JP3968559B2 - ガスケット - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封装置の一種であるガスケットに係り、更に詳しくは、半導体分野等におけるウエハーキャリアに用いられるのに適したガスケットに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ウエハーキャリアの蓋部材および箱部材間のシールについては汎用ガスケットが用いられており、よってそのシール性、装着性等を最適な状態に設定するのが困難な状況にある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、ウエハーキャリアに用いられ、上記シール性、装着性等について向上を図ることが可能なガスケットを提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項１によるガスケットは、ウエハーキャリアの蓋部材に取り付けられて前記蓋部材と箱部材との間をシールするガスケットであって、前記箱部材に設けた凸状の閉じ合わせ部に接離自在に当接する平面状の主シール部と、前記主シール部の幅方向両端にそれぞれ設けられ、前記蓋部材の装着溝の底面に予め設けた差込み凹部に差込み固定される一対の脚部とを一体に有し、取付状態において前記主シール部と前記装着溝の底面との間に空間を設定し、前記内周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、前記突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、前記外周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、前記突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、前記内周側の脚部に設けられた突起および前記外周側の脚部に設けられた突起は互いに当該ガスケットにおける周上位置を揃えて設けられていることを特徴とするものである。
【０００５】
上記構成を備えた本発明の請求項１によるガスケットにおいては、当該ガスケットに主シール部および脚部が一体に設けられており、当該ガスケットを取り付けるウエハーキャリアの蓋部材にはその装着溝の底面に差込み凹部が設けられている。したがって、当該ガスケットを蓋部材に取り付けるに際しては、脚部を差込み凹部に差込み固定する。差込み後の取付状態において、主シール部と装着溝の底面との間には空間が設定される。したがって、このように空間が設定されることにより比較的低荷重をもって当該ガスケットが潰れるようにこれを弾性変形させることが可能となる。
【０００６】
また、脚部の側面に脱落防止用突起が設けられ、すなわち内周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、外周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、内周側の脚部に設けられた突起および外周側の脚部に設けられた突起は互いに当該ガスケットにおける周上位置を揃えて設けられているために、差込み凹部に差し込まれた脚部が差込み凹部から抜けにくい。
【０００７】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【０００８】
図１は、本発明の実施例に係るガスケット１を装着するウエハーキャリア２１の要部断面を示しており、図２にその要部概略断面が拡大して示されている。また、図３は同ガスケット１の単品状態の平面図を示しており、そのＡ−Ａ線拡大断面が図４に、Ｂ部拡大図が図５に、Ｃ−Ｃ線拡大断面が図６にそれぞれ示されている。尚、作図の都合上、図１および図２と図３ないし図５とではガスケット１の姿勢（向き）が上下反対方向を向いている。
【０００９】
図１および図２に示すように、当該実施例に係るガスケット１は、ウエハーキャリア２１における蓋部材２２に装着され、蓋部材２２と箱部材２３とが閉じられたときに両部材２２，２３間をシールするものであって、以下のように構成されている。
【００１０】
すなわち先ず、当該ガスケット１は、図３に示すように平面略矩形状に形成されており、かつエンドレス状に形成されている。当該実施例においては、矩形の一辺の長さが実寸でおよそ２５０〜２７０ｍｍとされている。
【００１１】
また、当該ガスケット１は、図４に示すように、箱部材２３に設けた凸状の閉じ合わせ部２４（図２参照）に接離自在に当接する平面状の主シール部２を全周に亙って有しており、この主シール部２の幅方向両端部にそれぞれ、蓋部材２２の装着溝２５の底面２５ａに予め設けた差込み凹部２６，２７（図２参照）に差込み固定される一対の脚部３，４が平面直交方向に向けてかつ全周に亙って一体成形されている。
【００１２】
内周側の脚部３の内面３ａおよび外面３ｂにそれぞれ、脱落防止用突起５，６が一体成形されている。この内面３ａ側の突起５と外面３ｂ側の突起６は互いに一本ずつが対をなして当該ガスケット１における周上位置を揃えて設けられており、かつこの対をなす突起５，６が複数対、ガスケット１の全周に亙って所定の間隔を開けて配置されている（当該実施例では図３に示すように２８対が図上マーク位置に配置されている）。突起５，６一本一本はガスケット１の平面直交方向に長い突条状に形成されており、かつ内面３ａまたは外面３ｂの略全高に亙って設けられており、更に断面円弧形に形成されている。
【００１３】
同様に、外周側の脚部４の内面４ａおよび外面４ｂにそれぞれ、脱落防止用突起７，８が一体成形されている。この内面４ａ側の突起７と外面４ｂ側の突起８はこれも互いに一本ずつが対をなして当該ガスケット１における周上位置を揃えて設けられており、かつこの対をなす突起７，８が複数対、ガスケット１の全周に亙って所定の間隔を開けて配置されている（当該実施例では図３に示すように２８対が図上マーク位置に配置されている）。突起７，８一本一本はガスケット１の平面直交方向に長い突条状に形成されており、かつ内面４ａまたは外面４ｂの略全高に亙って設けられており、更に断面円弧形に形成されている。
【００１４】
また、上記した内周側の脚部３に設けられた突起５，６群と、外周側の脚部４に設けられた突起７，８群とは互いに当該ガスケット１における周上位置を揃えて設けられており、よって都合四本の突起５，６，７，８が一列に並んで設けられている。
【００１５】
図３および図６に示すように、当該ガスケット１の四隅の一角には、平面状の掴み部９が一体成形されている。
【００１６】
上記各部の寸法関係は、以下のように設定されている。
【００１７】
すなわち、図４に示すように先ず、内周側の脚部３の幅ｗ１は内周側の差込み凹部２６の幅ｗ２よりも若干小さく形成されており、内面３ａ側および外面３ｂ側の突起５，６を含む内周側の脚部３の幅ｗ３は内周側の差込み凹部２６の幅ｗ２よりも大きく形成されている。外周側の脚部４の幅ｗ４は外周側の差込み凹部２７の幅ｗ５よりも若干小さく形成されており、内面４ａ側および外面４ｂ側の突起７，８を含む外周側の脚部４の幅ｗ６は外周側の差込み凹部２７の幅ｗ５よりも大きく形成されている。内周側の脚部３の幅ｗ１は外周側の脚部４の幅ｗ４よりも若干小さく形成されており、内面３ａ側および外面３ｂ側の突起５，６を含む内周側の脚部３の幅ｗ３は内面４ａ側および外面４ｂ側の突起７，８を含む外周側の脚部４の幅ｗ６よりも若干小さく形成されている。
【００１８】
また、ガスケット１全体の幅ｗ７は装着溝２５全体の幅ｗ８よりも若干小さく形成されており、内周側の脚部３における内面３ａ側の突起５および外周側の脚部４における外面４ｂ側の突起８を含むガスケット１全体の幅ｗ９は装着溝２５全体の幅ｗ８よりも大きく形成されている。
【００１９】
また、内周側および外周側の脚部３，４の高さｈはそれぞれ内周側および外周側の差込み凹部２６，２７の深さｄよりも大きく形成されている。内周側および外周側の脚部３，４の高さｈは互いに等しく形成されており、内周側および外周側の差込み凹部２６，２７の深さｄは互いに等しく形成されている。
【００２０】
尚、当該実施例においては、内周側の脚部３の幅ｗ１が実寸で約１．２ｍｍとされており、内面３ａ側および外面３ｂ側の突起５，６を含む内周側の脚部３の幅ｗ３は実寸で約１．７ｍｍとされている。外周側の脚部４の幅ｗ４は実寸で約１．６ｍｍとされており、内面４ａ側および外面４ｂ側の突起７，８を含む外周側の脚部４の幅ｗ６は実寸で約２．２ｍｍとされている。ガスケット１全体の幅ｗ７は実寸で約６．４ｍｍとされており、ガスケット１の全高は実寸で約４．６ｍｍとされている。また、当該実施例において、「若干」は例えば寸法比０．５％程度を想定している。
【００２１】
また、当該ガスケット１は、その全体がフッ素ゴム（ＦＫＭ）を成形材料として一体に成形されている。成形材料をフッ素ゴムとするのは、アウトガスおよびパーティクルが少ないことがこの種のガスに対する要求品質であるところ、フッ素ゴムが他の材料（例えば弾性プラスチック（弾プラ）またはエチレンプロピレンジエン（ＥＰＤＭ））と比較して、発生するアウトガスが以下のように少ないからである。アウトガスの物質は主にハイドリックカーボン（ＨＣ）であり、このＨＣはシリコンウエハーにとって良くない影響を及ぼすものとして知られている。
【００２２】
アウトガス量
弾プラ ：２５
ＥＰＤＭ ：１７〜１８
フッ素ゴム：０．０１
【００２３】
したがって、ガスケット１の成形材料としてはフッ素ゴムが好適であり、他の特性を含めてガスケット１は以下のようなものであることが望ましい。
【００２４】
材質：フッ素ゴム
硬度：約６０度
引張強さ：約９５ｋｇｆ／ｃｍ２
【００２５】
また、フッ素ゴムには、圧縮永久ひずみが低い特性もある。
【００２６】
以上の構成を備えたガスケット１によれば、以下の作用効果を奏することが可能となる。
【００２７】
すなわち先ず、上記したように当該ガスケット１に主シール部２および脚部３，４が一体成形されるとともに脚部３，４の高さｈが差込み凹部２６，２７の深さｄよりも大きく形成されているために、当該ガスケット１を装着溝２５に装着すると、図２に示すように当該ガスケット１の主シール部２と装着溝２５の底面２５ａとの間に空間１０が設定される。したがって、このように空間１０が設定されることにより比較的低荷重（当該実施例では２０ｋｇｆ以下を想定している）をもって当該ガスケット１が潰れるように弾性変形するために、ガスケット１と箱部材２３との密着性を高めることができ、よってガスケット１のシール性を向上させることができる。
【００２８】
また、脚部３，４の幅寸法ｗ１，ｗ４が差込み凹部２６，２７の幅寸法ｗ２，ｗ５よりも若干小さく形成されているために、当該ガスケット１を装着溝２５に装着するに際して、脚部３，４を差込み凹部２６，２７に差し込み易い。したがって、ガスケット１の装着性を向上させることができる。
【００２９】
また、このように装着性を向上させても、脚部３，４の各側面３ａ，３ｂ，４ａ，４ｂに脱落防止用突起５，６，７，８が設けられているために、差込み凹部２６，２７に差し込まれた脚部３，４が差込み凹部２６，２７から抜け出るのを防止することができる。突起５，６，７，８は複数が一列に並べられているために、抜止め力が特に大きく設定されている。
【００３０】
更にまた、当該ガスケット１がその全体をフッ素ゴムを成形材料として一体に成形されているために、当該ガスケット１からは上記ＨＣ等のガスが発生しにくい。したがって、ガスケット１のアウトガス性を向上させることができる。
【００３１】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【００３２】
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項１によるガスケットにおいては、当該ガスケットに主シール部および脚部が一体に設けられるとともに取付状態において主シール部と装着溝の底面との間に空間を設定するように構成されているために、比較的低荷重をもって当該ガスケットが潰れるように弾性変形する。したがって、ガスケットと相手方の箱部材との密着性を高めることができ、よってガスケットのシール性を向上させることができる。
【００３３】
また、脚部の側面に脱落防止用突起が設けられ、すなわち内周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、外周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、内周側の脚部に設けられた突起および外周側の脚部に設けられた突起は互いに当該ガスケットにおける周上位置を揃えて設けられているために、差込み凹部に差し込まれた脚部が差込み凹部から抜けにくい構成を有している。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施例に係るガスケットを装着するウエハーキャリアの要部断面図
【図２】 図１の要部拡大概略断面図
【図３】 同ガスケットの平面図
【図４】 図３のＡ−Ａ線拡大断面図
【図５】 図３のＢ部拡大図
【図６】 図３のＣ−Ｃ線拡大断面図
【符号の説明】
１ ガスケット
２ 主シール部
３，４ 脚部
３ａ，４ａ 内面（側面）
３ｂ，４ｂ 外面（側面）
５，６，７，８ 脱落防止用突起
９ 掴み部
１０ 空間
２１ ウエハーキャリア
２２ 蓋部材
２３ 箱部材
２４ 閉じ合わせ部
２５ 装着溝
２５ａ 底面
２６，２７ 差込み凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封装置の一種であるガスケットに係り、更に詳しくは、半導体分野等におけるウエハーキャリアに用いられるのに適したガスケットに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ウエハーキャリアの蓋部材および箱部材間のシールについては汎用ガスケットが用いられており、よってそのシール性、装着性等を最適な状態に設定するのが困難な状況にある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、ウエハーキャリアに用いられ、上記シール性、装着性等について向上を図ることが可能なガスケットを提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項１によるガスケットは、ウエハーキャリアの蓋部材に取り付けられて前記蓋部材と箱部材との間をシールするガスケットであって、前記箱部材に設けた凸状の閉じ合わせ部に接離自在に当接する平面状の主シール部と、前記主シール部の幅方向両端にそれぞれ設けられ、前記蓋部材の装着溝の底面に予め設けた差込み凹部に差込み固定される一対の脚部とを一体に有し、取付状態において前記主シール部と前記装着溝の底面との間に空間を設定し、前記内周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、前記突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、前記外周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、前記突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、前記内周側の脚部に設けられた突起および前記外周側の脚部に設けられた突起は互いに当該ガスケットにおける周上位置を揃えて設けられていることを特徴とするものである。
【０００５】
上記構成を備えた本発明の請求項１によるガスケットにおいては、当該ガスケットに主シール部および脚部が一体に設けられており、当該ガスケットを取り付けるウエハーキャリアの蓋部材にはその装着溝の底面に差込み凹部が設けられている。したがって、当該ガスケットを蓋部材に取り付けるに際しては、脚部を差込み凹部に差込み固定する。差込み後の取付状態において、主シール部と装着溝の底面との間には空間が設定される。したがって、このように空間が設定されることにより比較的低荷重をもって当該ガスケットが潰れるようにこれを弾性変形させることが可能となる。
【０００６】
また、脚部の側面に脱落防止用突起が設けられ、すなわち内周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、外周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、内周側の脚部に設けられた突起および外周側の脚部に設けられた突起は互いに当該ガスケットにおける周上位置を揃えて設けられているために、差込み凹部に差し込まれた脚部が差込み凹部から抜けにくい。
【０００７】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【０００８】
図１は、本発明の実施例に係るガスケット１を装着するウエハーキャリア２１の要部断面を示しており、図２にその要部概略断面が拡大して示されている。また、図３は同ガスケット１の単品状態の平面図を示しており、そのＡ−Ａ線拡大断面が図４に、Ｂ部拡大図が図５に、Ｃ−Ｃ線拡大断面が図６にそれぞれ示されている。尚、作図の都合上、図１および図２と図３ないし図５とではガスケット１の姿勢（向き）が上下反対方向を向いている。
【０００９】
図１および図２に示すように、当該実施例に係るガスケット１は、ウエハーキャリア２１における蓋部材２２に装着され、蓋部材２２と箱部材２３とが閉じられたときに両部材２２，２３間をシールするものであって、以下のように構成されている。
【００１０】
すなわち先ず、当該ガスケット１は、図３に示すように平面略矩形状に形成されており、かつエンドレス状に形成されている。当該実施例においては、矩形の一辺の長さが実寸でおよそ２５０〜２７０ｍｍとされている。
【００１１】
また、当該ガスケット１は、図４に示すように、箱部材２３に設けた凸状の閉じ合わせ部２４（図２参照）に接離自在に当接する平面状の主シール部２を全周に亙って有しており、この主シール部２の幅方向両端部にそれぞれ、蓋部材２２の装着溝２５の底面２５ａに予め設けた差込み凹部２６，２７（図２参照）に差込み固定される一対の脚部３，４が平面直交方向に向けてかつ全周に亙って一体成形されている。
【００１２】
内周側の脚部３の内面３ａおよび外面３ｂにそれぞれ、脱落防止用突起５，６が一体成形されている。この内面３ａ側の突起５と外面３ｂ側の突起６は互いに一本ずつが対をなして当該ガスケット１における周上位置を揃えて設けられており、かつこの対をなす突起５，６が複数対、ガスケット１の全周に亙って所定の間隔を開けて配置されている（当該実施例では図３に示すように２８対が図上マーク位置に配置されている）。突起５，６一本一本はガスケット１の平面直交方向に長い突条状に形成されており、かつ内面３ａまたは外面３ｂの略全高に亙って設けられており、更に断面円弧形に形成されている。
【００１３】
同様に、外周側の脚部４の内面４ａおよび外面４ｂにそれぞれ、脱落防止用突起７，８が一体成形されている。この内面４ａ側の突起７と外面４ｂ側の突起８はこれも互いに一本ずつが対をなして当該ガスケット１における周上位置を揃えて設けられており、かつこの対をなす突起７，８が複数対、ガスケット１の全周に亙って所定の間隔を開けて配置されている（当該実施例では図３に示すように２８対が図上マーク位置に配置されている）。突起７，８一本一本はガスケット１の平面直交方向に長い突条状に形成されており、かつ内面４ａまたは外面４ｂの略全高に亙って設けられており、更に断面円弧形に形成されている。
【００１４】
また、上記した内周側の脚部３に設けられた突起５，６群と、外周側の脚部４に設けられた突起７，８群とは互いに当該ガスケット１における周上位置を揃えて設けられており、よって都合四本の突起５，６，７，８が一列に並んで設けられている。
【００１５】
図３および図６に示すように、当該ガスケット１の四隅の一角には、平面状の掴み部９が一体成形されている。
【００１６】
上記各部の寸法関係は、以下のように設定されている。
【００１７】
すなわち、図４に示すように先ず、内周側の脚部３の幅ｗ１は内周側の差込み凹部２６の幅ｗ２よりも若干小さく形成されており、内面３ａ側および外面３ｂ側の突起５，６を含む内周側の脚部３の幅ｗ３は内周側の差込み凹部２６の幅ｗ２よりも大きく形成されている。外周側の脚部４の幅ｗ４は外周側の差込み凹部２７の幅ｗ５よりも若干小さく形成されており、内面４ａ側および外面４ｂ側の突起７，８を含む外周側の脚部４の幅ｗ６は外周側の差込み凹部２７の幅ｗ５よりも大きく形成されている。内周側の脚部３の幅ｗ１は外周側の脚部４の幅ｗ４よりも若干小さく形成されており、内面３ａ側および外面３ｂ側の突起５，６を含む内周側の脚部３の幅ｗ３は内面４ａ側および外面４ｂ側の突起７，８を含む外周側の脚部４の幅ｗ６よりも若干小さく形成されている。
【００１８】
また、ガスケット１全体の幅ｗ７は装着溝２５全体の幅ｗ８よりも若干小さく形成されており、内周側の脚部３における内面３ａ側の突起５および外周側の脚部４における外面４ｂ側の突起８を含むガスケット１全体の幅ｗ９は装着溝２５全体の幅ｗ８よりも大きく形成されている。
【００１９】
また、内周側および外周側の脚部３，４の高さｈはそれぞれ内周側および外周側の差込み凹部２６，２７の深さｄよりも大きく形成されている。内周側および外周側の脚部３，４の高さｈは互いに等しく形成されており、内周側および外周側の差込み凹部２６，２７の深さｄは互いに等しく形成されている。
【００２０】
尚、当該実施例においては、内周側の脚部３の幅ｗ１が実寸で約１．２ｍｍとされており、内面３ａ側および外面３ｂ側の突起５，６を含む内周側の脚部３の幅ｗ３は実寸で約１．７ｍｍとされている。外周側の脚部４の幅ｗ４は実寸で約１．６ｍｍとされており、内面４ａ側および外面４ｂ側の突起７，８を含む外周側の脚部４の幅ｗ６は実寸で約２．２ｍｍとされている。ガスケット１全体の幅ｗ７は実寸で約６．４ｍｍとされており、ガスケット１の全高は実寸で約４．６ｍｍとされている。また、当該実施例において、「若干」は例えば寸法比０．５％程度を想定している。
【００２１】
また、当該ガスケット１は、その全体がフッ素ゴム（ＦＫＭ）を成形材料として一体に成形されている。成形材料をフッ素ゴムとするのは、アウトガスおよびパーティクルが少ないことがこの種のガスに対する要求品質であるところ、フッ素ゴムが他の材料（例えば弾性プラスチック（弾プラ）またはエチレンプロピレンジエン（ＥＰＤＭ））と比較して、発生するアウトガスが以下のように少ないからである。アウトガスの物質は主にハイドリックカーボン（ＨＣ）であり、このＨＣはシリコンウエハーにとって良くない影響を及ぼすものとして知られている。
【００２２】
アウトガス量
弾プラ ：２５
ＥＰＤＭ ：１７〜１８
フッ素ゴム：０．０１
【００２３】
したがって、ガスケット１の成形材料としてはフッ素ゴムが好適であり、他の特性を含めてガスケット１は以下のようなものであることが望ましい。
【００２４】
材質：フッ素ゴム
硬度：約６０度
引張強さ：約９５ｋｇｆ／ｃｍ２
【００２５】
また、フッ素ゴムには、圧縮永久ひずみが低い特性もある。
【００２６】
以上の構成を備えたガスケット１によれば、以下の作用効果を奏することが可能となる。
【００２７】
すなわち先ず、上記したように当該ガスケット１に主シール部２および脚部３，４が一体成形されるとともに脚部３，４の高さｈが差込み凹部２６，２７の深さｄよりも大きく形成されているために、当該ガスケット１を装着溝２５に装着すると、図２に示すように当該ガスケット１の主シール部２と装着溝２５の底面２５ａとの間に空間１０が設定される。したがって、このように空間１０が設定されることにより比較的低荷重（当該実施例では２０ｋｇｆ以下を想定している）をもって当該ガスケット１が潰れるように弾性変形するために、ガスケット１と箱部材２３との密着性を高めることができ、よってガスケット１のシール性を向上させることができる。
【００２８】
また、脚部３，４の幅寸法ｗ１，ｗ４が差込み凹部２６，２７の幅寸法ｗ２，ｗ５よりも若干小さく形成されているために、当該ガスケット１を装着溝２５に装着するに際して、脚部３，４を差込み凹部２６，２７に差し込み易い。したがって、ガスケット１の装着性を向上させることができる。
【００２９】
また、このように装着性を向上させても、脚部３，４の各側面３ａ，３ｂ，４ａ，４ｂに脱落防止用突起５，６，７，８が設けられているために、差込み凹部２６，２７に差し込まれた脚部３，４が差込み凹部２６，２７から抜け出るのを防止することができる。突起５，６，７，８は複数が一列に並べられているために、抜止め力が特に大きく設定されている。
【００３０】
更にまた、当該ガスケット１がその全体をフッ素ゴムを成形材料として一体に成形されているために、当該ガスケット１からは上記ＨＣ等のガスが発生しにくい。したがって、ガスケット１のアウトガス性を向上させることができる。
【００３１】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【００３２】
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項１によるガスケットにおいては、当該ガスケットに主シール部および脚部が一体に設けられるとともに取付状態において主シール部と装着溝の底面との間に空間を設定するように構成されているために、比較的低荷重をもって当該ガスケットが潰れるように弾性変形する。したがって、ガスケットと相手方の箱部材との密着性を高めることができ、よってガスケットのシール性を向上させることができる。
【００３３】
また、脚部の側面に脱落防止用突起が設けられ、すなわち内周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、外周側の脚部の内面および外面にそれぞれ脱落防止用突起が一体成形され、突起はそれぞれ当該ガスケットの平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面または外面の全高に亙って設けられ、内周側の脚部に設けられた突起および外周側の脚部に設けられた突起は互いに当該ガスケットにおける周上位置を揃えて設けられているために、差込み凹部に差し込まれた脚部が差込み凹部から抜けにくい構成を有している。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施例に係るガスケットを装着するウエハーキャリアの要部断面図
【図２】 図１の要部拡大概略断面図
【図３】 同ガスケットの平面図
【図４】 図３のＡ−Ａ線拡大断面図
【図５】 図３のＢ部拡大図
【図６】 図３のＣ−Ｃ線拡大断面図
【符号の説明】
１ ガスケット
２ 主シール部
３，４ 脚部
３ａ，４ａ 内面（側面）
３ｂ，４ｂ 外面（側面）
５，６，７，８ 脱落防止用突起
９ 掴み部
１０ 空間
２１ ウエハーキャリア
２２ 蓋部材
２３ 箱部材
２４ 閉じ合わせ部
２５ 装着溝
２５ａ 底面
２６，２７ 差込み凹部
Claims (1)
- ウエハーキャリア（２１）の蓋部材（２２）に取り付けられて前記蓋部材（２２）と箱部材（２３）との間をシールするガスケット（１）であって、
前記箱部材（２３）に設けた凸状の閉じ合わせ部（２４）に接離自在に当接する平面状の主シール部（２）と、前記主シール部（２）の幅方向両端にそれぞれ設けられ、前記蓋部材（２２）の装着溝（２５）の底面（２５ａ）に予め設けた差込み凹部（２６）（２７）に差込み固定される一対の脚部（３）（４）とを一体に有し、
取付状態において前記主シール部（２）と前記装着溝（２５）の底面（２５ａ）との間に空間（１０）を設定し、
前記内周側の脚部（３）の内面（３ａ）および外面（３ｂ）にそれぞれ脱落防止用突起（５）（６）が一体成形され、前記突起（５）（６）はそれぞれ当該ガスケット（１）の平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面（３ａ）または外面（３ｂ）の全高に亙って設けられ、
前記外周側の脚部（４）の内面（４ａ）および外面（４ｂ）にそれぞれ脱落防止用突起（７）（８）が一体成形され、前記突起（７）（８）はそれぞれ当該ガスケット（１）の平面直交方向に長い突条状に形成されかつ内面（４ａ）または外面（４ｂ）の全高に亙って設けられ、
前記内周側の脚部（３）に設けられた突起（５）（６）および前記外周側の脚部（４）に設けられた突起（７）（８）は互いに当該ガスケット（１）における周上位置を揃えて設けられていることを特徴とするガスケット。
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