JP3970169B2 - DLC film coated plastic container manufacturing method - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、ビール、発泡酒等の発酵型炭酸飲料又は果汁飲料等に代表される飲料を充填するためのガスバリア性プラスチック容器及びその製造法に関する。特にガスバリア性は、プラスチック容器の内表面にコーティングしたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜により実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲料用容器は、飲料の種類に応じてその充填及び殺菌方法が大きく異なる。例えば、炭酸飲料は、炭酸ガスを逃がさないように低温で充填され、容器毎の殺菌は行われない。また果実飲料、お茶、コーヒー、スープ等はホット充填、すなわち85〜90℃で充填される。このうち、お茶、コーヒー、スープは60℃程度に加温されて販売される場合も多い。
【0003】
プラスチック容器、特にPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)ボトルは、清涼飲料、炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、高果汁飲料、お茶、コーヒー等の飲料容器として実用化されていることは周知のとおりであり、上記の何れかの充填方法により中身が充填されている。
【0004】
ところでPETボトルは、中身の酸化のし易さから全ての飲料に対して充分な酸素ガスバリア性を持ち合わせているとはいえない。そこでDLC膜をプラスチック容器の内面にコーティングして特に炭酸飲料や高果汁飲料容器としてガスバリア性を付与し、香気成分の収着を防止すべく、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長)法を用いた蒸着装置とDLC膜コーティングプラスチック容器が開示されている(例えば特許文献1、2を参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−53117号公報
【特許文献2】
特開平8−53116号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ホット充填ではプラスチック容器がPETボトルであれば、樹脂のガラス転移点よりも高温にて中身が充填される。PETボトルはブロー成形により成形されるが、PETのガラス転移点(63〜78℃)よりも高温にさらされると若干収縮する。
【0007】
特許文献1、2に開示されたDLC膜コーティングプラスチック容器において、DLC膜とプラスチックの弾性係数及び熱膨張係数は当然異なり、さらにガラス転移点以上のPETボトルで生ずる収縮はDLC膜では生じない。
【0008】
本発明者らが容器への充填を検討した際に、上記充填方法のうち、特にプラスチック容器に対してDLC膜の伸縮追随性が要求されるホット充填のケース(加熱によりプラスチックが収縮してしまう充填法)について、DLC膜にマイクロクラックが生ずることがわかった。
【0009】
そこで、本発明者らは上記ケースを含むあらゆる充填方法を行っても、DLC膜のマイクロクラックを発生させず、併せてプラスチック容器にガスバリア性を付与できるかを鋭意検討した結果、DLC膜を水素原子高含有組成の第1層とその上に形成した第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とから構成することで、第1層にプラスチックの収縮に追随し得る機能を持たせ且つ第2層にガスバリア性の機能を持たせ、さらに第1層を第2層に対して傾斜組成とすることで第1層と第2層との境界における応力集中、マイクロクラックを防止したDLC膜コーティングプラスチック容器が上記のいずれの充填方法、特にホット充填に対応可能なプラスチック容器となることを見出した。すなわち、この容器において水素原子高含有組成の第1層は、プラスチック素材との密着性が高く、また比較的柔軟でプラスチックの収縮に追随し、第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層は、比較的硬質で13nm以上の膜厚があればガスバリア性を発揮する。第1層は第2層に対して傾斜組成とするとマイクロクラックも生じない。
【0010】
一方、本技術を市場ニーズに合致した実用的なものとするためには、ブロー成形機などのプラスチック容器製造ライン等の他装置と同オーダーの量産速度(数百本/分程度)を低コストで信頼性高く実現する必要がある。このためには1本の総プロセス時間を数秒以内に抑える必要があり、前記第1層の成膜時間は1秒〜数秒程度以下、出来るだけ短くする必要がある。
【0011】
そこで本発明の目的は、特にホット充填に対応可能な上記2層構造のDLC膜をコーティングしたプラスチック容器を簡易でできるだけ短時間に製造する方法を提供することである。すなわち、実際の成膜圧力の高低によって膜中の水素原子含有率が制御でき、成膜圧力が高ければDLC膜は水素原子高含有組成となり、成膜圧力が低ければDLC膜は水素原子低含有組成となる。また、設定到達圧力下でプラスチック容器の内部に原料ガスを供給開始する際、バリア膜の膜質を良くするためのガス置換促進のために初期の原料ガス流量を意図的に多くすることを行なうが、この初期ガスの供給により容器の内圧が高くなり、そして排気と原料ガス供給量のバランスにより設定成膜圧力まで再度減圧されるという容器内圧プロファイルが生じる。これらを利用して、成膜圧力が高いときに第1層を形成して設定成膜圧力となったところで、第2層を引き続き形成することで、2層構造のDLC膜コーティングプラスチック容器を容易に製造する方法を提供することを目的とする。すなわち、「ガス置換」と「傾斜膜成膜」の両方を同時に行なうことにより、ガス置換にかかる時間に傾斜膜の成膜も並行して行ない、時間短縮することができる。このガス置換は流量調節器と原料供給バルブの配置関係と動作の工夫により、たとえば1秒以下のきわめて短時間に行なうことができる。このとき、容器内圧プロファイルのうち、内圧が上昇中のタイミング、内圧が最も高いところでのタイミング又は内圧が再度減圧するタイミングがあるため、この3つのタイミングを利用した2層構造のDLC膜コーティングプラスチック容器を短時間に容易に低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0012】
さらに本発明の目的は、少なくとも原料ガス発生源、ガス流量制御手段、供給オン−オフを可能とする原料供給バルブの順に配列したガス系統により原料ガスの供給を行ない、原料ガスの供給開始時の初期ガスの供給とともに上昇させるプラスチック容器の内圧の上昇量を、ガス流量制御手段から原料供給バルブ間に滞留する原料ガス量又はガス流量制御手段の背圧の少なくともいずれか一方によって制御することで、前記容器内圧プロファイルを最適なものとし、不純物の混入が少ないDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法を提供することである。
【0013】
さらに本発明の目的は、原料ガス置換を充分に行ない、原料置換後、供給する原料ガスを初期は多めに供給しその後供給量を減らすように供給する原料ガス量を制御して所望の容器内圧プロファイルを実現することで、前記容器内圧プロファイルを最適なものとし、不純物の混入がほとんどなく再現性に優れたDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法を提供することである。
【0014】
プラズマエネルギー源としては高周波出力又はマイクロ波出力を挙げることができるが、本発明の目的はプラズマエネルギーとして高周波を選択し、容器壁面に自己バイアス電圧を生じさせることで、ガスバリア性を有する緻密なDLC膜を形成することを目的とする。
【0015】
なおガスバリア性の機能とは未コーティング容器と比較して概ね5倍以上のガスバリア性の確保を目指すこととする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段は次のとおりである。すなわち、本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法は、プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、排気を継続しながら前記プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスをガス流量制御手段にて一定流量供給開始し、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることが好ましい。
【0018】
また本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間でほぼ最高内圧となったときに一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることが好ましい。
【0019】
また本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることが好ましい。
【0020】
さらに本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記原料ガスの前記プラスチック容器の内部までの供給は、原料ガス発生源から発生させた前記原料ガスをガス流量制御手段により流量制御し、さらに前記ガス流量制御手段により流量制御された原料ガスを原料供給バルブで供給オン−オフを可能としたガス系統により行ない、且つ前記ガス流量制御手段から前記原料供給バルブ間に滞留する原料ガス量又は前記ガス流量制御手段の背圧の少なくともいずれか一方によって供給開始初期の原料ガス流入量を調節して、前記原料ガスの供給開始とともに上昇させる前記プラスチック容器の内圧の上昇量を制御することが好ましい。
【0021】
ここで本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、プラスチック容器の内圧の前記上昇量の制御は、前記原料ガスの供給開始による上昇量をもって行ない、排気量の調節を用いないことが好ましい。
【0022】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法は、プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、排気を継続しながら前記プラスチック容器の内部に所定流量の炭素源ガスを含む原料ガスを供給して前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させるとともに前記プラスチック容器の内部をガス置換するガス置換工程、前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも少量のガス流量に設定した後、排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とする。
【0023】
また本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法は、プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、前記プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスを設定成膜圧力で一定流量流している状態に安定化させて前記プラスチック容器の内部を前記原料ガスでガス置換するガス置換工程、前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも多量のガス流量に設定して前記プラスチック容器の内圧を前記設定成膜圧力よりも上昇させて所定時間経過後に前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量に再度設定して内圧上昇を停止させてさらに前記設定成膜圧力まで再び減圧させ、且つ前記内圧上昇が停止したときに一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させ、水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とする。
【0024】
さらに本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記プラスチック容器の内部に口部から内部電極を挿入し、前記プラスチック容器の外側に外部電極を配置した後、前記外部電極に高周波電力を供給して前記原料ガスをプラズマ化することが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態及び実施例を挙げて詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
【0026】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造する方法を説明するに際して、この製造方法を使用することが可能な製造装置の一態様について先ずに説明する。本発明の製造方法は原料ガスをプラズマ化させるプラズマCVD法を用いるため、そのエネルギー源として高周波又はマイクロ波を用いることができる。
【0027】
高周波プラズマCVD法による装置の一形態を図1に示し、それに基づいて説明する。高周波プラズマCVD成膜装置100は、外部電極3と、内部電極9と、原料ガス供給手段26と、マッチングユニット10と、高周波電源11とを具備する。
【0028】
外部電極3は、導電性の蓋部5及び絶縁部材4とともにチャンバー6を構成する。蓋部5の下には絶縁部材4が配置されており、この絶縁部材4の下には外部電極3が配置されている。この外部電極3は、上部外部電極2と下部外部電極1からなり、上部外部電極2の下部に下部外部電極1の上部がOリング8を介して着脱自在に取りつけられるよう構成されている。また、外部電極3は絶縁部材4によって蓋部5と絶縁されている。
【0029】
CVD成膜装置100はプラスチック容器1本用成膜装置について説明しているが、複数のプラスチック容器の内面に同時にDLC膜を成膜する場合についてもチャンバー6及び内部電極9等を並列に配置することで適用することができる。
【0030】
なお、本実施形態では外部電極3を下部外部電極1と上部外部電極2の2つに分割しているが、DLC膜の膜厚等の均一化を図るため、外部電極を例えば底部電極、胴部電極及び肩部電極のように3つ、あるいはそれ以上に分割し、各電極は例えばOリング等を挟んでシール性を確保しつつ、フッ化樹脂シートやポリイミドフィルムで電気的に絶縁しても良い。
【0031】
外部電極3の内部には空間が形成されており、この空間はコーティング対象のプラスチック容器、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器であるPETボトル7を収容するためのものである。外部電極3内の空間は、そこに収容されるPETボトル7の外形よりも僅かに大きくなるように形成されている。絶縁部材4及び蓋部5には、外部電極内の空間につながる開口部が設けられている。また、蓋部5の内部には空間が設けられており、この空間は上記開口部を介して外部電極3内の空間につながっている。外部電極3内の空間は、上部外部電極2と下部外部電極1の間に配置されたOリング8によって外部から密閉されている。
【0032】
インピーダンス整合器(マッチングユニット)10は、下部外部電極1に接続されている。さらに、マッチングユニット10は同軸ケーブルを介して高周波電源( RF電源)11に接続されている。
【0033】
高周波電源は、プラスチック容器内で原料ガスをプラズマ化するためのエネルギーである高周波を発生させるものである。高周波電源の周波数は、100kHz〜1000MHzであるが、例えば、工業用周波数である13.56MHzのものを使用する。
【0034】
内部電極9は、外部電極3内に配置され、かつPETボトル7の内部に配置される。すなわち、蓋部5の上部から蓋部5内の空間、蓋部5と絶縁部材4の開口部を通して、外部電極3内の空間に内部電極9が差し込まれている。一方、内部電極9の先端9aは外部電極3内の空間であって外部電極3内に収容されたPETボトル7の内部に配置される。内部電極9は、その内部が中空からなる管形状を有している。内部電極9の先端にはガス吹き出し口9aが設けられている。なお、内部電極9は蓋部5を介してグランドに接地されている。
【0035】
原料ガス供給手段26は、PETボトル7の内部に原料ガス発生源25から供給される原料ガスを導入する。すなわち、内部電極9の基端には、配管20の一方側が接続されており、この配管20の他方側は原料供給バルブ21に接続され、原料供給バルブ21の他方側には配管22の一方側が接続され、配管22の他方側にはマスフローコントローラー23の一方側が接続されている。マスフローコントローラー23の他方側は配管24を介して原料ガス発生源25に接続されている。原料ガス発生源25は原料ガスを発生させるものである。
【0036】
原料ガスを構成する炭素源ガスとしては、常温で気体又は液体の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類などが使用される。例えば(1)メタン系として、メタンCH、エタンC2H6、プロパンC3H6、ブタンC4H10、(2)エチレン系としてエチレンC2H4、プロピレンC3H6、ブチレンC4H8(3つの異性体)、(3)アセチレン系としてアセチレンC2H2、メチルアセチレンC3H4、エチルアセチレン(C4H6)、(4)その他としてノルマルヘキサンC6H14、シクロヘキサンC6H12、(5)芳香族としてベンゼンC6H6、トルエンC6H5CH3、キシレンC6H4(CH32が例示できる。特に炭素数が6以上のベンゼン,トルエン,o-キシレン,m-キシレン,p-キシレン,シクロヘキサン等が望ましい。ただし食品等の容器に使用する場合には、衛生上の観点から脂肪族炭化水素類、特にメタン系炭化水素、エチレン系炭化水素、アセチレン系炭化水素が好ましい。これらの炭素源ガスは、原料ガスとして単独で用いても良いが、2種以上の混合ガスとして使用するようにしても良い。さらにこれらのガスをアルゴンやヘリウムの様な希ガスで希釈して用いる様にしても良い。また、ケイ素含有DLC膜を成膜する場合には、Si含有炭化水素系ガスを使用する。
【0037】
本発明でいうDLC膜とは、iカーボン膜又は水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H) と呼ばれる膜のことであり、硬質炭素膜、ポリマーライクカーボンも含む水素含有率が0〜67%の炭素膜をいう。またDLC膜はアモルファス状の炭素膜であり、SP結合も有する。このDLC膜を成膜する原料ガスとしては炭化水素系ガス、例えばアセチレンガスを用い、Si含有DLC膜を成膜する原料ガスとしてはSi含有炭化水素系ガスを用いる。このようなDLC膜をプラスチック容器の内表面に形成することにより、炭酸飲料や発泡飲料等の容器としてワンウェイ若しくはリターナブルに使用可能な容器を得る。
【0038】
蓋部5内の空間は真空計13が設置された配管12の一方側に接続されており、配管12の他方側は真空バルブ14の一方側が接続され、真空バルブ14の他方側には配管15の一方側が接続され、配管15の他方側には真空ポンプ16に接続されている。この真空ポンプ16はダクト排気17に接続されている。
【0039】
本発明のプラスチック容器を成形する際に使用する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂(ポリエステルのアルコール成分にエチレングリコールの代わりに、シクロヘキサンディメタノールを使用したコポリマーをPETGと呼んでいる、イーストマン製)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、を例示することができる。この中で、PETが特に好ましい。
【0040】
次に、図1に示す高周波プラズマCVD成膜装置100を用いて容器の内部にDLC膜を成膜する方法について説明する。
【0041】
(第1の実施の形態)
(PETボトルの設置)
まず、真空バルブ(不図示)を開いてチャンバー6内を大気開放する。これにより、空気が蓋部5内の空間、外部電極3内の空間に入り、チャンバー6内が大気圧にされる。次に、外部電極3の下部外部電極1を上部外部電極2から取り外し、上部外部電極2の下側から上部外部電極2内の空間にPETボトル7を差込み、設置する。この際、内部電極9はPETボトル7内に挿入された状態になる。次に、下部外部電極1を上部外部電極2の下部に装着し、外部電極3はOリング8によって密閉される。
【0042】
(真空排気工程)
この後、真空バルブ(不図示)を閉じた後、真空バルブ14を開き、真空ポンプ16を作動させる。これにより、PETボトル7内を含むチャンバー6内が配管12を通して排気され、チャンバー6内が真空となる。このときのチャンバー6内の真空圧力は10- 〜10- Torr(1.33〜13.3Pa)であり、この真空圧力を設定到達圧力とする。この段階まで原料供給バルブ21は閉としている。
【0043】
(第1層成膜工程)
次に排気を継続しながら原料供給バルブ21を開き、原料ガス発生源25において原料ガス、例えばアセチレンを発生させ、この原料ガスを配管20内に導入する。マスフローコントローラー23によって流量制御された原料ガスを配管20及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。原料ガス供給量は例えば50sccmとする。これにより原料ガスがPETボトル7内に導入される。このとき、原料ガスの供給開始とともに、PETボトル7の内圧を設定成膜圧力、例えば0.05〜0.5Torr(6.65〜66.5Pa)以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い設定成膜圧力まで再び減圧させる。この圧力上昇はガス制御手段23と原料供給バルブ13間に滞留する原料ガスがガス供給開始初期に流入することにより生ずる。この間は凡そ0.1〜0.3秒である。そして設定成膜圧力以上に上昇させさらに設定成膜圧力まで再び減圧する間のいずれかのときに、外部電極3にマッチングユニット10を介して高周波電源(RF電源)11からRF出力(例えば13.56MHz)を供給する。高周波の供給電力を例えば300〜500Wの一定出力とする。これにより、外部電極3と内部電極9間にプラズマを着火させる。このとき、マッチングユニット10は、外部電極と内部電極間の放電インピーダンスに、インダクタンスL、キャパシタンスCによって第2層成膜時にもっとも反射電力が少なくなるように合わせている。これによって、PETボトル7内で原料ガス系プラズマが発生するが、初期の放電インピーダンスは、第2層成膜時のそれと大きく異なるため、不整合が生じて反射電力が多くなり、プラズマへの有効入力電力は小さくなる。その後インピーダンスが第2層成膜時に近づくため反射電力が減り、有効入力電力は次第に出力値に近づいていく。前記の圧力が上昇し減圧することによる効果と、この有効入力電力が小電力から大きくなる効果により、PETボトル7プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成の第1層としてのDLC膜が成膜される。このときの成膜時間は0.1〜1秒程度、長くても数秒程度と短いものとなる。第1層の膜厚は例えば2〜6nmとする。この第1層はホット充填の際の容器収縮に対するDLC膜の追随性を持たせ、密着性を向上させるため、水素原子高含有組成とする。これは、圧力が高いことと、電力が小さいため、膜に入射するイオンのエネルギーが低いことを利用している。
【0044】
第1層成膜工程において、高周波出力の開始のタイミングは大きく分類して3種類ある。先ず第1のタイミングとして、PETボトル7の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させる間に高周波出力の開始を行なう方法である。内圧が上昇し次に再び設定成膜圧力まで戻る間に、第1層の水素原子含有率は次のように変わる。すなわち、プラスチック表面を起点として膜の厚さ方向に向かうにつれて、水素原子低含有組成、水素原子高含有組成、水素原子低含有組成と変化する。第1層には水素原子低含有組成が含まれるが第2層と比較すると相対的に水素原子高含有組成であり、第1層は柔軟な膜で且つ組成も傾斜組成となっているためプラスチック容器との密着性に優れる。また、第2層の水素原子低含有組成部分がガスバリア性を発揮することに加えて、第1層の水素原子低含有組成部分も少なからずガスバリア性を発揮するため、3つのタイミングのうち第1層の成膜時間が最も長く、膜厚が厚くなる本方法はガスバリア性が最も高い。
【0045】
第2のタイミングとして、PETボトル7の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い設定成膜圧力まで再び減圧させる間でほぼ最高内圧となったときに高周波出力の開始を行なう方法である。この方法では第1層の水素原子含有率は次のように変わる。すなわち、プラスチック表面を起点として膜の厚さ方向に向かうにつれて、水素原子高含有組成、水素原子低含有組成と変化する。第2層の組成まで考慮しても、DLC膜全体でプラスチック表面を起点として膜の厚さ方向に向かうにつれて、なめらかに水素原子高含有組成、水素原子低含有組成と変化する。このため、第1層は第1のタイミングの場合と比較して基板直上に水素原子低含有組成がないことからさらに柔軟な膜で且つ組成も傾斜組成となっているため3つのタイミングの方法のうちプラスチック容器との密着性に最も優れる。
【0046】
第3のタイミングとして、PETボトル7の内圧を排気の継続に伴い設定成膜圧力まで再び減圧させる間に高周波出力の開始を行なう方法である。この方法では第1層の水素原子含有率は次のように変わる。すなわち、プラスチック表面を起点として膜の厚さ方向に向かうにつれて、水素原子高含有組成、水素原子低含有組成と変化する。組成の変化の様子は第2のタイミングの場合と類似するが、第2のタイミングの場合と比較してプラスチック容器の内表面直上の水素原子含有率がわずかに低い。第2のタイミングに次いで密着性が良好である。放電時間を短縮できるという特徴をもつ。
【0047】
原料ガスのPETボトル7の内部までの供給は、原料ガス発生源25から発生させた原料ガスをマスフローコントローラー23(ガス流量制御手段)により流量制御し、さらにマスフローコントローラー23により流量制御された原料ガスを原料供給バルブ21で供給オン−オフを可能としたガス系統により行ない、マスフローコントローラー23から原料供給バルブ21間に滞留する原料ガス量又はマスフローコントローラー23の背圧の少なくともいずれか一方によって供給開始初期の原料ガス流入量、すなわち供給開始とともに上昇させるPETボトル7の内圧の上昇量を制御することが好ましい。例えば、マスフローコントローラー23から原料供給バルブ21間の配管の長さを大きく採るか或いはこれらの間に例えば0.5〜200cc容量の原料ガスの保管空間を設けることで、PETボトル7の内圧の上昇量を大きくすることができる。PETボトル7の内圧の上昇量を大きくすると水素原子含有率がより高くなり、ガスバリア性の機能は乏しいがより柔軟性がある第1層を形成することができる。一方、マスフローコントローラー23から原料供給バルブ21間の配管の長さを短くし、原料ガスの保管空間を設けなければ、PETボトル7の内圧の上昇量を小さくすることができる。PETボトル7の内圧の上昇量を小さくすると水素原子含有率が低くなり(ただし、第2層の水素原子含有率よりは高い)、ガスバリア性の機能が多少あり柔軟性がやや乏しい第1層を形成することができる。またマスフローコントローラー23の背圧を高く設定すると上昇量を大きくでき、低く設定すると上昇量を小さく制御できる。初期流入ガスの制御は、たとえば以下のように行なう。マスフローコントローラー23と原料供給バルブ21の間の配管22に、成膜前のアイドリング時間にあらかじめマスフローコントローラー23を通して一定量の原料ガスを供給する設定としておくことにより、配管22内の圧力をマスフローコントローラー23の背圧と同じ圧力になるようにガスを滞留させておく。同じ圧力になると、マスフローコントローラー23はいかなる供給量に設定してあってもそれ以上ガスを流すことはできなくなり、配管22内が安定に保たれた状態になる。この状態で、いったんマスフローコントローラー23に強制バルブ閉の信号を送り、マスフローコントローラー23内の可変流量バルブ(図示せず)を全閉の状態にする。次に排気を継続しながら原料供給バルブ21を開き、同時にマスフローコントローラー23の強制バルブ閉の信号を解除し、流量を成膜設定流量とする制御を開始する。このようにすると、まず配管22に滞留したガスが配管20を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。これが、初期にPETボトル7内に流入するガスである。そして引き続き徐々にマスフローコントローラー23の流量が増加し、高速応答のマスフローコントローラーであれば、1秒以内、たとえば0.2秒程度で設定成膜流量に制御される。
【0048】
なお、原料ガス供給の初期には、第2層バリヤ膜の膜質を良くするために必要なガス置換促進を行なうことが好ましいため、意図的に供給開始初期の原料ガス流入量を多くすることが好ましい。ちなみにガス置換が必要なガスは大気(酸素と窒素)とPETボトル7内面に吸着している水分である。
【0049】
本実施例では真空ポンプ16は一定排気速度で運転しており、真空バルブ14の開度も原料ガスを供給している間変化させないので、排気速度は一定である。一方、ガス置換促進のための供給開始初期の原料ガス流入量を第2層の設定成膜流量より多く設定することにより、PETボトル7の内圧は、設定成膜圧力、たとえば0.05〜0.5Torr(6.65〜66.5Pa)以上に上昇させ、たとえば0.2〜1.0Torr(26.6〜133Pa)程度とし、置換終了後、排気の継続とマスフローコントローラー23で制御された設定成膜流量、たとえば50sccmとが均衡する事により第2層の設定成膜圧力まで再び減圧し安定化させることができる。この動作はマスフローコントローラー23と原料ガス供給バルブ21を用いた簡単な構成で、その配置と運転条件を制御することにより非常に短い時間に行なうことができ、たとえば凡そ0.1〜0.5秒である。すなわちプラスチック容器の内圧の上昇量の制御は、原料ガスの供給開始による上昇量をもって行ない、排気量の調節を用いないことが好ましい。もし同様の圧力上昇動作を真空ポンプ16の排気速度の変更、あるいは真空バルブ14の開度調整で行なうとすると、どちらも高価な装置で難しい高速制御が必要で量産装置への応用には非常に不都合となる。このガス置換のための原料ガス供給時に、同時に、密着性の向上のための第1層の成膜を行なうことにより、第1層の成膜にかかる余分な時間を減らすことができる。もちろん、第1層の成膜に、たとえばガス置換のために必要なガス圧の変化よりも大きな圧力や長い時間が必要な場合には、それに合わせた初期ガス供給量を流せばよく、ガス置換の条件にとらわれる必要はない。
【0050】
(第2層成膜工程)
原料ガスをプラズマ化させたままの状態で設定成膜圧力を保持しながら第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する。第1層は成膜圧力の変化に応じて傾斜組成になっており、第1層成膜工程の終了時の成膜圧力と第2層成膜工程の開始時の成膜圧力は同一であるため、第1層と第2層との境界において組成、膜応力の相違は生じない。第2層の膜厚は応力を考慮して13〜200nmとすることができるが、ガスバリア性と密着性を考慮すると13〜38nmの厚さとすることが特に好ましい。13nm未満の厚さではガスバリア性が充分に上がらず、38nmを超える厚さでは膜の内部応力によりマイクロクラックが生ずる可能性がある。
【0051】
DLC膜の膜厚は例えば0.003〜0.2μmとなるように形成しても良いが、ガスバリア性、生産性、膜中の残留応力、密着性の観点から15〜40nmとすることが好ましい。
【0052】
(成膜終了)
次に、高周波電源11からのRF出力を停止し、原料供給バルブ21を閉じて原料ガスの供給を停止する。この後、PETボトル7内の原料ガスを真空ポンプ16によって排気する。その後、真空バルブ14を閉じ、真空ポンプ16を停止する。このときのチャンバー6内の圧力は10- 〜10- Torr(1.33〜13.3Pa)である。この後、真空バルブ(不図示)を開いてチャンバー6内を大気開放し、前述した成膜方法を繰り返すことにより、次のPETボトル内に第1層と第2層からなるDLC膜が成膜される。
【0053】
(第2の実施形態)
PETボトルの設置、真空排気工程及び第2層成膜工程は第1の実施形態と同一である。
【0054】
(ガス置換工程)
次に排気を継続しながら原料供給バルブ21を開き、原料ガス発生源25において原料ガス、例えばアセチレンを発生させ、この原料ガスを配管20内に導入する。マスフローコントローラー23によって流量制御された原料ガスを配管20及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。原料ガス供給量は例えば100sccmとする。これにより原料ガスがPETボトル7内に導入される。そしてPETボトル7内は、所定時間、例えば0.1〜1秒間、原料ガスの供給と残存ガスの排気が同時に行なわれ、原料ガスによりPETボトル7内を充満するように置換される。ガス置換は膜中の不純物を除くために行う。原料ガスの供給によりPETボトル7の内圧は設定成膜圧力、例えば0.05〜0.5Torr(6.65〜66.5Pa)以上に上昇させる。
【0055】
(第1層成膜工程)
ガス置換を行った後、早期に設定成膜圧力に戻すためにガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも少量のガス流量、例えば50sccmとした後、排気の継続に伴い設定成膜圧力まで再び減圧させる間に、外部電極3にマッチングユニット10を介して高周波電源(RF電源)11からRF出力(例えば13.56MHz)を供給する。高周波の供給電力を例えば300〜500Wの一定出力とする。これにより、外部電極3と内部電極9間にプラズマを着火させる。このとき、マッチングユニット10は、外部電極と内部電極間の放電インピーダンスに、インダクタンスL、キャパシタンスCによって第2層成膜時にもっとも反射電力が少なくなるように合わせている。これによって、PETボトル7内で原料ガス系プラズマが発生し、PETボトル7プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する。このときの成膜時間は0.1〜1秒程度、長くても数秒程度と短いものとなる。第1層の膜厚は例えば2〜6nmとする。この第1層はホット充填の際の容器収縮に対するDLC膜の追随性を持たせ、密着性を向上させるため、水素原子高含有組成とする。第2の実施の形態においては、原料ガスのガス流量を制御することにより意図的に設定成膜圧力よりも高い圧力とし且つガス置換を充分に行なうことで膜中の不純物を少なくすることができる。
【0056】
(第3の実施形態)
PETボトルの設置、真空排気工程及び第2層成膜工程は第1の実施形態と同一である。
【0057】
(ガス置換工程)
排気を継続しながら原料供給バルブ21を開き、原料ガス発生源25において原料ガス、例えばアセチレンを発生させ、この原料ガスを配管20内に導入する。マスフローコントローラー23によって流量制御された原料ガスを配管20及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。原料ガス供給量は例えば50sccmとする。これにより原料ガスがPETボトル7内に導入される。そしてPETボトル7内は、所定時間、例えば0.1〜1秒間、原料ガスの供給と残存ガスの排気が同時に行なわれ、原料ガスによりPETボトル7内を充満するように置換される。置換すると同時に容器内をDLC膜の設定成膜圧力、例えば0.05〜0.5Torr(6.65〜66.5Pa)程度に調整する。すなわち、プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスを設定成膜圧力下で一定流量、例えば50sccmを流している状態に安定化させてプラスチック容器の内部を原料ガスでガス置換するガス置換工程が行なわれる。ここでガス置換は膜中の不純物を除くために行う。
【0058】
(第1層成膜工程)
強制的に容器の内圧を圧力上昇させるためにガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも多量のガス流量、例えば100sccmに設定してPETボトル7の内圧を設定成膜圧力よりも上昇させる。さらに所定時間、例えば0.1〜1秒経過後に、設定成膜圧力に戻すためにガス置換工程における原料ガスのガス流量に再度に設定する。これによりプラスチック容器の内圧の上昇が止まり、設定成膜圧力まで再び減圧することとなる。そして、プラスチック容器の内圧の上昇が止まり、最高内圧となったところで、外部電極3にマッチングユニット10を介して高周波電源(RF電源)11からRF出力(例えば13.56MHz)を供給する。高周波の供給電力を例えば300〜500Wの一定出力とする。これにより、外部電極3と内部電極9間にプラズマを着火させる。このとき、マッチングユニット10は、外部電極と内部電極間の放電インピーダンスに、インダクタンスL、キャパシタンスCによって第2層成膜時にもっとも反射電力が少なくなるように合わせている。これによって、PETボトル7内で原料ガス系プラズマが発生し、PETボトル7プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜が第1層として形成される。このときの成膜時間は0.1〜1秒程度、長くても数秒程度と短いものとなる。第1層の膜厚は例えば2〜6nmとする。この第1層はホット充填の際の容器収縮に対するDLC膜の追随性を持たせ、密着性を向上させるため、水素原子高含有組成とする。実施の形態3については、ガス置換工程を経た後、原料ガスのガス流量を制御することにより再現性が極めて高く、且つガス置換を充分に行なうことで膜中の不純物をほとんどなくすことができる。
【0059】
本発明において、プラズマ放電中の圧力は0.05〜0.50Torr(6.65〜66.5Pa)にすることが好ましい。0.05Torr未満の場合は、放電しにくく、0.60Torrを超えると内部電極の管内で放電が生じてプラズマ放電が不安定となるからである。第1層成膜工程における最大圧力(圧力上昇のトップ圧力)は設定成膜圧力以上1.0 Torr(133Pa)以下にすることが好ましい。1.0 Torr以下とするのはその後に設定成膜圧力に戻す時間が必要以上にかかるからである。第1層成膜中の圧力は第2層成膜圧力よりも高く且つ0.5Torr(66.5Pa)以下とすることが好ましい。第1層成膜工程においてバルブ開後設定成膜圧力以上に内圧を上昇させるときに、放電インピーダンスが第2層成膜時(インピーダンスマッチングは第2層成膜時の放電インピーダンスに対して整合を取っている)と異なるため、反射電力が大きくなり、したがって有効にプラズマに入射する電力が小さくなる。このため膜に入射するイオンエネルギーが低くなり、水素含有量が多く、密着性が高く、柔軟な膜が形成されるためである。プラズマ着火時スイッチオンの圧力は0.2〜0.5 Torr(26.6〜66.5Pa)が好ましい。同様に放電安定領域圧力内で第1層の水素原子含有率を高くして柔軟な膜質とするためである。第2層成膜中の圧力(設定成膜圧力)は0.05〜0.2 Torr(6.65〜26.6Pa)とすることが好ましい。第1層よりも水素原子含有率を少なくして硬質膜を形成してガスバリア性を付与するためである。本発明はホット充填時のボトル収縮に耐え得る追随性及びガスバリア性を有するDLC膜を成膜するために、最適な容器内圧プロファイルとその圧力範囲を見出したものである。したがって、成膜初期に高内圧で成膜し、その後低内圧で成膜するという内圧の圧力差を設けるという制御では、本発明が求めるDLC膜のボトル収縮追随性とガスバリア性を得るためには不充分である。
【0060】
第1、第2、第3の実施の形態において、排気量は一定として容器の内圧をマスフローコントローラーの背圧若しくはマスフローコントローラーと原料供給バルブとの間の配管22の容積若しくは供給する原料ガス流量で所望の容器内圧プロファイルを得るものである。したがって排気量の制御を行なわないため、装置が簡素で且つ内圧の応答性が良い。
【0061】
第1、第2、第3の実施の形態において、本発明では原料ガスをプラズマ化させる手段として高周波電源のみならず、マイクロ波電源を用いても良い。マイクロ波として例えば、2.45GHzを供給する。マイクロ波をプラズマエネルギー供給源とするため、容器内部にマイクロ波を供給すること及び内部電極は不要となること等の用いる装置上の違いはあるが、製法としては高周波電源を用いる場合と共通である。
【0062】
さらに容器外壁近傍に磁石を設置して磁場型プラズマCVD法によりDLC膜を成膜しても良い。
【0063】
また実施形態では、内部に薄膜を成膜する容器として飲料用のPETボトルを用いているが、他の用途に使用される容器を用いることも可能である。
【0064】
本発明では、要求される装置の能力により成膜チャンバー数、高周波電源数等構成部品数を適宜変更しても良い。
【0065】
次に第1層と第2層とから構成されるDLC膜コーティングプラスチック容器について説明する。本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器は、プラスチック容器の内表面にDLC膜をコーティングしたものである。ここで、DLC膜は、内表面上に形成した水素原子高含有組成の第1層と第1層上に形成した第1層よりも相対的に水素原子低含有組成の第2層とからなる。第2層は少なくとも13nm以上の膜厚とすることが好ましい。DLCの水素原子含有率は、理論的に0〜67原子%をとり得る。67原子%のときはエチレンポリマーに近い。
【0066】
本発明者らの経験によれば水素原子含有率が小さいDLC膜は硬く、内部応力が大きく、ガスバリア性も高い。一方、水素原子含有率が大きいとDLC膜は相対的に柔軟になり、内部応力が小さく、ガスバリア性は低い。本発明において第1層を水素原子高含有組成としたのは柔軟で膜内の内部応力を小さくすることでプラスチックの収縮に追随することを可能として膜の密着性を高める為である。ここで、水素原子高含有組成とは67水素原子%に近いという意味ではなく、第2層の水素原子含有率との比較で相対的に高いということを意味する。一方、第2層の水素原子低含有組成の意味するところは同様に第1層の水素原子含有率との比較で相対的に低いことを意味するが、第2層を水素原子低含有組成とするのはガスバリア性を確保する為であり、第2層の水素原子含有率を42原子%以上48原子%以下とすることが好ましい。したがって第2層の膜厚は前述したとおり、ガスバリア性の確保の観点から13〜38nmとすることが特に好ましい。また第1層の膜厚は密着性と成膜時間短縮の観点から2〜6nmとすることが好ましい。ここでの密着性とは充填後の加熱によるプラスチックの収縮に対してのDLC膜の密着性をいう。
【0067】
第2層に接する第1層の部分を傾斜組成とするのは、第1層と第2層との間の特性の違いを緩和させる為である。本発明では成膜圧力を制御することにより容易に傾斜組成とすることが出来る。
【0068】
中身の充填方法によらず使用できる容器を製造する観点から、第1層と第2層との関係により性質が異なるDLC膜を次のようにとらえて、このDLC膜を成膜するための成膜圧力条件を適宜調整する。すなわち、DLC膜コーティングプラスチック容器を90℃熱水下で10分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下におく。このとき、プラスチックはガラス転移点を超えて加温される為、1〜2%の収縮が発生する。このように加熱によるプラスチックの収縮条件下におかれたDLC膜を条件1のJISK5400の碁盤目テープ法によって剥離が生じないように第1層と第2層との関係を決めることである。このとき特にホット充填向け容器として好ましい。条件1として、切り傷の隙間は1mm、ます目の数は100とする。
【0069】
またDLC膜を次のようにとらえても良い。すなわち、同様の加熱によるプラスチックの収縮条件下におかれたDLC膜を条件2の加重式引掻き法において垂直加重が1.8mN以上の密着強度を有するように第1層と第2層との関係を決めることである。このときも特にホット充填向け容器として好ましい。条件2として、試験機は株式会社島津製作所製島津走査型スクラッチテスタSST-101、引掻き針はダイヤモンドで曲率半径15μm、負荷速度は1μm/s、振幅10μm、送り速度は2μm/s、垂直加重は膜が剥れ始めたときの引掻針にかかる加重とする。容器内側胴部に形成したDLC膜を測定する。
【0070】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器は、ホット充填向け容器とする場合には特に第1層の水素原子含有率は50原子%以上60水素原子%以下、第2層の水素原子含有率は42原子%以上48原子%以下、好ましくは42原子%上46原子%以下とすることが好ましい。第1層の水素原子含有率を50原子%以上60水素原子%以下とするのは、プラスチックの収縮により膜に内部応力がかかるため、第1層の形成時には膜中に内部応力を極力残留させない方が良いこと及び膜の柔軟性を与えた方がプラスチックの収縮に追随できるからである。
【0071】
【実施例】
プラスチック容器はPETボトルとした。PETボトルの高さは207mm、肉厚0.3mm、容器容量は500ml、内表面積は400cm2とした。加熱処理を行なう場合のボトル形状は図2(a)の容器(耐熱丸型)を用いた。なお、加熱処理を行なう場合において、図2(b)の容器(耐熱角型)のPETボトルも使用することができる。図2(a)の容器(耐熱丸型)及び図2(b)の容器(耐熱角型)のPETボトルは、減圧吸収面或いはパネルを有する。炭酸用容器は炭酸ガスの内圧があるので、円筒円錐形の形状をしているが、耐熱容器はその胴部に一部凹凸部がある。80〜95℃程度の温度で処理された内容物をその温度を保有した状態で容器内に充填、密封して商品として出荷される場合、内容物が常温まで冷却されると容器内が減圧され容器自体の形状変化が避けられない。この凹凸部を有する胴部等の壁面を減圧吸収面或いはパネルという。図2(a)(b)の各容器の特性を表1にまとめた。
【表1】

Figure 0003970169
【0072】
(実施例1)
図1に示す高周波を外部電極に印加する高周波プラズマCVD法でDLC膜を成膜する。原料ガスとして高純度アセチレンを用いる。チャンバーとプラスチック容器の残存空気ガスを排気してプラスチック容器内の真空圧力を0.05Torr(6.65Pa)まで減圧した後、排気を継続しながら原料供給バルブ21を開いてプラスチック容器7内へ原料ガスを導入する。原料ガス流量は50sccmと一定とした。このとき、マスフローコントローラー23の背圧と配管22に滞留する原料ガス量に応じて決定される初期原料ガス流入量によって、プラスチック容器の内圧が一時的に設定成膜圧力0.10Torr(13.3Pa)よりも高くなり、最高0.4Torr(53.2Pa)程度まで上昇する。このときのプラスチック容器の容器内圧プロファイルを図3に示した。図3のプロファイルは前述した第1の実施形態の成膜方法に対応するものである。そして、図3の▲1▼に対応するタイミング、すなわち第1層成膜工程における第1のタイミングで高周波電力(13.56MHz)を500W供給し、プラズマCVDにより第1層の成膜を行った。圧力の変化に応じて第1層は傾斜組成の膜が形成される。第1層の成膜時間は0.3秒程度であり、設定成膜厚力0.10Torr(13.3Pa)到達後、そのまま第2層の成膜を行った。第2層の成膜時間は2.0秒程度とした。以上の成膜条件を表2に示した。第1層の厚みは4nm、第2層の厚みは20nmであり、これも合わせて表2に整理した。なお、第2層の成膜速度は凡そ10nm/秒であり、以下に示す実施例及び比較例では第2層の成膜時間を代えることで第2層の厚みを制御した。
【0073】
【表2】
Figure 0003970169
【0074】
(実施例2)
原料ガス流量を50sccmの一定から100sccmの一定に変更した以外は実施例1と同様に成膜を行ない、これを実施例2とした。容器内圧プロファイルは図4に示すものである。成膜条件と膜厚を表2に整理した。
【0075】
(実施例3)
高周波の印加のタイミングを図3の▲2▼とした以外は実施例1と同様に成膜を行ない、これを実施例3とした。前述の第1の実施形態の第1層成膜工程の第2のタイミングに相当する。成膜条件と膜厚を表2に整理した。
【0076】
(実施例4)
第2層成膜工程における高周波印加時間を実施例3(約1.3秒)よりも長くした(約2.0秒)以外は実施例3と同様に成膜を行ない、これを実施例4とした。成膜条件と膜厚を表2に整理した。
【0077】
(実施例5)
配管22の内部空間の体積を大きくして原料ガスの滞留体積を大きくした以外は実施例3と同様に成膜を行ない、これを実施例5とした。容器内圧プロファイルは図5に示す通りとなる。成膜条件と膜厚を表2に整理した。なお、配管22の内部空間の体積を大きくする代わりにマスフローコントローラーの背圧を高くすることでも同様の容器内圧プロファイルを得ることができる。
【0078】
(実施例6)
高周波の印加のタイミングを図3の▲3▼とした以外は実施例1と同様に成膜を行ない、これを実施例6とした。前述の第1の実施形態の第1層成膜工程の第2のタイミングに相当する。成膜条件と膜厚を表2に整理した。
【0079】
(実施例7)
図1に示す高周波を外部電極に印加する高周波プラズマCVD法でDLC膜を成膜する。原料ガスとして高純度アセチレンを用いる。チャンバーとプラスチック容器の残存空気ガスを排気してプラスチック容器内の真空圧力を0.05Torr(6.65Pa)まで減圧した後、排気を継続しながら原料供給バルブ21を開いてプラスチック容器7内へ原料ガスを導入する。原料ガス流量は100sccmとした。このときプラスチック容器の内圧が一時的に設定成膜圧力0.10Torr(13.3Pa)よりも高くなり、最高0.5Torr(66.5Pa)程度まで上昇する。このとき容器内部は原料ガスで充分置換される。その後原料ガス流量を50sccmに設定することで、容器の内圧を設定成膜圧力0.10Torr(13.3Pa)にする。このときのプラスチック容器の容器内圧プロファイルを図6に示した。図6のプロファイルは前述した第2の実施形態の成膜方法に対応するものである。そして、図6の▲3▼に対応するタイミングで高周波電力(13.56MHz)を500W供給し、プラズマCVDにより第1層の成膜を行った。圧力の変化に応じて第1層は傾斜組成の膜が形成される。第1層の成膜時間は0.3秒程度であり、設定成膜厚力到達後、そのまま第2層の成膜を行った。第2層の成膜時間は3.8秒程度とした。以上の成膜条件を表2に示した。第1層の厚みは3nm、第2層の厚みは38nmであり、これも合わせて表2に整理した。
【0080】
(実施例8)
実施例7における原料ガス流量100sccmを200sccmとしたこと以外は実施例7と同様に成膜を行ない、これを実施例8とした。すなわち、容器内圧を設定成膜圧力にする際の原料ガス流量50sccmは実施例7と同じである。また実施例8の容器内圧プロファイルは図7に示した。図7のプロファイルは前述した第2の実施形態の成膜方法に対応するものである。そして、図7の▲3▼に対応するタイミングで高周波電力(13.56MHz)を供給する。
【0081】
(実施例9)
図1に示す高周波を外部電極に印加する高周波プラズマCVD法でDLC膜を成膜する。原料ガスとして高純度アセチレンを用いる。チャンバーとプラスチック容器の残存空気ガスを排気してプラスチック容器内の真空圧力を0.05Torr(6.65Pa)まで減圧した後、排気を継続しながら原料供給バルブ21を開いてプラスチック容器7内へ原料ガスを導入する。原料ガス流量は50sccmとした。このとき、マスフローコントローラー23の背圧と配管22に滞留する原料ガス量に応じて決定される初期原料ガス流入量によって、プラスチック容器の内圧が一時的に設定成膜圧力0.10Torr(13.3Pa)よりも高くなり、最高0.4Torr(53.2Pa)程度まで上昇する。そして排気の継続により設定成膜圧力とする。この段階でプラスチック容器内はほぼ完全に原料ガスで置換される。その後原料ガスを75sccmに増やして一時的に設定成膜圧力よりも内圧を高くし、最高0.4Torr(53.2Pa)程度まで上昇させる。このときのプラスチック容器の容器内圧プロファイルを図8に示した。図8のプロファイルは前述した第3の実施形態の成膜方法に対応するものである。そして、図8の▲5▼に対応するタイミングで高周波電力(13.56MHz)を500W供給し、プラズマCVDにより第1層の成膜を行った。圧力の変化に応じて第1層は傾斜組成の膜が形成される。第1層の成膜時間は0.3秒程度であり、設定成膜厚力0.10Torr(13.3Pa)到達後、そのまま第2層の成膜を行った。第2層の成膜時間は1.3秒程度とした。以上の成膜条件を表2に示した。第1層の厚みは2nm、第2層の厚みは13nmであり、これも合わせて表2に整理した。
【0082】
(比較例1)
実施例1において高周波の印加タイミングを図3の0に対応するタイミングとした以外は実施例1と同様とし、これを比較例1とした。成膜条件、膜厚を表2に同様に示した。
【0083】
(比較例2)
実施例1において高周波の印加タイミングを図3の▲4▼に対応するタイミングとした以外は実施例1と同様とし、これを比較例2とした。成膜条件、膜厚を表2に同様に示した。
【0084】
(比較例3)
実施例8において高周波の印加タイミングを図7の▲2▼に対応するタイミングとした以外は実施例8と同様とし、これを比較例3とした。成膜条件、膜厚を表2に同様に示した。
【0085】
実施例1〜9及び比較例1〜3について、水素含量の測定を行った。PETボトル内面にSi基板を貼り付け、同一条件同一方法によりDLC膜をSi基板に200nm成膜した。RBS法(ラザフォード後方散乱分析法)-HFS法(水素前方散乱法)によるDLC膜の水素組成調査を行った。測定装置は、日新ハイボルテージ(株)製の後方散乱測定装置AN-2500を使用した。結果を表3に示した。
【0086】
実施例1〜9及び比較例1〜3について、ホット充填を考慮して、DLC膜を成膜後ホット充填時の容器の収縮を再現する加熱処理を行った。各実施例、各比較例のDLC膜コーティングプラスチック容器を90℃熱水下で10分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下におく。加熱処理前後の酸素透過度、加熱処理後の付着強度を測定した。
【0087】
酸素透過度は、MOCON社製Oxtran2/20で測定した。23℃で外側湿度RH60%、内側湿度RH90%で行った。酸素透過度を表3に示した。
【0088】
加熱処理後の付着強度は、前記条件1による碁盤目テープ法、前記条件2による加重式引掻き法で測定した。碁盤目テープ法は切り傷によって100分割し、テープにより剥れなかった個数の割合として評価した。結果を表3に示した。
【0089】
ホット充填向け容器として、加熱処理後においても充分な密着強度を有し且つガスバリア性容器として十分なバリア性を有する場合を総合評価○とし、密着強度、ガスバリア性のいずれか若しくは両方が不充分である場合には総合評価×として表3に示した。
【0090】
【表3】
Figure 0003970169
【0091】
実施例1〜9では、DLC膜を水素原子含有率の異なる第1層と第2層とで構成したので加熱条件下にさらされた後でも密着性に優れ且つ第2層を主体とした容器のガスバリア性の確保ができていた。また、第1層を第2層につながるように傾斜組成としたので、応力集中等によるマイクロクラックの発生は生じなかった。
【0092】
それに対して比較例1では設定到達圧力に達した後直ぐに原料供給と放電を開始することから第1層の品質が容器ごとに不安定であった。比較例2では水素原子低含有組成のDLC膜のみの単一組成構造としたため硬質膜となり、加熱によるプラスチックの収縮条件下で充分な密着性を確保できなかった。比較例3では容器の内圧が0.8Torr(106Pa)と高いために内部電極の管内で放電が生じてしまい、容器内部でのプラズマが不安定で強度も弱く、膜厚が薄くなり酸素バリア性が充分でなかった。
【0093】
【発明の効果】
容器内表面に形成するDLC膜を水素原子高含有組成の第1層とその上に形成した第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とから構成し、且つ第1層を第2層に対して傾斜組成とすることで、ホット充填を含むあらゆる充填方法に対応する容器が得られることを見出したことに伴い、本発明によりこの容器を複雑な装置を用いずに簡単な原料ガス制御により製造する方法を提供することができた。すなわち本発明にかかる製造方法により、第1層はプラスチック素材との密着性が高く、またプラスチックの収縮に追随し得る機能を有し且つ第2層は比較的硬質でガスバリア性の機能を有するものである。さらに第1層を第2層に対して容易に傾斜組成とすることができるので、第1層と第2層との境界における応力集中、マイクロクラックを防止することができる。
【0094】
特に本発明によれば、ブロー成形機などのプラスチック容器製造ライン等の他装置と同オーダーの量産速度(数百本/分程度)を低コストで信頼性高く実現することができる。
【0095】
また本発明は、容器の最適容器内圧プロファイルをいくつか提案するものであり、第1層の傾斜組成も複数形態提供することが可能であり、用途に応じて適宜選択することができる。いずれの製造方法も圧力制御に複雑な装置機構は必要とせず、排気量の制御も不要である。
【0096】
本発明において例えば第1の実施形態のように「ガス置換」と「傾斜膜成膜」の両方を同時に行なう場合には、ガス置換にかかる時間に傾斜膜の成膜も並行して行ない、時間短縮することができる。このガス置換は流量調節器と原料供給バルブの配置関係と動作の工夫により、たとえば1秒以下のきわめて短時間に行なうことができる。
【0097】
さらに本発明において例えば第2、第3の実施形態のように「ガス置換」と「傾斜膜成膜」の両方を分けてガス置換を完全に行なう場合には、DLC膜内に不純物の混入が少なく、再現性に優れるDLC膜コーティングプラスチック容器を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波プラズマCVD法によるDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置の概略図を示すものである。
【図2】本発明の実施例で使用するボトル形状の概略図であり、(a)は耐熱丸型、(b)は耐熱角型を示す。
【図3】第1の実施形態に対応する容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図4】図3と比較して原料ガス流量を多くしたときの容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図5】図3と比較して供給開始初期の原料ガス流入量を多くしたときの容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図6】第2の実施形態に対応する容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図7】図6と比較して原料ガス流量を多くしたときの容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図8】第3の実施形態に対応する容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【符号の説明】
100,高周波プラズマCVD成膜装置
1,下部外部電極
2,上部外部電極
3,外部電極
4,絶縁部材
5,蓋部
6,チャンバー
7,PETボトル
8,Oリング
9,内部電極
9a,ガス吹きだし口
10,マッチングユニット
11,高周波電源
13,真空計
14,真空バルブ
16,真空ポンプ
17,ダクト排気
12,15,20,22,24,配管
21,原料供給バルブ
23,マスフローコントローラー
25,原料ガス発生源
26,原料ガス供給手段[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a gas barrier plastic container for filling beverages represented by carbonated beverages, carbonated beverages containing fruit juice, fermented carbonated beverages such as beer and sparkling liquor, fruit juice beverages, and the like, and a method for producing the same. In particular, the gas barrier property is realized by a DLC (diamond-like carbon) film coated on the inner surface of a plastic container.
[0002]
[Prior art]
Beverage containers differ greatly in their filling and sterilization methods depending on the type of beverage. For example, carbonated beverages are filled at a low temperature so as not to allow carbon dioxide to escape, and sterilization for each container is not performed. Fruit drinks, tea, coffee, soup and the like are hot filled, that is, filled at 85 to 90 ° C. Of these, tea, coffee and soup are often sold at a temperature of about 60 ° C.
[0003]
It is well known that plastic containers, particularly PET (polyethylene terephthalate resin) bottles, have been put into practical use as beverage containers for soft drinks, carbonated drinks, carbonated drinks with fruit juice, high fruit juice drinks, tea, coffee, etc. The contents are filled by any one of the filling methods.
[0004]
By the way, PET bottles cannot be said to have sufficient oxygen gas barrier properties for all beverages due to the ease of oxidation of the contents. Therefore, a plasma CVD (Chemical Vapor Deposition) method is used to coat the inner surface of a plastic container with a DLC film to provide gas barrier properties, particularly as a carbonated beverage or high fruit juice beverage container, and to prevent sorption of aroma components. And a DLC film-coated plastic container are disclosed (see, for example, Patent Documents 1 and 2).
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-8-53117
[Patent Document 2]
JP-A-8-53116
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in hot filling, if the plastic container is a PET bottle, the contents are filled at a temperature higher than the glass transition point of the resin. PET bottles are molded by blow molding, but slightly shrink when exposed to a temperature higher than the glass transition point (63-78 ° C.) of PET.
[0007]
In the DLC film-coated plastic containers disclosed in Patent Documents 1 and 2, the DLC film and the plastic have different elastic coefficients and thermal expansion coefficients, and shrinkage that occurs in a PET bottle above the glass transition point does not occur in the DLC film.
[0008]
When the present inventors examined filling into a container, among the above filling methods, a hot filling case in which expansion / contraction followability of a DLC film is particularly required for a plastic container (the plastic shrinks due to heating). Regarding the filling method), it was found that microcracks occur in the DLC film.
[0009]
Therefore, as a result of earnestly examining whether the DLC film can be given a gas barrier property without causing micro cracks in the DLC film even if any filling method including the above case is performed, the present inventors have determined that the DLC film is made of hydrogen. The first layer is composed of a first layer having a high atomic content composition and a second layer having a low hydrogen atom content and a thickness of at least 13 nm or more than the first layer formed on the first layer. The boundary between the first layer and the second layer is provided by providing a function capable of following the shrinkage of the gas, providing the second layer with a gas barrier function, and further setting the first layer to a gradient composition with respect to the second layer. It has been found that a DLC film-coated plastic container that prevents stress concentration and microcracks in the above becomes a plastic container that can handle any of the above-described filling methods, particularly hot filling. That is, in this container, the first layer having a high hydrogen atom composition has high adhesion to the plastic material, is relatively flexible and follows the shrinkage of the plastic, and has a relatively low hydrogen atom content composition than the first layer. The second layer having a thickness of at least 13 nm is relatively hard and exhibits a gas barrier property if it has a thickness of 13 nm or more. If the first layer has a gradient composition with respect to the second layer, microcracks will not occur.
[0010]
On the other hand, in order to make this technology practical to meet market needs, the mass production speed (several hundreds / minute) of the same order as other equipment such as plastic container production lines such as blow molding machines is low cost. It must be realized with high reliability. For this purpose, it is necessary to keep the total process time of one piece within several seconds, and the film formation time of the first layer needs to be as short as possible, about 1 second to several seconds or less.
[0011]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a method for producing a plastic container coated with the above-described DLC film having a two-layer structure, which can be used for hot filling, in a simple manner and in as short a time as possible. That is, the hydrogen atom content in the film can be controlled by the actual film forming pressure level. If the film forming pressure is high, the DLC film has a high hydrogen atom content. If the film forming pressure is low, the DLC film has a low hydrogen atom content. It becomes a composition. In addition, when starting to supply the source gas into the plastic container under the set ultimate pressure, the initial source gas flow rate is intentionally increased in order to promote gas replacement for improving the film quality of the barrier film. By supplying the initial gas, the internal pressure of the container is increased, and a container internal pressure profile is generated in which the pressure is reduced again to the set film formation pressure by the balance between the exhaust gas and the supply amount of the raw material gas. Utilizing these, when the film formation pressure is high, the first layer is formed, and when the set film formation pressure is reached, the second layer is continuously formed, so that a DLC film-coated plastic container having a two-layer structure can be easily formed. It aims at providing the method of manufacturing to. That is, by performing both “gas replacement” and “gradient film formation” at the same time, the film formation of the gradient film can be performed in parallel with the time required for gas replacement, thereby shortening the time. This gas replacement can be performed in a very short time of, for example, 1 second or less by means of the arrangement relationship and operation of the flow rate regulator and the raw material supply valve. At this time, since there is a timing when the internal pressure is rising, a timing when the internal pressure is the highest, or a timing when the internal pressure is reduced again in the internal pressure profile of the container, a DLC film-coated plastic container having a two-layer structure using these three timings. It is an object of the present invention to provide a method for easily and cost-effectively manufacturing a material.
[0012]
Furthermore, the object of the present invention is to supply a source gas by a gas system arranged in the order of at least a source gas generation source, a gas flow rate control means, and a source supply valve that enables supply on / off, and at the time of starting the supply of the source gas By controlling the amount of increase in the internal pressure of the plastic container that is raised along with the supply of the initial gas by at least one of the amount of source gas remaining between the gas flow rate control means and the source supply valve or the back pressure of the gas flow rate control means, An object of the present invention is to provide a method for manufacturing a DLC film-coated plastic container that optimizes the internal pressure profile of the container and contains less impurities.
[0013]
Further, the object of the present invention is to sufficiently perform the source gas replacement, and after the source replacement, the source gas to be supplied is initially supplied in a large amount and then the amount of the source gas supplied is reduced so as to reduce the supply amount. By realizing the profile, the container internal pressure profile is optimized, and there is provided a method for manufacturing a DLC film-coated plastic container having almost no impurities and excellent reproducibility.
[0014]
As the plasma energy source, a high frequency output or a microwave output can be mentioned, but the object of the present invention is to select a high frequency as the plasma energy and generate a self-bias voltage on the wall surface of the container, thereby producing a dense DLC having a gas barrier property. The object is to form a film.
[0015]
The function of the gas barrier property is to secure a gas barrier property of approximately 5 times or more compared with an uncoated container.
[0016]
[Means for Solving the Problems]
Means for solving the above problems are as follows. That is, in the method for manufacturing a DLC film-coated plastic container according to the present invention, a vacuum exhaust process for exhausting the inside of the plastic container to a set pressure, and a raw material gas containing a carbon source gas inside the plastic container while continuing the exhaust. A constant flow rate supply is started by the gas flow rate control means, and the internal pressure of the plastic container is raised to a set film formation pressure or more and further reduced to the set film formation pressure with continued evacuation. A first layer film forming step of supplying energy to make the source gas inside the plastic container into plasma and forming a DLC film having a high hydrogen atom content and a gradient composition on the inner surface of the plastic container as a first layer; Low content of hydrogen atoms on the first layer while maintaining the set film formation pressure while the source gas is in a plasma state The second layer forming step of forming a DLC film having a constant composition as the second layer, characterized by having a city.
[0017]
In the method for manufacturing a DLC film-coated plastic container according to the present invention, in the first layer film forming step, plasma generating energy having a constant output is supplied while the internal pressure of the plastic container is increased to a set film forming pressure or higher. It is preferable to start the raw material gas into plasma.
[0018]
In the DLC film-coated plastic container manufacturing method according to the present invention, in the first layer film forming step, the internal pressure of the plastic container is increased to a set film forming pressure or more, and the set film forming pressure is further increased as evacuation continues. It is preferable that the plasma generation of the raw material gas is started by supplying plasma generating energy with a constant output when the internal pressure becomes almost the maximum during the pressure reduction again.
[0019]
In the method for manufacturing a DLC film-coated plastic container according to the present invention, in the first layer film forming step, plasma having a constant output is obtained while the internal pressure of the plastic container is reduced again to the set film forming pressure as evacuation continues. It is preferable to start generating the raw material gas into plasma by supplying energy for generation.
[0020]
Furthermore, in the method for producing a DLC film-coated plastic container according to the present invention, the supply of the raw material gas to the inside of the plastic container is performed by controlling the flow rate of the raw material gas generated from the raw material gas generation source by a gas flow rate control means, Further, the amount of the raw material gas that is retained between the raw material supply valve from the gas flow control means is determined by performing a gas system that enables the raw material gas flow controlled by the gas flow control means to be turned on and off by the raw material supply valve. It is preferable to control the amount of increase in the internal pressure of the plastic container that is increased with the start of the supply of the source gas by adjusting the amount of the source gas inflow at the beginning of the supply by at least one of the back pressures of the gas flow rate control means. .
[0021]
Here, in the method for manufacturing a DLC film-coated plastic container according to the present invention, it is preferable that the increase amount of the internal pressure of the plastic container is controlled by the increase amount due to the start of supply of the raw material gas, and the adjustment of the exhaust amount is not used. .
[0022]
A method for producing a DLC film-coated plastic container according to the present invention includes a vacuum evacuation process for evacuating a plastic container to a set pressure, and a raw material gas containing a carbon source gas at a predetermined flow rate while continuing the evacuation. To increase the internal pressure of the plastic container to a set film formation pressure or higher, and to replace the gas inside the plastic container with a gas, a gas flow rate smaller than the gas flow rate of the raw material gas in the gas replacement process Then, while the pressure is reduced again to the set film formation pressure as the evacuation is continued, the plasma generation of the source gas inside the plastic container is performed by supplying plasma generating energy with a constant output, and the inner surface of the plastic container A first layer forming step of forming a DLC film having a high hydrogen atom content and a gradient composition as a first layer; A second layer film forming step of forming a DLC film having a low hydrogen atom content and a constant composition as the second layer on the first layer while maintaining the set film forming pressure in a state where the raw material gas is turned into plasma. , And.
[0023]
The method for manufacturing a DLC film-coated plastic container according to the present invention includes a vacuum evacuation process for exhausting the inside of the plastic container to a set pressure, and a raw material gas containing a carbon source gas inside the plastic container is constant at a set film forming pressure. A gas replacement step of stabilizing the flow rate of the plastic container to replace the inside of the plastic container with the source gas, and setting the gas flow rate to be larger than the gas flow rate of the source gas in the gas replacement step The internal pressure of the gas is increased from the set film formation pressure, and after a predetermined time has elapsed, the gas flow rate of the source gas in the gas replacement step is set again to stop the internal pressure increase, and the pressure is further reduced to the set film formation pressure, and When the internal pressure rise stops, plasma generating energy with a constant output is supplied to the inside of the plastic container. A first layer film forming step of forming the DLC film having a high hydrogen atom content and a gradient composition as the first layer by converting the source gas into plasma, and the set film formation pressure in a state where the source gas is converted into plasma. And a second layer film forming step of forming a DLC film having a low hydrogen atom content and a constant composition on the first layer as the second layer while holding.
[0024]
Furthermore, in the method for manufacturing a DLC film-coated plastic container according to the present invention, an internal electrode is inserted into the plastic container from a mouth portion, an external electrode is disposed outside the plastic container, and then high frequency power is applied to the external electrode. It is preferable to supply the raw material gas into plasma.
[0025]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, although an embodiment and an example are given and the present invention is explained in detail, the present invention is limited to these descriptions and is not interpreted.
[0026]
In describing a method for producing a DLC film-coated plastic container according to the present invention, an embodiment of a production apparatus capable of using this production method will be described first. Since the manufacturing method of the present invention uses a plasma CVD method in which the raw material gas is turned into plasma, high frequency or microwave can be used as the energy source.
[0027]
One form of the apparatus by high frequency plasma CVD method is shown in FIG. 1, and it demonstrates based on it. The high-frequency plasma CVD film forming apparatus 100 includes an external electrode 3, an internal electrode 9, a raw material gas supply unit 26, a matching unit 10, and a high-frequency power source 11.
[0028]
The external electrode 3 constitutes a chamber 6 together with the conductive lid 5 and the insulating member 4. An insulating member 4 is disposed under the lid 5, and an external electrode 3 is disposed under the insulating member 4. The external electrode 3 includes an upper external electrode 2 and a lower external electrode 1, and is configured such that the upper portion of the lower external electrode 1 is detachably attached to the lower portion of the upper external electrode 2 via an O-ring 8. The external electrode 3 is insulated from the lid 5 by an insulating member 4.
[0029]
Although the CVD film forming apparatus 100 is described as a film forming apparatus for one plastic container, the chamber 6 and the internal electrode 9 are arranged in parallel also when a DLC film is simultaneously formed on the inner surfaces of a plurality of plastic containers. It can be applied.
[0030]
In this embodiment, the external electrode 3 is divided into the lower external electrode 1 and the upper external electrode 2. However, in order to make the DLC film thickness uniform, the external electrode is, for example, the bottom electrode, The electrode is divided into three or more, such as a partial electrode and a shoulder electrode, and each electrode is electrically insulated with a fluororesin sheet or a polyimide film, for example, while securing a sealing property with an O-ring interposed therebetween. Also good.
[0031]
A space is formed inside the external electrode 3, and this space is for accommodating a plastic container to be coated, for example, a PET bottle 7 made of polyethylene terephthalate resin. The space in the external electrode 3 is formed to be slightly larger than the outer shape of the PET bottle 7 accommodated therein. The insulating member 4 and the lid 5 are provided with an opening that leads to a space in the external electrode. Further, a space is provided inside the lid portion 5, and this space is connected to the space in the external electrode 3 through the opening. The space in the external electrode 3 is sealed from the outside by an O-ring 8 disposed between the upper external electrode 2 and the lower external electrode 1.
[0032]
The impedance matching unit (matching unit) 10 is connected to the lower external electrode 1. Furthermore, the matching unit 10 is connected to a high frequency power source (RF power source) 11 via a coaxial cable.
[0033]
The high frequency power source generates a high frequency that is energy for converting the raw material gas into plasma in a plastic container. The frequency of the high-frequency power source is 100 kHz to 1000 MHz, and for example, an industrial frequency of 13.56 MHz is used.
[0034]
The internal electrode 9 is disposed in the external electrode 3 and is disposed in the PET bottle 7. That is, the internal electrode 9 is inserted into the space in the external electrode 3 from the upper part of the cover part 5 through the space in the cover part 5 and the opening part of the cover part 5 and the insulating member 4. On the other hand, the tip 9 a of the internal electrode 9 is a space in the external electrode 3 and is disposed inside the PET bottle 7 accommodated in the external electrode 3. The internal electrode 9 has a tube shape whose inside is hollow. A gas outlet 9 a is provided at the tip of the internal electrode 9. The internal electrode 9 is grounded through the lid 5 to the ground.
[0035]
The raw material gas supply means 26 introduces the raw material gas supplied from the raw material gas generation source 25 into the PET bottle 7. That is, one side of the pipe 20 is connected to the base end of the internal electrode 9, the other side of the pipe 20 is connected to the raw material supply valve 21, and one side of the pipe 22 is connected to the other side of the raw material supply valve 21. One side of the mass flow controller 23 is connected to the other side of the pipe 22. The other side of the mass flow controller 23 is connected to a source gas generation source 25 through a pipe 24. The source gas generation source 25 generates source gas.
[0036]
As the carbon source gas constituting the source gas, aliphatic hydrocarbons, aromatic hydrocarbons, oxygen-containing hydrocarbons, nitrogen-containing hydrocarbons, etc. that are gaseous or liquid at normal temperature are used. For example, (1) methane CH4, Ethane C2H6Propane CThreeH6, Butane CFourHTen(2) Ethylene C as ethylene2HFour, Propylene CThreeH6, Butylene CFourH8(3 isomers), (3) acetylene C as acetylene series2H2, Methylacetylene CThreeHFour, Ethylacetylene (CFourH6), (4) Other normal hexane C6H14, Cyclohexane C6H12(5) Benzene C as aromatic6H6, Toluene C6HFiveCHThree, Xylene C6HFour(CHThree)2Can be illustrated. In particular, benzene, toluene, o-xylene, m-xylene, p-xylene, cyclohexane, etc. having 6 or more carbon atoms are desirable. However, when used for containers such as foods, aliphatic hydrocarbons, particularly methane hydrocarbons, ethylene hydrocarbons, and acetylene hydrocarbons are preferred from the viewpoint of hygiene. These carbon source gases may be used alone as a raw material gas, but may be used as a mixed gas of two or more kinds. Further, these gases may be diluted with a rare gas such as argon or helium. In addition, when a silicon-containing DLC film is formed, a Si-containing hydrocarbon gas is used.
[0037]
The DLC film referred to in the present invention is a film called i-carbon film or hydrogenated amorphous carbon film (aC: H), and the hydrogen content including hard carbon film and polymer-like carbon is 0 to 67%. The carbon film. The DLC film is an amorphous carbon film, and SP3It also has a bond. A hydrocarbon gas such as acetylene gas is used as a source gas for forming the DLC film, and a Si-containing hydrocarbon gas is used as a source gas for forming the Si-containing DLC film. By forming such a DLC film on the inner surface of a plastic container, a container that can be used one-way or returnably as a container for carbonated beverages, sparkling beverages, and the like is obtained.
[0038]
The space in the lid 5 is connected to one side of the pipe 12 where the vacuum gauge 13 is installed, the other side of the pipe 12 is connected to one side of the vacuum valve 14, and the other side of the vacuum valve 14 is connected to the pipe 15. The other side of the pipe 15 is connected to the vacuum pump 16. The vacuum pump 16 is connected to a duct exhaust 17.
[0039]
Resin used when molding the plastic container of the present invention is polyethylene terephthalate resin (PET), polyethylene terephthalate-based copolyester resin (copolymer using cyclohexane dimethanol instead of ethylene glycol as the alcohol component of polyester) Eastman), polybutylene terephthalate resin, polyethylene naphthalate resin, polyethylene resin, polypropylene resin (PP), cycloolefin copolymer resin (COC, cyclic olefin copolymer), ionomer resin, poly-4-methylpentene -1 resin, polymethyl methacrylate resin, polystyrene resin, ethylene-vinyl alcohol copolymer resin, acrylonitrile resin, polyvinyl chloride resin, polyvinylidene chloride resin, Polyamide resin, polyamideimide resin, polyacetal resin, polycarbonate resin, polysulfone resin, or ethylene tetrafluoride resin, acrylonitrile - styrene resins, acrylonitrile - butadiene - styrene resin, can be exemplified. Among these, PET is particularly preferable.
[0040]
Next, a method of forming a DLC film inside the container using the high-frequency plasma CVD film forming apparatus 100 shown in FIG. 1 will be described.
[0041]
(First embodiment)
(Installation of PET bottles)
First, a vacuum valve (not shown) is opened to open the chamber 6 to the atmosphere. Thereby, air enters the space in the lid 5 and the space in the external electrode 3, and the inside of the chamber 6 is brought to atmospheric pressure. Next, the lower external electrode 1 of the external electrode 3 is removed from the upper external electrode 2, and the PET bottle 7 is inserted into the space in the upper external electrode 2 from below the upper external electrode 2 and installed. At this time, the internal electrode 9 is inserted into the PET bottle 7. Next, the lower external electrode 1 is attached to the lower part of the upper external electrode 2, and the external electrode 3 is sealed with an O-ring 8.
[0042]
(Evacuation process)
Then, after closing a vacuum valve (not shown), the vacuum valve 14 is opened and the vacuum pump 16 is operated. Thereby, the inside of the chamber 6 including the inside of the PET bottle 7 is exhausted through the pipe 12, and the inside of the chamber 6 is evacuated. The vacuum pressure in the chamber 6 at this time is 10- 2-10- 1It is Torr (1.33 to 13.3 Pa), and this vacuum pressure is set as a set ultimate pressure. Until this stage, the raw material supply valve 21 is closed.
[0043]
(First layer deposition process)
Next, the raw material supply valve 21 is opened while continuing the exhaust to generate a raw material gas, for example, acetylene, in the raw material gas generation source 25, and this raw material gas is introduced into the pipe 20. The raw material gas whose flow rate is controlled by the mass flow controller 23 is blown out from the gas outlet 9a through the pipe 20 and the internal electrode 9 at the ground potential. The source gas supply amount is set to 50 sccm, for example. As a result, the source gas is introduced into the PET bottle 7. At this time, with the start of the supply of the raw material gas, the internal pressure of the PET bottle 7 is increased to a set film formation pressure, for example, 0.05 to 0.5 Torr (6.65 to 66.5 Pa) or more, and further set as the evacuation continues. The pressure is reduced again to the film forming pressure. This increase in pressure is caused by the flow of the raw material gas retained between the gas control means 23 and the raw material supply valve 13 at the beginning of the gas supply. This is about 0.1 to 0.3 seconds. Then, when the pressure is increased to a value equal to or higher than the set film forming pressure and further reduced to the set film forming pressure again, the RF output (for example, 13. 56 MHz). The high-frequency supply power is set to a constant output of 300 to 500 W, for example. Thereby, plasma is ignited between the external electrode 3 and the internal electrode 9. At this time, the matching unit 10 matches the discharge impedance between the external electrode and the internal electrode so that the reflected power is minimized when the second layer is formed by the inductance L and the capacitance C. As a result, a source gas plasma is generated in the PET bottle 7, but the initial discharge impedance differs greatly from that at the time of the second layer film formation. Input power is reduced. Thereafter, since the impedance approaches when the second layer is formed, the reflected power decreases, and the effective input power gradually approaches the output value. Due to the effect of increasing the pressure and reducing the pressure, and the effect of increasing the effective input power from a small power, the DLC film as the first layer having a high hydrogen atom content and a gradient composition on the inner surface of the PET bottle 7 plastic container. Is deposited. The film formation time at this time is as short as about 0.1 to 1 second and at most about several seconds. The film thickness of the first layer is 2 to 6 nm, for example. This first layer has a high hydrogen atom content composition in order to make the DLC film followable to shrinkage of the container during hot filling and to improve adhesion. This utilizes the fact that the pressure is high and the energy of ions incident on the film is low because the power is small.
[0044]
In the first layer deposition step, the start timing of the high-frequency output is roughly classified into three types. First, as a first timing, high-frequency output is started while the internal pressure of the PET bottle 7 is increased to a set film formation pressure or higher. While the internal pressure rises and then returns to the set film formation pressure again, the hydrogen atom content of the first layer changes as follows. That is, the composition changes from a plastic surface as a starting point toward the thickness direction of the film, such as a low hydrogen atom content composition, a high hydrogen atom content composition, and a low hydrogen atom content composition. The first layer contains a low hydrogen atom content composition, but has a relatively high hydrogen atom content composition compared to the second layer, and the first layer is a flexible film and has a gradient composition. Excellent adhesion to the container. In addition to the fact that the low hydrogen atom content composition portion of the second layer exhibits gas barrier properties, the low hydrogen atom content composition portion of the first layer also exhibits gas barrier properties, so the first of the three timings. The method of forming the layer for the longest time and increasing the film thickness has the highest gas barrier property.
[0045]
As a second timing, when the internal pressure of the PET bottle 7 is increased to a value equal to or higher than the set film formation pressure and further reduced to the set film formation pressure again as evacuation continues, the high frequency output is started when the internal pressure becomes almost the maximum. How to do it. In this method, the hydrogen atom content of the first layer changes as follows. That is, the composition changes to a high hydrogen atom content composition and a low hydrogen atom content composition as it goes from the plastic surface to the film thickness direction. Even when the composition of the second layer is taken into consideration, the entire DLC film smoothly changes from a plastic surface as a starting point toward the film thickness direction to a high hydrogen atom content composition and a low hydrogen atom content composition. For this reason, since the first layer does not have a low hydrogen atom content composition immediately above the substrate as compared with the case of the first timing, the first layer has a more flexible film and a gradient composition. Among them, it has the best adhesion to plastic containers.
[0046]
As a third timing, a high-frequency output is started while the internal pressure of the PET bottle 7 is reduced again to the set film-forming pressure as evacuation continues. In this method, the hydrogen atom content of the first layer changes as follows. That is, the composition changes to a high hydrogen atom content composition and a low hydrogen atom content composition as it goes from the plastic surface to the film thickness direction. Although the state of the composition change is similar to the case of the second timing, the hydrogen atom content just above the inner surface of the plastic container is slightly lower than that of the second timing. Adhesion is good next to the second timing. The discharge time can be shortened.
[0047]
The supply of the raw material gas to the inside of the PET bottle 7 is performed by controlling the flow rate of the raw material gas generated from the raw material gas generation source 25 by the mass flow controller 23 (gas flow rate control means) and further controlling the flow rate by the mass flow controller 23. Is performed by a gas system that enables supply on and off with the raw material supply valve 21, and the supply is initially started by at least one of the amount of raw material gas accumulated between the mass flow controller 23 and the raw material supply valve 21 and the back pressure of the mass flow controller 23. It is preferable to control the amount of the raw material gas inflow, that is, the amount of increase in the internal pressure of the PET bottle 7 that is increased as the supply starts. For example, by increasing the length of the pipe between the mass flow controller 23 and the raw material supply valve 21 or providing a storage space for the raw material gas of, for example, 0.5 to 200 cc capacity between them, the internal pressure of the PET bottle 7 is increased. The amount can be increased. When the amount of increase in the internal pressure of the PET bottle 7 is increased, the hydrogen atom content becomes higher, and the first layer having a more flexible but less gas barrier function can be formed. On the other hand, if the length of the pipe between the mass flow controller 23 and the raw material supply valve 21 is shortened and no storage space for the raw material gas is provided, the amount of increase in the internal pressure of the PET bottle 7 can be reduced. If the amount of increase in the internal pressure of the PET bottle 7 is reduced, the hydrogen atom content will be lowered (but higher than the hydrogen atom content of the second layer), and the first layer will be somewhat less flexible with some gas barrier function. Can be formed. Further, when the back pressure of the mass flow controller 23 is set high, the amount of increase can be increased, and when it is set low, the amount of increase can be controlled small. The initial inflow gas is controlled as follows, for example. The pipe 22 between the mass flow controller 23 and the raw material supply valve 21 is set in advance to supply a certain amount of raw material gas through the mass flow controller 23 during the idling time before film formation, so that the pressure in the pipe 22 is controlled. The gas is allowed to stay so as to be the same pressure as the back pressure. When the same pressure is reached, the mass flow controller 23 cannot flow any more gas regardless of the supply amount, and the inside of the pipe 22 is kept stable. In this state, a forced valve closing signal is once sent to the mass flow controller 23, and a variable flow valve (not shown) in the mass flow controller 23 is fully closed. Next, the raw material supply valve 21 is opened while continuing the evacuation, and at the same time, the signal for closing the forced flow valve of the mass flow controller 23 is canceled, and the control for setting the flow rate to the film formation set flow rate is started. If it does in this way, the gas which stayed in the piping 22 will blow out from the gas blowing outlet 9a through the piping 20 first. This is the gas that flows into the PET bottle 7 in the initial stage. Then, the flow rate of the mass flow controller 23 gradually increases, and if the mass flow controller responds quickly, the set film formation flow rate is controlled within 1 second, for example, about 0.2 seconds.
[0048]
In addition, since it is preferable to promote gas replacement necessary for improving the film quality of the second-layer barrier film at the initial stage of the supply of the source gas, the amount of the source gas inflow at the beginning of the supply is intentionally increased. preferable. Incidentally, the gas that needs to be replaced is air (oxygen and nitrogen) and moisture adsorbed on the inner surface of the PET bottle 7.
[0049]
In this embodiment, the vacuum pump 16 is operated at a constant pumping speed, and the opening degree of the vacuum valve 14 is not changed while the raw material gas is supplied, so that the pumping speed is constant. On the other hand, the internal pressure of the PET bottle 7 is set to a set film formation pressure, for example, 0.05 to 0 by setting the raw material gas inflow amount at the beginning of supply for promoting gas replacement to be larger than the set film formation flow rate of the second layer. .5 Torr (6.65 to 66.5 Pa) or higher, for example, about 0.2 to 1.0 Torr (26.6 to 133 Pa), and after the replacement is completed, the continuation of exhaust and the setting controlled by the mass flow controller 23 When the film formation flow rate, for example, 50 sccm is balanced, the pressure can be reduced again to the set film formation pressure of the second layer and stabilized. This operation is a simple configuration using the mass flow controller 23 and the source gas supply valve 21, and can be performed in a very short time by controlling the arrangement and operating conditions, for example, about 0.1 to 0.5 seconds. It is. That is, it is preferable that the increase amount of the internal pressure of the plastic container is controlled by the increase amount due to the start of the supply of the raw material gas, and the adjustment of the exhaust amount is not used. If the same pressure increase operation is performed by changing the pumping speed of the vacuum pump 16 or adjusting the opening of the vacuum valve 14, both of them are expensive devices that require difficult high-speed control and are very suitable for application to mass production equipment. It becomes inconvenient. By simultaneously forming the first layer for improving adhesion at the time of supplying the raw material gas for the gas replacement, it is possible to reduce an extra time required for forming the first layer. Of course, if a larger pressure or longer time than the change in gas pressure necessary for gas replacement is required for film formation of the first layer, an initial gas supply amount corresponding to that pressure may be flowed. It is not necessary to be bound by the conditions.
[0050]
(Second layer deposition process)
A DLC film having a low hydrogen atom content and a constant composition is formed as the second layer on the first layer while maintaining the set film forming pressure in a state where the source gas is turned into plasma. The first layer has a gradient composition according to the change in the film formation pressure, and the film formation pressure at the end of the first layer film formation process and the film formation pressure at the start of the second layer film formation process are the same. Therefore, there is no difference in composition and film stress at the boundary between the first layer and the second layer. The thickness of the second layer can be set to 13 to 200 nm in consideration of stress, but it is particularly preferable to set the thickness to 13 to 38 nm in consideration of gas barrier properties and adhesion. When the thickness is less than 13 nm, the gas barrier property is not sufficiently improved, and when the thickness exceeds 38 nm, microcracks may be generated due to the internal stress of the film.
[0051]
The DLC film may be formed to have a film thickness of, for example, 0.003 to 0.2 μm, but is preferably 15 to 40 nm from the viewpoint of gas barrier properties, productivity, residual stress in the film, and adhesion. .
[0052]
(Finished film)
Next, the RF output from the high frequency power supply 11 is stopped, the raw material supply valve 21 is closed, and the supply of the raw material gas is stopped. Thereafter, the source gas in the PET bottle 7 is exhausted by the vacuum pump 16. Thereafter, the vacuum valve 14 is closed and the vacuum pump 16 is stopped. The pressure in the chamber 6 at this time is 10- 2-10- 1Torr (1.33 to 13.3 Pa). Thereafter, the vacuum valve (not shown) is opened to open the chamber 6 to the atmosphere, and the above-described film forming method is repeated to form a DLC film composed of the first layer and the second layer in the next PET bottle. Is done.
[0053]
(Second Embodiment)
The installation of the PET bottle, the evacuation process, and the second layer film forming process are the same as those in the first embodiment.
[0054]
(Gas replacement process)
Next, the raw material supply valve 21 is opened while continuing the exhaust to generate a raw material gas, for example, acetylene, in the raw material gas generation source 25, and this raw material gas is introduced into the pipe 20. The raw material gas whose flow rate is controlled by the mass flow controller 23 is blown out from the gas outlet 9a through the pipe 20 and the internal electrode 9 at the ground potential. The source gas supply amount is set to 100 sccm, for example. As a result, the source gas is introduced into the PET bottle 7. The inside of the PET bottle 7 is supplied so that the supply of the source gas and the exhaust of the residual gas are simultaneously performed for a predetermined time, for example, 0.1 to 1 second, and the inside of the PET bottle 7 is replaced with the source gas. Gas replacement is performed to remove impurities in the film. By supplying the raw material gas, the internal pressure of the PET bottle 7 is increased to a set film forming pressure, for example, 0.05 to 0.5 Torr (6.65 to 66.5 Pa) or more.
[0055]
(First layer deposition process)
After performing the gas replacement, in order to return to the set film formation pressure at an early stage, after setting the gas flow rate to be smaller than the gas flow rate of the source gas in the gas replacement process, for example, 50 sccm, the gas is again returned to the set film formation pressure as the exhaust is continued. During decompression, an RF output (for example, 13.56 MHz) is supplied from a high frequency power source (RF power source) 11 to the external electrode 3 via the matching unit 10. The high-frequency supply power is set to a constant output of 300 to 500 W, for example. Thereby, plasma is ignited between the external electrode 3 and the internal electrode 9. At this time, the matching unit 10 matches the discharge impedance between the external electrode and the internal electrode so that the reflected power is minimized when the second layer is formed by the inductance L and the capacitance C. As a result, source gas plasma is generated in the PET bottle 7, and a DLC film having a high hydrogen atom content and a gradient composition is formed as a first layer on the inner surface of the PET bottle 7 plastic container. The film formation time at this time is as short as about 0.1 to 1 second and at most about several seconds. The film thickness of the first layer is 2 to 6 nm, for example. This first layer has a high hydrogen atom content composition in order to make the DLC film followable to shrinkage of the container during hot filling and to improve adhesion. In the second embodiment, by controlling the gas flow rate of the source gas, it is possible to reduce the impurities in the film by intentionally setting the pressure higher than the set film formation pressure and sufficiently replacing the gas. .
[0056]
(Third embodiment)
The installation of the PET bottle, the evacuation process, and the second layer film forming process are the same as those in the first embodiment.
[0057]
(Gas replacement process)
While continuing the exhaust, the material supply valve 21 is opened, a material gas, for example, acetylene is generated in the material gas generation source 25, and this material gas is introduced into the pipe 20. The raw material gas whose flow rate is controlled by the mass flow controller 23 is blown out from the gas outlet 9a through the pipe 20 and the internal electrode 9 at the ground potential. The source gas supply amount is set to 50 sccm, for example. As a result, the source gas is introduced into the PET bottle 7. The inside of the PET bottle 7 is supplied so that the supply of the source gas and the exhaust of the residual gas are simultaneously performed for a predetermined time, for example, 0.1 to 1 second, and the inside of the PET bottle 7 is replaced with the source gas. Simultaneously with the replacement, the inside of the container is adjusted to a set film forming pressure of the DLC film, for example, about 0.05 to 0.5 Torr (6.65 to 66.5 Pa). That is, a gas replacement step of stabilizing the inside of the plastic container with the source gas by stabilizing the source gas containing the carbon source gas inside the plastic container at a constant flow rate, for example, 50 sccm, under the set film forming pressure. Is done. Here, the gas replacement is performed to remove impurities in the film.
[0058]
(First layer deposition process)
In order to forcibly increase the internal pressure of the container, a gas flow rate larger than the gas flow rate of the source gas in the gas replacement step, for example, 100 sccm is set, and the internal pressure of the PET bottle 7 is increased above the set film formation pressure. Further, after a lapse of a predetermined time, for example, 0.1 to 1 second, the gas flow rate of the source gas in the gas replacement process is set again to return to the set film formation pressure. As a result, the increase in the internal pressure of the plastic container stops and the pressure is reduced again to the set film formation pressure. When the internal pressure of the plastic container stops increasing and reaches the maximum internal pressure, an RF output (for example, 13.56 MHz) is supplied from the high frequency power source (RF power source) 11 to the external electrode 3 via the matching unit 10. The high-frequency supply power is set to a constant output of 300 to 500 W, for example. Thereby, plasma is ignited between the external electrode 3 and the internal electrode 9. At this time, the matching unit 10 matches the discharge impedance between the external electrode and the internal electrode so that the reflected power is minimized when the second layer is formed by the inductance L and the capacitance C. As a result, a source gas plasma is generated in the PET bottle 7, and a DLC film having a high hydrogen atom content and a gradient composition is formed as the first layer on the inner surface of the PET bottle 7 plastic container. The film formation time at this time is as short as about 0.1 to 1 second and at most about several seconds. The film thickness of the first layer is 2 to 6 nm, for example. This first layer has a high hydrogen atom content composition in order to make the DLC film followable to shrinkage of the container during hot filling and to improve adhesion. In the third embodiment, after the gas replacement step, the reproducibility is extremely high by controlling the gas flow rate of the source gas, and the impurities in the film can be almost eliminated by sufficiently performing the gas replacement.
[0059]
In the present invention, the pressure during plasma discharge is preferably 0.05 to 0.50 Torr (6.65 to 66.5 Pa). If it is less than 0.05 Torr, it is difficult to discharge, and if it exceeds 0.60 Torr, discharge occurs in the tube of the internal electrode and the plasma discharge becomes unstable. It is preferable that the maximum pressure in the first layer film forming step (top pressure for pressure increase) is not less than the set film forming pressure and not more than 1.0 Torr (133 Pa). The reason why the pressure is 1.0 Torr or less is that it takes longer than necessary to return to the set film-forming pressure. The pressure during the first layer deposition is preferably higher than the second layer deposition pressure and not more than 0.5 Torr (66.5 Pa). When the internal pressure is increased above the set film formation pressure after opening the valve in the first layer film formation process, the discharge impedance is matched to the discharge impedance during the second layer film formation (impedance matching is matched to the discharge impedance during the second layer film formation). Therefore, the reflected power is increased, and thus the power that is effectively incident on the plasma is reduced. For this reason, the ion energy incident on the film is lowered, the hydrogen content is high, the adhesion is high, and a flexible film is formed. The switch-on pressure during plasma ignition is preferably 0.2 to 0.5 Torr (26.6 to 66.5 Pa). Similarly, the hydrogen atom content of the first layer is increased within the stable discharge region pressure to provide a flexible film quality. The pressure during the second layer deposition (set deposition pressure) is preferably 0.05 to 0.2 Torr (6.65 to 26.6 Pa). This is because the content of hydrogen atoms is less than that of the first layer and a hard film is formed to provide gas barrier properties. The present invention has found an optimum container internal pressure profile and its pressure range in order to form a DLC film having followability and gas barrier properties that can withstand bottle shrinkage during hot filling. Therefore, in order to obtain the DLC film bottle shrinkage followability and gas barrier property required by the present invention, the control of providing a pressure difference between the internal pressures in which the film is formed at a high internal pressure at the beginning of film formation and then formed at a low internal pressure. Insufficient.
[0060]
In the first, second, and third embodiments, the displacement is constant and the internal pressure of the container is determined by the back pressure of the mass flow controller or the volume of the pipe 22 between the mass flow controller and the raw material supply valve or the supplied raw material gas flow rate. A desired container internal pressure profile is obtained. Therefore, since the displacement is not controlled, the apparatus is simple and the internal pressure response is good.
[0061]
In the first, second, and third embodiments, in the present invention, not only a high-frequency power source but also a microwave power source may be used as means for converting the source gas into plasma. For example, 2.45 GHz is supplied as the microwave. Since microwaves are used as a plasma energy supply source, there are differences in the devices used, such as supplying microwaves inside the container and eliminating the need for internal electrodes, but the manufacturing method is the same as when using a high-frequency power supply. is there.
[0062]
Further, a DLC film may be formed by a magnetic field type plasma CVD method by installing a magnet near the outer wall of the container.
[0063]
In the embodiment, a PET bottle for beverage is used as a container for forming a thin film inside, but a container used for other purposes can also be used.
[0064]
In the present invention, the number of component parts such as the number of film forming chambers and the number of high-frequency power sources may be appropriately changed according to the required capability of the apparatus.
[0065]
Next, a DLC film-coated plastic container composed of a first layer and a second layer will be described. The DLC film-coated plastic container according to the present invention is obtained by coating the inner surface of a plastic container with a DLC film. Here, the DLC film is composed of a first layer having a high hydrogen atom content composition formed on the inner surface and a second layer having a lower hydrogen atom content composition than the first layer formed on the first layer. . The second layer is preferably at least 13 nm thick. The hydrogen atom content of DLC can theoretically be 0 to 67 atom%. When it is 67 atomic%, it is close to ethylene polymer.
[0066]
According to the experience of the present inventors, a DLC film having a small hydrogen atom content is hard, has a large internal stress, and has a high gas barrier property. On the other hand, when the hydrogen atom content is large, the DLC film becomes relatively flexible, the internal stress is small, and the gas barrier property is low. In the present invention, the reason why the first layer has a composition containing a high amount of hydrogen atoms is to increase the adhesion of the film by being flexible and capable of following the shrinkage of the plastic by reducing the internal stress in the film. Here, the high hydrogen atom content does not mean that it is close to 67 hydrogen atom%, but means that it is relatively high in comparison with the hydrogen atom content of the second layer. On the other hand, the meaning of the low hydrogen atom content composition of the second layer also means that it is relatively low in comparison with the hydrogen atom content of the first layer. This is to ensure gas barrier properties, and the hydrogen atom content of the second layer is preferably set to 42 atom% or more and 48 atom% or less. Therefore, as described above, the thickness of the second layer is particularly preferably 13 to 38 nm from the viewpoint of ensuring gas barrier properties. The thickness of the first layer is preferably 2 to 6 nm from the viewpoint of adhesion and shortening the film formation time. The adhesion here refers to the adhesion of the DLC film against the shrinkage of the plastic by heating after filling.
[0067]
The reason why the portion of the first layer in contact with the second layer has a gradient composition is to alleviate the difference in characteristics between the first layer and the second layer. In the present invention, the gradient composition can be easily obtained by controlling the film forming pressure.
[0068]
From the viewpoint of manufacturing a container that can be used regardless of the filling method of the contents, a DLC film having different properties depending on the relationship between the first layer and the second layer is considered as follows, and a composition for forming this DLC film is formed. The membrane pressure condition is adjusted as appropriate. That is, the DLC film-coated plastic container is allowed to stand for 10 minutes under hot water at 90 ° C., further quenched with water, and after drying, placed in an air atmosphere at 25 ° C. At this time, since the plastic is heated beyond the glass transition point, shrinkage of 1 to 2% occurs. Thus, the relationship between the first layer and the second layer is determined so that the DLC film placed under the shrinkage condition of the plastic by heating is not peeled off by the cross tape method of JISK5400 in Condition 1. At this time, it is particularly preferable as a container for hot filling. As condition 1, the gap between the cuts is 1 mm, and the number of squares is 100.
[0069]
Further, the DLC film may be taken as follows. That is, the relationship between the first layer and the second layer is such that the DLC film placed under the same heat-shrinking condition of the plastic has an adhesion strength of 1.8 mN or more in the vertical load in the weighted scratching method of Condition 2. Is to decide. This is also preferable as a container for hot filling. As condition 2, the tester is Shimadzu scanning type scratch tester SST-101 manufactured by Shimadzu Corporation, the scratching needle is diamond, the radius of curvature is 15 μm, the load speed is 1 μm / s, the amplitude is 10 μm, the feed rate is 2 μm / s, and the vertical load is The weight applied to the scratching needle when the film begins to peel. The DLC film formed on the inner body of the container is measured.
[0070]
When the DLC film-coated plastic container according to the present invention is a container for hot filling, the hydrogen atom content of the first layer is 50 atomic% or more and 60 hydrogen atom% or less, and the hydrogen atom content of the second layer is 42. It is preferable to set the atomic percentage to 48 atomic% or less, preferably 42 atomic% to 46 atomic% or less. The reason why the hydrogen atom content of the first layer is 50 atomic% or more and 60 hydrogen atom% or less is that internal stress is applied to the film due to the shrinkage of the plastic, so that internal stress does not remain in the film as much as possible when the first layer is formed. This is because better and better flexibility of the film can follow the shrinkage of the plastic.
[0071]
【Example】
The plastic container was a PET bottle. The height of the PET bottle is 207 mm, the wall thickness is 0.3 mm, the container capacity is 500 ml, and the inner surface area is 400 cm.2It was. The bottle shape (heat resistant round shape) shown in FIG. 2A was used for the bottle shape when the heat treatment was performed. In addition, when performing heat processing, the PET bottle of the container (heat-resistant square shape) of FIG.2 (b) can also be used. The PET bottle of the container (heat-resistant round shape) in FIG. 2 (a) and the container (heat-resistant square shape) in FIG. 2 (b) has a reduced pressure absorption surface or panel. Since the carbonic acid container has an internal pressure of carbon dioxide gas, it has a cylindrical conical shape. However, the heat-resistant container has a concavo-convex part in its body part. When the contents processed at a temperature of about 80 to 95 ° C. are filled and sealed in a container while keeping the temperature, and shipped as a product, the container is depressurized when the contents are cooled to room temperature. A change in the shape of the container itself is inevitable. A wall surface such as a body portion having the uneven portion is referred to as a reduced pressure absorption surface or a panel. Table 1 shows the characteristics of each container shown in FIGS.
[Table 1]
Figure 0003970169
[0072]
Example 1
A DLC film is formed by a high frequency plasma CVD method in which a high frequency shown in FIG. 1 is applied to the external electrode. High purity acetylene is used as a source gas. Residual air gas in the chamber and the plastic container is exhausted and the vacuum pressure in the plastic container is reduced to 0.05 Torr (6.65 Pa), and then the raw material supply valve 21 is opened while continuing the exhaustion to supply the raw material into the plastic container 7. Introduce gas. The raw material gas flow rate was fixed at 50 sccm. At this time, the internal pressure of the plastic container is temporarily set to a film formation pressure of 0.10 Torr (13.3 Pa) according to the back pressure of the mass flow controller 23 and the initial raw material gas inflow amount determined according to the amount of raw material gas remaining in the pipe 22. ) And rises up to about 0.4 Torr (53.2 Pa). The internal pressure profile of the plastic container at this time is shown in FIG. The profile in FIG. 3 corresponds to the film forming method of the first embodiment described above. Then, 500 W of high frequency power (13.56 MHz) was supplied at the timing corresponding to (1) in FIG. 3, that is, the first timing in the first layer deposition step, and the first layer was deposited by plasma CVD. . A film having a gradient composition is formed in the first layer in accordance with the change in pressure. The film formation time of the first layer was about 0.3 seconds. After reaching the set film thickness of 0.10 Torr (13.3 Pa), the second layer was formed as it was. The film formation time for the second layer was about 2.0 seconds. The above film forming conditions are shown in Table 2. The thickness of the first layer was 4 nm, and the thickness of the second layer was 20 nm. The film formation rate of the second layer was about 10 nm / second. In the following examples and comparative examples, the thickness of the second layer was controlled by changing the film formation time of the second layer.
[0073]
[Table 2]
Figure 0003970169
[0074]
(Example 2)
Film formation was performed in the same manner as in Example 1 except that the raw material gas flow rate was changed from a constant value of 50 sccm to a constant value of 100 sccm. The container internal pressure profile is shown in FIG. The film formation conditions and the film thickness are shown in Table 2.
[0075]
(Example 3)
A film was formed in the same manner as in Example 1 except that the high-frequency application timing was changed to (2) in FIG. This corresponds to the second timing of the first layer deposition step of the first embodiment described above. The film formation conditions and the film thickness are shown in Table 2.
[0076]
Example 4
Film formation was performed in the same manner as in Example 3 except that the high-frequency application time in the second layer film forming step was longer (about 2.0 seconds) than in Example 3 (about 1.3 seconds). It was. The film formation conditions and the film thickness are shown in Table 2.
[0077]
(Example 5)
A film was formed in the same manner as in Example 3 except that the volume of the internal space of the pipe 22 was increased to increase the retention volume of the raw material gas. The container internal pressure profile is as shown in FIG. The film formation conditions and the film thickness are shown in Table 2. Note that a similar container internal pressure profile can be obtained by increasing the back pressure of the mass flow controller instead of increasing the volume of the internal space of the pipe 22.
[0078]
(Example 6)
A film was formed in the same manner as in Example 1 except that the high-frequency application timing was changed to (3) in FIG. This corresponds to the second timing of the first layer deposition step of the first embodiment described above. The film formation conditions and the film thickness are shown in Table 2.
[0079]
(Example 7)
A DLC film is formed by a high frequency plasma CVD method in which a high frequency shown in FIG. 1 is applied to the external electrode. High purity acetylene is used as a source gas. Residual air gas in the chamber and the plastic container is exhausted and the vacuum pressure in the plastic container is reduced to 0.05 Torr (6.65 Pa). Introduce gas. The raw material gas flow rate was 100 sccm. At this time, the internal pressure of the plastic container temporarily becomes higher than the set film forming pressure of 0.10 Torr (13.3 Pa) and rises to a maximum of about 0.5 Torr (66.5 Pa). At this time, the inside of the container is sufficiently replaced with the raw material gas. Thereafter, the internal gas pressure is set to 0.10 Torr (13.3 Pa) by setting the raw material gas flow rate to 50 sccm. The internal pressure profile of the plastic container at this time is shown in FIG. The profile in FIG. 6 corresponds to the film forming method of the second embodiment described above. Then, 500 W of high-frequency power (13.56 MHz) was supplied at a timing corresponding to (3) in FIG. 6, and the first layer was formed by plasma CVD. A film having a gradient composition is formed in the first layer in accordance with the change in pressure. The film formation time for the first layer was about 0.3 seconds, and after reaching the set film thickness, the second layer was formed as it was. The film formation time for the second layer was about 3.8 seconds. The above film forming conditions are shown in Table 2. The thickness of the first layer was 3 nm, and the thickness of the second layer was 38 nm.
[0080]
(Example 8)
A film was formed in the same manner as in Example 7 except that the raw material gas flow rate of 100 sccm in Example 7 was changed to 200 sccm. That is, the raw material gas flow rate of 50 sccm when the container internal pressure is set to the set film-forming pressure is the same as that of the seventh embodiment. The container internal pressure profile of Example 8 is shown in FIG. The profile in FIG. 7 corresponds to the film forming method of the second embodiment described above. Then, high-frequency power (13.56 MHz) is supplied at a timing corresponding to (3) in FIG.
[0081]
Example 9
A DLC film is formed by a high frequency plasma CVD method in which a high frequency shown in FIG. 1 is applied to the external electrode. High purity acetylene is used as a source gas. Residual air gas in the chamber and the plastic container is exhausted and the vacuum pressure in the plastic container is reduced to 0.05 Torr (6.65 Pa). Introduce gas. The raw material gas flow rate was 50 sccm. At this time, the internal pressure of the plastic container is temporarily set to a film formation pressure of 0.10 Torr (13.3 Pa) according to the back pressure of the mass flow controller 23 and the initial raw material gas inflow amount determined according to the amount of raw material gas remaining in the pipe 22. ) And rises up to about 0.4 Torr (53.2 Pa). The set film-forming pressure is set by continuing the exhaust. At this stage, the inside of the plastic container is almost completely replaced with the raw material gas. Thereafter, the source gas is increased to 75 sccm, and the internal pressure is temporarily made higher than the set film formation pressure, and the pressure is raised to a maximum of about 0.4 Torr (53.2 Pa). The internal pressure profile of the plastic container at this time is shown in FIG. The profile in FIG. 8 corresponds to the film forming method of the third embodiment described above. Then, 500 W of high frequency power (13.56 MHz) was supplied at a timing corresponding to (5) in FIG. 8, and the first layer was formed by plasma CVD. A film having a gradient composition is formed in the first layer in accordance with the change in pressure. The film formation time of the first layer was about 0.3 seconds. After reaching the set film thickness of 0.10 Torr (13.3 Pa), the second layer was formed as it was. The film formation time for the second layer was about 1.3 seconds. The above film forming conditions are shown in Table 2. The thickness of the first layer was 2 nm, and the thickness of the second layer was 13 nm.
[0082]
(Comparative Example 1)
A high frequency application timing in Example 1 was the same as Example 1 except that the timing corresponding to 0 in FIG. The film forming conditions and film thickness are shown in Table 2 in the same manner.
[0083]
(Comparative Example 2)
A high frequency application timing in Example 1 was the same as that in Example 1 except that the timing corresponding to (4) in FIG. The film forming conditions and film thickness are shown in Table 2 in the same manner.
[0084]
(Comparative Example 3)
In Example 8, the application timing of the high frequency was the same as that of Example 8 except that the timing corresponding to (2) in FIG. The film forming conditions and film thickness are shown in Table 2 in the same manner.
[0085]
About Examples 1-9 and Comparative Examples 1-3, the hydrogen content was measured. A Si substrate was attached to the inner surface of the PET bottle, and a DLC film was formed to 200 nm on the Si substrate by the same method under the same conditions. The hydrogen composition of the DLC film was investigated by the RBS method (Rutherford backscattering analysis method) -HFS method (hydrogen forward scattering method). As a measuring device, a back scattering measuring device AN-2500 manufactured by Nissin High Voltage Co., Ltd. was used. The results are shown in Table 3.
[0086]
In Examples 1 to 9 and Comparative Examples 1 to 3, in consideration of hot filling, heat treatment was performed to reproduce the shrinkage of the container during hot filling after the DLC film was formed. The DLC film-coated plastic containers of each Example and each Comparative Example are allowed to stand for 10 minutes under hot water at 90 ° C., further quenched with water, dried, and then placed in an air atmosphere at 25 ° C. The oxygen permeability before and after the heat treatment and the adhesion strength after the heat treatment were measured.
[0087]
The oxygen permeability was measured with Oxtran2 / 20 manufactured by MOCON. The test was performed at 23 ° C. with an outside humidity of RH 60% and an inside humidity of RH 90%. The oxygen permeability is shown in Table 3.
[0088]
The adhesion strength after the heat treatment was measured by a grid tape method according to the condition 1 and a weighted scratching method according to the condition 2. The cross-cut tape method was evaluated as a ratio of the number of 100 divided by cuts and not peeled off by the tape. The results are shown in Table 3.
[0089]
As a container for hot filling, a case where it has sufficient adhesion strength even after heat treatment and has sufficient barrier properties as a gas barrier container is evaluated as a comprehensive evaluation, and either or both of adhesion strength and gas barrier property are insufficient. In some cases, the overall evaluation is shown in Table 3.
[0090]
[Table 3]
Figure 0003970169
[0091]
In Examples 1 to 9, since the DLC film was composed of the first layer and the second layer having different hydrogen atom contents, the container having excellent adhesion and being mainly composed of the second layer even after being exposed to heating conditions The gas barrier property of was able to be secured. In addition, since the first layer has a gradient composition so as to be connected to the second layer, generation of microcracks due to stress concentration or the like did not occur.
[0092]
On the other hand, in Comparative Example 1, since the material supply and the discharge were started immediately after reaching the set ultimate pressure, the quality of the first layer was unstable for each container. In Comparative Example 2, since it had a single composition structure with only a DLC film having a low hydrogen atom content, it became a hard film, and sufficient adhesion could not be secured under the shrinkage condition of the plastic by heating. In Comparative Example 3, since the internal pressure of the container is as high as 0.8 Torr (106 Pa), a discharge occurs in the tube of the internal electrode, the plasma inside the container is unstable, the strength is weak, the film thickness is reduced, and the oxygen barrier property Was not enough.
[0093]
【The invention's effect】
A DLC film formed on the inner surface of the container is composed of a first layer having a high hydrogen atom content and a second layer having a low hydrogen atom content and a thickness of at least 13 nm as compared with the first layer formed thereon. Constructing the first layer with a gradient composition with respect to the second layer, the present invention complicates this container by finding that a container compatible with all filling methods including hot filling can be obtained. It was possible to provide a method of manufacturing by simple source gas control without using a simple apparatus. That is, according to the manufacturing method of the present invention, the first layer has high adhesion to the plastic material, has a function capable of following the shrinkage of the plastic, and the second layer is relatively hard and has a gas barrier function. It is. Furthermore, since the first layer can easily have a gradient composition with respect to the second layer, stress concentration and microcracks at the boundary between the first layer and the second layer can be prevented.
[0094]
In particular, according to the present invention, a mass production rate (several hundreds / minute) of the same order as other devices such as a plastic container production line such as a blow molding machine can be realized with low cost and high reliability.
[0095]
In addition, the present invention proposes several optimum container internal pressure profiles for the container, and it is possible to provide a plurality of forms of the gradient composition of the first layer, which can be appropriately selected according to the application. Neither manufacturing method requires a complicated device mechanism for pressure control, and it is not necessary to control the displacement.
[0096]
In the present invention, when both “gas replacement” and “gradient film formation” are performed simultaneously as in the first embodiment, for example, the gradient film is formed in parallel with the time required for gas replacement. It can be shortened. This gas replacement can be performed in a very short time of, for example, 1 second or less by means of the arrangement relationship and operation of the flow rate regulator and the raw material supply valve.
[0097]
Furthermore, in the present invention, for example, in the case of performing gas replacement completely by dividing both “gas replacement” and “gradient film formation” as in the second and third embodiments, impurities are mixed in the DLC film. It is possible to produce a DLC film-coated plastic container that is small and excellent in reproducibility.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view of an apparatus for producing a DLC film-coated plastic container by a high-frequency plasma CVD method.
2A and 2B are schematic views of a bottle shape used in an embodiment of the present invention, in which FIG. 2A shows a heat-resistant round shape and FIG. 2B shows a heat-resistant square shape.
FIG. 3 is a view showing one form of a container internal pressure profile of a container corresponding to the first embodiment.
4 is a view showing one form of a container internal pressure profile of the container when the raw material gas flow rate is increased as compared with FIG. 3. FIG.
FIG. 5 is a view showing one form of a container internal pressure profile of the container when the amount of inflow of raw material gas at the beginning of supply is increased as compared with FIG.
FIG. 6 is a view showing one form of a container internal pressure profile of a container corresponding to the second embodiment.
7 is a view showing one form of a container internal pressure profile of the container when the raw material gas flow rate is increased as compared with FIG. 6. FIG.
FIG. 8 is a view showing one form of a container internal pressure profile of a container corresponding to the third embodiment.
[Explanation of symbols]
100, high-frequency plasma CVD film deposition system
1. Lower external electrode
2, upper external electrode
3. External electrode
4. Insulation material
5, lid
6. Chamber
7, PET bottle
8, O-ring
9. Internal electrode
9a, gas outlet
10. Matching unit
11. High frequency power supply
13. Vacuum gauge
14. Vacuum valve
16, vacuum pump
17. Duct exhaust
12, 15, 20, 22, 24, piping
21, Raw material supply valve
23. Mass flow controller
25. Source gas generation source
26. Raw material gas supply means

Claims (9)

プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、排気を継続しながら前記プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスをガス流量制御手段にて一定流量供給開始し、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とするDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。A vacuum evacuation process for evacuating the inside of the plastic container to a set ultimate pressure, while starting evacuation, a raw gas containing carbon source gas is started to be supplied at a constant flow rate by the gas flow control means, While the internal pressure is raised above the set film formation pressure and the pressure is reduced again to the set film formation pressure as the evacuation continues, a constant output of plasma generating energy is supplied to plasma the source gas inside the plastic container. A first layer film forming step of forming a DLC film having a high hydrogen atom content and a gradient composition on the inner surface of the plastic container as the first layer, and the set film formation while the source gas is still in plasma state A second layer forming step of forming a DLC film having a low hydrogen atom content and a constant composition as the second layer on the first layer while maintaining the pressure. Method for manufacturing a DLC film coated plastic container according to claim. 前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることを特徴とする請求項1記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。In the first layer film forming step, plasma generation of the source gas is started by supplying plasma generating energy with a constant output while raising the internal pressure of the plastic container to a set film forming pressure or higher. The method for producing a DLC film-coated plastic container according to claim 1. 前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間でほぼ最高内圧となったときに一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることを特徴とする請求項1記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。In the first layer film forming step, constant when the internal pressure of the plastic container is increased to the set film forming pressure or more and further reduced to the set film forming pressure again as evacuation continues until the internal pressure becomes almost the maximum internal pressure. 2. The method for producing a DLC film-coated plastic container according to claim 1, wherein the plasma generation of the raw material gas is started by supplying output plasma generating energy. 前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることを特徴とする請求項1記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。In the first layer film forming step, plasma generation of the raw material gas is started by supplying a constant output of plasma generating energy while the internal pressure of the plastic container is reduced again to the set film forming pressure as evacuation continues. The method for producing a DLC film-coated plastic container according to claim 1, wherein: 前記原料ガスの前記プラスチック容器の内部までの供給は、原料ガス発生源から発生させた前記原料ガスをガス流量制御手段により流量制御し、さらに前記ガス流量制御手段により流量制御された原料ガスを原料供給バルブで供給オン−オフを可能としたガス系統により行ない、且つ前記ガス流量制御手段から前記原料供給バルブ間に滞留する原料ガス量又は前記ガス流量制御手段の背圧の少なくともいずれか一方によって供給開始初期の原料ガス流入量を調節して、前記原料ガスの供給開始とともに上昇させる前記プラスチック容器の内圧の上昇量を制御することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。The supply of the raw material gas to the inside of the plastic container is performed by controlling the flow rate of the raw material gas generated from the raw material gas generation source by a gas flow rate control means, and further using the raw material gas whose flow rate is controlled by the gas flow rate control means as a raw material. Supply is performed by a gas system that enables supply on / off with a supply valve, and is supplied by at least one of the amount of raw material gas accumulated between the raw material supply valve and the back pressure of the gas flow control means from the gas flow control means. 5. The DLC film according to claim 1, wherein an amount of increase in the internal pressure of the plastic container, which is increased with the start of supply of the source gas, is controlled by adjusting a source gas inflow amount at an initial stage. Manufacturing method of coated plastic container. プラスチック容器の内圧の前記上昇量の制御は、前記原料ガスの供給開始による上昇量をもって行ない、排気量の調節を用いないことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。The DLC according to claim 1, 2, 3, 4, or 5, wherein the control of the increase amount of the internal pressure of the plastic container is performed by an increase amount by the start of supply of the raw material gas, and adjustment of the exhaust amount is not used. A method of manufacturing a membrane-coated plastic container. プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、排気を継続しながら前記プラスチック容器の内部に所定流量の炭素源ガスを含む原料ガスを供給して前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させるとともに前記プラスチック容器の内部をガス置換するガス置換工程、前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも少量のガス流量に設定した後、排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とするDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。A vacuum evacuation process for evacuating the inside of the plastic container to a set ultimate pressure, while supplying the raw material gas containing a carbon source gas at a predetermined flow rate to the inside of the plastic container while evacuating, and setting the internal pressure of the plastic container The gas replacement step of gas replacement inside the plastic container and the gas flow rate smaller than the gas flow rate of the raw material gas in the gas replacement step is set to the set film formation pressure as evacuation continues. While the pressure is reduced again, plasma generating energy having a constant output is supplied to turn the source gas inside the plastic container into plasma, and a DLC film having a high hydrogen atom content and a gradient composition is formed on the inner surface of the plastic container. A first layer forming step for forming a layer, and the set film forming pressure is maintained in a state in which the source gas is plasmatized. The second layer deposition process, the manufacturing method of the DLC film coated plastic container and having a capital of forming a DLC film having a constant composition at a content lower hydrogen atoms in the first layer as the second layer while. プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、前記プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスを設定成膜圧力で一定流量流している状態に安定化させて前記プラスチック容器の内部を前記原料ガスでガス置換するガス置換工程、前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも多量のガス流量に設定して前記プラスチック容器の内圧を前記設定成膜圧力よりも上昇させて所定時間経過後に前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量に再度設定して内圧上昇を停止させてさらに前記設定成膜圧力まで再び減圧させ、且つ前記内圧上昇が停止したときに一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させ、水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とするDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。An evacuation process for evacuating the interior of the plastic container to a set ultimate pressure, and stabilizing the interior of the plastic container so that a source gas containing a carbon source gas flows at a constant flow rate at a set film forming pressure inside the plastic container. A gas replacement step of replacing the gas with the source gas, a gas flow rate larger than the gas flow rate of the source gas in the gas replacement step, and increasing the internal pressure of the plastic container above the set film formation pressure for a predetermined time After the elapse of time, the gas flow rate of the source gas in the gas replacement step is set again to stop the increase in internal pressure, and the pressure is further reduced to the set film formation pressure. To make the source gas inside the plastic container into plasma, and a DLC film having a high hydrogen atom content and a gradient composition A first layer film forming step for forming a first layer, a DLC film having a low hydrogen atom content and a constant composition on the first layer while maintaining the set film forming pressure in a state where the source gas is turned into plasma. And a second layer film forming step of forming a DLC film-coated plastic container as a second layer. 前記プラスチック容器の内部に口部から内部電極を挿入し、前記プラスチック容器の外側に外部電極を配置した後、前記外部電極に高周波電力を供給して前記原料ガスをプラズマ化することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。An internal electrode is inserted into the inside of the plastic container and an external electrode is disposed outside the plastic container, and then high frequency power is supplied to the external electrode to convert the source gas into plasma. A method for producing a DLC film-coated plastic container according to claim 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 or 8.
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