合性不飽和二重結合をそれぞれ1個以上有する化合物であり、例えば、無水マレイン酸などが好適に使用することができる。
【0011】
ポリオレフィン樹脂への酸無水基含有重合性化合物のグラフト重合反応は既知の方法に基いて、水素引き抜き反応などにより行なうことができる。酸無水基含有重合性化合物の比率は、得られるグラフト重合体を基準に、0.5〜5重量%、1〜4重量%の範囲内が好ましい。
【0012】
また、ポリオレフィン樹脂の塩素化はグラフト重合の前又は後に行なうことができる。塩素化は、例えば、グラフト重合前又はグラフト重合後のポリオレフィン樹脂の有機溶剤溶液又は分散液に塩素ガスを吹き込むことによって行われ、塩素化温度は50〜120℃で行なうことが好ましい。塩素化された共重合体、つまり酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂(固形分)中の塩素化率(塩素含有率)は15〜30重量%、好ましくは18〜25重量%の範囲内が適している。
【0013】
本方法では、かくして得られる酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基に1〜2級アミン化合物を反応させて、環状の酸無水基を開環し、ついで生成した2級または3級アミノ基にりん酸基含有化合物を反応させることによりポリオレフィン系樹脂を安定化させるのである。
【0014】
酸無水基に反応せしめる1〜2級アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、モノエタノ−ルアミン、n−プロパノ−ルアミン、イソプロパノ−ルアミンなどの第1級アミン化合物;ジエチルアミン、ジエタノ−ルアミン、ジn−プロパノ−ルアミン、ジイソプロパノ−ルアミン、N−メチルエタノ−ルアミン、N−エチルエタノ−ルアミンなどの第2級アミン化合物をあげることができる。
【0015】
酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基への1〜2級アミン化合物による開環反応は容易に行なうことができる。具体的には、まず、酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂をトルエンなどの有機溶剤に均一に溶解する。この溶液中の酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の固形分含有率は10〜30重量%、特に15〜25重量%の範囲内が適している。ついで、この溶液中に1〜2級アミン化合物を加え、室温で放置することにより酸無水基の開環反応が進行する。両成分の比率は、固形分比で、酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂20重量部あたり、1〜2級アミン化合物は0.1〜1重量部、特に0.2〜0.6重量部の範囲内が好ましい。
【0016】
続いて、開環反応後の有機溶剤溶液中にりん酸基含有化合物を加え、室温で放置することにより、開環反応により生成したアミノ基にりん酸基が反応して、本方法が達成される。この反応は中和反応である。
【0017】
りん酸基含有化合物として、下記に例示するものが使用できる。
【0018】
1)りん酸アルキル(炭素数8〜18)エステル:
具体的には、式 (OH)m−P=O(OR)n (式中、mは1又は2、nは1又は2、m+n=3、Rは炭素数8〜18、好ましくは12〜18の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基である)で示される化合物が適している。例えば、ジノナノイックアシッドホスフェイト、ジオクタノイックアシッドホスフェイト、ジラウリルアシッドホスフェイト、モノラウリルアシッドホスフェイト、ジトリデシルアシッドホスフェイト、モノトリデシルアシッドホスフェイト、ジステアリルアシッドホスフェイト、モノステアリルアシッドホスフェイト、ジイソステアリルアシッドホスフェイト、モノイソステアリルアシッドホスフェイト、ジオレイルアシッドホスフェイト、モノオレイルアシッドホスフェイトなどがあげられ、これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できる。
【0019】
2)りん酸基含有重合体:
これは、りん酸基含有不飽和単量体を構成成分として用いた、1分子中に1個以上のりん酸基を含有する重合体である。
【0020】
りん酸基含有不飽和単量体は、1分子中に重合性不飽和結合と下記式で示されるりん酸基とをそれぞれ少なくとも1個ずつ併有する化合物である。
【0021】
式 ……−OPO(OH)(R1)
(式中、R1は水酸基、フェニル基または炭素数1〜20のアルキル基である。)
かかるりん酸基含有不飽和単量体として、例えば、(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェ−ト、(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェ−ト、(2−アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェ−ト、(2−メタクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェ−ト、10−アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェ−ト、10−メタクリロイルオキシデシルアシッドホスフェ−トなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2〜20)アシッドホスフェ−トなどがあげられる。さらに、グリシジル(メタ)アクリレ−トとモノアルキル(炭素数1〜20)リン酸との等モル付加物も、りん酸基含有不飽和単量体として使用できる。
【0022】
りん酸基含有不飽和単量体と共重合することができるその他の不飽和単量体として、水酸基含有不飽和単量体、N−アルコキシメチルアミド基含有単量体、それ以外の単量体などがあげられる。
【0023】
水酸基含有不飽和単量体は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−トなどの炭素数2〜20のグリコ−ルと(メタ)アクリル酸とのモノエステルなどがあげられる。
【0024】
N−アルコキシメチルアミド基含有単量体は、1分子中にN−アルコキシメチルアミド基及び重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えばN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあげられる。
【0025】
それ以外の単量体は、上記のりん酸基含有不飽和単量体、水酸基含有不飽和単量体及びN−アルコキシメチルアミド基含有単量体以外の重合性不飽和化合物であって、例えば(メタ)アクリル酸と炭素数1〜22の1価アルコ−ルとのモノエステル化物、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニルなどがあげられる。
【0026】
りん酸基含有重合体の調製において、これらの単量体の構成比率は特に制限されないが、全単量体の合計固形分量を基準に、りん酸基含有不飽和単量体は0.1〜100重量%、特に5〜80重量%、水酸基含有不飽和単量体は0〜50重量%、特に5〜35重量%、N−アルコキシメチルアミド基含有単量体は0〜50重量%、特に5〜35重量%、それ以外の単量体は0〜90重量%、特に10〜70重量%の範囲内が好適である。これらの単量体の共重合反応は溶液重合が好ましく、得られるりん酸基含有重合体の水酸基価は0〜150、特に10〜100mgKOH/g、りん酸基に基づく酸価は10〜150、特に20〜130mgKOH/gおよび数平均分子量は1000〜100000、特に3000〜50000であることが好ましい。この共重合体は、N−アルコキシメチルアミド基含有単量体を併用することにより自己架橋性の樹脂とすることができる。
【0027】
3)その他のりん酸基含有化合物
りん酸(オルトりん酸)、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸カリウムなど。
【0028】
酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基に1〜2級アミン化合物による開環反応を行なった後、その反応溶液中に、上記したりん酸アルキルエステル、りん酸基含有重合体及びその他のりん酸基含有化合物から選ばれた1種以上のりん酸基含有化合物を加え、室温で放置することにより、アミノ基にりん酸基が反応して、本方法が達成される。りん酸基含有化合物は、酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基の開環反応生成物20部(固形分)あたり、1〜5重量部、特に1.5〜4重量部の範囲内が好ましい。
【0029】
酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基に1〜2級アミン化合物を開環反応し、さらにりん酸基含有化合物を反応させてなる本方法によるポリオレフィン系樹脂は安定性にすぐれており、このものを着色顔料などと混合してなる有機溶剤系塗料は、その貯蔵中における粘度上昇は殆ど認められず、塗装時での固形分含有率が低くする必要がなく、塗面平滑性及び他の塗膜との付着性などのすぐれた塗膜を形成することができ、プラスチック用塗料に使用することが好適である。
【0030】
本組成物は、本方法により調製された安定化されたポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とするプラスチック用塗料組成物であり、このものは、自動車外板部のバンパーなどに使用されているポリオレフィン系プラスチック用のプライマー及び上塗り塗料として有用である。
【0031】
具体的には、本方法により調製された安定化されたポリオレフィン系樹脂に加え、さらに基体樹脂、硬化剤及び着色顔料などを配合し、さらに必要に応じて体質顔料、硬化触媒、紫外線吸収剤、塗面調整剤、酸化防止剤、流動調整剤、顔料分散剤などを適宜配合することができる。
【0032】
このうち、基体樹脂としてポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂などがあげられ、硬化剤としてメラミン樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネ−ト化合物などをあげることができる。これらのポリエステル樹脂、アルキド樹脂及びアクリル系樹脂はそれ自体塗料用樹脂として既知のものを使用することができ、水酸基価が10〜200、特に40〜100、数平均分子量は1000〜40000、特に1500〜30000の範囲内であることが好ましい。
【0033】
硬化剤は、基体樹脂の分子中に含まれる水酸基などの架橋性官能基と反応し、3次元に架橋硬化しうる化合物である。メラミン樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化メラミン樹脂、さらにこのメチロール化物をメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコールによりエーテル化したものもあげられる。ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上の非ブロックの遊離イソシアネート基を有する化合物であり、それ自体既知の脂肪族系ジイソシアネート化合物、脂環式系ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物、さらに、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ポリアルキレングリコール、トリメチロ−ルプロパン、ヘキサントリオ−ルなどのポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が過剰量となる量の上記のポリイソシアネート化合物を反応させてなる付加物、ビューレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物などもポリイソシアネート化合物として使用できる。ポリイソシアネート化合物の遊離のイソシネート基をブロック剤で封鎖してなるブロックポリイソシアネート化合物も使用できる。
【0034】
着色顔料として、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、黄鉛、黄土、黄色酸化鉄、ハンザエロー、ピグメントエロー、クロムオレンジ、クロムバーミリオン、パーマネントオレンジ、アンバー、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン、ファストバイオレット、メチルバイオレットレーキ、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、ピグメントグリーン、ナフトールグリーンなどのソリッドカラー顔料、アルミニウムフレーク、酸化アルミニウムフレーク、蒸着アルミニウム箔、雲母、酸化チタン被覆雲母などの光輝性顔料があげられる。
【0035】
本組成物において、上記した成分の構成比率は特に制限なく目的に応じて任意に選択できるが、例えば、本方法により調製された安定化されたポリオレフィン系樹脂、基体樹脂及び硬化剤の合計固形分に基づき、本方法により調製された安定化されたポリオレフィン系樹脂は2〜35重量%、特に5〜20重量%、基体樹脂は40〜90重量%、特に50〜80重量%及び硬化剤は20〜50重量%、特に25〜45重量%の範囲内が適していている。
【0036】
本組成物は、上記した成分を有機溶剤及び(又は)水に混合し均一に分散せしめ、粘度8〜20秒/フォードカップ#4/20℃に調整し、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、浸漬塗装などによりポリオレフィン成型体に塗装することができる。塗装膜厚は、硬化塗膜に基いて10〜40μmの範囲内が適している。本組成物の塗膜自体は、60〜160℃、好ましくは80〜140℃で、5〜40分間程度加熱することにより有機溶剤又は水が揮散して、架橋反応し硬化塗膜を形成することができる。
【0037】
本組成物は、ポリオレフィン(被塗物)に対するプライマー(下塗り塗料)として、又はポリオレフィンに直接塗装する無色透明調、有色透明調、ソリッドカラー調又はメタリック調の塗膜を形成する上塗り塗料として使用することができる。
【0038】
本組成物は、酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基に1〜2級アミン化合物を開環反応し、さらにりん酸基含有化合物を反応させてなる本方法によるポリオレフィン系樹脂を含有せしめているので、安定性にすぐれており、着色顔料などと混合してなる有機溶剤系塗料は、その貯蔵中における粘度上昇は殆ど認められず、塗装時での固形分含有率が低くする必要がなく、塗面平滑性及び他の塗膜との付着性などのすぐれた塗膜を形成することができ、プラスチック用塗料に使用することが好適である。
【0039】
【実施例】
以下に、本発明に関する実施例及び比較例について説明する。部及び%はいずれも重量を基準にしており、また塗膜の膜厚は硬化塗膜についてである。
【0040】
1.実施例及び比較例
実施例 1
ポリプロピレン樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合し、かつ塩素化を行なってなる酸無水基含有塩素化ポリプロピレン樹脂(無水マレイン酸含有率1.5%、塩素化率20%、数平均分子量80000)のトルエン溶液(固形分含有率20%)100部にn−プロピルアミン0.4部を加え、室温で約10分間攪拌して酸無水基の開環反応を行なった。ついで、この反応溶液にりん酸基含有重合体(注1)2.5部を加え、室温で10分間攪拌して中和反応を行なって本発明の目的とする安定化されたポリオレフィン系樹脂を得た。
【0041】
(注1)りん酸基含有重合体:娃失度ホスホキシエチルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15部、メチルメタクリレート20部、n−ブチルメタクリレート5部、2−エチルへキシルメタクリレート30部からなる単量体の共重合体。数平均分子量13000、水酸基価72mgKOH/g、酸価126mgKOH/g。
【0042】
実施例 2
ポリエステル樹脂(注2)35部、「CAB−551」(注3)10部、アクリル樹脂(注4)30部、実施例1で得られた安定化ポリオレフィン系樹脂25部及びチタン白顔料100部を混合、分散してなる有機溶剤系塗料。各成分の配合比率は固形分比である。
【0043】
(注2)ポリエステル樹脂:アジピン酸240部、ヘキサヒドロフタル酸125部、1,6−ヘキサンジール240部、トリメチロールプロパン70部を常法によりエステル化反応させてなるポリエステル樹脂。水酸基価は70mgKOH/g。
【0044】
(注3)「CAB−551」:イーストマンコダック社製、商品名、セルロースアセテートブチレート。
【0045】
(注4)アクリル樹脂:スチレン25部、n−ブチルメタクリレート20部、n−ブチルアクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート24部、アクリル酸1部を常法によりラジカル重合反応させてアクリル樹脂。水酸基は120mgKOH/g。
【0046】
比較例 1
ポリエステル樹脂(注2)35部、「CAB−551」(注3)10部、アクリル樹脂(注4)30部、実施例1で使用した安定化処理を行なう前の酸無水基含有塩素化ポリプロピレン樹脂25部及びチタン白顔料100部を混合、分散してなる有機溶剤系塗料。各成分の配合比率は固形分比である。
【0047】
2.性能試験結果
実施例2及び比較例1で調製された有機溶剤系塗料を密閉した状態で20℃で10日間、50℃で10日間貯蔵した後の粘度(20℃)をストーマー粘度計((株)上島製作所製)により測定し、貯蔵中における粘度変化を調べた。その結果を表1に示した。
【0048】
また、ポリプロピレン製被塗物(脱脂処理ずみ)の表面に実施例2又は比較例1の有機溶剤系塗料を膜厚25μmになるように塗装し、室温で3分間放置してから、その未硬化塗面にポリイソシアネート化合物を硬化剤とする2液型クリヤ塗料(注5)を膜厚35μmに塗装し、100℃で30分間加熱して、しみ込み方式ににより両塗膜を同時に硬化せしめた。形成された複層塗膜の塗膜性能試験結果を表1に併記した。
【0049】
(注5)2液型クリヤ塗料:アクリル樹脂(注4)70部及びヘキサメチレンジイソシアネートの水アダクト体30部を有機溶剤(トルエン/キシレン等重量混合液)に混合し、粘度14秒/フォードカップ#4/20℃に調製された2液型クリヤ塗料を得た。
【0050】
【表1】
Claims (1)
- 酸無水基含有塩素化ポリオレフィン樹脂の酸無水基に1〜2級アミン化合物を開環反応し、ついでりん酸基含有化合物を反応させて得られるポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とするプラスチック用塗料組成物。
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