JP3974822B2 - 排水用ドレインの据付施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンクリート建屋のバルコニーや屋上、あるいは床等に排水用ドレインを据え付けるための施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マンション等のコンクリート建屋におけるバルコニーや屋上、あるいは床等には排水用ドレインが設けられる。このようなドレインは、建屋の建造時にその施工に併せて据え付けられる。
【0003】
具体的に説明すると、図9に示すaはバルコニーや屋上、あるいは床等におけるスラブコンクリートを打設するための型枠であり、まずこの型枠aの上に薄板状の固定座bをビスや釘等の止め具cで固定する。そしてこの固定座bの中心部に固定ボルトdをねじ込んで垂直に起立するように取り付ける。この固定ボルトdとしては、その全長にねじが形成されたいわゆる全ねじボルトが用いられている。
【0004】
次に、円筒状をなす所定の高さのスペーサeをその下端の開口が固定座bの外周に嵌合するように型枠aの上に設置し、さらにこのスペーサeの上にドレイン本体fを載置して水平に支持する。
【0005】
ドレイン本体fの上端の開口部には養生カバーgを嵌め込んでその開口部を閉塞する。養生カバーgの中心部からは前記固定ボルトdの上端部を突出させ、その上端部にナットhを螺着し、このナットhを締め付けて養生カバーg、ドレイン本体f、スペーサeを下方に押圧し、この押圧力でドレイン本体fおよびスペーサeを型枠aの上に固定する。
【0006】
こののち、ドレイン本体fおよびスペーサeの外周側における型枠aの上にスラブコンクリートを打設し、これを養生する。スラブコンクリートの養生後には、型枠a、固定ボルトd、養生カバーg等を撤去する。これによりドレイン本体fが埋め込まれたスラブが造形される。そしてドレイン本体fの上端の開口部には最終的にストレーナを設置して排水用のドレインを完成させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
スラブの厚さHは、建築条件に応じて種々の寸法に設定されるが、この厚さHはスペーサeの高さ寸法を変更することにより調整される。
【0008】
スペーサeの高さの寸法が変更されるときには、そのスペーサeの高さの寸法に応じた長さの固定ボルトdを用いる必要がある。仮に、長さの充分に長い固定ボルトdを予め用意し、スラブの厚さHがいずれの寸法の場合であっても、その長尺の固定ボルトdを共通して使用するようにすると、スラブの厚さHつまりスペーサeの高さ寸法が小さいときに、固定ボルトdの上端部が養生カバーgの上面からその上方に大きく突出してしまうことになる。
固定ボルトdの上端部が大きく突出すると、工事中にその突出部に工事機材や工事作業者の衣服等が引っ掛かって不測の危険を招く恐れがあり、またその引っ掛かりでドレイン本体fのセット状態が崩れてしまう恐れがある。
【0009】
したがって、固定ボルトdとしては、長さ寸法の異なる各種のものを予め用意し、その中からスラブの厚さHに応じる適正な長さの固定ボルトdを選択して使用しなければならず、このため作業能率が低下し、また誤った長さの固定ボルトdを使用して前述のような事態を招く恐れが生じ、さらに各種の長さの固定ボルトdを揃えなければならないため施工コストが嵩む難点がある。
【0010】
さらにまた、固定ボルトdを用いる手段では、その固定ボルトdにナットhをいちいち螺着しなければならないため、より作業性が低下し、かつ固定ボルトdのねじの潰れによる不良や錆の問題も生じてしまう。
【0011】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、スラブの厚さが種々変わる場合であっても、共通の部品を用いて能率よく、適正にドレイン本体を型枠の上にセットして施工することができる排水用ドレインの据付施工方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明はこのような目的を達成するために、固定座と、合成樹脂製の留めコードと、筒状のスペーサと、このスペーサの上端部に載置が可能なドレイン本体と、このドレイン本体の上端の開口部に嵌め込みが可能な養生カバーと、この養生カバーに設けられ、前記留めコードを差し込んで係止することが可能な係止部材とを備え、スラブコンクリート打設用の型枠の上に前記固定座を取り付け、この固定座に前記留めコードを取り付け、前記固定座の外周における型枠の上に前記スペーサを設置し、このスペーサの上端部にドレイン本体を載置し、前記留めコードを前記養生カバーの係止部材に差込みながら前記養生カバーを前記ドレイン本体の開口部に嵌め込むとともに、前記留めコードを引き上げて張力を加え、この留めコードを前記係止部材により係止し、この留めコードの張力で型枠の上にスペーサおよびドレイン本体を固定し、この状態でスペーサおよびドレイン本体の外周側の型枠の上にスラブコンクリートを打設するようにしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図1ないし図8を参照して説明する。
図1には、型枠1の上にドレイン本体2をセットした状態の断面図を、図2にその平面図をそれぞれ示してある。
ドレイン本体2を型枠1の上にセットするときの手順を説明すると、まず図3に示すように、型枠1の上面のドレイン取付位置に基準用の十字線Lを描く。そしてこの十字線を基準にして型枠1の上に固定座3をビスや釘等の止め具4で固定する。
【0014】
固定座3は、例えば周縁に均等的に4つの突部5を有するほぼ星型状をなし、中央部には図4に示すように円錐状に起立する掛け部6が一体に形成されている。各突部5の上面には合せ線7が施されており、これら合せ線7を前記十字線に合わせることにより、固定座3を所定の位置に位置決めし、この状態で固定座3を型枠1に固定する。
【0015】
前記4つの突部5のうちの互いに反対側に延びる突部5の先端の端面には小突起5aが一体に突出形成されている。また、円錐状をなす前記掛け部6の周面には、複数の通し穴6aが均等的に形成されている。
型枠1に固定座3を取り付けたのちには、その固定座3の掛け部6に図1に示すように高さ調節用の留めコード10の端部を掛け留める。この留めコード10は、図1および図5に示すように、スラブの設計最大厚さより長い比較的長尺な帯状の紐部11と、この紐部11の一端側の端部に設けられたロック部12とからなり、合成樹脂により一体に成形されている。
【0016】
紐部11はある程度の張りをもち、この紐部11の片面にはその長手方向に鋸歯状に並ぶラチェット歯11aが形成されている。また、ロック部12には、紐部11の差込みが可能なスリット状の差込み孔13と、この差込み孔13内に差し込まれる紐部11のラチェット歯11aに弾性的に噛合してその紐部11の差込み反対側への移動を阻止してその紐部11をロックするロック体14とを有している。
【0017】
留めコード10の端部を固定座3の掛け部6に掛け止めるときには、まず掛け部6の互いに対向する一方の通し穴6aから他方の通し穴6aに留めコード0の紐部11の先端側端部、すなわちロック部12の反対側の端部を通してその端部を掛け部6から引き出す。そしてその引き出した紐部11の先端側端部をロック部12の差込み孔13内に差込んで引き出し、紐部11で掛け部6を締め付け、その紐部11をロック体14でロックし、紐部11の逆方向への移動を阻止する。
【0018】
このようにして留めコード10の端部を固定座3の掛け部6に掛け留める。そしてこの留めコード10の紐部11を掛け部6からその上方に延びるように起立させる。
【0019】
次に、図3および図4に示すように、円筒状をなす所定の高さのスペーサ17をその下端の開口が固定座3の外周に嵌合するように型枠1の上に設置する。このスペーサ17は、図6に示すように、例えば塩化ビニール等の合成樹脂により円筒状に形成され、その高さが構築するスラブの厚さに応じる寸法に設定されている。
【0020】
このスペーサ17の下端の開口縁および上端の開口縁には、それぞれ一対ずつ切欠部18a,18b,19a,19bが形成されている。下端の開口縁に形成された一対の切欠部18a,18bおよび上端の開口縁に形成された一対の切欠部19a,19bは、それぞれその開口の直径線上に配置され、また下端の切欠部18aと上端の切欠部19a、および下端の切欠部18bと上端の切欠部19bは、それぞれスペーサ17の同一軸線上に配置されている。
【0021】
そしてスペーサ17を固定座3の外周に嵌合するときには、下端の切欠部18a,18bを固定座3の突部5の端面に形成された小突起5a,5bに嵌め込んで位置決めする。
【0022】
次に、スペーサ17の上端の上にドレイン本体2をセットして水平に支持する。このドレイン本体2は、円筒状の筒部22の上端部に平面が四角形の受皿部23を一体に形成してなる。受皿部23の下面には図1に示すようにスペーサ17を受ける円形状の受部24が形成され、この受部24の互いに対応する2ヶ所、すなわち四角形の受皿部23の平面視の中心を通り、かつその受皿部23の両側辺と平行をなす中心線上における2ヶ所に突起25が一体に形成されている。
【0023】
ドレイン本体2をスペーサ17の上にセットする際には、筒部22をスペーサ17内に挿入し、受部24をスペーサ17の上端縁に当てるとともに、突起25をスペーサ17の上端の切欠部19a,19bに嵌め込んでドレイン本体2を位置決めする。この位置決めにより前記基準用の十字線Lに対してドレイン本体2における受皿部23の各辺が平行に配置する所定の姿勢にドレイン本体2を支持することができる。
【0024】
図7には、ドレイン本体2の受皿部23内に嵌め込んでその受皿部23の開口部を閉塞する養生カバー28を示してある。この養生カバー28の中央部には係止部材32が取り付けられている。
【0025】
この係止部材32は、円板状の基部33と、この基部33の片面に形成された突部34と、この突部34に形成され、前記留めコード10の紐部11の差込みが可能なスリット状の差込み孔35と、この差込み孔35内に差し込まれた紐部11のラチェット歯11aに弾性的に噛合してその紐部11の差込み反対側への移動を阻止してその紐部11をロックするロック体36とを有している。
【0026】
そしてこの係止部材32は基部33が養生カバー28の上面に接合するように取り付けられ、また養生カバー28には突部34に対応する部分に開口37が形成されている。
【0027】
また、ドレイン本体2の受皿部23の内側縁部には、図2に示すように複数の支持ボス30,31が一体に形成されている。そして受皿部23の互いに対応する2辺の側辺部の中間部に形成された支持ボス31にはねじ孔31aが形成されている。
【0028】
養生カバー28はドレイン本体2の受皿部23内に嵌め込むわけであるが、その嵌め込みに先立ってまずドレイン本体2内の下方から上方に延び出る留めコード10の紐部11の先端部を養生カバー28の下方から係止部材32の差込み孔35内に差込み、この状態で養生カバー28をドレイン本体2の受皿部23内に嵌め込んで支持ボス30,31の上に乗せる。
そして養生カバー28を下方に押え付けた状態で前記紐部11を上方に強く引き上げる。引き上げられた紐部11は、ラチェット歯11aとロック体14との噛合によりその位置に係止され、固定座3と養生カバー28との間の紐部11に張力が生じ、この張力により養生カバー28、ドレイン本体2およびスペーサ17が型枠1の上に強く固定される。なお、支持ボス31のねじ孔31aには養生カバー28の上面からねじ29を螺挿しておく。
【0029】
こののち、ドレイン本体2およびスペーサ17の外周側における型枠1の上にスラブコンクリートを打設し、これを養生する。スラブコンクリートの養生後には、型枠1、養生カバー28、留めコード10、固定座3を撤去する。これによりドレイン本体2が埋め込まれたスラブが完成する。
スラブの完成後には、ドレイン本体2の受皿部23内にストレーナ(図示せず)を嵌め込んで支持ボス30,31の上に乗せ、かつ支持ボス31にねじ29を螺挿してストレーナを固定する。これにより排水用のドレインが完成する。
【0030】
このように、型枠1の上にドレイン本体2をセットする際には、合成樹脂製の留めコード10の紐部11を養生カバー28の係止部材32に通して引き上げるだけでドレイン本体2をスペーサ17と共に型枠1に固定してセットすることができ、したがってその施工の作業を容易に能率よく行なうことができる。
【0031】
ドレイン本体2のセット状態において、留めコード10の紐部11は養生カバー28の上方側に延出するが、この紐部11は合成樹脂で弾性変形が自在であるから、作業時の危険物となることはなく、安全に作業を進めることができる。養生カバー28の上方側に延出した紐部11が特に邪魔となる場合には、その紐部11を適当な位置で挟みやカッターで切断することも可能である。
【0032】
留めコード10は予め充分な長さを有しており、このためスラブの厚さH、つまりスペーサ17の高さ寸法が大きな寸法に変更された場合で合っても、共通の留めコード10を用いてドレイン本体2を所定のレベルの位置に固定することができる。
【0033】
このため、従来のように長さの異なる数種の固定ボルトを用意したり、その数種の中から適正な長さの固定ボルトを選択して使用するような面倒で煩わしい作業は不要となり、したがってより一層能率的にかつ選択ミスによるトラブルを招くことなく作業を進めることができる。
【0034】
なお、留めコード10を固定座3に取り付ける際には、その紐部11の幅方向が養生カバー28における係止部材32の差込み孔35と平行になるように取り付ける。これにより係止部材32の差込み孔35に対する紐部11の差込みを容易に能率よく行なうことができる。
【0035】
また、前記実施形態においては、ドレイン本体2の受皿部23を四角形としたが、円形であってもよく、この場合には、その設置上の方向性がないから、前記小突起5aや切欠部18a,18b,19a,19b等の位置決め手段を省略することが可能となる。したがってこの場合には、ドレイン本体2を型枠1に据え付ける作業をより一層容易に能率よく行なうことができる。
【0036】
図8には、この発明の第2の実施形態を示してある。この実施形態は建屋の床に床排水用のトラップ式のドレイン本体2を据え付ける場合の例である。この場合においても、スラブコンクリート打設用の型枠1の上に固定座3を取り付け、この固定座3に合成樹脂製の留めコード10を取り付け、固定座3の外周における型枠1の上にスペーサ17を設置し、このスペーサ17の上端部にドレイン本体2を載置し、留めコード10を養生カバー28の係止部材32に差込みながら養生カバー28をドレイン本体2の開口部に嵌め込むとともに、留めコード10を引き上げて張力を加え、この留めコード10を係止部材32により係止し、この留めコード10の張力で型枠1の上にスペーサ17およびドレイン本体2を固定する。そしてこの状態でスペーサ17およびドレイン本体2の外周側の型枠1の上にスラブコンクリートを打設する。
床排水用のドレイン本体2は、内部に一定の高さで起立する内筒40を一体に有し、この内筒40の外周が水を滞留させるトラップ部41となっている。そしてスラブコンクリートの打設および養生後に、前記トラップ部41内に防臭おわん42を差し込み、さらにその防臭おわん42を覆うように、ドレイン本体2内に排水目皿(ストレーナ)43を有する調節管44を収納して床排水用ドレインを完成させる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、スラブの厚さが種々変わる場合であっても、その厚さに拘わらず共通の留めコードを用いて容易に能率よく、かつ安全にドレイン本体を型枠の上にセットして能率的に施工することができる。そして共通の留めコードを使用することができるから、施工コストを軽減でき、また選択ミスによるトラブルを招くようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るドレイン本体を型枠の上にセットした状態を示す断面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】型枠の上に固定座およびスペーサを取り付けたときの平面図。
【図4】同じく断面図。
【図5】留めコードの斜視図。
【図6】スペーサの斜視図。
【図7】養生カバーの斜視図。
【図8】この発明の第2の実施形態に係るドレイン本体を型枠の上にセットした状態を示す断面図。
【図9】従来の施工方法を説明するための断面図。
【符号の説明】
1…型枠
2…ドレイン本体
3…固定座
10…留めコード
11…紐部
11a…ラチェット歯
12…ロック部
13…差込み孔
14…ロック体
17…スペーサ
22…筒部
23…受皿部
28…養生カバー
32…係止部材
34…突部
35…差込み孔
36…ロック体
Claims (1)
- 固定座と、合成樹脂製の留めコードと、筒状のスペーサと、このスペーサの上端部に載置が可能なドレイン本体と、このドレイン本体の上端の開口部に嵌め込みが可能な養生カバーと、この養生カバーに設けられ、前記留めコードを差し込んで係止することが可能な係止部材とを備え、
スラブコンクリート打設用の型枠の上に前記固定座を取り付け、この固定座に前記留めコードを取り付け、前記固定座の外周における型枠の上に前記スペーサを設置し、このスペーサの上端部にドレイン本体を載置し、前記留めコードを前記養生カバーの係止部材に差込みながら前記養生カバーを前記ドレイン本体の開口部に嵌め込むとともに、前記留めコードを引き上げて張力を加え、この留めコードを前記係止部材により係止し、この留めコードの張力で型枠の上にスペーサおよびドレイン本体を固定し、この状態でスペーサおよびドレイン本体の外周側の型枠の上にスラブコンクリートを打設することを特徴とする排水用ドレインの据付施工方法。
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JP2002188543A JP3974822B2 (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 排水用ドレインの据付施工方法 |
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- 2002-06-27 JP JP2002188543A patent/JP3974822B2/ja not_active Expired - Lifetime
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