以下、本発明に係る冷蔵庫の実施形態を図1〜図27を参照して説明する。なお、同一の部位、あるいは矢印等は同一符号をもって示し重複した説明を省略する。
〔第1の実施形態〕
図1〜図21は、本発明に係る冷蔵庫の第1の実施形態であり、図1〜図3は外観図、図4は縦中央断面図、図5〜図7は通風通路の説明図、図8〜図10は冷蔵庫の使用実態と各貯蔵室の配置説明図、図11〜図13は引出ドアの説明図、図14〜図18は野菜室の説明図、図19〜21は冷凍室の説明図である。
先ず、図1〜図3において、外観構造を説明する。図1は外観斜視図、図2は開状態の外観斜視図、図3は正面図と部分側面図である。
図1、図2において、符号1で総括的に示すのは冷蔵庫であり、冷蔵庫1の最上部に開閉ドア10を備えて配置される冷蔵室100と、該冷蔵室100の下方に配置される引出ドア20を備えた野菜室200と、該野菜室200の下方に配置される引出ドア30を備えた上部冷凍室300と、冷蔵庫1の最下部に配置される引出ドア40を備えた下部冷凍室400とから構成される。なお、この冷蔵庫1は、上部冷凍室300と下部冷凍室400とで冷凍室800を構成する。
そして、前記冷蔵庫1は、冷蔵庫1が置かれる床面Fから、前記冷蔵庫1の上端部までの高さをH1、前記野菜室200の引出ドア上端部までの高さをH2、前記上部冷凍室300の引出ドア上端部までの高さをH3、前記下部冷凍室400の引出ドア上端部までの高さをH4に設定している。例えば、この実施形態では、H1を1730mm、H2を932mm、H3を611mm、H4を374mmに設定している。また、横幅がW、奥行きがDに設定され、例えば、この実施形態では、Wを590mm、Dを690mmに設定している。
図3において、この実施形態では、開閉ドア10の高さ長h1を788mmとして最も大きくし、次に高さ長h2を312mmとした引出ドア20、次に高さ長h4を290mmとした引出ドア40とし、引出ドア30の高さ長h3を最も小さい229mmに設定している。なお、各ドア間の隙間を9mm前後とし、最下部には筐体2の底面に設けた移動車輪3の目隠しのための袴50を設けている。
また、開閉ドア10は、片側の上下に設けたヒンジ部60で開閉可能に筐体2に取付けられる。開閉ドア10の自由端側には、開閉ドア10の全高の7割以上を占める縦長の縦ハンドル11が設けられている。該縦ハンドル11は、縦長弓形の凹部13と、該凹部13の片側中央に設けられる細長い手掛部12とから構成され、該手掛部12に指を引っ掻けて開閉ドア10を開閉することができる。 引出ドア20は、上端に、ドア幅一杯に形成される下方に円弧状に張り出した手掛部22と、該手掛部22の下部に形成される横長弓状の凹部23とから構成される横ハンドル21を設けている。前記下方に円弧状に張り出した手掛部22は、他の部材と異なる色彩が施されて目立つようにデザイン処理されることで、正面のほぼ中央に強いアクセントラインを形成して意匠的に向上させるとともに、その大きさを利用して銘板24を備えるスペースとして利用される。引出ドア30,40は、上端中央に、横長の手掛部32,42と、凹部33,43とからなる横ハンドル31,41が設けられている。
次に、図4において、内部構造を説明する。図において、筐体2は、鋼板製の外箱3と樹脂製の内箱4との間に断熱材5を発泡充填して形成される。また、開閉ドア10及び引出ドア20,30,40もまた前記筐体2と同様な構造を備えている。
冷蔵室100は、その内部を上下に複数に仕切る棚102と、最下部に配置されるチルド室104と、開閉ドア10の内側に取付けられる複数のトレー126を備えている。この冷蔵室100は、庫内温度が4°Cに設定され、貯蔵室で最も大きな収納容積VRを備えている。なお、チルド室104は開閉扉106を備えて−1°Cに設定される。
また、野菜室200は、周側面がほぼ垂直で上方が開放した収納ケース202が、引出ドア20の開閉機構600(図13参照)に支持されて引出ドアと一体となってスライド可能に設けられている。この構造により、引出ドア20を引出すことにより、収納ケース202が引出され収納する食品の出し入れを行うことができるとともに、該収納ケース202を引出ドア20から取り外して清掃することができる。
収納ケース202の上部後方には、前記収納ケース202と連動して、あるいは引出ドア20の開いた状態で独立して出し入れ可能な他の収納ケース204が配置されている。この2段構造により野菜の縦積みを軽減して鮮度維持を図り、収納性を向上することができる。この野菜室200は、庫内温度が3°Cに設定され、上部冷凍室または下部冷凍室よりも大きな収納容積VVを備えている。
上部冷凍室300と下部冷凍室400からなる冷凍室800は、庫内温度が−18°Cに設定され、冷蔵室100の収納容積VRに次ぐ大きさを備えた収納容積VFを備えている。上部冷凍室300は、周側面がほぼ垂直で上方が開放した収納ケース302が、引出ドア30の開閉機構600に、収納ケース202と同様に着脱自在に支持されて設けられている。また、上部冷凍室300の片側上面には、引出ドア30の開閉に連動して前後方向に移動する製氷棚が設けられている。下部冷凍室400は、背面が斜めに形成されて上方が開放した収納ケース402が、引出ドア40の開閉機構600に、収納ケース202と同様に着脱自在に支持されて設けられている。
この実施形態では、冷凍室800を上部冷凍室300と下部冷凍室400とに上下に分けることで、それぞれの引出し収納の深さを小さくして収納食品の出し入れを良好にしている。しかも、下部冷凍室400が後部に設けられる機械室600により、収納容量に制約があるため、下部冷凍室400の深さを上部冷凍室300の深さより大きくして、上部冷凍室300の収納容積VF1と下部冷凍室400の収納容積VF2をほぼ同じ大きさに設定しているので、普段よく使う食品を上方の薄い収納ケース302内に収納して使い易さを向上し、制約のある下方の収納ケース402にときどき使うストック食品を収納することで使いにくさを軽減している。
さて、この冷蔵庫1では、野菜室200の上部に庫内温度が近似した冷蔵室100、野菜室200の下部に庫内温度が著しく異なる上部冷凍室300を配置したので、断熱材5を備えた仕切壁70を野菜室200と上部冷凍室300との間に1ケ所設ければよく、庫内容積を大きくとることができる。ここで、冷蔵室100と野菜室200との間には図示しない冷気通風路を備えた断熱材のない仕切壁71を設け、上部冷凍室300と下部冷凍室400の間には仕切壁72を設けている。
なお、この実施形態では、全体の収納容積Vを370l(リットル)とし、冷蔵室100の収納容積VRを200l、野菜室200の収納容積VVを70l、上部冷凍室300と下部冷凍室400との合計の冷凍室800の収納容積VFを100lに設定している。ここで、上部冷凍室300の収納容積VF1と下部冷凍室400の収納容積VF2をほぼ同じ大きさとしている。
また、下部冷凍室400の後方に、圧縮機502を備えた機械室500、上部冷凍室300の後方に熱交換器504、野菜室200の後方下部にフアンモータ506、野菜室200の収納ケース204とチルド室104の後方に跨って冷気分配器(冷気供給量調整機)508が配置される。
この配置構造によれば、重量のある圧縮機502を背面の最下部に設けたので冷蔵庫1の重心を下げて安定させることができる。また、冷却源である熱交換器504を、庫内温度が高い野菜室200と段違いにして、庫内温度が最も低い冷凍室800(上部冷凍室300)の後方に近接配置したので、野菜室200内の庫内温度低下を軽減して、冷凍室800(上部冷凍室300)を効率よく冷すことができる。特に、この発明に係る冷蔵庫1では冷凍室800を最下部に配置しているので、必然的に熱交換器504を下方に配置することができるから、機械室500と熱交換器504との間に形成されるデッドスペースを無くすことができる。
更には、熱交換器504とその上部に配置されるフアンモータ506、冷気分配器(冷気供給量調整機)508を下方に下げることができるから、冷蔵庫1の重心を下方に下げて冷蔵庫1の設置性を向上することができる。
また、野菜室200の収納ケース204(上部後方にある)を、やや厚みのあるフアンモータ506の上方に設けた厚みの比較的薄い冷気分配器508と隣設したので収納ケース202より収納ケース204を後方にずらして配置することができるから、周囲がほぼ垂直面で形成される収納スペースを維持したまま野菜室200の収納容量VVを増やすことができる。
また、冷気分配器508を冷蔵室100内で庫内温度が低いチルド室104と隣接配置したので、冷蔵室100の冷え過ぎを防いで、冷気を直接チルド室104に吹き出して効率よく冷すことができる。
次に、図4〜図7を参照して冷気の流れについて説明する。先ず、熱交換器504で生成された冷気は、フアンモータ506により冷気分配器508と冷凍室800(上部冷凍室300と下部冷凍室400)に送風される。冷気分配器508に送風された冷気は、該冷気分配器508により冷蔵室100とチルド室104に分流される。この冷気通風路構造を周辺構造と合わせて図5、図6で詳細に説明する。
図5は冷蔵室100の正面図、図6の(a)は冷蔵室100の部分断面図、図6の(b)はチルド室104廻りの正面透視図である。
図5において、冷蔵室100の背面側内壁の壁面中央には、庫内照明装置108と冷気通路110を備えたダクト112がフラットに取付けられている。ダクト112は、横幅が冷蔵室100の半分の大きさで、上下方向が冷蔵室100の高さ一杯の大きさを備え、その中央に縦長の庫内照明装置108が設けられ、該庫内照明装置108の両側に、前記冷気分配器508から「Y字」状に分岐された冷気通路110a、110bが設けられている。
前記庫内照明装置108は複数の仕切棚102に跨るように配置され、更に冷気通路110a、110bには仕切棚102の各段に冷気が行き届くようにそれぞれの棚段に冷気口114が設けられている。この構造により、各仕切棚102に収納した食品を、背面中央に設けた庫内照明装置108によりまんべんなく、かつ効率よく照らすことができる。
加えて、各仕切棚102に収納した食品を、背面にほぼ均等に配置される各段2つの冷気口114から冷気を吹き出して効率よく冷すことができる。なお、庫内照明装置108は、冷蔵室100のやや上方に光源116を設けて、その前部に、縦422.5mm、横幅70mmの大きさの透光性素材118をフラットに設けている。また、庫内照明装置108は、光源116の長手方向を壁面と並行させて接近配置することで奥行き寸法を小さくして、その背面側に設けられる図示しない反射面を介して前記透光性素材118から照らせるようにコンパクトに構成されている。
図6において、チルド室104の冷気供給は、冷気分配器508の前面に設けた冷気口124から直接吹き出して、チルド室104内のトレー122の上方から下方の隙間を通って冷気口124の下方に設けた排気口125から冷媒循環系へ戻されるようにしている。また、チルド室104に供給された冷気の一部は野菜室200に供給される。
チルド室104は冷蔵室100内に透明なボックス120で仕切られており、トレー122を引出すことにより、連動して開閉扉106が開くようになっている。このため、透明なボックスを介して排気口125が見えるので、排気口125を極力下部に設けて、開閉ドア10の開閉時に見えないように工夫している。 また、冷気分配器508の前面下方には、野菜室200から冷気を排気する排気口206を設けている。なお、510は制御ボックスである。
図4に戻り、冷蔵室100の背面の壁面から吹き出された冷気は、矢印に沿って、冷蔵室100内を冷して仕切板71に設けた冷気通路を介して野菜室200に導かれる。また、チルド室104に吹き出された冷気はトレー122の上面と下面を通して冷媒循環系へ戻され、冷蔵室100や野菜室200の冷え過ぎを軽減している。ここで、この実施形態では、チルド室104(トレー122)と仕切板71との間に風路が形成されるから、新たに断熱材を設けることなく、野菜室200に対する庫内温度の低いチルド室104の悪影響を軽減することができる。
そして、野菜室200に導かれた冷気は収納ケース202,204の周囲を通過して後、排気口206を介して排気ダクト512から冷媒循環系へ戻される。その後の冷気通路を図7で説明する。
図7は背面の概略構成を示す透視図を示している。図において、排気ダクト512で冷媒循環系へ戻された冷気は、熱交換器504の下方に設けたドレントレー514に導かれ、再び熱交換器504で冷却されてフアンモータ506に導かれる。ドレントレー514は、下部が傾斜しており、その下端部にドレンホース516が設けられているので、冷却器504に付いた露をドレントレー514で受けて、冷蔵庫1の底面に設けた図示しない露受け皿に導くことができる。
図4に戻り、一方、上部冷凍室300と下部冷凍室400に供給された冷気は、収納ケース302,402の内外を循環して前記ドレントレー514に戻される。このように、この実施形態に係る冷蔵庫1では冷気が前記流通経路を循環しながら効率よく庫内を冷却することができる。
また、開閉ドア10や引出ドア20,30,40の開閉にともなう温度低下は、各貯蔵室内や通路に設けた図示しないセンサーにより検知され、制御ボックス内に設けた図示しないマイコンが、冷気分配器508や圧縮機502を制御して庫内温度をコントロールする。
次に、図8〜図10を参照して、冷蔵室100と野菜室200と冷凍室800(上部冷凍室300と下部冷凍室400)の配置に伴う使い勝手を説明する。図8は、冷蔵庫1の設置状態図、図9は冷蔵庫の各貯蔵室の使用頻度を示す説明図、図10は人間の姿勢と冷蔵庫1の各貯蔵室の配置の関係を示す説明図である。 図8において、冷蔵庫1の使い勝手を考える場合、設置環境と、冷蔵庫を使う人間の使用形態を考慮する必要がある。つまり、冷蔵庫1は台所に設置される以上、台所で並べて使用されるケースが多い流台700(図10参照)や食器棚等との住宅設備品との関係を考慮しなければならない。
特に、冷蔵庫1と流台700との関係は料理の一環作業として頻繁に使用されるために重要である。そして、当然のように、前記一環作業の流れは、それを使う人間の使用形態に合ったものでなければならない。本実施形態に係る冷蔵庫1は前記観点に立って計画されている。
例えば、日本人の標準的な女性(身長155cm)が冷蔵庫1から400mm離れて冷蔵庫1を使う場合、立ち姿勢で楽に手が届く範囲Y2は、下方が630mm、上方が1340mmである。1340mmの上方は肩より上の収納範囲Y1となる。また、かがみ姿勢になるときに楽に手が届く収納範囲Y3は、下方が310mm、上方が630mmである。そして、310mmの下方はしゃがみ姿勢になるときに楽に手が届く収納範囲Y3である。
また、標準的な女性の肘の高さは970mmであり、この位置から下方であれば肘を上げることなく食品の出し入れが容易である。
これらの点から、冷蔵庫1の作業性をみると、肘の高さ970mmから上方に配置される貯蔵室は開閉ドア10での立ち姿勢の作業動作が良好である。一方、肘の高さは970mmから下方では、何れの姿勢でも、貯蔵室内を見渡しながら食品を出し入れできる引出ドア20,30,40の作業性が優れている。
特に、立ち姿勢での作業性を考慮した場合、標準的な日本人女性の手の届く下側の高さが643mmであることから、肘の高さ970mmより下方に配置された引出ドア20は、引出ドア20の床面からの高さが643mm以上であれば、立ち姿勢で食品の出し入れを楽な姿勢で行うことができる。この引出ドア20の床面からの高さは、立ち姿勢から楽に姿勢を変えられるかがみ姿勢であれば、より下方に設定される。つまり、前記肘の高さより低い位置で、立ち姿勢とかがみ姿勢の手の届く範囲内に引出ドアを設ければ、食品の出し入れを容易に行うことができる。
前記した寸法関係は、あくまで標準的な女性をモデルにした数値であり、その数値範囲は、例えば、通常台所で履かれるスリッパの高さを考慮したり、使用者のカバー率、収納容量等のその他の諸条件を考慮する必要がある。
冷蔵庫の使用実態を調査すると、図10に示すように、冷蔵庫1は台所の流台700と並べて設置され、立ち姿勢での料理作業の際に頻繁に利用される。その使用頻度は、図9に示すように、冷蔵室100、次に野菜室200、次に冷凍室800(上部冷凍室300と下部冷凍室400)と続く。この立ち姿勢での使用実態からすれば、上部に冷蔵室100、中央に野菜室200、下方に冷凍室800(上部冷凍室300と下部冷凍室400)を配置することで、立ち姿勢からかがみ姿勢、しゃがみ姿勢へ移る動作を少なくして作業動作を楽にすることができる。
一方、台所の住宅環境を考慮すると、一般的な台所の吊り戸棚の下部が1800mmであることからすれば、何れの台所にも設置可能とするためには、冷蔵庫1の最上部までの高さH1が1800mm以下であればよい。
一方、冷蔵庫1に隣接される流台700は、テーブル(調理台)までの高さが850mm、蛇口702までの高さが870mm程度である。したがって、立ち姿勢、または立ち姿勢から容易に姿勢を変えることができるかがみ姿勢では、肘の高さは970mmを基準にして、前記動作範囲内に利用頻度の高い貯蔵室を配置することで、流台700での作業と冷蔵庫1での作業を大きく姿勢を変えることなくスムーズに一連の作業として楽に行うことができる。
さて、本実施形態に係る冷蔵庫1においては、貯蔵室の配置を使用頻度の高い順番にしたがって、上方から下方に冷蔵室100、野菜室200、冷凍室800を配置し、更に、冷凍室800を2分割して、上部に利用頻度の高い上部冷凍室300、下部にストック食品を収納する利用頻度の低い下部冷凍室400を配置しているために、立ち姿勢からの各姿勢への移動動作を使用頻度に対応して効率良く軽減することができる。
また、肘の高さを基準にして上方のドアを開閉ドア10とし、肘の高さより低いドアを引出ドア20,30,40としているので、各貯蔵室のドア構造を動作姿勢に合った構造としている。
また、本実施形態の冷蔵庫1は、上端部までの高さH1を1730mmに設定しているので、ほとんどの台所に設置可能であり、台等を使わないで冷蔵室100の上段の棚102に収納した食品の出し入れを行うことができる。
また、野菜室200は、上端部までの高さH2を使用者の肘の高さより低い932mm、収納ケース202の床面(底面)の高さH5を立ち姿勢で手の届く643mmに設定しているので、肘を上げることなく食品を出し入れして流台700との連携作業を立ち姿勢で楽に行うことができる。しかも、収納ケース202,204の内部を首の動きだけで目視できるので、収納ケース202,204内が見易い。
また、前記上部冷凍室300は、上端までの高さをH3をかがみ姿勢の上限(630mm)より低い611mm、収納ケース302の床面(底面)の高さH6をかがみ姿勢の下限(310mm)より高い404mmに設定しているので、かがみ姿勢での食品の出し入れを容易に行うことができる。
そして、最も使用頻度の低い下部冷凍室400は、上端部までの高さH4をしゃがみ姿勢での上限の高さより高く設定することで、下部冷凍室400の上積みの食品をかがみ姿勢で出し入れできるようにし、利用頻度の極端に低い下積みの食品をかがみ姿勢で出し入れするようにするとともに、引出ドア40の上端に横ハンドル41を設けてかがみ姿勢での開閉を可能にしている。
また、開閉ドア10に設けられた縦ハンドル11は立ち姿勢で開閉が楽な位置に配置され、引出ドア20,30,40に配置される横ハンドル21,31,41は少なくとも立ち姿勢またはかがみ姿勢の範囲内に配置されているので、開閉時に力が入れやすく、ドア開閉を楽に行うことができる。特に、縦ハンドル11は縦に長く設けられているので、使用者は自分の姿勢に合った位置をつかんで開閉することができる。
このように、本実施形態に係る冷蔵庫によれば、冷蔵室100と野菜室200と上部冷凍室300と下部冷凍室400を、利用頻度の高い順位で上方から順次配置し、それぞれの貯蔵室を使用者の立ち姿勢、かがみ姿勢、しゃがみ姿勢に適したドア構造で、各姿勢に最適な動作領域に配置することで、貯蔵室の使用頻度と使用者の動作姿勢に合った冷蔵庫が提供される。
ここで、前記した本実施形態に係る冷蔵庫1の寸法態様は、一実施態様であり、この寸法態様に限定されるものではない。つまり、冷蔵庫1の上端部までの高さH1、野菜室200の引出ドア上端部までの高さH2、冷凍室800(上部冷凍室300)の引出ドア上端部までの高さH3を、それぞれ、H1≦1800mm、H2≦1000mm、H3≧560mmの範囲に設定することにより、前記実施形態と同様な効果を得ることができいる。この際、冷凍室800を上部冷凍室300と下部冷凍室400とで構成し、下部冷凍室400の引出ドア上端部の高さH4を、H4≧350mmに設定することにより、前記実施形態と同様な効果を得ることができる。
また、野菜室200の引出ドア上端部までの高さH2、野菜室200の収納ケース202の床面の高さH5を、それぞれ、H2≦1000mm、560≦H5≦720mmとすることで、多くの使用者が野菜室200の中が見渡せて整理がしやすく、食品の出し入れが容易な野菜室200を提供することができる。
更に、収納ケース202の引出ドア上端部からの深さU1(図4参照)を、U1≧250mmとし、更に、850mm≦H2≦1000mm、560≦H5≦720mm、とすることにより、流台700との連携作業が良好にしながら、野菜の縦収納を可能として新鮮度を高め、多くの使用者が野菜室200の中が見渡せて、食品の出し入れが容易な野菜室200を提供することができる。
次に、図11〜図13において、引出ドアの開閉構造について説明する。図11は引出ドアの開閉機構の概略図、図12は図11の要部拡大断面図、図13は引出ドアの従来例との動作比較図である。
図11、図12において、引出ドア20,30,40が採用する開閉引出構造(開閉機構)600について説明する。開閉引出構造600は、貯蔵室の両側の壁面に埋め込んで形成される第1のガイドレール610と、該第1のガイドレール610上をローラ621を介して移動する第2のガイドレール620と、該第2のガイドレール620上をローラ631を介して移動する引出ドア20(30,40)を備えた支持体630と、第1のガイドレール610と第2のガイドレール620の分離を防止する第1のストッパ640と、第2のガイドレール620と支持体630の分離を防止する第2のストッパ641とから構成され、収納ケース202(302,402)が、前記支持体630に着脱可能に取付けられる。
第1のガイドレール610は、断面が「コ」字状に形成され、ローラ621とその回転軸622が移動でき、かつ、ローラ621の直径と適度な隙間を備えた大きさに形成される。第2のガイドレール620は、下端部が内側に屈折した「L」字状の断面形状を備え、外側面の後部側にローラ621が回転軸622を介して取付けられ、内側面の前部側にローラ631が回転軸632を介して取付けられる。
ローラ621,631は少なくとも2個以上設けられ、第2のガイドレール620と支持体630を水平に移動できるようにしている。支持体630は、「S」字状の断面形状を備え、「S」字状の上部「コ」字状部を、ローラ631とその回転軸632が移動でき、かつ、ローラ631の直径と適度な隙間を備えた大きさに形成される。なお、この実施形態では、第2のガイドレール620を「L」字状、支持体630を「S」字状とすることにより、開閉引出構造600の剛性
を高めている。
左右に設けた支持体630は、その前部を引出ドア20に、その後部を連結部材650にそれぞれ取付けることで、上面から見て「ロ」字状の枠体を構成し、該枠体に収納ケース202を挿入して、収納ケース202の縁体202aを、支持体630と連結部材650で支持することにより、収納ケース202が着脱自在に設けられる。また、第1、第2のストッパ640,641は、第1のガイドレール610の先端部と、支持体630の後端部に、ローラ621,631の移動を阻止するような突起状をなして取付けられている。
さて、この開閉引出構造600によれば、第2のガイドレール620が、第1のガイドレール610と支持体630の中間連結部材となって、支持体630に取付けられる収納ケース202を水平を維持したまま大きく前方に引き出すことができるから、収納ケース202全体を上方から見渡すことができるとともに、食品の出し入れを容易に行うことができる。
この際、開閉引出構造600は最大限に引き出した状態で、ストッパ640,641によりローラ621,631の移動が阻止されるから、引出ドア20の引き出し過ぎによる落下を防止することができる。更に、収納ケース202が大きく前方に引き出されるから、収納ケース202の取外しを容易にすることができるので、収納ケース202の清掃を容易に行うことができる。
一方、収納状態では、第1、第2のガイドレール610,620と支持体630が3重になってコンパクトに収納される。
図13において、図13の(a)に示す本実施形態に係る開閉引出構造600によれば、収納ケース202及び収納物の重量を両側の第1のガイドレール610で分散して支持することができる。したがって、引出ドア20を引き出しても収納ケース202の重心Gは前方にスライド移動するだけなので、筐体2の底面前部に設けた図示しない脚部により、移動した重心Gの加重を左右均等に支持することができる。
更に、第1のガイドレール610を貯蔵室の両壁面に埋め込んで、貯蔵室とほぼ同じ大きさの収納ケースを採用することができるから、デッドスペースを少なくして効率よい収納が図れる。
一方、図13の(b)に示す、開閉ドア650と回転式の収納ケース651を備えた従来例では、回転ドア650と収納ケース651を開くと、斜め前方に重心Gが移動する。しかも、それらの加重はすべて一方のヒンジ部と脚部にかかるので、ヒンジ部の大型化を招いたり、冷蔵庫全体のバランスを崩してしまうこととなる。
また、この構造では開閉ドア650の存在により、図示の左側から食品を出し入れせざるを得なくなり、引出ドアに較べると食品出し入れの作業性が悪い。更に、この実施形態では収納ケース651を引き出すためにデッドスペースが生じるから効率よい収納が図れない。
次に、図2及び図14〜図21を参照して、各貯蔵室を詳細に説明する。なお、各貯蔵室の具体的な大きさは先に示したので説明を省略する。
図2において、冷蔵室100は、庫内上段に固定された薄い透明な棚102を設け、中段に透明な可変棚124を並べて設けている。可変棚124は、底面及び前方が連続して開放し、両壁面と背面壁で棚(天板)を支える構造としている。このため、可変棚124を裏返すことで、封を切った牛乳パックや生樽等を立てたまま、あるいはスイカや底の深いナベをそのまま収納することができる。
また、庫内最下部に配置されるチルド室104は、全体を透明樹脂材で囲っているので、低温・高湿保存で、風味とみずみずしさを保つことができる。また、図示しない自動製氷装置を付ける場合は、このチルド室104の左右幅を小さくして、片側に給水タンクを備えるようにする。
開閉ドア10の内側には複数のトレー126が着脱自在に配置される。この実施形態では最下部のトレー126aを2段トレーとして、ペットボトルと調味料の小瓶を前後に重ねて収納できるようにしている。
図14〜図18において野菜室200を説明する。図14は引出ドア20を引き出した状態の部分外観図、図15は収納ケース204を引き出した状態の部分外観図、図16は開閉動作を示す部分断面図、図17は収納形態を示す対比図、図18は収納ケース202の説明図である。
図14〜図16において、この実施形態では、野菜室200を収納ケース202,204とからなる2段構造としている。収納ケース202は、前記開閉引出構造600により引き出すことができ、収納ケース204は、図14に示す庫内収納状態では、野菜室200の両壁面に設けたガイドレール206で支持され、図15に示す引き出した状態では、収納ケース202の両側の縁体202aをガイドレールとして支持される。この動作状況を図16をもとに説明する。
図16の(a)は引出ドア20を閉めた状態を示している。この状態では、収納ケース204は、野菜室の両壁面に設けたガイドレール206(図示14参照)に支持されていて、収納ケース202の縁体202aとは接触しない状態で配置される。この状態では、収納ケース202の前部に、高さの確保できる空間が形成されるから、長い野菜を立て置きにして鮮度を高めたり、ペットボトルや牛乳パック等の背の高い食品を収納することができる。
また、傷みやすい野菜は収納ケース202,204の2段のケースに分散して収納できるので、野菜を積み重ねて収納することを軽減できるから、新鮮度を保つことができる。
図16の(b)は引出ドア20を最大限に引き出す手前の状態を示している。この状態では、収納ケース204が野菜室200の内部後方に配置されているので、該収納ケース204を引き出して食品を出し入れするのが困難である。そこで、この実施形態では、収納ケース204の底面前部に突起部208を設けて、該突起部208が収納ケース202の背面壁210に当るようにしている。このため、突起部208が背面壁210に当った図16の(b)の状態から、引出ドア20を更に引き出す動作に連動して、収納ケース204が引き出されるようにしている。
図16の(c)は引出ドア20を最大限に引き出した状態を示している。この状態では、前記収納ケース204の引出構造により、収納ケース204の前部に設けた取手部212が開閉ドア10のトップ面の位置まで引き出され、また、収納ケース202の内部が図14に示すように完全に露出する状態となる。このため、収納ケース202に収納された食品を容易に出し入れすることができる。
更にこの状態では、取手部212がつかみやすい位置まで引き出されているので、該取手部212をつかんで収納ケース204をガイドレール206から引き出して、前記縁体202aをガイドレールとして図15に示す状態まで前方に引き出すことができる。この図15に示す状態は、図16の(c)の状態をそのまま引き出した状態となる。このため、収納ケース204に収納された食品を出し入れすることができる。
一方、引出ドア20を収納する場合は、図16の(c)の状態(収納ケース204が食品出し入れ位置にない状態)から、引出ドア20を押し込むことにより、図16の(b)に示すように、収納ケース204の背面が野菜室200の背面内壁に当たって移動を阻止され、収納ケース202だけが移動して、元の図16の(a)の状態にすることができる。
また、収納ケース204を引き出したまま収納する場合は、図15の状態から引出ドア20を押し込むと、引出ドア20とともに後退する収納ケース202により、収納ケース204が縁体202aの前部に形成した段部214に押されて元の図16の(a)の状態まで移行することになる。
次に、図17を参照して収納ケース202の収納部の形状について説明する。本実施形態に係る冷蔵庫1は、従来、厚みのある機械室500の前部に配置される野菜室を中央に配置することで、背面壁210を傾斜させた図17の(b)に示す従来例の収納ケースを、背面壁210を垂直面とする図17の(a)に示す収納ケース202とすることができる。図17の(a)に示す本実施形態に係る収納ケース202によれば、容積を同じにする図17の(b)の従来例より底面積を広くすることができるから、従来例より多くの野菜を積み重ねないで収納することができる。
特に、従来例では、傾斜面に収納される野菜の加重は矢印に示すように傾斜方向に加わるから、並べて収納される野菜に無用な荷重を加えることとなり野菜の鮮度を落すこととなる。本実施形態では、図17の(a)に示すように、広い底面に並べて沢山収納でき、しかも横方向への無用な力が働かないので、野菜の鮮度維持を図ることができる。
図18において、本実施形態では、収納ケース202の前部に形成した高さの取れる空間の収納性をより高めるために、前後幅を簡単に変更できる仕切板216を備えている。仕切板216は、両端を一方向に屈曲させて、該屈曲部218に収納ケース202の両壁面に形成されるリブ220に嵌合する凹部222を設けるようにする。
この構造により、屈曲部218を後方に向ける位置で取付けた図18の(a)に示す状態では、仕切板216と収納ケース202の壁面とで形成される収納空間の前後幅d1を小さく設定でき、逆に、屈曲部218を前方に向ける位置で取付けた図18の(b)に示す状態では前後幅d2を大きく設定できる。しかも、前記前後幅d1、d2の変更は、仕切板216を反転させるだけで簡単に変更することができる。
また、この実施形態では、仕切板216と収納ケース202の壁面とで形成される収納空間に、小物収納ケース224を備えるようにしている。該小物収納ケース224は、その上面から見た平面形状を、隣接する2辺がそれぞれ前記前後幅d1、d2で構成される矩形状とし、且つ、コップ形状の上面を斜めにカットした形状を呈し、その短い高さを前記仕切板216と同じ高さとし、最頂部の高さを前後幅d2より大きくて収納ケース202の深さより小さい大きさに規定している。
具体的には、仕切板216の高さを125mm、d1を75mm、d2を105mm、最頂部の高さを150mmに設定している。この仕切板216と小物収納ケース224によれば、細長い食品、特に細長い野菜を立ち姿勢で保持して収納することができるから、野菜の鮮度を維持しながら、小物食品の整理整頓が容易に図られ使い勝手を向上することができる。また、小物収納ケース224の置く方向を変えても仕切板216でガタツキなく保持できるから、引出ドア20の開閉による小物収納ケース224の移動を阻止することができる。
更に、図18の(c)で示すように、従来例(左側図面)は、仕切板216を収納ケース202の両壁面に設けた2つの突起部で支持していたが、本実施形態(右側図面)では、1つのリブ220で支持することができるから、図18(a)に示すように、小物収納ケース224を壁面に密着させてデッドスペースを少なくして実質収納容積を大きくすることができる。
次に、図19、図20を参照して上部冷凍室300を詳細に説明する。図19において、上部冷凍室300に配置される収納ケース302は、収納部が左右に分割され、一方を冷凍食品収納部(図示せず)、他方を氷収納部306としている。氷収納部306は周側面が冷凍食品収納部より低く形成され、その上方の天井面に一対のレール308を介して製氷棚304が前後方向に移動可能に設けられている。
本実施形態では、製氷棚304を肘の高さより下方に配置しているために、製氷棚304への製氷皿350の脱着を容易するために、製氷棚304を前後方向に移動可能にしている。その構造を図19で説明する。
図19の(a)は引出ドア30を閉めた状態を示している。この状態では、製氷棚304の前部が、引出ドア30の内壁面に当接する位置に配置される。図19の(b)は引出ドア30を最大限に引き出す手前の状態を示している。この状態では、氷収納部306が露出するので、氷の取り出しを行うことができるが、製氷棚304が後方に配置しているために、製氷棚304が使用者から見えないため製氷棚304への製氷皿350の脱着が困難である。そこで、この実施形態では、氷収納部306の背面壁310を高く形成し、該背面壁310が製氷皿350の背面部に当るようにしている。
図19の(b)は背面壁310が製氷皿350の背面部に当った状態を示している。この状態から、引出ドア300を更に引き出す動作に連動して、製氷皿350と一体となって製氷棚304が引き出されるようになっている。
図19の(c)は引出ドア30を最大限に引き出した状態を示している。この状態では、製氷棚304の先端部が上方の引出ドア20(図15参照)のトップ面の位置まで引き出され、氷収納部306が露出する状態となる。この状態では、氷の取り出しを行うことができるとともに、製氷棚304の先端部が使用者から見えるので無理な姿勢を取ることなく製氷皿350の脱着を容易することができる。
図20において、本実施形態の製氷皿350は、肘の高さより下方に配置される製氷棚304への脱着を容易にするために取手351を設けて、取扱性を向上させている。製氷皿350は扁平なトレーを複数に分割して複数の製氷部352を形成し、該トレーの長手方向の一端に傾斜面353を備えた取手351を形成している。この製氷皿350によれば、前記傾斜面353を親指で、トレーの下方を他の指で挟むようにして確実に保持できるから、肘の高さより下方に配置される製氷棚304への挿入を、製氷皿350の先端と製氷棚304の入口を目視しながら位置合わせして確実に行うことができる。
このため、製氷棚304への挿入時に問題となる製氷部352からの水のこぼれるのを軽減することができる。しかも無理な姿勢を取ることなく行うことができる。なお、傾斜面は設置面から60°から75°の角度が望ましく、こうすれば最適な保持姿勢を取って蛇口から製氷部352に水を入れて、製氷棚304への搬送、挿入を無理なく行うことができる。
なお、本実施形態では、例えば、製氷皿350の横幅を130mm、長さを275mm、厚さを40mmに設定している。また、この製氷皿350は1000mm以下の高さに製氷棚304が設置される冷蔵庫に同様な効果がある。
次に、図21において、下部冷凍室400について説明する。本実施形態では、下部冷凍室400の収納性を向上するために、収納ケース402内に透明な収納ケース404を設けている。該収納ケース404は、上面形状がほぼ長方形の扁平な箱型の本体406と、本体406の上部開放部の中央に配置されるハンドル408とから構成される。
本体406は横幅の一辺をx1、他辺をx2、厚さy1とする大きさを備え、上部周囲に縁体410を備えている。ハンドル408は本体406の上部開放部内に、ハンドル408の上部が前記縁体410とほぼ一致するように設けられている。
さて、この実施形態に係る収納ケース404は、下部冷凍室400の横幅W1,W2の大きさの異なる2機種の冷蔵庫に採用できるように、前記横幅x1、x2の大きさを決定している。この構成を図21の(b),(c),(d),(e)で説明している。図21において、(b)と(d)は収納ケース402aの横幅が大きな横幅W1に採用したものであり、(c)と(e)は横幅W2が狭い収納ケース402bの採用例を示したものである。
図において、収納ケース404の長手方向の横幅x1は横幅W1の1/2の大きさに設定し、短手方向の横幅x2と横幅x1の合計が横幅W2となるように設定している。そして、横幅W1を備えた収納ケース402aの中央の位置P1と、位置P1の両側で側端部から横幅x2の位置P2,P3の位置に左右を分割する仕切板を取付け可能にしている。
一方、横幅W2を備えた収納ケース402bでは、側端部から横幅x1の位置Q1と横幅x2の位置Q2の位置に仕切板を取付け可能にしている。このような寸法態様と構造を備えることにより、1個の収納ケース404と1枚の仕切板との組合せで多様なレイアウトを可能とすることができる。例えば、横幅W1を備えた収納ケース402aでは、図21の(b),(d)で示すa,b,c,dのレイアウトが可能であり、横幅W2を備えた収納ケース402bでは、図21(c),(e)に示すe,f,g,hのレイアウトが可能となる。
このように本実施形態によれば、横幅Wの大きさの異なる2機種の冷蔵庫に同じ収納ケース404を搭載することができるから、部品点数を少なくして製品のシリーズ化が図れる。また、収納ケース404を設けることにより、収納ケース402を部分的に上下に2分割することが可能であるから、上部を使用頻度の高い食品の収納や小物食品、下部を使用頻度の低い食品や大物食品を収納することができる。なお、本実施形態では、横幅x1を273mm、横幅x2を200mm、厚さy1を70mmに設定している。
〔第2の実施形態〕
図22は第2の実施形態を示した断面図である。この実施形態に係る冷蔵庫1aは、前記第1の実施形態に較べて、冷気分配器508を下方に下げて、冷蔵室100を箱型にして広くしたものである。
図において、冷蔵庫1aは、冷蔵庫1の最上部に開閉ドア10を備えて配置される冷蔵室100と、該冷蔵室100の下方に配置される引出ドア20を備えた野菜室200と、該野菜室200の下方に配置される引出ドア30を備えた上部冷凍室300と、冷蔵庫1の最下部に配置される引出ドア40を備えた下部冷凍室400とから構成される。
また、下部冷凍室400の後方に圧縮機502を備えた機械室500、上部冷凍室300の後方に熱交換器504、野菜室200の後方下部にフアンモータ506、後方上部に冷気分配器508を配置している。そして、冷気分配器508の上端と、冷蔵室100と野菜室200を仕切る仕切板71とがほぼフラットになるように配置している。
このため、冷蔵室100に冷気分配器508が張り出さないので、冷蔵室100を箱型にして収納空間を広くすることができる。この実施形態では、冷蔵室100の最下部にチルド室104を配置して、該チルド室104の収納空間を広く形成している。また、この実施形態では、前記チルド室104と冷気分配器508とを隣接することができるので、周囲の貯蔵室より庫内温度の低いチルド室104に直接冷気を供給することができる。
〔第3〜第5の実施形態の概要〕
図23〜図27は、冷蔵庫の上部に冷蔵室100、中央に野菜室200、下部に冷凍室800を配置した他のドア構成の実施形態を示したものであり、図23が冷蔵室100と野菜室200を1枚の開閉ドア内に配置した本発明の第3の実施形態の外観図、図24が図23で示す冷蔵庫の各ドアを開いた状態の外観図、図25が開閉ドアを両開きドアとする本発明の第4の実施形態の冷蔵庫の外観図、図26が3ドアタイプの本発明の第5の実施形態の冷蔵庫の外観図、図27が図26で示す冷蔵庫の各ドアを開いた状態の外観図である。
〔第3の実施形態〕
図23、図24において、この実施形態に係る冷蔵庫1bは、冷蔵室100と野菜室200を断熱材で囲われた冷蔵野菜室700内に納め、その前面を1枚の開閉ドア702で開閉可能に構成した小型の冷蔵庫を示したものである。図において、符号1bで総括的に示すのは冷蔵庫は、冷蔵庫1の最上部に開閉ドア702を備えて配置される冷蔵野菜室700と、該冷蔵野菜室700の下方に配置される引出ドア30を備えた上部冷凍室300と、冷蔵庫1の最下部に配置される引出ドア40を備えた下部冷凍室400とから構成される。
また、冷蔵野菜室700の最下部に引出ドア20aを備えた野菜室200が配置されている。更に、冷蔵野菜室700と上部冷凍室300との間は断熱材5を備えた仕切壁70を設け、上部冷凍室300と下部冷凍室400の間には仕切壁72を設けている。そして、前記冷蔵庫1bは、冷蔵庫1bが置かれる床面Fから、前記冷蔵庫1bの開閉ドア702上端部までの高さをH1b、前記上部冷凍室300の引出ドア上端部までの高さをH3、前記下部冷凍室400の引出ドア上端部までの高さをH4、野菜室200の引出ドア上端部までの高さをH2に設定している。
例えば、この実施形態では、H1bを1521mm、H2を932mm、H3を611mm、H4を374mm、H2を910mmに設定している。また、横幅がW、奥行きがDに設定され、例えば、この実施形態では、Wを590mm、Dを665mmに設定している。
冷蔵野菜室700は、冷蔵野菜室700を上下に複数に仕切る棚102と可変棚124と、最下部に配置される野菜室200と、開閉ドア702の内側に取付けられる複数のトレー126を備えている。この冷蔵野菜室700は、庫内温度が4°Cに設定され、貯蔵室で最も大きな収納容積VR1を備えている。
また、野菜室200は引出ドア20aを備えて3°Cに設定され、収納容積VVを備えている。また、野菜室200は、周側面がほぼ垂直で上方が開放した収納ケース202aが前記引出ドア20aと一体に形成されている。
また、収納ケース202aの上部後方には、前記収納ケース202aと連動して、あるいは引出ドア20aの開いた状態で独立して出し入れ可能な、図16と同様な、他の収納ケース(図示せず)が配置されている。この2段構造により野菜の縦積みを軽減して鮮度維持を図り、収納性を向上することができる。
上部冷凍室300と下部冷凍室400の詳細、及び機械室500、熱交換器504等の配置は前記第1の実施形態とほぼ同様なため説明を省略する。
なお、この実施形態では、例えば、全体の収納容積Vを300l(リットル)とし、冷蔵野菜室700の収納容積VR1を200l、上部冷凍室300と下部冷凍室400との合計の冷凍室800の収納容積VFを100L、野菜室200の収納容積VVを50l、野菜室200を除いた冷蔵室100に相当する実質収納容積VRを150lに設定している。ここで、上部冷凍室300の収納容積VF1と下部冷凍室400の収納容積VF2をほぼ同じ大きさとしている。
また、この実施形態では、小型化を図るためにチルド室を取り除いて、冷蔵室100に相当する冷蔵野菜室700の広さを確保して、チルド室の高さ分だけ冷蔵庫の高さを低くしているが、チルド室を野菜室の200の上部に配置してもよい。また、この実施形態では、開閉ドア702の内側に取付けられる複数のトレー126aを最下部まで設けているために、野菜室200の収納容積VVを小さくしているが、野菜室200の前部の開閉ドア702の内壁をフラットとして野菜室200を前方に拡張すれば、収納容積VVを広くすることができる。
この冷蔵庫1bによれば、野菜室200を冷蔵野菜室700の開閉ドア702内に配置したので、野菜室200の断熱構造や引出構造を簡単でしかも小型にできるから、冷蔵庫1bの小型化に大きく貢献できる。しかも、この冷蔵庫1bによれば、貯蔵室の配置を使用頻度の高い順番にしたがって、上方から下方に順に冷蔵野菜室700、上部冷凍室300、下部冷凍室400が配置され、更に最も使用頻度の高い冷蔵室100と野菜室200を一つの開閉ドア702内に設けている。
したがって、前記開閉ドア702の開閉で冷蔵庫1bの作業の80%以上をまかなうことができる。更に、肘の高さを基準にして上方のドアを開閉ドア702とし、肘の高さより低いドアを引出ドア20a,30,40としているので、各貯蔵室のドア構造を動作姿勢に合った構造とすることができる。
〔第4の実施形態〕
図25において、この実施形態に係る冷蔵庫1cは、大容量の冷蔵庫を実現するために、高さ寸法を前記第1の実施形態と共通しているが、横幅Wを大きくし、冷蔵室100の開閉ドア710を2枚の開閉ドア710a,710bで構成して、両側のヒンジ部60で開閉可能にしたものである。
図25において、この実施形態に係る冷蔵庫1cは、その横幅と奥行き寸法を除いて前記第1の実施形態と同じ構造を持ち、更に、冷蔵庫1cが置かれる床面Fから、前記冷蔵庫1cの引出ドア上端部までの高さH1と、前記野菜室200の引出ドア上端部までの高さH2と、前記上部冷凍室300の引出ドア上端部までの高さH3、前記下部冷凍室400の引出ドア上端部までの高さH4と、を前記第1の実施形態と同様の寸法に設定している。
そして、横幅Wを前記第1の実施形態より大きい、例えば682mmに設定し、奥行きがDを665mmに設定している。開閉ドア710a,710bの中央側に縦ハンドル11a,11bがそれぞれ配置され、各開閉ドア710a,710bの内壁面に図示しない複数のトレー126が配置されている。
この冷蔵庫1cによれば、横幅Wを大きくして、冷蔵室100の開閉ドア710を2枚の開閉ドア710a、710bで構成することにより、大きな設計変更をともなうことなく大型化が図れ、しかも貯蔵室の使用頻度と使用者の動作姿勢に合った冷蔵庫1cを提供することができる。
〔第5の実施形態〕
図26、図27において、この実施形態に係る冷蔵庫1dは、最上部に配置した冷蔵室100と、中央に配置した野菜室200と、下部に配置した冷凍室800を、それぞれ1枚の開閉ドア10と、引出ドア20、引出ドア80で構成した3ドアの冷蔵庫1dである。
図において、この実施形態に係る冷蔵庫1dは、冷蔵庫1dが置かれる床面Fから、前記冷蔵庫1dの上端部までの高さH1と、前記野菜室200の引出ドア上端部までの高さH2と、前記冷凍室800の引出ドア上端部までの高さH3と、を前記第1の実施形態と同様の寸法に設定している。
また、冷凍室800の後方に機械室500と熱交換器504を配置し、野菜室200の後方にフアンモータ506と冷気分配器508を配置している(図22参照)。更に、冷蔵室100は、最下部にチルド室104と自動製氷器用の水タンク111を並設させている。また、野菜室200は、収納ケース202と収納ケース204の2段構造としている。また、冷凍室800は、図21で説明したトレー404(図示せず)を配置している。
この実施形態によれば、使用頻度の高い食品の出し入れをさほど損なうことなくドア枚数を減らすことができるから(第4の実施形態に比べて)、構造が簡単で原価低減が図れる小型の冷蔵庫を提供することができる。
なお、前記実施形態では、引出ドア20,30等を各貯蔵室に対して1枚づつ配置したが、これにこだわるものでなく、高さH2,H3が前記した使用者の体形に合ったものであればよく、横方向や縦方向に配置された複数の引出ドアで構成しても同様な効果を得ることができる。
例えば、横幅Wが非常に幅広い冷蔵庫については、各貯蔵室内を左右に仕切板を介して分割し、該仕切られたそれぞれの庫内に引出ドアを設けてもよい。