JP3984147B2 - コロッケとその製造方法及びその調理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、コロッケに関するものであり、特に厚さ方向中央位置で切開してその切開部分に好みの具材を充填するのに適したコロッケとその製造方法及びその調理方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
コロッケは、ジャガイモをベースに各種具材を混入した中種を所定厚さの小判型に成形した後、該成形中種の外表面に衣(バッター及びパン粉)を付着させて製造される。尚、この種のコロッケの形状としては、例えば特許文献1(特開平9−37749号公報)に示されるような小判型のものが一般的であるが、その側周部は全周に亘って平面状のままである。
【0003】
又、この種のコロッケは、未調理(中種に衣を付着させたままの未油ちょう)の冷凍状態や、油ちょう済みでそのまま食べられる状態等で市販されている。尚、コロッケには、「肉コロッケ」、「野菜コロッケ」、「カレーコロッケ」等の各種の種類がある。
【0004】
そして、コロッケは、油ちょうしてそのまま食べるか、油ちょう済みのコロッケに液体ソースをかけて食べるのがほとんどであるが、本発明者は、ほかの食べ方として、コロッケを厚さ方向中央位置で切開し、その切開部分に好みの具材(例えば各種のサラダ類)を充填すると、よりおいしく食することができることに想到した。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−37749号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のコロッケは、衣を付着させた状態では外部から中種の種類を確認できず(喫食時に切り割りするまで、あるいはかぶりつくまで、中種の種類がわからない)、従って、複数種類のコロッケを同時に出すと、好みでないコロッケに手をつける可能性があった。
【0007】
又、上記のように、具材充填用にコロッケを厚さ方向中央位置で切開するには、一般にコロッケ側周部から包丁で切り目を入れるが、従来のコロッケでは、その側周部に包丁を入れる位置の目安となるものがないので、コロッケを厚さ方向中央位置で(上下同じ厚さに)切開するのが難しい。
【0008】
本願発明は、具材充填用に厚さ方向中央位置で切開し易くした形状のコロッケを提供することを主目的とするとともに、そのようなコロッケの製造方法、及びそのコロッケを用いた調理方法を提供することを他の目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0010】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明は、適宜の中種材料で成形した成形中種の外表面に衣(バッター液及びパン粉)を付着させてなるコロッケを対象にしている。この請求項1で対象にしているコロッケは、未調理(未油ちょう)で冷凍保存したものでも、油ちょう済みでそのまま食べられる状態のものでもよい。尚、この種のコロッケは、一般に20〜25mm程度の厚さの小判型に成形されるが、本願では特に小判型のコロッケに限定するものではない。
【0011】
そして、この請求項1のコロッケは、コロッケ本体の厚さ方向中央位置を境にして、その上半部の幅と下半部の幅とに若干の差をもたせて、コロッケ本体の側周部の一部に段差部を設けていることを特徴としている。
【0012】
コロッケ本体の側周部に設けている段差部は、コロッケ本体の長径方向に向く一方の側面を含む約半周程度の長さ範囲で、段差幅(上半部の幅と下半部の幅との差)が3〜5mm程度に形成できる。尚、この段差部の形成範囲及び段差幅は、特に限定するものではなく、適宜に設計変更できる。
【0013】
この請求項1のコロッケ(段差付きコロッケ)は、コロッケ本体の内部に好みの具材を充填するための切開部を形成するのに適したものであって、油ちょう済みのコロッケに対して、その側周部の段差部を目印にして包丁の刃先をあてがい、該包丁をコロッケ本体の平面部と平行に所定深さ(例えば全幅の7割程度の深さ)まで切り込ませることによって、コロッケ本体を厚さ方向中央位置で2枚に切開することができる。
【0014】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1のコロッケ(段差付きコロッケ)を製造するための製造方法を対象にしている。
【0015】
そして、この請求項2のコロッケの製造方法は、容器部の深さ方向中央位置の一部に内幅寸法に若干の差がある段部を設けた成形型を用い、該成形型内にコロッケの中種材料を充填した後、離型させて側周部の一部に段差部つきの成形中種を形成し、その成形中種の外表面に側周部に段差部をつけた状態で衣を付着させることによって段差付きコロッケを製造するようにしている。
【0016】
この請求項2の製造方法を行うと、上記請求項1のコロッケ(段差付きコロッケ)を容易に製造することができる。
【0017】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明も、上記請求項1のコロッケ(段差付きコロッケ)を製造するための製造方法を対象にしている。
【0018】
そして、この請求項3のコロッケの製造方法は、成形すべきコロッケ中種の厚さ方向中央位置を境にして、その上半部中種と下半部中種とを各幅に若干の差をもたせた状態で個別に成形し、その各半割り中種を重合させて、側周部の一部に段差部つきの成形中種を形成し、その成形中種の外表面に側周部に段差部をつけた状態で衣を付着させることによって段差付きコロッケを製造するようにしている。
【0019】
この請求項3の製造方法でも、上記請求項1のコロッケ(段差付きコロッケ)を容易に製造することができる。
【0020】
本願請求項4の発明
本願請求項4の発明は、上記請求項1のコロッケ(段差付きコロッケ)を調理するための調理方法を対象にしている。
【0021】
そして、この請求項4のコロッケの調理方法は、コロッケ本体の厚さ方向中央位置を境にして、その上半部の幅と下半部の幅とに若干の差をもたせて、側周部の一部に段差部を設けたコロッケ(段差付きコロッケ)を用い、該コロッケを油ちょうした後、その油ちょう済みのコロッケを段差部に沿って所定深さまで切り開き、その切開部に適宜の具材を充填することを特徴としている。
【0022】
この請求項4の調理方法のように、コロッケ本体を切り開くと、衣で被覆されたものであっても中種の種類を外部から視認することができるようになる。又、コロッケ本体を切り開いて、その切開部に具材を充填すると、コロッケ単独のものよりおいしく食せるものを提供することができる。
【0023】
【発明の効果】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1のコロッケでは、コロッケ本体の側周部の一部に段差部を設けているので、コロッケ本体の内部に好みの具材を充填するための切開部を形成する際に、コロッケ本体の側周部の段差部を目印にして包丁を切り込ませることができ、コロッケ本体を厚さ方向中央位置で容易に且つ正確に切開することができるという効果がある。
【0024】
本願請求項2及び3の各発明の効果
本願請求項2および3の各製造方法では、請求項1のように側周部に段差部を設けたコロッケ(段差付きコロッケ)であっても、簡単に製造できるという効果がある。
【0025】
本願請求項4の発明の効果
本願請求項4の調理方法では、コロッケ本体を厚さ方向中央位置で切り開くので、衣で被覆しているコロッケであっても、喫食前に中種の種類を外部から視認でき、間違って好みでないコロッケを食するのを防止できる。又、コロッケ本体を切開して、その切開部に好みの具材を充填すると、コロッケ単独のものよりおいしく食することができ、例えばレストラン等において付加価値の高い商品(具材付きコロッケ)を提供することができるという効果がある。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図5を参照して本願実施形態を説明すると、図1及び図2は本願実施形態のコロッケを示し、図3は図1及び図2のコロッケの製造方法を示し、図4は図1及び図2のコロッケの調理方法を示し、図5は図1及び図2のコロッケの他の製造方法を示している。
【0027】
図1及び図2に示す実施形態のコロッケは、適宜の中種材料で成形した成形中種2の外表面に衣3(バッター液及びパン粉)を付着させてコロッケ本体1を形成している。この実施形態では、コロッケ本体1は20〜25mm程度の厚さの小判型に成形されている。
【0028】
コロッケ本体1の中種は、ジャガイモをベースに各種具材を混入したものを使用している。尚、中種の具材種類によって「肉コロッケ」、「野菜コロッケ」、「カレーコロッケ」等の各種コロッケを製造できる。
【0029】
コロッケ本体1には、該コロッケ本体1の厚さ方向中央位置を境にして、その上半部4の幅Lと下半部5の幅Mとに若干の差Nをもたせて、コロッケ本体1の側周部6の一部に段差部7を設けている。この段差部7は、コロッケ本体1の長径方向に向く一方の側面を含む約半周部分に設けている。尚、コロッケ本体1の上半部4と下半部5との段差幅Nは、特に限定するものではないが、3〜5mm程度でよい。
【0030】
図1及び図2に示す実施形態のコロッケは、図3の(A)〜(E)の各工程を経て製造することができる。尚、図3に示す製造方法は、本願請求項2に対応するものである。そして、この図3の製造方法では、待機工程(A)に示すように、成形中種2を成形するための成形型10として、容器部11の深さ方向中央位置の一部に段部12を設けたものを使用する。尚、図3に示す成形型10は、小判型形状の容器部11を短径方向に切断した状態を示している。
【0031】
図3の製造方法で使用される成形型10は、待機工程(A)に示すように、容器部11における開口側の幅M′が底部側の幅L′より若干幅N′(例えばN′=3〜5mm)だけ大きくしたものを使用している。
【0032】
そして、図3の充填工程(B)に示すように、成形型10の容器部11内に中種材料2Aを充填し、続いて成形工程(C)に示すように、押板13で中種材料2Aを成形した後、離型工程(D)に示すように、成形中種2を成形型10から離型させる。
【0033】
図3の離型工程(D)において離型された成形中種2には、その側周部6Aにおける厚さ方向のほぼ中央位置に約半周に亘る長さ範囲で段差部7Aが形成されている。
【0034】
そして、図3の衣付け工程(E)において、成形中種2の外表面に均一厚さの衣3(バッター液及びパン粉)を付着させれば、図1及び図2に示すコロッケ本体1を製造できる。尚、このコロッケ本体1には、側周部6の厚さ方向中央位置に段差部7が形成されている。
【0035】
このようにして製造されたコロッケは、油ちょうしてそのまま食べられる状態で商品化することもできるが、一般には未調理(未油ちょう)のままで冷凍して、冷凍コロッケとして商品化されることが多い。又、このコロッケを冷凍コロッケとして商品化する場合は、図4に示すような袋入り具材20を1つのパッケージに入れて販売することができる。尚、この場合、袋21内に収容する具材22としては、該袋21から絞り出し可能な流動性のあるもの(例えばタマゴサラダ、ツナマヨネーズ等)が好ましい。
【0036】
このコロッケは、油ちょうしてそのまま食することができるが、図4に示すように、コロッケ本体1の内部に好みの具材22を充填すれば、一層おいしく食することができる。その場合(コロッケ本体1内に具材22を充填する場合)は、次のように調理する。
【0037】
まず、コロッケを油ちょうした後、図1に示すように、その油ちょう済みコロッケに対して、側周部6の段差部7を目印にして包丁9の刃先をあてがい、該包丁9を鎖線図示(符号9′)するようにコロッケ本体1の平面部と平行に所定深さ(例えば全幅の7割程度の深さ)まで切り込ませて、コロッケ本体1を厚さ方向中央位置で切開する。そして、図4に示すように、各半割り部(上半部4と下半部5)の切り込み側を左右に開き、その切開部8に好みの具材22を充填する。又、具材22が図4に示す袋入り具材20の場合は、袋21の先端部を切除し、該袋21内の具材22を絞り出しながらコロッケ切開部8に充填すればよい。尚、この具材22は、消費者が各自に作ったものでもよいことは勿論である。
【0038】
このように、この実施形態のコロッケでは、コロッケ本体1の内部に好みの具材22を充填するための切開部8を形成する際に、コロッケ本体1の側周部6の段差部7を目印にして包丁9を切り込ませることができるので、コロッケ本体1を厚さ方向中央位置で容易に且つ正確に切開することができる。
【0039】
又、このような調理方法を行うと、コロッケ本体1を厚さ方向中央位置で切り開くので、衣3で被覆しているコロッケであっても、喫食前に中種の種類を外部から視認でき、間違って好みでないコロッケを食することがなくなる。又、コロッケ本体1を切開して、その切開部8に好みの具材22を充填すると、コロッケ単独のものよりおいしく食することができ、例えばレストラン等において付加価値の高い商品(具材付きコロッケ)を提供することができる。
【0040】
図5に示すコロッケの製造方法は、本願請求項3に対応するものである。この図5に示す製造方法は、(F)〜(H)の各工程を行う。
【0041】
まず、充填工程(F)において、それぞれ成形型10A,10Bにより、上半部中種4Aと下半部中種5Aとを各幅(L′,M′)に若干の差をもたせた状態で個別に成形する。そして、各半割り中種4A,5Aを各成形型10A,10Bからそれぞれ離型させて、重合工程(G)において各半割り中種4A,5Aを重合させる。このとき、成形中種2には、その側周部6Aの一部(図1と同様な約半周部分)に段差部7Aが形成されている。尚、各半割り中種4A,5Aの接合面には、包丁9が入り易くするために少量の離れ油を塗っておいてもよいが、その場合でも、各半割り中種4A,5Aの重合状態ではその接合部が相互にかなりしっかりと接着していて、衣付け時に両半割り中種4A,5Aが容易に分離することはない。次に、衣付け工程(H)において、成形中種2の外表面に衣3を付着させれば、図1に示すような段差付きコロッケを製造することができる。
【0042】
尚、この図5に示す製造方法で製造した段差付きコロッケも、油ちょう後に、図1に示すように段差部7から包丁9で切開し、図4に示すように切開部8に具材22を充填して喫食することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願実施形態のコロッケの斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1のコロッケの製造方法工程図である。
【図4】図1のコロッケの調理方法を示す斜視図である。
【図5】図1のコロッケの他の製造方法工程図である。
【符号の説明】
1はコロッケ本体、2は成形中種、2Aは中種材料、3は衣、4は上半部、4Aは半割り中種、5は下半部、5Aは半割り中種、6はコロッケ本体の側周部、6Aは成形中種の側周部、7はコロッケ本体の段差部、7Aは成形中種の段差部、8は切開部、9は包丁、10は成形型、11は容器部、12は段部、22は具材である。

Claims (4)

  1. コロッケ本体(1)の厚さ方向中央位置を境にして、その上半部(4)の幅(L)と下半部(5)の幅(M)とに若干の差(N)をもたせて、コロッケ本体の側周部(6)の一部に段差部(7)を設けていることを特徴とするコロッケ。
  2. 容器部(11)の深さ方向中央位置の一部に内幅寸法(L′,M′)に若干の差(N′)がある段部(12)を設けた成形型(10)を用い、該成形型(10)内にコロッケの中種材料(2A)を充填した後、離型させて側周部(6A)の一部に段差部(7A)つきの成形中種(2)を形成し、その成形中種(2)の外表面に側周部(6)に段差部(7)をつけた状態で衣(3)を付着させることを特徴とするコロッケの製造方法。
  3. 成形すべきコロッケ中種の厚さ方向中央位置を境にして、その上半部中種(4A)と下半部中種(5A)とを各幅(L′,M′)に若干の差(N′)をもたせた状態で個別に成形し、その各半割り中種(4A,5A)を重合させて、側周部(6A)の一部に段差部(7A)つきの成形中種(2)を形成し、その成形中種(2)の外表面に側周部(6)に段差部(7)をつけた状態で衣(3)を付着させることを特徴とするコロッケの製造方法。
  4. コロッケ本体(1)の厚さ方向中央位置を境にして、その上半部(4)の幅(M)と下半部(5)の幅(L)とに若干の差(N)をもたせて、コロッケ本体の側周部(6)の一部に段差部(7)を設けたコロッケを用い、該コロッケを油ちょうした後、その油ちょう済みのコロッケを段差部(7)に沿って所定深さまで切り開き、その切開部(8)に適宜の具材(22)を充填することを特徴とするコロッケの調理方法。
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