JP3977962B2 - プラズマ処理装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライエッチングやプラズマCVD等のプラズマ処理装置、特に高周波誘電方式のプラズマ処理装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子や液晶駆動用素子の微細化に対応して、ドライエッチング技術においては、高アスペクト比の加工を実現するために、またプラズマCVD技術においては高アスペクト比の埋め込みを実現するために、より高真空でプラズマ処理を行うことが求められている。
【0003】
例えば、ドライエッチングの場合においては、高真空において高密度プラズマを発生すると、被処理基板の表面に形成されるイオンシース中でイオンが中性ガス粒子等と衝突する確率が小さくなるために、イオンの方向性が被処理基板に向かって揃い、また電離度が高いために被処理基板に達するイオン対中性ラジカルの入射粒子束の比が大きくなる。したがって、エッチング異方性が高められ、高アスペクト比の加工が可能となる。
【0004】
高真空において高密度プラズマを発生させることができるフラズマ処理装置の1つとして、コイルまたはアンテナに高周波電力を印加することによって真空容器内に電磁波を導入し、プラズマを発生させる高周波誘電方式のプラズマ処理装置がある。この方式のプラズマ処理装置は、真空容器内に高周波磁界を発生させ、その高周波磁界によって真空容器内に誘導磁界を発生させて電子の加速を行い、プラズマを発生させるもので、コイル電流を大きくすれば、高真空においても高密度プラズマを発生することができ、十分な処理速度を得ることができる。
【0005】
高周波誘導方式のプラズマ処理装置の従来例を図3に示す。図3において、真空容器21の周壁に設けられたガス導入手段28から真空容器21内に適当なガスを導入しつつ排気を行って真空容器21内を適当な圧力に保ちながら、コイルまたはアンテナ用高周波電源22によりコイル24またはアンテナに高周波電力を印加して真空容器21内にプラズマを発生させることにより、電極25上に載置された被処理基板26に対してエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理を行うように構成されている。このとき、電極25上にも電極用高周波電源27により高周波電力を印加することで、被処理基板26に到達するイオンエネルギーを制御することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のプラズマ処理装置では、処理を重ねていくにつれて、誘電板に反応生成物が大量に堆積することがある。誘電板をコイル(またはアンテナ)側より加熱することにより反応生成物の堆積を低減し、メンテナンスサイクルを伸ばす方法などが実施されているが、実際には反応生成物の付着する真空容器側に熱が伝わり難く、大量に反応生成物が付着し、やはり頻繁に誘電板のメンテナンスを行う必要があった。
【0007】
また、被処理基板26上のガス流速分布、圧力分布に不均一が生じ易く、結果としてエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理に著しい不均一が生じることがあった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、誘電板への反応生成物の付着を低減し、誘電板のメンテナンスを容易にすることができ、また被処理基板上のガス流速分布、圧力分布の均一性を改善し、結果としてエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理の均一性を改善できるプラズマ処理装置及び方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマ処理装置は、真空容器と、前記真空容器の上面に配設された格子状枠体と、前記格子状枠体上に前記真空容器の内部に直面して配置された誘電板と、前記誘電板上に配置されたコイルまたはアンテナと、前記真空容器内に前記コイルまたはアンテナに対向して配置され基板を配置する電極と、前記コイルまたはアンテナに高周波電力を印加する高周波電源とで構成されるプラズマ処理装置において、前記誘電板を加熱する加熱手段を前記格子状枠体の前記誘電板と接する枠桟の上部に配設したものであり、真空容器の内部に直面して配置された誘電板を真空容器内側から加熱できることにより、生成物が付着する面の温度制御がし易く、正確に生成物の昇華温度に制御できるため、誘電板に反応生成物が大量に堆積することがなくなり、誘電板のメンテナンスサイクルを長くすることができ、かつ誘電板を格子状枠体にて支持できるとともに、格子状枠体の枠桟の上部の加熱手段にて誘電板を上記のように加熱できてその効果を得ることができる
【0011】
また、格子状枠体に、真空容器内にガスを導入する手段を設けると、そのガス吹き出し口を被処理基板に対して均等に配置することができ、被処理基板上のガス流速分布、圧力分布の均一性を改善し、結果としてエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理の均一性を改善することができる。
【0012】
また、本発明のプラズマ処理方法は、真空容器内にガスを導入しつつ排気を行って前記真空容器内を適当な圧力に保ちながら、前記真空容器の上面に配設された格子状枠体上に前記真空容器の内部に直面して設けられた誘電板上に配置されたコイルまたはアンテナに高周波電力を印加することにより前記真空容器内にプラズマを発生させ、前記真空容器内に前記コイルまたはアンテナに対向して配置された基板を処理するプラズマ処理方法において、前記誘電板を前記格子状枠体の前記誘電板と接する枠桟の上部に配置された加熱手段で加熱しながら前記基板を処理するものであり、上記のように誘電板への反応生成物の堆積を抑制して誘電板のメンテナンスサイクルを長くすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプラズマ処理装置及び方法の一実施形態について、図1、図2を参照して説明する。
【0015】
図1において、1は真空容器で、図示しない排気系によって真空排気可能に構成されている。真空容器1の上面には格子状枠体8が配設され、その上に誘電板3が配設されている。誘電板3上には、多重のコイル4又はアンテナが配設され、その一端に高周波電源2が接続されている。コイル4の他端は接地されている。真空容器1内には電極5が配設され、その上に被処理基板6を載置して保持可能に構成されている。また、電極5に電極用高周波電源7が接続され、電極5に高周波電力を印加することにより被処理基板6に到達するイオンエネルギーを制御できるように構成されている。
【0016】
格子状枠体8の誘電板3と接する枠桟8aの上部には、誘電板3を加熱するための加熱手段9が配設され、誘電板3の真空容器1内に臨む面を、反応生成物の昇華温度に調整可能に構成されている。加熱手段9は、ヒータや熱流体にて加熱された板などにて構成される。
【0017】
また、格子状枠体8の真空容器1内に臨む枠桟8aの下部には、図2に示すように、空洞からなるガス導入通路10が格子状に形成されるとともに、枠桟8aの下面からガス導入通路10に連通するように多数のガス吹き出し穴11が形成されている。ガス吹き出し穴11は、ガスが被処理基板6の全面に対して均等に分散配置されている。そして、これらガス導入通路10及びガス吹き出し穴11にてガス導入手段12が構成されている。また、ガス導入通路10の一端は格子状枠体8の外周面で開口され、ガス供給系13が接続されている。
【0018】
以上の構成において、被処理基板6をプラズマ処理する際には、電極5上に被処理基板6を載置し、真空容器1内にガス供給系13から適当なガスを導入しつつ排気系(図示せず)にて排気を行って真空容器1内を適当な圧力に保ちながら、コイル4またはアンテナに高周波電源2から高周波電力を印加して真空容器1内にプラズマを発生させる。これにより、電極5上に載置された被処理基板6に対してエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理が行われる。その際に、電極5に電極用高周波電源7により高周波電力を印加することで、被処理基板6に到達するイオンエネルギーが制御される。
【0019】
また、格子状枠体8の上部に設けた加熱手段9にて誘電板3を真空容器1の内側から加熱することによって、誘電板3の真空容器1内に臨む面の温度制御を的確に行うことができ、誘電板3の反応生成物が付着する面を正確に生成物の昇華温度に制御することができるため、誘電板3に対する反応生成物の付着を防止でき、誘電板3のメンテナンスサイクルを長くすることができる。
【0020】
また、ガス供給系13から供給されたガスが格子状枠体8の下部に設けたガス導入通路10を通ってガス吹き出し穴11から被処理基板6に対して均等に吹き出すことにより、被処理基板6上のガス流速分布、圧力分布を均一にすることができ、結果としてエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理の均一性を改善することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理装置及び方法によれば、以上のように誘電板を加熱する加熱手段を格子状枠体の誘電板と接する枠桟の上部に配設し、格子状枠体上に真空容器の内部に直面して配置された誘電板を真空容器内側から加熱するようにしたので、生成物が付着する面の温度制御がし易く、正確に生成物の昇華温度に制御できるため、誘電板に反応生成物が大量に堆積することがなくなり、誘電板のメンテナンスサイクルを長くすることができる。
【0023】
また、格子状枠体に、真空容器内にガスを導入する手段を設け、誘電板の下部に配設したガス導入手段から真空容器内にガスを導入するようにすると、そのガス吹き出し口を被処理基板に対して均等に配置することができ、被処理基板上のガス流速分布、圧力分布の均一性を改善し、結果としてエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理の均一性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のプラズマ処理装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】同実施形態の格子状枠体の下面図である。
【図3】従来例のプラズマ処理装置の概略構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 真空容器
2 高周波電源
3 誘電板
4 コイル
6 被処理基板
8 格子状枠体
9 加熱手段
10 ガス導入通路
11 ガス吹き出し穴
12 ガス導入手段

Claims (3)

  1. 真空容器と、前記真空容器の上面に配設された格子状枠体と、前記格子状枠体上に前記真空容器の内部に直面して配置された誘電板と、前記誘電板上に配置されたコイルまたはアンテナと、前記真空容器内に前記コイルまたはアンテナに対向して配置され基板を配置する電極と、前記コイルまたはアンテナに高周波電力を印加する高周波電源とで構成されるプラズマ処理装置において、前記誘電板を加熱する加熱手段を前記格子状枠体の前記誘電板と接する枠桟の上部に配設したことを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 格子状枠体に、真空容器内にガスを導入する手段を設けたことを特徴とする請求項記載のプラズマ処理装置。
  3. 真空容器内にガスを導入しつつ排気を行って前記真空容器内を適当な圧力に保ちながら、前記真空容器の上面に配設された格子状枠体上に前記真空容器の内部に直面して設けられた誘電板上に配置されたコイルまたはアンテナに高周波電力を印加することにより前記真空容器内にプラズマを発生させ、前記真空容器内に前記コイルまたはアンテナに対向して配置された基板を処理するプラズマ処理方法において、前記誘電板を前記格子状枠体の前記誘電板と接する枠桟の上部に配置された加熱手段で加熱しながら前記基板を処理することを特徴とするプラズマ処理方法。
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