JP3968433B2 - 低反射材料とその作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、基材若しくはその表面が銅よりなる材料の表面に微細な凹凸による低反射皮膜を有する低反射材料とその作製方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
光学機器等において可視光の反射を抑制するために、黒クロムメッキをはじめとする低反射化技術が用いられてきている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記低反射化技術では、有毒で環境汚染のおそれの大きいクロムを用いること、メッキ処理工程が複雑である等の多くの問題点を抱えている。
【0004】
そこで、この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、可視光全域(400〜800nm)にわたって0.05%以下の低い反射率を示す低反射材料と、環境負荷が小さく、取り扱いが容易な低反射材料の作製方法とを提供することを解決すべき課題としている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭59−86059号公報
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、発明1の低反射材料は、前記皮膜が、材料表面に対して法線方向に成長したフレーク状の二価の酸化銅よりなることを特徴とする。
発明2は、前記発明1の低反射材料の作成方法であって、1Mの水酸化ナトリウム水溶液中において電流密度1.0mA/cm2で25分間陽極酸化することにより、材料表面に、その法線方向に成長したフレーク状の二価の酸化銅よりなる皮膜を形成することを特徴とする。
【0007】
以下、実施例を示し、この出願の発明の低反射材料とその作製方法についてさらに詳しく説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
この出願の発明者らは、環境負荷が小さく、取り扱いが容易な酸化銅に着目し、水酸化ナトリウム水溶液中で金属銅を陽極酸化させ、金属銅表面に酸化銅皮膜の形成を試みた。
その結果、二価の酸化銅(CuO)の皮膜が成膜した金属銅の反射率は、従来の低反射材料の反射率と比較して1桁以上低い0.05%以下の反射率を示した。この事実より、従来と比較してきわめて低い反射率を有する材料が簡便に作製されることが確認された。
【0009】
得られた二価の酸化銅の皮膜は、黒色を呈する上、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、フレーク状の構造体が基板の法線方向に成長した微細構造を有している。このため、表面に入射した光を効率よく散乱させ、また、吸収することができ、これが、低反射率を示す一因であると考えられる。
【0010】
上述のような低反射率を示すため、この出願の発明の低反射材料の作製方法は、可視光を利用する光学精密機器全般の内装品の表面処理に適用可能であり、光学特性の格段の高性能化が見込まれる。たとえば、カメラ等の画像記録機器では取得画像の高品質化や高感度化が期待され、分光学的測定システムでは分解能および信頼性の向上が期待される。
【0011】
また、この出願の発明の低反射材料の作製方法により成膜される二価の酸化銅の皮膜は、上述のとおりの微細構造を有するため、熱の吸収、放出効率がよいと推測され、太陽熱温水器や放熱板、熱交換器等への適用が考えられる。さらに、鮮やかな黒色を呈することから装飾という用途も考えられる。
【0012】
このように、この出願の発明の低反射材料は多方面への応用が有望視される。
【0013】
【実施例】
厚さ1mm、縦横10mmの大きさの鏡面研磨した銅板および銅薄膜を表面に形成したステンレス鋼板を、図1に示したように、1Mの水酸化ナトリウム水溶液中に配置し、電流密度1.0mA/cm2で25分間陽極酸化した。この後、純水中で超音波洗浄により電解液を除去し、上記銅板およびステンレス鋼板を乾燥した。銅板およびステンレス鋼板の表面は鮮やかな黒色を呈した。XRD(X線回折法)により二価の酸化銅の皮膜が形成されたことが確認された。
【0014】
光ファイバーおよびレンズを用いてハロゲンランプの光を銅板およびステンレス鋼板の表面に入射角45°で照射し、反射角45°で反射スペクトルを測定した。銅板およびステンレス鋼板は、図2の(5)(6)に示したように、可視光全域(400〜800nm)にわたって0.05%以下の低い反射率を示した。この反射率は、これまでに用いられている低反射処理が施された光学ステージ(図2(3))やカメラ内装部品(図2(4))に比べ、1桁以上低い値である。また、鏡面研磨した銅板(図2(1))およびステンレス鋼板表面に高周波マグネトロンスパッタして成膜した酸化銅膜(図2(2))に比べ、格段に低い。
【0015】
実施例で得られた二価の酸化銅の皮膜表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
図3はSEM像であり、フレーク状の構造体が基板の法線方向に成長した組織が確認された。反射率が異なることから実施例で得られた二価の酸化銅の皮膜の構造は、図2(2)に示した酸化銅膜の構造と異なり、水酸化ナトリウム水溶液中での陽極酸化により得られる特有のものであると理解される。
【0016】
もちろん、この出願の発明は、以上の実施形態および実施例によって限定されるものではない。細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0017】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、可視光全域(400〜800nm)にわたって0.05%以下の低い反射率を示す低反射材料と、環境負荷が小さく、取り扱いが容易な低反射材料の作製方法とが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において行った処理の概要図である。
【図2】処理後の銅板およびステンレス鋼板の反射スペクトルを他の例と比較して示した図である。
【図3】処理後の銅板およびステンレス鋼板に成膜された二価の酸化銅の皮膜表面の走査型電子顕微鏡像である。
Claims (2)
- 基材若しくはその表面が銅よりなる材料の表面に微細な凹凸による低反射皮膜を有する低反射材料であって、前記皮膜の微細な凹凸は、材料表面に対して法線方向に成長したフレーク状の二価の酸化銅により形成されてなることを特徴とする低反射材料。
- 請求項1に記載の低反射材料の作成方法であって、1Mの水酸化ナトリウム水溶液中において電流密度1.0mA/cm2で25分間陽極酸化することにより、材料表面に、その法線方向に成長したフレーク状の二価の酸化銅により微細な凹凸を有さしめた皮膜を形成することを特徴とする低反射材料の作製方法。
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