JP3986181B2 - タングステン含有部材研磨用スラリー及び研磨方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タングステンを含有する部材を迅速にかつ高品位に研磨することができる研磨用スラリー及び研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学反応と機械的研磨を組合わせて半導体ウェハや電子部材を研磨する技術が提唱されてから約20年が経過した。この技術は、いわゆる半導体製造前工程のChemical and Mechanical Polishing(以下CMPと略記)として、特に近年になって注目を浴びている。
【0003】
この平坦化技術に使用されるCMP用スラリーはシリカ膜に代表される絶縁膜用とAl、W、Cu等配線材料である金属膜用とに大別され、当然のことながら、被研磨対象である膜の硬度や化学的安定性等が異なるため、それぞれの目的にあった固体粒子や添加剤が選択され、使い分けられている。しかしながら未だ完成された技術とはいえず、加えて半導体ウェハのここ数年の高集積化、即ち配線径の縮小化やロジックデバイスの多層配線化に伴って、製造の過程においてウェハ表面全体を極めて精度よく平坦化し、かつ後工程に不純物残留等の支障を残さないCMP技術に関しては、ますます厳しい要求がなされている。当然スラリー物性もその要求対象の一つであり、迅速にかつ高品位にウェハ表面を平坦化できるスラリーの開発が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
現在の半導体デバイスでCMPの対象となる金属配線の中心はタングステン(W)である。タングステンは下層配線であるアルミニウム(Al)とをつなぐコンタクトホールの埋め込みに、及び上層配線に使用されており、設計に従ってエッチングされた絶縁膜上にバリヤメタルとタングステンをデポジットした後、CMPにより研磨して全体の平坦化を行うという工程をたどる。
【0005】
従って、このプロセスの研磨対象は、当初はタングステンから始まり、タングステン+バリヤメタル、タングステン+絶縁膜へと進むことになる。しかしながら、タングステン自体が極めて硬い材料であることから、その研磨速度を十分にとることができず、また最終段階のタングステン+絶縁膜研磨の際の選択比が最適化しにくく、ディッシング、シニング等を生じてしまうという問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
現在、タングステン膜研磨用に主として使用されているスラリーはアルミナ等の固体粒子及び過酸化水素、硝酸鉄等の酸化剤、及び水とからなる。本発明者らは、このうち過酸化水素を酸化剤とするスラリーを用いて、タングステン膜の研磨速度を向上する方法について鋭意検討を行った。
【0007】
この結果、該スラリー中に特定の添加物を添加すれば、タングステン膜の研磨速度を著しく向上することができ、かつ研磨後の仕上がりも高品位に保つことができること、更にはその添加量によって速度も自由に制御することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、少なくとも1種類以上の固体粒子と、少なくとも1種類以上の8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加してなる水スラリーと過酸化水素水を混合してなるタングステン含有部材研磨用のスラリーである。
また、少なくとも1種類以上の固体粒子と、少なくとも1種類以上の8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加してなる水スラリーと過酸化水素水を混合してなるスラリーで研磨することを特徴とするタングステン含有部材の研磨方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する研磨用スラリーは、少なくとも1種類以上の固体粒子と、少なくとも1種類以上の8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加してなる水スラリーと過酸化水素水とを混合してなり、これに固体粒子を均一に分散させるための界面活性剤等の分散剤やpH調整のための添加剤、その他電解質等を加えても、本発明には特に支障にはならない。
【0010】
また、研磨対象であるタングステン含有部材とは分野を限らずタングステンを含有する部品や材料であり、例えばこれまで述べた半導体ウェハやタングステン板等も対象として挙げることができる。
本発明においては、添加物による化学的研磨の度合いが大きいため、固体粒子に関しては、特に制限はない。但し、タングステン膜や酸化物膜を研磨する以上、ある程度の硬度が必要であり、また仕上がりを高品位に保つためには、比較的微細であり、粒度分布が揃っていること等が好ましいことは言うまでもない。
【0011】
本発明に好ましい固体粒子としては、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化珪素(SiO2)、二酸化マンガン(MnO2)、二酸化セリウム(CeO2)等が挙げられ、粒子径は概ね10〜500nm程度の範囲で選定される。
【0012】
また、固体粒子濃度に関しても特に制限はないが、粒子濃度が低いと研磨速度が低下し、また高すぎると粘度が高くなって取り扱いが困難になる、後洗浄に支障をきたす等の理由から、概ね1〜20%程度の範囲とするのが好ましい。
過酸化水素は主として硬いタングステン膜表面から、より脆弱な酸化タングステン膜を形成する酸化剤として混合する。添加量は、本発明において研磨速度に影響する因子となるため、特定することはできないが、3〜20%程度とするの好ましい。過酸化水素は不安定な物質であり、取り扱いの仕方如何では爆発することもありうるため、30%を超えるような高濃度での使用は避けるべきである。
【0013】
また、本発明ではタングステン含有部材の研磨面において、固体粒子、過酸化水素水、金属添加物が共存することが本質であるため、固体粒子と後に詳細に述べる金属添加物、その他分散剤やpH調整剤を含むスラリーと過酸化水素水とを別々の供給ラインから供給しても問題はない。先に延べたとおり、過酸化水素は不安定な物質であり、固体粒子スラリーと混合した場合、長期の保管が利かないことがあるため、むしろ供給ラインを分けてしまうか、使用する直前に混合する方が好ましい。
【0014】
次に本発明の本質を述べる。本発明では、少なくとも1種類以上のIUPAC無機化学命名法改訂版に基づく8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加する。具体的に8族から11族に属する金属としては、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auが挙げられるが、本発明者らの経験では、Fe、Pd、Pt、Cu、Agが特に効果的な添加物である。
【0015】
これらの添加物は金属粉のまま、あるいは水に溶解して金属イオンを生成する塩類、例えば金属塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等の形で添加される。その添加量は、添加する金属の種類によって異なるため特定はできないが、概ね0.5〜100ppm程度の範囲で選択され、これらの添加により、タングステン膜の研磨速度を著しく向上することができる。
本発明者らは実験として、過酸化水素水に上述の金属硝酸塩もしくは酢酸塩を添加した液の中に、タングステンワイヤーを入れて攪拌するという実験を試みた。この結果、液は数分後に著しく発熱して沸騰状態に到達し、反応後のタングステンワイヤーの重量も無研磨であるにも関わらず数%減少していることを発見した。金属イオンを添加しない場合でもタングステンは過酸化水素により酸化されるため、若干の発熱はあるが、金属イオンの添加により反応状況やタングステンワイヤーの重量減少が著しく激しくなることから本発明を完成したのである。
【0016】
この現象に関しては、本発明者らは金属イオンの添加により、酸素ラジカル等過酸化水素の活性種の生成が促進されている、あるいは金属イオンが生成した酸化タングステン膜を溶解する触媒作用を持っている等の機構を考えているが、現段階では詳細は明らかにはし得ていない。但し、過酸化水素と金属イオンの混合のみでは殆ど反応しないため、反応にタングステン自体が関与しているのは間違いないようである。
【0017】
ここまでの説明で明らかなように、本発明はタングステンの化学的研磨を促進することが本質であり、機械的研磨を担う固体粒子の影響は比較的小さい。CMPにおいては固体粒子は単に硬ければよいというわけではなく、粒子と被研磨物との相互作用が強く影響するため、目的に応じて固体粒子が選択されているが、本発明によれば最終的なタングステン膜と酸化膜の研磨を考えて、最適な選択比をとれるように、固体粒子を選定することができるのである。
以上は半導体ウェハのCMPを中心に述べてきたが、本発明の研磨対象物はタングステン含有部材であり、当然のことながら半導体ウェハ以外の研磨にも応用することができる。
【0018】
【実施例】
本発明を実施例及び比較例を持って説明する。なお、以下に示す%は、特記しない限り重量%を表す。
実施例1
15%過酸化水素水1kgに固体粒子として酸化アルミニウム(Al2O3=一般市販品、平均粒子径0.1μm)110gと硝酸銅3水和物0.084gを添加、アルミナ製ボールミルで混合し、銅イオン20ppm含有、10%酸化アルミニウムスラリー(タングステン含有部材研磨用スラリー)約1Lを調製した。このスラリーを用いて、以下の条件でタングステン板を研磨し、その研磨速度及び研磨後の表面状態観察を行った。
【0019】
研磨条件
被研磨物:タングステン板50mmφ×2mmt
(#2000ダイヤペレットによる前加工済み)
研磨機:枚葉式片面研磨機
研磨圧力:300g/cm2
スラリー供給量:30ml/min
回転数:80rpm
研磨パッド:硬質ポリウレタンパッド
研磨時間:10分間
研磨量:被研磨物の任意の5点の研磨前後の厚みをマイクロメーターにより測定し、この減少量の平均値にて示した。
この結果、平均のタングステン板研磨速度は、0.65μm/minであり、SEM撮影の結果、表面には傷は認められなかった。
【0020】
比較例1
硝酸銅を添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行いタングステン含有部材研磨スラリーを調製した。このスラリーを用いて実施例1と同様のタングステン板を同条件で研磨したところ、平均研磨速度は、0.29μm/minであった。また、SEM観察の結果、表面には傷は認められなかった。
【0021】
実施例2〜10
添加金属イオン、固体粒子を変えた以外は実施例1と同様にして、タングステン板の研磨速度を比較した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
表面状態○は、SEM観察の結果表面に傷なく良好であることを示す。
【0023】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によるスラリーを使用すれば、硬いため研磨速度の遅いタングステンも迅速にかつ仕上がり表面も高品位に保ちながら、研磨を行うことができる。またその研磨速度も、金属イオン添加量によって制御することができること、固体粒子も比較的自由に選択できることを考えると、特に今後の半導体ウェハ研磨に対して本発明の効果は大きい。
【発明の属する技術分野】
本発明は、タングステンを含有する部材を迅速にかつ高品位に研磨することができる研磨用スラリー及び研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学反応と機械的研磨を組合わせて半導体ウェハや電子部材を研磨する技術が提唱されてから約20年が経過した。この技術は、いわゆる半導体製造前工程のChemical and Mechanical Polishing(以下CMPと略記)として、特に近年になって注目を浴びている。
【0003】
この平坦化技術に使用されるCMP用スラリーはシリカ膜に代表される絶縁膜用とAl、W、Cu等配線材料である金属膜用とに大別され、当然のことながら、被研磨対象である膜の硬度や化学的安定性等が異なるため、それぞれの目的にあった固体粒子や添加剤が選択され、使い分けられている。しかしながら未だ完成された技術とはいえず、加えて半導体ウェハのここ数年の高集積化、即ち配線径の縮小化やロジックデバイスの多層配線化に伴って、製造の過程においてウェハ表面全体を極めて精度よく平坦化し、かつ後工程に不純物残留等の支障を残さないCMP技術に関しては、ますます厳しい要求がなされている。当然スラリー物性もその要求対象の一つであり、迅速にかつ高品位にウェハ表面を平坦化できるスラリーの開発が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
現在の半導体デバイスでCMPの対象となる金属配線の中心はタングステン(W)である。タングステンは下層配線であるアルミニウム(Al)とをつなぐコンタクトホールの埋め込みに、及び上層配線に使用されており、設計に従ってエッチングされた絶縁膜上にバリヤメタルとタングステンをデポジットした後、CMPにより研磨して全体の平坦化を行うという工程をたどる。
【0005】
従って、このプロセスの研磨対象は、当初はタングステンから始まり、タングステン+バリヤメタル、タングステン+絶縁膜へと進むことになる。しかしながら、タングステン自体が極めて硬い材料であることから、その研磨速度を十分にとることができず、また最終段階のタングステン+絶縁膜研磨の際の選択比が最適化しにくく、ディッシング、シニング等を生じてしまうという問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
現在、タングステン膜研磨用に主として使用されているスラリーはアルミナ等の固体粒子及び過酸化水素、硝酸鉄等の酸化剤、及び水とからなる。本発明者らは、このうち過酸化水素を酸化剤とするスラリーを用いて、タングステン膜の研磨速度を向上する方法について鋭意検討を行った。
【0007】
この結果、該スラリー中に特定の添加物を添加すれば、タングステン膜の研磨速度を著しく向上することができ、かつ研磨後の仕上がりも高品位に保つことができること、更にはその添加量によって速度も自由に制御することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、少なくとも1種類以上の固体粒子と、少なくとも1種類以上の8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加してなる水スラリーと過酸化水素水を混合してなるタングステン含有部材研磨用のスラリーである。
また、少なくとも1種類以上の固体粒子と、少なくとも1種類以上の8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加してなる水スラリーと過酸化水素水を混合してなるスラリーで研磨することを特徴とするタングステン含有部材の研磨方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する研磨用スラリーは、少なくとも1種類以上の固体粒子と、少なくとも1種類以上の8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加してなる水スラリーと過酸化水素水とを混合してなり、これに固体粒子を均一に分散させるための界面活性剤等の分散剤やpH調整のための添加剤、その他電解質等を加えても、本発明には特に支障にはならない。
【0010】
また、研磨対象であるタングステン含有部材とは分野を限らずタングステンを含有する部品や材料であり、例えばこれまで述べた半導体ウェハやタングステン板等も対象として挙げることができる。
本発明においては、添加物による化学的研磨の度合いが大きいため、固体粒子に関しては、特に制限はない。但し、タングステン膜や酸化物膜を研磨する以上、ある程度の硬度が必要であり、また仕上がりを高品位に保つためには、比較的微細であり、粒度分布が揃っていること等が好ましいことは言うまでもない。
【0011】
本発明に好ましい固体粒子としては、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化珪素(SiO2)、二酸化マンガン(MnO2)、二酸化セリウム(CeO2)等が挙げられ、粒子径は概ね10〜500nm程度の範囲で選定される。
【0012】
また、固体粒子濃度に関しても特に制限はないが、粒子濃度が低いと研磨速度が低下し、また高すぎると粘度が高くなって取り扱いが困難になる、後洗浄に支障をきたす等の理由から、概ね1〜20%程度の範囲とするのが好ましい。
過酸化水素は主として硬いタングステン膜表面から、より脆弱な酸化タングステン膜を形成する酸化剤として混合する。添加量は、本発明において研磨速度に影響する因子となるため、特定することはできないが、3〜20%程度とするの好ましい。過酸化水素は不安定な物質であり、取り扱いの仕方如何では爆発することもありうるため、30%を超えるような高濃度での使用は避けるべきである。
【0013】
また、本発明ではタングステン含有部材の研磨面において、固体粒子、過酸化水素水、金属添加物が共存することが本質であるため、固体粒子と後に詳細に述べる金属添加物、その他分散剤やpH調整剤を含むスラリーと過酸化水素水とを別々の供給ラインから供給しても問題はない。先に延べたとおり、過酸化水素は不安定な物質であり、固体粒子スラリーと混合した場合、長期の保管が利かないことがあるため、むしろ供給ラインを分けてしまうか、使用する直前に混合する方が好ましい。
【0014】
次に本発明の本質を述べる。本発明では、少なくとも1種類以上のIUPAC無機化学命名法改訂版に基づく8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加する。具体的に8族から11族に属する金属としては、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auが挙げられるが、本発明者らの経験では、Fe、Pd、Pt、Cu、Agが特に効果的な添加物である。
【0015】
これらの添加物は金属粉のまま、あるいは水に溶解して金属イオンを生成する塩類、例えば金属塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等の形で添加される。その添加量は、添加する金属の種類によって異なるため特定はできないが、概ね0.5〜100ppm程度の範囲で選択され、これらの添加により、タングステン膜の研磨速度を著しく向上することができる。
本発明者らは実験として、過酸化水素水に上述の金属硝酸塩もしくは酢酸塩を添加した液の中に、タングステンワイヤーを入れて攪拌するという実験を試みた。この結果、液は数分後に著しく発熱して沸騰状態に到達し、反応後のタングステンワイヤーの重量も無研磨であるにも関わらず数%減少していることを発見した。金属イオンを添加しない場合でもタングステンは過酸化水素により酸化されるため、若干の発熱はあるが、金属イオンの添加により反応状況やタングステンワイヤーの重量減少が著しく激しくなることから本発明を完成したのである。
【0016】
この現象に関しては、本発明者らは金属イオンの添加により、酸素ラジカル等過酸化水素の活性種の生成が促進されている、あるいは金属イオンが生成した酸化タングステン膜を溶解する触媒作用を持っている等の機構を考えているが、現段階では詳細は明らかにはし得ていない。但し、過酸化水素と金属イオンの混合のみでは殆ど反応しないため、反応にタングステン自体が関与しているのは間違いないようである。
【0017】
ここまでの説明で明らかなように、本発明はタングステンの化学的研磨を促進することが本質であり、機械的研磨を担う固体粒子の影響は比較的小さい。CMPにおいては固体粒子は単に硬ければよいというわけではなく、粒子と被研磨物との相互作用が強く影響するため、目的に応じて固体粒子が選択されているが、本発明によれば最終的なタングステン膜と酸化膜の研磨を考えて、最適な選択比をとれるように、固体粒子を選定することができるのである。
以上は半導体ウェハのCMPを中心に述べてきたが、本発明の研磨対象物はタングステン含有部材であり、当然のことながら半導体ウェハ以外の研磨にも応用することができる。
【0018】
【実施例】
本発明を実施例及び比較例を持って説明する。なお、以下に示す%は、特記しない限り重量%を表す。
実施例1
15%過酸化水素水1kgに固体粒子として酸化アルミニウム(Al2O3=一般市販品、平均粒子径0.1μm)110gと硝酸銅3水和物0.084gを添加、アルミナ製ボールミルで混合し、銅イオン20ppm含有、10%酸化アルミニウムスラリー(タングステン含有部材研磨用スラリー)約1Lを調製した。このスラリーを用いて、以下の条件でタングステン板を研磨し、その研磨速度及び研磨後の表面状態観察を行った。
【0019】
研磨条件
被研磨物:タングステン板50mmφ×2mmt
(#2000ダイヤペレットによる前加工済み)
研磨機:枚葉式片面研磨機
研磨圧力:300g/cm2
スラリー供給量:30ml/min
回転数:80rpm
研磨パッド:硬質ポリウレタンパッド
研磨時間:10分間
研磨量:被研磨物の任意の5点の研磨前後の厚みをマイクロメーターにより測定し、この減少量の平均値にて示した。
この結果、平均のタングステン板研磨速度は、0.65μm/minであり、SEM撮影の結果、表面には傷は認められなかった。
【0020】
比較例1
硝酸銅を添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行いタングステン含有部材研磨スラリーを調製した。このスラリーを用いて実施例1と同様のタングステン板を同条件で研磨したところ、平均研磨速度は、0.29μm/minであった。また、SEM観察の結果、表面には傷は認められなかった。
【0021】
実施例2〜10
添加金属イオン、固体粒子を変えた以外は実施例1と同様にして、タングステン板の研磨速度を比較した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
表面状態○は、SEM観察の結果表面に傷なく良好であることを示す。
【0023】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によるスラリーを使用すれば、硬いため研磨速度の遅いタングステンも迅速にかつ仕上がり表面も高品位に保ちながら、研磨を行うことができる。またその研磨速度も、金属イオン添加量によって制御することができること、固体粒子も比較的自由に選択できることを考えると、特に今後の半導体ウェハ研磨に対して本発明の効果は大きい。
Claims (6)
- 少なくとも1種類以上の固体粒子と、少なくとも1種類以上の8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加してなる水スラリーと過酸化水素水を混合してなるタングステン含有部材研磨用スラリー。
- 固体粒子が酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化珪素(SiO2)、二酸化マンガン(MnO2)、二酸化セリウム(CeO2)から選択されるものである請求項1に記載のタングステン含有部材研磨用スラリー。
- 8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンが、鉄、鉄イオン、パラジウム、パラジウムイオン、白金、白金イオン、銅、銅イオン、銀、銀イオンから選択されるものである請求項1または2に記載のタングステン含有部材研磨用スラリー。
- 少なくとも1種類以上の固体粒子と、少なくとも1種類以上の8族から11族に属する金属もしくはその金属イオンを添加してなる水スラリーと過酸化水素水を混合してなるスラリーで研磨することを特徴とするタングステン含有部材の研磨方法。
- 固体粒子が酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化珪素(SiO2)、二酸化マンガン(MnO2)、二酸化セリウム(CeO2)から選択されるものである請求項4に記載のタングステン含有部材の研磨方法。
- 8から11族に属する金属もしくはその金属イオンが、鉄、鉄イオン、パラジウム、パラジウムイオン、白金、白金イオン、銅、銅イオン、銀、銀イオンから選択されるものである請求項4または5に記載のタングステン含有部材の研磨方法。
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---|---|---|---|
JP29686298A JP3986181B2 (ja) | 1998-10-19 | 1998-10-19 | タングステン含有部材研磨用スラリー及び研磨方法 |
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JP29686298A JP3986181B2 (ja) | 1998-10-19 | 1998-10-19 | タングステン含有部材研磨用スラリー及び研磨方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000119638A JP2000119638A (ja) | 2000-04-25 |
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ID=17839136
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP29686298A Expired - Lifetime JP3986181B2 (ja) | 1998-10-19 | 1998-10-19 | タングステン含有部材研磨用スラリー及び研磨方法 |
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TW200528550A (en) | 2003-12-22 | 2005-09-01 | Uyemura C & Co Ltd | Polishing solution and method of polishing nonferrous metal materials |
JP4815758B2 (ja) * | 2004-06-03 | 2011-11-16 | ソニー株式会社 | 研磨装置、研磨方法 |
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1998
- 1998-10-19 JP JP29686298A patent/JP3986181B2/ja not_active Expired - Lifetime
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