JP3977036B2 - 安定化電源装置および安定化電源デバイス - Google Patents

安定化電源装置および安定化電源デバイス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチトキャパシタ型の安定化電源装置および安定化電源デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9に、入力電圧の2倍の出力電圧を得るスイッチトキャパシタ型の安定化電源装置101の構成を示す。安定化電源装置101は、集積化部分101aと、その外部の昇圧コンデンサC101、入力コンデンサC102、および出力コンデンサC103とから構成される。集積化部分101aは、スイッチS101・S102・S103・S104、コントロール部111、コンパレータ112、基準電圧源113、および分圧抵抗R101・R102を備えている。さらに集積化部分101aは、出力電圧Vo を出力する出力端子T101、電池などの電源から入力電圧Vinが入力される入力端子T102、GND端子T103、昇圧コンデンサC101の低電位側の電極C−が接続されるコンデンサ接続端子T104、および昇圧コンデンサC101の高電位側の電極C+が接続されるコンデンサ接続端子T105を備えている。
【0003】
この安定化電源装置101ではスイッチS101・S102・S103・S104および昇圧コンデンサC101でスイッチトキャパシタ部が構成される。コントロール部111はスイッチトキャパシタ部のスイッチS101・S102・S103・S104によるスイッチング動作を制御する。コントロール部111によってスイッチS101・S103がON状態、かつスイッチS102・S104がOFF状態とされ、入力コンデンサC102を介して入力端子T102に入力電圧Vinが印加されると、昇圧コンデンサC101に充電が行われる。次いでコントロール部111によってスイッチS101・S103がOFF状態、かつスイッチS102・S104がON状態とされると、昇圧コンデンサC101の各電極電位が入力端子T102の電位分だけ上昇する。このような動作によって昇圧された電圧が出力電圧Vo として出力コンデンサC103を介して出力される。
【0004】
出力電圧Vo は分圧抵抗R101・R102によって検出されており、分圧抵抗R101と分圧抵抗R102との接続点の電圧Vfb101がコンパレータ112の非反転入力端子に入力される。コンパレータ112はこの電圧Vfb101を、基準電圧源113によって発生されて反転入力端子に入力される基準電圧Vref 101と比較する。電圧Vfb101が基準電圧Vref 101に達するとコンパレータ112はコントロール部111へ信号を出力してスイッチS101・S102・S103・S104のスイッチング動作を停止させる。コンパレータ112はヒステリシス機能付きのコンパレータであり、スイッチング動作が停止して出力電圧Vo が低下、すなわち電圧Vfb101が低下するとコントロール部111に信号を出力して再びスイッチS101・S102・S103・S104にスイッチング動作を開始させる。安定化電源装置101は、上記の動作を繰り返すことにより出力電圧Vo を安定化する。
【0005】
ところで、スイッチS101・S102・S103・S104は例えばMOSFETからなり、負荷への電力供給時にはこれらMOSFETのチャンネルのON抵抗により電流が制限され、出力電圧Vo はチャンネルでの電圧降下分が差し引かれたものとなる。電流が流れている状態では(MOSFETのチャンネルを流れる電流の2乗)×(チャンネルのON抵抗)が電力損失となり、発熱を伴う。出力端子T101の短絡などにより過電流が流れる状態では、上記電力損失が非常に大きく単位時間あたりの発熱量が非常に大きいので、安定化電源装置101は過電流状態を検出するために、発熱による大きな温度上昇を検出してコントロール部111の動作を停止させる加熱検出回路114を備えている。加熱検出回路114によってコントロール部111の動作を停止させ、安定化電源装置101の出力を遮断すると発熱が止むので、過電流要因を除去した後、温度が低下すると再びコントロール部111に動作を開始させる。従来はこのようにして過電流保護を行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の安定化電源装置101では、過電流が流れた場合に、発生した熱が加熱検出回路114に伝達されて、加熱検出回路114での検出箇所の温度が、検出される過電流に対応した規定の温度に達するまでにある程度の時間を要する。従って、この間に、あるいは後に伝達される熱によって安定化電源装置101を搭載している基板の温度が上昇し、変色など基板の劣化や損傷、さらには基板に搭載されている部品の劣化や損傷を招来するという問題が発生していた。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、過電流が流れても、発熱による基板および部品の劣化や損傷を防止することのできるスイッチトキャパシタ型の安定化電源装置、および安定化電源デバイスを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の安定化電源装置は、上記課題を解決するために、スイッチトキャパシタ動作を行う電力供給経路から電力を供給するスイッチトキャパシタ型の安定化電源装置において、上記電力供給経路に過電流が流れる過電流状態を検出する過電流状態検出手段と、上記過電流状態検出手段が上記過電流状態を検出すると上記過電流が遮断されるようにせる過電流遮断制御手段と、起動期間に上記過電流状態検出手段が上記過電流状態を検出しても上記過電流遮断制御手段による上記過電流の遮断制御を阻止する過電流遮断制御阻止手段とを備え、起動の最初の過電流遮断阻止期間が経過した後においても、継続して前記過電流遮断制御阻止手段が過電流遮断阻止期間以内の過電流については、過電流遮断制御を阻止することを特徴とする。
【0011】
上記の発明によれば、過電流状態検出手段によって過電流状態が検出されてから過電流遮断制御手段が電力供給経路の過電流が即時に遮断されるようにスイッチトキャパシタ動作を停止することにより、過電流による大きな発熱は抑えられる。
【0012】
ここで、過電流遮断制御阻止手段が設けられているので、起動期間に過電流状態検出手段が過電流状態を検出しても過電流遮断制御手段による過電流の遮断制御は阻止され、起動は確実に行われる。起動期間は非常に短いので、この間の過電流による発熱が安定化電源装置が搭載されている基板や、基板に搭載されている部品に悪影響を及ぼすことはない。
【0013】
以上により、過電流が流れても、発熱による基板および部品の劣化や損傷を防止することのできる安定化電源装置を提供することができる。
【0014】
さらに本発明の安定化電源装置は、上記課題を解決するために、上記過電流遮断制御阻止手段は、上記起動期間の開始から上記起動期間内で少なくとも起動に起因する過電流が流れ得る時間が経過するまでの期間を、上記過電流状態検出手段が上記過電流状態を検出しても上記過電流遮断制御手段による上記過電流の遮断制御を阻止する阻止期間に設定する阻止期間設定部を備えていることを特徴としている。
【0015】
上記の発明によれば、過電流遮断制御阻止手段は、起動開始から阻止期間設定部が設定した阻止期間が経過するまでは、過電流状態検出手段が過電流状態を検出しても過電流遮断制御手段による過電流の遮断制御を阻止する。阻止期間は、起動期間の開始から起動期間内で少なくとも起動に起因する過電流が流れ得る時間が経過するまでの期間であり、起動に起因する過電流が起動開始初期に現れることを利用して、起動開始から連続した阻止期間に過電流遮断制御手段による過電流の遮断制御を阻止するので、遮断制御の阻止を容易に行うことができる。
【0016】
さらに本発明の安定化電源装置は、上記課題を解決するために、上記阻止期間設定部は、上記起動期間の開始とともに所定端子電圧から充電あるいは放電を行うコンデンサと、上記コンデンサの端子電圧を検出し、上記起動期間の開始から、上記端子電圧が起動に起因する上記過電流の終了後に対応する所定値に達することを検出するまでの期間を上記阻止期間に設定するコンデンサ端子電圧検出部とを備えていることを特徴としている。
【0017】
上記の発明によれば、阻止期間設定部が備えるコンデンサは起動期間の開始とともに所定端子電圧から充電あるいは放電を開始する。コンデンサ端子電圧検出部はコンデンサの端子電圧を検出し、起動期間の開始から、コンデンサの端子電圧が起動に起因する過電流の終了後に対応する所定値に達することを検出するまでの期間を阻止期間に設定し、過電流遮断制御阻止手段はこの阻止期間に過電流遮断制御手段による出力の遮断を阻止する。従って、阻止期間をコンデンサの充電あるいは放電の速さを変えることにより容易に設定することができる。
【0018】
さらに本発明の安定化電源装置は、上記課題を解決するために、上記阻止期間設定部は、上記電力供給経路の出力電圧を検出し、上記起動期間の開始から上記出力電圧が起動に起因する上記過電流の終了後に対応する所定電圧に上昇することを検出するまでの期間を上記阻止期間に設定する出力電圧検出部を備えていることを特徴としている。
【0019】
上記の発明によれば、出力電圧検出部によって電力供給経路の出力電圧を検出し、起動期間の開始から、出力電圧が起動に起因する過電流の終了後に対応する所定電圧に上昇することを検出するまでの期間を阻止期間に設定し、過電流遮断制御阻止手段はこの阻止期間に過電流遮断制御手段による過電流の遮断制御を阻止する。このように、出力電圧を検出して阻止期間を設定することにより、阻止期間を設定する構成を簡略化することができる。
【0020】
さらに本発明の安定化電源装置は、上記課題を解決するために、上記過電流遮断制御阻止手段は、上記阻止期間に続いて上記過電流遮断制御手段による上記過電流の遮断制御の阻止を、設定された期間だけ継続させる過電流遮断阻止継続部を備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、阻止期間が経過した後も、過電流遮断阻止継続部によって、設定された期間だけ過電流遮断制御手段による過電流の遮断制御の阻止を継続する。従って、阻止期間の後の所定期間内に過電流が流れるとしても、その過電流は瞬時的であって対処するほどではないような事態しか発生しない場合に、遮断阻止の継続期間を上記所定期間に設定することにより、上記事態が発生した際にその都度過電流の遮断が行われて電力供給が妨げられることを防止することができる。また、対処するほどではないような事態で過電流が遮断されてユーザが対処すべきものと誤って判断することも避けられる。
【0022】
さらに本発明の安定化電源装置は、上記課題を解決するために、上記過電流状態検出手段は、スイッチトキャパシタ動作を行う上記電力供給経路のスイッチにおける導通時の導通経路両端間を上記所定箇所として上記電圧降下を検出することを特徴としている。
【0023】
上記の発明によれば、過電流状態検出手段は、スイッチトキャパシタ動作を行う電力供給経路のスイッチにおける導通時の導通経路両端間の電圧降下を検出することにより、過電流状態を検出するので、電圧降下を検出するための所定箇所を別途設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。特に、電圧降下を発生させるために別途抵抗などを電力供給経路に挿入しなくてもよいので、過電流検出のために生じる損失を増加させないようにすることができる。
【0024】
さらに本発明の安定化電源装置は、上記課題を解決するために、上記過電流状態検出手段は、1つの上記スイッチの上記所定箇所でのみ上記電圧降下を検出することを特徴としている。
【0025】
上記の発明によれば、1つのスイッチの所定箇所でのみ電圧降下を検出することにより過電流を検出するので、過電流状態検出手段の構成や、過電流状態検出手段と所定箇所との間の配線を簡略化することができる。
【0026】
さらに本発明の安定化電源装置は、上記課題を解決するために、上記過電流遮断制御手段が上記過電流の遮断制御を行ったときに上記過電流の遮断に伴う上記電力供給経路の出力の遮断を示す出力遮断信号を出力する遮断信号出力手段を備えていることを特徴としている。
【0027】
上記の発明によれば、過電流状態検出手段によって過電流状態が検出されて過電流遮断制御手段によって過電流の遮断制御が行われ、電力供給経路の出力が遮断されたときに、遮断信号出力手段が出力遮断信号を出力して出力の遮断を示すことができるので、出力遮断されたことを容易かつ確実に認識することができる。また、出力遮断信号を電力を供給する負荷機器に入力するようにすれば、出力遮断に対応した動作を負荷機器側で行うことができ、負荷機器の誤動作を防止することができる。
【0028】
また、本発明の安定化電源デバイスは、上記課題を解決するために、前記いずれかに記載の安定化電源装置の集積回路化された部分を備えてパッケージ化されていることを特徴としている。
【0029】
上記の発明によれば、前述の安定化電源装置の集積回路化された部分を備えて7パッケージ化されているので、基板に実装する部品として小型化することができる。
さらに本発明の安定化電源装置は、上記課題を解決するために、上記過電流状態検出手段は、上記過電流が流れる所定箇所で上記過電流に対応して生じる電圧降下を検出することにより上記過電流状態を検出することを特徴としている。
上記の発明によれば、過電流状態検出手段は、電力供給経路に過電流が流れると、過電流が流れる所定箇所で過電流に対応して生じる電圧降下を検出することにより電力供給経路が過電流状態であることを検出する。過電流による所定箇所での上記電圧降下は過電流と同時に発生するので、過電流状態検出手段は過電流が流れると、即時にこれを検出することができる。
また、スイッチトキャパシタ型の安定化電源装置であるので、スイッチトキャパシタ動作を行うスイッチによって上記所定箇所と遮断されている箇所があってそこでまず過電流が流れ、次いでスイッチが導通することにより、遮断箇所よりも遅れて上記所定箇所に過電流が流れる場合もあり得る。しかし、スイッチのスイッチング周期は非常に短いので、スイッチによって遮断されている箇所で先に過電流が流れたとしても、上記所定箇所に過電流が流れるまでの時間は非常に短く、過電流状態検出手段による過電流状態の検出の遅延は無視できるほどである。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の安定化電源装置を具現する実施の一形態について図1ないし図8を用いて説明すれば以下の通りである。
【0031】
図1に、本実施の形態に係る安定化電源装置1の構成を示す。安定化電源装置1はスイッチトキャパシタ型の電源回路であり、集積化部分1aと、その外部に接続される昇圧コンデンサC1、入力コンデンサC2、および出力コンデンサC3を備えている。
【0032】
集積化部分1aはリードピン端子として、負荷に接続されて負荷に印加される出力電圧Vo を出力する出力端子T1、電源から入力電圧Vinが入力される入力端子T2、GND端子T3、および昇圧コンデンサC1が接続されるコンデンサ接続端子T4・T5を備えている。
【0033】
集積化部分1aの外部では、昇圧コンデンサC1の低電位側の電極C−がコンデンサ接続端子T4に、昇圧コンデンサC1の高電位側の電極C+がコンデンサ接続端子T5にそれぞれ接続されている。入力コンデンサC2は入力端子T2とGND線との間に接続されている。出力コンデンサC3は出力端子T1とGND線との間に接続されている。また、GND端子T3は集積化部分1aの外部のGND線に接続されている。
【0034】
昇圧コンデンサC1は、入力電圧Vinに基づいた充電が行われるとともに、充電後の昇圧が行われるコンデンサである。入力コンデンサC2は、安定化電源装置1の外部に設けられた電源から充電が行われて入力端子T2に入力電圧Vinを印加するコンデンサである。出力コンデンサC3は、出力端子T1を介して昇圧コンデンサC1から充電が行われて出力電圧Vo を出力するコンデンサである。
【0035】
集積化部分1aにおいて、出力端子T1と入力端子T2とを結ぶ経路に、この経路の導通および遮断を行うスイッチS1とスイッチS2とが、スイッチS2を出力端子T1側として直列に接続されている。また、入力端子T2と集積化部分1aの内部のGND線とを結ぶ経路に、この経路の導通および遮断を行うスイッチS3とスイッチS4とが、スイッチS4を入力端子T2側として直列に接続されている。さらにスイッチS1とスイッチS2との接続点はコンデンサ接続端子T5に、スイッチS3とスイッチS4との接続点はコンデンサ接続端子T4にそれぞれ接続されている。スイッチS1〜S4は例えばMOSFETで構成される。
【0036】
上記スイッチS1・S2・S3・S4と昇圧コンデンサC1とでスイッチトキャパシタ部が構成されている。また、出力端子T1と入力端子T2とを結びスイッチS1・S2を備える経路、入力端子T2と集積化部分1aの内部のGND線とを結びスイッチS3・S4を備える経路、スイッチS1とスイッチS2との接続点とスイッチS3とスイッチS4との接続点とを結び昇圧コンデンサC1を備える経路、入力コンデンサC2と入力端子T2とを結ぶ経路、および、出力端子T1と出力コンデンサC3とを結ぶ経路は、スイッチトキャパシタ動作を行う電力供給経路を構成している。
【0037】
さらに、集積化部分1aは、コントロール部2、コンパレータ3、直流電圧源4、過電流検出回路5、出力遮断回路6、出力遮断阻止回路7、および分圧抵抗R1・R2を備えている。
【0038】
コントロール部2はスイッチS1・S2・S3・S4のON状態(導通状態)およびOFF状態(遮断状態)を制御する。制御には、スイッチS1とスイッチS3とを同時にON状態あるいはOFF状態とする信号aを出力するとともに、スイッチS2とスイッチS4とを同時にON状態あるいはOFF状態とする信号bを出力する。スイッチS1・S2・S3・S4はこれによりON状態とOFF状態とを切り換えるスイッチング動作を行う。
【0039】
スイッチング動作により、スイッチS1・S3の組がON状態でスイッチS2・S4の組がOFF状態となって昇圧コンデンサC1に入力電圧Vinの印加による充電が行われる充電期間と、スイッチS1・S3の組がOFF状態でスイッチS2・S4の組がON状態となって昇圧コンデンサC1での昇圧および昇圧コンデンサC1から出力コンデンサC3への充電が行われる昇圧期間とが交互に切り換わる。
【0040】
コンパレータ3は、スイッチS1・S2・S3・S4にスイッチング動作を開始させるタイミングおよび停止させるタイミングを決定させるための信号cを上記コントロール部2に入力する。分圧抵抗R1と分圧抵抗R2とは、スイッチS2の出力端子T1側の一端である点PとGND線との間に分圧抵抗R1を出力端子T1側として直列に接続されている。分圧抵抗R1と分圧抵抗R2とは点Pの電圧を分圧する分圧回路を構成している。コンパレータ3の非反転入力端子は分圧抵抗R1と分圧抵抗R2との接続点に接続されている。分圧抵抗R1と分圧抵抗R2との接続点に現れる分圧は出力電圧Vo に対応していて、この分圧がフィードバック電圧Vfb1として上記非反転入力端子に印加される。コンパレータ3の反転入力端子は直流電圧源4の正極に接続されている。直流電圧源4は基準電圧Vref 1を発生して上記反転入力端子に印加する。
【0041】
コンパレータ3はヒステリシス機能を有しており、分圧抵抗R1・R2から非反転入力端子に入力されるフィードバック電圧Vfb1と、反転入力端子に入力される基準電圧Vref 1とを比較して、フィードバック電圧Vfb1が基準電圧Vref 1に達するとスイッチS1・S2・S3・S4にスイッチング動作を停止させる指示を与える信号cをコントロール部2に出力し、フィードバック電圧Vfb1が基準電圧Vref 1より定められた値だけ低下するとスイッチS1・S2・S3・S4にスイッチング動作を開始させる指示を与える信号cをコントロール部2に出力する。上記定められた値は、安定化電源装置1の動作中一定であってもよいし、その時点ごとに異なるものであってもよい。
【0042】
また、安定化電源装置1の起動前にはコントロール部2によってスイッチS1・S2・S3・S4は全てOFF状態にあり、起動開始後にコントロール部2によってスイッチS1・S3の組がON状態、スイッチS2・S4の組がOFF状態とされ、スイッチング動作が充電期間から始まるようになっている。そして、起動開始からスイッチS1・S2・S3・S4のスイッチング動作により、コンパレータ3によるスイッチング動作の停止の有無いかんに関わらず、複数回の昇圧期間を経て出力コンデンサC3の充電電圧が定常時の出力電圧Vo の範囲内に安定する。
【0043】
過電流検出回路(過電流状態検出手段)5は、安定化電源装置1の前述した電力供給経路上の所定箇所に過電流が流れると、その過電流に対応して生じる所定箇所での電圧降下を検出するように設けられている。図1では、例えば、出力端子T1と入力端子T2とを結びスイッチS1・S2を備える経路上の、点Pと出力端子T1との間にある所定箇所に流れる過電流を検出するように図示されている。所定箇所は複数設けられていてもよく、電力供給経路を流れる過電流を漏れなく検出することができるように、安定化電源装置1の構成に応じて適宜決定される。過電流を検出する方法としては、所定箇所を抵抗で構成し、該抵抗での電圧降下を検出する方法などがある。過電流検出回路5は、上記所定箇所に過電流が流れたことを検出することにより、電力供給経路に過電流が流れる過電流状態を検出し、過電流状態を検出したことを示す信号dを検出後即時に出力して出力遮断回路6に入力する。
【0044】
出力遮断回路(過電流遮断制御手段)6は、過電流検出回路5から過電流状態を検出したことを示す信号dが入力されると、コントロール部2に信号cに優先してスイッチS1・S2・S3・S4にOFF状態でスイッチング動作を停止させる指示を与える信号eを上記信号dの入力後即時に出力する。これにより、出力遮断回路6は安定化電源装置1の電力供給経路の出力を遮断する。すなわち、出力遮断回路6は安定化電源装置1の電力供給経路を流れる過電流が遮断されるようにスイッチトキャパシタ動作を制御する。
【0045】
出力遮断阻止回路(過電流遮断制御阻止手段)7は、安定化電源装置1が起動開始から出力電圧Vo が定常状態に安定化するまでの出力の起動期間に、過電流検出回路5が過電流状態を検出しても出力遮断回路6による出力の遮断制御を阻止する。すなわち、出力遮断阻止回路7は、出力遮断回路6による過電流の遮断制御を阻止する。出力の遮断阻止を行うには、出力遮断回路6がスイッチング動作を停止させる指示を与える信号eを出力しないように指示する、すなわち出力を遮断しないように指示する信号fを、過電流検出回路5による過電流状態の検出後即時に出力して出力遮断回路6に入力する。
【0046】
なお、上述の過電流検出回路5、出力遮断回路6、および出力遮断阻止回路7は、必ずしも集積化部分1aの内部のみに設けられるものではなく、集積化部分1aの外部のみに設けられたり、内部および外部のそれぞれに部分的に設けられていても構わない。
【0047】
以上が集積化部分1aの構成である。
【0048】
次に、上記の構成の安定化電源装置1の電力供給動作について説明する。まず、入力端子T2に入力コンデンサC2を介して入力電圧Vinが入力され、起動が開始されると、コントロール部2から出力される信号aによってスイッチS1・S3がON状態、コントロール部2から出力される信号bによってスイッチS2・S4がOFF状態となる。これにより、充電期間となって昇圧コンデンサC1に充電が行われる。次いで、コントロール部2から出力される信号aによってスイッチS1・S3がOFF状態、コントロール部2から出力される信号bによってスイッチS2・S4がON状態となる。これによって昇圧期間となって、昇圧コンデンサC1の電極C−の電位がGND電位から入力端子T2の電位に上昇し、電極C+の電位が電極C−の電位上昇分だけ上昇して、昇圧が行われる。昇圧コンデンサC1で昇圧が行われると同時に出力コンデンサC3に充電が行われ、出力コンデンサC3は、昇圧コンデンサC1から充電が行われることにより得た充電電圧を出力電圧Vo として出力する。定常時の昇圧期間には電極C+の電位は2Vinとなる。従って、出力コンデンサC3に電圧2Vinの印加に伴う充電が行われる。出力電圧Vo は負荷に印加される。以後、この充電期間と昇圧期間とが交互に切り換わって、出力コンデンサC3の充電電圧すなわち出力電圧Vo が定常時の出力電圧Vo に安定していく。
【0049】
また、起動開始後は出力電圧Vo は分圧抵抗R1・R2によって検出され、分圧抵抗R1と分圧抵抗R2との接続点のフィードバック電圧Vfb1が検出値としてコンパレータ3の非反転入力端子に入力される。コンパレータ3はフィードバック電圧Vfb1と直流電圧源4の基準電圧Vref 1とを比較する。起動開始時にはフィードバック電圧Vfb1が基準電圧Vref 1よりも定められた値を越えて低く、コンパレータ3はコントロール部2にスイッチング動作を開始させる指示を与える信号cを出力するので、スイッチング部5はスイッチング動作を行う。出力電圧Vo が上昇するにつれてフィードバック電圧Vfb1が上昇して基準電圧Vref 1に達すると、コンパレータ3はコントロール部2にスイッチング動作を停止させる指示を与える信号cを出力するので、スイッチング部5はスイッチング動作を停止する。
【0050】
スイッチング動作の停止後、負荷への電力供給により出力電圧Vo は低下していき、フィードバック電圧Vfb1が基準電圧Vref 1よりも定められた値だけ低くなると、コンパレータ3はコントロール部2にスイッチング動作を開始させる指示を与える信号cを出力するので、スイッチS1〜S4は再びスイッチング動作を行う。これを繰り返して安定化電源装置1の出力電圧Vo は安定化する。
【0051】
次に、過電流について説明する。
【0052】
まず、安定化電源装置1の起動に伴って電力供給経路に流れる過電流について説明する。起動期間において、起動開始時にはまずスイッチS1・S3がON状態でスイッチS2・S4がOFF状態となって充電期間となる。このとき昇圧コンデンサC1に流れ込む電流は、入力電圧Vin(入力コンデンサC2の高電位側端子の電位)と昇圧コンデンサC1の電極C+の電位との差、および入力コンデンサC2から昇圧コンデンサC1に至る経路の抵抗分によって決まる。上記経路の抵抗は、通常、スイッチS1・S3の導通経路の抵抗で決まる。このとき昇圧コンデンサC1に全く充電電荷がない場合や少ししかなくて入力電圧Vinと電極C+の電位との差が大きかったり、経路の抵抗分が小さいと、スイッチS1・S3のON直後には大きな電流が流れるので、この電流が規定値以上であると過電流となる。
【0053】
次いで、スイッチS1・S3がOFF状態でスイッチS2・S4がON状態となって昇圧期間となる。このとき、出力端子T1に負荷が接続されていない場合は、出力コンデンサC3に流れ込む電流は、昇圧コンデンサC1の電極C+の電位と出力コンデンサC3の高電位側端子の電位との差、および昇圧コンデンサC1から出力コンデンサC3に至る経路の抵抗分によって決まる。上記経路の抵抗は、通常、スイッチS2・S4の導通経路の抵抗によって決まる。このとき出力コンデンサC3に全く充電電荷がない場合や少ししかなくて電極C+の電位と出力コンデンサC3の高電位側端子の電位との差が大きかったり、経路の抵抗分が小さいと、スイッチS2・S4のON直後には大きな電流が流れるので、この電流が規定値以上であると過電流となる。また、出力端子T1に負荷が接続されている場合には、昇圧コンデンサC1から出力コンデンサC3への充電電流以外に負荷側への電流が流れるので、出力コンデンサC3の電圧は上昇速度が小さく、スイッチS2・S4のON直後に大きな電流が流れる期間は長くなる。
【0054】
充電期間と昇圧期間とが交互に繰り返されるにあたって、2回目の充電期間には昇圧コンデンサC1には残留分の電荷による充電電圧がある状態から充電が行われるので、スイッチS1・S3のON直後に昇圧コンデンサC1に流れ込む電流は1回目の充電期間よりも小さくなる。また、2回目の昇圧期間には出力コンデンサC3には負荷の接続・非接続を問わず前回充電分の電荷による充電電圧がある状態から充電が行われるので、スイッチS2・S4のON直後に出力コンデンサC3に流れ込む電流は1回目の昇圧期間よりも小さくなる。そして、2回目の昇圧期間終了時に昇圧コンデンサC1の残留電荷による充電電圧は1回目の昇圧期間終了時よりも高くなる。従って、以降の充電期間にスイッチS1・S3のON直後に昇圧コンデンサC1に流れ込む電流、および以降の昇圧期間にスイッチS2・S4のON直後に出力コンデンサC3に流れ込む電流は次第に小さくなる。
【0055】
上記の起動期間における過電流は遮断すべきものではないが、過電流検出回路5がこの過電流が流れる過電流状態を検出して出力遮断回路6に過電流状態を検出したことを示す信号dを入力したとしても、出力遮断阻止回路7が出力を遮断しないように指示する信号fを出力遮断回路6に入力することにより、出力遮断回路6がスイッチング動作を停止させる指示を与える信号eをコントロール部2に入力することが防止される。電流が流れることによる発熱は電力供給経路上の抵抗分で発生し、主にスイッチS1〜S4の導通経路の抵抗や、昇圧コンデンサC1、入力コンデンサC2、および出力コンデンサC3の内部抵抗が抵抗分となる。しかし、起動期間は長くても500ms程度であり、この間に起動に伴う過電流が流れたとしてもそれによる抵抗分での発熱量は僅かである。
【0056】
次に、起動期間が経過した後に安定化電源装置1の電力供給経路に流れる過電流について説明する。まず、出力端子T1に負荷が接続されている状態で過負荷となって過電流が流れる場合がある。過負荷発生時に安定化電源装置1が充電期間にある場合には、まず出力コンデンサC3から負荷側へ流れる電流が過電流となり、次いで、安定化電源装置1が昇圧期間に移行した時点で、充電電圧が低下した出力コンデンサC3へ流れる電流と、負荷側へ流れる電流とによって安定化電源装置1の電力供給経路に過電流が流れる。過負荷発生時に安定化電源装置1が昇圧期間にある場合には、昇圧コンデンサC1の出力コンデンサC3への充電電荷が十分に残留していれば、出力コンデンサC3へ流れる電流と、負荷側へ流れる電流とによって安定化電源装置1の電力供給経路に過電流が流れる。昇圧コンデンサC1の充電電荷が十分に残留していなければ、まず次の充電期間で昇圧コンデンサC1への充電電流が電力供給経路の過電流となり、さらに次の昇圧期間で出力コンデンサC3へ流れる電流と、負荷側へ流れる電流とによって電力供給経路に過電流が流れる。
【0057】
次に、短絡によって過電流が流れる場合がある。出力コンデンサC3よりも負荷側で短絡が発生した場合には、前述した過負荷発生時と同様の過電流が流れる。また、例えば金属片などが舞い込んできたり、半田付け不良があったりして出力端子T1がGND線と短絡したとすると、短絡発生時に安定化電源装置1が充電期間にある場合には、まず出力コンデンサC3、および、負荷が接続されていれば負荷側から出力端子T1を介してGND線に過電流が流れる。次いで、安定化電源装置1が昇圧期間に移行した時点で昇圧コンデンサC1からも出力端子T1を介してGND線に過電流が流れる。これにより、安定化電源装置1の電力供給経路に過電流が流れる。また、短絡発生時に安定化電源装置1が昇圧期間にある場合には、出力コンデンサC3から、および、負荷が接続されていれば負荷側から出力端子T1を介してGND線に過電流が流れ、昇圧コンデンサC1の出力コンデンサC3への充電電荷が十分に残留していれば昇圧コンデンサC1から出力端子T1を介してGND線に過電流が流れる。昇圧コンデンサC1の充電電荷があまり残留していなければ、まず次の充電期間で昇圧コンデンサC1への充電電流が電力供給経路の過電流となり、さらに次の昇圧期間で昇圧コンデンサC1から出力端子T1を介してGND線に過電流が流れる。
【0058】
さらに、他の短絡として、コンデンサ接続端子T5がGND端子と短絡する場合などもある。短絡発生時に安定化電源装置1が充電期間にある場合には、まず入力端子T2からコンデンサ接続端子T5を介してGND線に、すなわち電力供給経路に過電流が流れる。次いで、この状態でスイッチS2がON状態となることが可能であれば、安定化電源装置1が昇圧期間に移行した時点で、出力コンデンサC3から出力端子T1、スイッチS2、およびコンデンサ接続端子T5を介してGND線に過電流が流れる。短絡発生時に安定化電源装置1が昇圧期間にある場合には、まず出力コンデンサC3から出力端子T1、スイッチS2、およびコンデンサ接続端子T5を介してGND線に過電流が流れる。出力コンデンサC3からの過電流は出力コンデンサC3の充電電荷が少なくなった時点で止むが、この状態でスイッチS1がON状態となることが可能であれば、スイッチS1がON状態となったときに入力端子T2からスイッチS1およびコンデンサ接続端子T5を介してGND線に過電流が流れる。
【0059】
起動期間が経過した後に流れる上記の過電流は全て遮断しなければならない。過電流検出回路5が図1に図示した所定箇所で過電流を検出する場合を例にとると、過負荷状態による過電流や、出力端子T1とGND線との短絡による過電流などは、過電流発生時あるいはそれからスイッチのスイッチング周期程度の時間が経過した後、短絡発生時あるいはそれからスイッチのスイッチング周期程度の時間が経過した後に、全て同方向の過電流による電圧降下を検出することにより検出することができる。また、コンデンサ接続端子T5とGND線との短絡による過電流は、短絡発生時からスイッチのスイッチング周期程度の時間が経過した後に、負荷への電力供給方向とは逆方向に流れるので、逆方向に生じる電圧降下をも検出することができるような構成を過電流検出回路5に備えればよい。例えば所定箇所に抵抗を備えた場合には、抵抗両端の電位がそれぞれ入力されるコンパレータを順方向用および逆方向用に備える構成などが挙げられる。
【0060】
このようにして過電流検出回路5によって過電流が検出されると過電流検出回路5は過電流状態を検出したことを示す信号dを出力遮断回路6に入力する。このとき、出力遮断阻止回路7は起動期間を過ぎているので出力を遮断しないように指示する信号fを出力しない。従って、出力遮断回路6はコントロール部2にスイッチS1〜S4のスイッチング動作を停止させる指示を与える信号eを入力し、スイッチS1〜S4はスイッチング動作をOFF状態で停止する。
【0061】
また、上記過負荷および短絡が安定化電源装置1の起動期間から発生することもある。この場合は、起動の進行具合で過電流状態になるものもならないものもあるが、過電流状態となる場合には起動期間が経過した後に即時に出力遮断回路6によって電力供給経路の過電流が遮断されることとなる。しかし、起動期間は長くても500ms程度であり、起動期間中に上記過負荷あるいは短絡による過電流状態が継続したとしても、過電流による前記抵抗分での発熱量は僅かである。
【0062】
以上のように、本実施の形態に係る安定化電源装置1によれば、過電流検出回路5は、電力供給経路に過電流が流れると、過電流が流れる所定箇所で過電流に対応して生じる電圧降下を検出することにより電力供給経路が過電流状態であることを検出するが、過電流による所定箇所での電圧降下は過電流と同時に発生するので、過電流が流れると、即時にこれを検出することができる。
【0063】
また、起動期間後に過負荷や短絡が発生した場合について説明したように、スイッチトキャパシタ動作を行うスイッチによって所定箇所と遮断されている箇所があってそこでまず過電流が流れ、次いでスイッチが導通することにより、遮断箇所よりも遅れて所定箇所に過電流が流れる場合もあり得る。しかし、スイッチのスイッチング周期は非常に短いので、スイッチによって遮断されている箇所で先に過電流が流れたとしても、所定箇所に過電流が流れるまでの時間は非常に短く、過電流検出回路5による過電流状態の検出の遅延は無視できるほどである。
【0064】
従って、過電流検出回路5によって過電流状態が検出されてから出力遮断回路6が電力供給経路の出力を即時に遮断することにより、過電流による大きな発熱は抑えられる。
【0065】
そして、出力遮断阻止回路7が設けられているので、出力の起動期間に過電流検出回路5が過電流状態を検出しても出力遮断回路6による出力の遮断制御は阻止され、安定化電源装置1の起動は確実に行われる。起動期間は非常に短いので、この間の過電流による発熱が安定化電源装置1が搭載されている基板や、基板に搭載されている部品に悪影響を及ぼすことはない。
【0066】
以上により、過電流が流れても、発熱による基板および部品の劣化や損傷を防止することのできる安定化電源装置を提供することができる。
【0067】
次に、図1の安定化電源装置1における各回路のより具体的な構成について、以下に実施例を挙げて説明する。なお、各実施例で、図1と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
〔実施例1〕
図2に、図1の安定化電源装置1における出力遮断阻止回路7を阻止期間設定回路71およびフリップフロップ回路72を備える回路で構成した安定化電源装置11を示す。これに伴い、安定化電源装置1の集積化部分1aを集積化部分11aに変えて、端子T6を追加する。
【0069】
阻止期間設定回路(阻止期間設定部)71は、さらにイニシャルリセット回路71aおよびコンデンサC4を備えている。イニシャルリセット回路(コンデンサ端子電圧検出部)71aは集積化部分11aの内部に設けられ、入力端子U1、電圧検出端子U2、および出力端子U3を備えている。入力端子U1は集積化部分11aの入力端子T2に接続されている。電圧検出端子U2は集積化部分11aの端子T6に接続されている。出力端子U3はフリップフロップ回路72のリセット入力端子Rに接続されている。また、コンデンサC4は集積化部分11aの外部に設けられ、端子T6とGND線との間に接続されている。
【0070】
イニシャルリセット回路71aには、入力端子T2を介して入力端子U1から入力電圧Vinが印加され、入力電圧Vinの印加開始、すなわち起動期間の開始とともに電圧検出端子U2からコンデンサC4の充電を開始する。コンデンサC4への充電は、イニシャルリセット回路71aに定電流源を設けてこの定電流源から行うようにすることができる。コンデンサC4は起動期間の開始時に例えば0Vといった所定端子電圧とされ、ここではイニシャルリセット回路71aによって前回電源OFF時や前回電源駆動時などの起動期間よりも前の時点や、起動時に制御される。イニシャルリセット回路71aは、充電されるコンデンサC4の端子電圧を電圧検出端子U2から検出し、起動開始から端子電圧が上昇して所定値に達するまで出力端子U3から“High”レベルの信号gを出力する。それ以外は信号gを“Low”レベルの信号として出力する。該所定値は、起動に起因して安定化電源装置11の電力供給経路に流れる過電流が終了した後の時刻でかつ起動期間の終了以前に対応するコンデンサC4の端子電圧である。起動開始からコンデンサC4の端子電圧が所定値に達するまでに出力される信号gは、前述した起動に起因する過電流が流れ得る時刻を示す信号であり、ここでは後述するようにフリップフロップ回路72のリセット入力信号となる信号である。
【0071】
フリップフロップ回路72はセット入力端子S、リセット入力端子R、および出力端子Qを備えた非同期型動作を行うフリップフロップ回路である。セット入力端子Sは過電流検出回路5から過電流を検出したことを示す信号hが出力される端子に接続されている。なお、信号hは過電流検出回路5が出力遮断回路6に向けて出力する信号dと同一の信号でよく、その出力端子も信号dと共有されていてよい。過電流検出回路5が過電流を検出しない間は信号hは“Low”レベルであり、過電流を検出すると検出した時点で“High”レベルの信号としてフリップフロップ回路72のセット入力端子Sに入力される。このとき、リセット入力端子Rに入力される信号gが“Low”レベルであれば前述の信号fを、出力遮断回路6を動作させる信号(例えば“High”レベル)として出力端子Qから出力する。一方、起動開始からコンデンサC4の端子電圧が所定値に達するまでの期間に“High”レベルの信号gが入力されていると、“High”レベルの信号hが入力されても“Low”レベルの信号hが入力されても、信号fを出力遮断回路6を動作させない信号として出力する。なお、“High”レベルのセット入力信号とリセット入力信号との同時入力はリセット入力信号が優先されるものとする。
【0072】
上述のようにイニシャルリセット回路71aすなわち阻止期間設定回路71は、上記信号gを出力する期間をコンデンサC4の端子電圧を検出することにより設定しており、この期間を、出力遮断回路6による過電流の遮断制御を阻止する阻止期間に設定する。阻止期間は、起動開始から起動期間内で少なくとも起動に起因する過電流が流れ得る時間が経過するまでの期間であり、この阻止期間に過電流検出回路5が過電流状態を検出しても、“High”レベルのリセット入力信号となる信号gがイニシャルリセット回路71aからフリップフロップ回路72に入力されることにより、出力遮断回路6による過電流の遮断制御を阻止する。出力遮断阻止回路7は、起動に起因する過電流が起動開始初期に現れることを利用して、連続した阻止期間に出力遮断回路6による過電流の遮断制御を阻止するので、遮断制御の阻止を容易に行うことができる。
【0073】
また、コンデンサC4は起動開始とともに所定端子電圧から充電されるコンデンサとしたが、これに限らず起動開始とともに所定端子電圧から放電されるコンデンサであってもよい。この場合、イニシャルリセット回路71aは、コンデンサ4の端子電圧が所定端子電圧から所定の端子電圧に低下することを検出するまでを阻止期間に設定する。このようにコンデンサC4の端子電圧を検出することにより阻止期間を設定するので、阻止期間をコンデンサC4の充電あるいは放電の速さを変えることにより容易に設定することができる。特にコンデンサC4のように集積化部分11aに外付けした部品では阻止期間の設定および変更が容易である。
【0074】
〔実施例2〕
図3に、図1の安定化電源装置1における出力遮断阻止回路7を出力電圧検出回路73およびフリップフロップ回路72を備える回路で構成した安定化電源装置21を示す。これに伴い、安定化電源装置1の集積化部分1aを集積化部分21aに変える。
【0075】
出力電圧検出回路(阻止期間設定部、出力電圧検出部)73は、点Pの電圧を出力電圧Vo に対応する電圧として検出して、起動開始から出力電圧Vo が上昇して所定電圧に達することを検出するまで出力端子から“High”レベルの信号iを出力する。それ以外は信号iを“Low”レベルの信号として出力する。該所定電圧は、起動に起因して安定化電源装置21の電力供給経路に流れる過電流が終了した後の時刻でかつ起動期間の終了以前に対応する出力電圧Vo である。起動開始から出力電圧Vo が所定電圧に達するまでに出力される信号iは、前述した起動に起因する過電流が流れ得る時刻を示す信号であり、ここではフリップフロップ回路72のリセット入力信号となる信号である。また、フリップフロップ回路72は実施例1と同等のものであるが、リセット入力端子Rには出力電圧検出回路73から出力される信号iが入力される。
【0076】
上述のように出力電圧検出回路73は、“High”レベルの信号iを出力する期間を出力電圧Vo を検出することにより設定しており、この期間を、出力遮断阻止回路7による過電流の遮断制御を阻止する阻止期間に設定する。前述したように、起動に起因する過電流は起動開始初期に発生し、出力電圧Vo が十分上昇した後は該過電流は発生しなくなるので、ここでは前記所定電圧を出力電圧Vo の定常状態での安定化目標値に設定する。出力電圧Vo が起動開始から一旦安定化目標値に達した後は、オーバーシュートが起こったり、コンパレータ3によるスイッチトキャパシタ動作の停止・再開が行われたりするが、起動に起因する過電流の発生期間は過ぎているので、信号iを“Low”レベルとすることができる。
【0077】
このように、阻止期間は、起動開始から起動期間内で少なくとも起動に起因する過電流が流れ得る時間が経過するまでの期間であり、この阻止期間に過電流検出回路5が過電流状態を検出しても、“High”レベルのリセット入力信号となる信号iが出力電圧検出回路73からフリップフロップ回路72に入力されることにより、出力遮断回路6による過電流の遮断制御を阻止する。出力遮断阻止回路7は、起動に起因する過電流が起動開始初期に現れることを利用して、連続した阻止期間に出力遮断回路6による過電流の遮断制御を阻止するので、遮断制御の阻止を容易に行うことができる。また、出力電圧Vo を検出して阻止期間を設定することにより、実施例1で述べたコンデンサC4を用いる構成よりも、阻止期間を設定する構成を簡略化することができる。
【0078】
〔実施例3〕
図4に、図2の安定化電源装置11における過電流検出回路5をオン電圧検出回路51を備える回路で構成した安定化電源装置31を示す。これに伴い、安定化電源装置11の集積化部分11aを集積化部分31aに変える。その他、図2の安定化電源装置11と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
オン電圧検出回路(過電流状態検出手段)51は、スイッチS1〜S4における導通時の導通経路両端間を、安定化電源装置31の電力供給経路において過電流が流れる所定箇所とし、この所定箇所で過電流に対応して生じる電圧降下を検出することにより電力供給経路の過電流状態を検出する。スイッチS1〜S4がMOSFETである場合には、導通経路両端間はソースドレイン間のチャンネルとなる。スイッチS1〜S4における導通経路両端間電圧は全てオン電圧検出回路51に入力され、スイッチS1〜S4の少なくとも1つにおいて導通時の導通経路両端間電圧が所定値を越えると、過電流が流れていると判断して、前述の信号dを過電流状態を検出したことを示す信号として出力遮断回路6に出力する。
【0080】
安定化電源装置31では、過電流に対応した電圧降下を検出するための所定箇所を別途設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。特に、電圧降下を発生させるために別途抵抗などを電力供給経路に挿入しなくてもよいので、過電流検出のために生じる損失を増加させないようにすることができる。
【0081】
また、図5に、図4の安定化電源装置31におけるオン電圧検出回路51をオン電圧検出回路52とした構成の安定化電源装置41を示す。これに伴い、安定化電源装置31の集積化部分31aを集積化部分41aに変える。その他、図4の安定化電源装置31と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
オン電圧検出回路(過電流状態検出手段)52は、スイッチS1〜S4のうちスイッチS2のみにおける導通時の導通経路両端間を、安定化電源装置41の電力供給経路において過電流が流れる所定箇所とし、この所定箇所で過電流に対応して生じる電圧降下を検出する。過電流を検出することができるならば、スイッチS2以外のいずれか1つでも構わない。オン電圧検出回路52は、所定箇所が設定された1つのスイッチにおいて導通時の導通経路両端間電圧が所定値を越えると、過電流が流れていると判断して、前述の信号dを過電流状態を検出したことを示す信号として出力遮断回路6に出力する。このように、1つのスイッチの所定箇所でのみ電圧降下を検出することにより過電流を検出するので、過電流状態検出手段の構成や、過電流状態検出手段と所定箇所との間の配線を簡略化することができる。
【0083】
〔実施例4〕
図6に、図2の安定化電源装置11にタイミング回路74を追加した構成の安定化電源装置61を示す。これに伴い、安定化電源装置11の集積化部分11aを集積化部分61aに変える。その他、図2の安定化電源装置11と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
タイミング回路(過電流遮断阻止継続部)74は図1の出力遮断阻止回路7の一部であって、イニシャルリセット回路71aの出力端子U3から出力される信号gが入力され、信号jを出力してフリップフロップ回路72のリセット入力端子Rに入力する。信号jは、阻止期間すなわち信号gが“High”レベルの間は“High”レベルとなり、信号gが“High”レベルから“Low”レベルに切り換わってから所定期間だけそのまま“High”レベルを継続した後、“Low”レベルとなる信号である。なお、阻止期間であることを示す内容であれば信号gは“High”レベルでも“Low”レベルでも、その他の形態の信号でも構わない。阻止期間と、阻止期間の終了時から開始する所定期間とに、信号jはフリップフロップ回路72のQ出力(信号f)を“Low”レベルとするリセット入力信号となる。
【0085】
阻止期間を継続する期間はユーザによって適宜設定されるものである。安定化電源装置61の使用形態によっては、阻止期間の後の所定期間内に過電流が流れるとしても、その過電流が瞬時的であって対処するほどではないような事態しか発生しない場合がある。例えば、安定化電源装置61がコンセントに差し込むプラグやそれにつながる整流平滑回路などとともに負荷機器のACアダプタに搭載されているような場合、プラグがコンセントに差し込まれた時点が安定化電源装置61の起動期間の開始となる。ACアダプタのプラグがコンセントに差し込まれ、かつACアダプタの負荷機器側のコネクタが負荷機器に差し込まれるまでには、安定化電源装置61の起動期間の他には、ACアダプタのプラグがコンセントに差し込まれた状態でユーザが上記コネクタを手に持って負荷機器に差し込もうとする操作の途上で何らかの原因により、コネクタ端子の高電位側と低電位側とを短絡させてしまうことによってしか過電流が流れないのが通常である。しかも、このユーザによる短絡は1msec程度と非常に短い瞬時的なものであって、コネクタを差し込もうとする操作が進むにつれて自然に解除されるので、過電流を遮断する必要がないばかりか、遮断して対処しなければならない状態とすると却って負荷機器への接続動作の妨げにさえなる。
【0086】
従って、阻止期間の継続期間を、ユーザがACアダプタのプラグをコンセントに差し込んでから負荷機器側のプラグを負荷機器に差し込むまでの数秒程度の時間に設定するようにすれば、この間にユーザの操作によって発生する瞬時的な過電流を遮断しなくて済む。遮断阻止の継続期間はこのようにして、安定化電源装置61の使用状況に応じて、過電流を遮断しない方がよい所定期間に適宜決定されればよい。
【0087】
阻止期間の継続期間が終了すると、ACアダプタで言えばほぼ負荷機器側のコネクタが負荷機器に差し込まれた状態となるので、タイミング回路74は信号jを“Low”レベルとして出力し、フリップフロップ回路72のリセット入力端子Rに入力し、リセットを解除する。従って、その後はフリップフロップ回路72は過電流検出回路5から過電流状態を検出したことを示す信号hがセット入力端子Sに入力されると出力端子Qから“High”レベルの信号fを出力して出力遮断回路6に入力し、出力遮断回路6を動作可能な状態とする。
【0088】
このように、タイミング回路74は、阻止期間に続いて出力遮断回路6による過電流の遮断制御の阻止を、設定された期間だけ継続させる。これにより、阻止期間の後の所定期間に瞬時的な過電流が発生するとその都度過電流の遮断が行われて電力供給が妨げられることを防止することができる。また、対処するほどではないような事態で過電流が遮断されてユーザが対処すべきものと誤って判断すること、例えばACアダプタが壊れてしまったのではないかと判断するようなことも避けられる。
【0089】
次に、図7に、図6の安定化電源装置61のフリップフロップ回路72をフリップフロップ回路75とした構成の安定化電源装置81を示す。これに伴い、安定化電源装置61の集積化部分61aを集積化部分81aに変え、集積化部分81aに端子T7を設ける。その他、図6の安定化電源装置61と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
フリップフロップ回路(遮断信号出力手段)75は、安定化電源装置61のフリップフロップ回路72と同様に信号h・jが入力され、信号fを出力するが、出力遮断回路6を動作可能な状態とする“High”レベルの信号fを、安定化電源装置81の電力供給経路の出力を遮断したことを示す信号k、すなわち出力遮断信号として出力する。出力遮断信号は、端子T7から集積化部分81aの外部に出力される。“High”レベルの信号fはこれから出力遮断回路6を動作させるためにフリップフロップ回路75から出力されるが、この信号fの出力と同時に、過電流検出回路5から出力遮断回路6に入力される信号dと併せて出力遮断回路6を動作させるので、安定化電源装置81の電力供給経路の出力を遮断したことを示すことができる。
【0091】
このような安定化電源装置81によれば、電力供給経路の出力が遮断されたときに、フリップフロップ回路75が出力遮断信号を出力して出力の遮断を示すことができるので、ユーザや外部機器は出力遮断されたことを容易かつ確実に認識することができる。なお、出力遮断信号は、出力遮断回路6が動作したときに出力遮断回路6から出力されるようになっていてもよい。また、出力遮断信号を電力を供給するマイクロコンピュータなどの負荷機器に入力するようにすれば、出力遮断に対応した動作を負荷機器側で行うことができ、負荷機器の誤動作を防止することができる。
【0092】
以上、実施例1から実施例4まで、図1の安定化電源装置1における各回路のより具体的な構成について述べたが、上述した各実施例は適宜組み合わせ可能であることは言うまでもない。
【0093】
最後に、本実施の形態に係る安定化電源デバイスについて説明する。
【0094】
図8(a)・(b)に示すように、本実施の形態に係る安定化電源デバイス91は、前述した各安定化電源装置1・11・21・31・41・61・81の集積化部分1a・11a・21a・31a・41a・61a・81aのいずれかを1パッケージ化したものである。図8(a)は安定化電源デバイス91の平面図、図8(b)は安定化電源デバイス91の側面図を示す。安定化電源デバイス91は上記の集積化部分を封止した樹脂などからなるモールド部91aと、1番ピン、2番ピンの順にリードピンP1・P2・…・P8とを備えており、TSOP8(Thin Small Outline Package 8) 、SSOP8(Shrink Small Outline Package 8) 、VSOP8(Very Small Outline Package 8)などの形態をとる。他にMSOP(Mini Small Outline Package)の形態でもよい。また、例えばリードピンP1は出力端子T1、リードピンP2は入力端子T2、リードピンP4はGND端子T3、リードピンP5はコンデンサ接続端子T4、リードピンP7はコンデンサ接続端子T5などに対応しており、その他のピンはその他の端子に対応するか未使用となる。
【0095】
このように本実施の形態に係る安定化電源デバイス91は、安定化電源装置1・11・21・31・41・61・81の集積回路化された部分を備えてパッケージ化されているので、基板に実装する部品として小型化することができる。従って、部品として機器に実装するに際しての実装面積が小さく、該機器の小型化を図ることができる。
【0096】
【発明の効果】
本発明の安定化電源装置は、以上のように、スイッチトキャパシタ動作を行う電力供給経路から電力を供給するスイッチトキャパシタ型の安定化電源装置において、上記電力供給経路に過電流が流れる過電流状態を検出する過電流状態検出手段と、上記過電流状態検出手段が上記過電流状態を検出すると上記過電流が遮断されるようにせる過電流遮断制御手段と、起動期間に上記過電流状態検出手段が上記過電流状態を検出しても上記過電流遮断制御手段による上記過電流の遮断制御を阻止する過電流遮断制御阻止手段とを備え、起動の最初の過電流遮断阻止期間が経過した後においても、継続して前記過電流遮断制御阻止手段が過電流遮断阻止期間以内の過電流については、過電流遮断制御を阻止する構成である。
【0098】
従って、過電流状態検出手段によって過電流状態が検出されてから過電流遮断制御手段が電力供給経路の過電流が即時に遮断されるようにスイッチトキャパシタ動作を停止することにより、過電流による大きな発熱は抑えられる。
【0099】
ここで、過電流遮断制御阻止手段が設けられているので、起動期間に過電流状態検出手段が過電流状態を検出しても過電流遮断制御手段による過電流の遮断制御は阻止され、起動は確実に行われる。起動期間は非常に短いので、この間の過電流による発熱が安定化電源装置が搭載されている基板や、基板に搭載されている部品に悪影響を及ぼすことはない。
【0100】
以上により、過電流が流れても、発熱による基板および部品の劣化や損傷を防止することのできる安定化電源装置を提供することができるという効果を奏する。
【0101】
さらに本発明の安定化電源装置は、以上のように、上記過電流遮断制御阻止手段は、上記起動期間の開始から上記起動期間内で少なくとも起動に起因する過電流が流れ得る時間が経過するまでの期間を、上記過電流状態検出手段が上記過電流状態を検出しても上記過電流遮断制御手段による上記過電流の遮断制御を阻止する阻止期間に設定する阻止期間設定部を備えている構成である。
【0102】
それゆえ、連続した阻止期間に過電流遮断制御手段による過電流の遮断制御を阻止するので、遮断制御の阻止を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0103】
さらに本発明の安定化電源装置は、以上のように、上記阻止期間設定部は、上記起動期間の開始とともに所定端子電圧から充電あるいは放電を行うコンデンサと、上記コンデンサの端子電圧を検出し、上記起動期間の開始から、上記端子電圧が起動に起因する上記過電流の終了後に対応する所定値に達することを検出するまでの期間を上記阻止期間に設定するコンデンサ端子電圧検出部とを備えている構成である。
【0104】
それゆえ、阻止期間をコンデンサの充電あるいは放電の速さを変えることにより容易に設定することができるという効果を奏する。
【0105】
さらに本発明の安定化電源装置は、以上のように、上記阻止期間設定部は、上記電力供給経路の出力電圧を検出し、上記起動期間の開始から上記出力電圧が起動に起因する上記過電流の終了後に対応する所定電圧に上昇することを検出するまでの期間を上記阻止期間に設定する出力電圧検出部を備えている構成である。
【0106】
それゆえ、出力電圧を検出して阻止期間を設定することにより、阻止期間を設定する構成を簡略化することができるという効果を奏する。
【0107】
さらに本発明の安定化電源装置は、以上のように、上記過電流遮断制御阻止手段は、上記阻止期間に続いて上記過電流遮断制御手段による上記過電流の遮断制御の阻止を、設定された期間だけ継続させる過電流遮断阻止継続部を備えている構成である。
【0108】
それゆえ、阻止期間の後の所定期間内に過電流が流れるとしても、その過電流は瞬時的であって対処するほどではないような事態しか発生しない場合に、遮断阻止の継続期間を上記所定期間に設定することにより、上記事態が発生した際にその都度過電流の遮断が行われて電力供給が妨げられることを防止することができるという効果を奏する。また、対処するほどではないような事態で過電流が遮断されてユーザが対処すべきものと誤って判断することも避けられるという効果を奏する。
【0109】
さらに本発明の安定化電源装置は、以上のように、上記過電流状態検出手段は、スイッチトキャパシタ動作を行う上記電力供給経路のスイッチにおける導通時の導通経路両端間を上記所定箇所として上記電圧降下を検出する構成である。
【0110】
それゆえ、電圧降下を検出するための所定箇所を別途設ける必要がなく、構成を簡略化することができるという効果を奏する。特に、電圧降下を発生させるために別途抵抗などを電力供給経路に挿入しなくてもよいので、過電流検出のために生じる損失を増加させないようにすることができるという効果を奏する。
【0111】
さらに本発明の安定化電源装置は、以上のように、上記過電流状態検出手段は、1つの上記スイッチの上記所定箇所でのみ上記電圧降下を検出する構成である。
【0112】
それゆえ、過電流状態検出手段の構成や、過電流状態検出手段と所定箇所との間の配線を簡略化することができるという効果を奏する。
【0113】
さらに本発明の安定化電源装置は、以上のように、上記過電流遮断制御手段が上記過電流の遮断制御を行ったときに上記過電流の遮断に伴う上記電力供給経路の出力の遮断を示す出力遮断信号を出力する遮断信号出力手段を備えている構成である。
【0114】
それゆえ、出力遮断されたことを容易かつ確実に認識することができるという効果を奏する。また、出力遮断信号を電力を供給する負荷機器に入力するようにすれば、出力遮断に対応した動作を負荷機器側で行うことができ、負荷機器の誤動作を防止することができるという効果を奏する。
【0115】
また、本発明の安定化電源デバイスは、以上のように、前記いずれかに記載の安定化電源装置の集積回路化された部分を備えてパッケージ化されている構成である。
【0116】
それゆえ、基板に実装する部品として小型化することができるという効果を奏する。
さらに本発明の安定化電源装置は、以上のように、上記過電流状態検出手段は、上記過電流が流れる所定箇所で上記過電流に対応して生じる電圧降下を検出することにより上記過電流状態を検出する構成である。
それゆえ、過電流状態検出手段は過電流が流れると、即時にこれを検出することができる。また、スイッチトキャパシタ動作を行うスイッチによって上記所定箇所と遮断されている箇所があってそこでまず過電流が流れ、次いでスイッチが導通することにより、遮断箇所よりも遅れて上記所定箇所に過電流が流れる場合でも、上記所定箇所に過電流が流れるまでの時間は非常に短く、過電流状態検出手段による過電流状態の検出の遅延は無視できるほどである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る安定化電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図2】図1の安定化電源装置のより具体的な第1の構成を示す回路ブロック図である。
【図3】図1の安定化電源装置のより具体的な第2の構成を示す回路ブロック図である。
【図4】図1の安定化電源装置のより具体的な第3の構成を示す回路ブロック図である。
【図5】図1の安定化電源装置のより具体的な第4の構成を示す回路ブロック図である。
【図6】図1の安定化電源装置のより具体的な第5の構成を示す回路ブロック図である。
【図7】図1の安定化電源装置のより具体的な第6の構成を示す回路ブロック図である。
【図8】本実施の形態に係る安定化電源デバイスの構成を示す外観図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図9】従来の安定化電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
1 安定化電源装置
5 過電流検出回路(過電流状態検出手段)
6 出力遮断回路(過電流遮断制御手段)
7 出力遮断阻止回路(過電流遮断制御阻止手段)
11 安定化電源装置
21 安定化電源装置
31 安定化電源装置
41 安定化電源装置
51 オン電圧検出回路(過電流状態検出手段)
52 オン電圧検出回路(過電流状態検出手段)
61 安定化電源装置
71 阻止期間設定回路(阻止期間設定部)
71a イニシャルリセット回路(コンデンサ端子電圧検出部)
73 出力電圧検出回路(阻止期間設定部、出力電圧検出部)
74 タイミング回路(過電流遮断阻止継続部)
75 フリップフロップ回路(遮断信号出力手段)
81 安定化電源装置
91 安定化電源デバイス
C4 コンデンサ
S1〜S1 スイッチ

Claims (9)

  1. スイッチトキャパシタ動作を行う電力供給経路から電力を供給するスイッチトキャパシタ型の安定化電源装置において、
    上記電力供給経路に過電流が流れる過電流状態を検出する過電流状態検出手段と、
    上記過電流状態検出手段が上記過電流状態を検出すると上記過電流が遮断されるようにさせる過電流遮断制御手段と、
    起動期間に上記過電流状態検出手段が上記過電流状態を検出しても上記過電流遮断制御手段による上記過電流の遮断制御を阻止する過電流遮断制御阻止手段とを備え、
    上記過電流遮断制御阻止手段が上記過電流の遮断制御を阻止する阻止期間は、上記起動期間の開始から上記起動期間内で少なくとも起動に起因する過電流が流れ得る時間が経過するまでの期間であり、
    上記過電流遮断制御阻止手段は、上記阻止期間に続いて上記過電流遮断制御手段による上記過電流の遮断制御の阻止を、設定された期間だけ継続させる過電流遮断阻止継続部を備えていることを特徴とする安定化電源装置。
  2. 上記過電流遮断制御阻止手段は、上記阻止期間設定する阻止期間設定部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の安定化電源装置。
  3. 上記阻止期間設定部は、上記起動期間の開始とともに所定端子電圧から充電あるいは放電を行うコンデンサと、上記コンデンサの端子電圧を検出し、上記起動期間の開始から、上記端子電圧が起動に起因する上記過電流の終了後に対応する所定値に達することを検出するまでの期間を上記阻止期間に設定するコンデンサ端子電圧検出部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の安定化電源装置。
  4. 上記阻止期間設定部は、上記電力供給経路の出力電圧を検出し、上記起動期間の開始から上記出力電圧が起動に起因する上記過電流の終了後に対応する所定電圧に上昇することを検出するまでの期間を上記阻止期間に設定する出力電圧検出部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の安定化電源装置。
  5. 上記過電流状態検出手段は、スイッチトキャパシタ動作を行う上記電力供給経路のスイッチにおける導通時の導通経路両端間を上記所定箇所として上記電圧降下を検出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の安定化電源装置。
  6. 上記過電流状態検出手段は、1つの上記スイッチの上記所定箇所でのみ上記電圧降下を検出することを特徴とする請求項5に記載の安定化電源装置。
  7. 上記過電流遮断制御手段が上記過電流の遮断制御を行ったときに上記過電流の遮断に伴う上記電力供給経路の出力の遮断を示す出力遮断信号を出力する遮断信号出力手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の安定化電源装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の安定化電源装置の集積回路化された部分を備えてパッケージ化されていることを特徴とする安定化電源デバイス。
  9. 上記過電流状態検出手段は、上記過電流が流れる所定箇所で上記過電流に対応して生じる電圧降下を検出することにより上記過電流状態を検出することを特徴とする請求項1に記載の安定化電源装置。
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