JP3968791B2 - 試験回線自動選定方法及び試験回線自動選定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の試験呼を交換機に入力して試験を行う組合せ試験における試験回線の選定方法に関する。
【0002】
蓄積プログラム制御方式の電子交換機(以下、交換機と記す)を動作させる呼処理プログラムなどのソフトウェアを作成または改良した際にソフトウェアの動作を検証するため、或いは、交換機の機能動作の安定性を確認するために自動試験装置などから多数の擬似呼(以下、試験呼と記す)を交換機に入力して異常の有無を確認する試験が行われることが多い。従来技術ではこのような複数の試験呼を交換機に入力して行う試験(以下、組合せ試験と記す)を行う際には、どの回線とどの回線の試験が進行しているときにどの回線から試験呼を発生させてどの回線に着信させるか、などを試験手順ファイルに組み込んでいる。
【0003】
上記の試験手順ファイルは試験に先立ってワークステーションなどを用いて人手により作成されるが、交換機の規模の拡大と機能の多様化などにより交換機に収容される回線の種類と数が増大するのに伴って試験手順ファイルの作成も複雑となり、特に、組合せ試験において試験呼を発着信させる回線の選定には多大の労力を要している。このため、近年短縮化される傾向にある製品開発期間の中に占める試験手順ファイルの作成期間が無視できなくなってきており、試験手順ファイルの作成期間の短縮、特に試験回線の選定作業の効率化が望まれている。
【0004】
【従来の技術】
蓄積プログラム制御方式の交換機を動作させるためには呼処理プログラムを始めとする各種の処理プログラムが必要であるが、新たにプログラムを作成したり改良した場合にはその良否を判定するためにプログラムを交換機にロードして交換機を実際に動作させる試験が行われる。例えば呼処理プログラムを作成した場合には交換機にプログラムをロードし、各種の端末や回線装置などを接続して発着信接続や各種機能の動作などを試験する。このようなソフトウェアの検証試験に使用する交換機は通常は商用に供している交換機ではなく、同型の交換機またはその交換機を擬似する機器(以下、擬似交換機と記す)を使用する。
【0005】
上記のような試験では交換機に収容される各種の端末装置や回線装置を組合せて発信側に設定した装置から着信側に設定した装置に対して商用状態で生ずると思われる各種の条件の下で各種の接続試験を行うのが普通である。この場合、試験者が端末装置から接続動作を行う場合もあるが、端末装置に接続する回路または端末装置を擬似する回路を内蔵して試験呼を発生させて試験を自動的に行う自動試験装置や擬似呼発生装置が用いられることが多い。
【0006】
プログラムの性能を確認するソフトウェアの検証試験や交換機の安定性を確認するための試験を行う場合には、試験呼をひとつづつ加えるだけでなく、一つの試験呼が進行中(接続動作中または通信中の状態)に次の試験呼を発生させるなど、できるだけ実際の状態に近い条件で試験を行う必要がある。このように複数の試験呼を並行して発生させて行う組合せ試験を自動試験装置や擬似呼発生装置を用いて行う場合には短い間隔で比較的多数の試験呼を発生させることができるが、どの回線とどの回線の試験が進行しているときにどの回線から試験呼を発生させてどの回線に着信させるか、など、試験呼の発生手順は予め試験手順ファイル内に組み込んでおかなければならない。
【0007】
図12乃至図14は従来技術において組合せ試験を行う場合に試験呼を発着信させる回線を選択する方法を説明する図である。図12の(a) はプログラムの検証試験などを行うために使用する交換機と自動試験装置が接続された試験システムの基本的な構成を図示したものである。試験は端末から発信し、端末に着信させる場合を想定しているが、図示された回線装置33に接続される端末部分は自動試験装置20内に擬似端末回路(図示省略)として内蔵されているものとする。
【0008】
図12の(b) は図12(a) の回線装置33の接続関係を図示したものであるが、図では端末装置が3種類であるとして各端末装置に接続される3種類の回線装置33にそれぞれA、B、Cの符号を付して各4回線づつ図示している。以下、回線装置33を種類別に指す場合には装置A、装置Bなどと記し、同一種類の装置を個別に指す場合には図12(b) の各回線装置33に付してあるサフィックスを付して装置A11、装置B21などのように記す。
【0009】
端末装置は交換機のスイッチ・ネットワーク(以下、NWと記す)の片側に直接または回線装置を介して接続され、発着信兼用であるのが一般的であるが、図12の(b) では説明の便から回線装置33は各種類とも2組を発信専用、2組を着信専用(例えば、装置Aの場合、A11、A12が発信専用、A21、A22が着信専用)とし、NW31の両側に分かれて収容した状態を図示している。
【0010】
図13の(c) は試験対象の回線装置33の種類別の発着信の組合せを示したものである。図12(b) の構成では発着信装置の種類の組合せは図13の(c) に示す9種類となるが、(c) では発着信装置の種類の組合せが異なるものについて試験を行うものとし、各回線組合せごとに一つの試験項目を設けている(各試験項目の番号をT−1〜T−9とする)。
【0011】
図13の(d) は試験項目と回線装置の組合せを図示したものである。例えば、試験項目T−1を行う場合は、発信側の回線装置として装置A11または装置A12、着信側の回線装置として装置A21または装置A22が使用できるので、試験構成を発着信させる組合せとしては図示のように4種類となる。他の試験項目についても同様、それぞれ4種類の回線組合せの中から回線を選定することができる。
【0012】
ソフトウェアの性能を検証するために試験を行う場合は、図12の(a) に示す交換機30の中央制御装置(以下、CCと記す)32内に検証しようとするプログラム(図には呼処理プログラムの例を記載)34をロードし、端末装置の擬似回路を内蔵する自動試験装置20(図示省略された端末装置に接続する方式のものでもよい)内の試験手順ファイル21に試験項目の内容と各試験項目の試験呼を発着信させる回線を指定して試験を行う。
【0013】
試験の方法として、1つの項目の試験が終わってから次の項目を試験するというように1項目づつ試験を行う場合には試験手順として試験項目の実行順序のみを決めればよい。この場合は、試験項目番号順に試験呼を発生させても特に問題はなく、発着信装置の組合せは図13の(d) により選定すればよいので、試験手順ファイル21に試験呼の発着信装置を指定するのに特に労力は要しない。
【0014】
しかし、組合せ試験の場合には試験呼を発生させる回線装置と着信させる回線装置の選定はかなり複雑になる。以下、組合せ試験の実行手順を試験呼の発着信装置の選定方法を中心に説明するが、判り易くするため、▲1▼試験呼の発生間隔は一定、▲2▼全試験項目の試験所要時間(試験状態保持時間)は同一で、試験呼発生間隔の3倍とする、▲3▼試験項目ごとに1回のみ試験を行う、との条件を付した例について説明する。
【0015】
図14は図12(b) の回線構成により図13(c) の試験項目について組合せ試験を行う場合の試験の進行状態をタイムチャートに記したものであるが、説明の便から、試験呼の発生順序は原則として試験項目の番号順としている。図のaの試験実行状態には試験項目ごとの試験の進行状況、bの回線装置使用状態には各時点で使用されている回線装置33の数(この例では最大2組)を回線装置33の種別ごとに図示してある。なお、図中の「発信A」は発信側に使用される装置Aを示している(他の装置も同様)。図中のt1 〜t12は試験呼の発生時刻を示しているが、試験呼は各時刻t1 〜t12の直後に発生し、直前に終了するものとする。
【0016】
図14では試験呼の発生は前記の条件に従って先ず最初の試験呼の発生時刻t1 に試験項目T−1の試験呼を発生させ、次の時刻t2 に試験項目T−2の試験呼を発生させている。従って、回線装置33の使用状態は図のbに示すように時刻t1 において発信用の装置Aの1組と着信用の装置Aの1組が使用され、時刻t2 において発信用の装置Aが更に1組(計2組)、着信用の装置Bの1組が使用中の状態になっている。
【0017】
前記の条件に従えば、時刻t3 に試験項目T−3の試験呼を発生させることになるが、この時刻には発信用の装置Aが2組とも使用中(図のb参照)であるため、次の試験項目T−4の試験呼を先に発生させている。これにより、新たに発信用の装置Bの一つと着信用の装置Bの一つが使用される。次いで時刻t4 に試験項目T−4の試験呼を発生させるが、これによって発信用の装置Bが2つとも使用状態となるため、時刻t5 においては装置Bから発信する試験項目T−6を行うことはできない。図14では予定していた試験項目の試験呼を発生させられない場合にはそれ以前に予定どおり行えなった試験項目を行うこととして時刻t5 で試験項目T−3の試験呼を発生させ、試験項目T−6は時刻t8 で試験呼を発生させている。
【0018】
以上のようにして図14では時刻t9 に最後の試験呼(試験項目T−9)を発生させ、時刻t12にすべての試験が終了しているが、この例では一定間隔で試験時間が同一の試験呼を規則的に発生させたため、時刻t1 〜時刻t2 間及び時刻t11〜時刻t12間に各1組の発着信装置、時刻t2 〜時刻t3 間及び時刻t10〜時刻t11間に各2組の発着信装置がそれぞれ試験中の状態となり、その他の時刻、即ち、時刻t3 〜時刻t10の間は常に3組の発着信装置が試験中の状態になっている。
【0019】
上記の例では回線装置33の種類が3種類のみで、各回線装置が僅か4組(発着信用各2組)しかないとの前提で、しかも一定間隔で特定の順序で規則的に呼が発生し、呼の継続時間も一定、という条件で試験の組合せを作成したが、このように簡単な例でも試験呼の発生手順を人手によって作成するのは手間を要する。その中でも、試験呼を発生させる都度、その時点で試験に使用可能な装置を確認するのに多くの時間を要し、使用可能な装置の確認を誤ったために既に決定した試験項目に遡って指定を変更しなければ成らない事態が生じた場合などには一層の時間を費やすことになる。また、上記の例では回線装置の種類のみを指定したが、実際には同一種類の回線組合せで複数の試験呼を発生させることが多く、その場合は回線装置の番号まで指定することになるため、作業は更に複雑になる。
【0020】
また、上記の例では試験時間(保留時間)を試験呼の発生間隔の3倍としたため、同時に進行中の試験呼の数は最大3組となるが、試験時間が試験呼の発生間隔に比して充分大きい場合には同時に試験を行える組合せは最大6組(例えば、発信A→着信A、A→B、B→A、B→C、C→B、C→C)になるため、組合せ方は更に複雑になる。
【0021】
実際の交換機では装置の種類及び数量がはるかに多いうえ、呼の発生もランダムである場合が大部分である。また、呼の継続時間も不規則(一定の規則に従うと見做すことが可能であるとしても)である場合が多い。従って、試験を実際の交換機の規模で試験を行うことは困難であるとしても、試験条件は上記のような単純かつ規則的なものでなく、実際の条件に近づけて行うのが望ましい。また、各試験項目は組合せ試験の相手(他の試験呼)が特定の1組だけではなく、何回か相手を変えることも必要であるため、同一試験項目について試験呼を何回か繰り返すことも必要である。更に、装置が複数の機能を有している場合には、試験の内容は単に発着信装置を接続するだけではなく、発着信装置が同一種類のものであっても複数の試験項目を設定する必要がある。しかし、これらのことを加味して試験手順を決めようとすると、試験手順ファイルの作成は格段に複雑なものとなる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
作成した交換機のプログラムの動作を検証するための試験を複数の試験呼を組合せて行う場合や交換機の安定性を試験する場合、従来技術では人手により試験手順ファイルを作成していたが、試験呼を発生させる回線の選定、特に、組合せ試験における使用可能な回線の確認に多大の時間を要していた。このため、試験手順ファイルの作成に手間取り、試験予定を長引かせたり、製品開発計画全体を長く設定しなければならない場合も多かった。
【0023】
本発明は、複数の試験呼を交換機に入力して試験を行う組合せ試験における試験回線の選定を自動的に行うことを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
図1及び図2は本発明の試験回線自動選定方法の原理説明図、図3及び図4は本発明の試験回線自動選定装置の基本構成図である。
【0025】
図中、3は試験対象の交換機、4は交換機に収容された複数有限数(n)の回線、2は交換機3の試験を行う際に、回線4の中から試験呼を発信させて他の回線4に着信させ、かつ、複数の試験呼を並行して進行させる組合せ試験を行うことが可能な自動試験装置(または、擬似呼発生装置(図示省略))、10A 及び10B は試験回線自動選定装置である。11及び12は試験回線自動選定装置10A または10B 内に設けられ、11は複数有限数(n)の回線の識別情報を記憶する全試験回線情報記憶手段、12は自動試験装置2より試験中の発信回線と着信回線の組合せを識別できる情報を受信して記憶する試験中回線情報記憶手段である。
【0026】
13A 及び14A は試験回線自動選定装置10A 内に設けられ、13A は自動試験装置2より試験回線選定要求を受信したときに、全試験回線情報記憶手段11に記憶されている全試験回線の識別情報と、試験中回線情報記憶手段12に記憶されている試験中の回線組合せの情報を読み出し、全試験回線の識別情報により作成した発信回線と着信回線の全組合せより試験中の回線が含まれる組合せ及び発信回線と着信回線が同一となる組合せを除いた回線の組合せの情報を選定可能回線組合せ情報として出力する選定可能回線組合せ選出手段、14A は選定可能回線組合せ選出手段13A より選定可能回線組合せ情報(総数k)が入力されたときに各回線組合せに連続番号(1〜k)を付与したのち、乱数を用いて1以上で選択可能回線組合せ数(k)以下の数をひとつ発生させ、発生した数と同一の番号が付与された回線組合せにより定まる発信回線と着信回線を試験呼を発信させる回線及び着信させる回線として選定して自動試験装置2または擬似呼発生装置に出力する試験回線決定手段である。
【0027】
13B 、14B 及び15は試験回線自動選定装置10B 内に設けられ、15は自動試験装置2より試験を終了した発信回線と着信回線の組合せを識別できる情報を受信して記憶する試験終了回線情報記憶手段、13B は自動試験装置2より試験回線選定要求を受信したときに、全試験回線情報記憶手段11に記憶されている全試験回線の識別情報と、試験中回線情報記憶手段12に記憶されている試験中の回線組合せの情報及び試験終了回線情報記憶手段15に記憶されている試験終了の回線組合せの情報を読み出し、全試験回線の識別情報により作成した発信回線と着信回線の全組合せより試験中の回線が含まれる組合せ及び試験終了の回線組合せと、発信回線と着信回線が同一となる組合せを除いた回線の組合せの情報を選定可能回線組合せ情報として出力し、かつ、選定可能回線組合せが皆無となった場合に回線選定を終了したことを示す選定終了情報を出力する選定可能回線組合せ選出手段である。
【0028】
14B は選定可能回線組合せ選出手段13B より選定可能回線組合せ情報(総数m組)が入力されたときは、各回線組合せに連続番号(1〜m)を付与したのち、乱数を用いて1以上で選択可能回線組合せ数(m)以下の数をひとつ発生させ、発生した数と同一の番号が付与された回線組合せにより定まる発信回線と着信回線を試験呼を発信させる回線及び着信させる回線として選定して前記自動試験装置2に出力し、選定可能回線組合せ選出手段13B より選定終了情報が入力されたときは、選定終了情報を自動試験装置2に出力する試験回線決定手段である。
【0029】
以下、本発明の試験回線自動選定方法の原理について図1及び図2を参照して説明する。本発明の試験回線自動選定方法は、自動試験装置や擬似呼発生装置が交換機の試験を行うために試験呼(擬似呼を含む)を発生させる場合などに、試験呼を発着信させる試験回線を自動的に選定するのに用いられる。図1は同一発着信回線による試験呼の反復を制限しない場合の回線選定方法、図2は一回試験を終了した回線組合せでは再度試験を行わない場合の回線自動選定方法の処理の原理を図示したものである。
【0030】
最初に図1により説明するが、以下の括弧内のS1〜S5は説明内容に該当する図1のステップの符号である。交換機に収容された複数有限数(nとする)の回線の中から試験呼を発信させて他の回線に着信させ、かつ、複数の試験呼を並行して進行させる組合せ試験を行う場合、本発明による試験回線自動選定機能を有する部分に試験対象の全回線(n回線)の識別情報を予め記憶しておき、本発明の方法を用いて試験回線を選択しようとする装置(自動試験装置や擬似呼発生装置など)から試験呼を発生させる時期が到来したことを知らせる情報を受けると試験回線の選定を開始する。
【0031】
試験回線の選定に当たっては、全回線(n回線)がそれぞれ他の回線と組み合わせられて試験呼の発信回線または着信回線として使用されるため、発着信回線のすべての組合せを作成する。その方法としては全回線(n回線)の識別情報を発信回線側と着信回線側を行及び列とするn×nのマトリックスに配列する(図1のS1参照)。このマトリックスの行と列の各交点(総数n×n)は試験呼の発信回線と着信回線が特定された組合せを示すが、マトリックスの作成は試験回線の選定開始に先立って行ってもよい。
【0032】
上記n×nの回線組合せから発信回線または着信回線として試験が進行中の回線の識別情報に対応する行及び列に含まれる組合せと、発信回線と着信回線が同一回線となる組合せを除いた組合せを選出する(S2) が、その際、選定開始時点における試験中回線の識別情報が得られるものとする。この選出された組合せが試験回線として選定することが可能な回線組合せである。
【0033】
次に、選出した組合せの数(k組とする)を選定可能組合せ数として算出し、選出した組合せの各々に対して各組合せを識別することが可能なように連続番号(1〜k)を付与する(S3) 。これに続き、乱数を用いて1以上で選定可能組合せ数(k)以下の数(pとする)を発生させる(S4) 。
【0034】
次いで、発生した数(p)と同一の番号が付与された組合せが存在する行及び列に対応する発信回線及び着信回線を試験呼を発信させる回線及び着信させる回線として選定し(S5) 、選定結果を試験呼を発生させようとしている装置に知らせる。これにより、選定された発着信回線を用いて試験が行われる。
【0035】
以上のように、図1の方法では、試験呼を発着信させる回線は試験中の回線が存在しない場合(初期状態など)を含め、その時点で使用されていない回線組合せの中から自動的に選定されるので試験回線の選定に手間どることがなく、また使用されていない回線組合せの中から乱数を用いて選定されるので、複数の試験が並行して行われる場合に、組合せられる相手の回線組合せは不規則に変化するので常に一定の相手と組み合わせる試験に比してより実際に近い状態の試験を行うことが可能となる。
【0036】
次に図2により説明するが、図2は一回試験を終了した回線組合せでは再度試験を行わないことを前提とするため、選定可能な回線組合せを選出する部分(図1におけるS2のステップ)と、全回線組合せの試験を終了した場合の処理が異なる。その他の部分は図1と同一であるので説明を省略し、異なる部分のみについて説明する。なお、以下の括弧内のS11〜S15は説明内容に該当する図2のステップの符号である。
【0037】
図2では選定可能回線組合せを選出する際に、n×nの発着信回線の組合せから発信回線または着信回線として試験が進行中の回線の識別情報に対応する行及び列に含まれる組合せ及び発信回線と着信回線が同一回線となる組合せと、既に試験呼の発着信が行われた回線の組合せを除いた組合せを選出する(S12) 。この選出された組合せが選定可能な回線組合せ(総数m組とする)となるが、その際、選定開始時点における試験中回線の識別情報のほか、その時点で既に試験呼の発着信が行われた回線の組合せの識別情報が得られるものとする。このm組の回線組合せの中から1組を選定する方法は図1と同様である(S13〜S15)。
【0038】
図2の場合は既に試験呼の発着信が行われた回線の組合せを選定対象から除くため、最後には全ての回線組合せが試験済の組合せとなる。この状態になると選定可能回線組合せを選出する際(S12) に選定可能な回線組合せが得られなくなるのでその時点で試験回線の選定を終了する(この処理は図2では図示省略し、実施形態の説明で詳細に説明する)。
【0039】
図2の方法でも、すでに試験を終了した回線組合せを除き、その時点で使用されていない回線組合せの中から試験回線が自動的に選定されるので図1におけると同様の作用効果が得られる。
【0040】
次に図3に示した本発明の試験回線自動選定装置の作用について説明する。図3の試験回線自動選定装置10A は交換機に収容された複数有限数(n)の回線4の識別情報を予め全試験回線情報記憶手段11に記憶しておくとともに、回線選定動作を実行中は自動試験装置2より試験中の発信回線と着信回線の組合せを識別できる情報を受信して試験中回線情報記憶手段12に記憶しておく。
【0041】
自動試験装置2より試験回線選定要求を受けると、選定可能回線組合せ選出手段13A は全試験回線情報記憶手段11に記憶されている全試験回線の識別情報と、試験中回線情報記憶手段12に記憶されている試験中の回線組合せの情報を読み出し、全試験回線の識別情報により作成した発信回線と着信回線の全組合せより試験中の回線の組合せ及び発信回線と着信回線が同一となる組合せを除いた回線組合せの情報を選定可能回線組合せ情報として試験回線決定手段14A に順次出力する。
【0042】
試験回線決定手段14A は選定可能回線組合せ選出手段13A より選定可能回線組合せ(総数k組)の情報が入力されると各回線組合せに連続番号(1〜k)を付与したのち、乱数を用いて1以上で選択可能回線組合せ数(k)以下の数をひとつ発生させ、発生した数と同一の番号が付与された回線組合せにより定まる発信回線と着信回線を試験呼を発信させる回線及び着信させる回線として選定して自動試験装置2に出力する。これによって自動試験装置2は選定された回線を用いて試験を行う。
【0043】
次に図4に示した本発明の試験回線自動選定装置の作用について説明するが、図4の試験回線自動選定装置10B の構成と動作は図3により説明した試験回線自動選定装置10A と重複するところが多いので相違する部分のみを説明する。
【0044】
試験回線自動選定装置10B は全試験回線情報記憶手段11及び試験中回線情報記憶手段12に加えて試験終了回線情報記憶手段15を備え、自動試験装置2より試験を終了した発信回線と着信回線の組合せを識別できる情報を受信して記憶しておく。
【0045】
自動試験装置2より試験回線選定要求を受けると、選定可能回線組合せ選出手段13B は全試験回線の識別情報と、試験中の回線組合せの情報のほかに、試験終了回線情報記憶手段15に記憶されている試験終了の回線組合せの情報を読み出し、全試験回線の識別情報により作成した発信回線と着信回線の全組合せより試験中の回線の組合せ及び試験終了の回線の組合せと、発信回線と着信回線が同一となる組合せを除いた回線組合せの情報を選定可能回線組合せ情報として試験回線決定手段14B に順次出力する。
【0046】
試験回線決定手段14B は選定可能回線組合せ選出手段13B より選定可能回線組合せ(総数m組)の情報が入力されると各回線組合せに連続番号(1〜m)を付与したのち、乱数を用いて1以上m以下の数を発生させ、図1の試験回線決定手段14A と同様にして試験回線を選定し、自動試験装置2に出力する。
【0047】
試験回線自動選定装置10B の場合、選定可能回線組合せ選出手段13B は選定可能回線組合せが皆無となった場合に回線選定が終了したことを示す選定終了情報を試験回線決定手段14B に出力し、これを受けた試験回線決定手段14B は選定終了情報を自動試験装置2に出力する。自動試験装置2は選定終了情報を受信すると試験の実行を停止する。
【0048】
以上のように、図3の試験回線自動選定装置10A または図4の試験回線自動選定装置10B を用いることによって自動試験装置2内には組合せ試験を行うための試験手順ファイルの中に試験回線を詳細に指定しておく必要がなくなる。このため、試験に先立って用意する試験手順ファイルの作成が極めて簡単になる。
【0049】
なお、交換機を試験するために複数の試験呼(擬似呼)を発生させて交換機に入力する装置としては自動試験装置2のほかに擬似呼発生装置などがある。以上においては自動試験装置2より試験回線選定要求を受けるとして説明したが、試験回線自動選定装置10A は擬似呼発生装置から試験回線選定要求を受けて回線の選定を行うことも可能である(図3では擬似呼発生装置の記載は図示省略している)。擬似呼発生装置は同一回線組合せでの擬似呼発生を一回のみとする使用方法が少ないため、試験回線自動選定装置10B については擬似呼発生装置の記載をしていないが、試験回線自動選定装置10B でも擬似呼発生装置と組み合わせることは可能である。
【0050】
【発明の実施の形態】
図5乃至図7は本発明の試験回線自動選定方法の実施例の説明図、図8は本発明の実施例の試験回線自動選定装置の構成図、図9乃至図11は本発明の試験回線自動選定装置の適用形態を説明する図である。
【0051】
全図を通じ、同一符号は同一対象物を示し、1は試験回線自動選定機能部、10は試験回線自動選定装置、11は全試験回線情報記憶部、12は試験中回線情報記憶部、13は選定可能回線組合せ選出部、14は試験回線決定部、15は試験終了回線情報記憶部、2は自動試験装置、3は交換機、4は回線、5は擬似呼発生装置、6は擬似交換機、31は交換機3内のNW、32は交換機3を制御する中央制御装置(CC)である。
【0052】
最初に本発明の試験回線自動選択方法の実施例について図5乃至図7を用いて説明する。図5の(a)は組合せ試験において自動選択を行う対象となる試験回線の構成のモデルを図示したものである。図5(a) の交換機3には試験呼を発着信させる回線として6回線の回線4のみを図示している。試験呼は自動試験装置2より回線4の何れかを介して発信され、他の指定した回線4に着信させる。
【0053】
図5は自動試験装置2が試験呼を発信させる回線4と試験呼を着信させる回線4を選定する際に本発明の試験回線自動選定方法を使用する例を示しているが、図では試験回線自動選定方法が機能する部分を試験回線自動選定機能部1として図示している。試験回線自動選定機能部1は自動試験装置2と組み合わせられ、自動試験装置2より試験回線の選定要求があったときにその時点で使用可能な回線の中から1対の発着信回線を選定して自動試験装置2に回答する。
【0054】
試験回線自動選定機能部1は選定する対象となる全回線の情報を記憶しているが、試験が行われていない場合の全試験回線の組合せを図5の(b) に示す。図5(b) では全試験回線の組合せをマトリックス形式で図示しているが、図示のように試験回線自動選定機能部1の発着信に使用される6回線の回線4(個々の回線を指す場合には回線#1、回線#2のように記す)を発信回線を行、着信回線を列とするマトリックスに配置している。例えば、回線#1から試験呼を発生させて回線2に着信させる場合の試験回線の組合せは図中に白の星印(☆)で示した組合せになるが、同じ回線#1と回線#2を使用しても回線#2から発信させる場合は黒の星印(★)の組合せになる。発信と着信の回線を入れ替えた組合せの試験が必要でない場合もあるが、説明の便から、以下においてはすべて逆の組合せも試験の対象とすることとする。また、図中の×印は発信回線と着信回線が同一回線となる組合せであるが、この組合せは当然回線選定の対象外となる。
【0055】
自動試験装置2が試験回線自動選定機能部1に対して初めて試験回線の選定要求を行ったときに、試験回線自動選定機能部1が選択できる回線の組合せは図5の(b) に白の丸印(○)で示した組合せであるが、選定可能な回線組合せの総数S0 は全回線数をn(この例ではn=6)とすれば、図5からも明らかなように、S0 =(n×n)−n=6×6−6=30となる。
【0056】
試験回線自動選定機能部1では図の○で示した各組合せを識別できるように通し番号を付与する。例えば、回線#1から発信し、回線#2に着信させる組合せに番号「1」を付与し、以下、左から右、上から下への順に付与してゆき、回線#6から発信し、回線#5に着信させる組合せを「30」とする。図5(b) の○の組合せに付した数字はこの番号を示している。
【0057】
選定可能な回線組合せに番号を付与すると試験回線自動選定機能部1は乱数を用いて1から30までの数の中の一つを発生させる。発生した数が例えば「8」であれば、番号「8」が付与された組合せ(回線#2を発信回線、回線#8を着信回線とする組合せ)を選定し、発信回線に回線#2、着信回線に#4を選定したことを自動試験装置2に通知する。自動試験装置2はこの結果を受けると最初の試験呼を回線#2から発生させ、回線#4に着信させて必要な試験を行う。
【0058】
前述したように、自動試験においては試験呼を一つづつ発生させずに一つの試験呼が進行中に次の試験呼を発生させる組合せ試験が行われることが多いが、この場合、試験呼を継続させる時間や、試験呼の発生間隔を不規則に変化させる場合が多い。以下、組合せ試験を対象とするが、試験呼の継続時間や試験呼の発生時期をランダムに変化させる機能は自動試験装置2が有しているものとし、自動試験装置2は試験呼の発生時期が到来する都度、試験回線自動選定機能部1に対して回線選定要求を行うものとして説明する。
【0059】
組合せ試験には発着信回線が同一の組合せについては1回のみ試験を行う試験(以下、一回試験方式と記す)と、試験実行中に同一発着信回線の組合せの試験呼を反復して発生させる試験(以下、反復試験方式と記す)とがあるが、最初に反復試験方式の例を説明する。
【0060】
反復試験方式では、試験呼の発生時期が到来し、自動試験装置2より回線選定要求が行われたときに、その時点で試験が進行中の回線以外の全ての回線を選定対象として試験呼を発着信させる回線の組合せを選定するが、一つの試験呼が継続している状態で次の回線選定要求が送出された場合を例に説明する。
【0061】
いま、図5の(a) に二点鎖線で示すように回線#2を発信回線、回線#4を着信回線とする試験呼が進行中であるとし、この状態で試験回線自動選定機能部1に対して自動試験装置2より回線選定要求が出されたものとする。この状態では図6の(c) に黒の丸印(●)で示した発信回線#2、着信回線#4の組合せが試験中であるが、図中に黒の菱形(◆)で示す逆の組合せ(発信回線#4、着信回線#2の組合せ)も使用中となるため、選定対象外となる。
【0062】
更に、回線#2と回線#4が他の全ての回線の相手に選定できないことも明らかである。従って、前記の●及び◆の組合せを含め、図6の(c) に網目が付された行及び列に含まれる組合せは試験呼を発信または着信させることができない。このほかに発信回線と着信回線が同一となる回線組合せ(図中に×印で図示)が除外されるので、選定可能な回線組合せは図6の(c) に○で示した12組の組合せになる。このように、選定可能な回線の組合せ数の計数は図面上では容易であるが、試験回線自動選定機能部1がこれを自動的に計数するには、以下のような方法をとる。
【0063】
発信回線の行番号を“i”、着信回線の列番号を“j”(図6の(c) に記載したように回線番号の値と“i”及び“j”の値は同一とする)とする。これまでの説明から明らかなように、1≦i≦n、1≦j≦n(この例ではn=6)である。そして、図6(c) の第i行に属する組合せをh(i)、第j列に属する組合せv(j)、行と列が組み合わせられた各枠、即ち、発信回線#iと着信回線#jの組合せをt(i,j)で表し、h(i)、v(j)及びt(i,j)の各々について選定可能な組合せを「1」、選定不可の組合せを「0」とする。上記の例では「1」と「0」は以下のように決まるが、下記の各項を便宜的に選定可否判定基準と呼ぶ。
【0064】
▲1▼ 試験中または試験のために使用中の回線を発信回線とする組合せ(図の(c) で網目が付されたi=2及びi=4の行に属する組合せ)はh(i)=0
▲2▼ ▲1▼以外の各回線#iを発信回線とする組合せ(上記の例ではi=2及びi=4以外の“i”の各行に属する組合せ)はh(i)=1
▲3▼ 試験中または試験のために使用中の回線を着信回線とする組合せ(図の(c) で網目が付されたj=2及びj=4の列に属する組合せ)はv(j)=0
▲4▼ ▲3▼以外の各回線#jを着信回線とする組合せ(上記の例ではj=2及びj=4以外の“j”の各列に属する組合せ)はv(j)=1
▲5▼ i=jの組合せ(図の×の組合せ)はt(i,j)=0
▲6▼ 試験中の組合せ(上記の例ではi=2、j=4で、図の●の組合せ)及び試験のために使用中となっている組合せ(上記の例ではi=4、j=2で、図の◆の組合せ)はt(i,j)=0
▲7▼ ▲5▼及び▲6▼を除く組合せはt(i,j)=1
以上のように各組合せ(行または列を単位とする組合せを含む)に「0」または「1」の値を付与して回線の番号(i,j)を順次当てはめれば、選定可能な組合せの総数Sは下記の算出式(以下、(式1)と記す)で算出することができる。
【0065】
【数1】
(式1)を用い、前記の選定可否判定基準を適用して選定可能な組合せの総数Sを算出する例を説明する。上記の例では1≦i≦6、1≦j≦6であるので(式1)のiにi=1〜i=6を順次当てはめ、各iについてj=1からj=6まで順次当てはめたうえで選定可否判定基準の▲1▼〜▲7▼で規定された数値を用いて計算する。算出の際には自動試験装置2から送られてきているその時点における試験中の回線の番号を参照するが、図5の(a) の例では、i=2とj=4が試験中であるため、上記の▲1▼及び▲3▼によりh(2)=h(4)=0、v(2)=v(4)=0となる。また、▲6▼によりt(2,4)=t(4,2)=0となるが、この条件は▲1▼及び▲3▼と重複するため、(式1)では使用してない。
【0066】
以上を前提に、先ず、i=1について計算する。i=1の場合はi≠2≠4であるので上記の▲2▼が適用され、h(i)=h(1)=1となるので、(式1)の大括弧の中をj=1〜6について計算する。j=1の場合はi=j=1となるので大括弧内の第1項t(i,j)は▲5▼により、t(i,j)=t(1,1)=0となる。従って、第2項v(j)が▲4▼によりv(1)=1となっても第1項t(i,j)との積である大括弧内の計算値は“0”となる。
【0067】
次にj=2について大括弧内を計算するが、j=2の場合は上記のように▲3▼により第2項v(j)がv(2)=0となるため、第1項t(i,j)の値に関係なく大括弧内は“0”となる。j=3(j≠2≠4)については、大括弧内の第1項t(i,j)が▲7▼によりt(i,j)=t(1,3)=1となり、第2項v(j)が▲4▼によりv(3)=1となるので、その積も“1”となる。以下、同様に、j=4はj=2と同じく大括弧内が“0”となり、j=5及びj=6はj=3と同じく大括弧内が“1”となる。従って、i=1については、j=1〜j=6の大括弧内の累計値(Σ)は“3”となる。
【0068】
次にi=2について計算するが、i=2の場合は前述のように大括弧の外の項のh(i)がh(2)=0となるため、大括弧内の計算(j=1〜6について)を行うまでもなく計算値は“0”となる。i=3については大括弧の外の項のh(i)がh(3)=1となるため、i=1の場合と同様にして大括弧内の計算を行う。この場合は、j=2とj=4はv(2)=v(4)=0となり、j=3は▲5▼によりt(i,j)=t(3,3)=0となるため、大括弧内が“0”となるが、j=1、j=5及びj=6については大括弧内が“1”となる。従って、i=3についても、j=1〜6の大括弧内の累計値(Σ)は“3”となる。
【0069】
同様にして、i=4はi=2と同じく累計値が“0”となり、i=5とi=6はi=1或いはi=3と同じく累計値が“3”となる。従って、i=1〜6について累計(Σ)した(式1)の計算値、即ち、選定可能な組合せの総数SはS=12となる。
【0070】
S=12が得られると、この12組の回線組合せの中からひとつの回線組合せを選定するが、それに先立って図5の(a) の試験回線自動選定機能部1は選定可能な組合せについて1からS(=12)までの番号を付与する。番号付与方法としては、例えば選定可能な組合せに対してiの若い番号順でかつjの若い番号順に付与する。図6の(c) の例では、i=1、j=3の組合せに番号「1」、i=1、j=5の組合せに番号「2」、以下、順に番号を付与してi=6、j=5の組合せに番号「12」を付与する。図6の(c) には選定可能な組合せ(○印)にこの番号を付記している。
【0071】
この状態で、試験回線自動選定機能部1は乱数を用いて1以上S(=12)以下の数pを発生させる(乱数発生方法は公知の技術によるため、説明を省略)。例えば、p=6が発生された場合は番号「6」が付与された回線組合せ、即ち、図6(c) のi=3、j=6の組合せの回線が選定される。この結果は試験回線自動選定機能部1から自動試験装置2に通知され、自動試験装置2は回線#3を発信回線、回線#6を着信回線に指定した試験呼を発生させる。この試験呼が継続している間、自動試験装置2は試験回線自動選定機能部1に対してi=3、j=6の回線が試験中であることを表示しておく。
【0072】
以上の回線選定は回線#2を発信回線、回線#4を着信回線とする一つの試験呼のみが継続中である場合について説明したが、初期状態で始めての試験呼を発生させる場合などのように他に試験呼が存在しない場合(初期状態では上記の▲1▼、▲3▼及び▲6▼の状態は存在しない)や、複数の試験呼が進行中の場合でも上記の方法によって選定可能な組合せの総数Sを算出し、その中から回線を選定することができる。なお、S=0となった場合には選定可能な回線組合せが存在しないので、そのことを自動試験装置2に知らせる。
【0073】
上記の反復試験方式は、新規設計の交換機のハードとしての安定性や、新しい呼処理プログラムが使用された場合のソフトウェアの安定性を確認する場合などに多く行われるもので、所定の時間中、交換機に多量の試験呼(擬似呼)を加えて交換機が異常な動作を行うことがないことを確認する。その間に発信回線と着信回線が同一の組合せの試験呼が何回も発生するが、以上の説明から明らかなように、本発明の回線自動選定方法では同一発着信回線の試験呼が組合せられる他の試験呼はその都度不規則に変化するので、より実際に近い試験が行える。
【0074】
次に一回試験方式について説明する。一回試験方式は発着信回線が同一の組合せについては1回のみ試験を行う試験である。この試験は安定性の確認よりも個々の機能が満足すべきものであるか否かを確認する場合に行われることが多い。従って、試験項目を1項目づつ試験してもよい場合もあるが、多数の試験項目を1項目ずつ単独に試験するよりも複数の試験を並行して行う方が効率的であるため、他の試験と組合せて試験が行われることも多い。組合せ試験になれば人手により回線組合せを作ることとなるので手間を要するが、本発明の回線自動選定方法では自動的に回線組合せを選定することができる。
【0075】
一回試験方式に本発明の回線自動選定方法を適用する場合には、試験呼の発生時期が到来したとき(自動試験装置2より回線選定要求が行われたとき)に、その時点で試験が進行中の回線と、それ以前に試験を終了した回線の組合せを除いた残りの回線を選定対象として試験呼を発着信させる回線組合せを選定する。例として、1組の発着信回線を用いた試験がすでに終了し、他の1組の試験呼が実行中の状態で次の回線選定要求が送出された場合について説明する。
【0076】
いま、図5の(a) において、回線#1を発信回線、回線#5を着信回線とする試験がすでに終了し(図中に点線で示す)、回線#2を発信回線、回線#4を着信回線とする試験呼が進行している(図中に二点鎖線で示す)状態において試験回線自動選定機能部1に対して自動試験装置2より回線選定要求が出されたものとする。この状態の選択可能な回線の組合せは図6の(d) に○で示す組合せになる。図6の(d) は(c) と殆ど同一であるが、(d) の場合は発信回線#1、着信回線#5の組合せがすでに試験を終了しているため○でなく、アスタリスク(*)を付している。従って、この場合の選定可能な回線組合せの数は図中に○で示した11組の組合せとなり、(c) の場合よりも1組少なくなっている。
【0077】
図5(a) の試験回線自動選定機能部1が選定可能な回線組合せ数を自動的に計数するには、反復試験方式と同様な方法を用いるが、一回試験方式の場合は反復試験方式において設定した選定可否判定基準のうち、▲1▼乃至▲6▼はそのまま適用し、▲7▼を除いて次の▲8▼及び▲9▼を適用する。
【0078】
▲8▼ 既に試験を終了した組合せ(この例ではi=1、j=5で、図の*の組合せ)はt(i,j)=0
▲9▼ ▲5▼、▲6▼及び▲8▼を除く組合せはt(i,j)=1
以上のように各組合せ(行または列を単位とする組合せを含む)に「0」または「1」を付与すれば、一回試験方式においても(式1)を用いて選定可能な組合せの総数Sを算出することができる。なお、この場合は試験中の回線組合せの情報のほか、試験を終了した回線(試験済回線とも記す)の組合せの情報が自動試験装置2より試験回線自動選定機能部1に対して通知されているものとする。
【0079】
図6の(d) の回線状態の場合は、i=1についてjを変化させて計算する際に、j=5において(式1)の大括弧内の第1項t(i,j)が前記▲8▼により、t(i,j)=t(1,5)=0となるため、第2項v(j)の値如何に拘らず大括弧内は“0”となる。このため、i=1についてはj=1〜6の大括弧内の累計値(Σ)は“2”となる。i=2〜6については反復試験方式と同一の値となるため、i=1〜6についての累計値(Σ)、即ち、選定可能な組合せの総数Sは、S=11となる。
【0080】
この11組の中から1組の回線組合せを選定する方法は反復試験方式と同一であるので説明を省略するが、一回試験方式では自動試験装置2からすべての回線組合せについて試験済であることが通知されるまで、回線選定を継続し、すべての回線組合せが試験済となった場合に試験の終了を自動試験装置2に通知して試験回線の選定を終了する。
【0081】
次に本発明の回線自動選定方法の他の実施例について説明する。各種の回線、特に端末と接続される回線には多種類の機能或いは動作を行うものが多い。例えば一方の端末を空き状態に設定して発信側の端末(回線)から接続する通常の接続動作のほかに留守番状態に設定して接続したり、或いは、通信中に一方の端末が特定の機能を動作させた場合の動作を確認したりすることも多い。このように回線またはそれに接続される端末が複数の機能を有している場合には、同一回線組合せでも内容の異なる試験を行う必要がある。
【0082】
図7の(e) は図5の(a) において、回線#1と回線#2、回線#3と回線#4、回線#5と回線#6がそれぞれ同一機能を有する回線である場合の機能の組合せをモデル的に図示したものである。図中、○は発信回線と着信回線間で適合する機能、白の三角印(△)は適合しない機能を示している。例えば、機能aを音声通話機能とし、すべての回線が機能aを備えているとすれば、機能aについては全ての回線組合せについて試験を行うことが可能となる。
【0083】
また、機能fをファクシミリ自動送受信機能であるとすれば、機能fについての試験は機能fを有する回線(図7の例では回線#5,#6)間で行う以外は機能が動作しないことになる。しかし、試験としては例えばファクシミリ自動送受信機能を有しない回線#1からファクシミリ自動送受信状態に設定されている回線#5に対しても接続を行って予想外の異常動作が生じないか確認する必要がある場合も考えられる。このような考えにより回線#1と回線#5との間ですべての機能の組合せ(図7では6種類)を試験する場合には一回試験方式の場合でも最大6回の接続を行う必要がある。この6種類の機能の組合せの実行の管理は自動試験装置2側で行うのが一般的であるが、その場合は試験回線自動選定機能部1では自動試験装置2より回線選定要求が行われる都度、回線組合せのみを選定すればよい。
【0084】
しかし、反復試験方式で各種の機能を任意に組み合わせて試験を行う場合には機能の組合せの選択まで試験回線自動選定機能部1に任される場合があり得る。この場合は、自動試験装置2より試験回線選定要求をうける都度、試験回線自動選定機能部1は前述の反復試験方式による回線組合せの選定を行うが、回線組合せを選定したのち、機能の組合せを選定する。
【0085】
機能の組合せの選定方法は2種類に大別できる。第1の方法は適合する機能の組合せの中から一つを選定する方法である。例えば回線選定により図7に図示した回線#1が発信回線、回線#4が着信回線として選定された場合には、機能の組合せ9種類のうち同図に○が付された4種類の組合せの中から乱数を用いて一つを選定する。この場合、適合する機能の組合せごとに番号が付されたテーブルなどを試験回線自動選定機能部1内に予め用意しておき、回線組合せが決定したときに、選定対象となる機能組合せの数が確認できるようにしておく。この例では選定対象となる機能組合せの総数が4であるので1〜4の範囲で乱数を発生させて機能の組合せを決定する。
【0086】
他の方法は、適合の有無を無視して機能の組合せを選定する方法である。上記と同じく発信回線#1と着信回線#4が選定された場合、機能の組合せ9種類全部に番号を付与しておき、その中から乱数により一つを選択する。自動試験装置2は選択された機能の組合せにより試験呼を発生させるが、予め試験不可能である機能組合せを明らかにしておき、その組合せが指定された場合には試験呼を発生させないようにしてもよい。
【0087】
次に本発明による試験回線自動選定装置の実施形態について説明する。図8は本発明による試験回線自動選定装置の実施例の構成を示しているが、図8の試験回線自動選定装置10は図3及び図4の基本構成図に図示された試験回線自動選定装置10A 及び10B の機能を兼ね備えた例を示している。説明の便から、図8では自動試験装置2が6回線の回線4(個々の回線を指す場合には回線#1〜回線#6と記す)のみを介して試験呼を発着信させる場合の構成を図示している。
【0088】
以下、図8を参照して本発明の試験回線自動選定装置の実施形態の動作を説明するが、最初に前述の反復試験方式の例を説明する。なお、試験回線自動選定方法の実施例説明と重複する部分については先に説明した図面を流用して簡単な説明に留める。
【0089】
いま、自動試験装置2が交換機3に対して試験を開始するため、試験回線自動選定装置10に対して試験回線選定要求を行ったものとする。試験回線選定要求を受けると試験回線自動選定装置10の選定可能回線組合せ選出部13は、全試験回線情報記憶部11より全試験回線の情報、試験中回線情報記憶部12より試験中の回線の情報を読み出して選定可能な回線の組合せを選出する動作を開始する。
【0090】
全試験回線情報記憶部11には予め自動試験装置2が試験呼の発着信に使用する回線の識別情報(以下、回線番号と記す)が記憶されているが、この情報は試験回線自動選定装置10において図示省略された入力機器を用いて入力するか、自動試験装置2から受信するようにする。記憶内容は図5の(b) に図示したように発着信回線の組合せが識別できる形式で記憶してもよいが、単に回線番号を記憶するだけでもよい。発着信回線の組合せが識別できる形式で記憶する場合も、図5の(b) と全く同一のマトリックスである必要はなく、コンピュータにおいてマトリックスを表す場合に使用される形式(公知の方法が使用できるので説明は省略する)で記憶してよい。
【0091】
試験中回線情報記憶部12には現在試験中の回線の番号を記憶するが、試験呼の発信に使用されている回線と、着信に使用されている回線が識別できるように記憶する。試験中の回線の情報は試験が継続している間、常に最新の状態が自動試験装置2より供給されるが、ここでは試験開始時を想定しているので試験中回線の情報は記憶されていない。
【0092】
選定可能回線組合せ選出部13は全試験回線情報記憶部11より全試験回線の情報、試験中回線情報記憶部12より試験中の回線の情報を読み出すと選定可能な回線の組合せを選出するが、この時点では全試験回線の情報を用いて発信回線と着信回線の組合せを作成し、その中から発信回線と着信回線が同一の番号の組合せを除いて、発信回線番号と着信回線番号の組合せを対にして試験回線決定部14に送出する。この組合せを作成することは容易であり、このとき送出される発信回線と着信回線の組合せ情報が図5の(b) に○で示した組合せであることは言うまでもない。
【0093】
試験回線決定部14は選定可能回線組合せ選出部13より受信する発着信回線の組合せ情報に番号を付与する。選定可能回線組合せ選出部13より図5の(b) の○に付した数字の順に回線組合せ情報が送出された場合は、各組合せに付される番号は図5の(b) と同一になる。番号を付すと試験回線決定部14は発信回線と着信回線の組合せ情報を番号とともに適当なメモリ(図示省略)に記憶させる。
【0094】
次いで、試験回線決定部14は選定可能な回線の組合せ数を計算するが、その方法にはいくつかある。最も簡単な方法は選定可能回線組合せ選出部13より発信回線と着信回線の組合せ情報を受信する都度、受信情報の数をカウントする方法であるが、この場合、計数結果が30となることは明らかである。第2の方法は初期状態の場合のみに適用できる算出方法であるが、初期状態(試験中回線がない状態)では選定可能な回線組合せ数は先に行ったように、n×n−n=6×6−6=30(nは回線数でこの場合n=6)として算出することができる。
【0095】
第3の方法は前記した(式1)により算出する方法である。この場合は先に説明した回線のマトリックスを想定して計算する(マトリックス計算は公知の方法が使用できるので説明は省略)が、この場合は、試験回線自動選定方法で説明した選定可否判定基準の▲1▼〜▲7▼のうち、▲1▼、▲3▼及び▲6▼の状態が存在しないため、(式1)の大括弧の外のh(i)はi=1〜6についてすべてh(i)=1となり、大括弧内のv(j)もv=1〜6についてすべてv(j)=1となるので、総数Sはi=jを除くt(i,j)の累計値となる。i=jを除くt(i,j)の数が30、即ち、S=30であることは明らかである。
【0096】
以上のいずれかの方法で選定可能回線組合せ数Sが30組であることが算出されると、試験回線決定部14は乱数を用いて1以上30以下の数pを発生させる。pが得られると先に記憶させたメモリよりpと同一番号が付与された発信回線と着信回線の組合せ情報を読み出して自動試験装置2に出力する。例として発信回線と着信回線の組合せ情報に付された番号が図5の(b) と同一であり、p=8が得られた場合は発信回線として回線#2、着信回線として回線#4を選定して自動試験装置2に通知する。
【0097】
自動試験装置2はこの情報を受けると回線#2より発信し、回線#4に着信させる試験呼を交換機3に加えるとともに、この試験呼が継続している間、試験回線自動選定装置10に対して回線#2が発信回線、回線#4が着信回線として試験中であることを通知する。試験回線自動選定装置10の試験中回線情報記憶部12は試験中の状態が解消したことを示す情報を受けるまで、この試験中回線の情報を記憶しておく。
【0098】
次に回線#2を発信回線、回線#4を着信回線とする試験呼が進行中に次の試験呼を発生する時期が到来し、自動試験装置2より試験回線自動選定装置10に対して試験回線選定要求が送出されたものとする。これによって実質的な組合せ試験が開始されることになる。試験回線選定要求を受けると、選定可能回線組合せ選出部13は初期状態におけると同様、全試験回線情報記憶部11より全試験回線の情報、試験中回線情報記憶部12より試験中の回線の情報を読み出し、選定可能回線組合せの選出を開始する。
【0099】
今度は試験中の回線があるため、選定可能な回線組合せを選出はやや面倒になるが、発信回線の番号をi(1≦i≦6)、着信回線の番号をj(1≦j≦6)としてi=1についてj=1からj=6まで順次組合せて、先に記載した選定可否判定基準の▲1▼〜▲7▼を当てはめ、数値が1となる組合せのみを試験回線決定部14に送出する。実際にはt(i,j)について、i=jとなる組合せと、i=2、i=4、j=2またはj=4が含まれる組合せをt(i,j)=0とし、それ以外の組合せをt(i,j)=1として、t(i,j)=1の組合せを選定可能な回線組合せとして出力する。i=jとなる組合せが計6組、i=2、i=4、j=2またはj=4が含まれる組合せが各々6組あることは明らかであるが、これらの中に重複する組合せがあるため、出力される組合せは図6の(c) に○で示された12組が出力される。
【0100】
この出力を受信した試験回線決定部14の動作は初期の場合と同一であるので説明は省略するが、この12組の回線組合せの中から乱数により選ばれた回線組合せが自動試験装置2に対して出力される。
【0101】
次に一回試験方式の例について説明する。図8において回線#1を発信回線、回線#5を着信回線とする試験が既に終了しており、回線#2を発信回線、回線#4を着信回線とする試験呼が進行中である場合(図5の(a) と同一回線状態)を例に説明する。この場合、自動試験装置2は試験を終了する都度、試験回線自動選定装置10に対して試験が終了した回線の組合せを通知する。試験回線自動選定装置10では試験終了回線情報記憶部15がこの情報を記憶する。なお、この情報は一連の試験を完了したとき、或いは初期設定を行って試験を開始するときにクリアされる。
【0102】
上記の状態において自動試験装置2より試験回線選定要求を受けると、試験回線自動選定装置10の選定可能回線組合せ選出部13は前記と同様、全試験回線情報記憶部11より全試験回線の情報、試験中回線情報記憶部12より試験中の回線の情報を読み出すが、この場合は試験終了回線情報記憶部15より試験終了回線の情報も読み出す。選定可能回線組合せ選出部13はこれらの情報を用いて選定可能回線組合せの選出を行うが、その動作は反復試験方式において試験中の回線がある場合の回線選定方法と殆ど同一である。異なる点はt(i,j)について試験済の回線組合せ(この例ではi=1,j=5が該当)についてt(i,j)=0とする点であり、その結果、試験回線決定部14に対して送出される回線組合せは11組となる(図6の(d) 参照)。その他の動作はこれまでに説明したものと変わらないので省略する。
【0103】
以上のように、本発明の試験回線自動選定装置10を用いることにより自動試験装置2内(または外部でもよい)に設けて試験に使用する試験手順ファイル(図示省略)に予め試験呼を発生する回線と着信させる回線を指定しておく必要がなくなるので、試験手順ファイルの作成が極めて簡単になる。また、人手により試験回線を選定する場合は回線組合せや試験呼の種類別の発生順序が或る程度固定したものとなることが多いが、本発明の試験回線自動選定装置10ではその都度、乱数を用いて回線選択を行うので組合せ試験の組合せが多様になり、より実際に近い試験を行うことができる。
【0104】
次に、本発明の試験回線自動選定装置の適用形態の実施例について図9乃至図11を用いて説明する。図9の(a) は自動試験装置2が交換機3に収容された回線4に直接接続された形態で、これまで説明してきた形態である。回線4と交換機のNW31との間には回線装置(回線インタフェース装置)が介在するのが一般的であるが、図9乃至図11では回線装置の図示を省略している。
【0105】
図9の(b) は自動試験装置2が擬似呼発生装置5を介して交換機3に試験呼を加える形態である。図9の(b) では試験回線自動選定装置10は自動試験装置2と結合し、試験回線選定要求を自動試験装置2が行う形態を図示しているが、試験回線自動選定装置10が擬似呼発生装置5から試験回線選定要求を受けるようにしてもよい。
【0106】
図10の(c) は試験回線自動選定装置10を自動試験装置2B内に内蔵させた形態、図10の(d) は試験回線自動選定装置10を擬似呼発生装置5B内に内蔵させた形態である。これらの場合、試験回線自動選定装置10を装置の形態のまま自動試験装置2Bまたは擬似呼発生装置5Bに内蔵させるのではなく、試験回線自動選定装置10の機能を自動試験装置2B内または擬似呼発生装置5B内に組み込むのが普通である。
【0107】
図11の(e) は交換機の代わりに交換機を擬似した擬似交換機6を使用して試験を行う形態である。この形態は交換機そのものを試験するのが目的ではなく、ソフトウェアの検証を目的とする場合などに多く用いられる。擬似交換機6としては汎用コンピュータなどが用いられるが、自動試験装置2は交換機と同様に試験を行うため、試験回線自動選定装置10も図9の(a) におけると同様に試験回線の選定を行う。
【0108】
いずれの形態においても試験回線を選定する機能が必要であるが、図9乃至図11の構成では本発明の試験回線自動選定装置10によって試験回線の選定が行われるため、他の装置において試験回線の選定を含む試験手順の作成が大幅に簡略化される。
【0109】
以上、図5乃至図11により本発明の実施例を説明したが、図5乃至図11はあくまで本発明の実施例の一部を記したものに過ぎず、本発明が図示されたものに限定されるものでないことは言うまでもない。交換機や自動試験装置、或いは擬似呼発生装置には多種多様な形式のものがあるため、本発明の試験回線自動選定方法或いは試験回線自動選定装置も組み合わせられる交換機や装置に応じて各種の変形が考えられる。例えば、自動試験装置が交換機に収容された回線または回線装置ではなく端末と接続して試験呼を発生させる場合などが考えられるが、いずれの場合も本発明の効果は変わらない。
【0110】
また、図8においては全試験回線情報記憶部11、試験中回線情報記憶部12及び試験終了回線情報記憶部15をそれぞれ別個のものとして図示したが、これらの記憶部は物理的に同一の記憶部内に共存させても本発明の効果が変わらないことは明らかである。
【0111】
また、上記の説明では試験回線決定部14において選定可能回線組合せに番号を付与するとしたが、選定可能回線組合せ選出部13において選定可能回線組合せの情報に番号を付与することは容易であり、これによって本発明の効果は変わらない。更に、選定可能回線組合せ選出部13と試験回線決定部14を併合しても本発明の効果が変わらないことも明らかである。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の試験回線自動選定方法または試験回線自動選定装置によれば、複数の試験呼を並行させて交換機に加える組合せ試験において回線の使用状況を確認しながら試験呼を発信または着信させることが可能な回線を人手によって選定する作業が不要となるため、試験を実行する際に必要な試験手順ファイルの作成期間が大幅に短縮される。このため、試験手順作成のための労力を少なくすることができ、その結果、試験期間や製品開発期間全体が短縮される。また、試験回線がその都度乱数を用いて選定されるため、組合せ試験において組み合わせられる回線が不規則に変化し、多様な組合せによって試験されることになるので、試験の品質も向上する。
【0113】
以上のように、本発明は交換機の試験工数の縮小、試験期間の短縮、試験品質の向上に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の試験回線自動選定方法の原理説明図(1)
【図2】 本発明の試験回線自動選定方法の原理説明図(2)
【図3】 本発明の試験回線自動選定装置の基本構成図(1)
【図4】 本発明の試験回線自動選定装置の基本構成図(2)
【図5】 本発明の試験回線自動選定方法の実施例の説明図(1)
【図6】 本発明の試験回線自動選定方法の実施例の説明図(2)
【図7】 本発明の試験回線自動選定方法の実施例の説明図(3)
【図8】 本発明の実施例の試験回線自動選定装置の構成図
【図9】 本発明の試験回線自動選定装置の適用形態説明図(1)
【図10】 本発明の試験回線自動選定装置の適用形態説明図(2)
【図11】 本発明の試験回線自動選定装置の適用形態説明図(3)
【図12】 従来技術における試験回線選定方法の説明図(1)
【図13】 従来技術における試験回線選定方法の説明図(2)
【図14】 従来技術における試験回線選定方法の説明図(3)
【符号の説明】
1 試験回線自動選定機能部
2、2B 自動試験装置
3 交換機
4 回線
5、5B 擬似呼発生装置
6 擬似交換機
10、10A、10B 試験回線自動選定装置
11 全試験回線情報記憶手段
12 試験中回線情報記憶手段
13、13A、13B 選定可能回線組合せ選出手段
14、14A、14B 試験回線決定手段
15 試験終了回線情報記憶手段
31 スイッチ・ネットワーク(NW)
32 中央制御装置(CC)
Claims (4)
- 交換機に収容された複数有限数(n)の回線の中から試験呼を発信させて前記回線中の他の回線に着信させ、かつ、複数の試験呼を並行して進行させる組合せ試験において、試験呼を発生させる発信回線と試験呼を着信させる着信回線を自動的に選定する試験回線自動選定方法であって、
前記複数有限数(n)を行及び列とする2次元(n×n)のマトリックスの一方を発信回線、他方を着信回線として前記複数有限数(n)回線の識別情報を配列し、試験呼を発生させる時期が到来したことを知らせる情報を受けたときに、その時点で発信回線または着信回線として試験が進行中の回線の識別情報に対応する行及び列に含まれる組合せと、発信回線と着信回線が同一回線となる組合せを除いた組合せの数を選定可能回線組合せ数(k組)として算出し、前記選択可能な回線組合せ(総数k組)の各々に各回線組合せを識別することが可能なように連続番号(1〜k)を付与したのち、乱数を用いて1以上で前記選択可能回線組合せ数(k)以下の数をひとつ発生させ、発生した数と同一の番号が付与された組合せが存在する行及び列に対応する発信回線及び着信回線の識別情報に該当する回線を試験呼を発信させる回線及び着信させる回線として選定することを特徴とする試験回線自動選定方法。 - 交換機に収容された複数有限数(n)の回線の中から試験呼を発信させて前記回線中の他の回線に着信させ、かつ、複数の試験呼を並行して進行させる組合せ試験を行うことが可能な自動試験装置または複数の試験呼を発生させる擬似呼発生装置に接続され、
前記複数有限数(n)の回線の識別情報を試験回線情報として記憶する全試験回線情報記憶手段と、
前記自動試験装置または擬似呼発生装置より試験中の発信回線と着信回線の組合せを識別できる情報を受信して記憶する試験中回線情報記憶手段と、
前記自動試験装置または擬似呼発生装置より試験回線選定要求を受信したときに、前記全試験回線情報記憶手段に記憶されている全試験回線の識別情報と、前記試験中回線情報記憶手段に記憶されている試験中の回線組合せの情報を読み出し、前記全試験回線の識別情報により作成した発信回線と着信回線の全組合せより試験中の回線が含まれる組合せ及び発信回線と着信回線が同一となる組合せを除いた回線組合せの情報を選定可能回線組合せ情報として出力する選定可能回線組合せ選出手段と、
前記選定可能回線組合せ選出手段より選定可能回線組合せ情報(総数k組)が入力されたときに各回線組合せに連続番号(1〜k)を付与したのち、乱数を用いて1以上で選択可能回線組合せ数(k)以下の数をひとつ発生させ、発生した数と同一の番号が付与された回線組合せにより定まる発信回線と着信回線を試験呼を発信させる回線及び着信させる回線として選定して前記自動試験装置または擬似呼発生装置に出力する試験回線決定手段を備えたことを特徴とする試験回線自動選定装置。 - 交換機に収容される複数有限数(n)の回線と接続したのちに、前記回線の中から試験呼を発生させて前記回線中の他の回線に接続させ、かつ、複数の試験呼を並行して進行させる組合せ試験を行うことが可能な自動試験装置であって、請求項2に規定される試験回線自動選定装置が備える各手段を備えたことを特徴とする自動試験装置。
- 交換機に収容される複数有限数(n)の回線と接続したのちに、前記回線の中から試験呼を発生させて前記回線中の他の回線に接続させ、かつ、複数の試験呼を並行して発生させることが可能な擬似呼発生装置であって、
請求項2に規定される試験回線自動選定装置が備える各手段を備えたことを特徴とする擬似呼発生装置。
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