JP3972982B2 - 対向ターゲット式スパッタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の空間を隔てて1対のターゲットを対向させて配置し、該ターゲットの夫々の外周に沿って永久磁石をその磁極が互いに向き合うように設けて該対向空間を囲むようにターゲットに垂直方向の磁界を発生させるようにしたスパッタユニットを備え、該対向空間内にプラズマを拘束してターゲットをスパッタし、この対向空間の側方に配置した基板上に膜形成するようにした対向ターゲット式スパッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記対向ターゲット式スパッタ装置は、本発明者らの発明に係る特公昭63-20303号、特公昭63-20304号、特公昭62-14633号等の公報で既に公知であり、図8の構成を基本構成にしている。すなわち、真空槽10内に所定距離の対向空間120を隔てて対向するように配置されたターゲット110a、110bと、該対向空間120の外縁部の側面を磁界が均一に覆うように磁界を発生させるターゲット110a、110bのそれぞれの外周に沿ってその背面に設けた磁界発生手段の永久磁石130a、130bとからなるスパッタ部を設け、その側方に設けた基板ホルダー21により基板20を該対向空間120に対面するように配置した構成になっている。尚、図の11は、真空槽10の槽壁、140a、140bは、ターゲット部100a、100bのターゲット110a、110bの前面以外の部分がスパッタされないように保護するためのシールドである。
【0003】
従って、図示省略した排気系により排気口30を通して真空槽10内を排気した後、図示省略したガス導入手段により導入口40からアルゴン等のスパッタガスを所定の圧力になるように導入し、図示の如く直流電源からなるスパッタ電源50によりシールド140a、140b従って真空槽10をアノード(陽極)(接地)に、ターゲット110a、110bをカソード(陰極)にしてスパッタ電力を供給すると、ターゲット110a、110bの間の対向空間120にプラズマが形成されてターゲット110a、110bのスパッタが行われ、基板20上にターゲット110a、110bの組成に対応した組成の薄膜が形成される。なお、スパッタ電源には、ターゲットの組成により高周波電源が用いられることもある。
【0004】
この際、前述の構成によりターゲット110a、110bの面と垂直方向に磁界が形成されているので、ターゲット110a、110b間の対向空間120内に高エネルギーの電子が閉じ込められてプラズマが生成し、ここでのスパッタガスのイオン化が促進されてスパッタ速度が高くなり、高速の膜形成ができる。その上、基板20は、従来の代表的なスパッタ装置である基板とターゲットを対向配置したプレナーマグネトロン式スパッタ装置等と異なり、ターゲット110a、110bの側方に配置されているので、基板20へのイオンや電子の衝突が非常に少なくなり、かつターゲット110a、110bからの熱輻射も小さく基板温度の上昇も小さくなり、低温の膜形成ができる。このように、従来のマグネトロン式スパッタ法では高速成膜が困難であった磁性材を含め各種材料を低温、高速で膜形成できる特徴を有し、薄膜型磁気記録媒体や磁気ヘッド等の磁性薄膜、その他の金属膜、金属酸化物膜、セラミック膜等の各種の薄膜の製造に利用されている。
ところで、通常この対向ターゲット式スパッタ装置にも長方形、円形のターゲットが用いられるが、ターゲットの形状に係らず、スパッタによるターゲット表面の侵食はその中心部に集中し、ターゲットの利用効率を改善する必要があることが分かった。また、基板の幅方向に長い長方形のターゲットを使用した場合には、ターゲット侵食パターンがターゲット中央部に対して非対称となり、基板の幅方向においても膜厚分布が生じ、生産性及び薄膜の均一性についても改善を必要とすることが分かった。
【0005】
これらを解決するものとして対向ターゲット式スパッタ法の特徴であるプラズマ拘束条件をターゲット面全域に亘ってより一層均一に発現させる技術を、本発明者らは特公平5-75827号の公報で提案した。これらの技術はスパッタプラズマを生成・拘束する技術として従来の対向ターゲット式スパッタ法におけるターゲット面に垂直な方向の磁界を形成する磁界発生手段をターゲットの外周に沿ってその側面に配置すると共にその前方近傍空間に電子を反射する電子反射手段を設けることを特徴にしている。この構成においては上述の垂直方向の対向モードの磁界に加えてターゲットの外周に沿った電子反射手段からターゲットの中心部に至る従来のプレナーマグネトロン式スパッタ法と同様のマグネトロンモードの磁界が各ターゲットの周辺部の表面近傍に形成される。従って、対向したターゲットの間の空間を飛び交う高エネルギー電子は該空間を対向モードの磁界によりドリフトするとともにターゲット周辺部表面近傍のマグネトロンモードの磁界によりターゲット周辺部を全周に亘って磁極に吸収されることなくドリフトするので全体的にスパッタガスのイオン化効率が著しく高まり、ターゲット全域に渡ってスパッタ効率を高めることが可能になった。本スパッタ技術により、基板とスパッタ源が対向する従来のスパッタ法では実現できない微細構造等の特性の優れた薄膜が形成できるとともに、ターゲット全域でほぼ一様な侵食が可能になり、長方形のターゲットを使用した場合にもターゲット侵食パターンのターゲット中央部に対する対称性も改善した。
【0006】
ところで、その工業化に際しては、生産性の向上、長期信頼性の向上が必要である。これに対して、本発明者は、特開平10−330936号公報において、ターゲットの支持体部を一体構成とし、これに冷却部、磁界発生手段の永久磁石の収納部を設け、永久磁石を真空室内から隔離し、かつ冷却できるにようした対向ターゲット式スパッタ装置を提案した。この構成により、膜質を低下させることなく、投入電力を格段に大きくでき、且つ長期に亘り永久磁石の性能低下もない装置が実現された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の対向ターゲット式スパッタ装置において、その後の応用分野の広がりに伴い、膜形成に際し、以下の問題が残されていることが判った。
その一つは、機能性膜の形成に際し、基板の加熱が一層少なく、より一層低温で膜形成できることである。この要求は、プラスチック基板、下地層が有機膜等の場合に特に顕著である。
もう一つは、機能性膜の積層に際し、下地層を損傷しないようにプラズマ、イオン、電子等の影響をより一層受けないようにして膜形成できることである。
本発明は、かかる課題の解決を目的としたもので、対向ターゲット式スパッタ装置において、基板の加熱をより少なくすることを第1の目的とし、更に下地層との界面の損傷をより少なくすることを第2の目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、所定距離の空間を隔てて対向した少なくとも1対のターゲットと該ターゲットの間の対向空間を囲むターゲットに垂直な対向モードの磁界および該ターゲットの外周の前方近傍から中心寄りの表面に至るマグネトロンモードの磁界の両磁界を発生するように各ターゲットの外周に沿って設けられた磁界発生手段の永久磁石とからなるスパッタユニットを備え、該両磁界により該対向空間内にプラズマを拘束して、この対向空間の側方に配置した基板上に膜形成するようにした対向ターゲット式スパッタ装置において、該一対のターゲットの永久磁石の向き合う磁極と反対側の解放側の磁極の間にこの両磁極を磁気的に結合するヨークを設けると共に、ターゲットの全周に亘って形成されたマグネトロンモードの磁界を、その周の一部において局所的に調整する磁界調整手段を設けたことを特徴とする対向ターゲット式スパッタ装置である。
【0009】
本発明は、上述の構成により後述の成膜例のように従来の対向ターゲット式スパッタ装置に比べて遥かに低温で成膜できる。この理由は以下のように考えられる。
従来の対向ターゲット式スパッタ装置では、図1の磁界分布の説明図に示すように、棒状もしくは板状の所定長の永久磁石130a、130bが各ターゲット110a、110bの外周に沿ってその背面もしくはその側面に、一方の永久磁石130aのN極と他方の永久磁石130bのS極が対面するように配置されている。これにより対面した磁極N、S間には対向空間120の側面を囲むターゲット110a、110bの表面に垂直な対向モードの磁力線Pで示す磁界が形成される。さらに、図示のターゲット110a、110bの側面に配置した場合には各永久磁石130a、130bのN極からS極に戻るターゲット側の磁力線FA1、FB1で示す磁界によりターゲット110a、110bの外周から中心部に向かう円弧状のマグネトロンモードの磁力線HA、HBで示す磁界がターゲット110a、110bの外縁部の全周に亘って環状に形成される。この磁界構成により、対向ターゲット式スパッタ装置では、従来のプレーナマグネトロン式スパッタ装置等に比較し、対向モードの磁界によりターゲットの中心部に、マグネトロンモードの磁界によりターゲットの外縁部に高密度プラズマが形成され、ターゲット全面がほぼ均一に高速でスパッタされ、またプラズマは対向空間内に拘束されるので、ほぼプラズマフリーの膜形成ができるとされ、これがその特長とされてきた。
【0010】
ところで、従来は上述のプラズマの拘束と直接関係ないとして無視されてきたが、永久磁石130a、130bは、スパッタユニット内の対向空間120のプラズマ拘束用の対向モードとマグネトロンモードの磁界の他にスパッタユニットの外側に図示のように各永久磁石130a、130bのN極からS極に戻る磁力線FA2、FB2で示す磁界と永久磁石130bの開放側のN極から永久磁石130aの開放側のS極に至る磁力線F3で示す磁界を形成する。
そして、これらのスパッタユニット外部の磁力線FA2、FB2、F3の磁界は、基板の近傍更には基板に達しており、これらの磁界に誘導され、イオン化でエネルギーを消費した低エネルギーの熱電子、拘束から漏れたプラズマの一部等が基板に達し、前述の問題、すなわち基板を加熱し、更には下地膜の材質によっては場合により下地膜を損傷するという問題が生じていたと考えられる。
これに対して、本発明は永久磁石130a、130bの対向する極と反対側の開放側の磁極の間にこの両磁極全体を磁気的に結合するヨークを設けるものである。すなわち、図2の基本構成の説明図に示すように、各永久磁石130a、130bの開放側の全磁極を実質的に磁気的に結合する鉄板等の強磁性材からなるヨーク190で連結し、磁気回路として実質的に閉じた構成とするものである。なお、図示の例では、ヨーク190は、永久磁石130a、130bの開放側の全磁極を連結して単磁極化する強磁性材からなるポール部191a、191bとこのポール部191a、191bを磁気的に結合して実質的に閉磁路とする強磁性材からなる連結部192とからなる。
【0011】
そして、この構成により、上述の磁界分布が以下のように変化することが確認された。具体的には、後述の成膜例に用いた装置では従来例のヨーク190の無い場合に比べて、スパッタユニット側面から通常の基板位置である20mmの距離での測定で対向モードの磁界の強度が場所により異なるが数10%以上増加し、対向空間120の図で上下の両端部から永久磁石130a、130bの開放端に至る外部の磁界が数10%減少することが確認された。すなわち、ヨーク190を設けることにより、対向空間120側面を囲む対向モードの磁界の強度が大きく増加し、プラズマの拘束が強化される一方、対向空間120の両端部からスパッタユニットの両端部の外部に広がる外部の磁界は大きく減少することが判る。そして、この磁界強度分布によりプラズマの対向空間120内への拘束が強化されることによりγ電子、熱電子等の対向空間120の外部、従って基板方向への漏れが減少すると共に、磁力線FA2、FB2、F3で示す外部の磁界の減少によりこれらの磁力線による熱電子等の基板方向への誘導が減少し、もって、従来例に比べて遥かに低温での膜形成が実現されたと考えられる。また、このようにプラズマ拘束の作用が強化されると、それだけ高エネルギー粒子等を含むプラズマの基板への漏れが少なくなるので、下地層の損傷が防止され、更にはより一層高真空でのスパッタができるようになるので、膜質面でも大きな効果が期待できる。
以上の本発明においては、ヨークが各永久磁石の解放側の磁極上に設けられた強磁性体からなるポール部と、ポール部を磁気的に結合する強磁性体からなる連結部からなる構成が、全永久磁石の解放側の全磁極を確実に結合する面から好ましい。また、ヨークは、スパッタユニットの少なくとも基板に面する側面に、基板に対面する部分を開口とした板状体からなる連結部を設けた構成が、基板への前述の外部磁界の影響を一層効果的に減少させる面から好ましい。更には、スパッタユニット外への漏れ磁界の減少という面からはスパッタユニットの全側面を強磁性材の板状体で覆った構成が好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細をスパッタユニットを箱型ユニットとした実施例に基づいて、図面により、説明する。
図3は、箱型ユニットの実施例の、部分的に断面図にて示す斜視概略図である。本実施例は、従来のターゲット部100a、100bを真空槽の槽壁に直接取着するものとは異なり、ターゲット部100a、100bを直方体状の枠体71の図で左右の対向側面71a、71bに気密に取着し、基板に面する図で下側の側面71c以外の側面71d〜71f(図で手前側と奥側の側面71e、71fは図示無し)を遮蔽板72で気密に遮蔽して箱型ユニット70を構成している。これにより、コンパクトな構成で保全性、生産性の良い工業生産に適した対向ターゲット式スパッタ装置が得られる。
【0013】
図4は、図3に示した実施例に用いたターゲット部の斜視図で、図5は図4でのA−A線での側断面図、図6は図5のB−B線での平面断面図である。先ず、図4〜図6を参照して、ターゲット部100a、100bの詳細について説明する。
図4〜図6より明らかなように、本例の基本的な構成は、磁界調整手段を除いて前述の特開平10−330936号公報開示のものと同じである。図4〜図6に示すように、本例の対向したターゲット部100a、100bは、枠体71に一体的に取外し可能なユニット構成になっている。なお、図4〜図6は、ターゲット部100aの図であるが、ターゲット部100bは磁界発生手段と磁界調整手段の永久磁石の磁極N、Sの配置が逆になる点を除いてこのターゲット部100aと同じ構成であり、その詳細図は省略する。
図4から明らかなように、ターゲット部100aは、支持体部150aのフランジ155aにより枠体71に脱着可能に取り付けられる構成となっている。そして、ターゲット部100aは、以下のように支持体モジュールとターゲットモジュールとのモジュール構成になっている。
【0014】
図5に示すように、ターゲットモジュールは、ターゲット110aとバッキング部113aと電子反射手段170aとからなり、一体的に支持体モジュールの支持体部150aの前面のターゲットモジュールの取り付け部の凹部152aにその周辺部で一定間隔のボルト111aにより交換可能に取り付けられている。
ところで、本例では、前述の特開平10−330936号公報開示のものと異なり、冷却ジャケット160aはバッキング部113aの内部に形成されている。すなわち、冷却ジャケット160aは、バッキング部113aの厚い板状体からなるバッキング本体114aの後部(図では下部)にターゲット110aの全面をできる限りカバーする大きさで、図4に点線で示すジグザグの冷却溝161aを形成する隔壁162aを備えた段付凹部を形成し、この段部に冷却溝161aへの接続口163aを形成した蓋体115aを溶接して段付凹部を密閉することにより形成した。なお、バッキング部113a、隔壁162aは熱良導材、具体的には本例では銅とした。また、図示省略したが、接続口163aには接続具を介して合成樹脂のチュ−ブを貫通孔154a、193aを通して配管し、冷却ジャケット160aに冷却水を通すことができるようにしてある。
【0015】
そして、このバッキング部113aの前面にターゲット110aを熱良導性の接着材(本例ではインジウムを用いた)で接着すると共に、図示のように電子反射手段170aをその側壁にボルト(図示省略)で取着して、ターゲットモジュールとした。なお、電子反射手段170aは、磁界発生手段の磁極を兼ねるように強磁性体、本例では鉄板からなり、図示のように支持体部150aの磁界発生手段の収納部となる周壁部153aの前面を覆い、ターゲット110aの周辺部に臨む幅の電子反射プレート部171aを、側断面がL字状の熱良導体の銅からなる取着部172aで支持した構成となっている。従って、電子反射プレート171aは取着部172aを介して効果的に冷却される。なお、電子反射手段171aは、ターゲット110aの外側に設けた永久磁石130aの前面具体的には周壁部153aの前面に飛来する電子を反射するものであればよく、場合によりスパッタされることもあるので、その恐れのある場合はターゲット110aと同じ材料とすることが好ましい。この場合で材料が磁性材でない場合は、後述の電子反射手段を設けない場合と同様に永久磁石130aを対向側の磁極がターゲット110a前面より少し前方に位置するように配置することが好ましい。
【0016】
なお、このターゲットモジュールは、図5に示すように、下記に詳述する支持体モジュールの支持本体部151aの前面の凹部152aに所定間隔のボルト111aによりバッキング部113aの後面が該凹部152aの表面に直接接するように取着される。なお、図の116aは、真空シール用のOリングであり、ここで真空槽10内と真空遮断している。本構成により冷却ジャケット160aは溶接でシールされ、且つ真空槽10内の真空部とはOリング116aでシールされるので、冷却水と真空部は二重シールになっており、冷却水の真空槽10内への漏れはなく、且つ真空シールのOリング部は冷却水とは隔離されるので、これが冷却水に接する従来例で見られたシール性能の経時劣化等の問題も無く、全体として信頼性並びに保全性が向上する。そして、支持体部150aには、軽量で安価な材料、アルミニウム等が使用できる。
支持体モジュールは、熱良導材本例ではアルミニウムのブロックから切削加工により図示のように成形された一体物の支持体部150aからなる。そして、その取付部のフランジ部155aにおいて電気絶縁材本例では耐熱性樹脂からなるパッキン156a及び真空シールのOリング117a、118aを介して枠体71に一定間隔のボルト112aにより気密に取り付けられている。
【0017】
支持体部150aは、図4に示すように、外形は直方体の支持本体部151aの図で下面の後面側に枠体71への取り付け用の所定幅のフランジ部155aを突設した構成となっている。そして、支持本体部151aの前面(図で上面)には、ターゲットモジュールを取り付ける凹部152aが形成され、凹部152aを囲む周壁部153aには磁界発生手段となる永久磁石130aを収納する収納部131aが大気側の後面(図で下面)側から穿設されている。なお、周壁部153aの前面には、前述のように、電子反射手段170aが設けられているが、電子反射手段170aを設けない場合は、周壁153aは、ターゲット110aが磁性材の場合でもターゲット110aの周縁部の前面近傍にマグネトロンモードの磁界を確実に形成できるように、永久磁石130aの前端面が槽内側にターゲット110a前面より少し突き出すように収納できるように設けることが好ましい。
収納部131aは、図5、図6に示すように、槽外の大気側から永久磁石130aを出し入れできるように、大気側に開口した所定深さの溝穴からなっており、永久磁石130aはこの収納部131aの溝穴に図示の磁極配置で挿着される。永久磁石130aは、本例では所定長、所定幅の板状のアルニコ等市販の永久磁石を用い、図示のように所定数個の永久磁石130aをターゲット110aの周囲にこれを取り囲むように配設し、電気絶縁材本例では薄い樹脂板からなる固定板132aを接着して固定してある。
【0018】
従って、永久磁石130aは、真空槽10内とは完全に遮断され、また直接接触した熱伝導性の良い支持本体部151aとバッキング部113aを介して冷却ジャケット160aに熱的に接続しており、これにより効果的に冷却される。従って、従来からよく問題になる永久磁石130aからの不純ガスの真空槽10内への混入の問題が解消し、且つ永久磁石130aの経時劣化も非常に小さく、信頼性、長期安定性、保全性が良いという効果を奏する。なお、この構成により支持本体部151aとバッキング部113aとの界面に沿って冷却ジャケットが形成された従来例と実質的に差のない冷却効果が得られた。
また、永久磁石130aは、前述の図1に示す通り、上記の配置構成により、プラズマを閉じ込める磁界として、対向するターゲット部100bの永久磁石130bと共同して対向空間120を囲繞するターゲット110a、110bの垂直方向の対向モードの磁界Pと電子反射プレート部171aのターゲット側の内側端部からターゲット110aの中央部寄りの表面に向かう円弧状のマグネトロンモードの磁界HA、HBを生ずる。そして、前者の対向モードの磁界Pでターゲット110aの中心部のスパッタが、後者のマグネトロンモードの磁界HA、HBではターゲット110aの周辺部のスパッタが主として支配され、全体として全表面にほぼ均一にスパッタされ、従来の代表的なスパッタ法であるプレーナマグネトロン式スパッタ法に比べ、全面均一なスパッタが実現される。
【0019】
ところで、本例には、マグネトロンモードの磁界HA、HBを対向モードの磁界Pと独立に調整する磁界調整手段が以下のように設けられている。すなわち、支持体部150aの支持本体部151a後面側の基板と平行、換言すれば基板幅方向の中心線上に磁界調整手段の永久磁石からなる補助磁石180aを取り付けるための所定深さで所定幅の溝部181aが穿設されている。なお、本実施例では条件の変更例えば各種材質のターゲット110a等に対応して磁界調整手段の取付位置が容易に調整できるように溝部181aをターゲット110aのほぼ全幅に亘るように設けてある。そして、図6に示すようにこの溝部181aの両端部に磁界調整手段の所定長の板状の永久磁石からなる補助磁石180aを配置し、固定板132aと同じ薄い樹脂板からなる固定板182aを接着して固定してある。なお、本例では、図示のように、補助磁石180aと磁界発生手段の永久磁石130aとは、固定板132a、182aを介して後述のヨーク190のポール部191aにより磁気的に連結されている。
【0020】
従って、磁界調整手段である補助磁石180aを設けた個所におけるマグネトロンモードの磁路は、図5に二点鎖線で示すように、磁界発生手段である永久磁石130aの前端(図の上端)のN極から電子反射プレート部171aを経由してそのターゲット側の端部からターゲット110aを通って磁界調整手段の補助磁石180aの図で上端(S極)に至り、その下端から固定板182a、ポール部191a、固定板132aを経由して磁界発生手段の永久磁石130aの後端(図で下端)のS極に戻る回路となり、その磁界はこれに沿って主として形成される。一方、この補助磁石180aが配置されていない部分の磁路は、磁界発生手段の永久磁石130aのN極からS極に自然に向かう磁路となる。
これにより、従来の磁界調整手段のない場合と異なり、磁界調整手段によりターゲット110aの前面近傍のマグネトロンモードの磁界は磁界調整手段を設けた個所及びその近傍の限られた部分を局所的に調整できるので、ターゲットの基板の幅方向の適所において適切な磁界に調整でき、形成される薄膜の幅方向の膜厚分布の調整ができる。
【0021】
なお、磁界調整手段で、このような効果が得られる理由は以下のように考えられる。すなわち、磁界調整手段は、本例では図示のようにその設置個所及びその近傍でマグネトロンモードの磁界をターゲットの中央寄りに移動してその分布を中央部の方に広げる。そして、これにより、当該個所で対向モードの磁界との交絡部分が増してその相互作用が強くなり、従って局所的にプラズマ拘束作用が増し、スパッタ速度、従って膜厚が局所的に調整されると考えられる。なお、マグネトロンモードの磁界の強度を調整することにより、同様にその対向モードの磁界との相互作用が調整できるので、同じ効果が得られる。また、上述の磁界の移動方向、移動量あるいは磁界の強度は、その目的に応じて選択される。
さらに、この磁界調整手段により、ターゲット全面での浸食の均一化が一層良くなることが判った。従来例では長方形のターゲットの角部近傍においてその一方の対角にある角部近傍と他方の対角の角部近傍で若干であるが浸食に差がある問題があったが、この磁界調整手段によりこの差が無くなり、ターゲットの利用効率が約10%向上した。これは直接膜製造コストに結びつくもので、工業生産では大きな効果となる。
また、この磁界調整手段は、対向モードの磁界発生手段と独立に、マグネトロンモードの磁界強度を調整できるものであり、後述のようにヨークと組み合わせてプラズマ拘束用の対向モードとマグネトロンモードの磁界分布の最適調整に大きな効果を奏するものである。
【0022】
なお、磁界調整手段は、上述したところから明らかなように、前述の通りターゲット110aの前面近傍にプラズマを拘束するマグネトロンモードの磁界を調整できるものであればよく、本例の永久磁石の他、高透磁率の磁性材等も適用できる。具体的な配置、用いる磁石強度等は、ターゲットの材質、ターゲット周りの機械的寸法、配置等多くの影響因子があるので、実験的或いはその蓄積に基づくシミュレーション等により決めるのが好ましい。
以上、ターゲット部100aは、支持体部150aにその全部が設けられた構成となっている。そして、ターゲット部100aは、取付用のフランジ部155aを枠体71に電気絶縁材、具体的には耐熱性樹脂からなるパッキン156a、真空シール用Oリング117a、118aを介して一定間隔の電気絶縁材からなるブッシュ(図示省略)を用いてボルト112aにより取付けることにより、図3に示されるように枠体71に電気的に絶縁された状態で気密に設置され、以下の箱形ユニット70が構成される。
【0023】
すなわち、この箱型ユニット70は、図3に示すように、直方体状の構造材本例ではアルミニウムからなる枠体71の側面71a、71bに前記のターゲット部100a、100bを上述のように枠体71と電気絶縁して気密に取着し、基板20に対面する下面の開口部となる側面71cを除いてその他の側面71d〜71fに遮蔽板72をOリング(図示省略)を介してボルト(図示省略)により気密に取着して閉鎖した構成となっている(側面71e、71fの遮蔽板72の図示は省略)。なお、遮蔽板72は耐熱性があり、真空遮断できれば良く、その材は限定されず、通常の構造材が適用でき、本例では枠体71と同じアルミニウムを用いた。なお、遮蔽板72は、必要に応じて、その外側に冷却管等を設けて冷却する。
そして、この箱型ユニット70は、その開口部が真空槽10に臨むように枠体71の側面71cで図示のように真空槽10の槽壁11にOリング(図示省略)を介してボルト(図示省略)により気密に取り付けられる。従って、真空槽10と枠体71とは取り付けボルトにより電気的に接続されている。本例の対向ターゲット式スパッタ装置は、基板20を搬送しつつ、膜形成する構成のもので、この真空槽10の前後には図示省略したが公知の基板供給室と基板取り出し室が接続され、基板20を一定速度で駆動される搬送ローラ22に載置して一定速度で搬送しつつ膜形成するようになっている。
【0024】
そして、この箱型ユニット70には、同図に示すように本発明のヨ−ク190が設けられている。すなわち、ヨーク190は、ターゲット部100a、100bの背後の固定板132a、182a及び132b、182bの上に設けられた各側面の全面を覆う長方形の強磁性体本例は鉄板からなるポール部191a、191bとこれらを磁気的に連結する同じく側面全面を覆う大きさの鉄板からなる連結部192とからなり、本例ではポール部191a、191bの図で上辺側を上方に箱型ユニット70の奥側の側面71dの遮蔽板72の先まで延長して、このポール部191a、191bの両端面に連結部192を接合した構成としている。なお、ポール部191a、191b及び連結部192の取り付けは、永久磁石130a、130bの磁力で十分に強く接合できるので、この磁力のみで十分であるが、本例では安全のため図示省略したがビスで固定してある。
上述の構成は、ポール部191a、191bがターゲット部100a、100bの背面と電気絶縁されており、ヨーク190を電気的に接地することにより、ユニットの真空槽10の外部にある全側面が接地された安全な構成で、且つ簡単な構成で、既設の箱型ユニットにも簡単に適用できる実用面で効果的な例を示したが、以下のように状況に応じて種々の態様が適用できる。
【0025】
基板側への磁界漏れの減少の面からは開口部の側面に開口部を刳り抜いた板状体からなる連結部を設けることが好ましい。特に下地層の損傷の防止の面からはこの構成が好ましい。このように構成する場合には、連結部は槽壁11−枠体71間に挿入され固定される。また、外部への漏れ磁界の減少の面からはポール部191a、191bを本例のようにその全側面を覆う板状体とすると共に、ユニット70の外部のその他の全側面にも板状体の連結部を設けてユニットの外部の全側面をヨークで覆う構成が好ましい。なお、本発明のヨークは、磁極が対向する永久磁石130a、130bの対向側と反対側の開放側の夫々の全磁極を磁気的に結合して実質的に閉磁路にできるものであればよく、ポール部、連結部とも必ずしも全側面を覆う板状体とする必要がないこと、磁極とポール部、ポール部と連結部等の間に微少なエアギャップがあってもよいこと等は言うまでもない。
【0026】
以上の構成においても、箱型ユニット70内ではターゲット110a、110bが所定間隔で対向し、かつプラズマの拘束磁界の基本構成も前述の図1と同じすなわち従来例とスパッタ原理は同じであり、よってスパッタ電源を真空槽10の槽壁11を陽極として、ターゲット部100a、100bを陰極としてそれらの適所に接続してスパッタ電力を供給することにより従来例と同様にスパッタが行われる。
そして、対向空間120の側面は開口部の図で下側の側面71cを除いて遮蔽されているので、スパッタ粒子は開口部のみから真空槽10に飛び出して対面する基板20にそのまま向かう。従って、従来例の対向空間の側面が解放された側面開放型に比べ、スパッタ粒子の真空槽10での基板以外への飛散が少なく、ターゲット利用効率及び保全性が向上すると共にこの箱型ユニット70を複数個並べて設けても数cm以上の間隔があれば相互の汚染が実質的に無いので多層膜の形成がコンパクトな構成できる。また、図から判るように、この構成は従来例に比較し、スパッタ部が箱形のコンパクトな構成で真空槽10の外側に設けられるので、真空槽内の構成は基板の搬送あるいは保持のみでよいので簡素で保全性もよく、更に真空容積も減少してそれだけ真空吸引時間も短くなり設備稼働率が向上し、設備費面、生産性面でも大きな効果が得られる。
ところで、本例ではヨーク190が設けられているので、前述の通り、ヨーク190の無い従来例に比べて対向モードの磁界の強さが増加する一方、開口部の端部からユニットの外部へ広がる磁界の強さは低下する。そして、この磁界の強さの変化により対向空間へのプラズマの拘束、特に開口部での拘束が強化されると共に、基板に電子等を誘導する外部の磁界が弱くなるので、プラズマ、電子等の基板への漏れが少なくなり、従来例より一層低温での膜形成ができると共に下地層の損傷が少ない膜形成ができる。その上、プラズマの閉じ込めが良くなるので、より一層高真空での膜形成が可能で、不純物の少ない高品質の膜が形成できる。
なお、開口部外部に生じる図1の漏れ磁力線FA2、FB2の磁界の強さの低下と共に、それに対応するユニット内の磁界すなわち図1で磁力線FA1、FB1で示す水平磁界の分布が変化する。即ち、同図に磁力線HA、HBで示すマグネトロンモードの磁界の分布が変化する。これに対して、本例ではこのマグネトロンモードの磁界を対向モードの磁界と独立して調整できる磁界調整手段を備えているので、この磁界調整手段具体的には補助磁石により磁界分布を調整すればよい。このように、ヨークと磁界調整手段を組み合わせることにより、プラズマ拘束用の磁界分布を各種の膜の形成に適したものに制御できる。なお、形成する膜によっては、この磁界分布の変化の影響が実質的に無視できる場合もあり、この場合は磁界調整手段による調整は不要である。形成する膜に応じて適した磁界分布とすることが肝要であり、これは通常実際の試作で検討確認するが、これらのデータの蓄積によりシミュレーションによりによる検討も可能である。
【0027】
なお、本例では上述の構成に加えて、箱型ユニット70のターゲット面を除いた枠体71、遮蔽板72等の真空空間に露出した内面には、この内面と所定間隔で設けた網状体で飛来する粒子の堆積膜を剥離落下しないように保持する粒子保持手段が設けられている。本例の粒子保持手段73は、図7に示すように、枠体71の内側に数ミリ程度の間隔で入れ子状に収納できる内枠体75の遮蔽板72に対面する側面75d〜75fのそれぞれの全面に網状体74を取着した直方体状の籠型の構成で、開口部に対面する側面71dに取着される遮蔽板72に取り付けて、枠体71の内側に挿入して遮蔽板72と共に取り付けるようになっている。この網状体74が飛来したスパッタ粒子を網状体74の網目あるいは対面する内面との間で粒子の堆積膜を剥離させることなく確実に保持し、剥離落下を防止する。すなわち、枠体71、遮蔽板72の面に飛来するスパッタ粒子が長期に亘り堆積して形成される薄膜の壁面からの剥がれが防止され、剥がれた剥離片の落下等による異常放電、品質異常が無くなり、長期安定運転並びに品質向上が実現される。なお、網状体74、内枠体75の材質は銅等の導電性金属材料が用いられる。網状体74の網目の大きさは、形成する膜の材質とも関連し、実験的に決めることが好ましいが、通常は10〜100メッシュの範囲で目的を達することが出来る。
【0028】
〔成膜例〕
以下に、上述の実施例による成膜例と、従来例に相当する実施例においてヨークを取り除いた比較例での成膜例と共に記載する。
上述した図3の実施例と、この実施例においてヨーク190を取り除いた比較例の両装置で、以下のようにして酸化シリコン膜を形成して、成膜中の基板の温度を測定して評価した。
すなわち、ターゲットにSiターゲットを用い、基板にシリコンウエハを用いた。そして、基板をユニットの開口部の直下に停止して、以下のようにして酸化シリコン膜を形成した。先ず、真空槽10内を1.1×10−4Paまで排気し、ついでスパッタガスとしてArガスとOガスを流量比4:1でスパッタ圧力0.5Paになるように導入して、1000Wの直流電力でスパッタして15分間成膜して、その間の基板温度の変化を測定した。なお、基板温度は基板に取り付けた熱電対で測定した。測定結果を下の表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003972982
【0030】
表1より明らかなように、実施例での温度上昇は比較例に比較し、大きく低下している。両者で得られた膜厚はほぼ同じであったので、所定の膜厚の膜を作成するのに実施例に拠れば比較例に比し、数10℃低い温度で成膜できる。更に、実施例での結果は15分でまだ上昇中であるが、その上昇カーブからは最終的に100℃以下に落ち着くと予想される。従って、耐熱性の低い基板、下地層の上にも実質的に支障なく膜形成できるので、有機フィルム、有機層等に機能性膜を形成して高機能化する分野に幅広く適用できることがわかる。
【0031】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明はかかる実施例に限定されないことはその趣旨から明らかである。
例えば、電子反射手段を備えた例を示したが、電子反射手段を備えない対向ターゲット式スパッタ装置、更には図8に示す従来例の対向ターゲット式スパッタ装置にも適用できることはその趣旨から明らかである。
また、箱型ユニットにおいて開口部奥側の側面の遮蔽板をターゲット部に、或いは全ての遮蔽板をターゲット部に変えた構成にも適用できることは、同様に明らかである。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、以上の通り、磁界発生手段に永久磁石を用いた対向ターゲット式スパッタ装置において、各ターゲットの永久磁石の開放端側の磁極をヨークで磁気的に結合するものであり、これにより従来例では形成できない低温での膜形成でき、有機フィルム、有機層等の耐熱性の低い材料にも膜形成できるという効果を奏するものである。
更には磁界調整手段と組み合わせることにより、プラズマ拘束磁界の対向モードとマグネトロンモードの磁界分布を独立に制御できものであり、各種の薄膜に適した磁界分布とすることができる新たな薄膜形成技術を提供するものであり、新素材の薄膜形成に大きな効果が期待できるものである。
このように本発明は対向ターゲット式スパッタ装置の高性能化に大きな寄与をするもので、従来スパッタ法の適用が困難と思われていた薄膜分野への適用も可能とするものであり、薄膜製造関連分野に大きな寄与を為すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来の対向ターゲット式スパッタ装置の磁界分布の説明図である。
【図2】図2は、本発明の基本構成の説明図である。
【図3】図3は、本発明の実施例の部分側断面を含む斜視図である。
【図4】図4は、実施例のターゲット部の概略斜視図である。
【図5】図5は、図4のA−A線での側断面図である。
【図6】図6は、図5のB−B線での概略断面図である。
【図7】図7は、実施例の粒子保持手段の斜視図である。
【図8】図8は、従来の対向ターゲット式スパッタ装置の説明図である。
【符号の説明】
10 真空槽
20 基板
30 排気口
40 導入口
50 スパッタ電源
70 箱型ユニット
71 枠体
100a、100b ターゲット部
110a、110b ターゲット
120 対向空間
130a、130b 永久磁石(磁界発生手段)
140a、140b シールド
150a 支持体部
160a 冷却ジャケット
170a 電子反射手段
180a 補助磁石(磁界調整手段)
190 ヨーク

Claims (12)

  1. 所定距離の空間を隔てて対向した少なくとも1対のターゲットと該ターゲットの間の対向空間を囲むターゲットに垂直な対向モードの磁界および該ターゲットの外周から中心部に向かう円弧状の、該ターゲットの全周に亘るマグネトロンモードの磁界の両磁界を発生するように各ターゲットの外周に沿って設けられた磁界発生手段の永久磁石からなるスパッタユニットを備え、該両磁界により該対向空間内にプラズマを拘束して、この対向空間の側方に配置した基板上に膜形成するようにした対向ターゲット式スパッタ装置において、該一対のターゲットの永久磁石の向き合う磁極と反対側の開放側の磁極の間にこの両磁極を磁気的に結合するヨークを設けると共に、前記マグネトロンモードの磁界を、該ターゲットの周の一部において局所的に調整する磁界調整手段を設けたことを特徴とする対向ターゲット式スパッタ装置。
  2. 該ヨークが各ターゲットの永久磁石の開放側の磁極上に設けられた強磁性体からなるポール部と、ポール部を磁気的に結合する強磁性体からなる連結部とからなる請求項1記載の対向ターゲット式スパッタ装置。
  3. 該ヨークが、スパッタユニットの少なくとも基板に面する側面に、基板に対面する部分を開口とした板状体からなる連結部を有する請求項2記載の対向ターゲット式スパッタ装置。
  4. 前記磁界調整手段が永久磁石である請求項1〜3記載のいずれかの対向ターゲット式スパッタ装置。
  5. 該磁界調整手段がターゲットのスパッタ面側と反対側に設けられた請求項4記載の対向ターゲット式スパッタ装置。
  6. 該磁界調整手段がターゲットの前記基板の表面と平行な中心線に沿って設けられた請求項5記載の対向ターゲット式スパッタ装置。
  7. 前記磁界発生手段の永久磁石の対向空間側の端部の前面に飛来する電子を反射する電子反射板を設けた請求項1〜6記載のいずれかの対向ターゲット式スパッタ装置。
  8. スパッタユニットが前記基板に対面する開口部の側面を除いた他の側面がターゲットあるいは閉鎖板で閉鎖された箱型ユニットである請求項1〜7記載のいずれかの対向ターゲット式スパッタ装置。
  9. 直方体又は立方体の枠体の各側面にターゲットあるいは閉鎖板が気密に取着され、スパッタユニットがその開口部が真空槽の側壁に臨むように取り付けられた請求項8記載の対向ターゲット式スパッタ装置。
  10. 飛来粒子を捕捉する籠型の粒子保持手段を開口部の奥側の閉鎖板に取り付け、箱型ユニットの内側に入れ子状に設けた請求項8または9記載の対向ターゲット式スパッタ装置。
  11. ヨークが箱型ユニットの少なくとも真空槽の外側にある全側面に沿って設けられた請求項8〜10記載のいずれかの対向ターゲット式スパッタ装置。
  12. 前記スパッタユニットがそれぞれターゲットを保持する一対のターゲット部を有し、該ターゲット部が、前面に取着されるターゲットを冷却する冷却ジャケットを有する熱良導材からなるバッキング部と、前面にバッキング部を収容する凹部を形成すると共に凹部の周壁に磁界発生手段の永久磁石を収納する収納部を形成した熱良導材からなる支持体部とを備えた請求項1〜11記載のいずれかの対向ターゲット式スパッタ装置。
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