JP3975709B2 - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ、光ファイバを作製するための光ファイバ母材、及び光ファイバ母材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロッドインコラプス法は、ガラスパイプ内にガラスロッドを挿入し、ガラスロッドが挿入されたガラスパイプを加熱溶融して一体化することにより光ファイバ母材を作製する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ロッドインコラプス法においては、原材料であるガラスパイプ及びガラスロッドを大型化すれば、大型の光ファイバ母材を製造できる。しかし、この場合、ガラスロッドが挿入されたガラスパイプをほぼ水平に保持して加熱一体化すると、ガラスパイプ及びガラスロッドの自重によって光ファイバ母材が湾曲してしまうという問題がある。特に、ガラスパイプ及びガラスロッドが大型であればあるほど、光ファイバ母材には大きな湾曲が生じてしまうこととなる。これを防ぐためには、ガラスロッドが挿入されたガラスパイプをほぼ鉛直に保持して加熱一体化することが望ましい。
【0004】
しかし、本発明者らが検討した結果、ガラスロッドが挿入されたガラスパイプをほぼ鉛直に保持すれば湾曲の問題は解消されるものの、それでも尚、その外径とコア部の外径との比が長手方向に沿って一定とならないことが分かった。当該比が一定でなければ、作製される光ファイバの波長分散特性が長手方向に沿って変化してしまう。そのため、光ファイバから所望の特性を有する部分だけを切り出して製品にするといった作業を行なわなければならない。この場合、不要となる部分は廃棄されることとなるため、製造コストの上昇を招いてしまう。また、所望の特性を有する部分を見出すための検査作業、切り出し作業、さらに切り出し後の検査作業といった不要な工程が増えてしまうため、製造コストが更に上昇してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、クラッド部の外径とコア部の外径との倍率が長手方向に沿って一定化され、光ファイバの製造コストを低減可能な光ファイバ母材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面に係る光ファイバ母材の製造方法は、ガラスパイプ内にガラスロッドを挿入し、ガラスパイプ及びガラスロッドを加熱一体化して光ファイバ母材を製造する方法であって、(1)試作ガラスロッドを試作ガラスパイプ内に挿入し、(2)双方を鉛直に保持し加熱一体化して試作光ファイバ母材を製造し、(3)試作光ファイバ母材の長手方向に沿った複数の位置において、試作光ファイバ母材の屈折率分布を測定し、(4)この測定の結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いるガラスパイプが有すべき肉厚の長手方向に沿った変化を算出し、(5)この算出の結果に従って肉厚が変化する製造用ガラスパイプを用意し、(6)試作ガラスロッドに形状及び材質が実質的に同一なガラスロッドを製造用ガラスパイプ内に挿入し、(7)双方を鉛直に保持し加熱一体化して光ファイバ母材を製造することを特徴とする。
【0007】
本発明者らは、内部にガラスロッドを有するガラスパイプをほぼ鉛直に保って加熱一体化して得た光ファイバ母材の外径とコア部径との倍率が一定とならない原因について鋭意調査研究を行なった。その結果、その原因は、鉛直に保持されたガラスパイプ及びガラスロッドの自重にあることが分かった。すなわち、加熱一体化時に溶融状態にある部分は、自重による張力によって引き伸ばされる。このとき、引き伸ばされる長さがガラスパイプ及びガラスロッドで等しければ、外径とコア部径との倍率は一定となり得る。しかし、両者は、形状、添加物の種類及び濃度等の点で異なるため、引き伸ばされる長さは必ずしも等しくはならない。このような理由により、外径とコア部径との倍率には変動が生じることとなる。
【0008】
上記の製造方法によれば、試作光ファイバ母材の屈折率分布が測定され、この測定の結果に基づいてガラスパイプが有すべき肉厚の長手方向に沿った変化が算出される。そして、この算出の結果に従って肉厚が変化するガラスパイプが用意される。その後、試作に用いたガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいガラスロッドと上記のガラスパイプとが加熱一体化されて光ファイバ母材が製造される。光ファイバ母材の製造に用いるガラスパイプは算出の結果に従って肉厚が変化しているため、加熱一体化の際、自重により生じるガラスパイプの肉厚の変化及びガラスロッド外径の変化に伴う倍率の長手方向の変動が相殺される。そのため、外径とコア部径との倍率は均一性が改善される。
【0009】
本発明の別の側面に係る光ファイバ母材の製造方法は、ガラスパイプ内にガラスロッドを挿入し、前記ガラスパイプ及び前記ガラスロッドを加熱一体化して光ファイバ母材を製造する方法であって、(1)試作ガラスロッドを試作ガラスパイプ内に挿入し、(2)双方を鉛直に保持し加熱一体化して試作光ファイバ母材を製造し、(3)試作光ファイバ母材の長手方向に沿った複数の位置において、当該試作光ファイバ母材の屈折率分布を測定し、(4)この測定の結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いるガラスロッドが有すべき外径を算出し、(5)この算出の結果に従って外径が変化する製造用ガラスロッドを用意し、(6)試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプ内に製造用ガラスロッドを挿入し、(7)双方を鉛直に保持し加熱一体化し光ファイバ母材を製造することを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、光ファイバ母材の製造に用いるガラスロッドは算出の結果に従って外径が変化しているため、加熱一体化の際、自重により生じるガラスロッドの外径の変化及びガラスパイプの肉厚の変化に伴う倍率の長手方向の変動が相殺される。そのため、外径とコア部径との倍率は均一性が改善される。
【0011】
本発明の別の側面に係る光ファイバ母材の製造方法は、ガラスパイプ内にガラスロッドを挿入し、前記ガラスパイプ及び前記ガラスロッドを加熱一体化して光ファイバ母材を製造する方法であって、(1)試作ガラスロッドを試作ガラスパイプ内に挿入し、(2)双方を鉛直に保持して加熱一体化して試作光ファイバ母材を製造し、(3)試作光ファイバ母材の長手方向に沿った複数の位置において、試作光ファイバ母材の屈折率分布を測定し、(4)この測定の結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いるガラスパイプが有すべき肉厚と、光ファイバ母材の製造に用いるガラスロッドが有すべき外径と、を算出し、(5)この算出の結果に従って肉厚が変化する製造用ガラスパイプと、算出の結果に従って外径が変化する製造用ガラスロッドとを用意し、(6)製造用ガラスパイプ内に前記製造用ガラスロッドを挿入し、(7)双方を鉛直に保持し加熱一体化して光ファイバ母材を製造することを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、光ファイバ母材の製造に用いるガラスロッドは算出の結果に従って外径が変化しており、ガラスパイプもまた算出の結果に従って肉厚が変化しているため、加熱一体化の際、自重により生じるガラスロッドの外径の変化及びガラスパイプの肉厚の変化が相殺され得る。そのため、外径とコア部径との倍率は均一性が改善される。
【0013】
また、試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプを調達し、このガラスパイプの肉厚が上記の算出の結果に従って変化するよう当該ガラスパイプの外周を研削して製造用ガラスパイプを用意すると好適である。これにより、肉厚が上記算出の結果に従って変化する製造用ガラスパイプを用意できる。
【0014】
さらに、試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプを調達し、このガラスパイプの肉厚が上記の算出の結果に従って変化するよう当該ガラスパイプの内面を研削して製造用ガラスパイプを用意することを特徴としてもよい。このようにしても、肉厚が上記算出の結果に従って変化する製造用ガラスパイプを用意できる。
【0015】
また、上記の内面の研削を気相エッチングにより行なうと有用である。さらに、気相エッチングの際に、試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプの温度をその長手方向に沿って変化させると好ましい。さらにまた、気相エッチングの際に、試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプを熱源により部分的に加熱し、この熱源を当該ガラスパイプの長手方向に沿って移動させ、その移動速度を長手方向に変化させると好適である。このような方法によれば、肉厚が上記算出の結果に従って変化する製造用ガラスパイプを確実に用意できる。
【0016】
また、試作ガラスロッドに形状及び材質が実質的に同一なガラスロッドを調達し、このガラスロッドの外径が上記の算出の結果に従って変化するよう当該ガラスロッドを延伸して製造用ガラスロッドを用意すると好ましい。このようにすれば、屈折率が周方向に変化するガラスロッドであっても、径方向の相対的な屈折率分布を保持しまま、その外径を変化させることができる。さらに、試作ガラスロッドに形状及び材質が実質的に同一なガラスロッドを調達し、このガラスロッドの外径が上記の算出の結果に従って変化するよう当該ガラスロッドの外周を研削して製造用ガラスロッドを用意すると有用である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
光ファイバ母材の製造方法を説明するに先立ち、この製造方法の実施に好適な光ファイバ母材の製造装置について説明する。図1は、光ファイバ母材の製造装置の主要部の一例を示す概略図である。同図において、製造装置1は、ガラスパイプを保持するガラスパイプ保持部2、ガラスロッドを保持するガラスロッド保持部3、及び電気炉4を有する。ガラスパイプ保持部2には、ガラスロッド保持部3をガラスパイプ保持部2に固定するための固定部材5が設けられている。ガラスパイプ保持部2及びガラスロッド保持部3は、図示しない駆動部により上下動及び回転が可能である。駆動部により、ガラスパイプ及びガラスロッドが回転されれば、これらの温度は周方向に均一化される。温度が均一でないとガラスパイプ又はガラスロッドに湾曲或いは変形が生じる虞があるが、回転により温度が均一化されるので、湾曲或いは変形が防止される。また、電気炉4には、電源(図示せず)が接続されており、電源から電気炉4へ供給される電力を調整することにより、電気炉4の温度が制御される。また、製造装置1には、ガス供給系(図示せず)が設けられており、ガラスパイプ保持部2に保持されるガラスパイプの内部に所定のガスを供給できる。
【0020】
(第1の実施形態)
次に、図面を参照しながら、第1の実施形態の光ファイバ母材の製造方法について説明する。図2は、第1の実施形態の光ファイバ母材の製造方法のフロー図である。この製造方法は主として、光ファイバ母材の試作工程、計測算出工程、製造用材料作製工程、及び光ファイバ母材製造工程からなる。このうち、試作工程及び光ファイバ母材製造工程においては、上述の製造装置1が使用される。
【0021】
(試作工程)
光ファイバ母材の試作品の製造について説明する。先ず、使用するガラスパイプ(以下、試作ガラスパイプ)及びガラスロッド(以下、試作ガラスロッド)を用意する(ステップS201)。ここで、試作ガラスパイプの外径及び内径は長手方向に沿ってほぼ一定である。また、その肉厚は、周方向及び長手方向のいずれにもほぼ一定である。例えば、試作ガラスパイプは、外径67mm直径、内径18mm直径、及び長さ250mmであってよい。また、試作ガラスパイプは、1.0mol%程度のフッ素(F)が添加された石英ガラスからなると好ましい。試作ガラスロッドについてもまた、その外径は長手方向に沿ってほぼ一定であり、具体的には、外径14.5mm直径程度であると好適である。また、試作ガラスロッドは、15mol%程度のGeO2が添加された石英ガラスからなると好ましい。
【0022】
次に、試作ガラスパイプを製造装置1に取り付け、所定の条件で試作ガラスパイプの内面をエッチングする。これにより、試作ガラスパイプの内面に付着している不純物が除去されると共に、内面自体が平滑化される。その後、試作ガラスパイプの内部に試作ガラスロッドを挿入する。そして、固定部材5を介して試作ガラスロッドを試作ガラスパイプに対して固定する。これにより、試作ガラスロッド及び試作ガラスパイプの中心軸が互いに一致されると共に、加熱一体化中に両者が互いに移動してしまうのが防がれる。続いて、試作ガラスロッド及び試作ガラスパイプの間に例えばCl2ガスを流しながら、電気炉4により両者を例えば1400℃に加熱して空焼きを行なう。これにより、試作ガラスロッドの外周に付着する不純物が除去される。
【0023】
その後、電気炉4の温度を所定の温度とし、試作ガラスロッド及び試作ガラスパイプの下部から両者を加熱一体化する。このとき、試作ガラスパイプの最大表面温度は、例えば1650℃程度とすることができる。また、試作ガラスロッド及び試作ガラスパイプの下降速度は、例えば8mm/min程度とすることができる。試作ガラスロッド及び試作ガラスパイプは回転させながら下降させると好ましく、その回転速度は例えば10rpm程度とすることができる。さらに、試作ガラスパイプと試作ガラスロッドとの間隙は、例えば、ゲージ圧にて−3kPa程度に減圧されてよい。さらにまた、この間隙には、塩素(Cl2)ガス及び酸素(O2)ガスを流すと好ましく、その流量は、両ガスとも例えば3.0×105cc/min程度でよい。以上の条件により、試作ガラスパイプと試作ガラスロッドとが加熱一体化されて光ファイバ母材の試作品が製造される(ステップS202)。
【0024】
(計測算出工程)
続いて、計測算出工程について説明する。上述の光ファイバ母材の試作品について、その長手方向に沿った複数の位置において屈折率の分布を測定する(ステップS203)。この測定には、例えばプリフォームアナライザといった測定装置を使用できる。図3は、光ファイバ母材の試作品の外径2Dが長手方向に沿ってどのように変化するかを示すグラフである。図4は、当該光ファイバ母材の試作品のコア部径2d(試作ガラスロッド由来部分)が長手方向に沿ってどのように変化するかを示すグラフである。図3及び図4において、横軸の原点0は、ガラスパイプ及びガラスロッドが製造装置1に取り付けられていたときの上端部である。
【0025】
図3から分かるように、外径2Dは、相対的に上端部で小さく、下端部で大きくなる傾向がある。本発明者らは、この原因は鉛直保持されたガラスパイプ及びガラスロッドの自重にあると推測している。すなわち、加熱一体化時に溶融状態にある部分は、自重による張力によって引き伸ばされる。そして、その自重とは、溶融状態にある部分より下方にあるガラスロッド及びガラスパイプの重量である。そのため、自重により溶融部にかかる張力は、鉛直方向上端部において大きく、下端部において小さい。したがって、ガラスパイプは上端部でより延ばされ、上端部での外径が小さくなる。以上のように考えると、クラッド部の外径が図3に示す通りの分布となる理由を定性的に説明できる。また、図4に示す通り、コア部の外径もクラッド部の外径と同様に、上端部で小さく、下端部で大きくなる。このような変化もクラッド部の外径変化の理由と同様の理由により生じると考えられる。
【0026】
図3及び図4の結果から、光ファイバ母材の試作品の外径2Dとコア部径2dとの倍率2D/2dが長手方向に沿ってどのように変化しているかを求める。その結果を図5に示す。図5から分かるように、倍率2D/2dは、上端部で小さく、下端部で大きくなる傾向にある。図6は、倍率2D/2dの長手方向に沿った変化を変動率で示すグラフである。すなわち、{(任意の位置(I)での倍率2D/2d)−(倍率2D/2dの平均値)}÷(倍率2D/2dの平均値)×100を求め、位置(I)に対してプロットして得たグラフである。図6から分かるように、倍率の変動率0に対して±3%程度の変動が認められる。加熱一体化時に、試作ガラスパイプと試作ガラスロッドとが常に同じ長さだけ引き伸ばされれば、倍率2D/2dは一定となり得る。しかし、両者の形状及び添加物が異なるため、引き伸ばされる長さは両者で異なる。そのため、このような倍率変動が生じる。
【0027】
例えば分散補償ファイバや分散シフトファイバ等においては、その伝送特性はコア径の変動に大きな影響を受ける。このような光ファイバを製造する際には、本発明者らの知見によれば、光ファイバ母材の倍率2D/2dの変動率が±1.5%以内(3%以内)の部分から光ファイバを製造すれば、その光ファイバの伝送特性をその長手方向に沿ってほぼ一定とできる。この知見に基づくと、仮に、上記の光ファイバ母材の試作品を線引きして光ファイバを作製すれば、光学的特性がほぼ一定となる光ファイバは、当該光ファイバ母材の試作品の全長の60%程度からしか得られない。つまり、残りの40%程度に相当する部分は廃棄されることになり、光ファイバの製造コストの上昇につながってしまう。
【0028】
光ファイバ母材の倍率2D/2dの変動を小さくし、使用可能な長さを増加させるためには、光ファイバ母材製造用のガラスパイプの肉厚が倍率2D/2dの変動を相殺するように長手方向に沿って変化していればよい。そのように肉厚が変化する製造用ガラスパイプを作製する場合、以下の式(1)を利用できる。なお、以下では、説明の便宜上、製造用ガラスパイプが有すべき長手方向に沿った肉厚の変化を肉厚分布と記す。
【数1】
式(1)において、R(L)は、位置Lにおける倍率2D/2dであり、光ファイバ母材の試作品の測定により得られた値である。Rpは、位置Lにおける倍率2D/2dの目標値である。D2(L)は製造用ガラスパイプが有すべき外径であり、その長手方向に沿った位置Lにおける値である。I2(L)は製造用ガラスパイプが有すべき内径であり、その長手方向に沿った位置Lにおける値である。a2(L)は製造用ガラスロッドが有すべき外径であり、その長手方向の位置Lにおける値である。
【0029】
式(1)に倍率2D/2dの目標値Rpと上記の測定の結果得られたR(L)とを代入すれば、数値計算によってD2(L)、I2(L)、及びa2(L)を算出できる(ステップS204)。なお、D2(L)、I2(L)、及びa2(L)のうちいずれか1つ又は2つを定数としてもよい。例えば、I2(L)及びa2(L)を一定とし、D2(L)のみを変数として製造用ガラスパイプが有すべき外径を求めるようにしてよい。
【0030】
(製造用材料作製工程)
続いて、所望の肉厚分布を有するガラスパイプの作製について説明する。先ず、製造用ガラスパイプとなるべきガラスパイプを用意する。このガラスパイプは試作ガラスパイプに形状及び材質がほぼ等しい。このガラスパイプは、具体的には、試作ガラスパイプに対して、外径及び内径の差が10%以下であり、軟化点温度の差が200℃以下である。次に、このガラスパイプを例えば数値制御型旋盤といった研削装置に取り付ける。そして、上記の式(1)に基づいた計算データを当該装置の制御部に入力し、このガラスパイプの外周部を研削する。以上により、光ファイバ母材製造用の製造用ガラスパイプが得られる(ステップS205)。この製造用ガラスパイプの外径の長手方向に沿った変化(外径分布)を図7に示す。なお、この分布は式(1)におけるRpを4.51とした計算結果に基づいたものである。
【0031】
(光ファイバ母材製造工程)
次に、光ファイバ母材製造工程について説明する。先ず、上述の製造用ガラスパイプを製造装置1に取り付け、所定の条件でエッチングを行って、内面に付着する不純物を除去すると共に内面を平滑化する。このエッチングの条件は、試作工程において行なったエッチングにほぼ同一である。次に、試作ガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいガラスロッドを用意する。このガラスロッドは、具体的には、試作ガラスロッドに対して、外径の差が10%以下であり、軟化点温度の差が200℃以下である。このガラスロッドを上述の製造用ガラスパイプの内部に挿入する。続いて、試作工程において実施した空焼きにほぼ同一の条件にて空焼きを行なう。その後、ガラスロッドと製造用ガラスパイプとを加熱一体化する(ステップS206)。この加熱一体化の手順及び条件は、試作工程において採用された手順及び条件にほぼ等しい。これにより、製造用ガラスパイプとガラスロッドとが加熱一体化されて光ファイバ母材が製造される。
【0032】
このようにして製造した光ファイバ母材の屈折率分布を測定し、倍率2D/2dの長手方向に沿った変化を求めた。図8は、製造した光ファイバ母材の倍率2D/2dの長手方向に沿った変化を示すグラフである。図8から、光ファイバ母材の倍率2D/2dは、例えば光ファイバ母材の試作品に比べ、遥かに一定化されていることが分かる。倍率2D/2dの変動率を求めたところ、光ファイバ母材の全長にわたって0.8%以下であることが分かった。よって、この光ファイバ母材の全長から光伝送特性がほぼ均一な光ファイバを作製し得る。
【0033】
第1の実施形態による光ファイバ母材の製造方法においては、先ず、試作ガラスロッドと試作ガラスパイプとから光ファイバ母材の試作品が作製される。そして、光ファイバ母材の試作品の長手方向に沿った複数の位置において屈折率分布が測定される。この測定の結果と式(1)とに基づいた計算により、光ファイバ母材製造用のガラスパイプが有すべき肉厚分布が求められる。その後、試作ガラスパイプと形状及び材質がほぼ等しいガラスパイプの外周部が所定の研削装置により研削されて製造用ガラスパイプが得られる。そして、この製造用ガラスパイプと、試作ガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいガラスロッドとが加熱一体化されて光ファイバ母材が製造される。
【0034】
以上のように、光ファイバ母材の試作品の測定結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いられるガラスパイプが有すべき肉厚分布を求め、この肉厚分布を有する製造用ガラスパイプを用いて光ファイバ母材を製造するので、倍率2D/2dの変動率が小さい光ファイバ母材が得られる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態による光ファイバ母材の製造方法を説明する。第2の実施形態は、製造用材料作製工程において気相エッチング法が採用される以外は、第1の実施形態にほぼ同一である。以下では、製造用材料作製工程を主として説明する。
【0036】
先ず、第1の実施形態の製造方法と同様にして、試作製造工程及び計測算出工程が実施される(ステップS201〜S204)。これにより、製造用ガラスパイプが有すべき肉厚分布が算出される。次に、製造用ガラスパイプとなるべきガラスパイプを用意する。このガラスパイプは試作ガラスパイプと形状及び材質がほぼ等しい。
【0037】
このガラスパイプの内面をエッチングすることにより製造用ガラスパイプを作製する。この気相エッチングには製造装置1を使用できる。エッチングの条件を見出すため、製造装置1を用いて、ガラスパイプのトラバース速度とエッチング量との関係を調べた。その結果について説明する。先ず、この予備的な実験のためのガラスパイプを数本用意した。これらのガラスパイプは、外径67mm直径、内径13mm直径、及び長さ250mmを有しており、Clが0.5mol%添加された石英ガラスからなる。ガラスパイプの1本を製造装置に取り付け、ガラスパイプの内部に六弗化硫黄(SF6)ガス及びCl2ガスを流した。これらの流量は、例えばSF6ガス及びCl2ガスともに300cc/min程度でよい。なお、SF6ガスの替わりに、C2F6ガスなどFを含むガスを使用できる。
【0038】
その後、ガラスパイプをその表面温度が1500℃程度となるよう加熱するとともに、ガラスパイプを1.0mm/minの速度でトラバースさせた。トラバースを数回行なった後、エッチングを終了させ、エッチング後のガラスパイプの内径を測定した。その結果、トラバース1回当り、内径が3.5mm直径程度増大することが分かった。続けて、用意したガラスパイプの残りを用い、トラバース速度を1.5mm/min、2.0mm/min、4.0mm/min、及び10.0mm/minとしてトラバース1回当りの内径の増大量(エッチング量)を求めた。これらの結果を図9に示す。同図から、トラバース速度が遅いほど内径増大量が大きいことが分かる。よって、トラバース速度を調整することにより、ガラスパイプの内径(直径)を調整できる。
【0039】
以上の結果に基づき、ガラスパイプの内面をエッチングして製造用ガラスパイプを作製する。すなわち、製造用ガラスパイプとなるべきガラスパイプを製造装置1に取り付け、トラバース速度を図10のように変化させてエッチングを行なう。このとき、ガラスパイプの内部に流すガス、及びガラスパイプの温度は、予備的な実験での条件と同一とできる。図11は、図10に示すようにトラバース速度を変化させてエッチングを行なった製造用ガラスパイプの内径が長手方向に沿ってどのように変化するか(内径分布)を示すグラフである。なお、この内径の変化は、Rpの値を4.50として算出した結果に相当する。
【0040】
続いて、試作ガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいガラスロッドを用意し、このガラスロッドを上記の製造用ガラスパイプの内部に挿入する。その後、第1の実施形態における光ファイバ母材製造工程にほぼ同一の手順により、空焼きと加熱一体化とを行なう。これにより、光ファイバ母材が得られる。
【0041】
この光ファイバ母材の屈折率分布を測定し、コア部外径2dとクラッド部外径2Dとの倍率2D/2dの長手方向に沿った変化を求めた。図12は、製造した光ファイバ母材の倍率2D/2dをその長手方向にプロットしたグラフである。図12から、第2の実施形態の光ファイバ母材の製造方法により製造された光ファイバ母材の倍率2D/2dは、十分に一定化されていることが分かる。倍率の変動率を求めたところ、光ファイバ母材の全長にわたって0.8%以下であることが分かった。
【0042】
以上のように、第2の実施形態の光ファイバ母材の製造方法においては、光ファイバ母材の試作品の測定結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いられるガラスパイプが有すべき肉厚分布が算出される。そして、試作ガラスパイプと形状及び材質がほぼ等しいガラスパイプの内面が気相エッチングされ、所望の肉厚分布を有する製造用ガラスパイプが作製される。そして、この製造用ガラスパイプと、試作ガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいガラスロッドとを用いて光ファイバ母材を製造するので、倍率2D/2dの変動率が小さい光ファイバ母材が得られる。
【0043】
第2の実施形態では、製造用材料作製工程においてガラスパイプの内面をエッチングすることにより製造用ガラスパイプが作製される。このとき、ガラスパイプの内面に吸着する不純物が除去されるため、不純物除去のためのエッチングを敢えて行なう必要はない。通常、ガラスパイプの内面に吸着する不純物を除去するためにガラスパイプの内面のエッチングを行なうが、第2の実施形態による光ファイバ母材の製造方法ではこのようなエッチングは不要である。そのため、製造コストを更に低減することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態による光ファイバ母材の製造方法を説明する。第3の実施形態は、気相エッチング法によるエッチングの手順及び条件が異なる以外は、第2の実施形態にほぼ同一である。以下では、気相エッチングを中心として説明する。
【0045】
先ず、第1の実施形態の製造方法と同様にして、試作製造工程及び計測算出工程が実施される(ステップS201〜S204)。次に、製造用ガラスパイプとなるべきガラスパイプを用意する。このガラスパイプは、試作ガラスパイプと形状及び材質がほぼ等しい。
【0046】
次に、このガラスパイプを用いて製造用のガラスパイプを作製する工程について説明する。第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、製造装置1を用いてガラスパイプの内面が研削される。ただし、第3の実施形態においては、エッチング温度を変化させることにより所望の肉厚分布を実現する。そのため、先ず、エッチング速度のエッチング温度依存性について調べた。その結果について説明する。先ず、この予備的な実験のためのガラスパイプを6本用意した。これらのガラスパイプは、外径67mm直径、内径13mm直径、及び長さ250mmを有しており、Clが0.5mol%添加された石英ガラスからなる。これらのガラスパイプのうち1本を製造装置1に取り付け、ガラスパイプの内部にSF6ガス及びCl2ガスをそれぞれ300cc/min流した。その後、ガラスパイプの表面温度が1550℃程度となるよう加熱するとともに、ガラスパイプを2.0mm/minの速度でトラバースさせた。数回トラバースした後にエッチングを終了させ、エッチング後のガラスパイプの内径を測定した。その結果、トラバース1回当り、内径が2mm直径程度増加したことが分かった。続けて、残りのガラスパイプを用い、ガラスパイプの表面温度が1350℃、1400℃、1450℃、1500℃、及び1600℃となるようにして同様にエッチングを行なった。その後、それぞれの場合について、トラバース1回当りの内径増加量を求めた。その結果を図13に示す。同図から、エッチング温度が高いほど、内径の増加量(エッチング量)が大きいことが分かる。よって、エッチング温度により内径を調整できる。
【0047】
以上の結果に基づき、ガラスパイプの内面をエッチングし、製造用ガラスパイプを作製する。すなわち、製造用ガラスパイプとなるべきガラスパイプを製造装置1に取り付け、ガラスパイプの長手方向に沿ったエッチング温度を図14のように変化させる。このとき、供給するエッチングガスとその流量は、予備的な実験のときにほぼ同一とする。これにより、製造用ガラスパイプが作製される。図15は、図14に示すよう温度を変化させてエッチングした製造用ガラスパイプの内径分布を示すグラフである。なお、この内径の変化は、Rpの値を4.52として算出した結果に相当する。
【0048】
次に、製造用ガラスパイプの内部に、試作ガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいガラスロッドを挿入し、第1の実施形態における光ファイバ母材製造工程と同様にして、空焼きと加熱一体化とを行なって光ファイバ母材を得る。この光ファイバ母材の屈折率分布を測定し、外径2Dとコア部径2dとの倍率2D/2dの長手方向に沿った変化を求める。図16は、製造した光ファイバ母材の倍率2D/2dを長手方向にプロットしたグラフである。図16から、第2の実施形態の光ファイバ母材の製造方法により製造された光ファイバ母材の倍率2D/2dは、十分に一定化されていることが分かる。倍率の変動率を求めたところ、光ファイバ母材の全長にわたって1.3%以下であることが分かった。
【0049】
以上のように、第3の実施形態の光ファイバ母材の製造方法においては、光ファイバ母材の試作品の測定結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いられるガラスパイプが有すべき肉厚分布が算出される。そして、試作ガラスパイプと形状及び材質がほぼ等しいガラスパイプの内面がエッチングされ、所望の肉厚分布を有する製造用ガラスパイプが作製される。このエッチングの際には、ガラスパイプの長手方向に沿って温度を変化させることによりエッチング速度を調整し、所望の肉厚分布を実現する。そして、この製造用ガラスパイプと試作ガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいガラスロッドとを用いて光ファイバ母材を製造するので、倍率2D/2dの変動率が小さい光ファイバ母材が得られる。
【0050】
また、第3の実施形態の光ファイバ母材の製造方法は、第2の実施形態と同様にガラスパイプの内面をエッチングして所望の肉厚分布を有する製造用ガラスパイプを作製しているため、第2の実施形態と同様、不純物除去のエッチングの手間を省けるという利点がある。
【0051】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態による光ファイバ母材の製造方法を説明する。第4の実施形態は、製造用材料作製工程において製造用ガラスロッドが作製される以外は、第1の実施形態にほぼ同一である。以下では、製造用材料作製工程を中心として説明する。
【0052】
先ず、第1の実施形態の製造方法と同様にして、試作製造工程が実施される(ステップS201〜S202)。次に、計測算出工程において、光ファイバ母材の製造用のガラスロッドが有すべき外径分布が算出される。そして、製造用ガラスロッドとなるべきガラスロッドを用意する。このガラスロッドは試作ガラスロッドと材質がほぼ等しい。このようなガラスロッドを所定の加熱方法により加熱、延伸し、長手方向でその外径を調整することにより、算出の結果得られた外径分布を有する出発ガラスロッドを作製する。図17は、延伸によって作製した製造用ガラスロッドの長手方向の外径を示すグラフである。なお、ガラスロッドを延伸する際には、例えば、酸水素火炎バーナを使用できる。酸水素火炎バーナを使用した場合は、ガラスロッドの外周にはOH基を含む層が形成されることとなる。そのため、ガラスロッドをガラスパイプ内に挿入する前に、当該層を例えばHF溶液によるエッチングなどにより除去すると好ましい。このエッチングを行なう場合には、エッチングマージンの分だけ試作ガラスロッドよりも太いガラスロッドを用意する必要がある。
【0053】
次に、試作ガラスパイプと形状及び材質がほぼ等しいガラスパイプを用意する。このガラスパイプを製造装置1に取り付け、その内面を第1〜3の実施形態と同様にエッチングし、不純物を除去すると共に、内面を平滑化する。エッチング後、ガラスパイプ内に製造用ガラスロッドを挿入する。そして、第1の実施形態において説明した光ファイバ母材製造工程を実施すると、光ファイバ母材が得られる。
【0054】
その後、この光ファイバ母材の外径2Dとコア部径2dとを測定し、倍率2D/2dの長手方向に沿った変化を求める。図18は、一例として製造した光ファイバ母材の倍率2D/2dをその長手方向にプロットしたグラフである。図18から、第2の実施形態の光ファイバ母材の製造方法により製造された光ファイバ母材の倍率2D/2dは十分に一定化されていることが分かる。この光ファイバ母材においては、倍率の変動率は、その全長にわたって0.7%以下であることが分かった。
【0055】
以上のように、第4の実施形態の光ファイバ母材の製造方法においては、光ファイバ母材の試作品の測定結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いられるガラスロッドが有すべき外径分布が算出される。そして、この外径分布を有する製造用ガラスロッドが作製される。そして、試作ガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいガラスパイプと、製造用ガラスロッドとを用いて光ファイバ母材を製造するので、倍率2D/2dの変動率が小さい光ファイバ母材が得られる。
【0056】
(第5の実施形態)
第5の実施形態による光ファイバ母材の製造方法を説明する。第5の実施形態は、製造用材料作製工程において製造用ガラスパイプ及び製造用ガラスロッドが作製される。以下では、製造用材料作製工程を中心として説明する。
【0057】
先ず、第1の実施形態の製造方法と同様にして、試作製造工程が実施される(ステップS201〜S202)。次に、計測算出工程において、光ファイバ母材の製造用のガラスパイプが有すべき肉厚分布と、製造用のガラスロッドが有すべき外径分布が算出される。そして、算出の結果に基づいて、製造用のガラスパイプが製造される。この製造方法としては、第1の実施形態において説明したガラスパイプの外周部を研削装置により研削する方法、第2及び第3の実施形態において説明した内面を気相エッチングする方法のいずれが採用されてよい。また、上記の算出の結果に基づいて、製造用のガラスロッドが製造される。この製造方法は、第4の実施形態において説明したガラスロッドを加熱延伸する方法が採用されてよい。
【0058】
続いて、製造用のガラスパイプと製造用のガラスロッドとから光ファイバ母材が製造される。このときの手順は、第1の実施形態において説明した手順と同一とすることができる。
【0059】
以上のように、第5の実施形態の光ファイバ母材の製造方法においては、光ファイバ母材の試作品の測定結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いられるガラスパイプが有すべき肉厚分布と、ガラスロッドが有すべき外径分布とが算出される。そして、これらの算出結果に基づいて、製造用のガラスパイプと製造用のガラスロッドとが作製される。そして、これらを用いて光ファイバ母材を製造するので、倍率2D/2dの変動率が一層小さい光ファイバ母材が得られる。
【0060】
(実施例)
以下に、実施例を用いて本発明に係る光ファイバ母材の製造方法を詳細に説明する。また、実施例においては、上記光ファイバ母材の製造方法、及びこの製造方法により製造された光ファイバ母材の効果を確認するために、光ファイバ母材を実際に線引きして光ファイバを製造し、その特性についても調べた。
【0061】
実施例として製造する光ファイバ母材が有するべき屈折率分布を図19に示す。同図から分かるように、実施例において製造する光ファイバ母材は、コア部と、コア部の外周に設けられた第1のクラッド部と、第1のクラッド部の外周に設けられた第2のクラッド部とを有する。コア部の第2のクラッド部に対する比屈折率差は+1.50%であり、第1のクラッド部の第2のクラッド部に対する比屈折率差は−0.50%である。
【0062】
先ず、コア部となるべき試作ガラスロッドと、第1のクラッド部となるべき試作用の第1のガラスパイプを用意した。試作ガラスロッドは、GeO2を含有する石英ガラスからなり、外径20mm直径及び長さ250mmを有する。また、GeO2の添加濃度は、試作ガラスロッドの中心軸で最大であり、その値は15mol%であった。また、試作ガラスロッドの純石英ガラスに対する比屈折率差Δnは、その中心軸からの距離をr(r≦a)、半径をaとしたときに、1.5×[1−(r/a)2](%)で表される関係で近似されるように変化していた。試作用の第1のガラスパイプは、Fを含有する石英ガラスからなり、外径67mm直径、内径17mm直径、長さ300mmである。Fの添加濃度は、1.4mol%であった。
【0063】
次に、試作用の第1のガラスパイプを製造装置1に取り付けた。そして、このガラスパイプの内面に付着する不純物を除去するとともに、その内面を平滑化するためにエッチングを行なった。このエッチングの条件を例示すると、以下の通りである。
〈不純物除去エッチング条件〉
・SF6ガス流量:300cc/min、
・Cl2ガス流量:300cc/min、
・ガラス表面の最高温度:1500℃、
・ガラスパイプのトラバース速度:3mm/min
ガラスパイプのトラバース速度は一定なので、同パイプの全長にわたりほぼ同一のエッチング量となった。エッチング後、試作ガラスロッドを当該ガラスパイプの内部に挿入した。そして、固定部材を介して試作ガラスロッドを試作用の第1のガラスパイプに対して固定した。続いて、以下に示す条件で空焼きを行なった。
〈空焼き条件〉
・Cl2ガス流量:8.0×105cc/min、
・ガラス表面の最高温度:1300℃、
・トラバース速度:8mm/min
続いて、試作ガラスロッド及び試作用の第1のガラスパイプを下降させながら加熱一体化した。加熱一体化の条件を例示すると、以下の通りである。
〈加熱一体化条件〉
・試作用の第1のガラスパイプの最大表面温度:1650℃、
・下降速度:8mm/min、
・下降時の回転速度:10rpm、
・排気圧:−3kPa(ゲージ指示値)、
・雰囲気ガス及び供給流量:Cl2ガス3.0×105cc/min及びO2ガス3.0×105cc/min
以上により、ガラス中間体の試作品を得た。
【0064】
次に、ガラス中間体のコア部外径2dとクラッド部外径2Dとをプリフォームアナライザを用いて測定した。続けて、この測定の結果及び式(1)に基づいた計算により、光ファイバ母材製造用の製造用ガラスパイプが有すべき肉厚分布を求めた。
【0065】
その後、製造用の第1のガラスパイプとなるべきガラスパイプを用意した。このガラスパイプは、試作ガラスパイプと形状及び材質がほぼ等しい。次に、このガラスパイプを製造装置1に取り付けた。続いて、トラバース速度を図20に示すように変化させて製造用の第1のガラスパイプを作製した。ここで、ガラスパイプの往復回数は3回とした。また、このとき、SF6ガスを300cc/min流し、Cl2ガスを300cc/min流した。さらに、このときのガラスパイプの表面温度は最大で1500℃とした。以上により、製造用の第1のガラスパイプを得た。製造用の第1のガラスパイプの内径の変化を図21に示す。
【0066】
次に、試作ガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいガラスロッドを用意し、このガラスロッドを製造用の第1のガラスパイプ内に挿入した。固定部材を介してガラスロッドと製造用の第1のガラスパイプとを互いに固定した後、上記の空焼き条件に従って空焼きを行なった。空焼き終了後、製造用の第1のガラスパイプとその内部に挿入されたガラスロッドとを加熱一体化し、ガラス中間体を作製した。このときの加熱一体化の条件は、上述の加熱一体化条件にほぼ同一とした。
【0067】
このようにして作製したガラス中間体の外径2Dとコア部径2dとの倍率2D/2dをプリフォームアナライザで調べた。図22は、ガラス中間体の倍率2D/2dがその長手方向に沿ってどのように変化を示すグラフである。同図に示す通り、倍率2D/2dは長手方向に沿ってほぼ一定となっており、計算の結果、倍率2D/2dの変動率は0.6%以下であることが分かった。
【0068】
続いて、上記のガラス中間体を所定のバーナで加熱するとともに延伸し、その外径を22mmとした。その後、HF溶液を用い、その外径が13.2mmになるまでエッチングした。これにより、コア部の外径とクラッド部(後に第1クラッド部となる部分)の外径との比を1.98とした。ここで、説明の便宜上、以上の手順により得られた中間体をガラス中間体Aとする。
【0069】
次に、第2クラッド部となるべき第2のガラスパイプが有すべき肉厚分布を算出するため、試作用の第2のガラスパイプと試作用のガラス中間体とから光ファイバ母材の試作品を作製した。そこで、先ず、試作用のガラス中間体を作製した。このガラス中間体は、ガラス中間体Aを作製した手順と同様に作製され、ガラス中間体Aと形状及び材質がほぼ同一である。便宜上、これをガラス中間体Bとする。また、試作用の第2のガラスパイプとして、VAD(Vapor-phase Axial Deposition)法により作製され、外径67mm及び内径17mmを有する石英ガラス製のパイプを用意した。また、第2のガラスパイプはClを0.2mol%含有している。このガラス中間体Bと試作用の第2のガラスパイプを用い、以下のように光ファイバ母材の試作品を作製した。
【0070】
試作用の第2のガラスパイプを製造装置1に取り付け、その内面に付着する不純物を除去するとともに内面を平滑化するため、エッチングを行なった。このエッチングの条件は、上記の不純物除去エッチングの通りとした。このエッチングの後、当該ガラスパイプの内部にガラス中間体Bを挿入し、両者を加熱一体化して光ファイバ母材の試作品を作製した。このとき、上記の加熱一体化条件を採用した。これにより、光ファイバ母材の試作品を得た。
【0071】
次に、この光ファイバ母材の試作品の屈折率分布を測定し、光ファイバ母材の製造用の第2のガラスパイプが有すべき肉厚分布を算出した。そして、算出の結果に基づき製造用の第2のガラスパイプを作製した。製造用の第2のガラスパイプの作製は、試作用の第2のガラスパイプと形状及び材質がほぼ等しいガラスパイプを用意し、その内面を気相エッチングすることにより行なった。気相エッチングの際には、製造装置1を用い、トラバース速度を図23に示すように変化させた。このように得た光ファイバ母材の製造用の第2のガラスパイプが有する内径の長手方向に沿った分布を図24に示す。
【0072】
以上のようにして得た製造用の第2のガラスパイプを製造装置1に取り付け、このガラスパイプの内部にガラス中間体Aを挿入し、空焼きを行なった。この条件は、上記の空焼き条件と同一とした。その後、上記の加熱一体化条件に従って、製造用の第2のガラスパイプとガラス中間体Aとを加熱一体化し、光ファイバ母材中間体を得た。図25は、この光ファイバ母材中間体が有する倍率2D/2dの長手方向に沿った分布を示すグラフである。この光ファイバ母材中間体の倍率2D/2dの変動率は、0.6%程度であった。続いて、第2クラッド部の外径を更に増加させるため、光ファイバ母材中間体の外周にClを0.2w%含有するSiO2を形成し、光ファイバ母材とした。このSiO2を形成する方法としては、OVD(Outside Vapor Deposition)法やVAD法といった気相合成法、又は所定のガラスパイプを用いたコラプス法が採用され得る。
【0073】
この光ファイバ母材の屈折率分布をプリフォームアナライザを用いて測定し、光ファイバ母材の外径2Dとコア部径2dとの倍率2D/2dを求めた。ここで、倍率の最小値は31.09であり、最大値は31.30であった。また、その変動率は0.7%程度であった。すなわち、倍率2D/2dの変動率が100mmの長さに渡って3%以下である光ファイバ母材が得られることが分かった。この程度の変動率であれば、光ファイバ母材から製造される光ファイバの長手方向に沿った光学的特性をほぼ一定とすることができる。また、倍率2D/2dの変動率が1%以下であると更に好ましい。
【0074】
続いて、以上のように得た光ファイバ母材を線引きし、外径が125μmとなる光ファイバを製造した。なお、この光ファイバのコア径は4.0μm直径であり、第1クラッド径は7.9μm直径であった。この光ファイバの波長1550nmにおける伝送特性を測定した。測定結果を以下に示す。
・分散(ps/km/nm):−60.8〜−58.4
・分散スロープ(ps/km/nm2):−0.177〜−0.170
・実効断面積Aeff(μm2):19.7〜20.1
・MFD(μm):5.08〜5.06
・2mのカットオフ波長(nm):804〜810
・伝送損失(dB/km):0.268〜0.275
・PMD(ps/km1/2):0.03〜0.10
これらの結果より、本実施例における光ファイバ母材から、全長に渡って伝送特性がほぼ均一な光ファイバが得られたことが分かる。すなわち、光ファイバから所望の特性を有する部分だけを切り出すといった作業は不要である。そのため、所望の特性を有する部分を見出すための検査作業、切り出し作業、及び切り出し後の検査作業などは不要である。そのため、工程が増えてしまうことはなく、また、廃棄長を最小限とし得るため、光ファイバの製造コストの増加が防止される。
【0075】
以上、いくつかの実施形態及び実施例を用いて本発明に係る光ファイバ母材の製造方法を説明したが、本発明はこれらに限られることなく、様々な変形が可能である。また、実施形態及び実施例で示したグラフは例示的なものであり、これらに限定されるものではない。
【0076】
第4の実施形態においては、製造用ガラスロッドを延伸することにより、所望の外径分布を有する製造用ガラスロッドを作製した。このような製造用ガラスロッドの作製方法は、コア部がその径方向に対して所定の屈折率分布を有する場合に特に好適である。コア部の屈折率分布がほぼ一定な光ファイバ母材を作製する場合には、添加物濃度がほぼ一定なガラスロッドを用意し、このガラスロッドを外周研削することにより製造用ガラスロッドを作製してよい。
【0077】
また、上記の実施形態においては、加熱一体化時にガラスロッドが内部に挿入されたガラスパイプを鉛直に保持したが、鉛直方向に対して所定の角度となるよう保持されてよい。ここで、所定の角度とは、これらに湾曲が生じない程度の角度を意味する。ガラスパイプとガラスロッドとが水平に近い状態で保持される場合には、自重によって、これらが湾曲してしまう。本発明者らは、湾曲が問題とならない角度について検討を重ねた結果、鉛直方向に対して0°〜5°の範囲が好適であることを見出した。
【0078】
実施例の変形として以下の手順も可能である。すなわち、先ず、試作用の第1のガラスパイプ内に試作用ガラスロッドを挿入し、双方を鉛直方向に対し所定の角度に保持して加熱一体化し、試作ガラス中間体を作製する。この試作ガラス中間体は、試作用の第2のガラスパイプに対するガラスロッドに相当する。この試作ガラス中間体を試作用の第2のガラスパイプに挿入し、これらを上記の所定の角度に保持して加熱一体化し、試作光ファイバ母材を作製する。
【0079】
次に、試作光ファイバ母材の長手方向に沿った複数の位置において、この光ファイバ母材の屈折率分布を測定する。続いて、この測定の結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いるガラスロッドが有すべき外径、光ファイバ母材の製造に用いる第1及び第2のガラスパイプが有すべき肉厚の分布を算出する。そして、この算出の結果に従って外径が変化する製造用のガラスロッドと、この算出の結果に従って肉厚が変化する製造用の第1及び第2のガラスパイプとを用意する。
【0080】
その後、製造用のガラスパイプを製造用の第1のガラスパイプに挿入し、これらを上記の所定の角度に保持して加熱一体化し、ガラス中間体を作製する。最後に、このガラス中間体を製造用の第2のガラスパイプに挿入し、これらを上記の所定の角度に保持して加熱一体化し、光ファイバ母材を作製する。このようにしても、製造用のガラスロッド、第1及び第2のガラスパイプを所望の形状とし得るため、外径とコア部径との倍率が全長に渡って略等しい光ファイバ母材を製造できる。また、上記の実施例の変形に相当する手順は、第1及び第2のガラスパイプに加えて第3のガラスパイプを用いる場合にも適用し得る。
【0081】
さらに、ガラスパイプの内面の研削は、気相エッチングに限らず機械加工により行なうこともできる。機械加工によっても、その肉厚分布を算出の結果の通りとできる。
【0082】
なお、光ファイバ母材を製造する毎に光ファイバ母材の試作品を製造する必要はないことは当業者にとって明らかである。仕様が同一な光ファイバ母材を複数個作製する場合には、始めに一回だけ光ファイバ母材の試作品を作製しておけば良い。そして、この光ファイバ母材の試作品の屈折率分布を測定し、製造用ガラスパイプ及びガラスロッドが有すべき外径又は内径の長手方向の分布を算出すれば、この算出の結果に基づいて製造用ガラスパイプ及びガラスロッドを複数用意できる。このようにして用意された複数の製造用ガラスパイプ及びガラスロッドを用いれば、複数個の光ファイバ母材を製造できる。また、測定の結果又は算出の結果を記憶装置等に保存しておき、必要に応じて適宜利用するようにしてもよい。
【0083】
上記の実施形態及び実施例においては、外径が長手方向に沿ってほぼ一定な試作ガラスロッド、及び肉厚が長手方向に沿ってほぼ一定な試作ガラスパイプを用いたが、必ずしも一定でなくてもよい。例えば製造上の誤差或いは不具合により長手方向にそって外径変動が生じてしまったガラスロッドが数本有り、しかも、これらの外径の変動が長手方向にほぼ同一であれば、そのうちの一本を試作ガラスロッドとし、残りを製造用のガラスロッドとして使用できる。本発明に係る光ファイバ母材の製造方法においては、試作光ファイバ母材の屈折率分布が測定され、この測定の結果に基づいて製造用のガラスパイプが有すべき肉厚分布が算出され、この算出の結果に基づいて製造用のガラスパイプが用意される。したがって、用意された製造用のガラスパイプは、試作ガラスロッドが有する製造上の誤差又は不具合による外径変動をも相殺可能な肉厚分布を有することができる。
【0084】
また、同様の原因により肉厚が長手方向に沿って不均一となってしまったガラスパイプが数本有り、しかも、これらの肉厚が長手方向にそってほぼ同一の分布を有していれば、これらのうち一本を試作ガラスパイプとし、残りを製造用のガラスパイプとして使用できる。すなわち、ガラスロッド又はガラスパイプの製造時に不具合が生じたとしても、製造されたガラスロッド又はガラスパイプを廃棄することなく使用し得るため、光ファイバ母材の製造コストの増加を防止できる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法によれば、試作光ファイバ母材の屈折率分布が測定され、この測定の結果に基づいてガラスパイプが有すべき肉厚の長手方向に沿った変化が算出される。そして、この算出の結果に従って肉厚が変化するガラスパイプが用意される。その後、試作に用いたガラスロッドと形状及び材質がほぼ等しいなガラスロッドと上記のガラスパイプとが加熱一体化されて光ファイバ母材が製造される。光ファイバ母材の製造に用いるガラスパイプは算出の結果に従って肉厚が変化しているため、加熱一体化の際、自重により生じるガラスパイプの肉厚の変化が相殺され得る。したがって、クラッド部の外径とコア部の外径との倍率が長手方向に沿って一定化され、光ファイバの光伝送特性が均一となる。よって、光ファイバの製造コストを低減可能な光ファイバ母材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、光ファイバ母材の製造装置の主要部の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、第1の実施形態の光ファイバ母材の製造方法のフロー図である。
【図3】図3は、光ファイバ母材の試作品の外径2Dが長手方向に沿ってどのように変化するかを示すグラフである。
【図4】図4は、光ファイバ母材の試作品のコア部径2dが長手方向に沿ってどのように変化するかを示すグラフである。
【図5】図5は、光ファイバ母材の試作品の外径2Dとコア部外径2dとの倍率2D/2dが長手方向に沿ってどのように変化しているかを示すグラフである。
【図6】図6は、倍率2D/2dの長手方向に沿った変化を変動率で示すグラフである。
【図7】図7は、製造用ガラスパイプの外径2Dの長手方向に沿った分布を示すグラフである。
【図8】図8は、製造した光ファイバ母材の倍率2D/2dをその長手方向に対してプロットしたグラフである。
【図9】図9は、ガラスロッドのエッチング量のトラバース速度依存性を示すグラフである。
【図10】図10は、トラバース速度をガラスロッドの長手方向に沿ってどのように変化させるかを示すグラフである。
【図11】図11は、図10に示すようなトラバース速度でエッチングした製造用ガラスパイプの内径分布を示すグラフである。
【図12】図12は、製造した光ファイバ母材の倍率2D/2dをその長手方向にプロットしたグラフである。
【図13】図13は、エッチング量のエッチング温度依存性を示すグラフである。
【図14】図14は、ガラスパイプの長手方向に沿ったエッチング温度の分布を示すグラフである。
【図15】図15は、図14に示すよう温度を変化させてエッチングした製造用ガラスパイプの内径分布を示すグラフである。
【図16】図16は、製造した光ファイバ母材の倍率2D/2dを長手方向にプロットしたグラフである。
【図17】図17は、延伸によって作製した製造用ガラスロッドの長手方向の外径を示すグラフである。
【図18】図18は、一例として製造した光ファイバ母材の倍率2D/2dをその長手方向にプロットしたグラフである。
【図19】図19は、実施例として製造する光ファイバ母材が有すべき屈折率分布を示すグラフである。
【図20】図20は、トラバース速度をガラスロッドの長手方向に沿ってどのように変化させたかを示すグラフである。
【図21】図21は、実施例における製造用ガラスパイプの内径の変化を示すグラフである。
【図22】図22は、ガラス中間体の倍率2D/2dがその長手方向に沿ってどのように変化を示すグラフである。
【図23】図23は、トラバース速度をガラスロッドの長手方向に沿ってどのように変化させたかを示すグラフである。
【図24】図24は、光ファイバ母材の製造用の第2のガラスパイプが有する内径の長手方向に沿った分布を示すグラフである。
【図25】図25は、実施例の光ファイバ母材中間体が有する倍率2D/2dの長手方向に沿った分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1…製造装置、2…ガラスパイプ保持部、3…ガラスロッド保持部、4…電気炉、5…固定部材。
Claims (10)
- ガラスパイプ内にガラスロッドを挿入し、前記ガラスパイプ及び前記ガラスロッドを加熱一体化して光ファイバ母材を製造する方法であって、
試作ガラスロッドを試作ガラスパイプ内に挿入し、双方を鉛直に保持し加熱一体化して試作光ファイバ母材を製造し、
前記試作光ファイバ母材の長手方向に沿った複数の位置において、前記試作光ファイバ母材の屈折率分布を測定し、
この測定の結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いるガラスパイプが有すべき肉厚の前記長手方向に沿った変化を算出し、
この算出の結果に従って肉厚が変化する製造用ガラスパイプを用意し、
前記試作ガラスロッドに形状及び材質が実質的に同一なガラスロッドを前記製造用ガラスパイプ内に挿入し、双方を鉛直に保持し加熱一体化して光ファイバ母材を製造することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - ガラスパイプ内にガラスロッドを挿入し、前記ガラスパイプ及び前記ガラスロッドを加熱一体化して光ファイバ母材を製造する方法であって、
試作ガラスロッドを試作ガラスパイプ内に挿入し、双方を鉛直に保持し加熱一体化して試作光ファイバ母材を製造し、
前記試作光ファイバ母材の長手方向に沿った複数の位置において、当該試作光ファイバ母材の屈折率分布を測定し、
この測定の結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いるガラスロッドが有すべき外径を算出し、
この算出の結果に従って外径が変化する製造用ガラスロッドを用意し、
前記試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプ内に前記製造用ガラスロッドを挿入し、双方を鉛直に保持し加熱一体化して光ファイバ母材を製造することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - ガラスパイプ内にガラスロッドを挿入し、前記ガラスパイプ及び前記ガラスロッドを加熱一体化して光ファイバ母材を製造する方法であって、
試作ガラスロッドを試作ガラスパイプ内に挿入し、双方を鉛直に保持し加熱一体化して試作光ファイバ母材を製造し、
前記試作光ファイバ母材の長手方向に沿った複数の位置において、前記試作光ファイバ母材の屈折率分布を測定し、
この測定の結果に基づいて、光ファイバ母材の製造に用いるガラスパイプが有すべき肉厚と、光ファイバ母材の製造に用いるガラスロッドが有すべき外径と、を算出し、
この算出の結果に従って肉厚が変化する製造用ガラスパイプと、前記算出の結果に従って外径が変化する製造用ガラスロッドとを用意し、
前記製造用ガラスパイプ内に前記製造用ガラスロッドを挿入し、双方を鉛直に保持して加熱一体化し光ファイバ母材を製造することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - 前記試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプを調達し、
該ガラスパイプの肉厚が前記算出の結果に従って変化するよう該ガラスパイプの外周を研削して前記製造用ガラスパイプを用意することを特徴とする請求項1又は3に記載の光ファイバ母材の製造方法。 - 前記試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプを調達し、
該ガラスパイプの肉厚が前記算出の結果に従って変化するよう該ガラスパイプの内面を研削して前記製造用ガラスパイプを用意することを特徴とする請求項1又は3に記載の光ファイバ母材の製造方法。 - 前記内面の研削を気相エッチングにより行なうことを特徴とする請求項5記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記気相エッチングの際に、前記試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプの温度をその長手方向に沿って変化させることを特徴とする請求項6記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記気相エッチングの際に、前記試作ガラスパイプに形状及び材質が実質的に同一なガラスパイプを熱源により部分的に加熱し、前記熱源を該ガラスパイプの長手方向に沿って移動させ、その移動速度を長手方向に変化させることを特徴とする請求項6記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記試作ガラスロッドに形状及び材質が実質的に同一なガラスロッドを調達し、
該ガラスロッドの外径が前記算出の結果に従って変化するよう該ガラスロッドを延伸して前記製造用ガラスロッドを用意することを特徴とする請求項2又は3に記載の光ファイバ母材の製造方法。 - 前記試作ガラスロッドに形状及び材質が実質的に同一なガラスロッドを調達し、
該ガラスロッドの外径が前記算出の結果に従って変化するよう該ガラスロッドの外周を研削して前記製造用ガラスロッドを用意することを特徴とする請求項2又は3に記載の光ファイバ母材の製造方法。
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