JP3983260B2 - アトピー性皮膚炎誘引物質 - Google Patents

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Description

この出願の発明は、アトピー性皮膚炎患者自らが分泌するアトピー性皮膚炎誘引物質(以下「誘引物質」と記すことがある。)と、この誘引物質またはその物質に対する抗体を用いたアトピー性皮膚炎の診断方法、並びにこの誘引物質を有効成分とするアトピー性皮膚炎の減感作治療薬剤に関するものである。
近年、アトピー性皮膚炎患者は急増しており、皮膚科にかかる患者中のアトピー性皮膚炎患者比率は30%を越える情況で、主たる皮膚病の一つになっている。アトピー性皮膚炎は、通常の抗原に対しIgE抗体を産生しやすい遺伝的要因に種々の環境因子が加わることにより引き起こされるアトピー性疾患の一つであり、乳児期から発症し、加齢と共に慢性的に経過し、多くは思春期前に軽快するが、一部の症例は思春期以降も継続し、また思春期以降発症する例もある。成人症例のほとんどは特に難治であり、それ以降の加齢による寛解は期待しがたい。完成した病巣は苔癬化し、掻痒は著しく、しばしば発作的であり、他のアトピー性疾患と一定の関連をもって増悪、軽快を繰り返すというものである。
このようなアトピー性皮膚炎の発症機序には明らかにされていない部分が多く、他の皮膚疾患との識別にもいまだ問題があり、治療方法はいまだ確立されていないが、従来より、副腎皮質ホルモン剤の外用、抗ヒスタミン剤、化学伝達物質遊離抑制剤の投薬療法、あるいは食材から卵、牛乳、大豆等を除く食事療法、生活環境からのダニ、真菌(カビ)などの抗原物質の除去などが試みられてきた。しかしながら薬物療法の場合は、薬剤を成長期の子供に、しかも長期にわたって使用することになるため、副作用の点で問題が残る。また食事療法や環境抗原除去対策では、完全に抗原を除くことは困難であり、精神的負担も大きいという問題点があった。
このような状況に鑑み、最近では、分子生物学的な知見を駆使してアトピー性皮膚炎の発症機構を解明しながら、その発生機構の一部を阻害することにより治療効果を上げようとする研究が行われている。例えば、上記したように抗原に対してIgE抗体を産生することが症状を発生させる機構の一部になっていることに着目し、抗原に対するIgE抗体の産生を抑制する物質を外用することによって症状を緩和する方法が提案されている(特許文献1−3)。
また、発明者らは非特許文献1において、汗に含まれる抗原物質の精製と解析について報告している。また、「アトピー性皮膚炎誘引蛋白質」の発明を特許出願している(特許文献4)。
特開平7−109290号公報 特開平7−109292号公報 特開平9−100236号公報 WO 03/084991 A1 平成14年度厚生労働科学研究費補助金 免疫アレルギー疾患予防・治療等研究事業の研究報告書(第1分冊p.101−103,厚生労働省 平成15年3月発行)
抗原に対するIgE抗体の産生抑制物質を投与する方法は、ある程度の効果を発揮するものの、病原を本質的に遮断するものではないため、症状の緩和には役立っても本質的な治療にはなっていない。また病原の由来をすべて食物または環境中に存在する外来性物質に求めているため、体内で産生される物質に関しては全く無対応であった。
この出願の発明は以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、アトピー性皮膚炎の原因因子として、患者自らが産生するアトピー性皮膚炎誘引物質を提供することを課題としている。
さらにこの出願の発明は、前記の誘引物質と結合する抗体を提供することを課題としている。
さらにまた、この出願の発明は、前記誘引物質および/または抗体を用いたアトピー性皮膚炎の診断方法を提供することを課題としている。
また、さらにこの出願の発明は、誘引物質を有効成分とするアトピー性皮膚炎の減感作治療薬を提供することを課題としている。
この出願は、前記課題を解決するための発明として、以下の発明を提供する。
(1) ヒト自らのIgE抗体に結合してマスト細胞および好塩基球を活性化するアトピー性皮膚炎誘引物質であって、以下の工程:
ヒト分泌物をフィルターろ過して不溶物を除去したろ液を回収する工程;
ろ液とConA−アフィニティー担体を混和して、上清を回収する工程;
カラムクロマトグラフィーによって上清からヒスタミン遊離活性成分を分離する工程、
を経て得られるヒト分泌物精製画分、またはこの精製画分に含まれる抗原分子もしくは抗原決定基。
(2) カラムクロマトグラフィーが、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーおよび/または逆相カラムクロマトグラフィーである前記発明(1)のアトピー性皮膚炎誘引物質。
(3) 前記発明(1)のアトピー性皮膚炎誘引物質を抗原として調製され、前記発明(1)のアトピー性皮膚炎誘引物質と特異的に結合することを特徴とする抗体。
(4) 被験者の血清中に、前記発明(1)または(2)のアトピー性皮膚炎誘引物質と結合するIgE抗体が存在するか否かを試験し、そのIgE抗体が存在する被験者をアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者と判定することを特徴とするアトピー性皮膚炎の診断方法。
(5) 被験者の血液から採取した白血球画分に、前記発明(1)または(2)のアトピー性皮膚炎誘引物質を添加し、白血球画分におけるヒスタミン遊離の程度からアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者と判定することを特徴とするアトピー性皮膚炎の診断方法。
(6) 被験者の生体試料に、前記発明(3)の抗体と結合する物質が存在するか否かを試験し、試料中にその物質が存在する被験者をアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者と判定することを特徴とするアトピー性皮膚炎の診断方法。
(7) 前記発明(1)または(2)のアトピー性皮膚炎誘引物質をパッチテスト用素材に保持させたアトピー性皮膚炎ハイリスク者の判定試薬。
(8) 前記発明(1)または(2)のアトピー性皮膚炎誘引物質を有効成分として含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎の減感作治療薬。
すなわち、この発明の「アトピー性皮膚炎誘引物質」は、「ヒト分泌物精製画分」(陽イオン交換樹脂およびConAカラムには吸着されない陽イオンカラム非吸着画分)それ自体、またはこの精製画分中に含まれる「抗原分子」または「抗原決定基」を包含する。抗原分子になりうるものには蛋白質、糖質、脂質及びそれらの複合体や修飾物などの生体構成分子等が挙げられるが、その他合成化合物や非天然化合物なども抗原と成り得る。一般的に抗体が認識するのは抗原分子全体ではなくその表面の特定の部位である。この特定の部位・構造を抗原決定基(エピトープ)と呼ぶ。抗体が認識する部位(エピトープ)としては蛋白質のアミノ酸配列などの一次構造のみではなく分子上の複数の部分によって構成される特異的な立体構造なども含まれる。従って高分子量の分子上には、その表面に複数の抗原決定基を持っている場合が多い。
また「ヒト分泌物」とは、ヒト体内および体表分泌腺からの分泌腺であり、特に体外分泌腺(唾液腺、涙腺、乳腺および汗腺)からそれぞれ分泌される唾液、涙、乳および汗である。なお、以下の説明において、「ヒト分泌物精製画分」を「Fr.D」と記載することがある。
なお、前記のとおり、発明者らは汗に含まれる抗原物質やアトピー性皮膚炎誘引蛋白質について既に報告している(非特許文献1、特許文献4)。非特許文献1に記載されている汗抗原物質の主要構成成分は、陽イオン交換樹脂に吸着される。また特許文献4のアトピー性皮膚炎誘引蛋白質も、陽イオン交換樹脂およびConAカラムに吸着される画分(陽イオンカラム吸着画分)に含まれており、非特許文献1と特許文献4の物質は実質的に同一である。これに対して、この発明に係るFr.Dは、陽イオン交換樹脂およびConAカラムには吸着されない陽イオンカラム非吸着画分である。
さらに、この発明に係るFr.D(陽イオンカラム非吸着画分)は、作用効果の点においても以下のように陽イオンカラム吸着画分(非特許文献1、特許文献4)と相違している。
i:非吸着画分(Fr.D)と吸着画分による臨床成績を比較してみると、Fr.Dではアトピー性皮膚炎患者40名のうち36名(90.0%)が陽性と判定されたのに対し(実施例5)、吸着画分では36人中26人(72.2%)が陽性を示したにすぎない(非特許文献1、第101ページ、左欄第41行)。
ii:同じ汗より精製したFr.Dと、特許文献4に示す方法で得られた画分を用いてAD患者血球に対するヒスタミン遊離活性を測定したところ、前者は濃度7.74μg/mlでヒスタミン遊離活性45.5%であったのに対し、後者は濃度100μg/mlで5.1%であった。このことは、前者は後者に比べて極めて高い活性を持っていることを示す。
この発明におけるその他の用語や概念は、発明の実施形態の説明や実施例において詳しく規定する。またこの発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。例えば、この発明の治療薬の調製はRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,ed.A.Gennaro,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1990に、遺伝子工学および分子生物学的技術はSambrook and Maniatis,in Molecular Cloning−A Laboratory Manual,Cold Spring HarborLaboratory Press,New York,1989;Ausubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,N.Y,1995等に記載されている。
図1は、陰イオン交換カラムによる分離結果である。上段はConA Sepharose非吸着画分の陰イオンカラムによる溶出パターンであり、下段は各フラクション毎のヒスタミン遊離活性である。
図2は、逆相カラムによる分離結果である。上段は陰イオンカラムで精製した活性画分の逆相カラムによる溶出パターンであり、下段は各フラクション毎のヒスタミン遊離活性である。
図3は、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるFr.Dの展開パターンである。
図4は、未変性PAGEより溶出した画分のヒスタミン遊離活性であり、2名のアトピー性皮膚炎患者(AD1、AD2)の血球画分を利用したヒスタミン有利活性を示す。番号は図3の画分番号に対応する。antiIgE:抗IgE抗体、MW:ネガティブコントロールとして使用した分子量マーカー蛋白質。
図5は、アトピー性皮膚炎患者血清によるFr.Dの活性吸収試験の結果であり、アトピー性皮膚炎患者および健常者の血清とFr.Dを混和したときのヒスタミン遊離活性を示す。antiIgE:抗IgE抗体、Fr.D(x500):Fr.Dの500倍希釈、serum(AD):アトピー性皮膚炎患者血清、serum(N):健常者血清。
図6は、15%変性SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるFr.Dの展開パターンである。図に示したバンドを切り取り、アミノ酸配列の決定に供した。
図7は、ラットマスト細胞株をアトピー性皮膚炎患者血清から得られた精製IgEにより感作し、精製汗抗原(Fr.D)で刺激した時のヒスタミン遊離試験の結果を示す。RBL−2H3:ラットマスト細胞株。RBL−3D4:RBL−2H3をホストにヒト高親和性IgE受容体(FcεRI)αサブユニット遺伝子を導入して作成したトランスフォーマント細胞株。抗IgE抗体:対照としての抗ヒトIgE抗体。
図8は、健常者末梢血好塩基球を乳酸処理した後、アトピー性皮膚炎患者血清から得られたIgEを再感作し汗抗原(Fr.D)で刺激した時のヒスタミン遊離試験の結果を示す。未処理:健常者末梢血好塩基球をFr.Dで刺激した場合。乳酸処理:乳酸処理した健常者末梢血好塩基球をFr.Dで刺激した場合。ADIgE感作:乳酸処理した後アトピー性皮膚炎患者血清から得られたIgEを再感作し汗抗原(Fr.D)で刺激した場合。
図9は、ヒトマスト細胞株LAD2をミエローマIgE及びアトピー性皮膚炎患者血清から得られた精製IgEにより感作し、精製汗抗原(Fr.D)で刺激した時のヒスタミン遊離試験の結果を示す。抗IgE抗体:対照としての抗ヒトIgE抗体。1/5000、1/1500、1/500は精製汗抗原(Fr.D)の希釈倍率を示す。
発明(1)のアトピー性皮膚炎誘引物質は、ヒト分泌物に含まれ、ヒト自らのIgE抗体に結合してマスト細胞および好塩基球を活性化する物質であり、以下の方法によって精製される精製画分、またはこの精製画分に含まれる抗原分子もしくは抗原決定基である。
(I)ヒト分泌物をフィルターろ過して不溶物を除去したろ液を回収する工程
例えば、ヒト分泌物(唾液、涙、汗)を、フィルターに通液して不溶物(沈殿物)を除去する。フィルターの孔経は分泌物の種類等に応じて0.10〜1.00μm程度のものを適宜に選択することができる。例えば、汗を濾過する場合には、0.15〜0.30μm孔経のフィルター(Corning社、Bottle Top Filter431174)等を使用することが好ましい。
(II)ろ液とConA−アフィニティー担体を混和して、上清を回収する工程
ConA−アフィニティー担体は、市販品(例えばConA−Sepharose、Amersham Parmacia社;糖蛋白吸着能力45mg/ml、ConA−agarose、Calbiochem社糖蛋白吸着能力3.5mg/ml、ConA−agarose、Sigma社 糖蛋白吸着能力3−6mg/ml等)を使用することができる。アフィニティ担体の所要量はろ液中の糖蛋白総量を吸着するのに十分な量とし、4℃〜室温程度で数時間から一夜混合攪拌して吸着処理を行う。処理後遠心分離、ろ過などで上清(ConA−アフィニティー担体非吸着画分)を回収する。
(III)カラムクロマトグラフィーによって上清からヒスタミン遊離活性成分を分離する工程
公知のカラムクロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、スラロームクロマトグラフィー等)を使用することができるが、好ましくは陰イオン交換クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィーを使用する。また、両者を使用する場合は、陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、次いで逆相クロマトグラフィーを行うことが好ましい(発明(2))。
陰イオン交換クロマトグラフィーとしては、例えばMonoQ HR 10/10(Pharmacia Biotech社)、UNO Q12(BioRad社)等の市販の陰イオン交換カラムを使用することができる。これらのカラムは、予め緩衝液(例えば20mM Tris−HCl(pH8.0)等)で平衡化させたものを使用する。また逆相クロマトグラフィーは、例えばSOURCE 15RPC ST 4.6/100(Pharmacia Biotech)等の市販の逆相カラムを使用することができる。なお、陰イオン交換クロマトグラフィーによって得た画分を逆相クロマトグラフィーにロードする場合には、先の画分を蒸留水等により5〜20倍程度に希釈したものを後続のクロマトグラフィーにロードするようにする。
また、ヒスタミン遊離活性は、文献(Koro,O.et.al.,J.Allergy Clin.Immunol.,103,663−670,1999)の公知方法によってヒスタミン量を測定することによって評価することができる。
以上の工程によって、アトピー性皮膚炎誘因物質としてのヒト分泌物精製画分(Fr.D)が得られる。
すなわち後記実施例に示したように、ヒスタミン遊離活性を指標として陰イオン交換カラムで分画するとき、Fr.Dに含まれる誘引物質は0.05M〜0.34MNaCl濃度で溶出され(図1)、逆相カラムで分画するとき25%〜40%アセトニトリル濃度で溶出され(図2)、未変性PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)で展開するとき、濃淡はあるもののかなり広がったバンドとして観測された(図3)。なお、図3に示すバンド2からバンド6までの領域でヒスタミン遊離活性を認めた(図4)。これらのことは、Fr.Dには多数の誘引物質が含まれていることを示す。
また、前もってFr.Dにアトピー性皮膚炎患者の血清を添加しておくと、Fr.Dのヒスタミン遊離活性は失われる(図5)。さらに、乳酸処理した健常者血球に患者血清を37℃で90分間添加して後細胞を洗浄すると、Fr.Dに対する反応性を獲得してFr.D添加によりヒスタミンを遊離するようになる。このような変化は健常者血清を添加した場合には得られないことから、これらの結果はFr.Dに含まれるアトピー性皮膚炎誘引物質はアトピー性皮膚炎患者血清に特異的に含まれる物質を介してマスト細胞および好塩基球を活性化させていることを示す。さらに、アトピー性皮膚炎患者血清による健常者血球のFr.D応答性の付与は、乳酸処理した健常者血球に予め骨髄腫患者血清由来の非特異的IgEを添加するか、アトピー性皮膚炎患者血清を56℃、1時間加熱することにより完全に阻害される。これらのことは、アトピー性皮膚炎患者血清に含まれる伝達物質が特異的IgEであることを示す(実施例6)。
さらに、アトピー性皮膚炎患者から精製したIgEで感作した場合は、精製汗抗原(Fr.D)の濃度依存性に脱顆粒を起こした(実施例7)。このことは、該汗抗原を用いて特異的IgEを検出できることを示しており、患者血清を用いてアトピー性皮膚炎の診断が可能であることを示している。
Fr.Dは85℃、15分の加温に安定である。また、DNaseおよびリパーゼに対しては抵抗性を示すが、Fr.Dをプロテアーゼで処理するとヒスタミン遊離活性を失うことから、誘引物質は少なくとも蛋白質もしくはペプチドを構成要素の一つとして持つ。
以上のことは、前記蛋白質もしくはペプチド、あるいは前記蛋白質もしくはペプチドと複合体を形成する物質が、例えば糖鎖のような、多様性のある修飾を受けている可能性を示す。
さらにまた、変性PAGEのバンド1〜バンド5(図6)から回収された誘引物質を質量分析計により解析したところ、いずれのバンドからもLGKDAVEDLESVGK(配列番号1)およびDAVEDLESVGK(配列番号2)のアミノ酸配列を持つペプチド断片が得られた。この配列は、公知のDermcidin(Br.J.Cancer,276,5707−5713,2000;以下「DCD」と記載する)のアミノ酸番号83番から96番および86番から96番に相当することから、誘引物質を構成する蛋白質もしくはペプチドの少なくとも一つはDCDもしくはその断片である。なお、DCDのC端側ペプチド(DCD1)は汗腺から分泌される抗菌ペプチドとして報告されているが(Nature Immunology,2,1133−1137,2001)、DCDおよびDCD1が、それを分泌する本人のIgE抗体に結合し、マスト細胞および好塩基球を活性化することによってアトピー性皮膚炎を引き起こす誘引蛋白質であることは従来全く知られていない。
DCDもしくはその部分ペプチドは、後記実施例1と同様の方法によってヒトの汗から単離精製することができる。また、公知のペプチド合成法(新生化学実験講座1、タンパク質、IV合成および発現、南江堂、1992年)等に基づいて化学合成することもできる。さらに、蛋白質をコードするDNA配列(GenBank No.NM_053283)を用い、インビトロ転写翻訳系で蛋白質やペプチドを調製する方法、あるいは適当な宿主−ベクター系(枯草菌等の原核細胞や、酵母、昆虫細胞、動植物細胞等の真核細胞)を用いる公知の遺伝子工学的に調製することもできる(例えば、新生化学実験講座1、タンパク質、IV合成および発現、南江堂、1992年;新生化学実験講座2、核酸、III組換えDNA技術、日本生化学会編、1992年;分子生物学プロトコール 改定第2版、編集:小池克郎、関谷剛男、近藤寿人、南江堂、1999年)。
なお、発明(1)の誘引物質は、2以上の抗原決定基を有することによって2以上の抗体に結合し、それによって生理的活性を発揮する。従って、この発明のアトピー性皮膚炎誘引物質は、2以上の抗原決定基を含むものとすることができる。このような抗原決定基は、誘引物質と同様の生理活性(すなわちアトピー性皮膚炎誘引活性)を有するため、この発明の診断方法や減感作治療薬の有効成分として使用することができる。また、この発明の抗原決定基は1つであってもよい。そのような抗原決定基は、抗体作製のための抗原として、発明(4)の診断方法の材料として、あるいは減感作療法の材料として使用することができる。
さらに抗原決定基を、蛋白質(例えばBSA)、多糖類、あるいはポリアクリルアミドのような合成高分子等に結合して利用することもできる。
発明(3)は、前記発明(1)のアトピー性皮膚炎誘引物質を抗原として調製され、前記発明(1)のアトピー性皮膚炎誘引物質と特異的に結合することを特徴とする抗体である。
これらの抗体はポリクロナール抗体またはモノクローナル抗体であり、前記の誘引物質またはそのエピトープ部分に結合することができる全体分子、およびFab、F(ab’)2、Fv断片等が全て含まれる。このような抗体の調製は文献(新生化学実験講座12、分子免疫学、III抗原・抗体・補体、南江堂、1992年;「単クローン抗体」、長宗香明、寺田弘共著、廣川書店、1990年;”Monoclonal Antibody”James W.Goding,third edition,Academic Press,1996等)に記載の公知の方法によって行うことができる。
またこの発明(3)の抗体には、標識物質によって標識化された抗体も含まれる。標識物質は、酵素、放射性同位体または蛍光色素を使用することができる。酵素は、代謝回転数が大であること、抗体と結合させても安定であること、基質を特異的に着色させる等の条件を満たすものであれば特段の制限はなく、通常のEIAに用いられる酵素、例えば、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコース−6−リン酸化脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素等を用いることもできる。また、酵素阻害物質や補酵素等を用いることもできる。これら酵素と抗体との結合は、マレイミド化合物等の架橋剤を用いる公知の方法によって行うことができる。基質としては、使用する酵素の種類に応じて公知の物質を使用することができる。例えば酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合には、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジシンを、また酵素としてアルカリフォスファターゼを用いる場合には、パラニトロフェノール等を用いることができる。放射性同位体としては、125Iや3H等の通常のRIAで用いられているものを使用することができる。蛍光色素としては、フルオレッセンスイソチオシアネート(FITC)やテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)等の通常の蛍光抗体法に用いられるものを使用することができる。
発明(4)のアトピー性皮膚炎診断方法は、被験者の血清中に、前記のアトピー性皮膚炎誘引物質と結合する抗体が存在するか否かを試験し、血清中にその抗体が存在する被験者をアトピー性皮膚炎患者またはそのハイリスク者と判定する。
具体的な診断は、例えばアトピー性皮膚炎誘引物質に被験者血清を接触させ、誘引物質と被験者血清中のIgE抗体とを液相中において反応させる。さらに血清中のIgE抗体と特異的に結合する標識化IgE抗体を反応させて、標識化IgE抗体のシグナルを検出すればよい。標識化IgE抗体の標識物質は、前記の標識化抗体において例示したような酵素、放射性同位体または蛍光色素を使用することができる。酵素を用いる場合には、酵素作用によって分解して発色する基質を加え、基質の分解量を光学的に測定することによって酵素活性を求め、これを結合抗体量に換算し、標準値との比較から抗体量が算出される。放射生同位体を用いる場合には、放射性同位体の発する放射線量をシンチレーションカウンター等により測定する。また、蛍光色素を用いる場合には、蛍光顕微鏡を組み合わせた測定装置によって蛍光量を測定すればよい。
シグナルの検出は、例えば、ウエスタンブロット分析を採用することができる。あるいは、抗原ペプチド+血清中抗体+標識化IgE抗体の結合体を、公知の分離手段(クロマト法、塩析法、アルコール沈殿法、酵素法、固相法等)によって分離し、標識化IgG抗体のシグナルを検出するようにしてもよい。
発明(4)の診断方法はまた、誘引物質をプレートまたはメンブレン上に固定化し、この基板上において被験者血清の抗体との結合を試験する方法として実施することもできる。誘引物質を基板上に固定化することによって、未結合の標識化結合分子を容易に除去することができる。
なお、この発明(4)の方法は、アトピー性皮膚炎の診断のみならず、検出目的の抗体がどの程度存在するかを定量することも可能とする。事前に、スタンダード(検量線等)を作成し、被験者の血清から得られた抗体量をスタンダードと比較することによって、正確な抗体量を測定することができ、疾患の程度または発症の危険性の程度を高い精度で推定することが可能となる。
発明(5)は、前記の誘引物質を白血球画分へ添加することによって遊離してくるヒスタミン量から、アトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク患者を診断する方法である。ヒスタミン量は文献(Koro,O.et.al.,J.Allergy Clin.Immunol.,103,663−670,1999)に記載された方法によって測定すればよい。
Sabroeらは蕁麻疹患者におけるヒスタミン遊離量(全ヒスタミン量に対する分泌されたヒスタミン量の割合)の検討から、判定のカットオフ値を5%に設定している(J.Am.Acad.Dermatol.,40,443−450,1999)。そこで5%をカットオフ値として、健常者およびアトピー性皮膚炎患者由来の白血球画分に対するFr.Dによるヒスタミン遊離量を測定したところ、健常者33名のうち3名(9.1%)、アトピー性皮膚炎患者40名のうち36名(90%)が陽性と判定された(実施例5)。
この出願の発明(6)の診断方法は、被験者の生体試料(唾液、汗、涙等の分泌物)中に、前記発明(3)の抗体と結合する誘引物質が存在するか否かを試験し、試料中にその誘引物質が存在する被験者をアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者と判定する。
この発明(6)の診断方法における一つの態様は、抗体と誘引物質との結合を液相系において行う方法である。例えば、標識化した抗体と生体試料とを接触させて標識化抗体と誘引物質を結合させ、この結合体を前記発明(4)と同様の方法で分離し、標識シグナルを同様の方法で検出する。
液相系での診断の別の方法は、抗体(一次抗体)と生体試料とを接触させて一次抗体と誘引物質を結合させ、この結合体に標識化抗体(二次抗体)を結合させ、この三者の結合体における標識シグナルを検出する。あるいは、さらにシグナルを増強させるためには、非標識の二次抗体を先ず抗体+誘引物質結合体に結合させ、この二次抗体に標識物質を結合させるようにしてもよい。このような二次抗体への標識物質の結合は、例えば二次抗体をビオチン化し、標識物質をアビジン化しておくことによって行うことができる。あるいは、二次抗体の一部領域(例えば、Fc領域)を認識する抗体(三次抗体)を標識し、この三次抗体を二次抗体に結合させるようにしてもよい。なお、一次抗体と二次抗体は、両方ともモノクローナル抗体を用いることもでき、あるいは、一次抗体と二次抗体のいずれか一方をポリクローナル抗体とすることもできる。液相からの結合体の分離やシグナルの検出は前記発明(4)と同様とすることができる。
発明(6)の診断方法における別の態様は、抗体と誘引物質との結合を固相系において試験する方法である。この固相系における方法は、極微量の誘引物質の検出と操作の簡便化のため好ましい方法である。すなわちこの固相系の方法は、抗体(一次抗体)を樹脂プレートまたはメンブレン等に固定化し、この固定化抗体に誘引物質を結合させ、非結合分子を洗浄除去した後、プレート上に残った抗体+誘引物質結合体に標識化抗体(二次抗体)を結合させ、この二次抗体のシグナルを検出する方法である。この方法は、いわゆる「サンドイッチ法」と呼ばれる方法であり、マーカーとして酵素を用いる場合には、「ELISA(enzyme linked immunosorbent assay)」として広く用いられている方法である。一次抗体と二次抗体は、両方ともモノクローナル抗体を用いることもでき、あるいは、一次抗体と二次抗体のいずれか一方をポリクローナル抗体とすることもできる。シグナルの検出は前記発明(6)と同様とすることができる。また、このような診断方法は、ELISAキットの使用により簡便かつ広範囲な実施が可能となる。
なお、この発明(6)の方法は、アトピー性皮膚炎の診断のみならず、アトピー性皮膚炎誘引物質がどの程度存在するかを定量することも可能とする。事前に、スタンダード(検量線等)を作成し、被験者の生体試料から得られた蛋白質量をスタンダードと比較することによって、正確な蛋白質を測定することができ、疾患の程度または発症の危険性の程度を高い精度で推定することが可能となる。
なお、前記発明(4)または(6)の実施は、前記の例以外にも、文献(改定四版、渡辺・中根 酵素抗体法、編集:名倉宏、長村義之、堤寛、学際企画株式会社、2002年等)に基づいて適宜に行うことができる。
またアトピー性皮膚炎の診断は、前記発明(1)の誘引物質を用いた、いわゆる「パッチテスト」によっても行うことができる。パッチテストは接触性アレルギーの簡便な検査法として皮膚科領域では広く行われている。接触性アレルギーが存在するときは、皮膚炎のある部位だけではなく全身の皮膚が感作されているので、健康皮膚にアレルギー性接触皮膚炎を人工的に再現させることにより接触皮膚炎の原因が判定できる。具体的には、絆創膏に前期の誘引物質を滴下、あるいは塗布し、背部・上腕・大腿などに貼付する。判定は、2日、3日、1週間後にICDRG(国際接触皮膚炎研究斑)規準に従って行う。なにも反応がなければ(−),絆創膏の試薬部分に紅斑と浮腫を伴っている状態を(+)とし、反応の程度に応じて(++),(+++)と判定する。この出願は、このようなパッチテストによるアトピー性皮膚炎の診断を簡便かつ均質に、また安価かつ大規模に実施することを可能とする手段として、発明(7)の判定試薬を提供する。
発明(8)は、前記のアトピー性皮膚炎誘引物質を有効成分として含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎の減感作治療薬である。「減感作治療」とはIgE抗体が関与するアレルギーにおいて、微量の治療用アレルゲンを一定日数をあけてしだいに増量しつつ投与し、原因アレルゲンが進入してもアレルギー反応が生じないようにする治療法である。この発明のアトピー性皮膚炎誘引物質は、前記のとおりにアトピー性皮膚炎の誘引活性を有するものであるから、減感作における治療用アレルゲンとなりうる。
実施例9に示すように、実際に汗に対してアレルギー反応を示すアトピー性皮膚炎患者を対象にFr.Dを用いた減感作療法を試みたところ、皮内テストおよび臨床所見での改善を認めた。
この減感作治療薬は、前記の誘引物質と、薬理学的に許容しうる担体とを均一に混合して製剤化することができる。担体は、薬剤の投与形態に応じて広い範囲から適宜に選択することができるが、この発明の薬剤は、経口的にまたは注射により投与しうる単位服用形態にあることが望ましい。
懸濁剤およびシロップ剤のような経口液体調製物は、水、シュークロース、ソルビトール、フラクトース等の糖類、ポリエチレングリコール等のグリコール類、ゴマ油、大豆油等の油類、アルキルパラヒドロキシベンゾエート等の防腐剤、ストロベリー・フレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を使用して製造することができる。
散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤は、ラクトース、グルコース、シュークロース、マンニトール類の賦形剤、デンプン、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤、マグネシウムステアレート、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の表面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いて製剤化することができる。錠剤およびカプセル剤は、投与が容易であるという点において、この発明の製剤における好ましい単位投与形態である。錠剤やカプセルを製造する際には、固体の製薬担体が用いられる。
また、注射用の溶液は、塩溶液、グルコース溶液、または塩水とグルコース溶液の混合物、各種の緩衝液等からなる担体を用いて製剤化することができる。また粉末状態で製剤化し、使用時に前記液体担体と混合して注射液を調製するようにしてもよい。
この発明の減感作治療薬の投与スケジュールは、患者の年齢や体重、症状、投与経路等によって異なるが、治療用アレルゲンとしての蛋白質/ペプチド量は、予め皮内テストを行い、個人毎に閾値を測定し、その閾値の前後の量を初回投与とすることが好ましい。2回目以降の投与間隔とアレルゲン増量幅はアレルギー反応の有無や程度に応じて適宜とすることができる。最終的には閾値量の10,000倍程度のアレルゲンを投与することができる。従って、例えば、この発明の減感作治療薬においては、初回投与のアレルゲン量を1ng/ml×0.05mlとして製剤化した場合、最終投与の薬剤を10mg/ml×0.05mlとして製剤化することができる。
以下、実施例を示してこの出願の発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
[実施例1]
ヒスタミン遊離活性画分(Fr.D)の精製
1−1.ヒトの汗をフィルターろ過して不溶物を除去したろ液を回収する工程
ヒトの汗500mlをフィルター濾過(0.22μm)して沈殿物を除去した。吸光度(OD280nm)から概算し、総蛋白量1.07mgのろ液を得た。
1−2.ろ液とConA−アフィニティー担体を混和して、上清を回収する工程
フィルター濾過した汗に24mlのConA−アフィニティー担体(ConA−Sepharose、Amersham Parmacia社;糖蛋白吸着能力45mg/ml)を添加し、4℃で一晩撹拌し、上清(ConA−Sepharose非吸着画分)を回収した。
1−3.上清を陰イオン交換カラムで分離して、ヒスタミン遊離活性を有する画分を回収する工程
あらかじめ20mM Tris−HCl(pH8.0)で平衡化させた陰イオン交換カラム(MonoQHR10/10;Pharmacia Biotech社)に、pH8.0に調製した上清をロードし、0M〜1M NaClの濃度勾配により溶出した。溶出した各フラクションの2μlと48μlの白血球画分を混和し、37℃で40分反応させた。その後、遠心し上清と沈澱に分け、過塩素酸を加えて変性させたのちヒスタミン量をHPLCで測定した。全ヒスタミン量に対する上清のヒスタミン量の割合をヒスタミン遊離活性とする。ヒスタミン遊離試験の結果、0.05M〜0.34M NaCl濃度で溶出される活性画分を回収した(図1)。なお、ヒスタミン量は文献記載の方法に従って測定した(Koro,O.et,al.,J.Allergy Clin.Immunol.,103,663−670,1999)。
1−4.前記活性画分を逆相カラムで分離して、ヒスタミン遊離活性を有する画分(Fr.D)を回収する工程
陰イオンカラムで回収したフラクションを0.1% TFA/蒸留水で10倍に希釈し、逆相カラム(SOURCE 15RPC ST 4.6/100;Pharmacia Biotech)にロードし、0.1% TFA/蒸留水から0.1% TFA/CH3CNまでの濃度勾配で溶出した。溶出した各フラクションの2μlを凍結乾燥してTFAやCH3CNを揮発させた後、ヒスタミン遊離試験を行い、遊離活性のあるフラクション(CH3CN濃度25%〜40%)を回収する(図2)。
Fr.Dを未変性15%PAGEで展開したときのパターンを図3に示す。図3に示すように6つのバンドに分割し、それぞれのヒスタミン遊離活性を測定したところ、バンド2からバンド6までに活性を認めた(図4)。
[実施例2]
アトピー性皮膚炎患者血清によるFr.Dのヒスタミン遊離活性への作用
Fr.Dを回収し、凍結乾燥後、PBSに再溶解して濃度を1mg/mlとしたものをFr.Dの標品とした。アトピー性皮膚炎患者の血清40μlにFr.D標品の50倍希釈10μlを加えて37℃、30分間プレインキュベートするとヒスタミン遊離活性は完全に失われたのに対し、健常者の血清を加えた場合にはヒスタミン遊離活性は失われなかった(図5)。なお、antiIgEと Fr.D(x500)はポジティブコントロール、serum(AD;患者血清)とserum(N;健常者血清)はネガティブコントロールである。
[実施例3]
酵素処理
3−1.DNase処理、リパーゼ処理
Fr.D標品5μlにDNase(Ambion社)0.2U/μl(終濃度)を加え37℃、16時間、あるいは膵臓由来のリパーゼ(SIGMA社)30mU/μl(終濃度)を加え37℃、16時間、インキュベートしたが、いずれの場合もヒスタミン遊離活性の低下は認められなかった。
3−2.プロテアーゼ処理
Fr.D標品5μlにProteinaseK(Ambion社)2μg/μl、あるいはTrypsin(SIGMA社)2μg/μlを加えて終濃度を0.1μg/μlとし、37℃、16時間インキュベートすると、いずれの場合もヒスタミン遊離活性は完全に失われた。
[実施例4]
質量分析計によるアミノ酸配列の決定
Fr.Dを15%のSDS−PAGEで展開したときのパターンを図6に示す(バンドの番号は図3の番号とは必ずしも対応していない)。各バンドを切り出してゲル内トリプシン消化をし、溶出画分のMS/MS測定により内部アミノ酸配列を決定した。その結果、バンド1からバンド5までの全てにおいて、LGKDAVEDLESVGK、およびDAVEDLESVGKのアミノ酸配列を持つペプチドが検出された。データベースの検索から、これらはdermcidinのアミノ酸番号83番から96番および86番から96番に相当することが明らかとなった。
なお、質量分析計によるアミノ酸配列の決定およびデータベース検索による蛋白質同定は株式会社プロフェニックスに委託した。
[実施例5]
Fr.Dを利用したアトピー性皮膚炎患者の診断
実施例1及び2に記載の方法に従い、健常人あるいはアトピー性皮膚炎患者由来の白血球画分にFr.D標品(終濃度2μg/ml)を加え、ヒスタミン遊離量を測定した。その結果、を基にカットオフ値を5%に設定して判定したところ、健常者33名のうち3名(9.1%)、アトピー性皮膚炎患者40名のうち36名(90%)が陽性と判定された。
[実施例6]
ヒト末梢血好塩基球を用いた血清中の汗抗原特異的IgEの検出
汗に対する感受性のない健常人3人の末梢血好塩基球表面から乳酸処理によってIgEを除去した後、アトピー性皮膚炎患者血清から精製したIgEでこの好塩基球を感作し、精製汗抗原Fr.Dで刺激した。
その結果、好塩基球のドナーの如何に係わらず、乳酸処理後の汗抗原刺激ではヒスタミンン遊離は認められなかったが、アトピー性皮膚炎患者血清から精製したIgE(ADIgE)でこれらの細胞を感作した場合には汗抗原刺激によるヒスタミン遊離が認められた[図7]。この試験により、アトピー性皮膚炎患者血清中に含まれる汗抗原特異的IgEの存在を検出できることが確認できた。
[実施例7]
ヒトマスト細胞株を用いた血清中の汗抗原特異的IgEの検出
ヒトマスト細胞株(LAD2:Arnold S.他;Leukemia Research 27(2003)677−682)をミエローマIgEあるいは患者IgEで感作し精製汗抗原で刺激した。その結果、図8に示すように、ヒトIgEのコントロールとしての非特異的ミエローマIgEで感作した場合には精製汗抗原による刺激による脱顆粒(その程度はヒスタミンと同時に、また同程度遊離される酵素である□−hexosaminidaseの遊離で表される)は認められなかったが、アトピー性皮膚炎患者から精製したIgEで感作した場合は、精製汗抗原の濃度依存性に脱顆粒を起こした(図8)。この試験により、アトピー性皮膚炎患者血清中に含まれる汗抗原特異的IgEの存在を検出できることが確認できた。
[実施例8]
ラットマスト細胞株を用いた血清中の汗抗原特異的IgEの検出
ラットマスト細胞株RBL−2H3をホストにヒト高親和性IgE受容体(FcεRI)αサブユニット遺伝子を含むヒト・ラットキメラcDNA遺伝子を導入して作製されたRBL−3D4トランスフォーマント細胞株(秀 道広他;日本皮膚科学会雑誌109:475,1999)を用いて実験を行った。ホストの細胞株であるRBL−2H3細胞では抗IgE抗体、精製汗抗原のいずれの刺激でも脱顆粒反応は見られなかったが、ヒトFcεRIαサブユニットを発現しているRBL−3D4細胞を患者IgEで感作し、抗IgE抗体および精製汗抗原で刺激するといずれの場合も脱顆粒反応がみられた(図9)。実施例8と同様に、この試験により、アトピー性皮膚炎患者血清中に含まれる汗抗原特異的IgEの存在を検出できることが確認できた。
[実施例9]
精製汗抗原による減感作治療効果
精製汗抗原を用いて2名のアトピー性皮膚炎患者に対して減感作治療を施し、その効果を調べた。皮内テストにおける閾値濃度を参考にしながら精製汗抗原の0.5mLを3日に一度の頻度で皮下に注射した。3回の皮下注射毎に濃度を2倍に上げながら治療を継続した。抗原濃度は最高濃度を約250倍になるまで上昇させた。治療効果は皮内テストにおける反応閾値および臨床症状により判断した。
1名は発汗による症状出現の程度が明らかに減弱し、もう1名はアトピー性皮膚炎の症状が改善した。以下にその一例の治療経過を示す。
治療開始前:精製汗抗原を用いた末梢血好塩基球のヒスタミン遊離試験では、精製抗原によるヒスタミン遊離率−59%と強陽性であった。(対照−4.33%、抗IgE抗体刺激−55%)
治療開始: 精製汗抗原12800倍希釈液0.5mLを皮下注射した。
治療継続: 3回の皮下注射毎に精製抗原濃度を2倍に上げながら0.5mLを皮下注射。250倍に達した後はこの濃度を維持して治療を継続した。
治療経過に伴う閾値変化は表1に示したとおりである。
Figure 0003983260
表1に示したとおり、治療2ヶ月目で閾値が2倍濃度となり治療効果が認められた。臨床所見上でも改善が見られた。以後、治療を継続したが、皮内テスト用精製抗原はLot2に変えて経過を調べた。結果は表2に示したとおりである。
Figure 0003983260
治療後75日目以後の閾値が高い数値となっているが、対照として同時にテストしたヒスタミンの皮内テストに対する患者の感受性は初回治療時から変化がないことから、Lot2の抗原力価が高いことによると考えられる。Lot2に変更後でも125日では閾値が4倍濃度となりさらに治療効果が上がったことが確認できた。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、アトピー性皮膚炎の原因因子として、患者自らが産生するアトピー性皮膚炎誘引物質が提供される。これによって、アトピー性皮膚炎の正確な診断と、その治療が可能となる。

Claims (12)

  1. ヒト汗腺からの分泌物から以下の工程:
    ヒト汗腺からの分泌物をフィルターろ過して不溶物を除去したろ液を回収する工程;
    ろ液とConA-アフィニティー担体を混和して、上清を回収する工程;および
    陰イオン交換カラムクロマトグラフィーおよび逆カラムクロマトグラフィーによって上清からヒスタミン遊離活性成分を分離する工程、
    を経て得られる、イオンカラム吸着およびConAカラム非吸着の精製画分であって、ヒト自らのIgE抗体に結合してマスト細胞および好塩基球を活性化し、アトピー性皮膚炎を誘引する組成物。
  2. ヒト汗腺からの分泌物から以下の工程:
    ヒト汗腺からの分泌物をフィルターろ過して不溶物を除去したろ液を回収する工程;および
    陰イオン交換カラムクロマトグラフィーおよび逆カラムクロマトグラフィーによって上清からヒスタミン遊離活性成分を分離する工程、
    を経て得られる、イオンカラム吸着の精製画分であって、ヒト自らのIgE抗体に結合してマスト細胞および好塩基球を活性化し、アトピー性皮膚炎を誘引する組成物。
  3. 請求項1または2記載の組成物を抗原として調製され、請求項1または2記載の組成物と特異的に結合することを特徴とする抗体。
  4. 被験者の血清試料中に、請求項1または2記載の組成物と結合するIgE抗体が存在するか否かを試験し、そのIgE抗体が存在する被験者由来の試料をアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者の試料と判定することを特徴とするアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者由来の試料の選別方法。
  5. 被験者の血液から採取した白血球画分試料に、請求項1または2記載の組成物を添加し、白血球画分におけるヒスタミン遊離の程度からアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者由来の試料と判定することを特徴とするアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者由来の試料の選別方法。
  6. 被験者の生体試料に、請求項3記載の抗体と結合する物質が存在するか否かを試験し、試料中にその物質が存在する被験者由来の試料をアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者の試料と判定することを特徴とするアトピー性皮膚炎患者またはアトピー性皮膚炎ハイリスク者由来の試料の選別方法。
  7. 請求項1または2記載の組成物をパッチテスト用素材に保持させたアトピー性皮膚炎ハイリスク者の判定試薬。
  8. 請求項1または2記載の組成物を有効成分として含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎の減感作治療薬。
  9. 請求項1または2記載の組成物を有効成分として含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎の診断用キット。
  10. 請求項3記載の抗体を含有することを特徴とするアトピー性皮膚炎の診断用キット。
  11. ヒト汗腺からの分泌物由来のイオンカラム吸着およびConAカラム非吸着の精製画分であり、ヒト自らのIgE抗体に結合してマスト細胞および好塩基球を活性化し、アトピー性皮膚炎を誘引する組成物を製造する方法であって、以下の工程:
    ヒト汗腺からの分泌物をフィルターろ過して不溶物を除去したろ液を回収する工程;
    ろ液とConA-アフィニティー担体を混和して、上清を回収する工程;および
    陰イオン交換カラムクロマトグラフィーおよび逆カラムクロマトグラフィーによって上清からヒスタミン遊離活性成分を分離する工程、
    を含む方法。
  12. ヒト汗腺からの分泌物由来のイオンカラム吸着の精製画分であり、ヒト自らのIgE抗体に結合してマスト細胞および好塩基球を活性化し、アトピー性皮膚炎を誘引する組成物を製造する方法であって、以下の工程:
    ヒト汗腺からの分泌物をフィルターろ過して不溶物を除去したろ液を回収する工程;および
    陰イオン交換カラムクロマトグラフィーおよび逆カラムクロマトグラフィーによって上清からヒスタミン遊離活性成分を分離する工程、
    を含む方法。
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