JP3971111B2 - 路面塩分濃度計測システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、寒冷地方において、道路上の塩分濃度を計測する路面塩分濃度計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
道路が凍結する寒冷地方においては、一般に道路上に凍結防止剤(塩化ナトリウムNaCl又は塩化カルシウムCaCl2 )を散布することにより路面の凍結を防止している。上記凍結防止剤を散布することにより路面の塩分濃度が高くなると、気温が氷点下になっても直ぐには凍結せず、路面が凍結するまでの時間を遅らせることができる。しかし、路面の塩分濃度が低下すると、気温が氷点下になった場合に直ぐに路面が凍結してしまう。
【0003】
従って、上記凍結防止剤を散布する時間間隔を短くするか、あるいは多量の凍結防止剤を散布すれば大きな凍結防止効果が得られるが、その反面、塩害が発生し周囲の環境に悪影響を与える。また、凍結防止剤の散布時間間隔を長くするか、あるいは少量の凍結防止剤を散布すれば周囲の環境に与える影響を少なくできるが、充分な凍結防止効果を得ることができない。このため従来では、道路上の塩分濃度及び温度、湿度等を計測して路面の凍結を予測し、その予測値に基づいて凍結防止剤を道路上に散布している。
【0004】
上記路面の塩分濃度を計測する場合、従来では道路上に多数の計測点を広範囲に亘って設定し、各計測点の電導率を計測することにより塩分濃度を計測している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の路面塩分濃度計測方法では、路面の塩分濃度をスポット的に広範囲に亘って計測しているので、計測が非常に面倒で時間が掛かると共に計測値にバラツキがあり、高い計測精度が得られないという問題があった。また、従来の計測方法では、道路に計測用の電極を埋設し、この電極に計測機器を接続して路面の電導率を計測しているので、道路改修時には電極の再設置、調整が必要であり、保守性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、路面の塩分濃度を面で計測でき、高い計測精度が得られると共に、道路改修等の影響がなく、保守性に優れた路面塩分濃度計測システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る路面塩分濃度計測システムは、計測車両の前部側に搭載され、道路上に凍結防止剤を散布する散布装置と、上記計測車両の後部側に搭載され、計測用レーザ光を路面上に照射し、レーザブレイクダウン分光法により路面上の塩分濃度を計測する塩分濃度計測装置と、この塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データを参照し、該塩分濃度データが予め設定された値となるように上記散布装置による凍結防止剤の散布量を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする。
上記の構成によれば、散布装置による凍結防止剤の散布状態を塩分濃度計測装置で直ちに計測できるので、その計測結果に基づいて凍結防止剤の散布状態を調整して路面上の塩分濃度を最適値に保つことができる。この結果、周囲の環境に与える塩害を防止でき、且つ非常に高い凍結防止効果を得ることができる。
第2の発明に係る路面塩分濃度計測システムは、計測車両の前部側に搭載され、計測用レーザ光を路面上に照射し、レーザブレイクダウン分光法により路面上の塩分濃度を計測する塩分濃度計測装置と、計測車両の後部側に搭載され、道路上に凍結防止剤を散布する散布装置と、上記塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データに基づいて上記散布装置による凍結防止剤の散布量を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする。
上記の構成によれば、計測車両の前部側に設けた塩分濃度計測装置により先ず路面上の塩分濃度を計測し、その計測結果に基づいて散布装置による凍結防止剤の散布量を調整しているので、凍結防止剤を散布する前の路面塩分濃度が不均一な状態であっても、凍結防止剤を散布した後においては、路面上の塩分濃度を均一に、且つ最適値にすることができる。この結果、周囲の環境に与える塩害を防止でき、且つ非常に高い凍結防止効果を得ることができる。
【0008】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明に係る路面塩分濃度計測システムにおいて、塩分濃度計測装置に設けられ、計測用レーザ光を道路の幅方向にスキャニングさせて路面上に照射するスキャニング機構と、上記塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データを処理して時間/強度の分布画像化するデータ処理装置と、このデータ処理装置により分布画像化されたデータを記録する記録装置とを具備したことを特徴とする。
上記のように塩分濃度計測装置で計測された塩分濃度データを分布画像化して記録することにより、その記録データから計測領域全体の塩分濃度の状態を確実且つ容易に把握することができ、凍結防止剤の散布を的確に行なうことが可能となる。
【0009】
第4の発明は、上記第1又は第2の発明に係る路面塩分濃度計測システムにおいて、塩分濃度計測装置に設けられ、計測用レーザ光を道路の幅方向にスキャニングさせて路面上に照射するスキャニング機構と、上記塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データを記憶する記憶装置と、上記塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データを処理して時間/強度の分布画像化するデータ処理装置と、このデータ処理装置により分布画像化されたデータを表示する表示モニタと、上記データ処理装置により分布画像化されたデータを記録する記録装置とを具備したことを特徴とする。
上記のように塩分濃度計測装置で計測された塩分濃度データを分布画像化して表示モニタに表示することにより、計測状態を容易に監視できると共に計測領域における塩分濃度の状態を容易に把握することができる。そして、計測終了後においては、記録装置により記録されたデータから計測領域全体の塩分濃度の状態を確実且つ容易に確認することができ、凍結防止剤の散布を的確に行なうことが可能となる。また、塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データを記憶装置に記憶させることにより、計測終了後、必要に応じて上記記憶装置からデータを読出して表示モニタに表示させ、あるいは記録装置により紙等の記録媒体に記録させて確認することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る路面塩分濃度計測システムの概略構成図である。図1において、1は計測車両で、この計測車両1には、路面2上の塩分濃度を計測する塩分濃度計測装置11及びこの塩分濃度計測装置11の計測結果を処理する処理装置等が搭載されている。上記塩分濃度計測装置11は、例えば計測車両1の後部底面に設けられ、レーザ光によるレーザブレイクダウン分光法(LASER BREAKDOWN SPECTROSCOPY)を用いて路面2上の塩分濃度を計測する。すなわち、塩分濃度計測装置11は、計測用レーザ光を路面に照射し、凍結防止剤の成分がブレイクダウン現象により分解して生成されるプラズマを分光して塩分濃度を計測するもので、その詳細については後述する。上記塩分濃度計測装置11の計測結果は、データ処理装置12へ送られる。このデータ処理装置12は、塩分濃度計測装置11の計測結果を記憶装置13に記憶すると共に、分布画像化して表示モニタ14に表示する。また、データ処理装置12は、上記分布画像化したデータを記録装置15に出力して例えば紙等の記録媒体に記録する。
【0013】
次に、上記塩分濃度計測装置11及びデータ処理装置12の詳細について図2を参照して説明する。塩分濃度計測装置11は、ブレイクダウン用レーザ111、スキャニング機構112、光検出器113、分光器114、光増幅器115からなっている。
【0014】
上記ブレイクダウン用レーザ111は、例えばYAGレーザの基本波(波長1064nm、最大出力400mj/pulse、最大繰り返し周波数100Hz、パルス幅3.5ns)を使用する。スキャニング機構112は、ブレイクダウン用レーザ111から出力されるレーザ光をスキャニングすると共にレンズLaにより集光して路面2上に照射する。路面2上にの凍結防止剤に含まれる各種成分は、レーザ光が照射されると分解してプラズマを生成する。凍結防止剤として例えば塩化ナトリウムNaClを使用した場合には、NaとClに分解されるときにプラズマが生成され、また、塩化カルシウムCaCl2 を使用した場合には、CaとCl2 に分解されるときにプラズマが生成される。光検出器113は、上記凍結防止剤により生成されたプラズマの発光をレンズLbにより集光して検出し、分光器114に入力する。この分光器114は、上記光検出器113により検出されたプラズマの発光を分光し、その結果を光増幅器115で増幅してデータ処理装置12へ出力する。
【0015】
データ処理装置12は、上記光検出器113により検出されたプラズマが時間の経過と共に中性化し、より安定な状態に遷移する過程で発生する蛍光を分析することにより、凍結防止剤に成分元素例えばナトリウムNaやカルシウムCaの同定及び定量を行なう。ナトリウムNaの場合には、D線と呼ばれる強い蛍光(589.0nm、589.6nm)を発生する。データ処理装置12は、上記蛍光強度をバンドパスフィルタにより分布画像化し、表示モニタ14に表示する。この場合、例えば図2に示すように表示モニタ14の左上隅を基点とし、横方向(横軸)に道路幅をとり、縦方向(縦軸)に計測車両1の進行方向をとって分布画像を表示する。また、この塩分濃度の分布画像は、記録装置15に送られて紙等の記録媒体に記録される。
【0016】
従って、計測者は、表示モニタ14の表示画像から路面塩分濃度の計測状態を確認できると共に、最終的には記録装置15により記録されたデータから計測領域全体の塩分濃度を確認でき、凍結防止剤を散布するタイミングを決定することができる。
【0017】
上記路面塩分濃度計測システムによれば、道路に沿って計測車両1を走行させながら計測処理を行なうことにより、ブレイクダウン用レーザ111から出力されるレーザ光がスキャニング機構112で道路の幅方向にスキャニングされるので、路面2上の塩分濃度を面計測することができ、高い計測精度が得られる。また、データ処理装置12において、計測領域内での計測値の統計を取ることにより、イレギュラーな値の影響を抑えることができ、計測精度を更に向上することができる。また、塩分濃度計測装置11により計測された塩分濃度データを記憶装置13に記憶させることにより、計測終了後、必要に応じて記憶装置13からデータを読出して表示モニタ14に表示させ、あるいは記録装置15により紙等の記録媒体に記録させて確認することができる。
【0018】
そして、上記計測結果に基づいて凍結防止剤を道路に散布することにより、最適のタイミングで凍結防止剤を散布することができ、周囲の環境に与える塩害を防止できると共に、非常に高い凍結防止効果を得ることができる。
また、路面2に対して非接触で路面塩分濃度を計測できるので、道路改修等の影響がなく、保守性にも非常に優れたものとなる。
【0019】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について図3を参照して説明する。
この第2実施形態に係る路面塩分濃度計測システムは、上記第1実施形態において、更に計測車両1の前部下面に凍結防止剤の散布装置21を設けると共に、この散布装置21の散布状態を制御する散布制御用データ処理装置22を設けたものである。上記散布制御用データ処理装置22は、データ処理装置12との間でデータの授受を行ない、データ処理装置12から出力される路面塩分濃度計測結果に基づいて散布装置21による凍結防止剤の散布状態を制御する。なお、その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0020】
上記第2実施形態では、道路に沿って計測車両1を走行させながら散布装置21により凍結防止剤を路面2上に散布する。この散布装置21による凍結防止剤の散布状態を計測車両1の後部に設けた塩分濃度計測装置11で計測し、データ処理装置12で求めた路面塩分濃度計測結果を散布制御用データ処理装置22に入力する。この散布制御用データ処理装置22は、データ処理装置12から送られてくる路面塩分濃度計測結果に基づいて、散布装置21による凍結防止剤の散布量が最適値に保たれるように、すなわち、路面2上の塩分濃度が最適値になるように散布装置21を制御する。
【0021】
散布装置21による凍結防止剤の散布状態を塩分濃度計測装置11により計測し、その計測結果に基づいて散布装置21の凍結防止剤散布量を制御しているので、路面2上の塩分濃度が最適値になるように凍結防止剤を散布することができる。この結果、周囲の環境に与える塩害を防止でき、且つ非常に高い凍結防止効果を得ることができる。
【0022】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について図4を参照して説明する。
この第2実施形態に係る路面塩分濃度計測システムは、図4に示すように計測車両1の前部下面に塩分濃度計測装置11を設けると共に、計測車両1の後部下面に散布装置21を設け、データ処理装置12で得た路面塩分濃度計測結果を散布制御用データ処理装置22に入力し、散布装置21による凍結防止剤の散布状態を制御するようにしたものである。なお、その他の構成は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0023】
道路上に凍結防止剤を散布した後は、車両の走行状態や天候等によって路面2上の塩分濃度が変化し、また、場所によって濃度変化の状態が異なるので、かなり不均一な状態となっている。この状態で、凍結防止剤を均一に散布したとしても、路面2上の塩分濃度は均一にはならない。
【0024】
このため第3実施形態では、道路に沿って計測車両1を走行させながら、先ず、路面2における現在の塩分濃度を計測し、データ処理装置12で得られた計測結果を散布制御用データ処理装置22に入力している。散布制御用データ処理装置22は、データ処理装置12から送られてくる路面塩分濃度計測結果に基づいて散布装置21を制御し、凍結防止剤を散布した後の塩分濃度が最適値となるように凍結防止剤の散布量を調整する。
【0025】
上記のように第3実施形態では、最初に路面2上の塩分濃度を計測し、その計測結果に基づいて散布装置21による凍結防止剤の散布量を調整しているので、凍結防止剤を散布する前の路面塩分濃度が不均一な状態であっても、凍結防止剤を散布した後においては、路面2上の塩分濃度を均一に、且つ最適値にすることができる。この結果、周囲の環境に与える塩害を防止でき、且つ非常に高い凍結防止効果を得ることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、レーザ光によるレーザブレイクダウン分光法を用いた塩分濃度計測装置を計測車両に搭載し、計測車両を走行させながら上記塩分濃度計測装置を作動させて路面上の塩分濃度を計測しているので、面計測が可能になると共に非常に高い計測精度を得ることができる。従って、上記計測結果に基づいて凍結防止剤を道路に散布することにより、最適のタイミングで凍結防止剤を散布することができ、周囲の環境に与える塩害を防止できると共に、非常に高い凍結防止効果を得ることができる。また、路面に対して非接触で路面塩分濃度を計測できるので、道路改修等の影響がなく、保守性にも非常に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る路面塩分濃度計測システムの概略構成図。
【図2】同実施形態における塩分濃度計測装置及びデータ処理装置の詳細を示す構成図。
【図3】本発明の第2実施形態に係る路面塩分濃度計測システムの構成図。
【図4】本発明の第3実施形態に係る路面塩分濃度計測システムの構成図。
【符号の説明】
1…計測車両
2…路面
11…塩分濃度計測装置
111…ブレイクダウン用レーザ
112…スキャニング機構
113…光検出器
114…分光器
115…光増幅器
12…データ処理装置
13…記憶装置
14…表示モニタ
15…記録装置
21…散布装置
22…散布制御用データ処理装置
Claims (4)
- 計測車両の前部側に搭載され、道路上に凍結防止剤を散布する散布装置と、上記計測車両の後部側に搭載され、計測用レーザ光を路面上に照射し、レーザブレイクダウン分光法により路面上の塩分濃度を計測する塩分濃度計測装置と、この塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データを参照し、該塩分濃度データが予め設定された値となるように上記散布装置による凍結防止剤の散布量を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする路面塩分濃度計測システム。
- 計測車両の前部側に搭載され、計測用レーザ光を路面上に照射し、レーザブレイクダウン分光法により路面上の塩分濃度を計測する塩分濃度計測装置と、計測車両の後部側に搭載され、道路上に凍結防止剤を散布する散布装置と、上記塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データに基づいて上記散布装置による凍結防止剤の散布量を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする路面塩分濃度計測システム。
- 上記塩分濃度計測装置に設けられ、計測用レーザ光を道路の幅方向にスキャニングさせて路面上に照射するスキャニング機構と、上記塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データを処理して時間/強度の分布画像化するデータ処理装置と、このデータ処理装置により分布画像化されたデータを記録する記録装置とを具備したことを特徴とする請求項1又は2に記載の路面塩分濃度計測システム。
- 上記塩分濃度計測装置に設けられ、計測用レーザ光を道路の幅方向にスキャニングさせて路面上に照射するスキャニング機構と、上記塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データを記憶する記憶装置と、上記塩分濃度計測装置により計測された塩分濃度データを処理して時間/強度の分布画像化するデータ処理装置と、このデータ処理装置により分布画像化されたデータを表示する表示モニタと、上記データ処理装置により分布画像化されたデータを記録する記録装置とを具備したことを特徴とする請求項1又は2に記載の路面塩分濃度計測システム。
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