JP3986589B2 - インクジェット用インク組成物 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本願発明は、インクジェット・プリンティングに用いられるインク組成に関し、より詳細には、乾燥時間が短縮され、ブリードフリーな(にじみのない)プリントを生成するインクジェット用インク組成物に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
インクジェット・プリンティングは、非衝撃プリンティング・プロセスであり、このプロセスにおいて、インク液滴が、電気信号に応じて、用紙、透明フィルム又は織物のようなプリント媒体上に被着されるものである。サーマルインクジェット・プリンティングでは、インク容器に接続しているプレナム(インク溜め)を介してチャンバ内の抵抗体素子にインクが供給される。複数の抵抗体素子は、インクジェット・プリンティング用カートリッジのプリントヘッドに特定のパターンで配置される。各抵抗体素子はノズルプレートのノズルとそれぞれ連結している。操作において、各抵抗体素子はマイクロプロセッサと接続しており、その信号が1以上の抵抗体素子を早急に加熱するよう指令する。その熱によってチャンバ内に蒸気泡が生じ、それが連結ノズルを通してプリント媒体上に向けてインクを噴射する。複数の抵抗体素子を特定の順序で付勢することにより、プリント媒体上に英数字、ぬりつぶし(領域充填)及びその他のパターンが形成される。圧電型インクジェット・プリンティングでは、やはりマイクロプロセッサによって発せられた電気信号に応答して、圧電性結晶の振動でインク液滴を噴射する。
【0003】
インクジェットプリンタは、比較的雑音のない操作で低コスト、高品質プリンティングを提供する。このように、インクジェットプリンタは、コンピュータと併用される他のプリンタ、例えば、比較的高価なレーザプリンタ等の種類と比べて汎用の代替プリンタとなっている。しかし、インクジェットプリンタは、現時点では、その大部分は、インクジェット用インクの乾燥時間が比較的遅いこと、そして、プリンタ固有のブリード制御アルゴリズムに由来するプリンタ駆動の減速に起因して、レーザプリンタで得られるスループットレベルと釣り合わせることは不可能である。特に、ブリード抑制に関して、用紙サブストレート上にカラープリントを行う場合、インクジェット用インクの間で互いの色の中ににじみ込む傾向がある。にじみは、用紙サブストレート表面上でまたはそのサブストレートの内部で色が混ざり合う時に生ずる。この問題に対応して、インクジェットプリンタは、普通、よごれのない、他色への侵入のないように色と色の間に境界を設けるべくブリード抑制アルゴリズムを採用している。しかし、これによってプリンタが減速されることになる。インクジェットプリンタで得られるスループットレベルを高めるために、インクジェット用インクの乾燥時間を、好ましくは、ブリード制御も併せて達成するよう、改善しなければならない。
【0004】
インクジェット用インクの乾燥時間を改善するための種々の解決が提供されてきた。いくつかの解決方法には、乾燥時間を早めるためにインク環境を変更することが含まれている。例えば、より早い乾燥時間を達成するため加熱したプラテン及びその他の熱源が用いられる。しかし、加熱プラテンはプリンタのコストをさらに高くするもので、一般的にコスト効率的ではない。
【0005】
その他の解決方法には、早い乾燥時間を達成するためインクジェット用インクの組成に様々な成分を付加する方法がある。例えば、界面活性剤を染料含有インクジェット用インクの組成に付加して、用紙中へのインクの浸透速度を高めることにより乾燥時間を改善している。例えば、米国特許第5,106,416号(「Bleed Alleviation Using Zwitterionic Surfactants and Cationic Dyes」)、米国特許第5,116,409号(「Bleed Alleviation in Ink-Jet Inks」)、米国特許第5,133,803号(「High Molecular Weight Colloids Which Control Bleed 」)を参照されたい。注目すべきことには、ブリード制御は界面活性剤を付加しても達成されることである。インクの浸透速度を上げればその乾燥時間は短縮されるが、望ましくないエッジ尖鋭度の低下も界面活性剤の付加が原因で派生することもある。さらに、インクジェット用インクへの界面活性剤の付加は、滴噴射特性にマイナスの影響を及ぼすことが知られている。より詳細には、界面活性剤含有インクの表面張力が低いためプリントヘッドのノズルプレート上に液溜まりを生ずることがあり、滴噴射特性の低下を招来する。乾燥時間を早めるために短鎖アルコールもインクジェット用インクの組成に付加されているが、特殊なプリント媒体によっては、短鎖アルコールの付加は、エッジ粗さの増大に起因してプリント品質に逆効果を及ぼすこともある。従って、界面活性剤及び短鎖アルコールで達成される乾燥時間の改善は、しばしば、プリント品質を犠牲にして成就されるのである。
【0006】
従って、プリント媒体との衝突の後、早急に乾燥し、低ブリードを示すインクジェット用インク組成の必要性が存在するのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
水性インク組成物のプリント媒体に付着した後の乾燥時間が長いことおよび色のにじみ(ブリード)を解決する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に従い、インクジェットプリンタを用いて紙、透明フィルム又は織物等のプリント媒体上にプリントされるインクジェット用インク組成物の乾燥時間は、両親媒性剤によって水性溶液に溶解する高沸点の水不溶性有機化合物を用いることで短縮される。より詳細には、本発明のインクは、(a)少なくとも1つの染料と;(b)少なくとも1つの高沸点水不溶性有機化合物と;(c)少なくとも1つの両親媒性剤と;さらに(d)水を含有する。ここで用いられるように、「高沸点有機化合物」は、その蒸気圧が、インクジェット・プリンティングの正常な操作中に水だけがインクから蒸発するように、水の蒸気圧に比べて十分低い有機化合物を指すものとする。注目すべき点は、このような化合物は溶媒及び共溶媒(co-solvent)としての両方の働きをすることである。
【0009】
本発明に従って調製されたインクジェット用インクは、早い乾燥時間とブリード抑制を示し、一方、達成されるエッジ尖鋭度は両親媒性剤を選ぶことで制御することができる。特に、良好なエッジ尖鋭度を供給する優れたプリント品質は、早い乾燥時間とブリード抑制に加えて、ヒドロトロープ(可溶化剤)を用いることにより達成される。ヒドロトロープは、一般的な種類の両親媒性剤のサブセットであり、得られる等方性溶液が、状態図において相対的に大きい領域を占め且つ界面活性剤を用いて得られる溶液と比べて比較的高い表面張力を有するように、水不溶性有機化合物を可溶化する能力が特徴である。典型的には、より優れたプリント品質は、ヒドロトロープを優先的に用いて水不溶性有機化合物を可溶化できるように、用紙媒体上へのプリントに望まれる。他方、比較的低いプリント品質も、ある種の用途では、例えば、界面活性剤を用いて水不溶性有機化合物を可溶化できるように、織物媒体上のプリントには受け入れられることもある。
【0010】
注目すべきことには、現在のインクベヒクルは水不溶性化合物と水の両方を含んでいるので、本発明の実施に当たり水溶性又は水不溶性の染料の何れも用いてよいが、耐水性(waterfastness)の固有の特性から水不溶性染料が好まれることもある。
【0011】
本発明のインクは、連続圧電のドロップ・オン・デマンド方式プリンタ及びサーマル又はバブルジェット・ドロップ・オン・デマンド方式プリンタのような種々のインクジェットプリンタに用いてよい。本発明の実施で達成される乾燥時間の短縮及びプリンタによるブリード軽減によってインクジェットプリンタのスループットが向上でき、同時に、ブリードの軽減化並びに良好なエッジ尖鋭度を保持することは、高プリント品質に寄与することになる。
【0012】
【実施例】
本発明の実施において、インクジェット用インク組成物で示された乾燥時間は、インクジェットプリンタによって用紙、透明フィルム又は織物等のプリント媒体上にいったんプリントされると両親媒性剤によって水溶液に溶ける、高沸点の水不溶性有機化合物を提供することで短縮される。より詳細には、本発明のインクは、(a)少なくとも1つの染料と、(b)少なくとも1つの高沸点水不溶性有機化合物と、(c)少なくとも1つの両親媒性剤と、さらに(d)水とを含有する。該両親媒性剤は、有機化合物を完全に可溶性にする量が存在し、それによってよごれのない、安定したインク溶液となる。
【0013】
本願明細書における濃度は、別に表示しない限り、全て重量パーセントで表す。全成分の純度は、インクジェット用インクとして通常の商用用途に使われるようなものである。
【0014】
本発明の実施に用いてよい染料には、水溶性と水不溶性の両方の染料が含まれる。インクジェット・プリンティングで互換性のある水溶性又は水不溶性染料はどれでも本発明の実施において適切に用いてよい。本発明の実施において適切に用いてよい水溶性染料の例としては、限定するものではないが、C. I. Acid Blue 9、C. I. Acid Red 18、C. I. Acid Red 27、C. I. Acid Red 52、C. I. Acid Yellow 、C. I. Direct Blue 199及びそれらのNa+、Li+、Cs+、NH4 +のような一価のアルカリ土類イオン及び置換アンモニウム塩がある。本発明の実施において適切に用いてよい水不溶性染料の例としては、限定するものではないが、Isol Yellow、Isol Red、Isol Orange、Isol Black及びSolvent Blue Bがあり、それらの全てはCrompton & Knowles 社(Charlotte, North Carolina)から市販されている。染料(染料群)は、インク組成の約0.1〜10wt%存在する。
【0015】
水不溶性有機化合物は、本発明の実施におけるいくつかの目的に役立つ。第一に、インクジェット用ペンとの使用に必要な共溶媒として働く。より詳細には、インクジェットプリンタのペンが使われないまま大気に露出されると、インクベヒクル中の水が蒸発する。この高沸点化合物がインクベヒクル中にあると、クラストの形成とノズルの閉塞を防止することができる。故に、有機化合物の蒸気圧は、インクジェット・プリンティング中に蒸発しないような水と比べて十分低いものでなければならない。第二に、この有機成分は、本発明の実施に水不溶性染料が選択される場合、一次溶媒(primary solvent)として作用する。
【0016】
使用してよい有機化合物又はオイルの例としては、限定するものではないが、水不溶性モノ又はポリグリコールエーテル;水不溶性N−置換2−ピロリドン;モノ又はポリグリコールエステル;及び水不溶性炭化水素がある。一般に、選択した染料を溶解でき且つ両親媒性剤によって可溶化できる水不溶性有機化合物又はその組合せはどれも本発明の実施において用いてよい。水不溶性有機化合物は、室温では液体又は固体の何れであってもよい。本発明において好適に用いられる水不溶性有機化合物の特定例としては、限定されるものではないが、モノエチレン及びポリエチレン・グリコールフェニルエーテル;モノプロピレン及びポリプロピレン・グリコールフェニルエーテル;及びアクリル酸塩等のエチレン、プロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレン・グリコールエステルが含まれる。水不溶性有機化合物は、インクジェット用インクの約1〜70wt%の濃度範囲にあってよい。
【0017】
本発明の実施に用いられる両親媒性剤は、インクジェット用インクの残りの成分と相溶性であり且つ水中の高沸点水不溶性有機化合物を「可溶化」できる任意の両親媒性剤又はその組合せであってよい。両親媒性剤は、水中の水不溶性有機化合物を極めて小さい液滴に分解して且つそれらの液滴を安定な分散状態に、則ち、マイクロエマルションに維持することによって可溶性にする。普通の非ヒドロトロープ両親媒性剤の界面活性剤の例には、スルホン酸アルキル、スルホン酸ベンゼン、アルキル置換ベンゼンスルホン酸塩、スルホン酸ナフタレン、酸化アルキルアミン、置換アンモニウム塩及び非イオン性物質(non-ionics)がある。
【0018】
好ましくは、本発明に用いられる両親媒性剤は、「ヒドロトロープ(hydrtropes)」として知られている両親媒性剤の1種類に包含されるものである。ヒドロトロープ両親媒性剤は、一般的な両親媒性剤及び界面活性剤と同様にインク組成中の水不溶性有機化合物を可溶性にする働きがある。しかし、ヒドロトロープ両親媒性剤は、他の界面活性剤の使用と関連付けられる表面張力の急激な降下とはならず、本発明の実施においてヒドロトロープ両親媒性剤を用いるインクについての表面張力の低下は、比較的抑制される。界面活性剤を含有するインクに関連付けられる比較的低い表面張力は、上述のように滴噴射特性とプリント品質にマイナスに影響することが時々認められるので、ヒドロトロープ両親媒性剤を使用するのは有益である。ヒドロトロープ両親媒性剤は、時として界面活性剤含有インクを悩ますノズルプレート上の液溜まり又はエッジ尖鋭度の損失といったことも起こさずに、比較的早い乾燥時間を有し且つブリードが改善されたインクを提供する。しかし、織物のプリントのように、エッジ尖鋭度が重要でない場合は、非ヒドロトロープ両親媒性剤を用いてよい。ヒドロトロープ両親媒性剤は、一般に、紙上のプリントのように、エッジ尖鋭度が重要である場合に望まれるものである。
【0019】
ヒドロトロープ両親媒性剤は、性質上、陰イオン性、陽イオン性又は非イオン性であってよい。本発明の実施に適切に用いられる陰イオン性ヒドロトロープ両親媒性剤の例には、限定されるものではないが、安息香酸ナトリウム、サルチル酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウムベンゼン、ジスルホン酸ナトリウムベンゼン、スルホン酸ナトリウムトルエン、スルホン酸ナトリウムキシレン、スルホン酸ナトリウムクメン、スルホン酸ナトリウムシメン及びケイ皮酸ナトリウムがある。本発明の実施に適切に用いられる陽イオン性ヒドロトロピープ両親媒性剤の例には、限定されるものではないが、パラアミノ安息香酸塩酸塩、プロカイン塩酸塩及びカフェインがある。本発明の実施に適切に用いられる非イオン性ヒドロトロープ両親媒性剤の例には、限定されるものではないが、レゾルシノール及びピロガロールがある。
【0020】
任意に、現在のインクジェット用インク組成にコーサファクタント(co-surfactant)を付加してよい。コーサーファクタントは、好ましくは、イソプロパノール及びペンタノールのような、3〜8個の炭素原子を有する中鎖アルコールを包含する。コーサーファクタントは、インク組成の10wt%未満に相当してよく、両親媒性剤の個別成分としてもしくはその部分的置換として作用する。
【0021】
本発明に対する要件と一致して、様々な種類の添加物をインクに用いて特定用途に向くようインク組成の諸性質を最適化してよい。例えば、当業者に周知のように、殺虫剤をインク組成に用いて微生物の成長を阻害してもよく、また、EDTAのような金属イオン封鎖剤を含有させて重金属の不純物の有毒な効果を排除してもよく、さらに緩衝液を用いてインクのpHを制御してよい。粘性モディファイヤ及びアクリル又は非アクリル高分子のような他の既知の添加物を加えてインク組成の様々な性質を望まれるように改質してもよい。
【0022】
本願発明のインク組成は、2つの異なった方法、即ち、省略方法及びもう1つの合成法、によって調製することができる。省略法に従って本願発明のインクを製造するには、先ず、単一または複数の有機不溶性成分と水とをインクの最終所要組成を反映する比で結合させなければならない。得られる2相の液体は、その後、透明溶液が得られるまで選択した両親媒性剤で滴定され、これは単一相溶液に到達するように有機化合物を可溶化することを意味する。約1%過剰の両親媒性剤を随意に加えて安定な溶液を確保してよい。この単一相溶液に、選択した染料及び所望の任意の添加物を加えて、基本的なインク組成の調製を完成させる。注目すべきことは、上述の滴定処理を通して単一または複数の有機物成分と水と単一または複数の両親媒性剤との適切な関連濃度がいったん決定されれば、その後は以後のインク組成を任意の順序で混合してよい。
【0023】
本発明のインクを調製するのにもう1つの合成的アプローチを選択する場合、最初の処理には、水不溶性有機化合物と水との組合せを表す状態図が含まれる。より詳細には、状態図は、水と単一または複数の高沸点水不溶性有機化合物とを種々の比率で結合し、各混合物を状態図中、透明な単一相領域が定められるまで単一または複数の両親媒性剤に対して滴定することによって構成される。その透明点(クリアポイント)を越えてさらに滴定することにより、他の多相又は半固体領域が定められる。これらの結果は、従来の三角プロットでプロットすると、三元状態図を表す。例えば、唯一の図面は、より詳細には以下の実施例で説明するように、プロピレン・グリコール・フェニル・エーテルとスルホン酸ナトリウムキシレンと水とを包含するインクジェット用インク組成に関する前述の三元状態図を示しており、ここで部分Aは2相を有するミルク状領域を表し、部分Bは単相の等方性領域を表し、さらに部分Cは半固体領域を表す。単相の等方性領域(部分B)は、インクジェット用インク組成に用いるのにより適しているところの、単一又は複数の有機化合物と水と単一又は複数の両親媒性剤との組成を示す。従って、本発明の実施において、その組成が特定のインクジェット用インク組成に関する他のどの判定基準にも準拠するという条件で、この単相領域から任意の組成を選択してよい。
【0024】
留意すべきは、部分A内の組成は、織物のプリントのような、長期の保管寿命(shelf life)を必要としない用途に用いることができることである。同様に、サーマル・プリントヘッドを使えば、部分C内の組成を用いることが可能となる。
【0025】
発明によって調製されるインクは、界面活性剤成分を含有するインクに関して予期される早い乾燥時間とブリード抑制とを示し、しかもその上、特にヒドロトロープ両親媒性剤が用いられるときは、一般的に関連して起こるプリント品質の劣化を呈さないであろう。以下の実施例は、発明によって製造されるインクジェット用インク組成物がインクジェットプリンタでプリントされる際に乾燥する速度を立証するものである。
【0026】
次のように、本発明に従って、2種類のインク組成物を製造した。
実施例1:
第1図に示される状態図より既に決められているベヒクル成分の濃度を使って、3wt%のIsol Yellow 染料と、25wt%のプロピレングリコールフェニルエーテルと、15wt%のスルホン酸ナトリウムキシレンと、残りが水から成るインクジェット用インク組成物を調製した。より詳細には、図に示した状態図は、プロピレングリコールフェニルエーテルと水とを種々の比率で結合し、次いで各混合物を透明な単一相領域が定められるまでスルホン酸ナトリウムキシレンに対して滴定して作図した。従って、図の部分Aは、ミルク状の外観を呈する2相を生じた、プロピレングリコールフェニルエーテルとスルホン酸ナトリウムキシレンと、水との様々な組合せを表す。図の部分Bは、透明な単一相領域を生じた、プロピレングリコールフェニルエーテルとスルホン酸ナトリウムキシレンと、水との様々な組合せを表す。図の部分Cは、半固体領域が定められるまでプロピレングリコールフェニルエーテルと水との混合物をスルホン酸ナトリウムキシレンで透明点を越えてさらに滴定を進めることにより定めた。図の単相等方性領域である部分Bは、発明の実施に際し適切に用いてよい、プロピレングリコールフェニルエーテルとスルホン酸ナトリウムキシレンと、水との組合せを示すものである。部分A及びCで表示された組成は、本発明の範囲外のインクベヒクルを表す。
【0027】
本実施例のインクジェット用インク組成物は、図の部分Bの単一相等方性領域内に帰属するものである。より詳細には、このインク組成物のベヒクルは、26wt%のプロピレングリコールフェニルエーテルと、15wt%のスルホン酸ナトリウムキシレンと、59wt%の水を含有し、結果的に全インク組成よりむしろインクベヒクルのパーセントを表すために多少変更された濃度となった。図上の点Dは、この実施例のインク組成の媒介物が、三元状態図の透明な単一相領域である部分Bの範囲内に実際に入ることを示すものである。
【0028】
45ピコリットル滴下容積ペンを使って、本実施例のインクジェット用インク組成を普通紙の上にプリントした。インクは、普通紙と衝突した後、瞬時に乾燥した。比較として、水溶性共溶媒を有するインクジェット用インク組成物(例えば、米国特許第4,963,189号参照)は、普通紙にプリントした時、有限の、容易に測定可能な乾燥時間を示すことが分かっている。
【0029】
実施例2:
ベヒクルが単一相の液体である実施例1と類似の実施によって決められている濃度を使って、3wt%のIsol Yellow染料と、25wt%のプロピレングリコールフェニルエーテルと、11wt%のスルホン酸ナトリウムキシレンと、残りが水から成るインクジェット用インク組成物を製造した。次いで、このインクジェット用インク組成物を45ピコリットル滴下容積ペンを使って普通紙の上にプリントした。該インクは、普通紙に衝突後、瞬時に乾燥した。
【0030】
このように、本発明に従って製造されたインクジェット用インク組成物は、インクジェットプリンタでプリントする際に乾燥時間が早いことが立証された。
【0031】
本発明に係るインクジェット用インク組成物並びに本明細書に開示されたものと同じことを実行する方法は、ブラック及びカラープリントにおいて業務上の用途を見い出すものと期待されている。
【0032】
このように、プリント品質を犠牲にすることなく早い乾燥時間とブリード抑制とを達成するのに用いてよいインク組成物が開示された。本発明の精神から逸脱することなく明白な特性の種々の変更並びに修正を実行できること、且つ全ての該変更並びに修正は前出の請求の範囲で定められた本発明の範囲内に帰属するものと考えられるということは、当業者には自明のことである。
【0033】
以上、本発明の実施例について詳述したが、以下に本発明の各実施態様毎に列挙する。
(1)少なくとも1つの染料と、少なくとも1つの水不溶性有機化合物と、少なくとも1つの両親媒性剤と、水とを含み、両親媒性剤が少なくとも1つの水不溶性有機化合物を水中で可溶化にするのに十分な量を含むことで、改善された乾燥時間と低減されたブリードを示す水性インクジェット用インク組成物。
(2)少なくとも1つの染料は約0.1から10wt%までの範囲の量であることを特徴とする前項(1)記載のインクジェット用インク組成物。
(3)少なくとも1つの水不溶性有機化合物は、水不溶性モノグリコールエーテル、水不溶性ポリグリコールエーテル、水不溶性N−置換2−ピロリドン、水不溶性モノグリコールエステル、水不溶性ポリグリコールエステル及び水不溶性炭化水素から成る群から選択されることを特徴とする前項(1)記載のインクジェット用インク組成物。
(4)少なくとも1つの水不溶性有機化合物は、約1から70wt%までの範囲の量であることを特徴とする前項(1)記載のインクジェット用インク組成物。
(5)少なくとも1つの両親媒性剤は、ヒドロトロープ両親媒性剤であることを特徴とする前項(1)記載のインクジェット用インク組成物。
(6)少なくとも1つの水不溶性有機化合物がプロピレングリコールフェニルエーテルとエチレングリコールフェニルエーテルとから成る群から選択されるものであり、少なくとも1つの両親媒性剤がスルホン酸ナトリウムキシレンであることを特徴とする前項(1)記載のインクジェット用インク組成物。
(7)前項(1)記載のインクジェット用インク組成物はさらに、3個から8個の炭素原子の炭素鎖長を有し、インク組成物の0から約10wt%までの範囲以内の濃度を有するアルコールから成るコサーファクタントを含むことを特徴とするインクジェット用インク組成物。
(8)前項(1)記載のインク組成物を調製するステップと、インクジェット用ペンを用いてプリント媒体上にインク組成物をプリントするステップを含み、インク組成物がプリント媒体に衝突した後、瞬時に乾燥することを特徴とするするインクジェット・プリンティングに用いられるインクの乾燥時間を減少させる方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインク組成成分の含有量の関係を説明するための図。
Claims (7)
- 少なくとも1つの水不溶性染料と、少なくとも1つの水不溶性有機化合物と、少なくとも1つのヒドロトロープ両親媒性剤と、水とを含んで成るインクジェット用水性インク組成物であって、前記ヒドロトロープ両親媒性剤が、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウムベンゼン、ジスルホン酸ナトリウムベンゼン、スルホン酸ナトリウムトルエン、スルホン酸ナトリウムキシレン、スルホン酸ナトリウムクメン、スルホン酸ナトリウムシメン、ケイ皮酸ナトリウム、パラアミノ安息香酸塩酸塩、プロカイン塩酸塩、カフェイン、レゾルシノール及びピロガロールから成る群から選択され、且つ前記ヒドロトロープ両親媒性剤が前記少なくとも1つの水不溶性有機化合物を水中で可溶化させて安定なマイクロエマルションをもたらすのに十分な量である、インクジェット用水性インク組成物。
- 前記少なくとも1つの水不溶性染料が、0.1〜10wt%の量である、請求項第1項記載のインクジェット用水性インク組成物。
- 前記少なくとも1つの水不溶性有機化合物が、水不溶性モノグリコールエーテル、水不溶性ポリグリコールエーテル、水不溶性N−置換2−ピロリドン、水不溶性物グリコールエステル、水不溶性ポリグリコールエステル及び水不溶性炭化水素から成る群から選択される、請求項第1項記載のインクジェット用水性インク組成物。
- 前記少なくとも1つの水不溶性有機化合物が、1〜70wt%の量である、請求項第1項記載のインクジェット用水性インク組成物。
- 前記少なくとも1つの水不溶性有機化合物がプロピレングリコールフェニルエーテルとエチレングリコールフェニルエーテルとから成る群から選択され、前記少なくとも1つのヒドロトロープ両親媒性剤がスルホン酸ナトリウムキシレンである、請求項第1項記載のインクジェット用水性インク組成物。
- さらに、3個から8個の炭素原子の炭素鎖長を有し且つ前記インクジェット用水性インク組成物の0〜10wt%の濃度を有するアルコールから成るコサーファクタントを含む、請求項第1項記載のインクジェット用水性インク組成物。
- 請求項第1項記載のインクジェット用水性インク組成物を調製するステップと、インクジェット用ペンを用いてプリント媒体上に前記インク組成物をプリントするステップとを含み、前記インク組成物が前記プリント媒体に衝突した後、瞬時に乾燥する、インクジェット・プリンティングに用いられるインクの乾燥時間を減少させる方法。
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