JP3971152B2 - 薄膜トランジスタの作製方法 - Google Patents

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舜平 山崎
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体薄膜にレーザー光を照射してアニールを行なう構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上に形成された非晶質や結晶性の半導体薄膜に対してレーザー光を照射して、レーザーアニールを施し、半導体薄膜の結晶化や結晶性の向上を図る技術が広く研究されている。
【0003】
特に線状レーザー光を用いることで、均質なアニールを生産性良く行なうことができる。
【0004】
線状レーザー光について説明する。通常、レーザー光源から出力されるレーザー光の断面は、数cm□のスポット状断面を有している。このレーザー光をホモジナイザや、ビームエキスパンダを介して拡大・均質化し、シリンドリカルレンズにより集光する。このようにして被照射面での形状が数mm×数10cm程度の線状レーザー光が得られる。
【0005】
シリンドリカルレンズと被照射面との間にスリットを介することにより、被照射面での線状レーザー光の線幅方向のエネルギープロファイルが矩形状となり、より均質なアニールを行なうことができる。
【0006】
レーザー光源としては、出力の大きいエキシマレーザー等のパルスレーザー光がよく用いられる。
【0007】
このような線状レーザー光を、被照射面に対して相対的にスキャン(走査)しながら照射する。スキャンは線状レーザー光の線方向(長手方向)に対して直角な方向になされる。一般的には被照射面を移動してスキャンが実施される。
【0008】
このようにすることで、数10cm□程度の比較的大面積の被照射面に対して、均質に生産性よくレーザーアニールを行なうことができる。
【0009】
【従来技術の問題点】
レーザーアニールによって被膜の結晶性をより高いものとするために、半導体薄膜全体に対して線状レーザー光を走査してレーザーアニールする工程を、2回またはそれ以上の回数行なうことがよく行なわれる。
【0010】
例えば、アモルファスシリコン膜に対し、まず低いエネルギー密度のレーザー光でアニールし、結晶化させる。その後、結晶化させた時より高いエネルギー密度のレーザー光でアニールする。これにより、シリコン膜の結晶性をより向上させることができる。
【0011】
このような2段階の工程をとる理由は、最初から高いエネルギー密度のレーザー光を照射すると、エネルギーが高すぎて半導体薄膜がひどく荒れてしまうためである。荒れてしまった膜は半導体素子を構成するのには適さない。
【0012】
例えば、アモルファスシリコン膜を結晶化させる場合と、結晶性シリコン膜の結晶性を向上させる場合とでは、必要とされるレーザー光のエネルギー密度は大きく異なる。アモルファスシリコン膜にとっては結晶性向上のためのレーザー光のエネルギー密度は高すぎ、膜が荒れてしまう。
【0013】
このような2段階照射は、結晶性シリコン膜の結晶性を向上させる上でも有効である。すなわち、結晶性シリコン膜に対し、まず低いエネルギー密度のレーザー光でアニールを行なった後、高いエネルギー密度のレーザー光でアニールを行なう。
【0014】
このようにすることで、はじめから高いエネルギー密度のレーザー光でアニールを行なう場合に比較して、より大きな結晶粒径が得られ、かつ膜の荒れを少なくすることができる。
【0015】
すなわち、シリコンなどの半導体薄膜をレーザー光により結晶化させるあるいは結晶性を助長させるためには、まず弱いエネルギー密度のレーザー光を照射し、次に先のレーザー光より強いエネルギー密度のレーザー光を照射するということが、膜の荒れを少なくするためには重要である。
【0016】
しかしながらこのような複数段階のレーザー照射を行うと、1度だけの照射を行なう場合に比較してアニール工程に要する時間が長くなってしまう。
【0017】
このような欠点を改善する方法の一つとして、線状レーザー光の線幅方向のエネルギープロファイルを、台形状あるいはガウス分布状とする構成がある。
【0018】
台形状のエネルギープロファイルを得るためには、矩形状のエネルギープロファイルのレーザー光を形成するスリットを有する光学系にて、最終段のシリンドリカルレンズ(焦点レンズ)と被照射面との距離を制御する。
【0019】
また、ガウス分布状のエネルギープロファイルを得るためには、台形状のエネルギープロファイルを有するレーザー光を形成する光学系中のスリットをはずす、あるいはスリットの線幅方向の幅を大きくする。
【0020】
このような台形状のエネルギープロファイルの線状レーザー光を、スキャンしながら照射すると、被照射面上に対して、まず低いエネルギー密度のレーザー光が照射されてから、次第に高いエネルギー密度のレーザー光が照射されることになる。
【0021】
したがって、矩形状のエネルキープロファイルのレーザー光に比較して、被膜に対していきなり高いエネルギー密度のレーザー光が照射されることがない。ゆえに、被照射面全体に対する1度のスキャンニングで、良好に結晶化させることもできる。これはガウス分布状のプロファイルを用いてもほぼ同様の結果となる。
【0022】
【従来技術の問題点】
ところが、このような台形状やガウス分布状のエネルギープロファイルを用いてレーザーアニールを行なうと、アニール後の半導体薄膜に、縞状に膜の荒れが生じることがある。
【0023】
膜の荒れは、レーザー照射時の線状レーザー光の長手方向に平行な複数の線状に生じ、縞模様状を呈する。
【0024】
この縞状の膜荒れの原因の一つは、レーザー光のエネルギープロファイルにより、被照射面上の位置が異なると同一なエネルギー密度のレーザー光が照射できなくなる場合があるためである。この様子を図6を用いて説明する。
【0025】
ここでは、アモルファスシリコン膜にレーザーアニールして結晶化させる場合の例を示す。
【0026】
図6に、台形状のエネルギープロファイルを有する線状レーザー光のスキャン過程を示す。図6(a)〜(d)は、エキシマレーザー等のパルスレーザーを光源とする台形状のエネルギープロファイルを有する線状レーザー光が、照射される毎にスキャン方向にピッチDでスキャンされたときの様子を示す。図6において、α’およびβ’は被照射面上の特定の位置を示す。
【0027】
また、E1、E2はエネルギー密度の高さを示す。E2はE1より高いエネルギー密度である。
【0028】
まず第1のショットとして図6(a)に示すように、台形状のエネルギープロファイルを有するレーザー光が、位置α’の付近に照射されている。
【0029】
次に、第2のショットのレーザー光が、図6(b)に示すように、ピッチDだけスキャンした位置に照射される。このとき、位置α’には、エネルギー密度E1のレーザー光が照射される。これにより位置α’付近のアモルファスシリコンは良好に結晶化される。
【0030】
ここでは、エネルギー密度E1は、アモルファスシリコンを良好に結晶化させるエネルギーの範囲とする。
【0031】
またエネルギー密度E2は、エネルギーE1が照射されたシリコン膜の結晶性を良好に向上させるエネルギーの範囲とする。
【0032】
他方、図6において位置α’とは異なる位置β’には、殆どレーザー光は照射されない(実際には弱いエネルギー密度で照射されている部分もあるが、エネルギー密度がE1よりもかなり低いので、膜質は変化しない)。
【0033】
さらに、第3のショットにおいて、図6(c)に示すようにピッチDでスキャンされた位置にレーザー光が照射されるとき、位置α’にはE2のエネルギー密度でレーザー光が照射される。これにより、位置α’付近の結晶性シリコン膜は、結晶性が向上される。
【0034】
ところが、位置β’には、いきなりエネルギー密度E1よりも強いエネルギーのレーザー光が照射されてしまう。その結果、位置β’付近のアモルファスシリコン膜は、結晶化はされるものの、ひどく荒れてしまう。
【0035】
そして、第4のショットにおいて、図6(d)に示すように、位置α’には再びE2のエネルギー密度でレーザー光が照射される。
【0036】
シリコン膜のレーザー結晶化では、シリコン膜のある位置に対して最初に照射される、膜質を変えるだけのエネルギーを持ったレーザー光が、その位置の膜質に対して極めて重大な影響を与える。
【0037】
言い換えれば、1回目に照射されたものと同程度またはそれ以下のエネルギー密度を有するレーザー光を、同位置に対し2回以上照射することは、その位置の膜に対してはあまり重要ではない。
【0038】
したがって、位置α’に対してエネルギー密度E2で再びレーザー照射がされても、膜質にはあまり影響しない。
【0039】
他方、位置β’においてはすでに膜が荒れてしまっている。そのために結晶性を向上させるための強いエネルギー密度E2が照射されると、結晶性は向上するものの、他の位置とは異なる膜質となってしまう。
【0040】
その結果、膜質の面内均質性が損なわれ、このシリコン膜を用いて同一基板上に複数の半導体素子を作製しても、各素子間で特性が異なるという問題が発生する。
【0041】
加えて、レーザー光源の出力変動の問題がある。すなわち、パルスレーザー光源(発振器)は、所定のエネルギー密度のレーザー光を所定の周波数(パルス間隔)で発生させる。
【0042】
ところが、ある時点でレーザー光源の出力が突発的に低下することがある。通常は数十〜数百ショットのうちの数ショットにおいて出力の低下がある。複数ショット続けて出力が低下することは少ない。
【0043】
図7にレーザー光源の出力変動の伴った線状レーザー光のスキャン工程を示す。図7では、レーザー光の線幅方向のエネルギープロファイルは、図6と同様に台形状である。
【0044】
図7(a)〜(d)は、台形状のエネルギープロファイルを有する線状レーザー光が、照射される毎にスキャン方向にピッチDでスキャンされたときの様子を示す。図7において、xは被照射面上の特定の位置を示す。
【0045】
まず第1のショットにおいて、図7(a)に示すようにレーザー光が照射される。ここでは第1のショットにおいてレーザー光源の出力低下によりレーザー光のエネルギー密度がΔEだけ低下したものとする。この時点では、位置x’にはほとんどレーザー光は照射されていない。
【0046】
次の第2のショットにおいても、図7(b)に示すように、エネルギー密度がΔE’低下したレーザー光が照射されるとする。この時点では、位置x’に、極弱いエネルギー密度のレーザー光が照射される。しかし、エネルギー密度が低いため結晶化はほとんどされない。
【0047】
そして第3のショットにおいて、図7(c)に示すように、エネルギー密度が正常なレーザー光が照射されるとする。すると、位置xには、いきなり、結晶化に要する以上にエネルギー密度の高いレーザー光が照射されてしまう。その結果、膜が荒れてしまう。
【0048】
その結果、図7(d)に示すように、第4のショットによるレーザー照射が行われても、半導体薄膜の膜質は改善しない。したがって、結晶性は向上するものの、均質な膜質ではなくなってしまう。
【0049】
これらの問題点は、ガウス分布状のエネルギープロファイルを有するレーザー光でも同様に発生する。
【0050】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、半導体薄膜に線状レーザー光を走査しながら照射してレーザーアニールを行い、結晶化や結晶性の向上を図るに際し、アニール後の半導体薄膜の面内均質性を向上させることを目的とする。
【0051】
さらにレーザー光源の出力の変動があっても、基板面内において均質にアニールすることを目的とする。
【0052】
【課題を解決するための手段】
本明細書で開示する発明の一つは、
幅方向に段階的なビームブロファイルを有した線状のパルスレーザー光を照射する手段と、
前記レーザー光を線状の幅方向にピッチDで走査して照射する手段と、
を有し、
前記段階のそれぞれは所定の照射エネルギー密度を有し、かつ前記幅方向における寸法がLn の領域でなり、
n ≧Dであることを特徴とする。
【0053】
また、
幅方向に段階的なビームブロファイルを有した線状のパルスレーザー光を照射する方法であって、
前記レーザー光は線状の幅方向にピッチDで走査して照射され、
前記段階のそれぞれは所定の照射エネルギー密度を有し、かつ前記幅方向における寸法がLn の領域でなり、
n ≧Dとすることを特徴とする。
【0054】
上記の構成において、Ln ≧3Dとすることが好ましい。これは、被照射領域の指定の領域に同一の照射エネルギー密度を有したレーザーパルスが2回以上照射されるようにした方がレーザー光の照射エネルギー密度のバラツキに起因する照射効果のバラツキを是正できるからである。
【0055】
またさらにレーザー光の照射効果のバラツキを是正するには、Ln ≧5Dとすることがより好ましい。
【0056】
段階的なビームプロファイルとしては、図1に示すような2段階に照射エネルギー密度が設定された例を挙げることができる。
【0057】
この場合、幅Ln を有する領域はその幅がL1とL2で示される2つである。なお一般にnの数は、2以上の自然数となる。
【0058】
図1の場合、第1のエネルギー密度E1である幅(線状ビームの幅方向における)の寸法がL1 =L1(n=1)である領域と、第2のエネルギー密度E2である幅の寸法がL2 =L2(n=2)である領域と、でビームプロファイルが構成されている。
【0059】
ここで、エネルギー密度E1は、被照射物を第1の状態とするのに適した値に設定し、エネルギー密度E2は、被照射物を第2の状態とするのに適した値に設定することができる。
【0060】
例えば、エネルギー密度E1は、非晶質珪素膜を結晶化させるのに適した値とし、エネルギー密度E2は、結晶化した珪素膜の結晶性を助長するのに適した値とすることで、レーザー光の照射による非晶質珪素膜の結晶化を効果的に行うことができる。
【0061】
【0062】
【発明の実施の形態】
図1に線状レーザー光の線幅方向のエネルギープロファイルの概念図を示す。本明細書で開示する発明は、線状レーザ光の線幅方向のエネルギープロファイルとして、図1に示すような、エネルギー密度が段階的に異なった領域、言い換えれば、階段状の領域を有して構成されるものを用いる。このレーザー光を、被照射面に対して線幅方向(線状レーザー光の長手方向に対して垂直)にスキャン(走査)させる。
【0063】
図1に示すレーザー光は、エネルギー密度E1で幅L1の領域(a)と、エネルギー密度E2で幅L2の領域(b)とを少なくとも有する。
【0064】
図1において、E1、E2はエネルギー密度を示す。E2はE1より高いエネルギー密度である。
【0065】
例えば、E1をアモルファスシリコン膜を結晶化させるエネルギー密度、E2をエネルギー密度E1で結晶化された膜の結晶粒径の拡大を促すエネルギー密度とする。
【0066】
またL1は、エネルギー密度が概略E1となる幅、L2はエネルギー密度が概略E2となる幅(線幅方向の長さ)を示す。
【0067】
エネルギー密度E1およびE2は、L1またはL2の幅内で完全に同一なエネルギー密度、すなわち完全に平坦なエネルギープロファイルを呈するわけではない。
【0068】
また、レーザー光源の出力の微小な変動や、光学系等の影響で、エネルギー密度は各ショット間である程度のぶれがある。
【0069】
そのため本明細書では、それぞれのエネルギー密度E1及びE2は、±5%以内の変位幅を含むものとする。
【0070】
言い換えれば、L1およびL2は、それぞれのエネルギー密度が±5%以内となる範囲の幅である。
【0071】
エネルギー密度の変位幅(ぶれ)が±5%より大きくなると、レーザー照射後の被膜の結晶性が不均一となりやすい。逆に小さい程、結晶性の均一性向上に寄与する。
【0072】
また領域(c)は、エネルギープロファイルのうちスキャン方向の反対側の領域である。領域(c)は、エネルギー密度がE2より低いものであれば、どのようなプロファイルであっても、被膜への影響はほとんどない。
【0073】
このようなエネルギープロファイルにおいて、領域(a)のスキャン方向側の領域S1、および領域(b)のスキャン方向側の領域S2は、立ち上がりが急峻で垂直に近いほど、均質なレーザーアニールが可能となる。
【0074】
このようなレーザービームをスキャン(走査)しながら照射して、アモルファスシリコン膜や結晶性シリコン膜に対してレーザー照射を行う。
【0075】
次に、レーザーアニール時のスキャン過程を説明する。図2にスキャン過程を示す。図2の(a)〜(d)は、所定のエネルギープロファイルを有する線状レーザービームが、照射される毎にスキャン方向にピッチDでスキャンされたときの様子を示す。図2において、αおよびβは被照射面上の特定の位置を示す。
【0076】
図2において、ピッチDは、レーザー光を1照射する毎の、レーザー光の被照射面に対する走査方向への相対的な移動量とする。
【0077】
図2において、エネルギープロファイルは、L1、L2共にピッチDの2倍の長さである。
【0078】
まず第1のショットにおいて、図2(a)に示すように、位置αにはエネルギー密度E1のレーザービームが照射される。
【0079】
次に第2のショットにおいて、図2(b)に示すように、位置αおよびβに共にエネルギー密度E1のレーザービームが照射される。
【0080】
次の第3のショットにおいて、図2(c)に示すように、位置αにはエネルギー密度E2のレーザービームが照射され、位置βには再びエネルギー密度E1のレーザービームが照射される。
【0081】
さらに、第4のショットにおいて、図2(d)に示すように、位置α、βともにエネルギー密度E2のレーザビームが照射される。
【0082】
このように、ここで示した例においては、被照射面のスキャン方向における全ての位置に対し、まずエネルギー密度E1のレーザービームを2回照射し、次により高いエネルギー密度E2のレーザービームを2回照射することができる。
【0083】
したがって、例えばE1をアモルファスシリコン膜を結晶化させるのに適したエネルギー密度、E2を結晶化した膜の結晶性をさらに高めるのに適したエネルギー密度とした、階段状のエネルギープロファイルを有するレーザー光でアニールを行うことで、結晶化と結晶性の向上を、1回のレーザー光照射により同時に行うことができる。よって、工程時間の短縮が図れる。
【0084】
加えて、半導体薄膜にいきなり強いエネルギー密度のレーザー光を照射してしまうことがない。そのため半導体薄膜の荒れの発生を防ぎ、基板面内において均質な結晶性を有する被膜を得ることができる。
【0085】
次に、レーザー光源から出力されるレーザー光のエネルギー密度が突発的に変動する場合について示す。
【0086】
図4に、レーザー光のエネルギー密度が突発的に変動する場合のスキャン過程の例を示す。図4(a)〜(d)は、所定のエネルギープロファイルを有する線状レーザー光が、照射される毎にスキャン方向にピッチDでスキャンされたときの様子を示す。図4において、xは被照射面上の特定の位置を示す。
【0087】
図4において、エネルギープロファイルは図1のものに従う。またL1、L2共にピッチDの4倍の長さを有するものとしている。
【0088】
まず第1のショットにおいて、図4(a)に示すように、位置xにレーザー光が照射される。ここではレーザー光源の出力変動によりレーザー光のエネルギー密度がΔEだけ低下したものとする。したがって、位置xには、エネルギー密度がE1−ΔEのエネルギーが照射される。
【0089】
次の第2のショットにおいても、図4(b)に示すように、位置xには低下したエネルギー密度E1−ΔE’のレーザービームが照射されるとする。
【0090】
第1および第2のショットで与えられたエネルギーは、アモルファスシリコン膜の結晶化や結晶性の向上には不十分である。その結果、第1および第2のショットでは、被膜がほとんど結晶化されない。
【0091】
次の第3のショットでは、図4(c)に示すように、位置xには正常なエネルギー密度E1のレーザ光が照射される。
【0092】
照射されたレーザー光は、正常なエネルギー密度E1であるので、この時点で、アモルファスシリコンでなる半導体薄膜は良好に結晶化される。
【0093】
すなわち、レーザー光源の出力の低下によりエネルギー密度が低くなったレーザー光が照射された後に、正常なエネルギー密度のレーザー光が照射されても、半導体薄膜を荒らすことがない。
【0094】
次に、図4(d)に示すように、第4のショットにおいて、結晶性を高めるためのエネルギー密度E2のレーザー光が、位置xに照射される。
【0095】
第3のショットにおいて、すでにエネルギー密度E1のレーザー光により結晶化がされている。そのため、より高いエネルギー密度E2のレーザー光が照射されると、結晶性が向上する。また膜の荒れは生じない。その結果、半導体薄膜を基板面内において均質に結晶化させることができる。
【0096】
このように、図1に示す階段状のエネルギープロファイルを有するレーザー光を用い、レーザー光のスキャンのピッチDを、同一位置に複数回、同一エネルギー密度として設定されたレーザー光が照射されるようにする。
【0097】
すると、これら複数回の照射のうち1回でも正常なエネルギー密度を有するレーザー光が照射されれば、レーザー光源の出力が突然低下しても不均質な結晶化を防ぐことができる。
【0098】
同一位置に同一エネルギー密度のレーザー光を照射する回数は、レーザー光源の出力が変動する確率に合わせて定めればよい。回数が多いほど均質化には寄与するが、その分アニール工程に要する時間は長くなる。
【0099】
各エネルギー密度の線幅方向の長さL1、L2は、要求されるアニール特性に応じた長さとする。L1とL2は同じであっても、異なっていてもよい。
【0100】
L1とL2の長さを制御することにより、各エネルギー密度で照射されるレーザー光が、半導体薄膜に与えるエネルギー量を制御することができる。線状レーザー光の線幅方向の長さは極めて限られたものである。そのためL1とL2の長さの制御により、最も効率の良いアニールを行う条件を得ることは、生産性を向上させるためには極めて好ましいことである。
【0101】
以上に述べたように、線状レーザー光によるレーザーアニール工程において、本明細書で開示する階段状のエネルギープロファイルを用いることで、
・半導体薄膜に対し、一度のスキャン(走査)で高い結晶性が得られる。
・アニール後の半導体薄膜に、良好な面内均質性を付与する。
・レーザー光源の出力の突発的な低下があっても、半導体薄膜の面内均質性を損なわない。
という優れた効果が得られる。
【0102】
本明細書で開示するレーザーアニール方法において、レーザー光源の出力が±5%以内の安定性を有していれば、本方法による効果は極めて好ましいものとなる。
【0103】
また、本明細書で開示するレーザーアニール方法において、図2におけるピッチDが、D≦L1およびD≦L2とすることは極めて重要である。ピッチDがL1またはL2より大きいと、被照射面にE1またはE2が照射されない領域が発生してしまう。その結果、被膜の荒れや面内不均質性を招く。
【0104】
なお、本明細書では、階段状のエネルキープロファイルとして、スキャン方向側のエネルギー密度が低いものを示したが、図5に示すようなスキャン方向側のエネルギー密度を高いものとした方が有効な場合もある。
【0105】
また、ここでは階段状エネルギープロファイルとして、E1、E2の2種のエネルギー密度で構成した例を示した。しかし、3種以上のエネルギー密度で構成してもよい。
【0106】
【実施例】
〔実施例1〕
本実施例では、被照射面において階段状のエネルギープロファイルを得るための構成の例を示す。
【0107】
図3に、図1に示すような階段状のエネルギープロファイルを得るための構成の例を示す。階段状のエネルギープロファイルを得るために、エネルギープロファイルの頂点が平坦なレーザー光を減光フィルターで加工する方法がある。
【0108】
レーザー光の被照射面におけるエネルギープロファイルを階段状にするために、まず、レーザー光源から出力されるレーザー光を、光学系を通して台形状またはガウス分布状のエネルギープロファイルを有する線状レーザー光とする。そしてこの線状レーザー光のエネルギープロファイルを、マスクおよび減光フィルターにより変化させる。
【0109】
図3にマスクおよび減光フィルターの例を示す。図3において、マスク301に減光フィルター302が連結して設けられている。
【0110】
マスク301は、レーザー光303のスキャン方向側のエネルギープロファイルの立ち上がりを急峻にする。また、減光フィルター302は、幅L1(図1)を得るのに必要な幅(スキャン方向の長さ)を有している。
【0111】
減光フィルター302を透過したレーザー光304のエネルギー密度は低減されて、半導体薄膜でなる被照射面305に照射される。また減光フィルターを通過しなかったレーザー光303は、そのまま被照射面305に照射される。
【0112】
その結果、被照射面305においては、照射されるレーザー光のエネルギープロファイルは、図1のような階段状のエネルギープロファイルとなっている。
【0113】
マスク301および減光フィルター302は、台形状またはガウス分布状のエネルギープロファイルが得られる光学系において、最終段の凸レンズと被照射面との間に配置する。
【0114】
マスク301および減光フィルター302は、極力被照射面305に近い方が好ましい。エネルギープロファイルのスキャン方向側の立ち上がりを急峻にすることができるためである。ただし、回折光の影響が問題にならない程度の被照射面からの距離を維持する必要はある。
【0115】
レーザー光源から出力されるレーザー光を台形状またはガウス分布状のエネルギープロファイルとするための光学系の例を図8および図9に示す。
【0116】
図8、図9共に、レーザー光源から出力されるレーザー光を拡大、均質化した後、線状に集光して被照射面に照射する光学系の構成の例である。図8(A)および図9(A)は光学系の上面図、図8(B)および図9(B)は光学系の側面図を示す。
【0117】
図8に示す光学系では、レーザ発振器801から照射されたレーザー光は、ホモジナイザ802〜805、凸レンズ806、807、を通過して拡大、均質化される。さらにシリンドリカルレンズ808により線状化され、ミラー809で反射された後、シリンドリカルレンズ810を介して被照射面811に照射される。シリンドリカルレンズ810は焦点の制御をする。
【0118】
図9に示す光学系では、レーザー発振器901から照射されたレーザー光は、凹レンズ902及び凸レンズ903で構成されるビームエキスパンダ、ホモジナイザ904、905を通過して拡大、均質化される。さらにシリンドリカルレンズ906、907により線状化され、ミラー908で反射された後、シリンドリカルレンズ909を介して被照射面910に照射される。シリドリカルレンズ909は焦点の制御をする。なおホモジナイザの数は、3個、5個、7個というように奇数個にしてもよい。また6個、8個、10個というように偶数個でさらにその数を多くしてもよい。
【0119】
図8、図9いずれの光学系も、レーザー光の被照射面におけるエネルギープロファイルの頂点を、極めて平坦なものとすることができる。
【0120】
レーザー発振器(レーザー光源)としては、エキシマレーザー、例えばXeClエキシマレーザー(波長308nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)等、出力の大きいパルスレーザー発振器を使用できる。
【0121】
このような光学系において、最終段のシリンドリカルレンズと被照射面との距離を制御することにより、レーザー光の被照射面におけるエネルギープロファイルを概略台形状とすることができる。最終段のシリンドリカルレンズと被照射面との間にスリットを配置して、スリットを介して照射させることで、より台形状に近いプロファイルを得ることができる。
【0122】
図3において、マスクに変えてスリットを用いると、スキャン方向の反対側のエネルギープロファイルの立ち下がりを急峻にできる。ただしスキャン方向の反対側のエネルギープロファイルは、特に限定せずとも結晶化には影響しない。
【0123】
〔実施例2〕
実施例2では、レーザー照射装置の構成の例を示す。図10に、レーザー照射装置の構成の例を示す。
【0124】
図10において、101はレーザー照射室である。レーザー照射室101は外部から遮断され、減圧状態に保つこともできる構成となっている。
【0125】
レーザー光はレーザー光源(発振器)102で発振され、光学系103により断面形状が線状に加工される。そしてミラー104で反射され、焦点調整用の凸レンズ(シリンドリカルレンズ)105、石英で構成された窓106を介して被処理基板100に照射される。102〜105は、実施例1で示した図8、図9のレーザー光源及び光学系に対応する。
【0126】
被処理基板100は、台108上に設けられたステージ111上に配置され、台108内に設置されたヒーターによって、所定の温度(室温〜700℃、好ましくは100〜500℃)に保たれる。
【0127】
台108は、移動機構109によって、線状レーザー光の線方向に対して直角の方向に移動され、被処理基板100上面に対しレーザービームを走査しながら照射することを可能としている。
【0128】
レーザー照射室101は、真空排気ポンプ110を備えており、必要に応じて内部を減圧状態または真空状態にすることができる。
【0129】
レーザー照射室101は、気体供給部109を有している。気体供給部109は、レーザー照射室101内に酸素、水素、窒素、ヘリウム等の気体を導入して、所望の雰囲気を形成する。必要に応じて、他の気体を導入するための別の気体供給部を設けてもよい。
【0130】
レーザー照射室101は、ゲイトバルブ112を有し、他の処理室との接続を可能なものとしている。また必要に応じて、ゲイトバルブ112を介して基板(試料)の出し入れを行うことができる構成となっている。
【0131】
ゲイトバルブ112を介して、基板搬送室、加熱室、徐冷室、ロード/アンロード室などを配置したマルチチャンバー構成としてもよい。
【0132】
被処理基板100上には、図3にて示したようなマスクおよび減光フィルター107が図示しない固定手段に支持されて設けられている。減光フィルターは、マスクに連結して設けられている。
【0133】
マスクは、窓106を透過してきた線状レーザー光のスキャン方向(図10においては矢印の方向)側を遮る。これにより、線状レーザー光のエネルギープロファイルの立ち上がりを急峻にする。
【0134】
減光フィルターは、線状レーザー光のスキャン方向側のエネルギー密度を部分的に低下させる。
【0135】
このような構成のレーザー照射装置により、階段状のエネルギープロファイルを有するレーザー光によるレーザーアニールを、高品質かつ高生産性を有して行うことができる。
【0136】
〔実施例3〕
本実施例は、ガラス基板上に薄膜トランジスタを作製する場合の例を示す。
【0137】
図11に、実施例の作製工程を示す。まず、被処理基板1101として127mm角のコーニング1737ガラス基板を用意する。
【0138】
そして基板1101上に下地膜としての酸化珪素膜1102を2000Åの厚さに成膜する。成膜方法はプラズマCVD法を用いる。次に図示しないアモルファスシリコン膜を500〜1000Å例えば500Åの厚さに減圧CVD法により成膜する。
【0139】
次に10ppm程度の酢酸ニッケル水溶液を、スピンコート法によりアモルファスシリコン膜上に塗布し、ニッケル元素がアモルファスシリコン膜の表面に接して保持された状態とする。このニッケルを用いた結晶化技術の詳細については、特開平6−244104号に記載されている。
【0140】
この状態において、450〜600℃、例えば600℃、4時間の加熱処理を水素含有雰囲気(即ち還元雰囲気)中で行う。この加熱処理により、アモルファスシリコン膜は結晶化し結晶性シリコン膜へと変成される。(図11(A))
【0141】
なお、最終的に膜中に残留するニッケル元素の濃度は、1×1015〜5×1019原子/cm3 の範囲内に収まることが望ましい。
【0142】
このようにして結晶性シリコン膜1103が得られる。次に得られた結晶シリコン膜1103の結晶性をさらに高めるために、レーザーアニールを行う。
【0143】
レーザーアニールは、図10に示す装置を用いて行う。また光学系として図8に示すものを用いる。アニール時は、大気圧、酸素含有雰囲気中とする。
【0144】
被処理基板1101を200℃に加熱した状態でレーザーアニールを行う。照射される線状レーザー光は、マスクおよび減光フィルターを介さない状態で、被照射面上で幅約0.3mm×長さ135mmの大きさを有する。
【0145】
またレーザー光は、図3に示すようなマスクおよび減光フィルターにより、エネルギープロファイルが図1に示すような階段状にされている。減光フィルターのスキャン方向の幅は、0.1mmとする。
【0146】
レーザー光の階段状のエネルギープロファイルは、図1に対応させて示すと、E1=150mJ/cm2 、E2=280mJ/cm2 、L1=L2=0.1mmと設定する。
【0147】
エネルギー密度E1は、熱結晶化された結晶性シリコン膜を、良好に加熱するエネルギーの範囲であればよい。代表的には100mJ/cm2 ≦E1≦250mJ/cm2 である。
【0148】
また、エネルギー密度E2は、エネルギー密度E1が照射されたシリコン膜の結晶性を良好に向上させるエネルギーの範囲であればよい。代表的には200mJ/cm2 ≦E2≦300mJ/cm2 である。
【0149】
なおエネルギー密度E1およびE2は、±5%以内の変位幅を含む。
【0150】
線状レーザー光はマスクにより線幅方向において約0.1mm程度遮られる。これによりスキャン方向のエネルキープロファイルが急峻に立ち上がる。
【0151】
エネルギー密度E1のレーザー光は、結晶性シリコン膜に対し予備的な加熱を行う役割を果たす。エネルギー密度E2のレーザー光は、予備加熱が行われた結晶性シリコン膜の結晶粒径のさらなる増大など、膜全体の結晶性を向上させる役割を果たす。
【0152】
L1及びL2に対する、線状レーザー光をスキャンする際のピッチDは0.025mmとする。したがって、同一箇所に対し同一のエネルギー密度(E1またはE2)のレーザー光が0.1mm/0.025mm=4回照射される。
【0153】
このような条件によりレーザーアニールを行った結果、一度のスキャンニングで充分に結晶性が向上した。またレーザー光源は、出力が突発的に5〜10%程度低下するものであるが、それにも係わらず、アニール後の結晶性シリコン膜1103の表面は極めて均質であり、縞状の荒れは全く見られなかった。(図11(B))
【0154】
次に、レーザーアニールによって結晶性が助長された結晶性シリコン膜1103を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を作製する。まず、結晶性シリコン膜1103をエッチングして、島状領域1104を形成する。この島状領域1104は後に薄膜トランジスタの活性層を構成することとなる。
【0155】
次に、ゲイト絶縁膜1105となる酸化珪素膜をプラズマCVD法によって厚さ1200Åの厚さに成膜する。ここではこの酸化珪素膜を成膜するための原料ガスとして、TEOSおよび酸化珪素膜を用いる。(図11(C))
【0156】
次に、ゲイト電極を作製する。ここではまず図示しないアルミニウム膜をスパッタ法により、6000Åの厚さに成膜する。なお、アルミニウム膜中にスカンジウムまたは珪素を0.1〜2.0重量%含有させる。そしてこのアルミニウム膜をエッチングして、ゲイト電極1106を形成する。
【0157】
次にソース/ドレイン領域を形成するための不純物イオンの注入を行う。ここではNチャネル型のTFTを作製するためにP(リン)イオンの注入をイオンドーピング法によって行う。
【0158】
このリンイオンの注入は、ゲイト電極1107をマスクとして行われる。ドーピングの条件は、ドーピングガスとして、フォスフィン(PH3 )を用い、加速電圧を80kV、ドーズ量を1×1015原子/cm2 として行う。また基板温度は室温とする。
【0159】
なお、Pチャネル型のTFTを作製するために、B(硼素)イオンの注入を行う場合は、ドーピングガスとして水素で5%程度に希釈されたジボラン(B2 6 )を用い、加速電圧を65kV、ドーズ量を3×1015原子/cm2 とする。またこの際、基板温度は室温とする。
【0160】
このドーピング工程においては、自己整合的にチャネル形成領域1109と、不純物領域であるソース領域1107、さらにドレイン領域1108が形成される。(図11(D))
【0161】
次にドーピングされた不純物を活性化するために、レーザーアニールを行う。ここでも、階段状のエネルギープロファイルを有する線状レーザー光を用いる。
【0162】
このときのレーザー光の階段状のエネルギープロファイルは、図1に対応させて示すと、E1=150mJ/cm2 、E2=200mJ/cm2 、L1=L2=0.1mmとした。その他の条件は、前述の結晶化工程と同様とした。
【0163】
このレーザーアニールにより、不純物が活性化される共に、先の不純物イオンの注入時における損傷が回復される。このレーザーアニールの終了後、窒素雰囲気中にて2時間、450℃の熱アニールを行う。(図11(E))
【0164】
次に、層間絶縁膜1110として酸化珪素膜をプラズマCVD法で6000Åの厚さに成膜する。
【0165】
さらに層間絶縁膜1110にコンタクトホールを形成し、金属材料、例えば、チタンとアルミニウムの多層膜でもってソース電極1111とドレイン電極1112を形成する。
【0166】
最後に、1気圧の水素雰囲気で、200〜350℃の熱アニール処理を行い、図11(F)に示す薄膜トランジスタを完成させる。
【0167】
このようにして、複数の結晶性シリコン薄膜トランジスタが形成される。
【0168】
本実施例で作製された複数の薄膜トランジスタは、結晶化助長のためのレーザーアニール工程に矩形や台形のエネルギープロファイルを使用した場合に比較して、しきい値や移動度等の諸特性の、同一基板面内におけるばらつきが極めて低くなった。
【0169】
〔実施例4〕
実施例4は、アモルファスシリコン膜に対してレーザーアニールを施し、結晶性シリコン膜を得る構成に関する。
【0170】
まず、基板として127mm角、1.1mm厚のコーニング1737基板を用意する。この基板上にプラズマCVD法により酸化珪素膜を2000Åの厚さに形成し、下地膜とする。
【0171】
さらに減圧CVD法でアモルファスシリコン膜を500〜1000Åここでは500Åの厚さに形成する。
【0172】
次にレーザーアニールを行う。レーザーアニールは、図10に示す装置を用いて行う。また光学系として図9に示すものを用いる。アニール時は、大気圧、酸素含有雰囲気中とする。
【0173】
被処理基板を200℃に加熱した状態でレーザーアニールを行う。照射される線状レーザー光は、マスクおよび減光フィルターを介さない状態で、被照射面上で幅約0.7mm×長さ135mmの大きさを有する。
【0174】
またレーザー光は、図3に示すようなマスクおよび減光フィルターにより、エネルギープロファイルが図1に示すような階段状にされている。減光フィルターのスキャン方向の幅は、0.3mmとする。
【0175】
レーザー光の階段状のエネルギープロファイルは、図1に対応させて示すと、E1=130mJ/cm2 、E2=250mJ/cm2 、L1=L2=0.3mmである。
【0176】
エネルギー密度E1は、アモルファスシリコンを良好に結晶化させるエネルギーの範囲であればよい。代表的には100mJ/cm2 ≦E1≦200mJ/cm2 である。
【0177】
また、エネルギー密度E2は、エネルギー密度E1が照射されたシリコン膜の結晶性を良好に向上させるエネルギーの範囲であればよい。代表的には200mJ/cm2 ≦E2≦300mJ/cm2 である。
【0178】
なおエネルギー密度E1およびE2は、±5%以内の変位幅を含む。
【0179】
線状のレーザー光はマスクにより線幅方向において0.1mm程度遮られる。これによりスキャン方向のエネルキープロファイルが急峻に立ち上がる。
【0180】
エネルギー密度E1のレーザー光は、アモルファスシリコン膜を結晶化させる役割を果たす。エネルギー密度E2のレーザー光は、エネルギー密度E1のレーー光により結晶化された結晶性シリコン膜の結晶粒径のさらなる増大など、膜全体の結晶性を向上させる役割を果たす。
【0181】
L1及びL2に対する、線状レーザー光をスキャンする際のピッチDは0.06mmとする。したがって、同一箇所に対し同一のエネルギー密度(E1またはE2)のレーザー光が0.3mm/0.06mm=5回照射される。
【0182】
このような条件によりレーザーアニールを行った結果、一度のスキャンニングで充分に結晶性が向上した。またレーザー光源は、出力が突発的に5〜10%程度変動するものであるが、それにも係わらず、アニール後の結晶性シリコン膜の表面は極めて均質であり、縞状の荒れは全く見られなかった。
【0183】
この後、レーザーアニールによって結晶化されおよび結晶性が助長された結晶性シリコン膜を用いて複数の薄膜トランジスタ(TFT)を、実施例3と同様にして作製する。
【0184】
作製された複数の薄膜トランジスタは、その諸特性が同一基板面内において極めて均質なものとすることができた。
【0185】
〔実施例5〕
実施例5では、階段状のエネルギープロファイルを得るための他の構成を示す。階段状のエネルギープロファイルを得るための他の方法として、レーザー光を均質化するために設けられているホモジナイザに減光フィルターを設けてもよい。その場合の構成の例を図12に示す。
【0186】
ホモジナイザは、複数のシリンドリカルレンズを平行に配置したものである。レーザー光源から出力された、数cm角のスポット形状の断面を有するレーザー光は、ホモジナイザに入射すると、各シリンドリカルレンズの後段で一度収束してから拡散する。
【0187】
各シリンドリカルレンズにて拡散したレーザー光は、凸レンズに入射させることで収束する。このような加工を、レーザー光断面の縦方向、横方向でそれぞれ行うと、レーザー光はエネルギー密度が均質な概略正方形または長方形の断面となる。
【0188】
この正方形や長方形断面を有するレーザー光を、レーザー光を収束させる凸レンズによって断面の縦横の長さを変化させる。その結果被照射面上にて所定の線幅を有する線状レーザー光とする。レーザー光断面の縦横の長さは、レーザー光を収束させる凸レンズの曲率によって決定される。
【0189】
このようにして得られる線状レーザー光は、被照射面上では線方向(長手方向)も線幅方向もエネルギー密度が均質化されている。
【0190】
そして、線状レーザー光の線幅方向の均質化を図るためのホモジナイザを、図12に示すような構成とする。すなわち、図12に示すように、ホモジナイザ1201を構成する各シリンドリカルレンズの前段または後段に減光フィルター1205を設ける。図12では後段に設けている。
【0191】
図12に示すように、レーザー光1204がホモジナイザ1201を透過した後、減光フィルターを透過する部分はエネルギー密度が低下する。例えば、縦方向の均質化を図るホモジナイザを構成する各シリンドリカルレンズに対し、その対応した位置の下側に減光フィルターを設ける。つまり、各シリドリカルレンズに一つずつ対応して減光フィルターを設ける。
【0192】
このとき、1つのシリンドリカルレンズに対応して設けられた減光フィルターが、他のシリンドリカルレンズを通過した光あるいは入射する光を遮らないようにする。
【0193】
被照射面1203においては、凸レンズ1202により集光されて、エネルギー密度が均質化されたレーザー光が照射される。
【0194】
被照射面1203においては、図12に示すように、減光フィルターを透過しなかったレーザー光が照射される領域(a)と、減光フィルターを透過したレーザー光が照射される領域(b)が存在する。
【0195】
領域(b)の方がエネルギー密度が低くなるため、被照射面でのレーザー光のエネルギープロファイルは、階段状となる。図12の上下方向が線状レーザー光の線幅方向に相当する。ゆえに、線幅方向のエネルギープロファイルを階段状とすることができる。
【0196】
実施例5で示す構成は、実施例1で示した階段状のエネルギープロファイルを得る方法に比較して、レーザー照射時に減光フィルターに加わるエネルギーが大幅に小さくなる。そのため、長期間において安定したフィルター特性を維持できる。
【0197】
本実施例において、各シリンドリカルレンズに対応する減光フィルターの幅により、エネルギー密度の低い側の領域の線幅方向の長さを制御できる。
【0198】
さらに、マスクまたはスリットを凸レンズと被照射面との間にを設けて、エネルギープロファイルの立ち上がりをより急峻にしてもよい。
【0199】
スキャン方向の反対側のエネルギープロファイルは、特に限定されない。
【0200】
【発明の効果】
本発明により、線状レーザー光を用いた半導体薄膜に対するレーザーアニールにおいて、結晶性の向上、処理工程の短縮、膜質の面内均質性の向上、レーザー光源の出力変動の影響の回避、といった優れた効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 線状レーザー光の線幅方向のエネルギープロファイルの概念図
【図2】 スキャン過程を示す図。
【図3】 階段状のエネルギープロファイルを得るための構成の例を示す図。
【図4】 レーザー光のエネルギー密度が突発的に変動する場合のスキャン過程の例を示す図。
【図5】 スキャン方向側のエネルギー密度を高いものとした例を示す図。
【図6】 台形状のエネルギープロファイルを有する線状レーザー光のスキャン過程を示す図。
【図7】 レーザー光源のエネルギー変動の伴った線状レーザー光のスキャン工程を示す図。
【図8】 光学系の例を示す図。
【図9】 光学系の例を示す図。
【図10】 レーザー照射装置の構成の例を示す図。
【図11】 実施例の作製工程を示す図。
【図12】 ホモジナイザに減光フィルターを設けた構成の例を示す。
【符号の説明】
301 マスク
302 減光フィルター
303 レーザー光
304 減光フィルターを透過したレーザー光
305 被照射面

Claims (9)

  1. 基板上に非晶質珪素膜を形成し、
    前記非晶質珪素膜に、複数のシリンドリカルレンズを通過した線状のパルスレーザー光を照射し、
    前記レーザー光が照射された珪素膜をパターニングして薄膜トランジスタの活性層を形成し、
    前記活性層上にゲイト絶縁膜を形成し、
    前記ゲイト絶縁膜上にゲイト電極を形成する薄膜トランジスタの作製方法において、
    前記レーザー光は、前記複数のシリンドリカルレンズを通過した前記レーザー光の一部が、前記複数のシリンドリカルレンズに対応して設けられた減光フィルターを通過することによって、エネルギー密度E1の領域とE1より高いエネルギー密度E2の領域でなる段階的なエネルギープロファイルを有し、
    前記非晶質珪素膜に対して相対的に前記レーザー光を方向にピッチDで走査し、
    前記エネルギー密度E1の領域の前記幅方向の寸法L 、及び前記エネルギー密度E2の領域の前記幅方向の寸法L は、 ≧D、及びL ≧Dを満たし、
    前記エネルギー密度E1の領域は、前記エネルギー密度E2の領域よりも走査方向側にあることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  2. 基板上に非晶質珪素膜を形成し、
    前記非晶質珪素膜に、複数のシリンドリカルレンズを通過した線状のパルスレーザー光を照射し、
    前記レーザー光が照射された珪素膜をパターニングして薄膜トランジスタの活性層を形成し、
    前記活性層上にゲイト絶縁膜を形成し、
    前記ゲイト絶縁膜上にゲイト電極を形成し、
    前記ゲイト電極をマスクとして前記活性層に不純物領域を形成し、
    前記不純物領域に前記レーザー光を照射して活性化する薄膜トランジスタの作製方法において、
    前記レーザー光は、前記複数のシリンドリカルレンズを通過した前記レーザー光の一部が、前記複数のシリンドリカルレンズに対応して設けられた減光フィルターを通過することによって、エネルギー密度E1の領域とE1より高いエネルギー密度E2の領域でなる段階的なエネルギープロファイルを有し、
    前記非晶質珪素膜に対して相対的に前記レーザー光を方向にピッチDで走査し、
    前記エネルギー密度E1の領域の前記幅方向の寸法L 、及び前記エネルギー密度E2の領域の前記幅方向の寸法L は、 ≧D、及びL ≧Dを満たし、
    前記エネルギー密度E1の領域は、前記エネルギー密度E2の領域よりも走査方向側にあることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  3. 基板上に非晶質珪素膜を形成し、
    前記非晶質珪素膜上にニッケル元素を含む溶液を塗布し、
    前記非晶質珪素膜に、複数のシリンドリカルレンズを通過した線状のパルスレーザー光を照射し、
    前記レーザー光が照射された珪素膜をパターニングして薄膜トランジスタの活性層を形成し、
    前記活性層上にゲイト絶縁膜を形成し、
    前記ゲイト絶縁膜上にゲイト電極を形成する薄膜トランジスタの作製方法において、
    前記レーザー光は、前記複数のシリンドリカルレンズを通過した前記レーザー光の一部が、前記複数のシリンドリカルレンズに対応して設けられた減光フィルターを通過することによって、エネルギー密度E1の領域とE1より高いエネルギー密度E2の領域でなる段階的なエネルギープロファイルを有し、
    前記非晶質珪素膜に対して相対的に前記レーザー光を方向にピッチDで走査し、
    前記エネルギー密度E1の領域の前記幅方向の寸法L 、及び前記エネルギー密度E2の領域の前記幅方向の寸法L は、 ≧D、及びL ≧Dを満たし、
    前記エネルギー密度E1の領域は、前記エネルギー密度E2の領域よりも走査方向側にあることを特徴とすることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一において、
    前記レーザー光はエキシマレーザー光であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか一において、
    大気圧下で前記非晶質珪素膜に前記レーザー光を照射することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  6. 請求項1乃至のいずれか一において、
    前記非晶質珪素膜に前記レーザー光を照射する雰囲気は酸素含有雰囲気であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  7. 請求項1乃至のいずれか一において、
    TEOSを原料ガスに用いたプラズマCVD法により、前記ゲイト絶縁膜を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一において、
    前記エネルギー密度E1は、前記非晶質珪素膜を結晶化させるのに適した値に設定され、
    前記エネルギー密度E2は、前記結晶化した珪素膜の結晶性を助長するのに適した値に設定されることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一において、
    前記エネルギー密度E1は、100mJ/cm ≦E1≦250mJ/cm であり、
    前記エネルギー密度E2は、200mJ/cm ≦E2≦300mJ/cm であることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
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