JP3980155B2 - 防汚処理を施したコンクリート水路構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、防汚処理を施したコンクリート水路構造物に係わり、更に詳しくは発電所等で冷却水として海水を取り入れているコンクリート水路の内壁面に、貝類や海草類等の海洋生物が付着するのを有効に防止させた防汚処理を施したコンクリート水路構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、発電所等で冷却水として海水を使用することが知られているが、この海水の取り入れ口として、コンクリート駆体を接続したコンクリート構造物の水路が使用されている。
このようなコンクリート水路の内壁面には、長期間使用しているとフジツボ等の貝類やワカメ等の海草類等の海洋生物が付着するが、海洋生物の付着に対して特に対策を施していないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、従来ではコンクリート内壁面に海洋生物が付着し、水流により付着した海洋生物が剥がれ、冷却水をポンプアップするポンプまで流れて詰まりを生じさせないように海水の輸送管の途中に設けた除去装置を定期的に掃除する必要があった。
【0004】
また、この他にコンクリート内壁面に海洋生物が付着するのを防止させるために防汚塗料を塗布する手段も試験的に行われているが、然しながら、このような手段もコンクリート水路の海水を遮断した後、プライマー(接着剤)を塗装する前に密着性を良好にするために内壁面を充分に乾燥させた必要がある。更に、防汚塗料の場合には、海水により流れて寿命が短く、1年毎に再塗装する必要があり、多くの労力と時間を要する上に多大な必要がかかると言う問題があった。
【0005】
この発明の目的は、海水を取り入れているコンクリート水路の内壁面に、海洋生物が付着するのを有効に防止させると共に、寿命を伸ばすことが出来、耐久性,施工作業性の良好な防汚処理を施したコンクリート水路構造物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、複数のコンクリート駆体を接続してコンクリート水路を構成し、該コンクリート水路内に海水を取り入れる海底取水管の一端部を接続するとともに、該取り入れた海水を冷却水としてコンクリート水路から復水器に導く輸送管の一端部を接続したコンクリート水路構造物において、板状またはシート状に形成した海洋生物の付着防止用ゴム組成物と、エポキシ樹脂とガラス繊維とから成るプリプレグで構成した基板とを積層させて一体的に形成した積層体を、該基板側の面が前記コンクリート駆体のコンクリート内壁面に当接するように配設し、頭部を防汚処理したコンクリート釘により前記配設した積層体をコンクリート内壁面に固定し、前記輸送管の一端部の管口の位置を、前記コンクリート水路の深さ方向中央部で、かつ前記コンクリート水路の幅方向でコンクリート内壁面に固定した積層体から間隔をあけた位置に設定したことを要旨とするものである。この発明は上記のように構成され、海水を取り入れているコンクリート水路の内壁面に、海洋生物の付着防止用ゴム組成物をコンクリート釘を介して取付けたので、海洋生物が付着するのを有効に防止させることが出来ると共に、防汚塗料等に比べて寿命を伸ばして耐久性を向上させることができ、更に安価で施工作業を容易に行うことが出来るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1は、発電所等で冷却水として海水を使用しているコンクリート構造物の概略構成図を示し、1は複数のコンクリート駆体2を接続してコンクリート水路3を構成した中空状のコンクリート構造物、4は海底の冷海水Wをコンクリート水路3内に取り入れる海底取水管、5はコンクリート水路3から復水器6に海水Wを導く輸送管を示している。
【0008】
前記復水器6には、工業用水Wzを工業用水タンク7及び給水装置8を介して供給管9により導入するように構成され、工業用水Wzを復水器6内で冷海水Wにより冷却し、該冷却された工業用水Wzは、再び給水ポンプ10及び配管11を介して再利用したり、他の場所で利用するように構成されている。前記コンクリート駆体2のコンクリート内壁面2aには、図2に示すように、板状またはシート状に形成した海洋生物の付着防止用ゴム組成物12をコンクリート釘からなる固定手段13を介して取付けてある。
【0009】
前記海洋生物の付着防止用ゴム組成物12は、例えば、特開平8−20676号公報に開示されているようなゴムにハロゲンを置換基として有する3−イソチアゾロン誘導体と受酸材とを含有する組成物を使用し、非スズ系の防汚薬剤で水質汚染の恐れがすくなく海洋生物の付着を防止することが出来るものである。このような付着防止用ゴム組成物12は、予め所定の厚さで所定の大きさに形成し、コンクリート内壁面2a及び付着防止用ゴム組成物12の装着面に形成した係合可能な図示しない固定手段でプライマーを介して直接的に固定するか、または、図2に示した本発明の実施形態のように、エポキシ樹脂とガラス繊維とから成るプリプレグで構成して成る基板14に積層させて一体的に形成した所定の大きさの積層体(例えば、1m×2m程度の積層体)を、固定手段13を介してコンクリート駆体2の内壁面2aに隙間が生じないように配設して固定する。
【0010】
この場合、コンクリート水路3の内壁面は、新設の場合を除き、ドライアップした後に、水溶性のゴム系プライマーをスプレーした後、施工するものである。
また、この場合の実施形態では、コンクリート内壁面2aに固定した付着防止用ゴム組成物12の周縁部とコンクリート内壁面2aとの隙間に、海洋生物の付着防止用のシーリング材料15を充填し、更に固定手段13としてコンクリート釘13aの頭部に防汚処理して使用するものである。
【0011】
また、以上のように、海水を取り入れているコンクリート水路3の内壁面2aに、海洋生物の付着防止用ゴム組成物12を固定手段13を介して取付けたので、海洋生物が付着するのを有効に防止させることが出来る。
また、付着防止用ゴム組成物12は、従来の防汚塗料等のように、海水の流圧により剥離するようなことが少なく、従って、寿命を伸ばして耐久性を向上させることができ、更にコンクリート内壁面の乾燥工程等が不要となることから安価で施工作業を容易に行うことが出来るものである。
【0012】
【発明の効果】
この発明は、上記のように板状またはシート状に形成した海洋生物の付着防止用ゴム組成物と、エポキシ樹脂とガラス繊維とから成るプリプレグで構成した基板とを積層させて一体的に形成した積層体を、該基板側の面が前記コンクリート駆体のコンクリート内壁面に当接するように配設し、頭部を防汚処理したコンクリート釘により前記配設した積層体をコンクリート内壁面に固定し、前記輸送管の一端部の管口の位置を、前記コンクリート水路の深さ方向中央部で、かつ前記コンクリート水路の幅方向でコンクリート内壁面に固定した積層体から間隔をあけた位置に設定したので、海水を取り入れているコンクリート水路の内壁面に、海洋生物が付着するのを有効に防止させることが出来、また従来の防汚塗料等に比べて寿命を伸ばして耐久性を向上させることができる上、更にコンクリート内壁面の乾燥工程等が不要となることから安価で施工作業を容易に行うことが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】発電所等で冷却水として海水を使用しているコンクリート構造物の概略構成図である。
【図2】図1のA部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 コンクリート構造物
2 コンクリート駆体
2a コンクリート内壁面
3 コンクリート水路
4 海底取水管
5 輸送管
6 復水器
7 工業用水タンク
8 給水装置
9 供給管
10 給水ポンプ
11 配管
12 付着防止用ゴム組成物
13 固定手段
14 基板
15 シーリング材料
13a コンクリート釘の頭部
W 海水
Wz 工業用水
Claims (3)
- 複数のコンクリート駆体を接続してコンクリート水路を構成し、該コンクリート水路内に海水を取り入れる海底取水管の一端部を接続するとともに、該取り入れた海水を冷却水としてコンクリート水路から復水器に導く輸送管の一端部を接続したコンクリート水路構造物において、板状またはシート状に形成した海洋生物の付着防止用ゴム組成物と、エポキシ樹脂とガラス繊維とから成るプリプレグで構成した基板とを積層させて一体的に形成した積層体を、該基板側の面が前記コンクリート駆体のコンクリート内壁面に当接するように配設し、頭部を防汚処理したコンクリート釘により前記配設した積層体をコンクリート内壁面に固定し、前記輸送管の一端部の管口の位置を、前記コンクリート水路の深さ方向中央部で、かつ前記コンクリート水路の幅方向でコンクリート内壁面に固定した積層体から間隔をあけた位置に設定した防汚処理を施したコンクリート水路構造物。
- 前記コンクリート水路を断面四角形状に形成して、コンクリート内壁面のうち、両側壁面および底壁面に前記積層体を固定した請求項1に記載の防汚処理を施したコンクリート水路構造物。
- 前記コンクリート内壁面に固定した積層体の付着防止用ゴム組成物の周縁部とコンクリート内壁面との隙間に、該積層体の基板の周縁を覆うように、海洋生物の付着防止用のシーリング材料を充填して成る請求項1または2に記載の防汚処理を施したコンクリート水路構造物。
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