JP3968815B2 - 放射線画像欠点検出方法及び放射線画像欠点検出装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体プレート)等の放射線画像変換パネルが有する微小な欠陥(画像欠点)を検出する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ある種の蛍光体に放射線(X線、α線、β線、r線、紫外線等)を照射すると、この放射線エネルギーの一部が蛍光体中に蓄積される。そして、この蛍光体に可視光等の励起光を照射すると、蓄積されたエネルギーに応じて蛍光体が輝尽発光を示すことが知られている。このような性質を示す蛍光体は蓄積性蛍光体若しくは輝尽性蛍光体と呼ばれる。
【0003】
この輝尽性蛍光体を利用して、人体等の放射線画像情報を一旦シート上に設けられた蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体プレート)に記録し、この輝尽性蛍光体プレートをレーザ光等の励起光で走査して輝尽発光光を生ぜしめ、得られた輝尽発光光を光電的に読み出して画像信号を得ることが可能である。
【0004】
図10は輝尽性蛍光体プレートへの画像(例えば、診断用画像)の記録(撮影)方法を示す模式図である。
この図10において、X線装置10から出射されたX線は、被写体Mに照射される。そして、被写体Mを透過したX線は、輝尽性蛍光体プレート21に入射し、これによって、輝尽性蛍光体プレート21に被写体Mの画像の潜像が形成される。
【0005】
この潜像を読み取る際には、まず、励起光発生部22で発生したレーザ光を偏向器23により走査して、潜像が形成された輝尽性蛍光体プレート21に対して照射する。
【0006】
そして、それにより発光した輝尽性発光光を集光体24で集光し、光電子増倍管25(フォトマルチプライヤー)で光電変換し、その電気信号をLOGアンプ27で増幅・対数変換し、A/D変換器28でディジタル信号に変換する。このようにして、ディジタル信号としての画像データを読み取るようにする。
【0007】
しかしながら、輝尽性蛍光体プレートはその全面において常に均一ではあり得ず、画像欠点と呼ばれる微小な欠陥を含んでいることがある。
この種の技術としては、特許第2532940号公報に偽画像信号の検出方法として記載されたものがある。
【0008】
これは、被写体を撮影した後に、しきい値よりも低い値をとる特異画像信号を求め、これが隣接して幾つ存在しているかを調べ、この画素数が所定値以上である場合に、偽画像信号(≒画像欠点)とみなすようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
▲1▼上述したように被写体情報を含んだ画像から画像欠点を検出する場合、画像欠点に似た被写体の細かい構造物(血管,骨,微小石灰化部分など)が画像欠点と重なっていると、画像欠点を検出する深さのしきい値が設定しづらく、画像欠点の正確な大きさを求められない。
【0010】
▲2▼画像データを含む放射線画像情報には画像欠点と誤検出しやすい高周波のノイズ成分を含んでおり、ノイズと画像欠点とを区別しつつ画像欠点のみを検出する必要があり、検出時間が大きくなる傾向があった。
【0011】
▲3▼画像データを含む放射線画像情報から画像形成を検出する場合、同じプレートを使用する場合でも、撮影のたびに検出を行う必要があった。
本発明は以上のような被写体情報やノイズと区別し難い画像欠点の検出の問題を解決するためになされたもので、その目的は、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点を検出することが可能な放射線画像欠点検出方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
従って、課題を解決する手段としての発明は、以下に説明するものである。
【0029】
(1)請求項1記載の発明は、放射線画像変換パネルに被写体を透過させずに放射線を照射してベタ画像データを作成し、このベタ画像データについて、注目画素の近傍領域を含めたフィルタ処理による平滑化処理を行って高周波成分を除去して高周波成分除去画像データを作成し、この高周波成分除去画像データに基づいて画像欠点の位置に関する画像欠点位置情報を抽出するとともに、前記画像欠点位置情報に基づいて前記ベタ画像データから前記画像欠点大きさ情報若しくは画像欠点深さ情報を抽出することにより画像欠点を検出することを特徴とする放射線画像欠点検出方法である。
【0030】
また、請求項6記載の発明は、放射線画像変換パネルに被写体を透過させずに放射線を照射することにより作成されたベタ画像データについて、注目画素の近傍領域を含めたフィルタ処理による平滑化処理を行って高周波成分を除去して高周波成分除去画像データを作成する画像処理手段と、この高周波成分除去画像データに基づいて画像欠点の位置に関する画像欠点位置情報を抽出するとともに、前記画像欠点位置情報に基づいて前記ベタ画像データから前記画像欠点大きさ情報若しくは画像欠点深さ情報を抽出することにより画像欠点を検出する画像欠点検出手段と、を有することを特徴とする放射線画像欠点検出装置である。
【0031】
このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから高周波成分除去画像データを生成して画像欠点の検出を行うようにしていることで、被写体情報が存在しない状態のデータについて、高周波成分のノイズが除去された状態で画像欠点を検出することができるようになる。
【0032】
このため、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。また、高周波成分のノイズと画像欠点とを区別する必要もなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0033】
この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の存在の有無及びその位置を検出することが可能になる。
【0036】
このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから高周波成分除去画像データを生成して画像欠点の位置についての検出を行うようにしていることで、被写体情報が存在しない状態のデータについて、高周波成分のノイズが除去された状態で画像欠点を検出することができるようになる。
【0037】
このため、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。また、高周波成分のノイズと画像欠点とを区別する必要もなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0038】
この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の存在の有無及びその位置を検出することが可能になる。
【0041】
このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから高周波成分除去画像データを作成し、この高周波成分除去画像データから画像欠点の位置を求めていることで、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができ、位置検出の際には、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。また、高周波成分のノイズと画像欠点とを区別する必要もなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0042】
そして、高周波成分除去画像データから検出された位置情報を参照して元になるベタ画像データから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出するようにしていることで、画像欠点の大きさと深さとを正確に検出することができるようになる。
【0043】
この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の存在の有無及びその位置を検出することが可能になる。
【0044】
(2)請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の放射線画像欠点検出方法において、前記高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出することを特徴とするものである。
【0045】
また、請求項7記載の発明は、前記請求項6記載の放射線画像欠点検出装置において、前記画像欠点検出手段は、前記高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出することを特徴とするものである。
【0046】
このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから作成された高周波成分除去画像データに基づいて、高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出していることで、被写体情報と高周波ノイズ成分とが存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができる。
【0047】
この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の位置,大きさ及び深さを検出することが可能になる。
【0048】
(3)請求項3記載の発明は、前記請求項2記載の放射線画像欠点検出方法において、前記所定の画像データレベル範囲は、対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値であることを特徴とするものである。
【0049】
また、請求項8記載の発明は、前記請求項7記載の放射線画像欠点検出装置において、前記所定の画像データレベル範囲は、対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値であることを特徴とするものである。
【0050】
このように、抽出対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値を所定の画像データレベル範囲として用いることで、画像に含まれる低周波成分のムラ(X線照射ムラ,パネルのX線感度ムラやシェーディング等の各種のムラ)が存在している場合でも、データレベル範囲と画像欠点データレベルとの差(バランス)が一定になり、検出漏れを生じないようにすることができる。
【0051】
従って、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができ、かつ、高周波成分や低周波成分が除かれたデータを基準値として用いることができるようになる。
【0052】
(4)請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の放射線画像欠点検出方法において、被写体を透過させずに放射線を照射することにより放射線画像情報が記録された前記放射線画像変換パネルを走査し、読み取ることにより、前記ベタ画像データを作成することを特徴とするものである。
【0053】
また、請求項9記載の発明は、前記請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の放射線画像欠点検出装置において、前記放射線画像変換パネル上を走査して放射線画像情報を読み取る読み取り手段を有し、被写体を透過させずに放射線を照射した前記放射線画像変換パネル上を走査して得られる放射線画像情報をベタ画像データとする、ことを特徴とするものである。
【0054】
このような走査により読み取るものでは読み取る毎にパネルに対して走査ズレが生じることがあるが、実際に被写体を撮影した撮影画像データにおいて画像欠点の補正をする際に、ベタ画像データと撮影画像データとで画像欠点の位置,大きさ,深さ,形状などを合わせるようにすることで走査ズレに対処することができる。
【0055】
このように、走査し読み取ってベタ画像データを生成することで、ノイズを含んだ状態のパネルから読み取った画像データにおいて迅速かつ正確に画像欠点の位置,大きさ,深さを検出して補正するに適している。
(5)請求項5記載の発明は、前記請求項1〜4のいずれかにおいて、前記フィルタ処理は、2次元マスク移動フィルタによる処理である、ことを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、前記請求項6〜9のいずれかにおいて、前記画像処理手段は、2次元マスク移動フィルタにより前記フィルタ処理を行う、ことを特徴とする。
【0056】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態例について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施の形態例の放射線画像欠点検出装置、または、本発明の実施の形態例の放射線画像欠点検出方法を実施する装置の一例を示す構成図である。
【0057】
この図1において、X線装置10は被写体MにX線を照射するための装置であり、X線照射の制御を行う制御部12と、制御部12の制御のもとでX線を照射するX線管13で構成されている。
【0058】
また、画像入力装置20はX線を読み取るための装置であり、ここでは請求項でいうベタ画像データ作成手段を構成するものであり、輝尽性蛍光体プレートに被写体Mを透過させずに一様な放射線を照射したときの輝尽性蛍光から検出されるベタ画像データを作成するものである。
【0059】
すなわち、この画像入力手段20は、輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルである輝尽性蛍光体プレート21,レーザ光などの励起光を発する励起光発生部22,ポリゴンミラーなどを用いて励起光を走査する走査ミラー23,輝尽性蛍光体プレート21での輝尽発光を集める集光体24,読み取り部としてのフォトマルチプライヤ25,フォトマルチプライヤ駆動用の高圧電源26,フォトマルチプライヤ25の出力(アナログ画像信号)を所定の特性で電圧増幅するLOGアンプ27,アナログ画像信号をディジタルのイメージデータに変換してベタ画像データとして出力するA/D変換器28,から構成されている。
【0060】
そして、この実施の形態例において特徴部分となる画像欠点検出装置30は画像欠点を検出するための装置であり、ここでは請求項でいう画像欠点検出手段を構成するものであり、ベタ画像データそのものではなく別途作成した高周波成分除去画像データから画像欠点の座標を画像欠点位置情報として抽出し、そして、この画像欠点位置情報を参照して元になっているベタ画像データから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出するものである。
【0061】
すなわち、この画像欠点検出装置30は、ベタ画像データを記憶する画像記憶部31,記憶されたベタ画像データに高周波成分除去の画像処理を施して高周波成分除去画像データを作成する画像処理部31,高周波成分除去画像データを記憶する画像記憶部33,高周波成分除去画像データから画像欠点の座標を画像欠点位置情報として抽出し、この画像欠点位置情報を参照して元になっているベタ画像データから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出する画像欠点検出部34,画像欠点に関するデータ(画像欠点位置情報、画像欠点大きさ情報及び画像欠点深さ情報)を記憶する画像欠点記憶部35,から構成されている。
【0062】
尚、ここでは画像欠点検出装置30を機能ブロック毎に示した一例であるため、各記憶部(画像記憶部31、画像記憶部33及び画像欠点記憶部35)を共通のメモリ手段で構成し、画像処理部32と画像欠点検出部34とを共通のプロセッサ及びソフトウェア等で構成することが可能である。
【0063】
<位置検出>
ここで、図2以降のフローチャート及び説明図を参照して本実施の形態例の動作説明を行う。
【0064】
(1)まず、X線装置10から輝尽性蛍光体プレート21に対して一様なX線を照射し、このときの輝尽性蛍光体プレート21を画像入力装置20で読取ってベタ画像データを作成する(図2S1)。
【0065】
すなわち、X線装置10から出射されたX線は、一切の被写体を通過しない状態で輝尽性蛍光体プレート21に照射される。これによって、輝尽性蛍光体プレート21に一様な画像(ベタ)の潜像が形成される。
【0066】
この潜像を読み取る際には、まず、励起光発生部22で発生したレーザ光を偏向器23により走査して、潜像が形成された輝尽性蛍光体プレート21に対して照射する。
【0067】
そして、それにより発光した輝尽性発光光を集光体24で集光し、フォトマルチプライヤー25で光電変換し、その電気信号をLOGアンプ27で増幅・対数変換し、A/D変換器28でディジタルのイメージデータとしてのベタ画像データに変換する。このようにして、作成されたベタ画像データは画像欠点検出装置30内の画像記憶部31に記憶される。
【0068】
この状態では、輝尽性蛍光体プレート21はその全面において常に均一ではあり得ず、画像欠点と呼ばれる微小な欠陥やX線照射による高周波ノイズ成分をを含んでいる。
【0069】
図3▲1▼はこのようなベタ画像データ作成を示しており、全面に広がっている多数の小さな点は高周波ノイズ成分を模式的に示しており、少し大きな点は画像欠点を模式的に示している。
【0070】
(2)そして、画像記憶部31に記憶されているベタ画像データについて、画像処理部32がベタ画像データの高周波成分を除去して高周波成分除去画像データを作成する(図2S2)。
【0071】
図3▲2▼はこのような画像処理の様子を示しており、ベタ画像データに含まれていた高周波成分ノイズが除去され、画像欠点が残された様子を模式的に示している。
【0072】
尚、この画像処理では、注目画素の近傍領域を含めたフィルタ処理による平滑化処理(2×2の2次元マスク移動フィルタや3×3の2次元マスク移動フィルタ)を、全画素について行うようにしている。
【0073】
そして、このようにして作成された高周波成分除去画像データは画像記憶部33に記憶される。
尚、この高周波成分除去の画像処理については、ベタ画像データの全体を行う代わりに、予め定めた関心領域のみについて行うようにしてもよい。
【0074】
ここで、関心領域とは、画像欠点検出を行う領域として指示された領域のことであり、輝尽性蛍光体プレート21の読み取り可能領域の全域や、被写体の撮影に利用される領域のことである。
【0075】
(3)ここで、画像記憶部33に記憶された高周波成分除去画像データを用いて画像欠点検出部34が画像欠点を検出し、その座標を画像欠点位置情報として抽出し画像欠点記憶部35に記憶させる(図2S3)。
【0076】
尚、この画像欠点の存在の有無及び位置情報の調べ方については、以下の項目について調べ、また以下のように表すものとする。
・各画像欠点について、画像欠点の信号値の最小値(若しくは最大値)がある座標(x,y)
・各画像欠点について、画像欠点の信号値の最小値(若しくは最大値)がある実寸位置
・各画像欠点について、画像欠点の信号値の最小値(若しくは最大値)がある出力位置
・各画像欠点について、2次元又は1次元の方向に(但し、検出済みの画像欠点はとばして)検出して行ったとき、初めて見つかった画素の座標(x,y)、実寸位置、出力位置
尚、ここで、実寸位置とは輝尽性蛍光体プレート21上での実際の測定された位置であり、出力位置とは出力媒体(X線フィルム,CRT表示装置など)において出力される位置を意味している。尚、出力位置は出力する大きさによって変化する。
【0077】
この(1)〜(3)に説明したように、元のベタ画像データではなく別途作成した高周波成分除去画像データから画像欠点の検出を行うようにしていることで、高周波ノイズ成分が除去された状態で画像欠点を検出することができるようになる。
【0078】
このため、データとして近似している高周波ノイズ成分と画像欠点とを区別する必要がなくなり、元のベタ画像データにノイズが多く含まれている場合であっても画像欠点の検出時間が大きくなることはない。
【0079】
この結果、ノイズを含んだ状態の輝尽性蛍光体プレート21において、迅速かつ正確に画像欠点の存在の有無及びその位置を検出することが可能になる。
ここで、画像欠点の位置情報を検出する処理(画像欠点位置情報検出シーケンス)について、図4を参照して更に詳しく説明を行う。
【0080】
まず、画像記憶部33に記憶された高周波成分除去画像データを画像欠点検出部34が選択し、別途指示された関心領域の初期位置を始点として画像欠点検出処理を開始する(図4S1)。
【0081】
ここで、関心領域とは画像欠点検出を行う領域として指示された領域のことであり、輝尽性蛍光体プレート21の読み取り可能領域の全域や、被写体の撮影に利用される領域のことである。尚、この関心領域が特に指示されない場合には、輝尽性蛍光体プレート21の全体を関心領域として画像欠点検出を行う。
【0082】
そして、上述した初期位置を始点として一定方向にスキャンをしていって、高周波成分除去画像データの信号値が、所定のデータレベル範囲から外れる画素に注目し、そのように画素が互いに隣接して一塊になっている画素群を1つの画像欠点とする(図4S2)。
【0083】
この様子を模式的に図5(a)に示す。ここでは、所定のデータレベル範囲外の画像欠点若しくは微小ノイズとして、a,b,c,dの4つの画素群が検出される。
【0084】
また、このデータレベル範囲とは、正と負の両方の振幅の画像欠点に対応できるように、0を中心にして両側に一定の幅を有する範囲である。
このデータレベル範囲は、対象とされている画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値、例えば、平均値を0として正規化して一定の幅を持たせることで、低周波成分のうねりが存在していても確実な検出が行えるようになる。
【0085】
すなわち、画像に含まれる低周波成分のムラ(X線照射ムラ,パネルのX線感度ムラやシェーディング等の各種のムラ)が存在している場合でも、データレベル範囲と画像欠点データレベルとの差(バランス)が一定になり、検出漏れを生じないようにすることができる。
【0086】
また、ここで、データレベルの平均値を求める場合には、高周波成分除去画像データ、ベタ画像データのいずれであってもよい。
尚、この画像欠点検出では、既に高周波ノイズ成分は除去されていたデータを対象としているので、画像欠点か高周波ノイズかの判断作業を省くことができ、上記の画素群による塊以外の部分を読み飛ばすことによって高速に処理を実行できる。
【0087】
図3▲3▼はこのような画像欠点位置情報検出の様子を示しており、高周波成分ノイズが除去されたデータにおいて画像欠点を構成する画素群の位置が検出される様子を模式的に示している。
【0088】
そして、画像欠点であると判定された場合には、上述した画素の座標や輝尽性蛍光体プレート21の実寸位置等を画像欠点位置情報として画像欠点記憶部35に格納する(図4S3)。そして、以上のような位置情報検出処理を関心領域の全ての画素について行なうようにする(図4S4,S5→S2)。
【0089】
この場合、画像欠点位置情報として、画像欠点の存在の有無のフラグ,1枚の輝尽性蛍光体プレート内の画像欠点の総個数の情報等を付加して記憶させるようにしてもよい。
【0090】
(4)そして、画像欠点検出部34は、上記(3)で求められた画像欠点位置情報を画像欠点記憶部35から読み出して参照し、元になっているベタ画像データを画像記憶部31から読み出して検出対象として選択し、これらから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出する(図2S4)。
【0091】
尚、画像欠点の信号値の平均値との差(画像欠点のレベル)については、正の場合と負の場合とが存在しているが、本実施の形態例ではこれを全て深さ情報と呼ぶことにする。
【0092】
このように、ベタ画像データではなく高周波成分除去画像データから画像欠点の位置を別途検出しておき、この画像欠点位置情報を参照して元になるベタ画像データから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出することで、画像欠点の大きさと深さとについても迅速かつ正確に検出することができるようになる。
【0093】
ここで、画像欠点の大きさ情報と深さ情報とを検出する処理(画像欠点大きさ情報・深さ情報検出シーケンス)について、図6を参照して更に詳しく説明を行う。
【0094】
まず、画像欠点検出部34は、画像欠点位置情報を画像欠点記憶部35から読み出して参照情報として選択し、元になっているベタ画像データを画像記憶部31から読み出して検出対象として選択する(図6S1)。
【0095】
そして、参照情報としての画像欠点位置情報に含まれる画像欠点の座標を開始点として、画像欠点大きさ情報・深さ情報検出シーケンスの処理を開始する(図6S2)。
【0096】
そして、5画素×5画素〜50画素×50画素程度の2次元マスクを用意し、ベタ画像データについて上述した最小値若しくは最大値を中心にしてマスク内の他の画像欠点やノイズを誤って検出しないようにしつつ、ベタ画像データで基点を求め、ベタ画像データの信号値が平均値よりも上か下になっている画素に注目し、そのような画素が互いに隣接している画素数をカウントすることで大きさ情報を求める(図6S3)。
【0097】
図3▲4▼はこのような画像欠点大きさ情報・深さ情報検出の様子を示しており、元になるベタ画像データにおいて画像欠点の大きさと深さが検出される様子を模式的に示している。
【0098】
また、上記図5(a)で検出した画像欠点a〜dについて大きさと深さとを検出する様子を、図5(b)を用いて説明する。この図5(b)では、画像欠点a〜dを含むベタ画像データについて、検出対象画素の近傍画素のデータレベルの平均値を基準にして深さ情報(ah ,bh ,ch ,dh )を検出する様子を示している。このように、近傍画素のデータレベルの平均値に基づいて深さ情報を検出することで、低周波成分のうねりが存在していても確実な検出が行えるようになる。
【0099】
また、大きさ情報についても、近傍画素のデータレベルの平均値に基づいて検出することで、低周波成分のうねりが存在していても確実な検出が行えるようになる。
【0100】
尚、大きさ情報の求め方、表し方としては、面積,径などによることが可能であり、
(1)読み取り面積=(1画素あたりの読み取り面積)×(画素数)
(2)出力面積=(1画素あたりの読み取り面積)×出力倍率
(3)外(内)接する円の面積
(4)外(内)接する長方形の面積
(5)読み取り面積を円に換算した場合の直径若しくは半径
(6)外(内)接する円の直径若しくは半径
(7)ノイズを除いたヒストグラムの累積信号値
(8)信号値の合計
(9)平均値との差の合計
などを用いることが可能である。
【0101】
図7(a)の左側は1画素あたりの読み取り面積を表しており、ここでは100μm×100μmになっている。また、図7(a)の右側は画像欠点として読み取られた画素を示しており、例えば8画素であったとする。この場合、上記(1) の読み取り面積は、80000μm2となる。
【0102】
また、図7(b)の左側は上述の場合と同じ読み取り画素を示しており、これを4倍(面積)の出力倍率でCRTモニタやX線フィルムなどに出力する場合には、上記(2) の式に従って、図7(b)右側のような4倍の出力面積となる。尚、出力倍率が一方の軸の倍率である場合には2乗して面積の倍率に換算する必要がある。
【0103】
また、上記(3) のように内接円や外接円の面積で画像欠点の大きさを表す場合には、画像欠点について図8(a)のような読み取り画素が存在するとき、内接円については図8(b)、外接円については図8(c)のようにする。
【0104】
尚、この場合に、読み取りの1画素に内(外)接する円の直径をR0 とした場合に、画像欠点に内(外)接する円の直径Rと前記R0 の比の2乗と読み取りの1画素の面積とで、上記(5) のように画像欠点の大きさを表すことが可能になる。
【0105】
また、上記(4) のように内(外)接する長方形を用いて画像欠点の大きさを表す場合には、画像欠点について図8(a)のような読み取り画素が存在するとき、内接長方形については図8(d)、外接長方形については図8(e)のようにする。この場合、長方形のxとyとにより画像欠点の大きさを表すことが可能になる。
【0106】
また、このようにしてカウントした画素の信号値について、近傍画素のデータレベルの平均値と比較して信号レベルを算出して深さ情報を取得する(図6S4)。これら大きさ情報の取得と深さ情報の取得については、並行若しくは連続して行なうようにすればよい。
【0107】
尚、深さ情報の求め方、表し方としては、
(1) 上述した面積に対する後述する体積の比
(2) 最小値若しくは最大値と平均値との差
などを用いることが可能である。
【0108】
尚、ここでも信号値との比較対象になる平均値とは、▲1▼ベタ画像データ全体の信号値の平均値、若しくは、▲2▼検出を行っている画素近傍の画素の信号値による平均値のいずれかとする。ベタ画像データ全体に大きなムラやシェーディングのような周波数の低い変動が存在する場合には、近傍の画素による平均値を用いることが、正確に検出できる点で好ましい。
【0109】
また、以上の大きさ情報と深さ情報とを総合的に表す方法として、
(1)外接する円すい又は四角すいの体積
を用いることができる。
【0110】
例えば、以上の外接円や内接円により画像欠点の大きさを表す場合、画像欠点の深さをhとした場合には、図8(b)の内接円で大きさを表した状態では図9(a)のような内接円すいの体積で大きさと深さとを合わせて表すことが可能になる。同様に、図8(c)の外接円で大きさを表した状態では図9(b)のような外接円すいの体積で大きさと深さとを合わせて表すことが可能になる。このようにして上に示したように円すいの体積を用いることができる。尚、ここでは内接円や外接円を用いたが、上述した内接長方形や外接長方形を用いることで、四角すいの体積を用いることが可能になる。
【0111】
そして、以上説明したような画像欠点大きさ情報・深さ情報検出処理を、画像欠点位置情報に含まれる全ての座標について行なうようにする(図6S5,S6→S3)。
【0112】
この場合、画像欠点大きさ情報・深さ情報検出処理により得られた大きさ情報と深さ情報とは画像欠点記憶部35に記憶させるようにする。そして、前述した画像欠点位置情報と関連付けて大きさ情報と深さ情報とを記憶させるようにしてもよい。
【0113】
この(4)に説明したように、ベタ画像データではなく高周波成分除去画像データから画像欠点の位置情報を別途検出しておき、この位置情報を参照して元になるベタ画像データから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出するようにしていることで、画像欠点の大きさと深さとを迅速かつ正確に検出することができるようになる。
【0114】
また、今までの(1)〜(4)に説明したように、ベタ画像データではなく高周波成分除去画像データから画像欠点の検出を行うようにしていることで、高周波ノイズ成分が除去された状態で画像欠点を検出することができるようになる。このため、ノイズと画像欠点とを区別する必要がなくなり、ノイズが多く含まれたベタ画像データであっても検出時間が大きくなることはない。
【0115】
そして、ベタ画像データではなく高周波成分除去画像データから画像欠点の位置を別途検出しておき、この位置情報を参照して元になるベタ画像データから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出するようにしていることで、画像欠点の大きさと深さとを正確に検出することができるようになる。
【0116】
この結果、ノイズを含んだ状態の輝尽性蛍光体プレート21において迅速かつ正確に画像欠点の位置情報,大きさ情報及び深さ情報の全てを正確かつ迅速に検出することが可能になる。
【0117】
また、以上の全てに関連して、元になるベタ画像データとして、被写体情報を含まない一様な画像データを使用していることで、正確な画像欠点の検出を行う効果が一層高まっている。
【0118】
尚、以上の説明においては、位置情報の検出のスキャンが完了してから大きさ情報と深さ情報との検出を行うように説明してきたが、画像欠点検出部34や各記憶部がマルチタスク可能に構成されている場合には、位置情報の検出のスキャン中に発見された画像欠点の大きさ情報と深さ情報とを並行して求めることも可能である。
【0119】
また、以上の各実施の形態例では、高周波成分除去画像データを用いて画像欠点の位置情報を抽出するようにしたが、ベタ画像データから画像欠点の位置情報を抽出してもよい。この場合にも、被写体情報を含まない一様な画像データを使用していることで、正確な画像欠点の検出を行う効果が得られる。
【0120】
また、以上の各実施の形態例では、放射線画像変換パネルとして輝尽性蛍光体層を有するパネル(輝尽性蛍光体プレート)を用いたが、これ以外に放射線画像変換パネルに該当するものとして、
・非結晶セレニウム等の半導体ディテクタを用いて、放射線の照射により生成される半導体ディテクタ表面の局所抵抗値の変化を利用して電気的に放射線画像情報を読み出す,
・同様な半導体ディテクタを用いて、放射線の照射により半導体ディテクタ内部に生成される電荷を微小な電荷収集電極により集め、TFT(Thin Film Transistor)等を利用して、画素毎の電荷量を読み出す,
・放射線量子計数型検出器を用いて放射線エネルギーを直接電気信号に変換して放射線画像欠点情報を読み取る,
・増感紙を用いてCCD等の固体撮像素子で読み取る,
などを用いることが可能であり、同様な効果が得られる。
【0121】
また、同様にして、以上の各実施の形態例の説明ではレーザ光を用いて走査露光するものとしたが、上述したようにレーザ光に限らず走査露光するもの、露光を用いずにディテクタ(センサ)を走査して読み取るもの、を用いることが可能である。
【0122】
そして、このような走査露光により得られる光を検出して読み取るものや、走査により読み取るものでは読み取る毎にパネルに対して走査ズレが生じることがあるが、実際に被写体を撮影した撮影画像データにおいて画像欠点の補正をする際に、ベタ画像データと撮影画像データとで画像欠点の位置,大きさ,深さ,形状などを合わせるようにすることで走査ズレに対処することができる。
【0123】
すなわち、このように、走査してベタ画像データを生成することで、ノイズを含んだ状態のパネルから読み取った画像データにおいて迅速かつ正確に画像欠点の位置,大きさ,深さを検出して補正するに適している。
【0124】
以上詳細に説明したように、本発明の各実施の形態例の放射線画像欠点検出方法と放射線画像欠点検出装置とにより、以下に示すような動作により効果とが得られる。
【0125】
(a) 略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから画像欠点の検出を行うことで、被写体情報が存在しない状態のデータから画像欠点を検出することができるようになる。このため、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0126】
(b) 略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから画像欠点の位置,大きさ,深さのいずれかについての検出を行うことで、被写体情報が存在しない状態のデータから画像欠点を検出することができるようになる。このため、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0127】
(c) 略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから最初に画像欠点の位置を求め、次に、大きさ若しくは深さを求めることで、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求め、更に位置を参照して効率良く正確に深さ若しくは大きさを検出することができるようになる。このため、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0128】
(d) 略均一な放射線を照射して得たベタ画像データに基づいて、ベタ画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出していることで、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができる。この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の存在の有無及びその位置を検出することが可能になる。
【0129】
(e) 略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから高周波成分除去画像データを生成して画像欠点の検出を行うことで、被写体情報が存在しない状態のデータについて、高周波成分のノイズが除去された状態で画像欠点を検出することができるようになる。このため、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。また、高周波成分のノイズと画像欠点とを区別する必要もなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0130】
(f) 略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから高周波成分除去画像データを生成して画像欠点の位置についての検出を行うことで、被写体情報が存在しない状態のデータについて、高周波成分のノイズが除去された状態で画像欠点を検出することができるようになる。このため、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。また、高周波成分のノイズと画像欠点とを区別する必要もなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0131】
(g) 略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから高周波成分除去画像データを作成し、この高周波成分除去画像データから画像欠点の位置を求めることで、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができ、位置検出の際には、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。また、高周波成分のノイズと画像欠点とを区別する必要もなくなり、検出時間を短縮することができる。そして、高周波成分除去画像データから検出された位置情報を参照して元になるベタ画像データから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出することで、画像欠点の大きさと深さとを正確に検出することができるようになる。
【0132】
(h) 略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから作成された高周波成分除去画像データに基づいて、高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出することで、被写体情報と高周波ノイズ成分とが存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができる。この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の位置,大きさ及び深さを検出することが可能になる。
【0133】
(i) 抽出対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値を所定の画像データレベル範囲として用いることで、画像に含まれる低周波成分のムラ(X線照射ムラ,パネルのX線感度ムラやシェーディング等の各種のムラ)が存在している場合でも、データレベル範囲と画像欠点データレベルとの差(バランス)が一定になり、検出漏れを生じないようにすることができる。
【0134】
従って、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができ、かつ、高周波成分や低周波成分が除かれたデータを基準値として用いることができるようになる。この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の位置を検出することが可能になる。
【0135】
(j) 放射線画像欠点検出方法及び装置において、被写体を透過させずに放射線を照射することにより放射線画像情報が記録された放射線画像変換パネルを走査し、読み取ることにより、ベタ画像データを作成する。
【0136】
このような走査により読み取るものでは読み取る毎にパネルに対して走査ズレが生じることがあるが、実際に被写体を撮影した撮影画像データにおいて画像欠点の補正をする際に、ベタ画像データと撮影画像データとで画像欠点の位置,大きさ,深さ,形状などを合わせるようにすることで走査ズレに対処することができる。
【0137】
このように、走査してベタ画像データを生成することで、ノイズを含んだ状態のパネルから読み取った画像データにおいて迅速かつ正確に画像欠点の位置,大きさ,深さを検出して補正するに適している。
【0138】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この明細書に記載の各発明によれば以下に示す(1)〜(10)のような効果が得られる。
【0155】
(1)請求項1記載の放射線画像欠点検出方法の発明では、ベタ画像データから高周波成分除去画像データを作成し、そしてこの高周波成分除去画像データから画像欠点位置情報を抽出し、次に画像欠点位置情報に基づいてベタ画像データから画像欠点大きさ情報若しくは画像欠点深さ情報を抽出するようにしている。
【0156】
このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから高周波成分除去画像データを作成し、この高周波成分除去画像データから画像欠点の位置を求めていることで、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができ、位置検出の際には、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。また、高周波成分のノイズと画像欠点とを区別する必要もなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0157】
そして、高周波成分除去画像データから検出された位置情報を参照して元になるベタ画像データから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出するようにしていることで、画像欠点の大きさと深さとを正確に検出することができるようになる。この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の存在の有無及びその位置を検出することが可能になる。
【0158】
(2)請求項2記載の放射線画像欠点検出方法の発明では、画像欠点位置情報を抽出する際には、前記高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出するようにしている。
【0159】
このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから作成された高周波成分除去画像データに基づいて、高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出していることで、被写体情報と高周波ノイズ成分とが存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができる。この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の位置,大きさ及び深さを検出することが可能になる。
【0160】
(3)請求項3記載の放射線画像欠点検出方法の発明では、抽出対象となる画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較して画像欠点位置情報を抽出する際に、抽出対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値を所定の画像データレベル範囲として用いるようにしている。
【0161】
このように、抽出対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値を所定の画像データレベル範囲として用いることで、画像に含まれる低周波成分のムラ(X線照射ムラ,パネルのX線感度ムラやシェーディング等の各種のムラ)が存在している場合でも、データレベル範囲と画像欠点データレベルとの差(バランス)が一定になり、検出漏れを生じないようにすることができる。
【0162】
従って、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができ、かつ、高周波成分や低周波成分が除かれたデータを基準値として用いることができるようになる。この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の位置を検出することが可能になる。
【0163】
(4)請求項4記載の放射線画像欠点検出方法の発明では、以上の(1)〜(3)の各々の放射線画像欠点検出方法に関して、被写体を透過させずに放射線を照射することにより放射線画像情報が記録された放射線画像変換パネルを走査し、放射線画像情報を読み取ることにより、ベタ画像データを得るようにしている。
【0164】
このような走査により読み取るものでは読み取る毎にパネルに対して走査ズレが生じることがあるが、実際に被写体を撮影した撮影画像データにおいて画像欠点の補正をする際に、ベタ画像データと撮影画像データとで画像欠点の位置,大きさ,深さ,形状などを合わせるようにすることで走査ズレに対処することができる。
【0165】
このように、走査してベタ画像データを生成することで、ノイズを含んだ状態のパネルから読み取った画像データにおいて迅速かつ正確に画像欠点の位置,大きさ,深さを検出して補正するに適している。
【0166】
(5)請求項5記載の発明は、以上の(1)〜(4)に関して、前記フィルタ処理は、2次元マスク移動フィルタによる処理を実行するようにしている。このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから、2次元マスク移動フィルタのフィルタ処理によって高周波成分除去画像データを生成して画像欠点の検出を行うようにしていることで、被写体情報が存在しない状態のデータについて、高周波成分のノイズが除去された状態で画像欠点を検出することができるようになる。
【0183】
(6)請求項6記載の放射線画像欠点検出装置の発明では、画像処理手段がベタ画像データから高周波成分除去画像データを作成し、画像欠点検出手段が高周波成分除去画像データに基づいて画像欠点位置情報を抽出し、次に画像欠点位置情報に基づいてベタ画像データから画像欠点大きさ情報若しくは画像欠点深さ情報を抽出するようにしている。
【0184】
このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから高周波成分除去画像データを作成し、この高周波成分除去画像データから画像欠点の位置を求めていることで、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができ、位置検出の際には、画像欠点に似た被写体情報と画像欠点とを区別する必要がなくなり、検出時間を短縮することができる。また、高周波成分のノイズと画像欠点とを区別する必要もなくなり、検出時間を短縮することができる。
【0185】
そして、高周波成分除去画像データから検出された位置情報を参照して元になるベタ画像データから画像欠点大きさ情報と画像欠点深さ情報とを抽出するようにしていることで、画像欠点の大きさと深さとを正確に検出することができるようになる。この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の存在の有無及びその位置を検出することが可能になる。
【0186】
(7)請求項7記載の放射線画像欠点検出装置の発明では、画像欠点位置情報を抽出する際には、前記高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出するようにしている。
【0187】
このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから作成された高周波成分除去画像データに基づいて、高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出していることで、被写体情報と高周波ノイズ成分とが存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができる。この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の位置を検出することが可能になる。
【0188】
(8)請求項8記載の放射線画像欠点検出装置の発明では、抽出対象となる画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較して画像欠点位置情報を抽出する際に、抽出対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値を所定の画像データレベル範囲として用いるようにしている。
【0189】
このように、抽出対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値を所定の画像データレベル範囲として用いることで、画像に含まれる低周波成分のムラ(X線照射ムラ,パネルのX線感度ムラやシェーディング等の各種のムラ)が存在している場合でも、データレベル範囲と画像欠点データレベルとの差(バランス)が一定になり、検出漏れを生じないようにすることができる。
【0190】
従って、被写体情報が存在しない状態のデータから効率良く画像欠点の位置を求めることができ、かつ、高周波成分や低周波成分が除かれたデータを基準値として用いることができるようになる。この結果、ノイズを含んだ状態の放射線画像変換パネルから読み取った画像において迅速かつ正確に画像欠点の位置を検出することが可能になる。
【0191】
(9)請求項9記載の放射線画像欠点検出装置の発明では、以上の(6)〜(8)の各々の放射線画像欠点検出装置に関して、被写体を透過させずに放射線を照射することにより放射線画像情報が記録された放射線画像変換パネルを走査することにより、ベタ画像データを得るようにしている。
【0192】
このような走査により読み取るものでは読み取る毎にパネルに対して走査ズレが生じることがあるが、実際に被写体を撮影した撮影画像データにおいて画像欠点の補正をする際に、ベタ画像データと撮影画像データとで画像欠点の位置,大きさ,深さ,形状などを合わせるようにすることで走査ズレに対処することができる。
【0193】
このように、走査して読み取ることでベタ画像データを生成することで、ノイズを含んだ状態のパネルから読み取った画像データにおいて迅速かつ正確に画像欠点の位置,大きさ,深さを検出して補正するに適している。
(10)請求項10記載の発明は、以上の(6)〜(9)に関して、前記フィルタ処理は、2次元マスク移動フィルタによる処理を実行するようにしている。このように、略均一な放射線を照射して得たベタ画像データから、2次元マスク移動フィルタのフィルタ処理によって高周波成分除去画像データを生成して画像欠点の検出を行うようにしていることで、被写体情報が存在しない状態のデータについて、高周波成分のノイズが除去された状態で画像欠点を検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例で用いる放射線画像欠点検出装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態例の放射線画像欠点検出の全体の様子を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態例において高周波成分除去の画像処理、位置情報検出、大きさ情報・深さ情報検出を行う場合の様子を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態例の放射線画像欠点検出における位置情報検出の様子を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態例の放射線画像欠点検出において、高周波成分除去画像データからの位置情報の検出の様子と、近傍画素のデータレベルの平均値からの深さ情報の検出の様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態例の放射線画像欠点検出における大きさ情報・深さ情報検出の様子を示すフローチャートである。
【図7】1画素あたりの読み取り面積と画像欠点の読み取り面積及び出力面積の関係を示す説明図である。
【図8】画像欠点の読み取り面積の表し方について各種の例を示す説明図である。
【図9】画像欠点の読み取り面積(大きさ)と深さとの表し方について各種の例を示す説明図である。
【図10】輝尽性蛍光体プレートを用いた被写体の撮影の概要を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 X線装置
11 X線管
12 制御部
20 画像入力装置
21 輝尽性蛍光体プレート
22 励起光発生部
23 走査ミラー
24 集光体
25 フォトマルチプライヤ(光電子増倍管)
26 高圧電源
27 LOGアンプ
28 A/D変換部
30 画像欠点検出装置
31 画像記憶部
32 画像処理部
33 画像記憶部
34 画像欠点検出部
35 画像欠点記憶部
Claims (10)
- 放射線画像変換パネルに被写体を透過させずに放射線を照射してベタ画像データを作成し、
このベタ画像データについて、注目画素の近傍領域を含めたフィルタ処理による平滑化処理を行って高周波成分を除去して高周波成分除去画像データを作成し、
この高周波成分除去画像データに基づいて画像欠点の位置に関する画像欠点位置情報を抽出するとともに、前記画像欠点位置情報に基づいて前記ベタ画像データから前記画像欠点大きさ情報若しくは画像欠点深さ情報を抽出することにより画像欠点を検出することを特徴とする放射線画像欠点検出方法。 - 前記高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、
この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像欠点検出方法。 - 前記所定の画像データレベル範囲は、対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値であることを特徴とする請求項2記載の放射線画像欠点検出方法。
- 被写体を透過させずに放射線を照射することにより放射線画像情報が記録された前記放射線画像変換パネルを走査し、読み取ることにより、前記ベタ画像データを作成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放射線画像欠点検出方法。
- 前記フィルタ処理は、2次元マスク移動フィルタによる処理であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放射線画像欠点検出方法。
- 放射線画像変換パネルに被写体を透過させずに放射線を照射することにより作成されたベタ画像データについて、注目画素の近傍領域を含めたフィルタ処理による平滑化処理を行って高周波成分を除去して高周波成分除去画像データを作成する画像処理手段と、
この高周波成分除去画像データに基づいて画像欠点の位置に関する画像欠点位置情報を抽出するとともに、前記画像欠点位置情報に基づいて前記ベタ画像データから前記画像欠点大きさ情報若しくは画像欠点深さ情報を抽出することにより画像欠点を検出する画像欠点検出手段と、
を有することを特徴とする放射線画像欠点検出装置。 - 前記画像欠点検出手段は、前記高周波成分除去画像データの画素のデータレベルと所定の画像データレベル範囲とを比較し、この所定の画像データレベル範囲外である画素の位置に関する情報を前記画像欠点位置情報として抽出することを特徴とする請求項6に記載の放射線画像欠点検出装置。
- 前記所定の画像データレベル範囲は、対象とされている前記画素の近傍画素のデータレベルの平均値に基づいた値であることを特徴とする請求項7記載の放射線画像欠点検出装置。
- 前記放射線画像変換パネル上を走査して放射線画像情報を読み取る読み取り手段を有し、被写体を透過させずに放射線を照射した前記放射線画像変換パネル上を走査して得られる放射線画像情報をベタ画像データとする、ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の放射線画像欠点検出装置。
- 前記画像処理手段は、2次元マスク移動フィルタにより前記フィルタ処理を行うことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の放射線画像欠点検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP08807097A JP3968815B2 (ja) | 1997-04-07 | 1997-04-07 | 放射線画像欠点検出方法及び放射線画像欠点検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP08807097A JP3968815B2 (ja) | 1997-04-07 | 1997-04-07 | 放射線画像欠点検出方法及び放射線画像欠点検出装置 |
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