JP3968575B2 - 周期的振動の分析装置及び分析方法 - Google Patents

周期的振動の分析装置及び分析方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば回転精度測定器等の周期的振動の分析装置の温度による影響を少なくする技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、回転精度測定器等の周期的振動を高精度に測定し分析する分析装置は、温度変動の影響を受けやすい傾向があり、従って電源投入後から十分な温度平衡点に達するまで、例えば数十分から1時間以上もの間、振動測定を行うことができないという問題がある。また、温度平衡点に達した後も装置周辺の雰囲気温度は厳密に、一定温度に制御しなければならないという問題もある。さらに、装置とは温度が異なる被測定物を測定する場合、その温度差に起因してセンサからの振動信号がドリフトするので、装置と被測定物が温度平衡状態になるまで、測定を行えないという問題もある。かかる問題を、更に具体的に説明する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図6は、一般的な回転精度測定器1を用いて、アンギュラ玉軸受(被測定物)2を測定する状態の一例を示す図である。図において、支持台3の上部のインローに外輪2aがはめ込まれたアンギュラ玉軸受2の内輪2bの内径に対し、荷重と回転を与えるアーバー4が芯を合わせて挿入嵌合されている。アンギュラ玉軸受2の内輪2bの内径面には、下方の変位センサ5より延在する測定針5aの先端が当接しており、変位センサ5は、かかる測定針5aを介して内輪2bの回転に伴う回転振れの変位を検出し、振動信号である電気信号として出力するようになっている。変位センサ5は、移動ステージ6に設置されており、移動ステージ6は、パルスモータ8と送りねじ7によって支持台3に対して移動可能に制御される。すなわち、測定されるアンギュラ玉軸受2の着脱時には、変位センサ5は移動退避され、測定時には内輪2bの内径面に接触する位置へ移動制御されるようになっている。支持台3と、移動ステージ6と、送りねじ7と、パルスモータ8とで保持機構を構成する。
【0004】
上述したように、図6の回転精度測定器1は、不図示のスイッチの操作により電源を投入してから、測定すべきアンギュラ玉軸受2を支持台3に設置し、アーバー4により荷重と回転を与え、移動ステージ6を移動制御して変位センサ5の測定針5aを内輪2bの内径面に接触させても、すぐには有効な測定ができないという実情がある。この例では、パルスモータ8やアーバー4の荷重回転の駆動系などが、その通電と運動により熱を発生して各部材が伸縮するため、測定されるアンギュラ玉軸受2の内輪2bの内径面と、変位センサ5の相対的な距離が変動するからである。また、変位センサ5の電気回路も通電により発熱し温度が上昇する。これらの変動は変位センサ5からの電気信号の変動、すなわち、温度ドリフトとなって現れ、測定誤差を招く要因となり得る。したがって、従来は、温度が平衡状態に達して温度ドリフトの影響が小さくなるまで測定を待っていなければならなかったのである。
【0005】
図7は、電源投入後における温度変化に起因した測定針5aの変位の時間経過を示す図である。これは、約7.5分の時定数(カットオフ周波数1/(2πT)=約0.35mHz)の一時遅れの応答特性に近似できるが、約50分後に6μmの飽和点−0.01μmに達する。すなわち、この時点で初期設定を行えば、精度良い測定が行えるのである。
【0006】
更に、あるアンギュラ玉軸受2の測定が終わり、次のアンギュラ玉軸受2を測定のため支持台3に設置するときも、すぐには有効な測定はできないことが多い。なぜならば、測定すべきアンギュラ玉軸受2は、作業者により把持されて体温の影響を受けたり、あるいは回転精度測定器1とは異なる温度環境に保管されていた場合など、回転精度測定器1とは温度が異なった状態では、その軸受が温度平衡状態になるまで内径等の膨縮が生じ、それによりドリフトが生じるからである。
【0007】
図8は、回転精度測定器1とアンギュラ玉軸受2とで温度が異なる場合に生じるドリフトの状況を示す図であり、ここでは、約70秒の時定数(カットオフ周波数1/(2πT)=約2.3mHz)の一時遅れの応答特性に近似できるが、この影響が0.4μmの飽和点−0.01μm以内になるのは約4.5分後である。以上述べたように従来技術によれば、安定な測定のためには温度平衡状態に達するまで測定の待ち時間が必要となり、測定の効率化が望まれている。
【0008】
本発明は、上記の従来技術の温度に依存する測定待ちの不都合に鑑み、電源投入直後あるいはわずかの待ち時間後から温度変動の影響が少ない安定な測定分析を始めることができ、また、温度管理設備がない環境でもその後の装置周辺の温度変動の影響が少ない安定な測定分析が可能であり、さらには温度衝撃に対してもその影響を軽減して安定な測定分析が可能な方法とその手段を備えた分析装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明の周期的振動の分析装置は、被測定物に生じた周期的振動を検出して対応する振動信号に変換するセンサと、前記センサからの振動信号を前処理する信号変換器と、前記信号変換器からの出力信号を分析する処理装置とからなる周期的振動の分析装置であって、
前記信号変換器は、前記分析装置の温度変動に起因して生じ振動信号に含まれるドリフトの上限周波数より高く、且つ前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%の周波数より低いカットオフ周波数を持つハイパスフィルタを含んでなることを特徴とする。
【0010】
第2の本発明の周期的振動の分析装置は、被測定物に生じた周期的振動を検出して対応する振動信号に変換するセンサと、前記センサからの振動信号を前処理する信号変換器と、前記信号変換器からの出力信号を分析する処理装置とからなる周期的振動の分析装置において、
前記処理装置は、内蔵するアナログ−デジタル変換器により、振動信号をデジタル値に変換し、該デジタル値を処理することで、前記分析装置の電源投入後の温度変動に伴う信号のドリフト、分析装置の周辺の温度変動に伴う信号のドリフトと、前記被測定物と前記保持機構との初期温度差に基づく温度変動に伴う信号のドリフトの内の主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%以上の周波数の信号をパスすることを特徴とする。
【0011】
第3の本発明の周期的振動の分析方法は、被測定物に生じた周期的振動を、センサで検出して対応する振動信号に変換するステップと、前記センサからの振動信号を、信号変換回路で前処理するステップと、前記信号変換器からの出力信号を、処理装置で分析するステップとからなる周期的振動の分析方法であって、
前記信号変換器から出力する出力信号において、温度ドリフトに関する主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%以上の周波数の信号をパスするようになっていることを特徴とする。
【0012】
【作用】
第1の本発明の周期的振動の分析装置は、被測定物に生じた周期的振動を検出して対応する振動信号に変換するセンサと、前記センサからの振動信号を前処理する信号変換器と、前記信号変換器からの出力信号を分析する処理装置とからなる周期的振動の分析装置であって、前記信号変換器は、前記分析装置の温度変動に起因して生じ振動信号に含まれるドリフトの上限周波数より高く、且つ前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%の周波数より低いカットオフ周波数を持つハイパスフィルタを含んでなるので、かかるハイパスフィルタを用いることで、温度ドリフトによる低周波数成分をカットし、前記周期的振動の分析すべき成分は有効に通過させることで、温度ドリフトに関わらず分析に有効な出力信号を得ることができるため、迅速な測定を行うことが可能となる。
【0013】
更に、前記被測定物の交換後において、前記被測定物に対して前記センサを接近させた後、所定時間内に測定を開始すると好ましい。
【0014】
又、前記ハイパスフィルタはアナログフィルタであると好ましい。このようなフィルタとしては、信号波形を損なわない位相直線型のハイパスフィルタが好ましいが、2次のバターワースフィルタ等も使用可能である。
【0015】
更に、前記カットオフ周波数は、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数より低周波数の振動を減衰させるように決められると好ましい。
【0016】
第2の本発明の周期的振動の分析装置は、被測定物に生じた周期的振動を検出して対応する振動信号に変換するセンサと、前記センサからの振動信号を前処理する信号変換器と、前記信号変換器からの出力信号を分析する処理装置とからなる周期的振動の分析装置において、前記処理装置は、内蔵するアナログ−デジタル変換器により、振動信号をデジタル値に変換し、該デジタル値を処理することで、前記分析装置の電源投入後の温度変動に伴う信号のドリフト、分析装置の周辺の温度変動に伴う信号のドリフトと、前記被測定物と前記保持機構との初期温度差に基づく温度変動に伴う信号のドリフトの内の主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%以上の周波数の信号をパスするので、それにより温度ドリフトによる低周波数成分をカットし、前記周期的振動の分析すべき成分は有効に通過させることで、温度ドリフトに関わらず分析に有効な出力信号を得ることができるため、迅速な測定を行うことが可能となる。
【0017】
更に、前記被測定物の交換後において、前記被測定物に対して前記センサを接近させた後、所定時間内に測定を開始すると好ましい。
【0018】
又、前記処理装置は、デジタルフィルタを含むと好ましい。
【0019】
更に、前記処理装置の処理によりカットされる周波数は、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数より低周波数の振動を減衰させるように決められると好ましい。
【0020】
第3の本発明の周期的振動の分析方法は、被測定物に生じた周期的振動を、センサで検出して対応する振動信号に変換するステップと、前記センサからの振動信号を、信号変換回路で前処理するステップと、前記信号変換器からの出力信号を、処理装置で分析するステップとからなる周期的振動の分析方法であって、前記信号変換器から出力する出力信号において、温度ドリフトに関する主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%以上の周波数の信号をパスするようになっているので、それにより温度ドリフトによる低周波数成分をカットし、前記周期的振動の分析すべき成分は有効に通過させることで、温度ドリフトに関わらず分析に有効な出力信号を得ることができるため、迅速な測定を行うことが可能となる。尚、温度ドリフトとは、温度変化に起因して生じる各部の膨脹や回路の特性変動等の測定誤差を招く現象に起因した信号の誤差をいうものとする。
【0021】
更に、ハイパスフィルタを用いて、温度ドリフトに関する主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数以上の周波数の信号をパスすると好ましい。
【0022】
又、アナログ−デジタル変換器により、振動信号をデジタル値に変換し、該デジタル値を処理することで、温度ドリフトに関する主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数以上の周波数の信号をパスすると好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、図6に示す回転精度測定器1と組み合わせることで、第1の実施の形態にかかる周期的振動の分析装置を構成する回路のブロック図である。図1において、かかる分析装置は、図6の変位センサ5からの振動信号を、評価に適するアナログ信号(出力信号)に変換処理して出力する信号変換器1Aと、信号変換器1Aから出力された前記評価に適するアナログ信号に基づいて周期的振動を分析する処理装置2Aとを有する。
【0024】
図6におけるアンギュラ玉軸受2が回転すると、その内外輪の真円度、転動体の公転、転動体の自転等に応じて、内輪2bは振動し微小に変位するが、それに応じて内輪2bの内径に摺接する測定針5aが揺動し、変位センサ5は内輪2bの揺動すなわち変位に応じた振動信号を出力する。
【0025】
変位センサ5からの振動信号は、信号変換器1Aを構成する変位変換回路11において増幅、検波等の処理を受けて、変位に対応するアナログ信号Xに変換される。この変位に対応するアナログ信号Xは、次段のハイパスフィルタ12により信号に含まれているドリフト成分を抑圧され、アナログ信号Yとして出力される。アナログ信号Yは、処理装置2Aを構成するA/D変換器21でデジタル値に変換され、このデジタル値を入力した次段のコンピュータ22が分析処理することで、周期的振動の分析が可能となる。
【0026】
図9は、本発明者らが供試したアンギュラコンタクト玉軸受2の断面図である。アンギュラコンタクト玉軸受2は、外輪2aと、内輪2bと、両輪間を転動自在な転動体である複数の玉2c、玉2cを保持する保持器2dとからなり、その仕様は以下の通りである。
呼び番号:50BNC10TY
内径:50mm
外径:80mm
幅:16mm
玉径:6.35mm
玉数:24
PCD(ピッチ円直径)、D:64.2mm
接触角α:15度
【0027】
上記仕様におけるアンギュラ玉軸受2の内輪2bを45rpmで回転させたとき、内輪回転周波数fr=0.75Hzであり、転動体(玉)の公転周波数(保持器の回転周波数)fc=fr(1−(d/D)cosα)/2=0.3375Hzであり、転動体(玉)の自転周波数fb=fr(D/d)・(1−(d/D)cosα)/2=37Hzとなる。従って、具体的な測定時間は、アンギュラ玉軸受2の内輪2bを45min−1で回転させたとき60秒であり、50min−1で回転させたとき54秒である。
【0028】
ここで、分析の対象となる成分に、波形ひずみ等の誤差をできる限り発生せずにドリフト成分を減衰させることができるハイパスフィルタ12の設計例を説明する。まず前提として、図6の装置において、アンギュラ玉軸受2の内輪2bを45rpmで回転させたとき、発生する変位振動の最低周波数成分は、上述したように転動体の公転周波数fc≒0.34Hzであった。従って、ハイパスフィルタ12がこの周波数成分を出来る限りひずみなく通せることが要件となる。尚、上述した第1の発明において、周期的振動の分析すべき成分の最低周波数とは、本実施の形態では、転動体の公転周波数fcとするが、これに限られることはない。
【0029】
ドリフト成分の影響を0.01μm以内に抑えたいとすると、この例では、電源投入後のドリフトが6μm(図7)と非常に大きいことから、ハイパスフィルタ12のカットオフ周波数はできる限り高いことが望まれるが、0.34Hzの最低周波数成分を正確に保つには低い方が好ましい。また、ハイパスフィルタ12の次数が大きければドリフトの抑圧効果は大きいが、波形のひずみに注意しなければならない。
【0030】
ここでは、ハイパスフィルタ12として2次のバターワース・フィルタを使うものとする。経験的に2次バターワース・ハイパスフィルタのカットオフ周波数が最低周波数の10%程度ならば、最低周波数成分のひずみがほとんどないことがわかっている。そこでカットオフ周波数が0.034(0.3375の約10%)Hzの2次バターワース・ハイパスフィルタを使用するとして、前記の時定数7.5分、最大6μmの電源投入後のドリフトに対する応答を計算した結果を図2に示す。図2より電源投入してから14秒後には、変位誤差が0.01μm以内に収まることがわかる。
【0031】
次に、時定数70秒、被測定物交換後の最大0.4μmのドリフトに対する応答を計算した結果を図3に示す。図3より被測定物の交換から8秒後には誤差が0.01μm以内に収まることがわかる。このようにハイパスフィルタ12を使用することにより、測定待ちの時間を大幅に短縮することが期待できる。
【0032】
図6の回転精度測定器1においては、アンギュラ玉軸受2を設置してからパルスモータ8を駆動して、変位センサ5の測定針5aがアンギュラ玉軸受2の内径面に接触してからさらに100μmほど毎秒10μmの一定速度で送り込んで、変位センサ5の測定範囲のほぼ中央(測定位置)で動作するようにしているので、この100μmの変位に対するハイパスフィルタ12の応答も調べる必要がある。図4のグラフaにカットオフ周波数が0.034Hzの2次バターワース・ハイパスフィルタの過渡応答を計算した結果を示す。応答が0.01μm以下になるのは57秒後である。すなわち、本例の回転精度測定では、変位センサ5の測定針5aを測定位置に設定してから少なくとも57秒待たねばならない。この時間を短縮するため、2次バターワース・ハイパスフィルタ12のカットオフ周波数を約2倍の0.07Hzにすれば、図4のグラフbのように、変位センサ5の測定針5aの設定に対する応答が0.01μm以下になるまでの時間は26秒に短縮され、加えてドリフトの影響はさらに軽減される。ただし、0.34Hzの位相は7.8°から15.6°に増えるが、実用上問題にはならないと考えられる。このとき、本例の回転精度測定器1においては、パルスモータ8による変位センサ5の送り完了時点で30秒程度のタイマーを起動し、タイムアップ時点から自動的に測定を始めるようなシーケンス制御を行えばよい。
【0033】
この例では、従来電源投入直後ならば50分、被測定物の交換直後ならば4.5分は必要であった待ち時間が、センサの設定時間14秒と、これに対するハイパスフィルタ12の静定時間26秒の合計40秒に短縮され、より迅速に測定を行えることがわかった。
【0034】
本発明の第2の実施の形態として、図1に示すハイパスフィルタのかわりにデジタル信号処理による例を図5に従って説明する。図5は、図6に示す回転精度測定器1と組み合わせることで、第2の実施の形態にかかる周期的振動の分析装置を構成する回路のブロック図である。図5において、変位センサ5からの振動信号を評価に適するアナログ信号(出力信号)に変換処理して出力する信号変換器1Bと、信号変換器1Bから出力された評価に適するアナログ信号から周期的振動を分析する処理装置2Bを示す。
【0035】
変位センサ5からの振動信号は、信号変換器1Bを構成する変位変換回路11において増幅、検波等の処理を受けて変位に対応するアナログ信号Xに変換される、この変位に対応するアナログ信号Xは、処理装置2BのA/D変換器21でデジタル値に変換される。コンピュータ22は、このデジタル値を対象に、あらかじめ所望のデジタル・ハイパスフィルタを実現するようにプログラムされている。デジタル・ハイパスフィルタで処理されて得られたデジタル値を基に、コンピュータ22は周期的振動を分析処理する。デジタル・ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、上述した実施の形態と同様に決定される。より具体的には、回転精度測定器1の電源投入後の温度変動に伴う信号のドリフト、回転精度測定器1の周辺の温度変動に伴う信号のドリフトと、アンギュラコンタクト玉軸受2と保持機構(3,6,7,8)との初期温度差に基づく温度変動に伴う信号のドリフトの内の主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数以上の周波数の信号をパスするようにする。一般にデジタルフィルタは、波形ひずみを起こさない位相直線タイプの実現が容易であり、この例でも採用するのが望ましい、なおこの例におけるデジタル・ハイパスフィルタは実時間的処理は必ずしも必要ではない。
【0036】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、被測定物は、アンギュラコンタクト玉軸受に限らず、深溝玉軸受、円錐ころ軸受等他の転がり軸受であっても良いし、或いはボールネジやリニアガイド等周期的な振動が生じるものであれば足りる。
【0037】
【発明の効果】
第1の本発明の周期的振動の分析装置は、被測定物に生じた周期的振動を検出して対応する振動信号に変換するセンサと、前記センサからの振動信号を前処理する信号変換器と、前記信号変換器からの出力信号を分析する処理装置とからなる周期的振動の分析装置であって、前記信号変換器は、前記分析装置の温度変動に起因して生じ振動信号に含まれるドリフトの上限周波数より高く、且つ前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%の周波数より低いカットオフ周波数を持つハイパスフィルタを含んでなるので、かかるハイパスフィルタを用いることで、温度ドリフトによる低周波数成分をカットし、前記周期的振動の分析すべき成分は有効に通過させることで、温度ドリフトに関わらず分析に有効な出力信号を得ることができるため、迅速な測定を行うことが可能となる。
【0038】
第2の本発明の周期的振動の分析装置は、被測定物に生じた周期的振動を検出して対応する振動信号に変換するセンサと、前記センサからの振動信号を前処理する信号変換器と、前記信号変換器からの出力信号を分析する処理装置とからなる周期的振動の分析装置において、前記処理装置は、内蔵するアナログ−デジタル変換器により、振動信号をデジタル値に変換し、該デジタル値を処理することで、前記分析装置の電源投入後の温度変動に伴う信号のドリフト、分析装置の周辺の温度変動に伴う信号のドリフトと、前記被測定物と前記保持機構との初期温度差に基づく温度変動に伴う信号のドリフトの内の主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%以上の周波数の信号をパスするので、それにより温度ドリフトによる低周波数成分をカットし、前記周期的振動の分析すべき成分は有効に通過させることで、温度ドリフトに関わらず分析に有効な出力信号を得ることができるため、迅速な測定を行うことが可能となる。
【0039】
第3の本発明の周期的振動の分析方法は、被測定物に生じた周期的振動を、センサで検出して対応する振動信号に変換するステップと、前記センサからの振動信号を、信号変換回路で前処理するステップと、前記信号変換器からの出力信号を、処理装置で分析するステップとからなる周期的振動の分析方法であって、前記信号変換器から出力する出力信号において、温度ドリフトに関する主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%以上の周波数の信号をパスするようになっているので、それにより温度ドリフトによる低周波数成分をカットし、前記周期的振動の分析すべき成分は有効に通過させることで、温度ドリフトに関わらず分析に有効な出力信号を得ることができるため、迅速な測定を行うことが可能となる。尚、温度ドリフトとは、温度変化に起因して生じる各部の膨脹や回路の特性変動等の測定誤差を招く現象に起因した信号の誤差をいうものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による信号変換器と処理装置のブロック図である。
【図2】電源投入後のドリフトに対するハイパスフィルタの応答のグラフを示す図である。
【図3】被測定物の交換後のドリフトに対するハイパスフィルタの応答のグラフを示す図である。
【図4】被測定物と変位センサの接近に対するハイパスフィルタの応答のグラフを示す図である。
【図5】第2の実施の形態による信号変換器と処理装置のブロック図である。
【図6】本実施の形態の測定装置の一部を構成する回転精度測定器の概略図である。
【図7】電源投入後の変位のドリフトの時間経過を示す図である。
【図8】被測定物の交換後の変位のドリフトの時間経過を示す図である。
【図9】被測定物の一例であるアンギュラコンタクト玉軸受の断面図である。
【符号の説明】
1 回転精度測定器
2 アンギュラコンタクト玉軸受
3 支持台
4 アーバー
5 変位センサ
6 移動ステージ
7 送りねじ
8 パルスモータ
1A,1B 信号変換器
2A,2B 処理装置

Claims (11)

  1. 被測定物に生じた周期的振動を検出して対応する振動信号に変換するセンサと、前記センサからの振動信号を前処理する信号変換器と、前記信号変換器からの出力信号を分析する処理装置とからなる周期的振動の分析装置であって、
    前記信号変換器は、前記分析装置の温度変動に起因して生じ振動信号に含まれるドリフトの上限周波数より高く、且つ前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%の周波数より低いカットオフ周波数を持つハイパスフィルタを含んでなることを特徴とする周期的振動の分析装置。
  2. 前記被測定物の配置後において、前記被測定物に対して前記センサを接近させた後、所定時間内に測定を開始することを特徴とする請求項1に記載の周期的振動の分析装置。
  3. 前記ハイパスフィルタはアナログフィルタであることを特徴とする請求項1又は2に記載の周期的振動の分析装置。
  4. 前記カットオフ周波数は、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数より低周波数の振動を減衰させるように決められることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の周期的振動の分析装置。
  5. 被測定物に生じた周期的振動を検出して対応する振動信号に変換するセンサと、前記センサからの振動信号を前処理する信号変換器と、前記信号変換器からの出力信号を分析する処理装置とからなる周期的振動の分析装置において、
    前記処理装置は、内蔵するアナログ−デジタル変換器により、振動信号をデジタル値に変換し、該デジタル値を処理することで、前記分析装置の電源投入後の温度変動に伴う信号のドリフト、分析装置の周辺の温度変動に伴う信号のドリフトと、前記被測定物と前記保持機構との初期温度差に基づく温度変動に伴う信号のドリフトの内の主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%以上の周波数の信号をパスすることを特徴とする周期的振動の分析装置。
  6. 前記被測定物の配置後において、前記被測定物に対して前記センサを接近させた後、所定時間内に測定を開始することを特徴とする請求項5に記載の周期的振動の分析装置。
  7. 前記処理装置は、デジタルフィルタを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の周期的振動の分析装置。
  8. 前記処理装置の処理によりカットされる周波数は、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数より低周波数の振動を減衰させるように決められることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の周期的振動の分析装置。
  9. 被測定物に生じた周期的振動を、センサで検出して対応する振動信号に変換するステップと、前記センサからの振動信号を、信号変換回路で前処理するステップと、前記信号変換器からの出力信号を、処理装置で分析するステップとからなる周期的振動の分析方法であって、
    前記信号変換器から出力する出力信号において、温度ドリフトに関する主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数の10%以上の周波数の信号をパスするようになっていることを特徴とする周期的振動の分析方法。
  10. ハイパスフィルタを用いて、温度ドリフトに関する主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数以上の周波数の信号をパスすることを特徴とする請求項9に記載の周期的振動の分析方法。
  11. アナログ−デジタル変換器により、振動信号をデジタル値に変換し、該デジタル値を処理することで、温度ドリフトに関する主たる成分の上限周波数以下の周波数の信号をカットするが、前記周期的振動の分析すべき成分の最低周波数以上の周波数の信号をパスすることを特徴とする請求項9に記載の周期的振動の分析方法。
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